JP4661026B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、例えば水素ガス(燃料ガス)と空気に含まれる酸素(酸化剤ガス)を電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されており、例えば自動車を駆動するための駆動電源として使用する試みが行われている。
【0003】
さらに、上述の自動車駆動用の駆動電源に止まらず、例えばノート型パソコン、携帯電話及びPDAなどの携帯型電子機器の駆動電源としての燃料電池の開発も活発に行われている。このような燃料電池においては、所要の電力を安定して出力できるとともに、携帯可能なサイズ及び重量とされることが重要となり、このような要求に対応するべく各種技術開発が盛んに行われている。
【0004】
燃料電池は、電解質の違い等により様々なタイプのものに分類されるが、代表的なものに、電解質に固体高分子電解質を用いた燃料電池が知られている。固体高分子電解質型燃料電池は、低コスト化が可能で、小型化、軽量化も容易であり、電池性能の点でも高い出力密度を有することから、例えば上記の用途に有望である。また、複数の発電セルとセパレータを交互に積層することにより構成するスタックセル型の燃料電池も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃料電池を用いた発電システムでは、図15に示すように、電解質1と集電体2,3を組み合わせた接合体4を外側から筐体5,6で包み込んでパッケージ化した燃料電池を用いているものがある。このようなパッケージでは、筐体5,6内部に配置される接合体4や燃料流路板7、空気流路板8等の部材が分離しないように、筐体5,6をボルト9によって締結している。しかし、筐体5,6を締結することができる位置は接合体4が配置された領域外に限定され、筐体5,6の外周近辺でのみ締結を行うことになる。
【0006】
一方、接合体4での発電は、燃料流路板7に形成された燃料流路12から集電体2が燃料を受け取り、空気流路板8に形成された空気流路13から集電体3が空気を受け取ることで行われる。一般に集電体2,3の電解質1と接触する面にはそれぞれ触媒層10,11が形成されており、触媒層10,11と電解質1の接触部分で発電反応が起きる。しかし、触媒層10,11と電解質1の界面は微小な凹凸が存在し、微視的には図16に示すように触媒層10,11と電解質1とが現実に接触している面積(真実接触面積14)が存在する。
【0007】
筐体5,6の外周近辺でのみ締結を行った場合には、電解質1と触媒層10,11との界面に働く応力は、締結部分に近い部分に強くはたらき、締結部分から離れるに従って緩和される分布になっていると推測され、電解質1の周縁部は触媒層10,11と強く接触し、接合体4の面中心に向かって応力が緩和してゆくことになる。つまり電解質1と触媒層10,11の界面の密着性が面全体で均一ではないと考えられ、触媒反応の効率が悪化したり電気抵抗が悪化して、燃料電池全体での発電効率が悪化する原因であると考えられる。
【0008】
したがって本願発明は、接合体の触媒層と電解質との真実接触面積を増加させて発電効率の向上を図ることが可能な燃料電池を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本願発明の燃料電池は、燃料電極集電体と酸素電極集電体とで電解質を挟持してなる接合体と、前記接合体の外部に配され前記接合体に圧力を加える締結部を有する筐体と、前記筐体と前記接合体との間に配置されて前記締結部からの圧力を分散させて前記接合体に伝えるスペーサとを備えている。スペーサは矩形状の板状部材であり、前記筐体から加えられる圧力を受ける受圧部と、前記接合体に圧力を加える加圧部と、前記受圧部と前記加圧部との間で力を伝達する伝達部とを有すると共に、前記加圧部と受圧部との間に二重構造を有し、前記二重構造の間に前記伝達部材によって中空領域が形成されている
【0010】
本願発明の燃料電池では、締結部に加えられた圧力をスペーサによって分散して接合体に伝えることにより、接合体に加わる圧力分布が均一なものになり、接合体の電解質と集電体とが均一に接触し電解質と集電体の界面の真実接触面積が増加する。電解質と集電体とが実際に接触する面積が広がることにより、発電反応が起こり易くなって燃料電池の発電効率が向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明を適用した燃料電池および燃料電池の設計方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本願発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0023】
図1は本発明の参考例としての燃料電池パッケージの構成を示す分解斜視図である。電解質21と集電体22,23を組み合わせた接合体24をスペーサ32,33で挟みこみ、スペーサ32,33の外側にそれぞれ燃料流路板27、空気流路板28を配置し、これらの部材を外側から筐体25,26で包み込んで燃料電池をパッケージ化する。このとき、筐体25,26内部に配置される接合体24や、燃料流路板27、空気流路板28、スペーサ32,33等の部材が分離しないように、筐体25,26をボルト29によって締結している。筐体25,26を締結する位置は接合体24が配置された領域外であり、筐体25,26の外周近辺でのみ締結を行う。
【0024】
電解質21は、プロトンを透過させるイオン透過性と耐酸化性、耐熱性を兼ね備えた材質で形成された膜であり、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマーを用いる。
【0025】
集電体22,23は、発生する起電力を取り出すための電極材であり、金属材料や炭素材料、導電性を有する不織布などを用いて構成される。この集電体22,23で電解質21を挟み込んで接合体24が構成される。炭素系材料を用いる場合は、炭素系材料の多孔質表面に白金などの触媒を担持させるようにしても良く、集電体22,23の電解質21と接触する面にはそれぞれ触媒層30,31が形成されており、触媒層30,31と電解質21の接触部分で発電反応が起きる。触媒層30,31は、電解質21と集電体22,23の界面での化学反応を促進する材質を用い、例えば本発明では炭素繊維膜上に白金が担持された炭素粒子を設けた構造としている。
【0026】
筐体25,26は矩形状の平板部材であり、外周近辺にはボルト29を通す締結孔34が形成されている。筐体25,26は接合体24、スペーサ32,33、燃料流路板27および空気流路板28よりも外形が大きく、締結孔34にボルト29を通して筐体25,26を締結した場合にも、ボルト29が他の部材に干渉しない。また、筐体25,26はボルト29の締結によって各部材に対して押圧力を加えるための部材であり、ボルト29のネジ締めによって簡単に変形してしまわない程度の剛性を有する材質によって形成され、本実施の形態では例えばアルミニウムを用いている。
【0027】
燃料流路板27は、複数の溝である燃料流路35が形成された板状の部材であり、燃料流路35が集電体22方向に向くように配置されている。また空気流路板28は、複数の溝である空気流路36が形成された板状の部材であり、空気流路36が集電体23方向に向くように配置されている。燃料流路35と空気流路36の溝方向は互いに直角となるように配置され、燃料流路35には燃料電池外部から供給される燃料ガスが流され、空気流路36には燃料電池外部から供給される酸素を含んだ空気が流される。
【0028】
スペーサ32,33は集電体22,23の略全面に接する板状の部材であり、集電体22と燃料流路板27との間にスペーサ32が配され、集電体23と空気流路板28との間にスペーサ33が配されている。燃料流路35および空気流路36を流れる燃料ガスと酸素を集電体22,23に供給する必要が有るため、スペーサ32,33には開口部37が形成され、気体を透過させることが可能となっている。スペーサ32,33を多孔質な材質で形成してスペーサ32,33の内部を燃料ガスおよび酸素が流れるようにしてもよい。スペーサ32,33は、燃料流路板27と空気流路板28とから伝えられた押圧力が接合体24に対して均一に加わるように、面の一部に加えられた押圧力を分散する機能を有している。押圧力を分散して伝達するためには、スペーサ32,33はある程度の剛性を有する材質によって形成される必要がある。
【0029】
接合体24での発電は、燃料流路板27に形成された燃料流路35からスペーサ32を介して集電体22が燃料を受け取り、空気流路板28に形成された空気流路36からスペーサ33を介して集電体23が空気を受け取り、接合体24においてH→2H+2eの如き反応と1/2O+2H+2e=HOの如き反応が起こり、結果として水が生成される。水素ガス(H)が燃料流路35を通過する間にプロトンを発生させ、解離したプロトン(H)は集電体22から集電体23に向かって電解質21の膜中を移動する。この移動したプロトンは、集電体23の触媒層31付近で酸素(空気)と反応して、これにより所望の起電力が取り出される。
【0030】
図1では、各部材の配置関係を明示するために図示を省略しているが、筐体25,26の内部に配置される各部材の周囲と筐体25,26の間には、気密を保持するための気密部材が配置されており、燃料流路35および空気流路36からの燃料ガスや酸素が漏洩しない構造となっている。
【0031】
筐体25,26の締結は、筐体25,26の外周近辺に形成された締結孔34でのボルト29の締結により行われる。このため、筐体25,26がある程度の剛性を有する材質で形成されていたとしても、燃料流路板27および空気流路板28に加わる押圧力の分布は外周近辺が大きく中心付近が小さい圧力となってしまう。しかし、燃料流路板27および空気流路板28に加わった圧力はスペーサ32,33に伝達され、スペーサ32,33の主として外周付近に押圧力が加わったとしても、スペーサ32,33が剛性を有する材質で形成されていることから、スペーサ32,33の面全体が接合体24に押圧力を伝えることになる。
【0032】
したがって、スペーサ32,33が接合体24に隣接して配されていることによって、接合体24の中心付近に加わる圧力を大きくすることができる。また、スペーサ32,33が集電体22,23の略全面に接するため、接合体24に加わる押圧力の分布を接合体24の全面に均一なものに近づけることができる。
【0033】
接合体24に加わる押圧力の分布が均一なものに近づくと、触媒層30,31と電解質21との界面に存在する真実接触面積が大きくなり、発電反応が起こる面積が増加するために燃料電池の発電効率が向上するはずである。そこで、スペーサを配置した燃料電池と、スペーサを配置しない燃料電池を作成して出力電流値と出力電圧値を測定するとともに、接合体に加わる応力分布をコンピュータによってシュミレーションし、接合体に加わる応力の分布と発電効率との関係を調べることにする。
【0034】
図2(a)は比較例1としてのスペーサを配置しない燃料電池の構成を示した分解図であり、図2(b)は参考例1としてのスペーサを配置した燃料電池の構成を示した分解図である。比較例1と参考例1ともに、同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。比較例1および参考例1ともに、電解質41を集電体42と集電体43で挟み込んで接合体44が形成されている。また、筐体45と燃料流路板47が略同一の形状に形成されて接合され、燃料流路板47の集電体42と接する面には燃料流路55が形成されている。筐体45と燃料流路板47は外周部分が枠形状を成しており、燃料電池の気密を確保する気密部材としても機能する。
【0035】
図2(b)に示した参考例1においては、集電体42と燃料流路板47との間および集電体43と図示していない空気流路板との間にスペーサ53が配されている。スペーサ53は、樹脂によって形成された格子形状の平板な板状部材であり、外形は集電体42,43よりも小さく、格子形状であるために開口部分を燃料ガスや酸素が通過可能となっている。ここでは、格子形状の平板部材をスペーサ形状の例として示したが、平板状の部材に開口部を複数設けて網目状の部材を形成するとしても良い。また、スペーサ53と集電体42,43との間に接着層を形成し、スペーサ53と集電体42,43との密着性を向上させて接合体44に均一に圧力を伝達するとしてもよい。
【0036】
さらに、比較例1および参考例1ともに、図1に示したように空気流路が形成された空気流路板と筐体とによって接合体44を挟み込む構造を持つが、図2では図示を省略している。筐体45と燃料流路板47および図示していない筐体と空気流路板の外周部分には締結孔54が形成されており、筐体45と図示していない筐体とを対向させて締結孔54をボルト等で締め付けることで接合体44に対して押圧力が加えられる。
【0037】
上述したスペーサを配置しない比較例1の燃料電池と、スペーサを配置した参考例1の燃料電池とを、同一形状、同一材質、同一サイズで形成し、ボルトを同一の推力で締結したとして、コンピュータを用いて有限要素法を用いて燃料電池の構造を数値モデル化し、接触構造解析を行って接合体44に加わる応力の分布をシミュレーションした。
【0038】
図3は、スペーサを配置しない比較例1における接合体の応力分布のシミュレーション結果を示す図である。図では応力が0.0〜0.6kgf/mmの範囲を示している。また、図中で黒色が濃い領域は応力が0.1gf/mm以下の領域である。図から明らかなように、筐体の締結が外周部分で行われているために、接合体44に加わる応力は接合体44の外周近辺に集中しており、接合体44の中央付近では応力が低くなっている。図3での応力が0.1kgf/mm以上の領域の面積は、接合体44の全面積の36.0%であった。
【0039】
図4は、スペーサを配置する参考例1における接合体の応力分布のシミュレーション結果を示す図である。図では応力が0.0〜0.6kgf/mm2の範囲を示している。また、図中で黒色が濃い領域は応力が0.1gf/mm2以下の領域である。図から明らかなように、スペーサ53を接合体44に隣接して配置したことにより、筐体の締結を外周部分で行っていても、接合体44に加わる応力は外周近辺に集中せずに接合体44の中央付近でも応力が大きく加わっている。図4での応力が0.1kgf/mm2以上の領域の面積は、接合体44の全面積の68.4%であった。
【0040】
次に、図2(a)に示したスペーサを配置しない比較例1と、図2(b)に示したスペーサを配置した参考例1の燃料電池に、同一流量の水素ガスと酸素を供給して実際に発電反応を行わせて、出力電圧と出力電流の関係を測定した。図5は燃料電池の発電による出力電流値と出力電圧値をグラフに示した特性図である。図中で黒塗りの四角で示したグラフがスペーサを配置しない比較例1での出力を示したものであり、黒塗りの三角で示したグラフがスペーサを配置した参考例1での出力を示したものである。
【0041】
図5から明らかなように、参考例1と比較例1とを同一の出力電圧値で比較した場合には、スペーサを配置した参考例1のほうが出力電流値が大きく、電力値が大きいことが分かる。例えば、図中に太線で示した出力電圧値が600mVでは、図中破線で示したように、比較例1の出力電流値は28.6mAであり、参考例1の出力電流値は38.1mAであった。したがって、スペーサを配置したことによって発電効率は約33%向上したことがわかる。
【0042】
図3および 図4に示したシミュレーションによる応力分布での応力が0.1kgf/mm2以上の面積比率は、比較例1で36.0%であり参考例1で68.4%であったことから、スペーサを配置したことによる接合体44に加わる応力0.1kgf/mm2以上の面積が32.4%増加したことが分かる。応力分布でのある一定値以上の面積比率の増加が、実測による発電効率の向上とほぼ同程度であることから、発電効率の向上は応力分布の均一化に起因するものであることがわかる。
【0043】
接合体に加わる応力分布を均一化することにより、電解質と触媒層とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0044】
また、コンピュータを用いて有限要素法により接触構造解析を行い、接合体に加わる応力分布をシミュレーションすることにより、スペーサや筐体などの燃料電池を構成する部材の形状や材質形状を変化させた場合にも、応力分布を計算することが可能である。これにより、実際に燃料電池を形成する前にシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算し、応力が一定値以上の領域面積比を計算することによって、燃料電池の発電効率を予測することが可能となる。計算によって燃料電池の発電効率の向上をある程度予測することができるために、燃料電池の開発速度を向上させることが可能である。
【0045】
次に、燃料電池の設計に際してコンピュータを用いて有限要素法による接触構造解析を行って、スペーサの形状ごとに接合体に加わる応力分布を計算して、発電効率の向上を予測した例を示す。以下の実施の形態で示すシミュレーションでは、筐体と燃料流路板または空気流路板とが一体に形成されたとして、筐体とスペーサと接合体との関係だけを示して計算を行うが、燃料電池の構成は図1に示したものと同様であるとする。
【0046】
図6にスペーサを配置しない場合の燃料電池の構成を比較例2として、図6(a)に断面図を示し、シミュレーションにより得られた各部材の変形を図6(b)に示している。比較例2は、縦横の辺の長さが30mm×70mmの矩形状の接合体61と、接合体61に隣接して配置する筐体62で構成される燃料電池である。比較例2においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0047】
シミュレーションモデルとして、接合体61の電解質をポリエチレンナフタレートであるとし、筐体62をアルミニウムとした場合の材料物性値を用いて、有限要素法による接触構造解析で各部材の変形量を計算した。図6(b)には、長手方向の辺に形成された締結部63に集中荷重を行い、接合体61の面方向に対して垂直に締結を行った場合での、接合体61と筐体62との変形を計算した結果を示している。図6(b)から明らかなように、筐体62の長手方向の辺に形成された締結部63でのみ締結を行ったことにより、接合体61および筐体62の中央部分が接合体61が配された側と反対に凸形状に変形してしまうことが分かる。
【0048】
図7に比較例2での接合体61での応力分布を計算した結果を示す。図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図から明らかなように、接合体61に加わる応力は締結部63周辺が特に大きく、それより遠ざかるにつれて緩和されている。
【0049】
上述した参考例1で説明したように、接合体61に加わる応力が一定値以上の領域を増加させることによって、接合体61での触媒層と電解質との真実接触面積を増加させて、燃料電池の発電効率を向上させることができる。したがって、図6に示した比較例2の筐体62と接合体61との間にスペーサを挿入して、筐体62から接合体61に伝達される押圧力をスペーサによって分散させた場合にも、有限要素法による接触構造解析を用いたシミュレーションによって応力分布の変化を計算することで、燃料電池の発電効率向上を予測することが可能である。
【0050】
図8は参考例2であり、スペーサを配置した場合の燃料電池の構成を図8(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を図8(b)に示している。参考例2は、縦横の辺の長さが30mm×70mmの矩形状の接合体71と、接合体71に隣接して配置されるスペーサ73と、スペーサ73に隣接して配置される筐体72で構成される燃料電池である。参考例2においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0051】
スペーサ73は、接合体71と略同一の面積を有する矩形状の板状部材であり、中央部分が長手方向に沿って接合体71方向に凸となるように屈曲されている。したがって、スペーサ73は筐体72方向に突出した受圧部75と、中央部分が接合体71方向に突出した加圧部76と、受圧部75と加圧部76とを連結する伝達部77とを有している。受圧部75はスペーサ73の長辺付近に形成された平面部分であり筐体72と接している。加圧部76はスペーサ73の中央部分に形成された平面部分であり接合体71と接している。受圧部75と加圧部76の面積は略同一である。加圧部76が接合体71と面接触するために、スペーサ73は燃料ガスや酸素を透過するように多孔質な材料で形成することが望ましい。
【0052】
スペーサ73が筐体72と接合体71との間に配置されていることにより、筐体72の長辺近傍に形成された締結部74に押圧力を加えたとしても、スペーサ73の受圧部75が筐体72から押圧力を受け、伝達部77を介して加圧部76が接合体71に押圧力を伝達するため、接合体71に加わる応力は締結部74から分散されて接合体71の中央部分にも加えられる。
【0053】
スペーサを配置しない比較例2に対してのスペーサ73の効果を確認するために、参考例2のシミュレーションモデルも比較例2と同様に、接合体71の電解質をポリエチレンナフタレートであるとし、筐体72をアルミニウムとした場合の材料物性値を用いる。また、筐体72の長手方向の辺に形成された締結部74に集中荷重を行い、接合体71の面方向に対して垂直に締結を行ったとして、有限要素法による接触構造解析で計算した。
【0054】
図8(b)に示した参考例2での接合体71に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図8(b)から明らかなように、スペーサ73を筐体72と接合体71との間に挿入したことによって、スペーサ73の伝達部77が形成されている領域近辺での接合体71に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0055】
したがって、スペーサ73として屈曲した板状であり面の中央部分が接合体71に対して凸に形成されているものを用いることによって、筐体72に加えられた圧力をスペーサ73が分散して接合体71に伝達し、接合体71に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体71に加わる応力分布を均一化することによって、接合体71の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0056】
図9は本発明に係る実施例1であり、スペーサを配置した場合の燃料電池の構成を 図9(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を図9(b)に示している。実施例1は、縦横の辺の長さが30mm×70mmの矩形状の接合体81と、接合体81に隣接して配置されるスペーサ83と、スペーサ83に隣接して配置される筐体82で構成される燃料電池である。実施例1においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0057】
スペーサ83は接合体81と略同一の面積を有する矩形状の板状部材であり、長辺部分の筐体82側に形成された受圧部85と、接合体81側に形成された加圧部86と、受圧部85と加圧部86とを連結する伝達部87とを有している。受圧部85はスペーサ73の長辺付近に形成された平面部分であり筐体82と接している。加圧部86はスペーサ83の接合体81側の全面に形成された平面部分であり接合体81と接している。スペーサ83の長辺部分は、長手方向に沿って受圧部85と加圧部86との二重構造を形成し、その二重構造の間には伝達部77によって中空領域88が形成されている。
【0058】
受圧部85の面積よりも加圧部86の面積のほうが大きく、加圧部86の全面が接合体81と接触して圧力の伝達を行うため、接合体81の略全面に圧力が均一に加えられる。加圧部86が接合体81と面接触するために、スペーサ83は燃料ガスや酸素を透過するように多孔質な材料で形成することが望ましい。
【0059】
スペーサ83が筐体82と接合体81との間に配置されていることにより、筐体82の長辺近傍に形成された締結部84に押圧力を加えたとしても、スペーサ83の受圧部85が筐体82から押圧力を受け、伝達部87を介して加圧部86が接合体81に押圧力を伝達するため、接合体81に加わる応力は締結部84から分散されて接合体81の略全面にわたって均一に加えられる。
【0060】
スペーサを配置しない比較例2に対してのスペーサ83の効果を確認するために、実施例1のシミュレーションモデルも比較例2と同様に、接合体81の電解質をポリエチレンナフタレートであるとし、筐体82をアルミニウムとした場合の材料物性値を用いる。また、筐体82の長手方向の辺に形成された締結部84に集中荷重を行い、接合体81の面方向に対して垂直に締結を行ったとして、有限要素法による接触構造解析で計算した。
【0061】
図9(b)に示した実施例1での接合体81に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図9(b)から明らかなように、スペーサ83を筐体82と接合体81との間に挿入したことによって、スペーサ83の伝達部87が形成されている領域近辺での接合体81に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0062】
したがって、スペーサ83として受圧部85と加圧部86と伝達部87とを有し、スペーサ83の長辺部分が長手方向に沿って受圧部85と加圧部86との二重構造を形成し、加圧部86が接合体81の略全面と接するものを用いることによって、筐体82に加えられた圧力をスペーサ83が分散して接合体81に伝達し、接合体81に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体81に加わる応力分布を均一化することによって、接合体81の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0063】
図10は本発明に係る実施例2であり、スペーサを配置した場合の燃料電池の構成を 図10(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を 図10(b)に示している。実施例2は、縦横の辺の長さが30mm×70mmの矩形状の接合体91と、接合体91に隣接して配置されるスペーサ93と、スペーサ93に隣接して配置される筐体92で構成される燃料電池である。実施例2においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0064】
スペーサ93は、接合体91と略同一の面積を有する矩形状の板状部材であり、筐体92側に形成された受圧部95と、接合体91側に形成された加圧部96と、受圧部95と加圧部96とを連結する伝達部97とを有している。受圧部95および加圧部96は接合体91と略同一の面積の平面部分であり、受圧部95と加圧部96との二重構造を形成し、その二重構造の間には伝達部97によって中空領域98が形成されている。
【0065】
受圧部95と加圧部96の面積は同一であり、受圧部95の全面が筐体92と接触し、加圧部96の略全面が接合体91と接触して圧力の伝達を行うため、接合体91の略全面に圧力が均一に加えられる。加圧部96が接合体91と面接触するために、スペーサ93は燃料ガスや酸素を透過するように多孔質な材料で形成することが望ましい。
【0066】
スペーサ93が筐体92と接合体91との間に配置されていることにより、筐体92の長辺近傍に形成された締結部94に押圧力を加えたとしても、スペーサ93の受圧部95が筐体92から押圧力を受け、伝達部97を介して加圧部96が接合体91に押圧力を伝達するため、接合体91に加わる応力は締結部94から分散されて接合体91の略全面にわたって均一に加えられる。
【0067】
スペーサを配置しない比較例2に対してのスペーサ93の効果を確認するために、実施例2のシミュレーションモデルも比較例2と同様に、接合体91の電解質をポリエチレンナフタレートであるとし、筐体92をアルミニウムとした場合の材料物性値を用いる。また、筐体92の長手方向の辺に形成された締結部94に集中荷重を行い、接合体91の面方向に対して垂直に締結を行ったとして、有限要素法による接触構造解析で計算した。
【0068】
図10(b)に示した実施例2での接合体91に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図10(b)から明らかなように、スペーサ93を筐体92と接合体91との間に挿入したことによって、接合体91のほぼ全面に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0069】
したがって、スペーサ93として受圧部95と加圧部96と伝達部97とを有し、受圧部95と加圧部96とが接合体91と略同一面積の二重構造を形成し、加圧部96が接合体91の略全面と接するものを用いることによって、筐体92に加えられた圧力をスペーサ93が分散して接合体91に伝達し、接合体91に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体91に加わる応力分布を均一化することによって、接合体91の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0070】
図11は参考例3であり、筐体を湾曲させて接合体に加わる応力の分散を図った場合の燃料電池の構成を図11(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を図11(b)に示している。参考例3は、縦横の辺の長さが30mm×70mmの矩形状の接合体101と、接合体101に隣接して配置される筐体102で構成される燃料電池である。参考例3においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0071】
筐体102は接合体101と略同一サイズの板状の部材であり、中央部分が接合体101方向に凸に湾曲した形状を成している。ここで湾曲の形状としては筐体102の全面が一様な曲率で湾曲しているとしてもよく、ボルトなどで締結を行う締結部104周辺部分を平面形状にするとしてもよい。参考例3は、図6(b)に示したように、平板の筐体を締結すると筐体は中央部分が接合体と反対側に膨らむ傾向があるため、その傾向と逆に予め筐体102を接合体101方向に膨らませて、接合体101に加わる応力分布の均一化を図ったものである。
【0072】
筐体102が接合体101に対して凸に湾曲した形状であり、筐体102の長辺近傍に形成された締結部104に押圧力を加えた場合には、筐体102と接合体101とは筐体102の突出した部分から接触し始める。締結部104に加えられる押圧力は、筐体102が変形して接合体101と全面にわたって接触するまで加えられる。このため、締結部104から接合体101に伝達される押圧力は接合体101の中央部分に分散されて、接合体101の略全面にわたって均一に加えられる。
【0073】
筐体が平坦な板状部材である比較例2に対しての筐体102の湾曲の効果を確認するために、参考例3のシミュレーションモデルも比較例2と同様に、接合体101の電解質をポリエチレンナフタレートであるとし、筐体102をアルミニウムとした場合の材料物性値を用いる。また、筐体102の長手方向の辺に形成された締結部104に集中荷重を行い、接合体101の面方向に対して垂直に締結を行ったとして、有限要素法による接触構造解析で計算した。
【0074】
図11(b)に示した参考例3での接合体101に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図11(b)から明らかなように、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とすることによって、接合体101の中央部分に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0075】
したがって、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とすることによって、締結部104に加えられた押圧力を筐体102の湾曲部分が分散して接合体101に伝達し、接合体101に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体101に加わる応力分布を均一化することによって、接合体101の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0076】
図12は、参考例4として第五の実施の形態と同様に、筐体の中央部分を接合体方向に凸に湾曲させ、接合体に加わる応力の分散を図った場合の燃料電池の構成を図12(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を図12(b)に示している。第五の実施の形態との相違点は、筐体に加える押圧力を接合体の面に平行に加える点であり、燃料電池のシミュレーションに用いる構造は第五の実施の形態と同様であるために同一の符号を用いて説明を行う。
【0077】
図12(b)に示した参考例4での接合体101に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図12(b)から明らかなように、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とし、筐体102の長辺に形成された締結部105において、接合体101の面に平行方向に押圧力を加えることによって、接合体101の中央部分に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0078】
したがって、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とし、接合体101の面に平行方向に押圧力を加えることによって、締結部105に加えられた押圧力を筐体102の湾曲部分が分散して接合体101に伝達し、接合体101に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体101に加わる応力分布を均一化することによって、接合体101の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0079】
図13は参考例5として、第五の実施の形態と同様に、筐体の中央部分を接合体方向に凸に湾曲させ、接合体に加わる応力の分散を図った場合の燃料電池の構成を図13(a)に断面図で示し、接合体に加わる応力分布のシミュレーション結果を図13(b)に示している。第五の実施の形態との相違点は、筐体に加える押圧力を接合体の面に平行方向と垂直方向に加える点であり、燃料電池のシミュレーションに用いる構造は第五の実施の形態と同様であるために同一の符号を用いて説明を行う。
【0080】
図13(b)に示した参考例5での接合体101に加わる応力分布を計算した結果では、図中で濃い黒色で示された領域は応力が小さい領域であり、薄い黒色で示された領域は応力が大きい領域である。図13(b)から明らかなように、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とし、筐体102の長辺に形成された締結部105において接合体101の面に平行方向に押圧力を加えるとともに、筐体102の長辺近傍に形成された締結部104において接合体101の面に垂直方向に押圧力を加えることによって、接合体101の中央部分および長辺近傍に加わる応力が増加しているのが分かる。
【0081】
したがって、筐体102の中央部分を接合体101方向に凸な湾曲形状とし、接合体101の面に平行方向および垂直方向に押圧力を加えることによって、締結部105に加えられた押圧力を筐体102の湾曲部分が分散して接合体101に伝達し、接合体101に加わる応力分布の均一化を図ることができる。上述した第一の実施の形態で説明したように、接合体101に加わる応力分布を均一化することによって、接合体101の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0082】
本実施の形態では、接合体を構成する集電体を加工することで筐体に加えられる押圧力を分散して、接合体の触媒層と電解質との真実接触面積を増加させる。図14に集電体を加工して接合体を形成した燃料電池の構成例を示す。本実施の形態においても筐体と空気流路板または燃料流路板とを一体として形成したとしている。
【0083】
図14(a)は、電解質111に集電体112,113を形成して接合体を構成し、筐体114の長辺近傍に形成された締結部115において、電解質111の面に垂直方向に押圧力を加える様子を示した断面図である。電解質111と接触して配される集電体112は電解質111と略同一サイズであり、電解質111と集電体112とは互いに略全面にわたって接触している。集電体113は、集電体112よりも小さく形成されて集電体112に隣接して中央部分に配されている。
【0084】
筐体114は平板な部材であるため、締結部115に押圧力を加えた場合には図6(b)に示したように中央部分が接合体と反対側に膨らんでしまう。そこで、接合体を構成する集電体を大小二枚の部材を重ね合わせた形状とすることによって、電解質111と集電体112の中央部分に加わる応力が増加するようにしたものである。
【0085】
図14(b)は、中央が電解質121方向に凸に湾曲した集電体122と電解質121とによって接合体を構成し、筐体124の長辺近傍に形成された締結部125において、電解質121の面に垂直方向に押圧力を加える様子を示した断面図である。電解質121に隣接して配される集電体122は電解質121と略同一サイズであり、中央部分が電解質121方向に凸に湾曲した形状となっている。
【0086】
筐体124は平板な部材であるため、締結部125に押圧力を加えた場合には図6(b)に示したように中央部分が接合体と反対側に膨らんでしまう。そこで、接合体を構成する集電体122の中央部分を電解質121方向に凸に湾曲した形状とすることによって、電解質121と集電体122の中央部分に加わる応力が増加するようにしたものである。
【0087】
図14(a)に示した大小二枚の集電体を重ね合わせた場合にも、図14(b)に示した集電体の中央を電解質方向に凸に湾曲させた場合にも、筐体の長辺近傍に加えられた押圧力は集電体によって分散され、電解質と集電体の中央部分での応力を増加させると考えられる。接合体に加わる応力分布を均一化することによって、接合体の触媒層と電解質とを密着させて触媒利用面積を増加させることや、接合体内部の接触抵抗を低減させることや、拡散層としての集電体での空隙性が一様となり、燃料の安定した拡散を維持し、出力の向上を図ることができる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように本願発明の燃料電池によれば、締結部に加えられた圧力をスペーサによって分散して接合体に伝えることにより、接合体に加わる圧力分布が均一なものになり、接合体の電解質と集電体とが均一に接触し電解質と集電体の界面の真実接触面積が増加する。電解質と集電体とが実際に接触する面積が広がることにより、発電反応が起こり易くなって燃料電池の発電効率が向上する。
【0089】
加えて、スペーサを、筐体から加えられる圧力を受ける受圧部と、接合体に圧力を加える加圧部と、受圧部と加圧部との間で力を伝達する伝達部とを有するものとし、加圧部と受圧部との間に二重構造を設け、二重構造の間に伝達部材によって中空領域が形成されている構造としたので、スペーサにより圧力の分散を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料電池の構成を示す分解斜視図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態で用いた燃料電池の分解図であり、図2(a)はスペーサを配置しない比較例1を示し、図2(b)は格子状のスペーサを配置した実施例1を示している。
【図3】 シミュレーションによって計算したスペーサを配置しない比較例1での接合体に加わる応力分布を示す図である。
【図4】 シミュレーションによって計算したスペーサを配置した実施例1での接合体に加わる応力分布を示す図である。
【図5】 比較例1と実施例1を用いて発電を行ったときの出力電流値と出力電圧値を示すグラフである。
【図6】 燃料電池を簡素化して筐体と接合体でモデル化した場合でのスペーサを配置しない比較例2を示す図であり、図6(a)は断面図であり、図6(b)はシミュレーションによって筐体と接合体の変形を計算した結果を示す図である。
【図7】 シミュレーションによって、スペーサを配置しない比較例2での接合体に加わる応力分布を示す図である。
【図8】 スペーサを筐体と接合体の間に配置した実施例2を示す図であり、図8(a)は断面図であり、図8(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図9】 スペーサを筐体と接合体の間に配置した実施例3を示す図であり、図9(a)は断面図であり、図9(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図10】 スペーサを筐体と接合体の間に配置した実施例4を示す図であり、図10(a)は断面図であり、図10(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図11】 筐体を湾曲させて圧力の分散を図った実施例5を示す図であり、図11(a)は断面図であり、図11(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図12】 筐体を湾曲させて圧力の分散を図った実施例6を示す図であり、図12(a)は断面図であり、図12(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図13】 筐体を湾曲させて圧力の分散を図った実施例7を示す図であり、図13(a)は断面図であり、図13(b)はシミュレーションによって接合体に加わる応力分布を計算した結果を示す図である。
【図14】 実施例8として接合体の集電体を加工することによって圧力の分散を図ったものであり、図14(a)は大小の集電体を重ね合わせた例を示し、図14(b)は集電体を湾曲させた例を示す。
【図15】 従来の燃料電池の構成を示す分解斜視図である。
【図16】 触媒層と電解質との接触する界面での微視的構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21,41,111,121 電解質
2,3,22,23,42,43,112,113,122 集電体
4,24,44,61,71,81,91,101 接合体
5,6,25,26,45,62,72,82,92,102,114,124筐体
7,27,47 燃料流路板
8,28 空気流路板
9,29 ボルト
10,11,30,31 触媒層
12,35,55 燃料流路
13,36 空気流路
14 真実接触面積
32,33,53,73,83,93 スペーサ
34,54 締結孔
37 開口部
63,74,84,94,104,105,115,125 締結部
75,85,95 受圧部
76,86,96 加圧部
77,87,97 伝達部
88,98 中空領域

Claims (4)

  1. 燃料電極集電体と酸素電極集電体とで電解質を挟持してなる接合体と、
    前記接合体の外部に配され前記接合体に圧力を加える締結部を有する筐体と、
    前記筐体と前記接合体との間に配置されて前記締結部からの圧力を分散させて前記接合体に伝えるスペーサとを備え、
    前記スペーサは矩形状の板状部材であり、前記筐体から加えられる圧力を受ける受圧部と、前記接合体に圧力を加える加圧部と、前記受圧部と前記加圧部との間で力を伝達する伝達部とを有すると共に、前記加圧部と受圧部との間に二重構造を有し、前記二重構造の間に前記伝達部材によって中空領域が形成されている、燃料電池。
  2. 前記加圧部は前記接合体側の全面に形成されると共に、前記受圧部は前記矩形の2つの長辺部分それぞれの前記筐体側に形成され、前記加圧部の面積が前記受圧部のそれよりも大きい、請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記加圧部は前記接合体側の全面に形成されると共に、前記受圧部は前記筐体側の全面に形成され、前記加圧部と前記受圧部との面積が同一である、請求項1記載の燃料電池。
  4. 前記スペーサが多孔質材料により形成されてなる、請求項1記載の燃料電池。
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