JP2006267651A - 顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非常に微小な領域の観測と同時に、非常に短い時間領域で起こる物性現象を高精度に捉えられる顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡70と時間分解分光ユニット80と導光手段91、92を有し、超短光パルス光源5と、超短光パルスを参照光とポンプ光とプローブ光に分岐する手段6と、プローブ光と参照光との合波手段3と、合波位置に到達するプローブ光と参照光との時間差調整手段10と、プローブ光と参照光とによる干渉縞を撮像する素子4を備え、導光手段91と素子4の間に2次元光波変換光学系1が配置されている。分岐手段6が、ポンプ光とプローブ光との空間分離手段と、試料に到達するポンプ光とプローブ光との時間差調整手段と、参照光とそれ以外の光を分岐する手段とを有し、さらに、前記空間分離手段で分離され、かつ、試料を通過した光からプローブ光のみを抽出する手段を有する。
【選択図】 図29

Description

本発明は、顕微鏡観察下において、微小領域内での時間分解分光を可能にする顕微鏡装置に関する。
顕微鏡を利用して時間分解分光を行う従来の技術として、例えば、次の特許文献1に記載のものがある。
特開平5−72480号公報
特許文献1に記載の技術は、被検物体上にパルス状のレーザ光を集光し、集光位置近傍の微小点からの蛍光を検出する。そして、この蛍光の時間変化特性に基づいて、分子間のエネルギー拡散(エネルギートランスファー)を計測するというものである。
特許文献1に記載の技術によれば、試料内に含まれる蛍光分子の寿命が、蛍光分子間距離によって変化することを利用して、蛍光分子周りの環境を解析することができる。
ところが、従来の技術には、次のような問題点があった。
従来の時間分解を行う装置において、計測対象としている時間領域は、蛍光の寿命程度である。しかるに、一般に、蛍光物質の蛍光寿命はナノ秒前後である。その程度の時間領域であれば、電子デバイスを利用した測定器によって容易に蛍光寿命を測定することができる。
しかし、化学変化などの物質内で起こる物性現象の中には、更に短い時間領域で変化が起こるものが多い。これらの時間領域で起こる物性変化は、特許文献1に記載のような従来技術を用いて測定することは、困難であった。
短い時間領域で起こる物性変化を測定する観察手法としては、例えば、超短光パルスを用いたポンプ−プローブ分光法がある。この手法では、試料に刺激を与えるためのポンプ光を試料に照射し、ポンプ光により刺激を受けた試料にポンプ光とは時間差をもってプローブ光を照射して、ポンプ光による試料の物性変化をプローブ光の特性変化から検出する。
しかるに、ポンプ光の強度は試料に刺激を与えるためにプローブ光に比べて強くせざるを得ない。このため、ポンプ光がプローブ光の検出位置に含まれると、プローブ光による検出精度が低いものとなってしまう。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、非常に微小な領域の観測と同時に、非常に短い時間領域(例えば、フェムト秒〜数十ピコ秒)で起こる物性現象を高精度に捉えることが可能な顕微鏡装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による顕微鏡装置は、光学顕微鏡と時間分解分光ユニットと、前記時間分解分光ユニットからの光を前記光学顕微鏡の内部に導く第1導光手段と前記光学顕微鏡からの光を前記時間分解分光ユニットの内部に導く第2導光手段を有し、前記時間分解分光ユニットが、超短光パルスを発振する超短光パルス光源と、前記超短光パルスを参照光とポンプ光とプローブ光とに分岐する分岐手段と、前記第2導光手段によって導かれたプローブ光と参照光とを合波する合波手段と、合波位置に到達するプローブ光と参照光との時間差を調整するプローブ光-参照光時間差調整手段と、プローブ光と参照光とが合波されることによって形成された干渉縞を撮像する撮像素子を備え、前記第2導光手段と前記撮像素子の間に2次元光波変換光学系が配置されている顕微鏡装置であって、前記分岐手段が、ポンプ光とプローブ光を空間的に分離するポンプ光-プローブ光空間分離手段と、前記光学顕微鏡内の試料に到達するポンプ光とプローブ光との時間差を調整するポンプ光-プローブ光時間差調整手段と、参照光とそれ以外の光を分岐する参照光分岐手段とを有し、さらに、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段を介して分離され、かつ、前記光学顕微鏡内の試料を通過した光からプローブ光のみを抽出するプローブ光抽出手段を有することを特徴としている。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段を介して分離され、かつ、前記参照光分岐手段を介して参照光側に分岐された光から参照光のみを抽出する参照光抽出手段を有するのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、所定肉厚を有する透明な平行平板の両面に半透過反射面を備えて構成された半透過反射素子と、前記半透過反射素子の一方の半透過反射面からの光を該一方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子の他方の半透過反射面からの光を該他方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子を有して構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子を有して構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記2つの反射面を有する反射素子が、2枚のミラーであるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記2つの反射面を有する反射素子が、直角をなす2つの面に夫々反射面を備えた直角プリズムであるのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射する2枚のミラーと、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子と、前記2枚のミラーで反射された光を反射する反射面と前記1つの反射面を有する反射素子で反射された光を透過する透過面を有するプリズムを有し、該プリズムの反射面で反射された光の光軸と該プリズムの透過面から射出した光の光軸とが平行となるように構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズと、該レンズからの光を反射する1つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を反射する1つの反射素子とで構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記半透過反射素子が、1つの半透過反射面を備えて構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記半透過反射素子が、所定肉厚を有する透明な平行平板の両面に半透過反射面を備えて構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、ポンプ光とプローブ光との空間的な分離量を調整可能な空間分離量調整手段を備えているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記空間分離量調整手段が、前記2つの反射面を有する反射素子を前記一方の光の入射光軸に対して垂直な方向に移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記空間分離量調整手段が、前記2枚のミラーのうちいずれか一方のミラーを該一方ミラーへの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記空間分離量調整手段が、前記プリズムを前記2枚のミラーを経て該プリズムに入射する光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記空間分離量調整手段が、前記一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズを、該一方の光の入射光軸に対して垂直に移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、前記半透過反射素子の一方の半透過反射面からの光を該一方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子の他方の半透過反射面からの光を該他方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子のいずれかを、当該半透過反射面からの光の入射方向に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、1つの半透過反射面を備えた半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、当該半透過反射面からの光の入射方向に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、1つの半透過反射面を備えた半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2枚のミラーと、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、該半透過反射素子からの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズ及び該レンズからの光を反射する1つの反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子からの他方の光を反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、当該半透過反射面からの光の入射方向に沿って移動可能な移動手段で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記プローブ光抽出手段が、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材で構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記プローブ光抽出手段が、更に、前記半透過反射素子と該半透過反射素子を透過する光路に設けられた反射素子との間、又は前記半透過反射素子と該半透過反射素子を反射する光路に設けられた反射素子との間に配置されたλ/4板と、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に配置された偏光板とを備えているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記プローブ光抽出手段が、更に、前記半透過反射素子と該半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子との間にλ/4板を備えると共に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に偏光板を備えて構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記プローブ光抽出手段が、更に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた第2の遮光部材を挟んで構成されたビームエキスパンダを備えて構成されているのが好ましい。
また、本発明の顕微鏡装置においては、前記参照光抽出手段が、前記参照光のみを通過させる開口を備えた遮光部材で構成されているのが好ましい。
本発明の顕微鏡装置によれば、微小な領域についての観察と同時に、フェムト〜ピコ秒領域の変調を受けたプローブ光の時間分解分光計測を高精度に行うことが可能な顕微鏡装置が得られる。
超短光パルスの持つ高い時間分解能を利用した計測技術として、特許第3018173号に記載の技術がある。この技術によれば、例えば化学反応などのフェムト秒〜ピコ秒領域の高速な物性現象の観察が可能である。
本発明の顕微鏡装置は、この時間分解能を計測する技術に着目した上で、さらにプローブ光を用いた検出精度を高めるべく想到したものである。
上記時間分解能の計測技術を図32を用いて説明する。
図32は極短光パルスの波形計測技術にかかる2次元光波変換光学系の概略構成を示す斜視図である。この図は、特許第3018173号公報にも記載されている。
2次元光波変換光学系は、ビームエキスパンダ300と、回折格子500と、第1シリンドリカルレンズ600と、フィルタ700と、第2シリンドリカルレンズ800とで構成されている。回折光学素子500は、透過型の回折光学素子である。この回折格子500は、第1シリンドリカルレンズ600の前側焦平面(前側焦点位置)に配置されている。また、フィルタ700は、第1シリンドリカルレンズ600の後側焦平面(後側焦点位置)に配置されている。なお、フィルタ700の位置は、第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面と一致している。また、第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面と、第1シリンドリカルレンズ600の前側焦平面は、互いに共役となっている。
図32の構成を用いた、変調を受けた超短光パルスの時間分解分光の計測過程を説明する。
まず、入射光束をビームエキスパンダ300で拡大して、回折格子500に斜入射させる。このときの光束を光線ごとに見た場合、回折格子500に斜入射する各光線は、回折格子500の入射面に同時に到達しているわけではない。すなわち、回折格子500のx軸方向についてみると、回折格子500の両端のうち、一端はビームエキスパンダ300に近く、他端はビームエキスパンダ300から遠く離れている。よって、上記一端に到達する光線と上記他端に到る光線との間には時間差が生じる。すなわち、回折格子500のx軸方向における位置ごとに、光線が到達する時間が異なる。そこで、ここでは図中の線分P−Qに沿う位置に到達した光線の時間分解分光について考える。
回折格子500は、入射した光を、各波長ごとにx軸方向に回折する格子形状を有している。よって、線分P−Q上に到達した光に含まれる各波長成分の各々は、異なる角度でx軸方向に回折される。そして、第1シリンドリカルレンズ600の後側焦平面上において集光する。このとき、x軸方向のみ集光されるので、y軸方向に細長い光束(光線)が、波長別にx軸方向に沿って並ぶことになる。
しかるに、フィルタ700は、図33に示すように、光遮光領域と光透過領域で構成されている。ここでは、光透過領域は開口である。この開口の形状は、x軸方向の増加に伴いy軸方向が増加する形状となっている。開口以外の領域は光遮光領域であるので、光を遮光する。
このため、フィルタ700を透過した光は、時間差をもって、y軸方向について異なる波長が分布することになる。
更に、第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面上において、y軸方向の波長分布は保存されるようになっている。第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面は、第1シリンドリカルレンズ600の前側焦平面と共役である。そのため、線分P−Qの位置と共役な線分P'−Q'の位置は、共役となる。このため、図34に示すように、線分P'−Q'の位置に沿って、異なる波長が並ぶことになる。
更に、回折格子500上での位置に応じて、光線の到達時刻が異なる。よって、第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面には、図34に示すように、y軸方向に波長が分布し、x軸方向に時間が矢印方向(図では左側方向)に変化して展開されたスペクトログラムが生成されることになる。以下、このスペクトログラムを2次元光波とする。
但し、2次元光波の時間変化は非常に高速であるため、通常の撮像デバイスでは時間変化を捉えることはできない。
このため、ゲートパルスと呼ばれる参照光を、第2シリンドリカルレンズ800の後側焦平面に同時に照射させる。このようにすることによって、スペクトログラムを干渉縞パターンとして取得する。
この2次元光波変換光学系は、試料によって何らかの変調を受けた光、特に超短光パルスの時間分解分光を可能とするものである。
しかしながら、上記2次元光波変換光学系は、主に、光通信分野や物理計測分野で用いられていた技術であった。
本件出願人は、微小領域の観察・測定においても、上記2次元光波変換光学系は有効であることに着目し、2次元光波変換光学系を顕微鏡装置に用いるという着想に想到するに至った。そのようにすれば、顕微鏡装置において、非常に微小な領域の観察と時間分解分光計測を同時に可能とすることができる。
しかるに、本件出願人は、試料に刺激を与えるためのポンプ光を試料に照射し、ポンプ光により刺激を受けた試料にポンプ光とは時間差をもってプローブ光を照射し、このプローブ光に参照光を重ねることで干渉縞パターンを得る構成の顕微鏡装置において、上記2次元光波変換光学系を用いることについて検討した。
ポンプ光は、光強度がプローブ光に比べて強い。このため、上記2次元光波変換光学系を用いた顕微鏡においても、ポンプ光が干渉縞の形成位置に含まれると、検出精度に悪影響を与えるという問題がある。
そこで、本件出願人は、本発明のように、ポンプ光とプローブ光とを空間的に分離する構成を想到するに至った。
本発明によれば、試料を変調後のポンプ光がプローブ光の検出位置に入り込まないので、非常に微小な領域の観察と時間分解分光計測を同時に高精度に行うことができる。
図1は本発明の各実施形態にかかる顕微鏡装置に共通の構成を示すブロック図、図2は図1の顕微鏡装置に用いる顕微鏡の一構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本発明の各実施形態にかかる顕微鏡装置は、顕微鏡70と時間分解分光ユニット80とを有する。そして更に、第1導光手段91と第2導光手段92を有している。第1導光手段91は、時間分解分光ユニット80からの光を、顕微鏡70の内部に導く。また、第2導光手段92は、顕微鏡70からの光を、時間分解分光ユニット80の内部に導く。このように、顕微鏡装置は、顕微鏡70で試料の観察を行うと同時に、観察対象となっている試料に対して時間分解分光ユニット80で時間分解分光を行うように構成されている。
時間分解分光ユニット80は、超短光パルス光源5と、分岐手段6と、プローブ光-参照光時間差調整手段10と、2次元光波変換手段1と、リレーレンズ2と、合波手段3と、撮像装置4を有して構成されている。
超短光パルス光源5は、超短光パルスを発振するように構成されている。
分岐手段6は、超短光パルスをポンプ光とプローブ光と参照光とに分岐するように構成されている。
プローブ光-参照光時間差調整手段10は、プローブ光と参照光の光路長差を調整可能に構成されている。すなわち、プローブ光と参照光とが合波手段3を介して撮像装置4に照射される際に、合波位置に到達する時間差を無くして干渉縞が生成するように構成されている。
第1導光手段91は、例えば、ミラーで構成されている。このミラーは、角度乃至位置調整が可能なステージに固定されている。このミラーの角度乃至位置を調整することで、時間分解分光ユニット80から射出された光を、顕微鏡70に入射させることができる。
第2導光手段92も、同様に、例えば、ミラーで構成されている。このミラーも、角度乃至位置調整が可能なステージに固定されている。このミラーの角度乃至位置を調整することで、顕微鏡70から射出した光を、時間分解分光ユニット80の内部に入射させることができる。
なお、第1導光手段91、第2導光手段92は、顕微鏡70と時間分解分光ユニット80のいずれかの内部に設けてもよいし、顕微鏡70及び時間分解分光ユニット80に対して独立して設けてもよく、配置場所は限定されない。
2次元光波変換手段1は、第2導光手段92によって導光された光を、2次元光波に変換するように構成されている。
リレーレンズ2は合波手段3を介して、2次元光波を撮像素子4の撮像面上に結像するように構成されている。
また、合波手段3は参照光を反射して、撮像素子4の撮像面上に参照光を照射するように構成されている。その結果、撮像素子4の撮像面上には、干渉縞パターンが形成される。
次に、顕微鏡70について説明する。
顕微鏡70は、試料を観察可能な光学顕微鏡であればよい。例えば、明視野観察、蛍光観察、微分干渉観察等などの観察が可能な構成であればよい。
図2に示した構成例では、顕微鏡70は、透過照明光源71と、透過照明光学系72と、観察用光学系73と、観察用撮像素子74と、試料台75と、蛍光用照明光源76と、蛍光用照明光学系77と、フィルタユニット772と、ビームスプリッタ723と、ダイクロイックミラー78を有して構成されている。
透過照明用光学系72は、コレクタレンズ721と、コンデンサレンズ722と、ビームスプリッタ723を有している。そして、透過照明用光学系72は、透過照明光源71が発した照明光を、試料Sに照明すると共に、ビームスプリッタ723を介して、ポンプ光とプローブ光を試料に照射することができる。図2の構成例では、透過照明光学系72は、さらに、偏光子724と、第1DIC(Differential Interference Contrast)フィルタ725を含んでいる。
観察用光学系73は、対物レンズ731と、第2DICフィルタ732と、検光子733と、結像レンズ734と、ビームスプリッタ735を有して構成されている。
検光子733と結像レンズ734との間には、ダイクロイックミラー78と、フィルタユニット772が配置されている。
フィルタユニット772は、励起フィルタ7721と、ダイクロイックミラー7722と、吸収フィルタ7723によって構成されている。励起フィルタ7721は、試料Sを照射するための励起光を選択するために用いられる。ダイクロイックミラー7722は、励起光を反射して試料S側に導くと共に、試料Sから発生した蛍光を透過する。吸収フィルタ7723は、試料Sから反射された励起光を遮断し、蛍光を透過する。
その他、試料台75は、x−yステージ752を備えている。よって、レンズ722、731に対する試料Sの相対位置を、自由に調整することができる。
次に、各実施形態において本発明に特有の構成について説明する。
(第1実施形態)
図3は本発明の第1実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。なお、第1実施形態の顕微鏡装置全体の基本構成及び顕微鏡の構成は、図1及び図2で示した構成と同じである。
第1実施形態の顕微鏡装置では、分岐手段6は、ビームスプリッタ62と、ミラー63と、光減衰素子630と、ミラー64と、微動ステージ65と、ビームスプリッタ723と、遮光部材としてのスペーシャルフィルタ66と、遮光部材としてのスペーシャルフィルタ67を有して構成されている。なお、図3中、912,911は、第1導光手段91を構成するミラーである。
ビームスプリッタ62は、所定肉厚を持つ透明な平行平板62aの両面に、夫々ハーフミラー面62b,62cを備えて構成されている。この所定の肉厚をビームスプリッタ62に持たせることで、ビームスプリッタ62では、入射光が、屈折作用により所定量シフトして出射する。
ミラー63,64は、夫々の入射光軸に対して垂直に配置されている。
微動ステージ65は、ミラー64への入射光軸に沿う方向に、ミラー64を移動可能に構成されている。
超短光パルス光源5から発振された超短光パルスは、ビームスプリッタ62を介して2つに分岐される。この2つ分岐された光の一方がポンプ光で、他方がプローブ光である。ここでは、ポンプ光は、ビームスプリッタ62のハーフミラー面62b,62cを透過し、ミラー64で反射される超短光パルスの光である。一方、プローブ光は、ビームスプリッタ62のハーフミラー面62bで反射され、ミラー63で反射される超短光パルスの光である。第1実施形態の顕微鏡装置では、これらのポンプ光とプローブ光を用いている。
微動ステージ65は、本発明におけるポンプ光-プローブ光時間差調整手段として機能する。ここでは、ポンプ光とプローブ光の光路長差を調整することによって、夫々の光が試料Sに到達する時間差を与える(時間遅延を生成する)ことができるようになっている。なお、図3の例では、ポンプ光がプローブ光よりも先に試料Sに到達するようにしている。
また、ビームスプリッタ62、ミラー63,64は、本発明におけるポンプ光-プローブ光空間分離手段として機能する。
すなわち、超短光パルス光源5を出射した光は、ビームスプリッタ62のハーフミラー面62bを介して透過光と反射光とに2分される。
透過光(ハーフミラー面62bを透過した光)は、所定肉厚の透明な平行平板62aで屈折して、ハーフミラー面62cに到達する。ハーフミラー面62cを透過した光は、ミラー64に入射し、ミラー64で反射されて逆向きの光路を辿り、ハーフミラー面62cに入射する。ハーフミラー面62cで反射された光は、ポンプ光として用いられる。ポンプ光は、図3において、破線で示す光路を辿る。
他方、反射光(ハーフミラー面62bで反射された光)は、ミラー63に入射し、ミラー36で反射されて逆向きの光路を辿り、ハーフミラー面62bに入射する。ハーフミラー面62bを透過した光は、所定肉厚の透明な平行平板62aで屈折して、ハーフミラー面62cに到達する。ハーフミラー面62cを透過した光は、プローブ光として用いられる。プローブ光は、図3において実線で示す光路を辿る。
これにより、ポンプ光とプローブ光は空間的に平行に分離される。
スペーシャルフィルタ66は、本発明におけるプローブ光抽出手段として機能する。すなわち、スペーシャルフィルタ66は、平行に分離されて入射した光のうち、プローブ光のみを開口66aを介して通過させ、その他の光を遮光する。
また、スペーシャルフィルタ67は、本発明における参照光抽出手段として機能する。すなわち、スペーシャルフィルタ67は、平行に分離されて入射した光のうち、参照光(ここではポンプ光)のみを開口67aを介して通過させ、その他の光(ここではプローブ光)を遮光する。
なお、上述したように、通常、ポンプ‐プローブ法では、ポンプ光を試料に刺激を与えるための光、プローブ光をポンプ光により刺激を与えられた後の試料の反応を検出するための光として使用する。そして、通常、ポンプ光の強度は、試料を刺激するために強く、プローブ光の強度は、試料を刺激しないように弱くする必要がある。
このため、光減衰素子630が、ビームスプリッタ62とミラー63との間に設けられている。光減衰素子630は、試料Sに照射するためのプローブ光の強度を弱めるために用いられる。
このように構成された第1実施形態の顕微鏡装置では、超短光パルス光源5を出射した光は、ビームスプリッタ62、ミラー63、ミラー64、微動ステージ65を介して、ポンプ光とプローブ光に分離される。このとき、ポンプ光とプローブ光は、時間的、空間的に分離されており、両者は、ビームスプリッタ723に入射する。
ビームスプリッタ723で反射されたポンプ光とプローブ光は、コンデンサレンズ722の入射瞳に入射する。このとき、ポンプ光とプローブ光は、時間的、空間的に分離され、互いに平行な光路を辿っている。図3の例では、ポンプ光をコンデンサレンズ722の光軸からシフトするようにすると共に、プローブ光をコンデンサレンズ722の光軸に一致するようにして、夫々入射させている。そして、ポンプ光とプローブ光は、時間差を持ちながら、コンデンサレンズ722を介して、試料Sの同一微小領域に照射される。さらに、試料Sを透過後は、ポンプ光とプローブ光は、再び、空間的に分離される。次いで、ポンプ光とプローブ光は、対物レンズ731を介して互いに平行な光路となり、第2DICフィルタ732、検光子733、ダイクロイックミラー78を経由し、スペーシャルフィルタ66に到達する。スペーシャルフィルタ66を介してポンプ光が遮光され、プローブ光のみが開口66aを通過する。これにより、図1に示した2次元光波手段1には、プローブ光のみが到達する。
他方、ビームスプリッタ723を透過したポンプ光とプローブ光に相当する夫々の光は、スペーシャルフィルタ67に到達する。スペーシャルフィルタ67を介してプローブ光に相当する光が遮光され、ポンプ光に相当する光のみが開口67aを通過し参照光として用いられる。
(第1変形例)
なお、第1実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段6は、図4のように構成してもよい。図4は図3に示した分岐手段6の一変形例の構成を示す説明図である。
本変形例の分岐手段6では、図3に示した分岐手段6の構成において、λ/4板791がビームスプリッタ62とミラー64の間に配置されるとともに、偏光子792がスペーシャルフィルタ66の通過側光路に配置されている。偏光子792は、ポンプ光の直線偏光成分を遮光し、ポンプ光の直線偏光成分に直交する直線偏光成分を透過させるように構成されている。その他の構成は図3の構成と同じである。
このように構成された本変形例の分岐手段6を用いた顕微鏡装置では、λ/4板791と偏光子792は、スペーシャルフィルタ66を補完するプローブ光抽出手段として機能する。すなわち、超短光パルス光源5を出射し、ビームスプリッタ62のハーフミラー面62b,62cを透過し、ミラー64で反射されて再びビームスプリッタ62に入射する光は、λ/4板791を2回通過する。このため、直線偏光成分が90度回転する。従って、図4において破線で示す光路を辿るポンプ光と実線で示す光路を辿るプローブ光は、互いの直線偏光成分が直交した状態で試料Sを夫々通過し、ダイクロイックミラー78で反射され、スペーシャルフィルタ66を介してプローブ光のみが通過し、その他の光(ポンプ光)が遮光される。
ところで、上述のように、ポンプ光は試料Sに刺激を与えるために、プローブ光に比べて光強度が非常に強くする必要がある。ここで、ポンプ光の大部分は、スペーシャルフィルタ66を介して遮光される。しかしながら、僅かな量のポンプ光が、スペーシャルフィルタ66の開口66aを通過する可能性がある。一方、プローブ光は、ポンプ光に比べて光の強度が弱い。
このため、開口66aを通過した僅かな量のポンプ光が、プローブ光の検出に悪影響を与えてしまうおそれがある。そこで、これを防ぐために、本変形例では、ポンプ光とプローブ光の直線偏光成分が互いに直交するようにし、スペーシャルフィルタ66を通過後の光を偏光子792に入射させるようにしている。よって、偏光子792に入射した光のうち、ポンプ光をより確実に遮光し、プローブ光を透過させることができる。これにより、スペーシャルフィルタ66だけでは十分に除去しきれなかったポンプ光が、十分に除去される。
なお、本変形例のように分岐手段6を構成した場合には、スペーシャルフィルタ67を通過した参照光の光路上にλ/2板を配置して、参照光の直線偏光成分を90°回転させる。これにより参照光とプローブ光の直線偏光成分の同じ向きとなって合波手段3を介して合波され、干渉縞を生成させることができる。尚、図示はしないが、λ/2板を用いる代わりに、2枚のミラーによって、偏光方向を回転させることも可能である。よって、2枚のミラーを、新たに加えてもよい。
(第2変形例)
また、第1実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段6は、図5のように構成してもよい。図5は、図3に示した分岐手段6の他の変形例の構成を示す説明図である。
本変形例の分岐手段6では、図3に示した分岐手段6の構成において、ビームエキスパンダ793が、スペーシャルフィルタ66の通過側(光射出側)に配置されている。ビームエキスパンダ793は、スペーシャルフィルタ66側のレンズ7931と、レンズ7932を備えている。更に、ビームエキスパンダ793は、第2の遮光部材としてのスペーシャルフィルタ794を内部に備えている。ビームエキスパンダ793では、その内部で光が集光される。スペーシャルフィルタ794は、この集光位置よりもレンズ7931に近い位置に配置されている。その他の構成は図3の構成と同じである。
このように構成された本変形例の分岐手段6を用いた顕微鏡装置では、ビームエキスパンダ793が、スペーシャルフィルタ66を補完するプローブ光抽出手段として機能する。すなわち、スペーシャルフィルタ66を介して大部分のポンプ光が遮光され、プローブ光と極くわずかなポンプ光とが開口66a通過する。次いで、ビームエキスパンダ793のレンズ7931を介して、プローブ光と極くわずかなポンプ光が集光されてスペーシャルフィルタ794に到達する。このとき、大部分のプローブ光は、レンズ7931の光軸上に集光するため、スペーシャルフィルタ794の開口794aを通過する。一方、軸外光であるポンプ光は光軸から離れた位置に集光するため、スペーシャルフィルタ794を介して遮光される。これにより、スペーシャルフィルタ66だけでは十分に除去しきれなかったポンプ光が、十分に除去される。
(第3変形例)
また、第1実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段6は、図6のように構成してもよい。
図6は図3に示した分岐手段6のさらに他の変形例の構成を示す要部説明図、図7は図6に示したビームスプリッタ621の拡大図、図8は図6に示したミラー622の拡大図である。
本変形例の分岐手段6は、光源5から導光手段91に至るまでの光路上に、ビームスプリッタ621と、ミラー63と、光減衰素子630と、ミラー641,642と、微動ステージ643と、プリズム622を備えている。なお、微動ステージ643は、図3の構成における微動ステージ65に相当する。
このように構成された本変形例の顕微鏡装置では、超短光パルス光源5から発振された超短光パルスは、ビームスプリッタ621を介して2つに分岐される。この2つ分岐された光の一方がポンプ光で、他方がプローブ光である。ここでは、ポンプ光は、ビームスプリッタ621の面621b,621cを透過し、ミラー641,642、プリズム622で反射される超短光パルスの光である。一方、プローブ光は、ビームスプリッタ621の面621bで反射され、ミラー63で反射される超短光パルスの光である。本変形例の顕微鏡装置では、これらのポンプ光とプローブ光を用いている。
ビームスプリッタ621は、透明な基板621aの一方の面621cに、反射防止膜が製膜されて構成されている。なお、面621cの反対側の面621bには反射防止膜は製膜されていない。
プリズム622は、光軸に沿う断面形状が平行四辺形形状の透明部材622aで構成されている。そして、透明部材622aの一つの面622cのみに、反射膜が蒸着されている。そして、プリズム622は、ポンプ光に対してはミラーとして機能し、プローブ光に対してはプリズムとして機能する。
ビームスプリッタ621の基板621aの面621bを透過した光は、基板621aで屈折して面621cに到達する。面621cを透過した光は、ミラー641,642で反射され、プリズム622の反射面622cで反射され、図6に示すようにポンプ光として用いられる。
他方、ビームスプリッタ621の基板621aの面621bで反射された光は、ミラー63に入射し、ミラー63で反射されて逆向きの光路を辿り、面621bに入射する。面621bを透過した光は、基板621aで屈折して、面621cに到達する。面621cを透過した光は、プリズム622の面622bに入射し、面622bを透過して透明部材622aで屈折して、面622dに到達する。面622dを透過した光は、図6に示すようにプローブ光として用いられる。
このとき、ビームスプリッタ621の面621cには、反射防止膜が製膜されている。よって、面621cに到達したポンプ光-プローブ光を、反射による光量ロスを低減して透過させることができる。
なお、プリズム622におけるプローブ光が透過する面622b,622dには、反射防止膜を備えるようにしてもよい。このようにすると、プローブ光の反射による光量ロスを、更に低減することができるので好ましい。
また、プローブ光がブリュースター角を満足する入射角度で面622bに入射するように、プリズム622の傾きを調整して配置してもよい。このようにすることで、反射による光量ロスを低減することができる。
(第4変形例)
また、図6の変形例として、プリズム622の代わりに、図9に示すようなプリズム623を用いて構成しても良い。
プリズム623は、図10に示すように、断面形状が台形形状の透明部材623aで構成されている。そして、透明部材623aの斜面623cに、ポンプ光反射用の反射膜が製膜されている。
その他の構成は図6の構成とほぼ同じである。
第3変形例及び第4変形例では、プリズム622或いはプリズム623で反射された光が、ポンプ光になる。一方、プリズム622或いはプリズム623を透過した光が、プローブ光になる。そして、これら変形例における微動ステージ643は、ミラー642を所定の方向に移動させる。このようにすることにより、ポンプ光と、プローブ光の空間分離量を調整できる。
なお、第3及び第4変形例において、ミラー642を入射光軸に沿って移動させる代わりに、プリズム622或いはプリズム623をミラー642側の入射光軸に沿って移動させるように微動ステージを設けてもよい。
(第2実施形態)
図11は本発明の第2実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。なお、第2実施形態の顕微鏡装置全体の基本構成及び顕微鏡の基本構成は、図1及び図2で示した構成と同じである。
第2実施形態の顕微鏡装置では、分岐手段6は、ビームスプリッタ61と、ビームスプリッタ62’と、ミラー63と、光減衰素子630と、ミラー641と、ミラー642と、微動ステージ643と、微動ステージ65と、スペーシャルフィルタ66を有して構成されている。なお、図11中、912,911は第1導光手段91を構成するミラーである。また、922は第2導光手段を構成するミラーである。
ビームスプリッタ62’は、薄板状のハーフミラー面62a’で構成されている。
ミラー63は、入射光軸に対して垂直に配置されている。
ミラー641,642は、ミラー641への入射光軸に対して傾斜し、かつ、ミラー641で反射され、ミラー642で反射された光の光軸が、ミラー641への入射光軸に対して所定量シフトするように配置されている。
微動ステージ643は、ミラー641及びミラー642を、ミラー641への入射光軸に対して垂直な方向に移動可能に構成されている。
微動ステージ65は、ミラー641,642を載置した微動ステージ643を、ミラー641への入射光軸に沿う方向に移動可能に構成されている。
超短光パルス光源5から発振された超短光パルスは、ビームスプリッタ61を介して2つに分岐される。実施形態2の顕微鏡装置では、ビームスプリッタ61で反射された超短光パルスを参照光として用いている。ビームスプリッタ61を透過した超短光パルスは、ビームスプリッタ62’を介して、更に2つに分岐される。この2つ分岐された光の一方がポンプ光で、他方がプローブ光である。ここでは、ポンプ光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’を透過し、ミラー641,642で反射される超短光パルスの光である。一方、プローブ光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’で反射され、ミラー63で反射される超短光パルスの光である。本実施形態の顕微鏡装置では、これらのポンプ光とプローブ光を用いている。
微動ステージ65は、本発明におけるポンプ光-プローブ光時間差調整手段として機能する。ここでは、ポンプ光とプローブ光の光路長差を調整することによって、夫々の光が試料Sに到達する時間差を与える(時間遅延を生成する)ことができるようになっている。なお、図11の例では、ポンプ光がプローブ光よりも先に試料Sに到達するようにしている。
また、ビームスプリッタ62’、ミラー63,641,642は、本発明におけるポンプ光-プローブ光空間分離手段として機能する。
すなわち、超短光パルス光源5を出射しビームスプリッタ61を透過した光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’を介して、透過光と反射光とに2分される。
透過光(ハーフミラー面62a’を透過した光)は、ミラー641に入射し、ミラー641,642で反射される。これにより、ミラー642で反射された光、入射光の光路に対して平行にシフトした光路を辿り、ハーフミラー面62a’に入射する。ハーフミラー面62a’で反射された光は、図11において破線で示す光路を辿るポンプ光として用いられる。
他方、反射光(ハーフミラー面62a’で反射された光)は、ミラー63で反射されて逆向きの光路を辿り、ハーフミラー面62a’に入射する。ハーフミラー面62a’を透過した光は、図11において実線で示す光路を辿るプローブ光として用いられる。
これにより、ポンプ光とプローブ光は空間的に平行に分離される。
また、微動ステージ643は、本発明における空間分離量調整手段として機能する。
すなわち、微動ステージ643を介して、ミラー641及びミラー642を、ミラー641への入射光軸に対して垂直な方向に移動させる。このようにすると、ミラー641へ光が入射した際、入射する光のミラー641における入射位置が変化する。これに伴い、ミラー641へ入射する光の光軸と、ミラー642で反射される光の光軸との間隔が変化する。その結果、ミラー642で反射されハーフミラー面62a’で反射された光の光軸と、ミラー63で反射されハーフミラー面62a’を透過した光の光軸との間隔が変化する。
このため、微動ステージ643により、ミラー641及びミラー642の移動量を調整することで、ポンプ光とプローブ光の空間的分離量を調整することができる。
第1実施形態の分岐手段6では、ビームスプリッタ62は、所定肉厚を持つ透明な平行平板62aであって、その両面にハーフミラー面62b,62cを備えていた。この構成では、屈折作用により、入射光を所定量シフトして出射させることで、ポンプ光とプローブ光を空間で分離し、かつ両者を平行に伝播させることができる。しかし、第1実施形態の分岐手段6の場合、空間的な分離量は、ビームスプリッタ62の平行平板62aの肉厚に依存し、固定されたものとなる。これに対し、第2実施形態の分岐手段6では、ミラー641,642を、ミラー641への入射光軸に対して傾斜して配置し、かつ、微動ステージ643を介して、ミラー641及びミラー642をミラー641への入射光軸に対して垂直な方向に移動させるようにした。これにより、ミラー642で反射された光が、ミラー641への入射光に対して所定量シフトする。よって、本実施形態では、ポンプ光とプローブ光の空間的分離量を、微調整することができる。
また、スペーシャルフィルタ66は、本発明におけるプローブ光抽出手段として機能する。すなわち、スペーシャルフィルタ66は、平行に分離されて入射した光のうち、プローブ光のみを開口66aを介して通過させ、その他の光を遮光する。
なお、上述したように、通常、ポンプ‐プローブ法では、ポンプ光を試料に刺激を与えるための光、プローブ光をポンプ光により刺激を与えられた後の試料の反応を検出するための光として使用する。そして、通常、ポンプ光の強度は、試料を刺激するために強く、プローブ光の強度は、試料を刺激しないように弱くする必要がある。
このため、光減衰素子630がビームスプリッタ62’とミラー63との間に設けられている。光減衰素子630は、試料Sに照射するためのプローブ光の強度を弱めるために用いられる。
このように構成された第2実施形態の顕微鏡装置では、超短光パルス光源5を出射した光は、ビームスプリッタ61を介して2分される。ビームスプリッタ61で反射された光は、参照光として用いられる。
ビームスプリッタ61を透過した光は、ビームスプリッタ62’、ミラー63、ミラー641、ミラー642、微動ステージ643、微動ステージ65を介して、ポンプ光とプローブ光に分離される。このとき、ポンプ光とプローブ光は、空間的、時間的に分離されており、両者はミラー723に入射する。
ビームスプリッタ723で反射されたポンプ光とプローブ光は、コンデンサレンズ722の入射瞳に入射する。このとき、ポンプ光と、プローブ光は、時間的、空間的に分離され、互いに平行な光路を辿っている。図11の例では、ポンプ光をコンデンサレンズ722の光軸からシフトするようにすると共に、プローブ光をコンデンサレンズ722の光軸に一致するようにして、夫々入射させている。そして、ポンプ光とプローブ光は、時間差を持ちながら、コンデンサレンズ722を介して、試料Sの同一微小領域に照射される。さらに、試料Sを透過後は、再び、空間的に分離される。次いで、ポンプ光とプローブ光は、対物レンズ731を介して互いに平行な光路となり、第2DICフィルタ732、検光子733、ダイクロイックミラー78を経由し、スペーシャルフィルタ66に到達する。スペーシャルフィルタ66を介してポンプ光が遮光され、プローブ光のみが開口66aを通過する。これにより、図1に示した2次元光波手段1には、プローブ光のみが到達する。
なお、第2実施形態の顕微鏡装置では、薄板状のハーフミラー面62a’で構成されたビームスプリッタ62’を用いたが、ビームスプリッタ62’の代わりに第1実施形態の顕微鏡装置におけるビームスプリッタ62を用いてもよい。
また、ミラー641,642の代わりに、直角をなす2つの面に夫々反射面を備えた直角プリズムを用いてもよい。
また、第2実施形態の顕微鏡装置においても、第1実施形態の顕微鏡装置の第1変形例と同様に、図12に示すように、λ/4板791を、ビームスプリッタ62’とミラー64の間に配置するとともに、偏光子792を、スペーシャルフィルタ66の通過側光路に配置してもよい。この偏光子792は、ポンプ光の直線偏光成分を遮光し、ポンプ光の直線偏光成分に直交する直線偏光成分を透過させる機能を有する素子である。
また、第1実施形態の第2変形例と同様に、図13に示すように、スペーシャルフィルタ794を内部に備えたビームエキスパンダ793を、スペーシャルフィルタ66の通過側に配置してもよい。
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。なお、第3実施形態の顕微鏡装置全体の基本構成及び顕微鏡の基本構成は、図1及び図2で示した構成と同じである。
第3実施形態の顕微鏡装置では、分岐手段6は、ビームスプリッタ61と、ビームスプリッタ62’と、ミラー63と、光減衰素子630と、レンズ644と、ミラー643と、微動ステージ643と、微動ステージ643と、スペーシャルフィルタ66を有している。なお、912,911は、第1導光手段91を構成するミラーである。また、922は、第2導光手段を構成するミラーである。
ビームスプリッタ62’は、薄板状のハーフミラー面62a’で構成されている。
ミラー63,64は、夫々の入射光軸に対して垂直に配置されている。
レンズ644は、レンズ644への入射光軸に対して所定量シフトして配置されている。また、レンズ644は、通常の球面レンズで構成されている。なお、レンズ644は、シリンドリカルレンズで構成することもできる。
微動ステージ643は、レンズ644を、レンズ644への入射光軸に対して垂直な方向に、移動可能に構成されている。
微動ステージ65は、レンズ644を載置した微動ステージ643を、レンズ644への入射光軸に沿う方向に、移動可能に構成されている。
超短光パルス光源5から発振された超短光パルスは、ビームスプリッタ61を介して2つに分岐される。実施形態3の顕微鏡装置では、ビームスプリッタ61で反射された超短光パルスを、参照光として用いている。ビームスプリッタ61を透過した超短光パルスは、ビームスプリッタ62’を介して、更に2つに分岐される。この2つ分岐された光の一方がポンプ光で、他方がプローブ光である。ここでは、ポンプ光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’を透過し、レンズ644を経て,ミラー64で反射される超短光パルスの光である。一方、プローブ光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’で反射され、ミラー63で反射される超短光パルスの光である。本実施形態の顕微鏡装置では、これらのポンプ光とプローブ光を用いている。
また、ビームスプリッタ62’、ミラー63、レンズ644、ミラー64は、本発明におけるポンプ光-プローブ光空間分離手段として機能する。
すなわち、超短光パルス光源5を出射しビームスプリッタ61を透過した光は、ビームスプリッタ62’のハーフミラー面62a’を介して、透過光と反射光とに2分される。
透過光(ハーフミラー面62a’を透過した光)は、レンズ644を経て、ミラー64に入射する。ミラー64で反射された光は、レンズ644を経て、入射光の光路に対して平行にシフトした光路を辿り、ハーフミラー面62a’に入射する。ハーフミラー面62a’で反射された光は、図14において破線で示す光路を辿るポンプ光として用いられる。
他方、反射光(ハーフミラー面62a’で反射された光)は、ミラー63で反射されて逆向きの光路を辿り、ハーフミラー面62a’に入射する。ハーフミラー面62a’を透過した光は、図14において実線で示す光路を辿るプローブ光として用いられる。
これにより、ポンプ光とプローブ光は空間的に平行に分離される。
また、微動ステージ643は、本発明における空間分離量調整手段として機能する。
すなわち、微動ステージ643を介して、レンズ644を、レンズ644への入射光軸に対して垂直な方向に移動させる。このようにすると、レンズ644へ光が入射した際、入射する光の入射位置が変化する。これに伴い、レンズ644に入射する光の光軸と、ミラー64で反射されレンズ644で出射する光の光路との間隔が変化する。その結果、レンズ644を出射してハーフミラー面62a’で反射された光の光路と、ミラー63で反射されハーフミラー面62a’を透過した光の光軸との間隔が変化する。
このため、微動ステージ643により、レンズ644の移動量を調整することで、ポンプ光とプローブ光の空間的分離量を調整することができる。
その他の構成は、第2実施形態の顕微鏡装置とほぼ同じである。
このように構成された第3実施形態の顕微鏡装置では、超短光パルス光源5を出射した光が、ビームスプリッタ61を介して2分される。ビームスプリッタ61で反射された光は、参照光として用いられる。
ビームスプリッタ61を透過した光は、ビームスプリッタ62’、ミラー63、レンズ644、ミラー64、微動ステージ643、微動ステージ65を介して、ポンプ光とプローブ光に分離される。このとき、ポンプ光とプローブ光は、空間的、時間的に分離されており、両者はビームスプリッタ723に入射する。
その他の作用は、第2実施形態の顕微鏡装置とほぼ同じである。
なお、第3実施形態の顕微鏡装置では、薄板状のハーフミラー面62a’で構成されたビームスプリッタ62’を用いたが、ビームスプリッタ62’の代わりに第1実施形態の顕微鏡装置におけるビームスプリッタ62を用いてもよい。
なお、第3実施形態の顕微鏡装置においても、第1実施形態の顕微鏡装置の第1変形例と同様に、図15に示すように、λ/4板791を、ビームスプリッタ62’とミラー64との間に配置するとともに、偏光子792をスペーシャルフィルタ66の通過側光路に配置してもよい。この偏光子792は、ポンプ光の直線偏光成分を遮光し、ポンプ光の直線偏光成分に直交する直線偏光成分を透過させる機能を有する素子である。
また、第1実施形態の第2変形例と同様に、図16に示すように、スペーシャルフィルタ794を内部に備えたビームエキスパンダ793を、スペーシャルフィルタ66の通過側に配置してもよい。
このような第1〜第3実施形態の分岐手段6に、次のような2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10の組み合わせを適用して本発明の時間分解分光ユニット80を構成することができる。その構成例を図17〜図28に示す。
図17は第1〜第3実施形態の分岐手段6に適用可能な2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10の組み合わせについての一構成例を示す斜視図、図18は図17の構成例におけるフィルタ141上のプローブ光の分布を示す説明図、図19は図17の構成例におけるフィルタ141の開口を示す説明図、図20は図17の構成例におけるフィルタ141を通過するプローブ光の波長分布を示す説明図、図21は図17の構成例における2次元光波変換手段1によって生じる2次元光波分布を示す説明図、図22は図17の構成例における2次元光波変換手段1に用いられる回折格子アレイ15を示す説明図、図23は図17の構成例における面F3’と面F4’の光軸に対する傾き角度θ,φの関係を示す説明図である。
図17の構成例では、2次元光波変換手段1は、ビームエキスパンダ11と、回折格子12と、正の屈折力をもつ第1シリンドリカルレンズ131と、フィルタ141と、正の屈折力をもつ第2シリンドリカルレンズ132と、回折格子アレイ15とで構成されている。なお、図17中、34,115は光減衰素子である。
ビームエキスパンダ11は、回転対称なレンズ111,112からなり、プローブ光の光束径を拡大するように構成されている。また、ビームエキスパンダ11は、回折格子12に光を斜入射させるように配置されている。
回折格子12は、透過型の回折格子である。ただし、反射型の回折格子であっても構わない。回折格子12は、第1シリンドリカルレンズ131の前側焦平面F1の法線に対して所定の角度θ(ここでは、45°)傾いたF1’面近傍に配置され、順次照射されるプローブ光を、x軸方向に回折させる。
第1シリンドリカルレンズ131は、回折格子12で回折されたプローブ光の波長成分を、後側焦平面F2上に分布させる。分布の様子を、図18に示す。
フィルタ141は、第1シリンドリカルレンズ131の後側焦平面F2近傍に配置されている。そして、図19に示すように、左斜め下から右斜め上に向かって形成された細長い開口を備えている。回折格子12にプローブ光が斜入射されることで、x軸方向の入射位置に応じて反射照射時間がずれる。このようにして得たプローブ光は、複数の波長成分から構成されている。そこで、フィルタ141を用いて、各波長成分を、y軸(光軸(z軸)に対し垂直となる上下方向の軸)の各位置ごとに抽出する。その結果、図20に示すように、y軸方向に関して異なる波長が分布するように、フィルタリングが行われる。フィルタ141の開口を透過したプローブ光は、第2シリンドリカルレンズ132に入射する。その際、プローブ光は、各波長がx−z面に対して平行となって、y軸方向に並んだ状態になっている。
第2シリンドリカルレンズ132に入射した各波長の光は、第2シリンドリカルレンズ132の後側焦平面F3近傍の面F3’に結像する。なお、面F3’の位置と回折格子12の位置は、共役な位置関係となっている。その結果、図21に示すように、各波長の光は、x軸方向に時間が展開され、y軸方向に波長が展開された状態(2次元光波)に変換される。すなわち、プローブ光は、(1)x軸方向の各位置における光については、連続した時間遅延が生じており、(2)y軸方向の各位置における光については、プローブ光を構成する各波長の光が分解されて分布していることになる。ここでの、プローブ光の2次元光波とは、x軸方向に連続して多重化されたプローブ光に時間遅延が生じ、かつ、y軸方向にはプローブ光を構成する各波長の光が分解されて分布している状態となっていることを意味する。
回折格子アレイ15は、面F3’に配置されている。そして、図22に示すように、波長毎に異なる格子定数(周期)の回折格子15A〜Kが、y軸方向に並んで形成されている。一方、図21に示すように、第2シリンドリカルレンズ132の後側焦平面F3近傍の面F3’上の2次元光波は、各波長の光が、y軸方向に空間的に分離されている。このため、回折格子アレイ15を介して、プローブ光の各波長の回折方向をそろえることができる。各波長の光の進行方向は、x軸方向に角度分布を持っている(ばらついている)。そこで、回折格子アレイ15によって、このx方向の角度分布を小さくすることができる。つまり、図21に示すように、2次元光波は、F3’面上でy軸方向に波長が空間的に分離されて展開されているので、夫々の波長に関して、周期を変化させた回折格子アレイを用意することで、各波長の回折後の伝播方向を揃えることができる。
図17の構成例では、F3’面を出射後の各波長の角度分布が、回折格子アレイ15を介して、ほぼ0になるように構成されている。
リレーレンズ2は、レンズ21とレンズ22とからなり、光軸に対して角度φだけ傾いた撮像面F4’上に、2次元光波像S4を結像する。
ここで、面F3’と面F4’の光軸に対する傾き角度θ,φの関係について図23を用いて説明する。
リレーレンズ2のレンズ21,22の焦点距離を夫々f21,f22とし、面F3’上の2次元光波像S3の長さをL3、面F4’上の2次元光波像S4の長さをL4とする。面F3’と面F4’とが結像関係にあるとき、それらの面に沿う線の延長が交わる点Uは、レンズ21とレンズ22の間に存在する焦点位置Lを通り光軸に対して垂直な仮想線上に存在する。このため、次の関係式(1)を満足する。
2f21tan(π/2−θ)=2f22tan(π/2−φ) ・・・(1)
これより、面F4’の傾き角度φと、面F4’での2次元光波像サイズL4は夫々次の式(2),(3)として求められる。
tanφ=f22/f21tanθ=Mtanθ ・・・(2)
M=f22/f21 ・・・(3)
L4=ML3cosθ/cosθ ・・・(4)
ここで、Mはリレーレンズ2の倍率を表している。
式(2)より、次の(2-1)、(2-2)のことが言える。
M > 1のとき、φ > θ ・・・(2-1)
M < 1のとき、φ < θ ・・・(2-2)
つまり、リレーレンズ2が縮小倍率を持てば、2次元光波像S4のあるF4’面の傾き角度φは、2次元光波像S3のあるF3’面の傾き角度45°よりも小さくなるので、時間分解分光用撮像素子4におけるシェーディングの影響を減少させることができる。
F4’面上に2次元光波像S4が結像されるとき、同時に、合波手段3を介して、参照光が、撮像面F4面上に照射される。すると、撮像面F4面上では、2次元光波像S4と参照光による干渉が生じ、プローブ光のスペクトログラムが、干渉縞パターンとして生成される。これにより、プローブ光に含まれる波長成分の時間変化を、計測することができる。
プローブ光-参照光時間差調整手段10は、ミラー101,102,103と、微動ステージ104とで構成されている。そして、微動ステージ104に固定されたミラー101,102を、ミラー101の入射光軸方向に移動させることができる。この移動によって、プローブ光と参照光の光路長がほぼ等しくなるように調整することができる。
合波手段3は、ビームエキスパンダ33と、ビームスプリッタ31と、レンズ32とで構成されている。そして、分岐手段6で分岐された参照光を、レンズ22を介して時間分解分光用撮像素子4上に平行光の状態で照射する。
図24は第1〜第3実施形態の分岐手段6に適用可能な2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10の組み合わせについての他の構成例を示す斜視図、図25は図24の構成例における第1回折格子アレイ142上のプローブ光の分布を示す説明図、図26は図24の構成例における2次元光波変換手段1に用いられる第1回折格子アレイ142を示す説明図、図27は図24の構成例における第1回折格子アレイ142によって回折されるプローブ光を示す説明図である。
図24の構成例では、2次元光波変換手段1は、シリンドリカルビームエキスパンダ11’と、回折格子12と、正の屈折力をもつ第1レンズ133と、第1回折格子アレイ142と、正の屈折力をもつ第2レンズ134と、第2回折格子アレイ15とで構成されている。なお、図24中、34,115は光減衰素子である。
シリンドリカルビームエキスパンダ11’は、回転対称なレンズ111,112と、シリンドリカルレンズ113,114からなり、プローブ光の光束径を拡大するように構成されている。また、シリンドリカルビームエキスパンダ11’は、回折格子12に光を斜入射させるように配置されている。
回折格子12は、透過型の回折格子である。ただし、反射型の回折格子であっても構わない。回折格子12は、第1レンズ133の前側焦平面F1の法線に対して所定の角度θ(ここでは、45°)傾いたF1’面近傍に配置され、順次照射されるプローブ光を、x軸方向に回折させる。
第1レンズ133は、回折格子12で回折されたプローブ光の波長成分を、後側焦平面F2上に分布させる。分布の様子を、図25に示す。
第1回折格子アレイ142はフィルタであって、第1レンズ133の後側焦平面F2近傍に配置されている。そして、図26に示すように、格子定数(周期)の異なる回折格子142a〜kが、x軸方向に並んで形成されている。これにより、プローブ光の各波長は、図27に示すように、回折格子142a〜kを介して、y軸に沿う方向に、異なる回折角で回折される。第1回折格子アレイ142で回折された各波長の光は、第2レンズ134に入射する。
第2レンズ134に入射した各波長の光は、第2レンズ134の後側焦平面F3近傍の面F3'に結像する。なお、面F3’の位置と回折格子12の位置は、共役な位置関係となっている。その結果、図21に示すように、x軸方向に時間が展開され、y軸方向に波長が展開された2次元光波に変換される。
すなわち、ここでの、プローブ光の2次元光波も、x軸方向に連続して多重化されたプローブ光に時間遅延が生じ、かつ、y軸方向にはプローブ光を構成する各波長の光が分解されて分布している状態となっていることを意味する。
第2回折格子アレイ15は、面F3’に配置されている。そして、図22に示すように、波長毎に異なる格子定数(周期)の回折格子15A〜Kが、y軸方向に並んで形成されている。一方、図21に示すように、第2レンズ134の後側焦平面F3近傍の面F3’上の2次元光波は、各波長の光が、y軸方向に空間的に分離されている。このため、第2回折格子アレイ15を介して、プローブ光の各波長の回折方向をそろえることができる。各波長の光の進行方向は、x軸方向に角度分布を持っている(ばらついている)。そこで、第2回折格子アレイ15によって、このx方向の角度分布を小さくすることができる。つまり、図21に示すように、2次元光波は、F3’面上でy軸方向に波長が空間的に分離されて展開されているので、夫々の波長に関して、周期を変化させた回折格子アレイを用意することで、各波長の回折後の伝播方向を揃えることができる。
図24の構成例では、F3’面を出射後の各波長の角度分布が、第2回折格子アレイ15を介して、ほぼ0になるように構成されている。
その他の構成及び作用は図17の構成例と同様である。すなわち、この構成例でも、顕微鏡観察下において、試料Sの微小領域をポンプ光とプローブ光で照射可能であり、ポンプ光によって微小領域を刺激する。そしてこの微小領域によって変調を受けたプローブ光のみを、時間と波長に展開したスペクトログラムに変換する。このようにすることで、この構成例においても、微小領域における時間分解分光が可能になる。
図28は、図24の構成例における2次元光波変換手段1の変形例を示す説明図である。
図28の構成例でにおいても、2次元光波変換手段1は、図24の構成例における回折格子12、及び回折格子アレイ142,15を備えている。ただし、回折格子12には、その回折格子が形成されている側の面に、平行平板121が設けられている。同様に、回折格子アレイ142には、その回折格子が形成されている側の面に、平行平板1421が設けられている。また、回折格子アレイ15には、その回折格子が形成されている側の面に、平行平板151が設けられている。その他の構成は、図24の構成例とほぼ同じである。
一般に、回折格子にゴミが付着した場合、レンズ等のようにクリーニングすることはほとんど不可能で、風ブロワーを用いて付着したゴミを取り除く以外に方法はない。しかるに、図28のように構成すれば、平行平板を介して回折格子へのゴミの付着を防ぐことができる。
その他、図17の構成例においても、回折格子12,15において、その回折格子が形成された側の面に、平行平板を配置してもよい。そのようにすれば、図28の構成例と同様、回折格子へのゴミの付着防止効果が得られる。
図29は、本発明の実施例1にかかる顕微鏡装置の全体構成を示す説明図である。なお、基本的構成は、図1、図2の構成と同じであり、顕微鏡70を介して試料を観測し、時間分解分光ユニット80によって、試料内の特定領域に関する時間分解分光を行うように構成されている。
そして、実施例1の顕微鏡装置では、分岐手段6には、図3に示した第1実施形態の構成を採用している。また、2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10には、図17〜図23に示した構成を採用している。
超短光パルス光源5は、中心波長が800nm、波長幅±5nm、パルス幅100フェムト秒の超短光を発振するフェムト秒レーザである。
分岐手段6は、ビームスプリッタ62と、ミラー63と、光減衰素子630と、ミラー64と、微動ステージ65と、ビームスプリッタ723と、スペーシャルフィルタ66と、スペーシャルフィルタ67を有して構成されている。
そして、超短光パルス光源5を出射した光は、ビームスプリッタ62を介して、透過光と反射光とに2分される。2分された光は、夫々ミラー63,64で反射され、再びビームスプリッタ62に入射する。ミラー63で反射されビームスプリッタ62を透過した光と、ミラー64で反射されビームスプリッタ62で反射された光が、導光手段91を経てビームスプリッタ723に入射する。ビームスプリッタ723で反射された光は、試料Sを照射する。その際、ビームスプリッタ62を介して2分された光の一方(プローブ光)には、微動ステージ65を介して、他方(ポンプ光)に対して時間遅延が与えられる。このため、プローブ光はポンプ光によって刺激された試料Sによって変調される。
本実施例では、プローブ光は、ビームスプリッタ62で反射された後、ミラー63で反射され、更にビームスプリッタ62を透過した光である。一方、ポンプ光は、ビームスプリッタ62を透過した後、ミラー64で反射され、更にビームスプリッタ62で反射された光である。ポンプ光とプローブ光とは、夫々ビームスプリッタ62を透過する際に平行平板62aで屈折することにより、空間的に平行に分離される。
スペーシャルフィルタ66は、試料Sを透過後の平行に分離された光のうち、プローブ光のみを通過させ、ポンプ光を遮光する。これにより、2次元光波変換手段1には、プローブ光のみが入射する。
また、空間的に平行に分離された2つの光は、ビームスプリッタ723を透過する。スペーシャルフィルタ67は、透過した光のうちポンプ光に相当する光のみを通過させ、プローブ光に相当する光を遮光する。スペーシャルフィルタ67を通過した光は、参照光として用いられる。
2次元光波変換手段1は、ビームエキスパンダ11と、ブラッグ型回折格子12と、シリンドリカルレンズ131と、フィルタ141と、シリンドリカルレンズ132と、回折格子アレイ15とで構成されている。ビームエキスパンダ11は、焦点距離10mmのレンズ111と、焦点距離100mmのレンズ112とからなる。シリンドリカルレンズ131、132は、それぞれ焦点距離100mmのレンズである。
フラッグ型回折格子12は、図17に示したシリンドリカルレンズ131の前側焦平面F1を略45°回転させた面F1’上に配置されていて、法線と光軸AXとのなす角度が略45°になっている。シリンドリカルレンズ131,132に関して面F1’と共役な面は、シリンドリカルレンズ132の後側焦平面F3を45°回転させたときの面F3’となる。このため、共役となる面F3’も光軸AXに対して略45°の角度になっている。
ここで、ブラッグ型回折格子12の格子定数は、1767本/mmで、45°で入射したプローブ光の中心波長の伝播方向の軸が光軸AXに略一致するように選んでいる。
また、実施例1の2次元光波変換手段1では、ビームエキスパンダ11を介して、プローブ光を略10倍に拡大している。また、ブラッグ型回折格子12は、約14.14mm×10mmのサイズを持つ。このようなブラッグ型回折格子12に、プローブ光を斜入射させる。このとき、プローブ光は800±5nmの波長幅を持つ。そのため、シリンドリカルレンズ131の後側焦平面F2上では、図18に示すように、プローブ光に含まれる波長成分がx軸方向に分布する。このとき、例えば、805nm、800nm、795nmの波長は、光軸AXに対して、夫々+1.26mm、0mm、−1.24mmの位置に分布する。
フィルタ141は図19に示すような開口を持つので、F3’面上ではy軸方向にプローブ光の波長成分が分布する。そして、F1’面のブラッグ型回折格子12上に順次プローブ光が照射されると、F1’面と共役なF3’面上では、波長分布がx軸方向を移動することになる。その結果、F3’面上には、x軸方向に時間変化、縦軸に波長に展開した2次元光波S3が生成される(図21)。F3’面上での2次元光波S3のサイズは、14.14×10mmである。
回折格子アレイ15は、面F3'に入射する2次元光波S3について、各波長の光ごとに生じている角度分布を補正する。回折格子アレイ15の仕様を次の表.1に示す。表.1の入射角度は、各波長の光が面F3'に入射する際の、回折格子アレイ15の法線に対する角度である。回折格子アレイ15を構成する回折格子15A〜Kが表.1のような周期構造を持てば、各波長の光における回折角度が45°になる。その結果、面F3'を出射後における各波長の光の角度分布は、ほぼ0になる。
表.1 回折格子アレイ15の仕様
Figure 2006267651
リレーレンズ2は、焦点距離f21=100mmのレンズ21と、焦点距離f22=25mmのレンズ22とで構成されている。面F3’と共役な面F4’に時間分解分光用撮像素子4の撮像面を一致させることにより、2次元光波像S4が撮像面上に分布する。面F3’が光軸AXに対して45°だけ傾き、リレーレンズ2の倍率が0.25であるので、面F3’に共役な面F4’の光軸AXに対する傾き角度を式(2)より算出すると14.0°となる。また、このF4’面上での2次元光波像S4のサイズは式(3)より、2.58×2.5mmとなる。
合波手段3は、ビームエキスパンダ33と、焦点距離100mmのレンズ32と、ビームスプリッタ31とで構成されている。
2次元光波像S4が時間分解分光用撮像素子4上に分布するのと同時に、合波手段3を介して参照光を照射すると、2次元光波像S4を干渉縞パターンとして記録することができる。
時間分解分光用の撮像素子4には、固体撮像素子(CCD)4を用いている。この撮像素子4により、2次元光波像S4の干渉パターンが得られる。
以上のように、本実施例では、リレーレンズ2として倍率が0.25の縮小倍率を有する光学系を用いている。よって、光軸AXに対して45°傾いていた面F3’に共役な面F4’の傾き角度を、14.0°と小さくできる。よって、撮像素子4におけるシェーディングの影響を、大幅に減少させることが可能となる。
更に、非常に微小な領域について観察と時間分解分光とを同時に可能とする顕微鏡が得られる。
実施例1の顕微鏡装置によれば、非常に微小な領域についての観察と同時に、フェムト〜ピコ秒領域の変調を受けたプローブ光の時間分解分光計測を行うことができる。
本実施例では、所定肉厚を持つ透明な平行平板62aの両面に、夫々ハーフミラー面62b,62cを備えて構成されたビームスプリッタ62を備えている。そして、このビームスプリッタ62と、ミラー63,64を介して、ポンプ光とプローブ光とを空間的に分離させたので、必要なプローブ光と参照光のみを取り出すことができる。その結果、非常に微小な領域の観察と時間分解分光計測を同時に、しかも高精度に行うことができる。更に、光路中の所定の位置に遮光部材を配置することにより、より確実に、検出位置において不要となるポンプ光を遮光することができる。
なお、図29に示した構成例では、分岐手段6には、図3に示した第1実施形態の構成を採用したが、図4〜図10に示した変形例の構成を用いても良い。
図30は、本発明の実施例2にかかる顕微鏡装置の全体構成を示す説明図である。なお、基本的構成は、図1、図2の構成と同じであり、顕微鏡70を介して試料を観測し、時間分解分光ユニット80によって、試料内の特定領域に関する時間分解分光を行うように構成されている。
そして、実施例2の顕微鏡装置では、分岐手段6には、図11に示した第2実施形態の構成が採用されている。また、2次元光波変換手段1は、図24〜図27に示した構成が採用されている。
超短光パルス光源5は、中心波長が800nm、波長幅±5nm、パルス幅100フェムト秒の超短光を発振するフェムト秒レーザである。
分岐手段6は、ビームスプリッタ61と、ビームスプリッタ62’と、ミラー63と、光減衰素子630と、ミラー641,642と、微動ステージ643と、微動ステージ65と、スペーシャルフィルタ66を有して構成されている。
そして、超短光パルス光源5を出射した光は、ビームスプリッタ61を介して2分される。ビームスプリッタ61で反射された光は、参照光として用いられる。ビームスプリッタ61を透過した光は、ビームスプリッタ62’を介して透過光と反射光とに2分される。2分された光は、夫々ミラー63、641,642で反射され、再びビームスプリッタ62’に入射する。ミラー63で反射されビームスプリッタ62’を透過した光と、ミラー641,642で反射されビームスプリッタ62’で反射された光が、導光手段91を経てビームスプリッタ723に入射する。ビームスプリッタ723で反射された光は、試料Sを照射する。その際、ビームスプリッタ62’を介して2分された光の一方(プローブ光)には、微動ステージ65を介して、他方(ポンプ光)に対して時間遅延が与えられる。このため、プローブ光は、ポンプ光によって刺激された試料Sによって変調される。
本実施例では、ポンプ光は、ビームスプリッタ62’を透過した後、ミラー641,642で反射され、更に、ビームスプリッタ62’で反射された光である。一方、プローブ光は、ビームスプリッタ62’で反射された後、ミラー63で反射され、更にビームスプリッタ62’を透過した光である。ポンプ光を生成する光路では、ミラー642で反射された光は、入射光の光路に対して平行にシフトした光路を辿り、ビームスプリッタ62’に入射する。そのため、プローブ光(ミラー63で反射された後、ビームスプリッタ62’を透過した光)と、ポンプ光(ミラー641,642で反射された後、ビームスプリッタ62’で反射された光)とは、空間的に平行に分離される。
なお、微動ステージ643により、ミラー641及びミラー642の移動量を調整することで、ポンプ光とプローブ光の空間的分離量が調整されている。
スペーシャルフィルタ66は、試料Sを透過後の平行に分離された光のうち、プローブ光のみを通過させ、ポンプ光を遮光する。これにより、2次元光波変換手段1には、プローブ光のみが入射する。
2次元光波変換手段1は、レンズ111、レンズ112、シリンドリカルビームエキスパンダ11’、ブラッグ型回折格子12、第1レンズ133、第1回折格子アレイ142、第2レンズ134及び第2回折格子アレイ15とで構成されている。ここで、レンズ111の焦点距離は100mm、レンズ112の焦点距離は50mmである。また、シリンドリカルビームエキスパンダ11’はシリンドリカルレンズ113,114で構成されており、倍率は10である。第1レンズ133と第2レンズ134は、それぞれ焦点距離f=40mmの正の屈折力をもつレンズである。
ブラッグ型回折格子12は、図24に示したように、第1レンズ133の前側焦平面F1を略45°回転させた面F1’上に配置されていて、法線と光軸AXとのなす角度が略45°になっている。レンズ133,134に関して面F1'と共役な面は、第2レンズ134の後側焦平面F3を45°回転させたときの面F3'となる。このため、共役となる面F3'も光軸AXに対して略45°の角度になっている。
また、実施例2の2次元光波変換手段1では、シリンドリカルビームエキスパンダ11’を介して、プローブ光を略10倍に拡大している。また、ブラッグ型回折格子12は、約14.14mm×1mmのサイズを持つ。このようなブラッグ型回折格子12に、プローブ光を斜入射させる。このとき、変調プローブ光は800±5nmの波長幅を持つ。そのため、第1レンズ133の後側焦平面F2上では、図25に示すように、プローブ光に含まれる各波長成分がx軸方向に沿って分布する。このとき、例えば、805nm、800nm、795nmの波長は、光軸AXに対して、夫々+0.5mm、0mm、−0.5mmの位置に分布する。
第1回折格子アレイ142は、フィルタとして機能する。この第1回折格子アレイ142は、図26に示すように、x軸方向に異なる格子定数を有する回折格子142a〜142kで構成され、プローブ光の各波長成分を異なる角度で回折させる。表.2に第1回折格子アレイ142の仕様を示す。表.2中、格子定数の符号は、面F2においてy軸に関して+方向に回折する場合は正、−方向に回折する場合は負として表している。y座標は、第2レンズ134を出射後の各波長のy軸方向の高さを表している。
表.2 第1回折格子アレイ142の仕様
Figure 2006267651
第1回折格子アレイ142で回折された各波長の光は、第2レンズ134を出射すると、夫々x−z面に平行になって面F3'に入射する。このとき面F3'上では、y軸方向
にプローブ光の波長成分が分布する。そして、面F1'のブラッグ型第1回折格子12上に順次プローブ光が照射されると、F1’面と共役な面F3'上では波長分布がx軸方向
を移動することになる。よって、図21と同様に、x軸方向に時間が変化し、縦軸に波長
が展開された2次元光波S3が生成される。面F3'上の2次元光波S3のサイズは14.14×10mmである。
第2回折格子アレイ15は、図22に示されるように、y軸方向に周期の異なる回折格子15A〜Kが並んで構成されている。回折格子アレイ15は、面F3'に入射する2次元光波S3について、各波長の角度分布を補正する。第2回折格子アレイ15の仕様を次の表.3に示す。表.3の入射角度は、各波長の光が面F3'に入射する際の、第2回折格子アレイ15の法線に対する角度である。第2回折格子アレイ15を構成する回折格子15A〜Kが表.3のような周期構造を持てば、各波長の光における回折角度が45°になる。その結果、面F3'を出射後における各波長の光の角度分布は、ほぼ0になる。
表.3 第2回折格子アレイ15の仕様
Figure 2006267651
リレーレンズ2は、焦点距離f21=100mmのレンズ21と、焦点距離f22=25mmのレンズ22とで構成されている。本実施例でも、時間分解分光用の撮像素子として固体撮像素子(CCD)4を用いている。そこで、面F3’と共役な面F4’に撮像素子4の撮像面を一致させることにより、2次元光波像S4が撮像面上に分布する。面F3’が光軸AXに対して45°だけ傾き、リレーレンズ2の倍率が0.25であるので、面F3’に共役な面F4’の光軸AXに対する傾き角度を式(2)より算出すると14.0°となる。また、このF4’面上での2次元光波像S4のサイズは式(3)より、2.58×2.5mmとなる。
合波手段3は、ビームエキスパンダ33と、焦点距離100mmのレンズ32とビームスプリッタ31とで構成されている。
2次元光波像S4が撮像素子4上に分布するのと同時に、合波手段3を介して参照光を照射すると、2次元光波像S4を干渉縞パターンとして記録することができる。
前述のように、撮像素子4には固体撮像素子(CCD)4を用いており、2次元光波像S4の干渉パターンが得られる。
以上のように、本実施例では、リレーレンズ2として、倍率が0.25の縮小倍率を有する光学系を用いている。よって、光軸AXに対して45°傾いていた面F3’に共役な面F4’の傾き角度を、14.0°と小さくできる。その結果、撮像素子4におけるシェーディングの影響を、大幅に減少させることが可能となる。
更に、非常に微小な領域について観察と時間分解分光とを同時に可能とする顕微鏡が得られる。
実施例2の顕微鏡装置によれば、非常に微小な領域についての観察と同時に、フェムト〜ピコ秒領域の変調を受けたプローブ光の時間分解分光計測を行うことができる。
本実施例では、ビームスプリッタ62’と、ミラー63と、ミラー641,642を介して、ポンプ光とプローブ光とを空間的に分離させたので、必要なプローブ光のみを取り出すことができる。その結果、非常に微小な領域の観察と時間分解分光計測を同時に、しかも高精度に行うことができる。更に、光路中の所定の位置に遮光部材を配置することにより、より確実に、検出位置において不要となるポンプ光を遮光することができる。
なお、分岐手段6のミラー641,642の代わりに、直角をなす2つの面に夫々反射面を備えた直角プリズムを用いてもよい。
また、図30に示した構成例では、分岐手段6には、図11に示した第2実施形態の構成を採用したが、図12、図13に示した変形例の構成を用いても良い。また、図14〜図16に示した第3実施形態の構成やその変形例の構成を用いても良い。
さらに、本発明の顕微鏡装置は、一般的なポンプ−プローブ法以外の他の観察手法による顕微鏡装置を構成することができる。以下に、その構成例を説明する。
図31は、本発明の実施例3にかかる顕微鏡装置における分岐手段6の構成を示す説明図である。なお、分岐手段6以外の構成は、上記実施形態1〜4及び実施例1、2で示した構成と同じ構成を用いることが出来る。その部分の説明は省略する。
実施例3の顕微鏡装置は、本発明の顕微鏡装置における分岐手段6の構成を応用して、コヒーレントラマン散乱光を観察する顕微鏡装置を構成したものである。この顕微鏡装置においては、2つの周波数の異なる光をポンプ光、発生するコヒーレントラマン散乱光をプローブ光としてみなすとともに、時間差調整手段を2つの光の時間差を無くすように用いることで、本発明の顕微鏡装置の構成が適用できる。
図31の顕微鏡装置は、周波数の異なる2つの光を、試料に照射して計測を行う例である。周波数の異なる2つの光を試料に照射すると、試料内の分子が励起される。そして、励起された分子振動によって、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光(CARS光)が発生する。図31の顕微鏡装置は、このコヒーレントアンチストークスラマン散乱光計測する。実施例2以前で使用した表現と一致させるため、便宜上、周波数の異なる2つの光をポンプ光、CARS光をプローブ光と呼んで説明する(コヒーレントアンチストークスラマン散乱で用いられるポンプ光は、ここでは、周波数ω1の光と呼ぶことにする)。ここで、2つの周波数の光を、ω1、ω2(ω1>ω2)とし、また波数ベクトルをk1、k2とする。すると、発生するプローブ光(CARS光)の周波数とベクトルは、2ω1−ω2,2k1−k2を満足する。
実施例3の顕微鏡装置では、分岐手段6は、ビームスプリッタ62”と、ミラー631’,632’,633’,634’,635’と、微動ステージ636’と、ミラー64”と、微動ステージ65”と、ビームスプリッタ62”’と、ビームスプリッタ723と、スペーシャルフィルタ66と、スペーシャルフィルタ67を有して構成されている。
ビームスプリッタ62”は、超短光パルス光源5からの光のうち、第1の光として用いる所定波長の光を透過し、第2の光として用いる所定波長の光を反射させるように構成されている。
ミラー64”は、ビームスプリッタ62”を、透過した第1の光をビームスプリッタ62”’へ向けて反射するように配置されている。
ミラー631’〜635’は、ビームスプリッタ62”で反射された第2の光を、ビームスプリッタ62”’へ向けて反射するように配置されている。
ビームスプリッタ62”’は、第1の光を透過し、第2の光を反射するように構成されている。これによって、互いが平行に分離した状態で、2つの光を導光手段91のミラー912に入射させることができる。
微動ステージ65”は、ミラー64”を、ミラー64”への入射光軸に沿う方向に移動可能に構成されている。微動ステージ65”は、ミラー46と相俟って、第2の光に対する第1の光の空間分離量を調整する機能を備えていることになる。
微動ステージ636’は、ミラー633'及びミラー634’を、ミラー632'の入射光軸及びミラー635’の射出光軸に沿う方向に移動可能に構成されている。微動ステージ636’は、ミラー633'及びミラー634’と相俟って、第1の光に対する第2の光の時間差を調整する時間差調整手段としての機能を備えていることになる。ただし、実施例3の顕微鏡装置では、微動ステージ636’は、第1の光と第2の光とがそれぞれの光路上を時間的に同じタイミングで通るようにする。即ち、微動ステージ636’は、第1の光と第2の光との時間差を無くすために用いられている。
ビームスプリッタ723は、本実施例における分岐手段として機能する。ビームスプリッタ723は、第1導光手段91を経た2つの光の一部を反射し、残りを透過する。このようにすることで、2つの光の各々を、顕微鏡70内の試料Sに向かう光路と、試料Sに向かわない光路との2方向に分岐する。
この結果、ビームスプリッタ723で反射された光は、顕微鏡70の試料Sに向かう光路を通る。この光路を通る第1の光と第2の光は、共に試料Sの同一な微小領域に照射される。そして、第1の光と第2の光の差周波ω1−ω2で、試料内の分子振動を励起する。すると、ベクトルk1−k2の方向に、中心周波数2ω1−ω2のCARS光が生成される。このCRAS光は、スペーシャルフィルタ66を通過後に、2次元光波変換手段1へ入射されることになる。
一方、ビームスプリッタ723を透過した光は、試料Sに向かわない光路を通る。この光路を通る第1の光及び第2の光のうち、第1の光は、参照光として用いられる。
スペーシャルフィルタ66は、本発明におけるCARS光抽出手段として機能する。すなわち、平行に分離されて入射した光のうちCARS光のみを開口66aを介して通過させ、その他の光を遮光する。
また、スペーシャルフィルタ67は、本発明における参照光抽出手段として機能する。すなわち、平行に分離されて入射した光のうち参照光(ここでは第1の光)のみを開口67aを介して通過させ、その他の光(ここでは第2の光)を遮光する。
また、スペーシャルフィルタ66,67に加えて、波長選択フィルタ66’、67’を用いても良い。
以上のように、本発明の顕微鏡装置は、特許請求の範囲に記載の発明の他に、下記の特徴を備えている。
(1)前記2次元光波変換光学系が、ビームエキスパンダと、第1回折格子と、正の屈折力をもつ第1レンズと、フィルタと、正の屈折力をもつ第2レンズと、第2回折格子と、縮小倍率を持つリレー光学系を備え、前記第1回折格子が、前記第1レンズの前側焦点位置近傍に配置され、前記フィルタが、前記第1レンズの後側焦点位置、及び前記第2レンズの前側焦点位置近傍に配置され、前記第2回折格子が、前記第2レンズの後側焦点位置近傍であって、前記第1回折格子の共役面に配置され、入射光を構成する各波長成分の前記第1回折格子によって生じた回折角度を補償して、同一方向に回折させることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の顕微鏡装置。
(2)前記第1回折格子が、前記第1レンズに対して傾いて配置され、縮小倍率を持つリレー光学系により、前記撮像素子の撮像面の傾き角度が、前記第1回折格子の傾き角度よりも小さくなることを特徴とする上記(1)に記載の顕微鏡装置。
(3)前記ビームエキスパンダが、回転対称レンズで構成され、前記第1レンズ及び前記第2レンズが、シリンドリカルレンズで構成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の顕微鏡装置。
(4)前記ビームエキスパンダがシリンドリカルレンズを含んで構成され、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズが回転対称レンズで構成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の顕微鏡装置。
(5)前記シリンドリカルレンズにおいて屈折力を持つ方向に平行な軸をx軸、前記シリンドリカルレンズにおいて屈折力を持たない方向に平行な軸をy軸としたとき、前記第1回折格子及び前記第2回折格子が、前記x軸方向にのみ入射光を回折させる格子形状を有し、前記フィルタが、遮光領域と、細長い光透過領域を備え、前記光透過領域が、前記x軸及び前記y軸のいずれに対しても傾斜した向きに形成されていることを特徴とする上記(3)に記載の顕微鏡装置。
(6)前記シリンドリカルレンズにおいて屈折力を持つ方向に平行な軸をx軸、前記シリンドリカルレンズにおいて屈折力を持たない方向に平行な軸をy軸としたとき、前記第1回折格子が、前記x軸方向にのみ入射光を回折させる格子形状を有し、前記フィルタが、前記x軸に沿う方向に形成された複数の回折領域を備え、該複数の回折領域の各々が、前記y軸に沿う方向における回折角度がそれぞれ異なるように、入射光を回折させる格子形状を有し、前記第2回折格子が、前記リレー光学系の光軸と平行になるように、入射光を回折させる格子形状を有することを特徴とする上記(4)に記載の顕微鏡装置。
(7)前記第1回折格子と、前記第2回折格子の、夫々の回折格子が形成された面側に平行平板を備えたことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の顕微鏡装置。
(8)前記フィルタの回折格子が形成された面側に平行平板を備えたことを特徴とする上記(7)に記載の顕微鏡装置。
本発明の顕微鏡装置は、非常に微小な領域での、非常に短い時間領域で起こる物性変化を測定することが求められる医学、薬学、生物学の分野において有用である。
本発明の各実施形態にかかる顕微鏡装置に共通の構成を示すブロック図である。 図1の顕微鏡装置に用いる顕微鏡の一構成例を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。 図3に示した分岐手段6の一変形例の構成を示す説明図である。 図3に示した分岐手段6の他の変形例の構成を示す説明図である。 図3に示した分岐手段6のさらに他の変形例の構成を示す要部説明図である。 図6に示したビームスプリッタ621の拡大図である。 図6に示したミラー622の拡大図である。 図3に示した分岐手段6のさらに他の変形例の構成を示す要部説明図である。 図9に示したプリズム623の拡大図である。 本発明の第2実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。 図11に示した分岐手段6の一変形例の構成を示す説明図である。 図11に示した分岐手段6の他の変形例の構成を示す説明図である。 本発明の第3実施形態にかかる顕微鏡装置における分岐手段の構成を示す説明図である。 図14に示した分岐手段6の一変形例の構成を示す説明図である。 図14に示した分岐手段6の他の変形例の構成を示す説明図である。 第1〜第3実施形態の分岐手段6に適用可能な2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10の組み合わせについての一構成例を示す斜視図である。 図17の構成例におけるフィルタ141上のプローブ光の分布を示す説明図である。 図17の構成例におけるフィルタ141の開口を示す説明図である。 図17の構成例におけるフィルタ141を通過するプローブ光の波長分布を示す説明図である。 図17の構成例における2次元光波変換手段1によって生じる2次元光波分布を示す説明図である。 図17の構成例における2次元光波変換手段1に用いられる回折格子アレイ15を示す説明図である。 図17の構成例における面F3’と面F4’の光軸に対する傾き角度θ,φの関係を示す説明図である。 第1〜第3実施形態の分岐手段6に適用可能な2次元光波変換手段1、リレーレンズ2、合波手段3、プローブ光-参照光時間差調整手段10の組み合わせについての他の構成例を示す斜視図である。 図24の構成例における第1回折格子アレイ142上のプローブ光の分布を示す説明図である。 図24の構成例における2次元光波変換手段1に用いられる第1回折格子アレイ142を示す説明図である。 図24の構成例における第1回折格子アレイ142によって回折されるプローブ光を示す説明図である。 図24の構成例における2次元光波変換手段1の変形例を示す説明図である。 本発明の実施例1にかかる顕微鏡装置の全体構成を示す説明図である。 本発明の実施例2にかかる顕微鏡装置の全体構成を示す説明図である。 本発明の実施例3にかかる顕微鏡装置における分岐手段6の構成を示す説明図である。 極短光パルスの波形計測技術にかかる2次元空間変換光学系の概略構成を示す斜視図である。 図32の2次元空間変換光学系に用いられるフィルタ700の説明図である。 図32の2次元空間変換光学系により2次元空間変換された波長分布を示すグラフである。
符号の説明
1 2次元光波変換手段
2 リレーレンズ
3 合波手段
4 撮像素子、CCD
5 超短光パルス光源
6 分岐手段
10 プローブ光-参照光時間差調整手段
11、33、793 ビームエキスパンダ
11’ シリンドリカルビームエキスパンダ
12 ブラッグ型回折格子
15 (第2)回折格子アレイ
21、22、32、111、112、7931、7932 レンズ
31、61、62、62’、62”、62”’、621、735 ビームスプリッタ
34、115、630 光減衰素子
62a、121、1421、151 平行平板
62b、62c、62a’ ハーフミラー面
63、64、64”、101、102、103、631’、632’、633’、634’、635’、641、642、911、912、922 ミラー
65、65”、104、636’、643 微動ステージ
66、67、794 スペーシャルフィルタ
66a、67a 開口
70 顕微鏡
71 透過照明光源
72 透過照明光学系
73 観察用光学系
74 観察用撮像素子
75 試料台
76 蛍光用照明光源
77 蛍光用照明光学系
78 ダイクロイックミラー
80 時間分解分光ユニット
91 第1導光手段
92 第2導光手段
113、114 シリンドリカルレンズ
131 第1シリンドリカルレンズ
132 第2シリンドリカルレンズ
133 第1レンズ
134 第2レンズ
141 フィルタ
142 第1回折格子アレイ
621a 基板
621b、621c、622b、622d 面
622、623 プリズム
622a、623a 透明部材
622c 反射面
623c 斜面
721 コレクタレンズ
722 コンデンサレンズ
723 ビームスプリッタ
724 偏光子
725 第1DICフィルタ
731 対物レンズ
732 第2DICフィルタ
733 検光子
734 結像レンズ
752 x−yステージ
772 フィルタユニット
791 λ/4板
792 偏光板
7721 励起フィルタ
7722 ダイクロイックミラー
7723 吸収フィルタ

Claims (24)

  1. 光学顕微鏡と時間分解分光ユニットと、前記時間分解分光ユニットからの光を前記光学顕微鏡の内部に導く第1導光手段と前記光学顕微鏡からの光を前記時間分解分光ユニットの内部に導く第2導光手段を有し、 前記時間分解分光ユニットが、超短光パルスを発振する超短光パルス光源と、前記超短光パルスを参照光とポンプ光とプローブ光とに分岐する分岐手段と、前記第2導光手段によって導かれたプローブ光と参照光とを合波する合波手段と、合波位置に到達するプローブ光と参照光との時間差を調整するプローブ光-参照光時間差調整手段と、プローブ光と参照光とが合波されることによって形成された干渉縞を撮像する撮像素子を備え、
    前記第2導光手段と前記撮像素子の間に2次元光波変換光学系が配置されている顕微鏡装置であって、
    前記分岐手段が、ポンプ光とプローブ光を空間的に分離するポンプ光-プローブ光空間分離手段と、前記光学顕微鏡内の試料に到達するポンプ光とプローブ光との時間差を調整するポンプ光-プローブ光時間差調整手段と、参照光とそれ以外の光を分岐する参照光分岐手段とを有し、さらに、
    前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段を介して分離され、かつ、前記光学顕微鏡内の試料を通過した光からプローブ光のみを抽出するプローブ光抽出手段を有することを特徴とする顕微鏡装置。
  2. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段を介して分離され、かつ、前記参照光分岐手段を介して参照光側に分岐された光から参照光のみを抽出する参照光抽出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置。
  3. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、所定肉厚を有する透明な平行平板の両面に半透過反射面を備えて構成された半透過反射素子と、前記半透過反射素子の一方の半透過反射面からの光を該一方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子の他方の半透過反射面からの光を該他方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子を有して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  4. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子を有して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  5. 前記2つの反射面を有する反射素子が、2枚のミラーであることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置。
  6. 前記2つの反射面を有する反射素子が、直角をなす2つの面にそれぞれ反射面を備えた直角プリズムであることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置。
  7. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射する2枚のミラーと、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子と、前記2枚のミラーで反射された光を反射する反射面と前記1つの反射面を有する反射素子で反射された光を透過する透過面を有するプリズムを有し、該プリズムの反射面で反射された光の光軸と該プリズムの透過面から射出した光の光軸とが平行となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  8. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズと、該レンズからの光を反射する1つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を反射する1つの反射素子とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  9. 前記半透過反射素子が、1つの半透過反射面を備えて構成されていることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  10. 前記半透過反射素子が、所定肉厚を有する透明な平行平板の両面に半透過反射面を備えて構成されていることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  11. 前記ポンプ光-プローブ光空間分離手段が、ポンプ光とプローブ光との空間的な分離量を調整可能な空間分離量調整手段を備えていることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  12. 前記空間分離量調整手段が、前記2つの反射面を有する反射素子を前記一方の光の入射光軸に対して垂直な方向に移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに従属する請求項11に記載の顕微鏡装置。
  13. 前記空間分離量調整手段が、前記2枚のミラーのうちいずれか一方のミラーを該一方ミラーへの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項7に従属する請求項11に記載の顕微鏡装置。
  14. 前記空間分離量調整手段が、前記プリズムを前記2枚のミラーを経て該プリズムに入射する光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項7に従属する請求項11に記載の顕微鏡装置。
  15. 前記空間分離量調整手段が、前記一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズを、該一方の光の入射光軸に対して垂直に移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項8に従属する請求項11に記載の顕微鏡装置。
  16. 前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、前記半透過反射素子の一方の半透過反射面からの光を該一方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子の他方の半透過反射面からの光を該他方の半透過反射面に向けて反射する反射面を有する反射素子のいずれかを、当該半透過反射面からの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の顕微鏡装置。
  17. 前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、1つの半透過反射面を備えた半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子と、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、該半透過反射素子からの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項4〜6、請求項4〜6のいずれかに従属する、請求項9〜12のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  18. 前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、1つの半透過反射面を備えた半透過反射素子と、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2枚のミラーと、該半透過反射素子からの他方の光を該半透過反射素子に向けて反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、該半透過反射素子からの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項7、請求項7に従属する、請求項9〜11、13、14のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  19. 前記ポンプ光-プローブ光時間差調整手段が、前記半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光の入射光軸に対してシフト配置されたレンズ及び該レンズからの光を反射する1つの反射面を有する反射素子と、前記半透過反射素子からの他方の光を反射する1つの反射面を有する反射素子のいずれかを、該半透過反射素子からの光の入射光軸に沿って移動可能な移動手段で構成されていることを特徴とする請求項8、請求項8に従属する請求項9〜11、15のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  20. 前記プローブ光抽出手段が、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の顕微鏡装置。
  21. 前記プローブ光抽出手段が、更に、前記半透過反射素子と該半透過反射素子を透過する光路に設けられた反射素子との間、又は前記半透過反射素子と該半透過反射素子を反射する光路に設けられた反射素子との間に配置されたλ/4板と、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に配置された偏光板とを備えていることを特徴とする請求項3又は請求項8に従属する、請求項20に記載の顕微鏡装置。
  22. 前記プローブ光抽出手段が、更に、前記半透過反射素子と該半透過反射素子を透過する光及び反射する光のうち一方の光を反射して該半透過反射素子に導く2つの反射面を有する反射素子との間にλ/4板を備えると共に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に偏光板を備えて構成されていることを特徴とする請求項4に従属する、請求項20に記載の顕微鏡装置。
  23. 前記プローブ光抽出手段が、更に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた遮光部材の通過側に、前記プローブ光のみを通過させる開口を備えた第2の遮光部材を挟んで構成されたビームエキスパンダを備えて構成されていることを特徴とする請求項20に記載の顕微鏡装置。
  24. 前記参照光抽出手段が、前記参照光のみを通過させる開口を備えた遮光部材で構成されていることを特徴とする請求項2、請求項2に従属する請求項3〜23のいずれかに記載の顕微鏡装置。
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