JP2006277500A - モデル駆動制御装置およびモデル駆動制御方法 - Google Patents

モデル駆動制御装置およびモデル駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な制御性能を維持して、最適操作量を算出するための処理時間を短縮するモデル駆動制御方法を提供する。
【解決手段】 最適最終操作量決定部21では、制御対象30に最終的に与える操作量を、なまし関数を切り離した制御対象モデル15を用いて決定する。次いで、最適今回操作量決定部13で、決定された最適最終操作量に基づいて、なまし関数をもつ制御対象モデル15を用いて今回制御対象30に与える最適操作量を決定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モデル予測制御の利点を生かしつつ処理時間を短縮できるモデル駆動制御に関する。
現在、多用されている制御方法としてモデル駆動PIDがある。これは、制御対象の物理モデルに操作量を与えて未来予測を行い、その結果である制御量のずれにフィードバック係数をかけて操作量の補正値を算出し、補正値を加えた操作量で制御対象を制御するものである。この方法は、モデル予測制御とPID制御を組み合わせたもので、特に時定数の長いシステムの追従性を向上させるのに有効である。
しかしながら、制御対象の状態に応じて補正係数の値が変化する場合、制御対象の状態ごとに補正係数の適合が必要となり、すべてのシステム状態で良好な制御性能を得ることは難しい。例えば、温度T1、T2の冷却水をバルブで制御して、吐出温度を目標温度Trefとしたいとき(ここではバルブ開度が操作量で、温度が制御量である)、モデル予測により得られた吐出温度T3とすると、(T3−Tref)×補正係数によりバルブ開度補正値が得られる。これを現在のバルブ開度に加えて操作量として、PID制御を行えば、追従性の改善された制御が行える。しかしながら、冷却水の温度T1、T2が変化すると、良好な制御性能は得られない。良好な制御性能を維持するためには、補正係数を新たに算出する必要があるが、モデル予測を実行することになり、追従性がよいという特徴を失ってしまうことになる。つまり、この制御は、補正係数が制御対象の状態の影響を受けにくいシステムでなければ、適用できない。
一方、モデル予測制御は、補正係数の算出をする必要はないが、最適操作量を得るためには、現在から未来まで多数の時点で予測を行う必要がある(特許文献1)。また、未来予測には、モデル関数の数値微分を伴うため、演算装置の性能によっては、リアルタイム処理が難しくなる。また、前回算出の最適値より演算を開始するので、制御対象の状態が大きく変動した場合の最適値の算出が難しくなり、処理時間が増大する。
2001−84005号公報
本発明は、このような従来の制御の問題点に鑑み、良好な制御性能を維持して、最適操作量を算出するための処理時間を短縮する制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様であるモデル駆動制御装置は、上記目的を達成するために、制御対象に最終的に与える最適最終操作量を決定する最適最終操作量決定部と、前記決定された最適最終操作量に基づいて、前記制御対象に今回与える今回最適操作量を決定する今回最適操作量決定部と、少なくとも出力なまし関数部を有する制御対象モデルとを備え、前記最適最終操作量決定部では、前記出力なまし関数部を除いた制御対象モデルを用いて最適最終操作量を決定し、前記今回操作量決定部では、前記出力なまし関数部を含む前記制御対象モデルを用いて今回操作量を決定する。
また、本発明の第2の態様であるモデル駆動制御装置は、なまし関数を有する過渡応答関数部と、なまし関数をもたない制御対象モデルとを備えて、前記最適最終操作量決定部では、前記制御対象モデルのみを用いて最適最終操作量を決定し、前記今回操作量決定部では、前記過渡応答関数部と前記制御対象モデルを用いて今回操作量を決定する。
また、前記最適最終操作量決定部は、最終操作量の検索範囲を大域的に検索する実時間最適化部と、該実時間最適化部で検索された操作量を微小に変位させて評価し最適最終操作量を決定する微小変位評価部とを備えてもよい。
さらに、前記実時間最適化部は、前記検索範囲から選択された評価点で評価を行い、順次検索範囲を狭めて最適最終操作量を検索してもよく、前記評価点は、該評価点と未評価点との最大距離を等しくするように選択してもよく、また、前記評価は、モデル出力値と目標値との偏差の符号を判定することを含んでいてもよい。
さらに、前記最適今回操作量決定部は、前記最適最終操作量を基準に上下に変化させた操作量により、モデル予測を行って最適今回操作量を決定することができる。
さらに内部状態推定部を備え、該内部状態推定部は、制御対象へ与える最適今回操作量を制御対象モデルへ与えることによって、内部状態数を算出し、前記内部状態数の初期値は、前記制御対象の出力を変換して算出することができる。
本発明の第3の態様であるモデル駆動制御方法は、制御対象モデルを用いて制御対象に与える最適操作量を決定するモデル駆動制御方法であって、なまし関数を使用しないで、前記制御対象に最終的に与える最適最終操作量を決定する最適最終操作量決定ステップと、前記決定された最適最終操作量に基づいて、なまし関数を使用して、前記制御対象に今回与える最適今回操作量を決定する最適今回操作量検索ステップとを有する。
前記最適最終操作量決定ステップは、最終操作量の検索範囲を大域的に検索する実時間最適化ステップと、該実時間最適化ステップで検索された操作量を微小に変位させて評価し最適最終操作量を決定する微小変位評価ステップとを有することができる。
前記実時間最適化ステップは、前記検索範囲から選択された評価点で評価を行い、順次検索範囲を狭めて操作量を検索するようにしてもよい。前記評価は、モデル出力値と目標値との偏差の符号を判定するようにしてもよい。
前記最適今回操作量決定ステップは、前記最適最終操作量を基準に上下に変化させた操作量により、モデル予測を行って最適今回操作量を決定することができる。
本発明は、最適最終操作量決定部と今回最適操作量決定部とを備えて、最適操作量を決定するので、制御性能を維持しながら大幅な処理時間の削減が可能である。
大域的に検索を開始して、局所的な検索に続けるので、局所的な最適値と大域的な最適値とを間違うことはない。
また、前回値周辺から検索するのではないので、演算周期による処理時間の変動がなく、最適化の精度が保証される。
本発明の第2の態様にあっては、なまし関数を含んで制御プラットフォームを確立することができ、制御プラットフォームの汎用性を高めることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の理解を助けるために、まず従来のモデル予測制御を説明する。
従来のモデル予測制御の一例を、図9に示す。モデル予測制御装置50は、目標とする制御量を得るために、制御対象70に与える最適な操作量を決定する。モデル予測制御装置50は、最適操作量決定部51、制御対象モデル57、制御対象入出力データベース58等を備える。最適操作量決定部51は、仮の操作量を制御対象モデル57に与えて、未来を予測して最適操作量を決定し、制御入出力データベース57を介して、最適操作量を制御対象70に出力する。なお、制御対象から得られる制御量等は、制御対象入出力データベース57を介して制御装置50に入力する。
最適操作量決定部51は、仮操作量決定部52、降下方向検索部53、ステップ幅決定部および評価部55を備えている。まず仮操作量決定部52で、最適操作量候補である仮操作量を決める。制御開始時のサイクルを除いて、通常は、前回の最適操作量を仮操作量とする。制御量の目標値に最も近い値を与える操作量を最適操作量とするために、仮操作量が与える制御量と目標制御量との偏差を最小にする操作量を求める。そのために、最小値への方向を決定する降下方向検索部53と、最小値までのステップ幅を決めるステップ幅決定部54を備えている。仮操作量をずらしながら、降下方向検索部53とステップ幅決定部54の演算を繰り返し行う。このようにして、予測演算を繰り返した後評価部55で最小値と判断されると、最小値を与える仮操作量が最適操作量と決定して制御対象に出力する。なお、降下方向検索部53やステップ幅決定部54で制御対象モデル57を用いるが、制御対象モデル57は、時定数をもった物理モデルであるので、当然のことながら出力なまし関数部59を備えている。
このように、モデル予測制御は、制御対照モデルを使用して未来を予測して操作量を決定するので、最適制御を行うことができる。しかしながら、最適操作量を得るまでの演算が、仮操作量を与えるごとに多次元空間での数値微分を実行する必要があることから、演算負荷が大きくなる。
図1に、本発明の第1の実施形態であるモデル駆動制御装置10と制御対象30を含むモデル駆動制御システムの概要を示す。モデル駆動制御装置10は、制御対象30に対して、目標制御量を得るための最適操作量を与えるもので、最適操作量は、最適最終操作量決定部11と最適今回操作量決定部14とにより、制御対象モデル15を用いて決定される。決定された最適操作量は、制御入出力履歴を格納するデータベースでもある制御対象入出力データベース19を介して、制御対象に出力される。もちろん、入出力データベース19を介さずに直接出力するようにしてもよい。ただし、その場合でも、出力の履歴は入出力データベース19に格納される。また、制御対象に設けられたセンサ等による状態信号も制御対象入出力データベース19を介して入力される。
制御対象モデル15は、従来のものと同様なまし関数を備えている。本実施形態では、出力なまし関数部25と外部入力信号なまし関数部26を備える。同時に、出力なまし関数部25や外部入力信号なまし関数部26のようななまし関数を備えていないモデルとして使用可能に構成する。図では、理解を容易にするために、なまし関数のないモデルと出力なまし関数部25と外部入力信号なまし関数部26をもつモデルとを並記したが、実際には、出力なまし関数部25と外部入力信号なまし関数部26を有する制御対象モデルを用い、必要に応じてこれらのなまし関数部25および26を分離して使用するものである。後に詳しく説明するが、本実施形態では、最適最終操作量決定部11で最適最終操作量を決定する際には、なまし関数をもたない制御対象モデルを使用し、最適今回操作量決定部で最適今回操作量を決定する際には、出力なまし関数部25をもつ制御対象モデルを使用する。
制御対象モデル15はまた、なまし関数部の時定数等を同定するための同定器27を備え、実際の制御対象に設けたセンサから制御対象の状態信号を制御対象入力データベースを介して入力して、各なまし関数部のなまし時定数やゲインを同定する。
一般に、制御対象モデルは、操作量入力をモデル化するために、操作量入力側なまし関数部を備える必要があるが、本実施形態では、モデル出力側なまし関数部に操作量入力側での影響を織り込んで、操作量入力側なまし関数部を省略している。これは、制御アルゴリズム側からみれば、入力で遅れたのか、出力で遅れたのかは判別できないことに着目したもので、これにより装置構成を簡易化できる。
その他、制御対象の内部状態を推定する内部状態推定部19が設けられ、制御対象モデルのなまし関数を計算する。
従来のモデル予測制御では、目標制御量を得るために必要な各時間の操作量を最適化する必要があった。すなわち、n個の予測時刻を有している場合、各時刻t0,t1,t2,・・・tnの操作量IN(t0),IN(t1),IN(t2),・・・IN(tn)を変数とする評価関数F(IN(t0),IN(t1),IN(t2),・・・IN(tn))の最小値を与える操作量IN(t0),IN(t1),IN(t2),・・・IN(tn)をすべて算出する必要があった。このため、最適化演算量は膨大なものとなっていた。
本実施形態では、システム状態の最終操作量IN(tn)と、今回操作量IN(t1)のみを最適化する。すなわち、最終操作量決定部21では、仮の最終操作量IN(tn)をモデルに与えてその予測出力を評価する。最終操作量は、目標値を得るために最後に与える操作量であるので、過渡応答を考慮する必要がなく、予測に際してなまし関数を使用する必要がない。そして、最適今回操作量決定部13で、求められた最適最終操作量を基に上下に変化させた値を用い、システムの時定数を考慮したなまし関数部25、26を用いてモデル予測を行う。すなわち、最適今回操作量決定部13では、最適最終操作量を基に過渡応答を考慮し、最適今回操作量を決定する。
以下、さらに詳しく説明する。
最終操作量決定部では、仮の最終操作量IN(tn)を与えてその出力を評価する。過渡応答を考慮する必要がないので、図2(a)に示すように、時定数を考慮することなく、ある一定値を与えればよい。そして、予測するのは、最後の時刻での操作量のみであるので、その評価関数G(IN(tn))は、操作量入力値の下限lb=0と上限ub=1として、最終操作量IN(tn)の関数として例えば図2(b)のように表現できる。図2(b)では、最終操作量の最適値は、評価関数の最小値pを与える値である。検索範囲は、下限0〜上限1である。このようにして、操作量のとる範囲全体を対象として検索が可能となる。
検索範囲は、例えば操作量をバルブ開度とすれば、一般に開度0%を下限0、開度100%を上限1となり、モータ回転数であれば、下限は回転数0で、モータの最高回転数を1となる。図3(a)〜(d)に、検索手法の一例を示す。ここでは、操作量の検索領域を0〜100%として説明する。検索範囲全体を考慮して、最小値を求めるために、検索領域の1/2の点を検索点として、検索領域を狭めてゆく。
本実施形態によれば、検索範囲を操作量の動く全範囲としているので、1演算周期に最適値を求める演算のすべてを行う必要がない。すなわち、制御対象は瞬時に動くわけではないので、最適値の方向がわかれば、ただちにその方向に制御対象を操作することができる。次回以降の演算周期で順次最適値に近づけてゆけばよい。
図3に示すように、1回目の演算周期では、50%の点で検索(図3a)し、2回目の演算周期では、25%と75%の点で検索(図3b)してその値を評価し、例えば25%の点の評価値が0に近いとすれば、3回目の演算周期では、25%の周辺の12.5%と37.5%の点で検索(図3c)する。さらに、4回目の演算周期では、12.5%の点で評価値が0に近いとすれば、6.25%と12.75%の点を検索(図3d)する。これを続けていけば、所望の精度で最適最終操作量を得ることができる。
従来のモデル予測制御では、操作量の大域的な変動がわからないまま前回の最適操作量から出発して局所的に最小値を探索していくので、極小値qを最小値とする誤りに陥る場合があったが、本実施形態では、最終操作量の挙動が大域的に把握できるので、最小値pを誤認することがない。
また、1演算周期で最適値の方向がわかれば、ただちにその方向に制御対象を操作することができ、システム変動時の応答性が向上する。さらに、1演算周期で行う検索の回数は任意に決定できるので、システムが要求する演算精度と演算処理時間の調整が容易となる。
さらに、実時間最適化部21で大域的な判断を行って最適値を決定し、その後微小変位評価部22で局所的に調整して最適最終操作量を決定するので、基本的に従来の予測演算のような繰り返し演算を必要としない。また、実時間最適化部21とは別に微小変位評価部22を設けることで、実時間最適化部21では大域的な最適化に重点をおくことができる。
実時間最適化部21で、図3に示したように、検索演算を4回行うとすると、最適化範囲0〜100%で最適化精度が6.25%となる。微小変位評価部では、検索点の2%の変位を4回行う。したがって、微小変位評価部の最適化範囲8%で、最適化精度2%となる。これを組み合わせると、最適化範囲0〜100%で最適化精度2%が得られる。
実時間最適化部と微小変位評価部22との分担は、実際の制御対象によって、適宜変更することができる。状態が急激に変化するようなことのない制御システムでは、実時間最適化部21での演算を減らすようにしてもよい。また、精度が必要な場合は、複数回の演算を1演算周期で行うようにすることもできる。
次に、実時間最適化部21における実際の最終操作量を求める検索パターンの一例を以下に示す。ここでは、操作量入力値の最小値を下限lb=0、最大値を上限ub=1として操作量のとり得る検索範囲を設定する。検索点はいずれも、未評価点との最大距離を等しくするように、決定する。なお、以下の例では、前回の予測結果である現在値を考慮して検索点を決定する例である。
(例1)
現在値xが、0.17<x<0.83である場合、初回検索点は、次の式により決まる2点に設定する。
x/3 (1)
1−(1−x)/3 (2)
図4(a)に示すように、現在値x=0.5であり、0.5での評価値が分かっているとすると、初回検索点は、式(1)より、0.5/3=0.17、式(2)より、1−(1−0.5)/3=0.83となる。点0.17と点0.83とを検索して評価すると、評価点は、0.17、0.5、0.83となり、未評価点との最大距離は、0.17である。未評価点との最大距離とは、評価済みの2点の間の距離の1/2である。
(例2)
現在値x<0.17の場合、初回検索点は、次の式により決まる2点に設定する。
(1−x)/5×2+x (3)
(1−x)/5×4+x (4)
0.83<現在値xである場合、初回検索点は、次の式により決まる2点に設定する。
x/5 (5)
x/5×3 (6)
図4(b)に示すように、現在値x<0.17の場合、現在値x=0とすると、初回検索点は、式(3)、(4)により、0.40と0.80となる。この場合、未評価点との最大距離は0.2となる。
(例3)
例3は、2回目以降の検索点決定の例である。ここでは、図4(c)に示すように、現在値x=0として、初回検索点を、0.40と0.80として評価したところ、0.80の評価がよい場合を例にとる。この場合の2回目以降の検索範囲の上限下限は0.80を間に挟んで隣接する評価点あるいは端点(上限あるいは下限)で決まる。本例では、検索範囲の下限が隣接する評価点0.40で上限が1.00となる。そして、検索点は、0.80と隣接する評価点0.40との中間点0.60と、0.80と上限1.00との中間点0.90に設定する。この場合、未評価点との最大値は0.1となる。必要があれば、3回目以降も2回目と同様に徐々に狭まる検索範囲で中間点を評価してゆく。このようにして、算出すべき精度まで繰り返して評価することができる。
図5には、実時間最適化部の動作のフローチャートを示す。
まずステップS1では、制御対象に与える操作量の最小値lbを0とし、最大値ubを1と設定し、検索範囲を0〜1の範囲に正規化する。
次いで、ステップS2で、初回検索点を決定する。初回検索点の決定は、上記例1、2に示したものでよい。3点以上の点を初回検索点とすることも可能である。しかし、絞り込む方向を見出すだけでも制御を開始することができるので、制御速度を考慮する場合、1点あるいは2点を検索して検索範囲を絞ってゆくほうが望ましい。
ステップS3では、各点の評価値を算出して、評価値が最も0に近い点を最適点として、その上下に隣接する検索点(両端を含む)を上限下限に再設定し、新たな検索範囲とする。早期に制御を開始する必要がある場合などは、このステップS3で求めた値を基にして、最適操作量を算出して実機に与えて1演算周期を終了してもよい。
さらに制御精度を上げるためには、ステップS4で、再設定され狭められた下限lbと上限ubとで決まる検索範囲内を検索する。ここでは、上記例3として説明したように、中間の点を取ってゆくことになる。検索した結果新たに最小値を与える点が決定され、それにより下限lbと上限ubをもつ検索範囲が再設定される。ステップS4でも、1演算周期を終了することができる。
ステップS5で、検索範囲が算出すべき精度以下となっていれば、仮の最適最終操作量を決定して、スタートに戻る。検索範囲が算出すべき精度に達していなければ、再度ステップS4に戻り、ステップ4を繰り返すことになる。ステップS4を繰り返す場合でも、繰り返すごとに1演算周期を終了させるようにできる。
ところで、従来のモデル予測制御では、制御量の目標値に達するまで所定間隔で設定された各時刻でのモデル出力を算出するので、出力は、各時刻の出力値を並べたベクトルとなる。これを評価値に換算するには、出力値ベクトルと目標値ベクトルとの距離を評価する必要がある。そのためには出力値ベクトルと目標値ベクトルの成分の差の二乗和をとって評価値とするので、値は絶対値となる。これに対して、本実施形態では、正負の符号が付いたスカラー値で評価できるので、制御対象およびそのモデルの入出力特性が明らかな場合、すなわち操作量入力が増加すると出力も増加する、あるいは操作量入力が減少すると出力は逆に増加するとわかっている場合には、モデル出力値と目標値との偏差の正負を判定することにより、操作量を変更すべき方向が分かる。
例えば、上記例3は、現在値x=0として、初回検索点を、0.40と0.80として評価し、0.80の評価がよい場合であるが、操作入力の増減と評価値出力特性の増減が一致しているとすると、0.80での評価値が正の場合、最適点は0.80より小さいことが明らかであるため、ub=0.80とすることができる。すなわち、例3では、新たに設定する検索点は、0.60と0.90であったが、操作量の変更方向が明らかである場合には、0.80より大きい0.90での検索が不要で、0.60で検索すればよいことになる。また、0.80での評価値が負の場合、最適点は、0.80より大きいことが明らかであるため、lb=0.80とすることができ、0.60での検索が不要で、0.90で検索すればよい。
このように、制御対象、したがってそのモデルの入出力特性が明らかな場合には、いずれかの方向にあるもののみで検索すればよく、モデル評価回数を削減できる。
今回操作量決定部13すなわち過渡応答向上部では、最適最終操作量決定部11で決定された最終操作量を基に、実際に今回制御対象に与える最適操作量を決定する。図6(a)に示すように、最適最終操作量は、システムの遅れ等の時定数を考慮にいれていないので、そのまま制御対象へ入力すると追従遅れ、オーバシュート等を発生する。したがって、今回最適操作量を決定するに際しては、出力なまし関数部25を用いて、過渡応答を考慮したモデル予測を行う。モデルに与える仮の今回操作量は、最適最終操作量を基準に上下に変動させた値を用いる。この場合も、従来のモデル予測制御のように、時間ごとの操作量をすべて予測するのではなく、今回の操作量の予測のみであるから、最適化の次数を大幅に削減できる。図6(b)は、最適今回操作量を説明する図である。図は、最適最終操作量から上下に変動した値で、最適今回操作量が得られることを示している。このようにして得られた最適今回操作量を制御対象に当てると、追従遅れやオーバシュートが改善された最適制御結果が得られる。
また、過渡応答向上部13では、制御対象の状態をモデルに入力する際に外部入力信号なまし関数部26を用いるが、最終操作量決定部では用いないので分離可能な構成とすることができる。また、外部入力信号は1演算周期中の変化はないので、1演算周期中一度の演算のみとすることができる。
本実施形態では、実時間最適化部21、微小操作評価部22、過渡応答向上部13の順序で、最終操作量の大域的な最適化から始めて、局所的な最適化を行い、最後に過渡応答を評価する。したがって、局所的な最適化演算を積み重ねる方式のように、システムの大域的変化により局所的な最適化演算が無効になるようなことがない。また、最適最終操作量を算出後に最適最終操作量を基準にその値を上下に振って過渡応答を評価するので、すばやく適切な過渡応答の評価ができる。
また最終最適操作量の演算時には、モデル出力側なまし関数部を使用しないで、反応遅れを無視して演算することにより演算時間を短縮することができ、今回最適操作量演算時には、モデル出力側なまし関数部を用いてモデル出力の過渡応答を評価することができる。
さらに、前回値周辺より検索するわけではないので、演算周期による処理時間の変動がなく、最適化の精度を一定に保証できる。
モデル予測PID制御との比較では、本実施形態は、フィードバック係数を算出することがないので、補正係数を適合する工程を削減でき、補正係数が変化するシステム状態であっても、良好な制御性能が得られるということができる。
ところで、制御対象モデル15は、制御対象30の内部状態を正確に反映している必要がある。このために、予測制御装置10は通常、内部状態推定部19をもち、例えば温度制御の場合であれば、制御対象の温度が急激に上がっているか否か等の内部状態を制御対象モデル15を用いて推定して、その値を内部状態推定数として制御対象モデルに与える。制御対象モデル15は、その内部状態数によりなまし関数部のパラメータを更新する。本実施形態では、実機である制御対象30への入力信号と同等の信号を制御対象モデル15へ与え続けることにより、内部状態数を算出するようにした。
図7は、内部状態数の算出を説明する説明図である。制御対象モデル40に実機である制御対象に与える操作量と同等の入力を与え、なまし関数部を用いて出力を予測する。その際内部状態数も演算されるので、出力は破棄して内部状態数を制御対象モデル40に戻す。このように、制御対象に与える入力信号と同等の信号を与え続けることにより、内部状態数を更新できる。通常、内部状態数に偏差があっても、繰り返し演算の結果、正しい内部状態数を得ることができる。しかし、初期値に偏差があると、その偏差を除去するのは困難なので、初回のみは、制御対象すなわち実機の出力を変換して状態数の初期値として与えるほうがよい。
図8に、本発明の第2の実施形態のモデル駆動制御装置を示す。第1の実施形態と共通する部分には、同一の番号を付してある。第2の実施形態では、制御対象モデル15に備わるモデル出力側なまし関数部25と、外部入力信号なまし関数部26と、同定器27とを制御対象モデル16とは切り離して、過渡応答関数部24として、最適最終操作量決定部11、最適今回操作量決定部13とともに、制御アルゴリズムすなわち最適化アルゴリズムに組み込んで、制御プラットフォームを形成する。このようにして、なまし関数を制御プラットフォームに組み込むと、個別の制御対象モデルになまし関数部を配置するより、制御プラットフォームとしての汎用性が向上する。
本発明の第1の実施形態であるモデル駆動制御装置を示す図である。 (a)、(b)は、最終操作量とその評価関数を説明する図である。 (a)〜(d)は、最適最終操作量を評価する評価点の選択方法を説明する図である。 (a)〜(c)は、最適最終操作量を評価する評価点の実際の選択方法のい一例を示す図である。 実時間最適化部の動作を示すフローチャートである。 最適最終操作量と最適今回操作量とを説明する図である。 内部状態の推定を説明する図である。 本発明の第2の実施形態であるモデル駆動制御装置を示す図である。 従来のモデル予測装置を示す図である。
符号の説明
10 モデル駆動制御装置
11 最終操作量決定部
13 今回操作量決定部(過渡応答向上部)
15 制御対象モデル
17 制御対象入出力データベース
19 内部状態推定部
24 なまし関数部

Claims (14)

  1. 制御対象に最終的に与える最適最終操作量を決定する最適最終操作量決定部と、
    前記決定された最適最終操作量に基づいて、前記制御対象に今回与える最適今回操作量を決定する最適今回操作量決定部と、
    少なくとも出力なまし関数部を有する制御対象モデルとを備え、
    前記最適最終操作量決定部では、前記出力なまし関数部を除いた制御対象モデルを用いて最適最終操作量を決定し、前記今回操作量決定部では、前記出力なまし関数部を含む前記制御対象モデルを用いて今回操作量を決定することを特徴とするモデル駆動制御装置。
  2. 制御対象に最終的に与える最適最終操作量を決定する最適最終操作量決定部と、
    前記決定された最適最終操作量に基づいて、前記制御対象に今回与える最適今回操作量を決定する最適今回操作量決定部と、
    なまし関数を有する過渡応答関数部と、
    なまし関数をもたない制御対象モデルとを備え、
    前記最適最終操作量決定部では、前記制御対象モデルのみを用いて最適最終操作量を決定し、前記今回操作量決定部では、前記過渡応答関数部と前記制御対象モデルを用いて最適今回操作量を決定することを特徴とするモデル駆動制御装置。
  3. 前記最適最終操作量決定部は、最終操作量の検索範囲を大域的に検索する実時間最適化部と、該実時間最適化部で検索された操作量を微小に変位させて評価し最適最終操作量を決定する微小変位評価部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のモデル駆動制御装置。
  4. 前記実時間最適化部は、前記検索範囲から選択された評価点で評価を行い、順次検索範囲を狭めて最適最終操作量を検索することを特徴とする請求項3に記載のモデル駆動制御装置。
  5. 前記評価点は、該評価点と未評価点との最大距離を等しくするように選択することを特徴とする請求項4に記載のモデル駆動制御装置。
  6. 前記評価は、モデル出力値と目標値との偏差の符号を判定することを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のモデル駆動制御装置。
  7. 前記最適今回操作量決定部は、前記最適最終操作量を基準に上下に変化させた操作量により、モデル予測を行って最適今回操作量を決定することを特徴とする請求項1〜6に記載のモデル駆動制御装置。
  8. さらに内部状態推定部を備え、該内部状態推定部は、制御対象へ与える最適今回操作量を制御対象モデルへ与えることによって、内部状態数を算出することを特徴とする請求項1に記載のモデル駆動制御装置。
  9. 前記内部状態数の初期値は、前記制御対象の出力を変換して算出されることを特徴とする請求項8に記載のモデル駆動制御装置。
  10. 制御対象モデルを用いて制御対象に与える最適操作量を決定するモデル駆動制御方法であって、
    なまし関数を使用しないで、前記制御対象に最終的に与える最適最終操作量を決定する最適最終操作量決定ステップと、
    前記検索された最適最終操作量に基づいて、なまし関数を使用して、前記制御対象に今回与える最適今回操作量を決定する最適今回操作量決定ステップと
    を有することを特徴とするモデル駆動制御方法。
  11. 前記最適最終操作量決定ステップは、最終操作量の検索範囲を大域的に検索する実時間最適化ステップと、該実時間最適化ステップで検索された操作量を微小に変位させて評価し最適最終操作量を決定する微小変位評価ステップとを有することを特徴とする請求項10に記載のモデル駆動制御方法。
  12. 前記実時間最適化ステップは、前記検索範囲から選択された評価点で評価を行い、順次検索範囲を狭めて操作量を検索することを特徴とする請求項11に記載のモデル駆動制御方法。
  13. 前記評価は、モデル出力値と目標値との偏差の符号を判定することを含むことを特徴とする請求項12に記載のモデル駆動制御装置。
  14. 前記最適今回操作量決定ステップは、前記最適最終操作量を基準に上下に変化させた操作量により、モデル予測を行って最適今回操作量を決定することを特徴とする請求項10に記載のモデル駆動制御装置。
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