JP5595487B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
このようなトラブルに対して、インクジェット記録面の反対面にバックコート層を設けて搬送性を向上させる方法(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、この方法ではバックコート層側の面がインクジェット適性を持たないため、両面記録ができない。
また、インク受理層に有機球状粒子を含有して、インクジェット記録用紙の表面と裏面との間の静摩擦係数を0.7以下にする方法(特許文献3参照)が開示されているが、家庭用インクジェットプリンターを対象としたものであり、商業用途の高速枚葉プリンターに対しては好ましいものではなかった。
すなわち、本発明は支持体の両面に無機顔料を含有するインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙であって、少なくとも一方の面のインク受理層には有機球状粒子を含有して、かつJIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に従って測定した該インクジェット記録用紙の表面と裏面との間の静摩擦係数が0.65以上0.85以下であり、レーザー回折/散乱法にて測定した前記有機球状粒子の平均粒径が5〜10μmであり、前記無機顔料が合成非晶質シリカであり、かつ前記インク受理層の塗工量が片面あたり1g/m 2 〜4g/m 2 の範囲であり、前記有機球状粒子の配合量が前記無機顔料100質量部に対して0.5質量部以上3質量部以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙である。
該無機顔料が合成非晶質シリカであり、かつ該インク受理層の塗工量が片面あたり1g/m 2 〜4g/m 2 の範囲であるので、高い発色性が得られる。
さらに、該有機球状粒子の平均粒径が、該無機顔料の平均粒径の2倍〜8倍の範囲であると、該インクジェット記録用紙の表面と裏面の静摩擦係数を所望の範囲に制御するのに効果的であり、好ましい。
本発明においては、これらの親水性結着剤の少なくとも1種を使用することができるが、その配合部数は、前記した無機顔料100重量部に対し、20〜80重量部であることが好ましい。結着剤の配合部数が少ないと表面強度が不十分となり、多すぎるとインク吸収性が不十分となる。
プリンターでの搬送トラブルを起こす原因として、積み重ねたインクジェット記録用紙の間の摩擦係数が適正範囲でないことが考えられる。摩擦係数が高すぎると、インクジェット記録用紙間の滑りが悪くなり、インクジェット記録用紙がプリンター内に搬送されないトラブルが生じる。逆に摩擦係数が低すぎると、積み重ねたインクジェット記録用紙が滑りすぎるため、一番上のインクジェット記録用紙が搬送される際に、同時に多枚数のインクジェット記録用紙がずれてしまい、その後の搬送でトラブルとなる。そこで、インクジェット記録用紙の表面と裏面との間の静摩擦係数を適正範囲に調整する必要があるが、家庭用インクジェットプリンターと比べて圧倒的な高速印字が可能であり、1分間に数十枚もの搬送を行う高速枚葉インクジェットプリンターにおいて良好な搬送性を得るために許容されるJIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に従って測定した静摩擦係数の範囲は小さく、0.65以上0.85以下である。
そこで、インク受理層中に有機球状微粒子を含有させる必要があるが、静摩擦係数をコントロールするためには有機球状微粒子の球面がインク受理層の表面に存在する必要があるので、有機球状微粒子の粒径は、インク受理層に用いられる無機顔料の粒径よりも大きい必要がある。しかしながら、有機球状微粒子は無機顔料とは異なり、インクを吸収しないため、粒径が大きすぎるとインクジェット印字性能に悪影響が及ぶ。
また、有機球状微粒子の平均粒径は5〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。平均粒径が5μm未満では静摩擦係数の低減効果が低く、20μmを超えると静摩擦係数の低減効果が大き過ぎるので、静摩擦係数を本発明の範囲に調整することが困難となる。
又、有機球状微粒子の平均粒径が10μmを超えると、静摩擦係数の低減効果が鋭敏となり、有機球状微粒子の配合量の僅かな変化で静摩擦係数が大きく変動するため実用上問題となる場合がある。
有機球状微粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱法にて測定する。レーザー回折/散乱法の測定器としては、例えば、マルバーン社製のマスターサイザーS型などがある。
(支持体)
広葉樹漂白クラフトパルプを叩解してカナダ標準濾水度を350mlに調整したパルプスラリー70部、及び古紙パルプスラリー30部(カナダ標準濾水度350ml)に対して、中性ロジンサイズ剤0.3部、硫酸バンド0.3部、カチオン化澱粉0.7部、填料として炭酸カルシウム13部、カオリン6.5部、歩留まり向上剤0.015部を添加して、ツインワイヤー型の抄紙機で抄紙した。その後、この原紙の両面に、ポリビニルアルコール(製品名:PVA−117、株式会社クラレ製)1.5%の液をサイズプレスにより乾燥重量が両面で2g/m2となるように塗布し、乾燥後マシンカレンダー処理して坪量70g/m2の支持体を製造した。
無機顔料として合成非晶質シリカ(製品名:ニップジェルAZ−200:平均粒径2.4μm、吸油量330ml/100g、東ソー・シリカ株式会社製)100部、有機球状粒子(製品名:アートパールG−800、透明アクリル樹脂、平均粒径6μm、根上工業株式会社製)0.5部、ポリビニルアルコール(製品名:PVA−117、株式会社クラレ製)60部、カチオン性樹脂(製品名:スミレッツレジン1001、田岡化学工業株式会社製)20部、消泡剤(製品名:SNデフォーマー480、サンノプコ株式会社製)0.5部及び希釈水等を適宜添加し、固形分が10%の塗工液を調製した。この塗工液を、エアーナイフコーターを用いてその乾燥塗工量が片面当たり3.5g/m2となるように支持体の両面に塗工してインクジェット記録用紙を得た。
有機球状微粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱法(マルバーン社製のマスターサイザーS型)で測定した。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を2部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を5部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールGR−600(透明アクリル樹脂、平均粒径10μm、根上工業株式会社製)0.5部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールGR−600(透明アクリル樹脂、平均粒径10μm、根上工業株式会社製)1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールGR−600(透明アクリル樹脂、平均粒径10μm、根上工業株式会社製)2部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールG−400(透明アクリル樹脂、平均粒径15μm、根上工業株式会社製)0.1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールG−400(透明アクリル樹脂、平均粒径15μm、根上工業株式会社製)0.5部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールJ−5P(アクリル樹脂、平均粒径3.3μm、根上工業株式会社製)10部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールGR−300(透明アクリル樹脂、平均粒径22μm、根上工業製)0.1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の乾燥塗工量を片面当たり0.5g/m2に変更したこと以外は、実施例6と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の乾燥塗工量を片面当たり2g/m2に変更したこと以外は、実施例6と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の乾燥塗工量を片面当たり5g/m2に変更したこと以外は、実施例6と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を3部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層中に有機球状粒子を配合しなかったこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層中に有機球状粒子を配合せず、さらにインク受理層の乾燥塗工量を片面当たり2g/m2に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層中に有機球状粒子を配合せず、さらにインク受理層の乾燥塗工量を片面当たり0.5g/m2に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層中に有機球状粒子を配合せず、さらにインク受理層の乾燥塗工を片面当たり5g/m2に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を0.1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子の配合部数を10部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
有機球状粒子をアートパールGR−600(透明アクリル樹脂、平均粒径10μm、根上工業株式会社製)0.1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールGR−600(透明アクリル樹脂、平均粒径10μm、根上工業株式会社製)5部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
インク受理層の有機球状粒子をアートパールG−400(透明アクリル樹脂、平均粒径15μm、根上工業株式会社製)1部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例及び比較例における各々のインクジェット記録用紙の評価を、以下に示す方法により行った。印字及びプリンター搬送性は全て高速枚葉インクジェットプリンターORPHIS HC 5000(理想科学工業株式会社製)にて行った。各項目において、×の評価は実用上問題となるレベルである。
1.静摩擦係数
JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に従い、インクジェット記録用紙の表面と裏面との間の静摩擦係数を測定した。
2.プリンター搬送性
A3サイズのインクジェット記録用紙を500枚連続給紙して、印字を行った。
○…搬送トラブルの発生率が0%である。
△…搬送トラブルの発生率が1%未満である。
×…搬送トラブルの発生率が1%以上である。
3.発色性
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックについて各ベタ画像を印字し、23℃、50%RH環境下で24時間放置した後に、各画像部の印字濃度を反射濃度計(MACBEATH RD194I)で測定した。
○…4色の印字濃度合計値が4.2以上
△…4色の印字濃度合計値が3.6以上4.2未満
×…4色の印字濃度合計値が3.6未満
4.インク吸収性
シアン、マゼンタ、イエローの重色のベタ印字を行い、印字部と未印字部との境界に生じる滲みを目視評価した。
◎…境界部分の滲みは認められない。
○…境界部分の滲みが僅かに認められる。
△…境界部分の滲みが認められる。
×…境界部分の滲みが顕著に認められる。
なお、有機球状粒子の平均粒径が、無機顔料の平均粒径の2倍〜8倍の範囲を外れた参考例10,11の場合、他の実施例に比べてインク吸収性がやや劣ったが実用上問題はない。
なお、平均粒径が10μmを超える有機球状粒子を使用した参考例8の場合、無機顔料100質量部に対して有機球状粒子の配合量が0.5質量部未満であるにも関わらず、他の実施例とプリンター搬送性が同等であったが、参考例8からわずかに有機球状粒子の配合量を増やした参考例9の場合は他の実施例に比べてプリンター搬送性がやや劣った。このことより、有機球状微粒子の平均粒径が10μmを超えると、静摩擦係数の低減効果が鋭敏となり、有機球状微粒子の配合量の僅かな変化で静摩擦係数が大きく変動するため、実用上問題となる可能性がある。
Claims (2)
- 支持体の両面に無機顔料を含有するインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙において、少なくとも一方の面のインク受理層には有機球状粒子を含有し、かつJIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に従って測定した該インクジェット記録用紙の表面と裏面との間の静摩擦係数が0.65以上0.85以下であり、
レーザー回折/散乱法にて測定した前記有機球状粒子の平均粒径が5〜10μmであり、
前記無機顔料が合成非晶質シリカであり、かつ前記インク受理層の塗工量が片面あたり1g/m 2 〜4g/m 2 の範囲であり、
前記有機球状粒子の配合量が前記無機顔料100質量部に対して0.5質量部以上3質量部以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 - 前記有機球状粒子の平均粒径が、前記無機顔料の平均粒径の2倍〜8倍の範囲である請求項1記載のインクジェット記録用紙。
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