JP2006274450A - 記録用紙及びこれを用いる画像形成方法 - Google Patents

記録用紙及びこれを用いる画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の両面に塗被層が形成され、高い白紙光沢度を有する記録用紙であり、高温高湿度環境下で使用した場合でもミスフィード、重送の発生がなく、画像コントラストに優れた高画質の画像が得られる記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式及びインクジェット記録方式の画像形成方法の提供。
【解決手段】 少なくともパルプ繊維を含む基材と、該基材の両面に設けられた、顔料及び接着剤を主成分とする塗被層を有する記録用紙であって、前記両面に設けられた塗被層の少なくとも一方は、有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有し、該有機樹脂微粒子の粒径の平均値をX[μm]、該有機樹脂微粒子を含有する塗被層の塗工厚をY[μm]としたときに、XからYを引いた値(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となることを特徴とする記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式或いはインクジェット記録方式の画像形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録用紙、及び該記録用紙を用いる電子写真方式またはインクジェット方式の画像形成方法に関する。
近年、オンデマンド出版物の分野では、より手軽に、また小部数への対応が可能なことから、これまで印刷により得ていた出版物を、カラー複写機、カラープリンターにより得ようという動きが顕著になっている。これに対応させるため、カラー複写機、カラープリンターの開発においては、高速化及び高画質化が進められている。
前記高画質化については、画像形成される紙として、これまで複写機等に通常に用いられてきたPPC用紙、プリンター用紙に代わり、商業用印刷の分野に用いられてきた高い白紙光沢度を有する塗工紙が、得られる画像の鮮やかさから、カラー複写機、カラープリンターに用いられるケースが増えてきている。また、上記塗工紙は、特にオンデマンド性を要求されるカタログあるいは小冊子の本文用紙、チラシ、リーフレットなどに高白紙光沢を有するという点から、要求が高まっている。
電子写真方法によりカラー画像を形成する方法としては、感光材料(潜像担持体)表面に、色分解光を照射して色別に静電潜像を形成し、これら色別の静電潜像を、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等のカラートナーにより逐次現像して色別にカラートナー画像を形成し、各色のトナー画像を当該トナー画像を形成するたびごとに転写体表面に重ね合わせて転写し、これらのトナー画像を加熱し、定着してカラー画像を形成する方法が挙げられる。
また、別の方法としては、前記色別のカラートナー画像を転写体ではなく感光材料表面に重ね合わせて形成し、この重ね合わされたカラートナー画像を転写体表面に一括転写し、これを加熱し、定着してカラー画像を形成する方法が挙げられる。
一方、インクジェット記録方式はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンターの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有することから広く注目されてきている。
一般に、複写機やプリンターは、カット用紙を機械本体内部のトレイや本体外部に設置した手差しトレイから、印字部に供給する。しかし、印刷用の高白紙光沢塗工紙を梅雨時等の高温高湿度の環境下で通紙すると、紙と紙が密着し、供給できない、いわゆるミスフィードや重送という問題が生じる。
本発明者等は、これらの塗工紙のミスフィードや重送の原因として、これら塗工紙は複写機やプリンターに用いられる非塗工紙に比べ、通常、塗被層が水分の吸収性に劣るため、高温高湿度の環境下では、塗被層表面についた水分が容易に吸収されずに表面に付着し、その水分の表面張力により、用紙間の密着現象が強化され、この現象により、紙と紙が密着して用紙間摩擦係数を上昇させ、走行を妨げるものと考えた。
これまで、塗工紙の走行性を改善する方法として、例えば、用紙に摩擦低下部剤としてアルキルケテンダイマーを塗工し、転写紙間の摩擦抵抗を低減して、給紙の際の走行トラブルを防止することが提案された(例えば、特許文献1参照)。しかし、この塗工紙は摩における走行性は向上したものの、高温高湿度の環境下では上記の密着現象を招いて転写紙間の摩擦抵抗が大幅に上昇した結果、走行性の低下を来たしたものと思われる。
更に、高温高湿度環境下の走行性を改善するために、反応性の置換基を持つ水性シリコーンオイル含有塗液を基紙の両面に含浸させる方法が提案されたが(例えば、特許文献2参照)、基紙中のシリコーンオイルがプリンターや複写機のロール表面に付着することにより、走行性に影響を及ぼし、また付着したシリコーンオイルにより画質が低下するおそれがあり、高画質を得るには適した方法とは思われない。
特開平3−220560号公報 特開平4−303847号公報
本発明は、前記従来技術の問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、基材の両面に塗被層が形成され、高い白紙光沢度を有する記録用紙であって、高温高湿度環境下で使用した場合でもミスフィード、重送の発生がなく、画像コントラストに優れた高画質の画像が得られる記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式或いはインクジェット記録方式の画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明は、
<1> 少なくともパルプ繊維を含む基材と、該基材の両面に設けられた、顔料及び接着剤を主成分とする塗被層を有する記録用紙であって、前記両面に設けられた塗被層の少なくとも一方は、有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有し、該有機樹脂微粒子の粒径の平均値をX[μm]、該有機樹脂微粒子を含有する塗被層の塗工厚をY[μm]としたときに、XからYを引いた値(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となることを特徴とする記録用紙である。
<2> 白紙光沢度が45%以上であることを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
<3> 潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像しトナー像を形成する工程と、該現像されたトナー像を記録用紙に転写する転写工程と、該記録用紙上に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像形成方法であって、前記記録用紙が、<1>又は<2>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像形成方法である。
<4> インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像形成方法であって、前記記録用紙が、<1>又は<2>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像形成方法である。
本発明により、基材の両面に塗被層が形成され、高い白紙光沢度を有する記録用紙であって、高温高湿度環境下で使用した場合でもミスフィード、重送の発生がなく、画像コントラストに優れた高画質の画像が得られる記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式あるいはインクジェット記録方式の画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の記録用紙は、少なくともパルプ繊維を含む基材と、該基材の両面に設けられた、顔料及び接着剤を主成分とする塗被層と、を有する記録用紙であって、前記両面に設けられた塗被層の少なくとも一方は、有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有し、該有機樹脂微粒子の粒径の平均値をX[μm]、該有機樹脂微粒子を含有する塗被層の塗工厚をY[μm]としたときに、XからYを引いた値(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となることを特徴とする記録用紙である。
ここで、前記有機樹脂微粒子の0.25mm2あたりの分布状態は、A4サイズ用紙5枚の中央付近から1cm2四方のサンプルを5個サンプリングし、サンプリングした5個のサンプルにおける有機樹脂微粒子の0.25mm2あたりの個数をそれぞれ計測し、その平均値から求めたものである。本発明においては、有機樹脂微粒子の個数を株式会社キーエンス製 マイクロスコープ(型番VH−8000)を用いて、500倍の画像から求めた。
また、前記有機樹脂微粒子の粒径の平均値X及び前記塗被層の塗工厚Yは、前述の有機樹脂微粒子の分布状態を測定するためにサンプリングしたサンプルについて、株式会社キーエンス製 マイクロスコープ(型番VH−8000)を用いて、3000倍の断面画像を撮影し、これにより求めたものである。前記有機樹脂微粒子の粒径の平均値Xは、断面画像中の微粒子15個の面積を画像処理により算出し、各々の微粒子の面積から、それぞれを円とした場合に相当する直径を算出し、その値の平均値から求めた。また、前記塗被層の塗工厚Yは、断面画像で15箇所の塗工厚を測定し、その値の平均値から求めた。
本発明者等は、これまで市場に出ている両面に受像面を有し、白紙光沢度が45%以上であり、用紙坪量が100g/m2以下の塗工紙を高温高湿度環境下でカラー複写機、プリンターに使用した場合、例外なく走行トラブルを発生することを確認した。これは高温高湿度環境下でのミスフィード、重送発生は、塗被層の表面性が関係していると考えられる。
これに対し、本発明者等は、画像コントラストに優れた高画質な画像が得られ、かつ高温高湿度環境下での走行性を改善するために、塗被層の塗工量と塗被層に添加する有機微粒子の平均粒子径の関係、及び有機樹脂微粒子の単位面積あたりの数について鋭意検討を行った。その結果、前記塗被層の少なくとも一方が有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有し、前記(X−Y)を1[μm]以上5[μm]以下とすることにより、カラー複写機、プリンタにて、画像コントラストに優れた高画質の画像が、高温高湿度環境下で使用した場合でもミスフィード、重送の発生がなく得られることを見出した。
これは上述の条件を満たすことにより、光沢度を低下させることなく、用紙間の摩擦係数が小さくなることによるものと考えられる。高温高湿度環境下での紙間静摩擦係数が低く抑えられる理由は明確ではないが、紙間静摩擦係数測定において用紙がずらされる際に、下の用紙の平滑性が高い場合、上の用紙のずれに下の用紙が追従しやすいのに対し、平滑性を下げることによりこの追従が抑えられ、上の用紙がずれやすくなるものと考えられる。このように用紙がずれやすいほど、重送あるいはミスフィードといった走行トラブルが起こりにくくなる。
本発明の記録用紙は、前記塗被層の少なくとも一方が有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有することを必須とし、12〜160個の分布状態で含有することが好ましく、12〜80個の分布状態で含有することがより好ましい。前記塗被層の少なくとも一方において有機樹脂微粒子の分布状態が0.25mm2あたり12個未満であると、高温高湿下での用紙間の摩擦抵抗が大きくなり、重送等の走行トラブルが発生してしまう。一方、245個を超えると、光沢度が低下し画像コントラストに優れた高画質な画像が得られない。
また、本発明の記録用紙は、前記(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下であることを必須とし、2[μm]以上4[μm]以下であることが好ましく、3[μm]以上4[μm]以下であることがより好ましい。前記(X−Y)が1[μm]未満であると、高温高湿下での用紙間の摩擦抵抗が大きくなり、重送等の走行トラブルが発生してしまう。一方、5[μm]を超えると、光沢度が低下し画像コントラストに優れた高画質な画像が得られない。
本発明の記録用紙は、走行トラブルが頻発する白紙光沢度が45%以上であり、用紙の坪量が100g/m2以下である場合に、本発明の効果がより発揮され好ましい。
このことより、本発明の記録用紙は、白紙光沢度が45%以上であることが好ましい。前記白紙光沢度が45%より小さいと、用紙表面に形成された画像に鮮明さが得られない場合がある。また、前記白紙光沢度は、トナー画像部光沢度との調和の観点から45〜80%の範囲であることがより好ましく、50〜75%の範囲であることがさらに好ましい。前記白紙光沢度は有機樹脂微粒子の個数を変化させることによっても調整できる。詳しくは、0.25mm2あたりの有機樹脂微粒子の個数を少なくすることによっても、白紙光沢度を大きくすることができる。
なお、本発明において、白紙光沢度は、JIS P−8124に従い、入射角度75°で測定した。
また、本発明の記録用紙は、本発明の効果がより発揮される点で、用紙の坪量が100g/m2以下であることが好ましく、用紙の坪量が40〜100g/m2の範囲であることがより好ましい。前記用紙の坪量が40g/m2より小さいと、用紙の腰が小さくなりすぎて、転写領域あるいは定着領域での用紙と部材との吸着から用紙を剥離できない場合がある。一方、前記坪量が100g/m2を超えると、通常カタログあるいは小冊子の本文用紙、チラシ、リーフレットに用いられる軽量コート紙と同等の風合いが得られない場合がある。
上述のカタログあるいは小冊子の本文用紙、チラシ、リーフレットによく利用されるのは、記録用紙の坪量が60〜85g/m2の範囲の塗工紙であることが好ましく、本発明においても、前記用紙の坪量が60〜85g/m2の範囲で設計がなされることが好ましい。なお、用紙の坪量は、JIS P−8124に従い、測定した。
また、本発明の記録用紙は、従来のカタログ等の塗工紙と同様な風合いを持たせ、かつ、製造コストを下げるという観点から、基材の両面に顔料及び接着剤を主成分とする塗被層を有することが必要とされる。ここで「顔料及び接着剤を主成分とする」とは、顔料及び接着剤の合計含有量が5質量%以上であることを意味する。
更に、本発明の記録用紙の密度は、0.90〜1.50g/cm3の範囲となるように調整されることが好ましい。用紙の密度が0.90g/cm3より小さい、あるいは1.50g/cm3を超えると、用紙の紙厚が、通常、カタログあるいは小冊子の本文用紙、チラシ、リーフレットに用いられる塗工紙と大きく異なるため、持ったときの触感がこれらと大きく変わってしまう場合がある。用紙の密度としては、1.00〜1.40g/cm3の範囲であることがより好ましく、1.10〜1.35g/cm3の範囲であることがさらに好ましい。なお、本発明における用紙の密度及び厚さは、JIS P−8118に従って測定したものである。
本発明の記録用紙の基材としては、少なくともパルプ繊維を含んでいれば、特に限定されるものではないが、合成樹脂のフィルム及びシート、あるいは種々の繊維シートが用いられる。使用される繊維は、特に限定されるものではないが、通常の一般塗工紙の基紙(基材)に用いられるパルプ繊維、例えば、サルファイトパルプ繊維、クラフトパルプ繊維、セミケミカルパルプ繊維、ケミグラウンドパルプ繊維、砕木パルプ繊維、リファイナーグラウンドパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊維等の他、綿パルプ繊維、麻パルプ繊維、ケナフパルプ繊維を含み、更にこれらパルプ繊維にバルカナイズドファイバー、ビスコースレーヨン繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、セルロースアセテート繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル、ポリビニールアルコール共重合体、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、フルオロカーボン系繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維、シリコンカーバイド繊維等を単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
また、必要に応じて、前記パルプ繊維にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂を含浸あるいは熱融着させて得られた繊維を使用することもできる。さらに、前記パルプ繊維等を用いて抄造されたシート自体を合成樹脂で含浸することもできる。
本発明における基材には、近年の環境問題を考慮し、上質系及び中質系の古紙パルプを添加することが望ましく、その配合量は用途に応じて決定されるが、全繊維中30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
更に、本発明における基材には、塗工適性をよくするため、並びに、塗工後の不透明度及び白色度の調整のため、填料を使用することが好ましい。ここで使用できる填料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、パイオロフェライト、セリサイト、タルク等の珪酸類、二酸化チタン等の無機填料、及び尿素樹脂、ポリスチレン等の有機樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの填料の配合量は、特に限定されるものではないが、1〜20質量%の範囲であることが好ましく、3〜15質量%の範囲であることがより好ましい。
一方、本発明に用いられる基材に使用するサイズ剤等の各種薬品は、内添または外添により使用することができる。前記サイズ剤の種類は、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等のサイズ剤を挙げることができ、硫酸バンド、カチオン化澱粉等、適当なサイズ剤と繊維との定着剤を組み合わせても使用できる。電子写真方式の複写機、プリンター等におけるコピー後の用紙保存性の観点から、中性サイズ剤、例えば、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニルケテンダイマー、中性ロジン、石油サイズ、オレフィン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等が好ましい。
さらに、用紙の電気抵抗値を調整する目的で塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機物や、アルキルリン酸エステル酸、アルキル硫酸エステル酸、スルホン酸ナトリウム塩、第4級アンモニウム塩等の有機系の材料を単独あるいは混合して使用することができる。
この場合、用紙の体積抵抗率は、1×109〜1×1014Ω・cmの範囲であることが好ましく、1×1010〜1×1012Ω・cmの範囲であることがより好ましい。
なお、ここでいう体積抵抗率は、抵抗率計及び抵抗測定チャンバー(商品名:R8340及びR12704、アドバンテスト社製)を使用し、JIS K−6911に準じて、23℃、50%RH環境下で印加電圧100V、電極50mmφの条件で測定されたものである。
また、本発明における基材には、紙力増強剤を内添あるいは外添することができる。
前記紙力増強剤としては、でんぷん、変性でんぷん、植物ガム、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒドでんぷん、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリアミド−エピクロルヒドリン系樹脂、メチロール化ポリアミド、キトサン誘導体等が挙げられ、これらの材料を単独あるいは混合して使用することができる。この他に、染料、pH調整剤等、通常の塗工紙用基材に配合される各種助剤が適宜使用される。
次に、本発明の記録用紙における塗被層について説明する。
本発明における塗被層が含有する有機樹脂微粒子としては、既述の(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となるものであれば特に限定されず、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子等を挙げることができる。これらの樹脂微粒子の内でも、シリコーン樹脂微粒子が滑り性の点から好ましい。さらに、電子写真方式の定着工程を考慮すると、耐熱性を有することが好ましく、軟化点が一般に使用される電子写真方式の定着装置の温度の200℃以上であることが好ましい。
また、前記有機樹脂微粒子の粒径は、既述の(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となるものであれば特に限定されないが、一般的には、塗被層の塗膜厚によるが、4〜20μmが好ましく、4〜12μmがより好ましい。
一方、前記有機樹脂微粒子の形状は、球状、針状、薄片状、立方形状、柱状、不定形状等いずれでも用いることができるが、形状は特性への影響が大きく、塗被層の厚みや滑り性、光沢度の程度を考慮しながら選択することが望まれ、球状であることが好ましく、球状で透明なものがより好ましい。
有機樹脂微粒子の添加量は、本発明の記録用紙の電子写真装置での給紙方法、環境条件等の影響を受け、白紙光沢度への影響を考慮し、塗工組成物に対して0.5〜3質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましい。
本発明における塗被層が含有する顔料としては、通常の一般塗工紙に用いられる顔料、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネーテッドクレー、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルムアルデヒド樹脂微粒子、微小中空粒子及びその他の有機系顔料等を単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
本発明における塗被層に用いられる接着剤としては、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等の各種共重合体;ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤:酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼイン、大豆たんぱく等の天然系接着剤等の一般に知られた接着剤が挙げられる。
前記接着剤の使用量は、前記顔料100質量部当たり5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
また、本発明における塗被層には、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等、通常の塗工用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
本発明における塗被層の形成は、高光沢でありながら、平滑性を抑えるために、カレンダーによる平滑化処理の際に顔料配向が容易な顔料、例えば、前記有機系顔料、柱状炭酸カルシウム、柱状カオリン等の顔料を用いることが好ましい。
本発明における塗被層は、顔料100質量部中、前記有機系顔料あるいは柱状系の炭酸カルシウムあるいはカオリン顔料が5質量部以上配合されることが好ましく、15質量部以上配合されることがより好ましく、25質量部以上配合されることが更に好ましい。前記有機系顔料あるいは柱状系の炭酸カルシウムあるいはカオリン顔料は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
また、前記接着剤としては、前記合成系接着剤の中でもガラス転移温度が高いもの、例えば、スチレン−ブタジエン系ならばスチレンモノマー配合比が65%以上のもの、あるいは、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等を用いることが好ましい。上記ガラス転移温度としては、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。
上述のように調製された塗被層を形成するための塗工組成物は、一般の塗工紙製造に使用される塗工装置、例えばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ等を用い、オンマシンあるいはオフマシンによって基材表面に一層あるいは多層に分けて塗工されることが好ましい。
前記塗被層は、乾燥質量で片面に5〜50g/m2の範囲となるように塗工されることが好ましく、10〜25g/m2の範囲となるように塗工されることがより好ましい。
前記塗被層の塗工後の平滑化処理は、通常用いられる平滑化装置、例えば、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー等が用いられ、白紙光沢度が45%以上になるように仕上げられることが好ましい。
また、用紙に安定したフィード性を付与するために、用紙の紙間静摩擦係数が0.5〜0.9の範囲となるように仕上げることが好ましく、0.5〜0.75の範囲に仕上げることがより好ましい。前記用紙の紙間静摩擦係数の測定環境は、10℃、15%RHと、23℃、50%RHと、28℃、85%RHとである。
<画像記録方法>
次に、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法は、インクジェット用インク(以下、「インク」と略す場合がある)または電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を用いて記録する際に、本発明の記録用紙を用いるものであれば特に限定されない。
トナーを用いて記録する電子写真方式の本発明の画像形成方法は、潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像しトナー像を形成する工程と、該現像されたトナー像を記録用紙に転写する転写工程と、該記録用紙上に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像形成方法であって、前記記録用紙が、既述の本発明の記録用紙を用いることを特徴とする。
以下、本発明の電子写真方式の画像形成方法に関して詳細に説明する。
図1は、本発明の画像形成方法に好適に用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、感光体11を備え、感光体11の周りには、ローラ型帯電器12、露光装置13、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像剤を内蔵した現像器14a、14b、14c、14dが組み込まれた現像装置14、ベルト状の中間転写体15、クリーナー16、及び光除電器17が、この順序で配置されている。中間転写体15は、支軸ローラ18a、18b、18cにより張架されている。支軸ローラ18aは、中間転写体15を介して、感光体11と圧接されている。支軸ローラ18cは、中間転写体15を介して、転写用ローラ19と圧接されている。また、転写用ロール19により、被転写体7に転写されたトナー画像6を定着させる加熱ローラ1と加圧ローラ2からなる熱ロール定着器を備える。
図1に示す画像形成装置を用いて以下のように画像が形成される。帯電器12により帯電させた感光体(潜像担持体)11表面を、露光装置13により、シアン、マゼンタ、イエローの各画像情報に基づいて露光して感光体11表面に潜像を形成させる。この感光体11表面の潜像は、現像装置14に組み込まれた現像器14a、14b、14c、14dによりそれぞれ現像され、トナー画像が形成される。現像されたトナー画像は、ベルト状の中間転写体15表面に転写される。中間転写体15表面のトナー画像は、中間転写体15の矢印P方向への進行に伴い、支軸ローラ18cと中間転写体15を介して圧接されている転写用ローラ19との間まで移動する。中間転写体15表面のトナー画像は、支軸ローラ18cと中間転写体15を介して圧接されている転写用ローラ19との間(ニップ部)を通過する際、該ニップ部に挿通された被転写体7表面に転写される。被転写体7表面に転写されたトナー画像は、被転写体7を加熱ローラ1と加圧ローラ2との間を通過させることにより被転写体7表面に定着され、画像が形成される。なお、感光体11表面のトナー画像を被転写体20に転写した後、感光体11表面に残存したトナー画像はクリーナー16よって除去され、感光体11表面に残存した残留電荷は光除電器17によって除電され、次の画像形成に備える。
上述の電子写真方式の画像形成において、被転写体7として本発明の記録用紙を用いれば、片面プリントの場合だけでなく両面プリントの場合も、ほとんど走行トラブルが発生することなく、良好な画像を得ることができる。
次に、インクを用いて記録するインクジェット方式の本発明の画像形成方法について説明する。インクジェット方式の本発明の画像形成方法は、インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像形成方法であって、前記記録用紙が、既述の本発明の記録用紙を用いることを特徴とする。
インクジェット方式の本発明の画像形成方法に用いられるインクは公知のインクであれば特に限定されないが、水と、色材とを含有するインクが好ましい。
ここで、色材には、染料の他に、親水基を含む顔料分散剤と併用されこれによりインク中に分散することができる疎水性顔料だけでなく、後述する自己分散型顔料も含まれる。また、溶媒としては水以外にも公知の水溶性の有機溶媒を用いることができ、界面活性剤等、必要に応じて各種添加剤等を更に含有することができる。
本発明の記録用紙に対して、インクジェット方式により印字する場合、ノズルから吐出されるインクドロップ量は、1〜20plの範囲であることが好ましく、3〜18plの範囲であることがさらに好ましい。
インクジェット方式の本発明の画像形成方法は、公知のインクジェット装置であれば、いずれのインクジェット記録方式を用いたものであっても良好な印字品質を得ることができる。さらに、印字中または印字の前後に記録用紙等の加熱手段を設け、記録用紙及びインクを50℃から200℃の温度で加熱し、インクの吸収及び定着を促進する機能を持った方式に対しても、本発明におけるインクジェット記録方法を適用することができる。
ノズルからインクを吐出する方式は、まず、ノズル内に備えられたヒータに通電加熱することによってノズル内のインクを発泡させ、その圧力によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式がある。また、圧電素子に通電することにより該素子を物理的に変形させて、その変形によって生ずる力を利用してノズルからインクを吐出する方式もある。この方式では、圧電素子にピエゾ素子を使用したものが代表的である。本発明のインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置においては、ノズルからインクを吐出する方式は前記いずれの方式であってもよく、またこれらの方式に限定されるものではない。
上述のインクジェット方式の本発明の画像形成方法においても、記録用紙として本発明の記録用紙を用いれば、ほとんど走行トラブルが発生することなく、良好な画像を得ることができる。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。なお、実施例中及び比較例中にある「部」とあるのは、特に断らない限り、「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
(実施例1)
<記録用紙の作製>
LBKP(フリーネス(CSF)=500ml)20部、及びNBKP(フリーネス(CSF)=500ml)80部のパルプスラリーに、紙力増強剤として、ポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS3874−20、荒川化学工業社製)2.5%を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、pH値が5.6、固形分濃度が0.3%の紙料スラリーを調製した。
この紙料スラリーをオリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、この湿紙に、酸化澱粉(商品名:エースC、王子コンスターチ(株)社製)を、塗布量が乾燥質量で2.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより、王研式平滑度が70秒になるようにかなり強い平滑化処理を施し、坪量が55g/m2の基紙(基材)1を得た。
次に、柱状形の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123CS、奥多摩工業(株)社製)25部、及びカオリン(商品名:ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)社製)75部からなる顔料成分100部に対し、接着剤として酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)製)3部(顔料に対する固形比:以下同様)及び合成接着剤(商品名:Nipol LX430、日本ゼオン(株)社製)10部、分散剤(商品名:アロンT−40、東亜合成(株)社製)0.3部を配合した。さらに耐熱性のシリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール、日硝産業(株)製、粒径11μm)0.5部を添加し、塗工組成物1を得た。
前記塗工組成物1を、前記基紙1の表面に、片面の塗工量が12.5g/m2となるようにブレードコータにより両面塗工し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで、用紙表面の平滑化処理を行い、両面に塗被層が形成された、坪量80g/m2の記録用紙1を作製した。尚、記録用紙1の塗被層の塗工厚を既述の方法で測定したところ8.4[μm]であった。
<記録用紙の評価>
記録用紙1について以下の評価を行った。
−坪量、白紙光沢度、用紙厚み・密度、平滑度の評価−
坪量は、JIS P−8124の方法に従い、白紙光沢度は、JIS P−8142に従い入射角度75度で測定した。用紙の厚み・密度は、JIS P−8118の方法に従い測定した。また、用紙の平滑度は、王研式平滑度(JAPPN TAPPI No.5)の方法に従い測定した。その値を表1に示す。
−紙間静摩擦係数の測定−
記録用紙1の紙間静摩擦係数とその変化の測定を、J.TAPPINo.30に準じ、次のように測定した。試験片には、包装開封直後のA4サイズの記録用紙1を、開封時に積層されていた状態のまま約30枚採取し使用した。ただし、他の要因を除くため、あらかじめ用紙を一度捌き、用紙間に存在する空気を抜いてから測定した。測定用の錘は重さ240g、幅63mm、長さ75mmのものを使用した。測定は、10℃、15%RH(低温低湿環境)と、23℃、50%RHと、28℃、85%RH(高温高湿度環境)の3環境で、用紙の縦方向に連続20枚行った。その値を表1に示す。なお、錘の移動速度は150mm/minとした。
(電子写真方式の画像形成方法での評価)
−実機走行テスト−
記録用紙1の走行テストは、富士ゼロックス社製の乾式間接電子写真方式のデジタルカラー複写機DocuCentreColor500CPを用いて実施した。記録用紙1をA4サイズ縦目用紙とし、短辺を先端として100枚ずつ走行させ、高温高湿度環境下でのミスフィード、紙詰まり及び重送の発生回数の合計を走行トラブル数としてカウントした。評価基準は、以下の4段階とした。その結果を表1に示す。
◎:ミスフィード、紙詰まり、重送が全く生じないもの。
○:ミスフィード、紙詰まり、重送が僅かに生ずるが、実用上問題のないもの。
×:ミスフィード、紙詰まり、重送が頻繁に生じるもの。
××:ミスフィード、紙詰まり、重送により走行不可能なもの。
−画像コントラスト評価−
前記デジタルカラー複写機DocuCentreColor500CPを用いて、ISO/JIS−SCIDサンプル(日本規格協会発行)の画像識別番号N1(画像名称:ポートレート)を出力し、記録用紙1の画像コントラストについて、下記の評価基準で評価した。その結果を表1に示す。
◎:画像部光沢度と白紙光沢度との差がなく優れている。
○:画像部光沢度と白紙光沢度との差がほとんどなく良好である。
△:画像部光沢度と白紙光沢度との差がわずかに劣っている。
×:画像部光沢度と白紙光沢度との差が大きく、著しく劣っている。
(実施例2)
LBKP(フリーネス(CSF)=200ml)80部、及びNBKP(フリーネス(CSF)=400ml)20部のパルプスラリーに、紙力増強剤として、ポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS3874−20、荒川化学工業社製)1.7%を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、pH値5.4、固形分濃度0.5%の紙料スラリーを調製した。
この紙料スラリーをオリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、ポリビニールアルコール(商品名:クラレポバールPVA−117、クラレ(株)社製)を、塗布量が、乾燥質量で3.0g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより、王研式平滑度が70秒となるように平滑化処理を施し、坪量が55g/m2の基紙(基材)2を得た。
次に、粒径11μmのシリコーン樹脂微粒子を、粒径13μmのシリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール、日硝産業(株)製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、塗工組成物2を得た。
更に、実施例1と同様にして、前記塗工液2の前記基紙2の表面への塗工、及び平滑化処理を行い、坪量80g/m2の記録用紙2を作製した。作製した記録用紙2について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
柱形状の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123CS、奥多摩工業(株)社製)30部、カオリン(商品名:ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)社製)40部、及びスチレン−アクリル系有機顔料(商品名:Nipol MH5055、日本ゼオン(株)社製)30部からなる顔料成分100部に対し、接着剤として酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)社製)3部(顔料に対する固形比)及び合成接着剤(商品名:Nipol LX430、日本ゼオン(株)社製)11部、分散剤(商品名:アロンT−40、東亜合成(株)社製)0.3部配合し、さらにシリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール、日硝産業(株)製)粒径10μm1部を添加し、塗工組成物3を得た。
前記塗工組成物3を、実施例2と同様の方法により基材2の表面に、片面の塗工量が12.5g/m2となるようにブレードコータにより両面塗工し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで、用紙表面の平滑化処理を行い、坪量80g/m2の記録用紙3を作製した。作製した記録用紙3について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
LBKP(フリーネス(CSF)=150ml)20部、及びNBKP(フリーネス(CSF)=500ml)80部のパルプスラリーに、紙力増強剤として、ポリアクリルアミド系樹脂(商品名:PS3874−20、荒川化学工業社製)5.0%を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、pH値が5.8、固形分濃度が0.05%の紙料スラリーを調製した。
この紙料スラリーをオリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、酸化澱粉(商品名:エースC、王子コンスターチ(株)社製)を、塗布量が、乾燥質量で2.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより、王研式平滑度が30秒になるように強い平滑化処理を施し、坪量が55g/m2の基紙(基材)4を得た。
次に、柱状形の軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123CS、奥多摩工業(株)社製)35部、及びカオリン(商品名:ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)社製)35部、及びスチレン−アクリル系有機顔料(商品名:Nipol MH5055、日本ゼオン(株)社製)30部からなる顔料成分100部に対し、接着剤として酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)製)3部(顔料に対する固形比)及び合成接着剤(商品名:Nipol LX430、日本ゼオン(株)社製)10部、分散剤(商品名:アロンT−40、東亜合成(株)社製)0.3部を配合し、さらにシリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール、日硝産業(株)製)粒径8μm2部を添加し、塗工組成物4を得た。
前記塗工組成物4を、前記基材4の表面に、片面の塗工量が10g/m2となるようにブレードコータにより両面塗工し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで、用紙表面の平滑化処理を行い、坪量75g/m2の記録用紙4を作製した。作製した記録用紙4について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1における塗工組成物1の作製において、シリコーン有機樹脂微粒子を添加しない以外は実施例1と同様にして記録用紙5を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2における塗工組成物2の作製において、粒径13μmのシリコーン有機樹脂微粒子を、粒径14μmのシリコーン有機樹脂微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして記録用紙6を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3における塗工組成物3の作製において、粒径10μmのシリコーン有機樹脂微粒子を、粒径9μmのシリコーン有機樹脂微粒子に変更した以外は実施例3と同様にして記録用紙7を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例4における塗工組成物4の作製において、粒径8μmのシリコーン有機樹脂微粒子の添加量を2.5部に変更した以外は実施例4と同様にして記録用紙8を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006274450
次にインクジェット方式での実施例について述べる。
(実施例5)
<記録用紙の作製>
前記基材2の表面に合成非晶質シリカ微粒子(BET比表面積300m2/gのミズカシルP−78D:水沢化学工業社製)を70%含み、バインダーとして、完全けん化されたポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)を25部含み、耐水化剤として、水性のカチオン性ポリマー(エボミンP1000:日本触媒工業社製)を5部、さらにシリコーン樹脂微粒子(商品名:トスパール、日硝産業(株)製、粒径13μm)0.5部を添加し、塗工組成物5を得た。
前記塗工組成物5を、前記基紙2の表面に、片面の塗工量が12.5g/m2となるようにブレードコータにより両面塗工し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで、用紙表面の平滑化処理を行い、両面に塗被層が形成された、坪量80g/m2の記録用紙9を作製した。
(インクジェット方式の画像形成方法での評価)
−実機走行テスト−
記録用紙9の走行テストは、リコー社製プリンターIPSiO G707を用いて実施した。記録用紙1はA4サイズ縦目用紙とし、短辺を先端として100枚ずつ走行させ、高温高湿度環境下でのミスフィード、紙詰まり及び重送の発生回数の合計を走行トラブル数としてカウントした。評価基準は、以下の4段階とした。その結果を表2に示す。
◎:ミスフィード、紙詰まり、重送が全く生じないもの。
○:ミスフィード、紙詰まり、重送が僅かに生ずるが、実用上問題のないもの。
×:ミスフィード、紙詰まり、重送が頻繁に生じるもの。
××:ミスフィード、紙詰まり、重送により走行不可能なもの。
−画像コントラスト評価−
リコー社製プリンターIPSiO G707を用いて、ISO/JIS−SCIDサンプル(日本規格協会発行)の画像識別番号N1(画像名称:ポートレート)を出力し、画像コントラストについて、下記の評価基準で評価した。その結果を表2に示す。
◎:画像部光沢度と白紙光沢度との差がなく優れている。
○:画像部光沢度と白紙光沢度との差がほとんどなく良好である。
△:画像部光沢度と白紙光沢度との差がわずかに劣っている。
×:画像部光沢度と白紙光沢度との差が大きく、著しく劣っている。
(比較例5)
実施例5における塗工組成物5の作製において、粒径13μmのシリコーン有機樹脂微粒子の粒径を14μmに変更した以外は実施例5と同様にして記録用紙10を作製し、実施例5と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2006274450
表1及び2に示した結果から明らかなように、実施例1〜4の本発明の記録用紙は、高温高湿度下での走行トラブルがなく、かつ、良好な画像部コントラストを有する。一方、比較例1、2、3及び5の記録用紙は、高温高湿度環境下で走行トラブルを起こし、記録用紙として実用に耐えることができないレベルである。また、比較例3及び4の記録用紙は画像部コントラストに関して大きく劣る。
従って、本発明の記録用紙は、従来の塗工紙に比べ、電子写真方式の複写機あるいはプリンターでの走行性において優れた信頼性を有し、かつ、高画質を達成することができ、その製品価値は極めて大なるものがある。
本発明の画像形成方法に用いる画像出力装置の例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 熱定着ローラ
2 圧着ローラ
3 加熱源
4 定着部材表面層
5 弾性層
6 トナー画像
7 被転写体
11 感光体(潜像担持体)
12 ローラ型帯電器
13 露光装置
14 現像装置(14a、14b、14c、14d)
15 中間転写体
16 クリーナー
17 光除電器
18a、18b、18c 支軸ローラ
19 転写用ローラ

Claims (4)

  1. 少なくともパルプ繊維を含む基材と、該基材の両面に設けられた、顔料及び接着剤を主成分とする塗被層を有する記録用紙であって、
    前記両面に設けられた塗被層の少なくとも一方は、有機樹脂微粒子を0.25mm2あたり12〜245個の分布状態で含有し、該有機樹脂微粒子の粒径の平均値をX[μm]、該有機樹脂微粒子を含有する塗被層の塗工厚をY[μm]としたときに、XからYを引いた値(X−Y)が1[μm]以上5[μm]以下となることを特徴とする記録用紙。
  2. 白紙光沢度が45%以上であることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
  3. 潜像担体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像しトナー像を形成する工程と、該現像されたトナー像を記録用紙に転写する転写工程と、該記録用紙上に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像形成方法であって、
    前記記録用紙が、請求項1又は2に記載の記録用紙であることを特徴とする画像形成方法。
  4. インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像形成方法であって、
    前記記録用紙が、請求項1又は2に記載の記録用紙であることを特徴とする画像形成方法。
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