JP2006269363A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池において、携帯機器に搭載するのに適するよう装置サイズを小さくしながら、空気をはじめとする酸化剤をカソードに十分供給して高出力が得られるようにする。
【解決手段】 空気供給部20は、カソード12上に間隙をあけて配置されている振動伝達体21と、当該振動伝達体21に振動を与える加振部22及び当該振動伝達体21から振動を吸収する吸振部23とからなる。加振部22で振動伝達体21に対して加えられる振動は振動伝達体21を面に沿って伝わるので、振動伝達体21には加振部22から進行する進行波が形成される。振動伝達体21の表面近傍に存在する空気もこの進行波と同方向に移動するので、空気流通路24内の空気は進行波に伴って搬送される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池に関し、特に携帯用に適した小型の燃料電池に関する。
燃料電池は、電解質膜の一方の面にアノード、他方の面にカソードを接合した膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を備え、アノードに燃料、カソードに酸化剤をそれぞれ供給し、燃料と酸化剤を電気化学的に反応させて発電を行う装置であって、一般に、燃料には、天然ガス、ナフサなどの軽質炭化水素や、低級アルコールなどの燃料を改質処理したもの、あるいは純水素ガスが用いられ、酸化剤としては空気が用いられる。
このような燃料電池は、宇宙用から自動車用、携帯機器用まで、種々の用途に使用できる発電システムとして開発が進められている。
近年、燃料電池の一形態として、ダイレクトメタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)が注目されている。DMFCは、燃料であるメタノールを改質することなくアノードに直接供給し、メタノールと酸素との電気化学反応により電力を得る。
メタノールは水素に比べて、単位面積当たりのエネルギーが高く、また貯蔵にも適しているため、DMFCは自動車や携帯機器の電源として期待されている。
燃料電池において一般に酸化剤としての空気をカソードに供給するのにポンプやファンで行なうが(特許文献1)、DMFCを携帯電話器やノートパソコンなどの携帯機器に搭載する場合、装置サイズが大きくならないように、空気や燃料を供給するポンプなどの補機類を搭載しない完全パッシブ型とすることも考えられている(特許文献2)。
特開2004−303565号公報 特開2001−238903号公報 特開2004−214128号公報
ところで、携帯電話やノートパソコンなどは、年々各種機能が付加され、消費電力も増加しているので、それに伴って、携帯機器に搭載する燃料電池に対しても小型で且つ高出力のものが求められている。
これに対して、上記の完全パッシブ型の燃料電池では、空気はその拡散作用でカソードに供給されるだけなので、十分な空気量をカソードに供給することができず、十分な高出力が得られない。また、MEAのカソード側に生成水が結露して溜まりやすく、生成水が溜まると反応が阻害されるので、高出力が得られなくなる。
一方、特許文献3では、燃料電池において、空気流路の入口に揺動ファンを設けることによって、燃料電池を小型化しかつ発電セルに対する空気供給量のばらつきを低減する技術が開示されている。
このように空気流路の入口に揺動ファンを設けることは、小型で高出力の燃料電池を実現するのに有効と考えられるが、更に簡素な構成で実現できることが好ましい。
本発明は、上記課題に鑑み、燃料電池において、携帯機器に搭載するのに適するよう装置サイズを小さくしながら、空気をはじめとする酸化剤をカソードに十分供給して高出力が得られるようにすることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、電解質膜の一方側にカソード、他方側にアノードが配されているセルを備え、アノードに燃料を供給するとともに、カソードに酸化剤を供給することによって発電する燃料電池において、カソード上に、酸化剤流路を挟んで弾性部材を配設し、当該弾性部材に、カソードの表面に沿った方向に進行する進行波を形成する進行波形成手段を設けた。なお、進行波形成手段が弾性部材に進行波を形成するときに、進行波とともに定在波も形成され、進行波と定在波が混在する状態になることが多いが、進行波が含まれていればよい。
ここで酸化剤は、進行波の進行方向に供給することが好ましい。
上記のように弾性部材に進行波を形成するには、弾性部材に対して、振動を付与する振動付与部を設ければよく、更に、当該振動付与部から離れた位置で振動を吸収する振動吸収部とを設けることが好ましい。
振動付与部及び振動吸収部のうち、少なくとも振動付与部は、圧電素子で形成することが好ましい。
振動吸収部は、弾性部材の端部に、当該弾性部材の振動を吸収する部材を取り付けることによっても実現できる。
弾性部材は板状とし、カソードと弾性部材との間に、進行波の方向に沿って、酸化剤の流路構成するための一対の流路構成部材を配設することが好ましい。
この一対の流路構成部材は、酸化剤流路を挟んで両側に設けることが好ましい。そして、流路構成部材により弾性部材をカソード上に支持することが好ましい。
本発明の燃料電池によれば、カソード上に、酸化剤流路を挟んで弾性部材を配設されており、進行波形成手段が、この弾性部材に対して、カソードの表面に沿った方向に進行する進行波を形成するので、酸化剤流路内の酸化剤が進行波に伴って、カソードの表面に沿って搬送される。
従って、空気をはじめとする酸化剤がカソードに十分供給されるので、高出力で発電ができる。 また、進行波が形成されることによって、カソードでの生成水が除去するされやすくなるので、この点でも高出力で発電するのに寄与する。
また、酸化剤を送り込むためのポンプやファンを設ける必要がないので、装置サイズを小さくできる。
また、酸化剤を供給する機構が比較的簡素であって薄型にできるので、燃料電池全体を薄型で実現するのに適している。特に、弾性部材を板状とし、進行波の方向に沿って配設された酸化剤流路を構成するための一対の流路構成部材を設ければ、簡素で薄型の酸化剤供給機構が実現できる。特に、この一対の流路構成部材を、酸化剤流路を挟んで両側に設け、流路構成部材により弾性部材をカソード上に支持するようにすれば、簡素で薄型の酸化剤供給機構が実現できる。
振動付与部や振動吸収部に、圧電素子を用いれば、簡素な構成で弾性部材に対して振動を加えたり吸収することができ、進行波を容易に形成することができる。
振動吸収部は、弾性部材の端部に当該弾性部材の振動を吸収する部材を取り付けることによっても容易に実現できる。
本発明の実施形態にかかる燃料電池ユニット(FCユニット)の構成および動作を説明する。
〔燃料電池ユニットの全体構成と動作)
図1は、本発明の一実施の形態にかかるFCユニット1の斜視図であり、図2はこのFCユニット1の断面図である。
本図に示すように、FCユニット1は、MEA(電極/高分子膜接合体:membrane/electrode assembly)を備えたセル部10を挟んで、空気供給部20と、燃料供給部30とが配されて構成されている。
セル部10は、固体高分子膜11の片面にカソード12、他面にアノード13が配されてなるMEAが、保持枠体14で張架されて構成され、空気供給部20によってカソード12に供給される空気と、燃料供給部30によってアノード13に供給される燃料(メタノール水溶液)とを用いて発電を行なう。
カソード12は、固体高分子膜11上に形成されたカソード触媒層12aとその上に配された正極集電体12bとからなり、アノード13は、固体高分子膜11上に形成されたアノード触媒層13aとその上に配された負極集電体13bとからなる。
固体高分子膜11は、陽イオン交換樹脂であれば特にその種類は限定されるものではないが、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる膜を用いることができる。
保持枠体14は、カソード12,アノード13を取り囲むように配され、固体高分子膜11の外周部を挟み込んで保持している。
カソード触媒層12a及びアノード触媒層13aは、白金系触媒を担持したカーボン粉末にイオン交換体(Nafion:Du Pont社製、以下同様)及び撥水性樹脂が添加されたものからなる膜であり、固体高分子膜11にそれぞれホットプレスにより密着加工されている。
集電体12b,13bは、導電性を有するガス透過性の材料から成る層であって、カーボンペーパーにガス拡散性を確保するため撥水性材料(ふっ素樹脂)が添加されたものをはじめとして、導電性の多孔質材料で形成されている。この集電体12b及び集電体13bは、カソード触媒層12a及びアノード触媒層13aと接合してもよいし、触媒層12a,13aに集電体12b,13bを押さえつけた状態で集電体12b,13bの外周部分を保持枠体14で保持してもよいし、集電体12b,13bを押さえつけた状態でメッシュ材などを保持してもよい。
セル部10において、以下のように反応して電力を生成する。
アノード反応 : CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e-
カソード反応 : 3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2
全体の反応 : CH3OH + H2O → CO2 + 3H2
セル部10で発生する電力は、正極集電体12b及び負極集電体13bから外部に出力される。
空気供給部20は、カソード12上に間隙をあけて配置されている振動伝達体21と、当該振動伝達体21に振動を与える加振部22及び当該振動伝達体21から振動を吸収する吸振部23とからなる。そして、カソード12と振動伝達体21との間の間隙が空気流通路24となっており、当該空気流通路24の両端部は開放され、加振部22側の開口部は外気を取り込む吸気口24a、吸振部23側の開口部は排気口24bとなっている。
この空気供給部20において、加振部22で振動伝達体21に対して加えられる振動は振動伝達体21を面に沿って伝わるので、振動伝達体21には加振部22から進行する進行波が図2中に破線矢印で示すように形成される。
実際には振動伝達体21に進行波とともに定在波も形成されるので、進行波と定在波が混在することになるが、振動伝達体21の面方向に進行する進行波が含まれていれば、振動伝達体21の表面近傍に存在する空気も進行波と同方向に移動する。従って、空気流通路24内の空気は進行波に伴って搬送される。
よって、外気が吸気口24aから取り込まれて空気流通路24を流通しながらカソードに酸素を供給して排気口24bから排出される。
燃料供給部30は、アノード13に燃料を供給するものであって、アノード13に対向して燃料が流通する空間が形成された燃料流路基板31と、当該空間内にアノード13に沿って配設された多孔体32とから構成されている。燃料流路基板31の内部には、燃料が充填されており、アノード13で燃料が消費されると、多孔体32を経由してアノード13に燃料が自動的に供給される。また、アノード13で生成される二酸化炭素は、多孔体32を透過して排出されるようになっている。
なお、燃料流路基板31の外に燃料タンク(不図示)を接続して、必要時に当該燃料タンクから燃料を補給するようにしてもよい。
このようなFCユニット1によれば、空気を送るポンプやファンを設けなくても、空気流通路に能動的に空気を流通させることができるので、FC装置全体を小型に保ちながら、空気をカソードに十分供給して高出力を得ることができる。
また、カソードに接する空気を振動させることによりカソードで生成される水を除去する作用があるので、この点でもカソードに対する空気の供給が促進される。
〔空気供給部20の詳細〕
以下、空気供給部20の構成及び動作について、詳細に説明する。
振動伝達体21としては、振動を伝達する性質を有する弾性材料で形成された部材であって、空気流通路24に沿った面を有している。図1,2に示すように、振動伝達体21としては板状の弾性体を用いることが好ましく、例えば、金属板、セラミック板、プラスチック板が用いられる。振動伝達体21が板状であれば、広範囲にわたって進行波を形成でき、且つ空気供給部20の厚みを小さくできるのでFCユニットを小型化するのに有利である。
この振動伝達体21は、保持部材25によって振動を伝達可能な状態で、且つカソード12との間に空気流通路24が確保されるように保持されている。
振動伝達体21は、図1,2に示すように空気流通路24に沿った帯状に設定し、その一端部に加振部22を設置して、長手方向に進行波を伝達するような構成とすることが好ましい。
保持部材25は、この振動伝達体21の両側部分を支持しており、保持部材25は空気流通路24の側壁を兼ねている。
それによって、振動伝達体21は長手方向に振動を伝達できる状態で保持されるとともに、空気流通路24のスペースが十分に確保される。また、空気供給部20の構成が簡素で薄型にできる。従って、薄型のFCユニットを実現するのに適している。
吸振部23は必ずしも設けなくても進行波は形成されるが、吸振部23を設けることによって、振動伝達体21においては、加振部22から吸振部23にかけて進行する進行波が効率よく選択的に形成される。
すなわち、振動伝達体21を伝播する進行波は、振動伝達体21を伝わりながらある程度減衰されるが、振動伝達体21の端部まで進むと反射されるので、進行波と反射波とが干渉して定在波も形成される。そして定在波が形成される分だけ、進行波による空気搬送作用が低減する。これに対して、吸振部23を設けると、そこで振動伝達体21の振動が吸収されるため、反射波の発生が抑えられる。従って、定在波の形成を抑えながら、加振部22から吸振部23にかけて振動伝達体21の面方向に進行する進行波を選択的に形成することができる。
なお、振動伝達体21に吸振部23を設けない場合には、振動伝達体21を、振動を吸収しやすい部材(例えばABS、アクリルなどの樹脂剤)から構成することが、反射波の生成を抑える上で好ましい。
このように振動伝達体21に進行波を形成することによって、空気流通路24内の空気が搬送されるが、それとともに、空気流通路24内の空気も振動するので、カソード12で生成される水を空気流通路24内の空気に拡散させてカソード12から除去する作用もある。
このように空気流通路24内の空気を搬送する作用、並びにカソード12から生成水をスムースに除去する作用により、カソード12には十分に酸素が供給され、FCユニットで高出力が得られる。
(加振部22、吸振部23の構成)
加振部22及び吸振部23は、振動伝達体21に取り付けられており、加振部22は振動伝達体21に振動を加えるもの、吸振部23は振動を吸収するものである。
空気流通路24の空気を全体的に搬送できるように、加振部22及び吸振部23は、振動伝達体21の幅方向全体にわたって設けることが好ましい。すなわち、図1に示すように、加振部22及び吸振部23は、振動伝達体21の幅方向に伸長させて設けることにより、加振部22から吸振部23にかけて進行波が形成される範囲の幅が広くなるので好ましい。
また加振部22は、発振回路26が接続された圧電素子で構成することが好ましい。
加振部22に圧電素子を用いて、以下のように振動伝達体21に主としてたわみ波を形成したり、表面弾性波を形成したりすることができる。
(1)たわみ波を形成する例
空気供給部20において、加振部22には、図3(a)に示すように、厚み方向(図3で下方向)に分極された圧電材層22aが電極層22b、22cで挟まれてなる圧電素子が用いられ、当該圧電素子は、振動伝達体21の主表面上に積層された状態で接合されている。
圧電材層22aを形成する圧電材としては、ジルコンチタン酸鉛(PZT)をはじめとして、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)といった圧電セラミクスや水晶が挙げられる。
発振回路26は、電極層22b、22c間に、数百〜数十MHzの周期電圧を印加する。この発振回路26から圧電素子に印加される電圧により、圧電材層22aが周期的に変形し、それに伴って振動伝達体21に振動が加えられる。
印加する電圧の周波数によって、圧電材層22aが変形する形態は様々に変わるが、特に、圧電材層22aが面方向に伸縮するのに伴って、振動伝達体21がたわみ振動するのが主な振動である。すなわち、図3(b)のように分極方向と逆方向の電圧が印加されているときには圧電材層22aが白抜矢印のように伸び、それに伴って振動伝達体21の圧電材層22aとの接合面にも伸張力が加わり、振動伝達体21にたわみが生じる。一方、図3(c)のように分極方向と同方向の電圧が印加されているときには圧電材層22aが白抜矢印のように縮み、それに伴って振動伝達体21における圧電材層22aとの接合面に収縮力が加わって、振動伝達体21に逆向きのたわみが生じる。
このように振動伝達体21に加えられたたわみ振動は、進行波として、振動伝達体21を面方向に伝播される。
一方、吸振部23は、加振部22から離れた位置で振動伝達体21に取り付けられ、振動伝達体21に生じている振動を吸収することによって反射波の発生を抑えるものである。
この吸振部23は、図2に示すように、吸振回路27が接続された圧電素子で構成してもよいし、振動を吸収するゴム板などの素材を振動伝達体21に接合してもよい。
吸振部23に圧電素子を用いる場合、上記加振部22と同様に、厚み方向に分極された圧電基板が電極層で挟まれて構成され、その圧電基板が振動伝達体21の主表面上に積層された状態で接合されて、両電極層に吸振回路27が接続される。
このような吸振部23では、上記加振部22の作用と逆に、振動伝達体21の振動で圧電素子を伸縮させて、その両電極間に周期的な電力を発生させ、発生した電力を吸振回路27で吸収することによって、振動伝達体21の振動を吸収することができる。
すなわち、加振部22で振動伝達体21に加えられた振動(たわみ)が振動伝達体21を伝播し、図3(b),(c)と同様に振動伝達体21における吸振部23と接合された部分が振動する。それに伴って、吸振部23の圧電素子が伸縮すると、圧電素子の電極間に、周期的に電圧が発生するので、吸振回路27でこの電力を熱などに変えて吸収したり回収したりする。このようにして、振動伝達体21の振動を圧電素子で電気エネルギに変換して吸収することができる。
また、吸振回路27において、電力回収用のLC共振回路を設けることによって、圧電素子で生じた電力を回収し、この電力を発振回路26で発振するのに再利用することも可能であって、これによって発振回路26における消費電力を低減することができる。
なお、図1〜3では、発振部22及び吸振部23の圧電素子が振動伝達体21の外側表面上に接合されているが、振動伝達体21の空気流通路24側表面上に接合してもよい。
(2)表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)を形成する例
図4に示すように、空気供給部20において、加振部22には、圧電材層22aの表面上に櫛形電極(IDT)22d,22eが配設されてなる圧電素子(SAW発振素子)が用いられ、図5(a)に示すように、当該圧電素子は、櫛形電極22d,22eが配されている面が、振動伝達体21の空気流通路24側の表面に対面した状態で接合されている。櫛形電極22d,22eの各電極枝は、振動伝達体21の幅方向に伸張しており、櫛形電極22dの電極枝と櫛形電極22eの電極枝が互いに入り組んでいる。
吸振部23も同様に、圧電材層23aの表面上に櫛形電極22d,22eが配設されてなる圧電素子(SAW吸振素子)が用いられ、当該圧電素子は、櫛形電極23d,23eが配された面が、振動伝達体21の空気流通路24側の表面に対面した状態で接合されており、櫛形電極23d,23eの各電極枝は、振動伝達体21の幅方向に伸張し、櫛形電極23dの電極枝と櫛形電極23eの電極枝が互いに入り組んでいる。
そして、櫛形電極22d,22eに発振回路が、櫛形電極23d,23eに吸振回路が接続されている。
なお、このようなSAW発振素子及びSAW吸振素子は、SAWフィルタをはじめとするSAWデバイスに用いられている。
上記構成の空気供給部20において、加振部22で、発振回路からSAW発振素子に高周波を印加すると、図5(a)に示すように、圧電材層22aの電極配設面に沿って、電極枝と直交する方向に弾性表面波が励起される。ここで圧電材層22aの電極側表面は、振動伝達体21の空気流通路24側表面に接合されているので、弾性表面波は、振動伝達体21の空気流通路24側表面に沿って、振動伝達体21の長手方向に伝播される。この弾性表面波は、吸振部23における圧電材層23aの電極配設面に、電極枝と直交する方向に入射されるので、高周波に変換されて吸振回路で吸収される。
このように、振動伝達体21の空気流通路24側表面に沿って、振動伝達体21の長手方向に弾性表面波が進行するのに伴って、空気流通路24内の空気もその進行方向と同じ方向に搬送される。
よって、外気が吸気口24aから取り込まれて、カソード12に酸素を供給しながら空気流通路24を流通して、排気口24bから排出される。また、振動伝達体21が振動することにより、カソード12で生成される水を空気流通路24内の空気に拡散させてカソード12から除去する。
加振部22,吸振部23を図5(b)のように構成しても、同様に振動伝達体21の空気流通路24側表面に沿って、振動伝達体21の長手方向に弾性表面波が進行し、それに伴って、空気流通路24内の空気もその進行方向と同じ方向に搬送される。また、空気流通路24内の空気が振動することによって、カソード12で生成される水が空気流通路24内の空気に拡散してカソード12から除去される。
加振部22,吸振部23を図5(c)ように構成しても、圧電材層22aの空気流通路24側表面に沿って、振動伝達体21の長手方向に弾性表面波が進行し、それに伴って、空気流通路24内の空気もその進行方向と同じ方向に搬送される。
(振動伝達体21及び保持部材25についての詳細)
図1や図4に示すように、振動伝達体21は、その両側部分だけが保持部材25で支持されており、空気流通路24に臨む部分(カソード12と対向する部分)は非接触となっている。このように振動伝達体21を保持部材25に架設することによって、振動伝達体21の振動が保持部材25に吸収されるのが抑えられ、加振部22で形成された進行波が吸振部23に効率よく伝達される。
振動伝達体21で進行波を効率よく伝達する上で、更に以下のようにすることが好ましい。
保持部材25としてゴムや樹脂などの材料を用いる。これによって、振動伝達体21から振動エネルギ−が保持部材25に吸収されるのを抑えることができる。
また図4に示す例では更に、保持部材25における台座部分(振動伝達体21の表面が対向する部分)に、長手方向に沿って凹部25aが点在するように設けられている。
図6(a)は、FCユニット1において保持部材25に凹部25aを設けた場合の断面図であり、空気流通路24を横切る方向に切断している。
このように保持部材25に凹部25aを設けることによって、図6(a)に示すように、凹部25aが形成されている箇所では、保持部材25が振動伝達体21と非接触となっている。
また、図6(b)の断面図に示す例では、振動伝達体21の両側に、保持部材25に沿って溝21aが形成され、溝21aが形成された部分では振動伝達体21の厚みが薄くなっている。
このように、保持部材25の長手方向に沿って、振動伝達体21と接触しない非接触部分を設けたり、振動伝達体21の両側に薄厚部分を形成することによって、振動伝達体21の振動エネルギーが保持部材25に吸収されるのが抑えられる。
図1,4に示す例では、振動伝達体21が空気流通路24の上面を閉塞し、保持部材25が空気流通路24の両側を閉塞しているので、吸気口24a,排気口24bだけで空気流通路24に空気が出入りするようになっているが、振動伝達体21や保持部材25に切り欠きや貫通孔を設けて、空気流通路24と外部とを連通させてもよい。
例えば、図4における凹部25aを形成している箇所で、保持部材25に切り欠きや貫通孔を設けたり、振動伝達体21に切り欠きを設けることによって空気流通路24と外部とを連通させることも可能である。
このように、振動伝達体21や保持部材25に、空気流通路24と外部とを連通する部分を設ければ、上記の吸気口24a、排気口24b以外に、当該連通箇所を通しても、空気流通路24に対して空気が出入りすることができる。
(振動伝達体21が複数並設されている形態)
以上、振動伝達体21が1枚設けられた基本的なFCユニット1について説明したが、図7,8に示すFCユニット2,3のように、空気供給部20において、複数の振動伝達体21が一平面に沿って配列された構成とすることができる。
図7のFCユニット2では、空気供給部20において、帯状の振動伝達体21が複数並列に配されている。そして、各振動伝達体21に加振部22及び吸振部23が設けられ、各振動伝達体21の両側が保持部材25で支持されている。
この空気供給部20において、複数の振動伝達体21とセル部10との間に複数の空気流通路24が形成され、空気流通路24どうしは保持部材25で仕切られている。そして、加振部22及び吸振部23によって各振動伝達体21に進行波が形成され、それによって、各空気流通路24内の空気が搬送される。
図8のFCユニット3では、空気供給部20において、複数の振動伝達体21が、行列状に配列されている。
保持部材25は、振動伝達体21どうしを仕切る格子状であって、各振動伝達体21は141と仕切部142で固体高分子膜11を挟み込んで保持している。
そして、各振動伝達体21の両側が保持部材25で支持され、複数の振動伝達体21とセル部10との間に、複数の空気流通路24が形成されている。
従って、複数の空気流通路24も行列状に配列され、隣り合う空気流通路24どうしが保持部材25で仕切られている。
各振動伝達体21の一端部に加振部22、他端部に吸振部23が設けられ、各振動伝達体21の端部と保持部材25との間には隙間が確保されることによって、外気を空気流通路24に取込む吸気口24a、及び空気流通路24から排気する排気口24bが形成されている。
そして、加振部22及び吸振部23によって各振動伝達体21に進行波が形成され、それによって、各空気流通路24内の空気が搬送される。
このように、Fcユニット2,3では、複数の振動伝達体21が並設され各振動伝達体21ごとに進行波が形成されるようになっているので、各空気流通路24ごとに空気搬送量を調整することができる。
このように複数の振動伝達体21が並設されたFCユニットにおいて、セル部10においても、一平面上に複数のカソード12及びアノード13を並設して、複数のセルを並設した構成とすることができる。
例えば図7に示すFCユニット2では、上記振動伝達体21に対応して、固体高分子膜11の空気供給部20側には複数の帯状のカソード12が並設され、固体高分子膜11の燃料供給部30側にも複数の帯状のアノードが並設されている(図7では、アノードは見えないがカソードと同形状である。)。そして、保持枠体14は、カソード12およびアノードの全体を取り囲む外周部141に加えて、隣り合うカソード12どうしおよびアノードどうしを仕切る仕切部142が設けられており、外周部141と仕切部142で固体高分子膜11を挟み込んで保持している。この場合、固体高分子膜11が外周部141だけでなく仕切部142でも挟時されるので、MEAがしっかりと保持される。
このようにFCユニット2においては、一平面上に複数のセルが併設された構成となっているため、隣りあうセルの一方の正極集電体と他方の負極集電体とを電気接続すれば、複数のセルが直列接続されるので、高電圧で外部に電力を供給することができる。
また、各セルごとに振動伝達体21が配置されているので、セルごとに空気搬送量を調整することもできる。
(上記実施形態の変形)
上述したように振動伝達体21としては板状の弾性体を用いることが好ましいが、空気流通路24に沿って振動を伝えるものであれば必ずしも板状でなくてもよく、例えば棒状の弾性体を一本あるいは複数本用いてもよい。
上記実施形態では、燃料としてメタノールを用いて発電するDMFCについて説明したが、燃料として水素を用いる燃料電池においても同様に実施することができる。この場合、FCユニットにおけるセル部10、空気供給部20については、上述したのと同様の構成であって、燃料供給部30については、セル部10にメタノールの代わりに水素を供給するように変更する。例えば、燃料供給部30の内部あるいは燃料供給部30に連結した外部タンクに水素吸蔵合金を収納して、当該水素吸蔵合金に水素を吸蔵させておき、必要に応じてセル部10に水素を供給すればよい。
本発明によれば、小型で高出力の燃料電池を実現できるので、携帯電話やノートパソコンなど携帯用機器の電源として適している。
本発明の一実施の形態にかかるFCユニット1の斜視図である。 図1に示すFCユニット1の断面図である。 加振部22の構成及び動作を説明する図である。 圧電材層の表面上に櫛形電極が配設された圧電素子が加振部22に用いられたFCユニットの分解斜視図である。 (a)は、図4に示すFCユニットの概略断面図、(b),(c)はその変形例を示す概略断面図である。 (a)は、FCユニット1において保持部材25に凹部25aを設けた場合の断面図、(b)は、FCユニット1において振動伝達体21に溝21aを形成した場合の断面図である。 複数の振動伝達体21が平面上に並列配列されたFCユニット2を示す分解斜視図である。 複数の振動伝達体21が平面上に行列状に配列されたFCユニット3を示す分解斜視図である。
符号の説明
1〜3 FCユニット
10 セル部
11 固体高分子膜
12 カソード
12a カソード触媒層
12b 正極集電体
13 アノード
13a アノード触媒層
13b 負極集電体
14 保持枠体
20 空気供給部
21 振動伝達体
21a 溝
22 加振部
22 発振部
22a 圧電材層
22b,22c 電極層
22d,22e 櫛形電極
23 吸振部
23a 圧電材層
23b,23c 電極層
23d,23e 櫛形電極
24 空気流通路
25 保持部材
26 発振回路
27 吸振回路
30 燃料供給部

Claims (9)

  1. 電解質膜の一方側にカソード、他方側にアノードが配されているセルを備え、
    前記アノードに燃料を供給するとともに、前記カソードに酸化剤を供給することによって発電する燃料電池であって、
    前記カソード上に、酸化剤流路を挟んで弾性部材が配設され、
    当該弾性部材に、前記カソードの表面に沿った方向に進行する進行波を形成する進行波形成手段が設けられていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記酸化剤を、前記進行波の進行方向に供給することを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記進行波形成手段は、前記弾性部材に振動を付与する振動付与部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池。
  4. 前記進行波形成手段は更に、
    前記振動付与部から離れた位置で振動を吸収する振動吸収部を備えることを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
  5. 前記振動付与部及び振動吸収部のうち、
    少なくとも振動付与部は、圧電素子からなることを特徴とする請求項4記載の燃料電池。
  6. 前記振動吸収部は、
    前記弾性部材の端部に、当該弾性部材の振動を吸収する部材が取り付けられて構成されていることを特徴とする請求項4記載の燃料電池。
  7. 前記弾性部材は板状であり、
    前記カソードと弾性部材との間に、前記進行波の方向に沿って配設された、前記酸化剤の流路構成するための一対の流路構成部材を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか記載の燃料電池。
  8. 前記酸化剤流路を挟んで両側に前記一対の流路構成部材を有することを特徴とする請求項7記載の燃料電池。
  9. 前記流路構成部材により前記弾性部材を前記カソード上に支持することを特徴とする請求項7または8記載の燃料電池。
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KR100987113B1 (ko) 2008-12-18 2010-10-11 한국생산기술연구원 연료전지의 연료공급장치

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