JP2006267082A - 電荷調整装置及び方法並びに熱刺激電流測定方法 - Google Patents

電荷調整装置及び方法並びに熱刺激電流測定方法 Download PDF

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Yasuo Hirayama
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Abstract

【課題】同一のイオナイザを用いて物体の除電作業と帯電作業を実施可能にして,これらの作業を少ない設備で実施できるようにする。
【解決手段】電荷調整ステーション10ではトナー32の除電作業と帯電作業を実施できる。表面電位測定ステーション12ではトナー32の表面電位を非接触で測定できる。トナー32を支持する支持台30は電荷調整ステーション10と表面電位測定ステーション12との間を移動できる。電荷調整ステーション10にはイオナイザ16があり,正イオンと負イオンとを含む気体を生成できる。電荷調整ステーション10には作業切換装置(第1スイッチ22と第2スイッチ26)があり,除電作業と帯電作業を切り換えることができる。除電作業では,トナー32に正イオンと負イオンの両方をトナー32に当て,一方,帯電作業ではどちらかの種類のイオンだけをトナー32に当てる。
【選択図】図1

Description

本発明は、物体の電荷を調整する調整装置及び方法に関し,また,電荷が調整された物体の熱刺激電流を測定する方法に関するものである。
電子写真法の現像剤は,トナーからなる粉体,またはトナー及びキャリアからなる粉体である。以下,これらの現像剤を,単にトナーという言葉で表現するものとする。電子写真法は,帯電及び露光によって静電潜像が形成された感光体に,一定の帯電量をもったトナーを静電気力により付着させることで,静電潜像を可視化する技術である。したがって,トナーの性能を評価する重要な項目のひとつに帯電特性がある。この帯電特性を評価する手法のひとつとして,熱刺激電流(TSC)を測定する手法が知られている。帯電させたトナーの熱刺激電流を測定することは次の特許文献1に開示されている。
特開平8−62885号公報
熱刺激電流法によってトナーの帯電特性を測定するためには,トナーの表面電位を所定値に調整する必要がある。トナーの表面に所定量の電荷を付与するために,従来は,コロナ放電を用いた帯電装置を用いている。上述の特許文献1でもコロナ放電を用いている。また,帯電作業の前にはトナーの電荷を中和するために除電作業を実施するのが好ましい。この除電作業を実施するには,除電装置を用いている。除電装置はイオナイザを備えており,このイオナイザは,軟X線や真空紫外線を用いて正イオン及び負イオンを発生するものである。それらのイオンを試料に当てることにより,試料の電荷を中和できる。なお,上述の特許文献1は帯電作業の前の除電作業には触れていない。
物体を除電するためにイオナイザを用いるものとしては,例えば,次の特許文献2及び特許文献3が知られている。
特開2000−21596号公報 特開平5−312998号公報
特許文献2に記載された空気イオン化装置は,半導体や液晶ディスプレイの静電気を除去するためのものであるが,軟X線を用いて空気や窒素ガスをイオン化している。軟X線を用いているので,コロナ放電を用いる場合の問題点(オゾンの発生や電磁ノイズの発生)を解決することができる。また,この空気イオン化装置は,正イオンだけを分離して取り出す正イオン発生チャンバと,負イオンだけを取り出す負イオン発生チャンバを備えていて,正イオンの量と負イオンの量を独立に調整してから,それらのイオンをミキシングして被除電物体に当てている。これにより,正負イオンのバランスを適切に制御できて,除電性能を向上させることができる。正イオンと負イオンを含む気体流から,正イオンだけまたは負イオンだけを取り出すには(特許文献2では,これを単極分離機能と呼んでいる),ハニカム状のフィルタ電極を用いている。このフィルタ電極に,取り出したいイオンと同極性の電圧を印加する。
特許文献3に記載されたイオン発生装置は,軟X線を用いてガスをイオン化することを開示するものであるが,このようなイオンを用いて物体を帯電または除電することができるとの記述がある。
上述の特許文献2に示すように,帯電された物体を除電するのに軟X線イオナイザを用いることで,コロナ放電による問題点を解消できることが知られている。また,帯電された物体を除電するために,単極分離機能を用いて正イオンまたは負イオンだけを取り出してから,それらの2種類のイオンを最適なバランスでミキシングすることも知られている。一方,特許文献3においては,軟X線イオナイザを帯電または除電の目的で使うことが示唆されている。しかしながら,特許文献2と特許文献3のいずれにも,そのようなイオナイザを除電目的と帯電目的とに使い分けることは記載されていない。
本発明の目的は,物体の除電作業と帯電作業を少ない設備で実施できるようにした電荷調整装置及び方法を提供することにある。また,本発明の別の目的は,そのような電荷調整方法で帯電させた試料を用いて熱刺激電流を測定する方法を提供することにある。
本発明の電荷調整装置は,電荷調整ステーションと表面電位測定ステーションを備えている。電荷調整ステーションは,電荷調整の対象となる物体の除電作業と帯電作業を実施するところである。表面電位測定ステーションは,前記物体の表面電位の測定作業を実施するところである。前記物体は支持台で支持され,この支持台は電荷調整ステーションと表面電位測定ステーションとの間を移動できる。電荷調整ステーションにはイオナイザが配置されている。このイオナイザは,正イオンと負イオンとを含む気体を生成する。電荷調整ステーションには作業切換装置が設けられていて,除電作業と帯電作業を切り換えることができる。除電作業では,電荷調整ステーションの位置にある前記支持台に支持された物体に対して,イオナイザが生成する正イオンと負イオンの両方を当てて,物体を除電する。帯電作業では,イオナイザが生成する正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて物体を帯電させる。表面電位測定ステーションには表面電位測定装置が配置されている。この表面電位測定装置は,表面電位測定ステーションの位置にある支持台に支持された物体の表面電位を非接触で測定する。
本発明の電荷調整方法は,次のような段階を備えている。まず,正イオンと負イオンとを含む気体を生成するイオナイザを電荷調整ステーションに配置し,かつ,表面電位測定装置を表面電位測定ステーションに配置する。そして,電荷調整の対象となる物体を前記電荷調整ステーションに配置して,除電作業を実施する。除電作業では,電荷調整ステーションの位置にある前記物体に,イオナイザが生成する正イオンと負イオンの両方を当てて,物体を除電する。除電作業が終了したら,物体を電荷調整ステーションから表面電位測定ステーションに移動する(第1の移動段階)。そして,表面電位測定ステーションの位置にある除電後の物体の表面電位を,非接触で測定する(第1の表面電位測定段階)。この表面電位測定によって,物体の表面電位がほぼ零であること,すなわち除電がなされたこと,を確認できる。次に,物体を表面電位測定ステーションから電荷調整ステーションに戻す(第2の移動段階)。次に,電荷調整ステーションの位置にある物体に,イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて,除電後の物体を帯電させる。帯電後の物体を電荷調整ステーションから表面電位測定ステーションに再び移動する(第3の移動段階)。そして,表面電位測定ステーションの位置にある帯電後の物体の表面電位を,非接触で測定する(第2の表面電位測定段階)。この表面電位測定によって,帯電後の物体の表面電位を確認できる。
本発明の電荷調整装置及び電荷調整方法は、電荷調整ステーションに配置したイオナイザを用いて,除電作業と帯電作業を切り換えて実施することができる。これにより,除電用の設備と帯電用の設備を別個に設けなくてもよい。そして,物体の表面が所望の電位となるように物体を帯電させる場合において,物体を除電してから帯電させれば,再現性の良好な帯電状態を実現でき,本発明はそのような帯電作業に有効である。
以下,図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。図1は本発明の電荷調整装置の一実施例の構成図である。この電荷調整装置は,電荷調整ステーション10と表面電位測定ステーション12を備えている。また,この図1は,電荷調整装置の隣に配置した熱刺激電流測定装置14も示している。
電荷調整ステーション10はイオナイザ16を備えている。このイオナイザ16は,軟X線を空気に照射することで空気をイオン化して,正イオンと負イオンとを含む気体を生成するものである。軟X線の代わりに紫外線(例えば,真空紫外線)を用いてもよい。軟X線または紫外線を利用したイオナイザは,コロナ放電を用いる場合の問題点(オゾンの発生や電磁ノイズの発生)が存在しない利点がある。この電荷調整ステーション10は,さらに,筒型電極18とグリッド20を備えている。筒型電極18は第1スイッチ22を介して第1電源24に接続されている。グリッド20は第2スイッチ26を介して第2電源28に接続されている。
この電荷調整ステーション10は物体の除電作業と帯電作業を切り換えて実施することができる。すなわち,第1スイッチ22と第2スイッチ26のオン・オフを切り換えることで,グリッド20の下方に取り出すイオンを,正イオンと負イオンの両方にするか,どちらか一方の種類だけにするか,を切り換えることができる。物体の除電作業を実施するときは,正イオンと負イオンの両方を取り出すようにし,帯電作業を実施するときは,正イオンと負イオンのどちらか一方の種類だけを取り出すようにする。
電荷調整ステーション10には支持台30を配置できる。支持台30は電荷調整の対象となる物体を支持するものである。この実施例では,電荷調整の対象となる物体は,電子写真法で用いられる現像剤としてのトナー32である。トナー32は粉体であり,これを,上部が開放した容器34に入れて,この容器34を支持台30の上に載せている。容器34内のトナー32の量は例えば8〜10mgである。支持台30は第3スイッチ36を介して接地されている。この支持台30は電荷調整ステーション10と表面電位測定ステーション12との間を,矢印44で示すように移動できる。
表面電位測定ステーション12は表面電位計38を備えている。この表面電位計38はプローブ40と表面電位測定回路42を備えている。この表面電位計38は被測定物体の表面電位を被接触で測定するものであり,例えば,特開平7−218567号公報に開示されているような交流式の非接触表面電位計を用いることができる。
熱刺激電流測定装置14は,帯電させたトナーの熱刺激電流を測定するためのものである。帯電させたトナーを収容した容器34を,矢印46に示すように,熱刺激電流測定装置14の加熱炉48内に移動して,トナー32の熱刺激電流を測定することができる。
図2は帯電させたトナーの熱刺激電流を測定する作業工程を示すフローチャートである。まず,所望の量(例えば,8〜10mg程度)になるように試料(トナーからなる粉体)を秤量して,これを容器に入れる。容器は,例えば,内径が10mmの円形で,内側空間の高さが約1mmである。試料を入れた容器を試料台に載せてから,この試料台を電荷調整ステーションに配置する。そして,トナーの除電作業を実施する。次に,試料台を電荷調整ステーションから表面電位測定ステーションに移動して,トナーの表面電位を測定する。除電作業が適切に行われていれば,トナーの表面電位は接地電位に等しくなるはずであり,このことを表面電位測定ステーションで確認する。
ところで,除電作業後に帯電作業を実施したトナーと,除電作業を実施しないで帯電作業を実施したトナーとでは,粉体の集合体における表面電位が同じであっても,粉体の集合体の内部の荷電状態が異なっていることがあるので,熱刺激電流の測定結果は必ずしも同じにならないことが予想される。したがって,再現性のある熱刺激電流測定結果を得るには,帯電作業の前に除電作業を実施することが好ましい。
次に,除電後の表面電位測定が終了したら,試料台を電荷調整ステーションに戻してから,トナーの帯電作業を実施する。次に,試料台を再び表面電位測定ステーションに移動して,トナーの表面電位を測定する。帯電作業が適切に行われていれば,トナーの表面電位は所定のプラスまたはマイナスの電位になっているはずであり,これを表面電位測定ステーションで確認する。次に,試料(帯電されたトナー)の入った容器を熱刺激電流測定装置に移動して,トナーの熱刺激電流を測定する。
図3は除電作業を実施するときの電荷調整ステーションの状態を示す構成図である。第1スイッチ22は開いていて,筒型電極18は電気的にフローティング状態にある。また,第2スイッチ26も開いていて,グリッド20も電気的にフローティング状態にある。第3スイッチ36も開いていて,支持台30も電気的にフローティング状態にある。イオナイザ16は正イオンと負イオンを含む空気を生成し,この空気が支持台30に向かって吹き付けられる。空気中の正イオンと負イオンは,グリッド20を通り抜けてから,容器34内のトナー32に当たる。トナー32が正または負の電荷に帯電されていると,これらの電荷を中和するように正イオンまたは負イオンがトナー32に引き寄せられて,トナー32は除電される。
図4は帯電作業を実施するときの電荷調整ステーションの状態を示す構成図である。第1スイッチ22は閉じていて,筒型電極18には第1電源24により所定の正電位または負電位が印加される。図4の例では負電位が印加されるが,第1電源24の極性を逆にすれば,筒型電極18に正電位が印加される。第1電源24の出力電圧は例えば1kVである。また,第2スイッチ26も閉じていて,グリッド20には第2電源28により所望の正電位または負電位が印加される。第2電源28は可変電源であり,印加電位を任意の値に設定できる。図4の例では任意の負電位が印加されるが,第2電源28の極性を逆にすれば,任意の正電位がグリッド20に印加される。第2電源28の最大出力は例えば1kVである。第3スイッチ36も閉じていて,支持台30は接地されている。イオナイザ16は正イオンと負イオンを含む空気を生成し,この空気が支持台30に向かって吹き付けられる。この場合,正イオンは,負電位にある筒型電極18とグリッド20に引き寄せられて,それらに流れ込む。一方,負イオンは気体の流れに沿ってグリッド20を通り抜けてから,負電位のグリッド20に加速されて,容器34内のトナー32に当たる。したがって,トナー32の表面が負電位に帯電する。第2電源28の出力電圧を調整したり帯電作業時間(イオンの照射時間)を変化させたり,それらの両者を併用したりすることで,トナー32の帯電量を変えることができる。帯電作業時間は例えば1〜2分である。帯電後の試料の表面電位は例えば400〜600Vである。
上述のように,除電作業のときは,第1スイッチ22,第2スイッチ26及び第3スイッチ36を開いており,帯電作業のときは,これらのスイッチを閉じている。これらのスイッチが本発明における作業切換装置に該当する。
図5は,高分子を含むトナー粉体からなる試料の熱刺激電流をエアーギャップ法で測定する原理を説明する原理図である。図5(A)において,トナー32を収容した容器34は下部電極50の上に載っている。下部電極50は接地されている。上部電極52の下面は容器34内のトナー32の表面から所定距離だけ離れている。上部電極52と下部電極50は温度調節可能な加熱炉48(図1を参照)の内部に配置されている。上部電極52と接地電位との間には,微小電流を測定可能な電流計54が接続されている。トナー32の表面が正または負の電荷で帯電していると,上部電極52の下面には,それと反対極性の電荷が等量だけ誘起される。例えば,トナー32の表面に正の電荷56が所定量だけ帯電していると仮定すると,トナー32の表面に対向している上部電極52の下面には負の電荷58が誘起される。負電荷58の電荷量の絶対値は,正電荷56の電荷量の絶対値と等しい。
室温のときに図5(A)の状態であると仮定する。この状態から所定の昇温速度で試料の温度を上昇させていくと,図5(B)に示すように,トナー32の表面の電荷状態が変化する。すなわち,トナー32の表面の正電荷56の一部はトナー32の内部に移動する。その理由は次のとおりである。トナー32中の高分子は,温度が上昇するにつれてその状態が変化し,それにつれて表面の電荷が試料内部に拡散していく。ゆえに,表面の正電荷56の電荷量が減少する。これとバランスするように,上部電極52の下面の負電荷58も同量だけ減少する。この減少分が電子の流れ60となって,電流計54を流れる。電子の流れ60が電流計54のところで図の下向きと仮定すると,電流Iは上向きに流れる。ところで,エアーギャップ法での熱刺激電流の正負の方向は次のように定義している。接地側から上部電極52に向かって電流が流れるとき(すなわち,図5(B)に示す電流Iの方向)を,プラスの電流と定義する。一般に,試料表面を正に帯電して熱刺激電流を測定するとプラスの電流が流れ,逆に,試料表面を負に帯電して熱刺激電流を測定するとマイナスの電流が流れる。
図5(C)は,図5(B)の状態からさらに試料温度が上昇した状態を示す。トナー32の表面の正電荷56は,内部に移動する量が増え,上部電極52の下面の負電荷58はそれに応じて減少している。その減少分に対応して熱刺激電流が流れる。
図6は熱刺激電流の時間的変化を模式的に示すグラフである。横軸は時間であり,縦軸は試料の温度及び熱刺激電流である。一般に,試料の温度は一定の昇温速度で上昇させる。エアーギャップ法の熱刺激電流は,図5に示すような原理で誘起される。この熱刺激電流が電流計で測定され,その測定結果は,図5に示すような電流のグラフとなる。
図7は,トナー粉体の集合体からなる試料について,試料表面をマイナス260Vに帯電した場合の試料の熱刺激電流を測定したグラフである。実線の曲線は,試料を帯電させた直後に熱刺激電流を測定したものである。破線の曲線は,試料を帯電させて40分放置してから,試料の熱刺激電流を測定したものである。室温から120℃まで毎分5℃の昇温速度で試料温度を上昇させている。ピークAは,トナーを構成する成分がガラス状からゴム状に遷移する過程で生じる熱刺激電流である。ピークBは,トナーを構成する成分の結晶相が緩和する過程などで生じる熱刺激電流である。
上述の実施例の説明では,帯電させた試料を準備するに当たって,帯電作業のあとに表面電位を測定して,試料の表面電位を確認しているが,次のようにすることで,帯電後の表面電位測定を省略してもよい。まず,標準的な試料について,帯電条件(筒型電極及びグリッドに印加する電圧,イオナイザの動作条件,試料へのイオンの照射時間など)と,それによって得られる表面電位との関係を,あらかじめ求めておく。そして,同種の試料について,所望の表面電位となるように帯電条件を選択して帯電作業を実施する。こうすれば,試料の表面電位が所望の表面電位になっているものと推定できる。この場合,除電後の表面電位も省略できる。
図8は電荷調整ステーションの変更例の構成図である。この電荷調整ステーションは,図3に示す電荷調整ステーションと比較して,グリッド20と第2電源28が取り除かれていて,支持台電源62が追加されている。この支持台電源62は可変電源であって,支持台電源スイッチ64を介して支持台30に接続されている。除電作業をするときは,第1スイッチ22は開いていて,筒型電極18は電気的にフローティング状態にある。また,支持台電源スイッチ64も開いていて,支持台30も電気的にフローティング状態にある。したがって,支持台30は,電気的には図3に示す状態と同じ状態にある。この状態で支持台30上のトナー32が除電される。
一方,帯電作業を実施するときには,図9に示すように,第1スイッチ22は閉じていて,筒型電極18には第1電源24により所定の正電位または負電位が印加される。図9に示す例では負電位が印加される。以下,筒型電極18を負電位に設定する場合を例にして説明する。支持台電源スイッチ64は閉じていて,支持台30の電位は,筒型電極18とは反対の極性の電位(すなわち,正電位)に設定される。イオナイザ16は正イオンと負イオンを含む空気を生成するが,筒型電位18の電位とは反対極性のイオン(すなわち,正イオン)だけが,筒型電極18に引き付けられる。これにより,筒型電極18の中のイオンは,負イオンだけの単極性になる。支持台30には,筒型電極18とは反対の極性の電位(正電位)が印加されているので,支持台30に負イオンが引き付けられて,この負イオンが容器34内のトナー32に当たる。これにより,トナー32が負電位に帯電される。この電荷調整ステーションは,図3に示す電荷調整ステーションと比較して,トナー32に対して,より多くの帯電量を付与することができる。
図8に示す試料台30を用いて表面電位を測定するには,試料台30を表面電位ステーション12(図1を参照)に移動する。そして,第3スイッチ36を閉じて,トナー32の表面電位を測定する。
本発明の電荷調整装置の一実施例の構成図である。 帯電させたトナーの熱刺激電流を測定する作業工程を示すフローチャートである。 除電作業を実施するときの電荷調整ステーションの状態を示す構成図である。 帯電作業を実施するときの電荷調整ステーションの状態を示す構成図である。 粉体試料の熱刺激電流をエアーギャップ法で測定する原理を説明する原理図である。 熱刺激電流の時間的変化を模式的に示すグラフである。 試料の熱刺激電流を測定したグラフである。 電荷調整ステーションの変更例について,その除電作業を実施するときの状態を示す構成図である。 図8の電荷調整ステーションについて,その帯電作業を実施するときの状態を示す構成図である。
符号の説明
10 電荷調整ステーション
12 表面電位測定ステーション
14 熱刺激電流測定装置
16 イオナイザ
18 筒型電極
20 グリッド
22 第1スイッチ
24 第1電源
26 第2スイッチ
28 第2電源
30 支持台
32 トナー
34 容器
36 第3スイッチ
38 表面電位計
40 プローブ
42 表面電位測定回路
48 加熱炉
50 下部電極
52 上部電極
54 電流計
56 正電荷
58 負電荷
62 支持台電源
64 支持台電源スイッチ

Claims (8)

  1. 次の構成を備える電荷調整装置。
    (ア)電荷調整の対象となる物体の除電作業及び帯電作業を実施する電荷調整ステーション。
    (イ)前記物体の表面電位の測定作業を実施する表面電位測定ステーション。
    (ウ)前記物体を支持する支持台であって,前記電荷調整ステーションと前記表面電位測定ステーションとの間を移動可能な支持台。
    (エ)前記電荷調整ステーションに配置されたイオナイザであって,正イオンと負イオンとを含む気体を生成するイオナイザ。
    (オ)前記電荷調整ステーションの位置にある前記支持台に支持された前記物体に対して,前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンの両方を当てて前記物体を除電する除電作業と,前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて前記物体を帯電させる帯電作業とを切り換えて実施するための作業切換装置。
    (カ)前記表面電位測定ステーションの位置にある前記支持台に支持された前記物体の表面電位を非接触で測定する表面電位測定装置。
  2. 請求項1に記載の電荷調整装置において,前記支持台はスイッチを介して支持台電源に選択的に接続可能であり,前記除電作業のときは前記支持台は前記支持台電源から切り離されていて,前記帯電作業のときは前記支持台は前記支持台電源に接続されて所望の電圧が印加されることを特徴とする電荷調整装置。
  3. 次の構成を備える電荷調整装置。
    (ア)正イオンと負イオンとを含む気体流を生成するイオナイザ。
    (イ)電荷調整の対象となる物体に対して,前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンの両方を当てて前記物体を除電する除電作業と,前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて前記物体を帯電させる帯電作業とを切り換えて実施するための作業切換装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の電荷調整装置において,前記イオナイザは軟X線または紫外線を気体に照射して気体をイオン化するものであることを特徴とする電荷調整装置。
  5. 次の段階を備える電荷調整方法。
    (ア)正イオンと負イオンとを含む気体を生成するイオナイザを電荷調整ステーションに配置する段階。
    (イ)表面電位測定装置を表面電位測定ステーションに配置する段階。
    (ウ)電荷調整の対象となる物体を前記電荷調整ステーションに配置する段階。
    (エ)前記電荷調整ステーションの位置にある前記物体に前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンの両方を当てて前記物体を除電する除電段階。
    (オ)前記物体を前記電荷調整ステーションから前記表面電位測定ステーションに移動する第1の移動段階。
    (カ)前記表面電位測定ステーションの位置にある除電後の前記物体の表面電位を非接触で測定する第1の表面電位測定段階。
    (キ)前記物体を前記表面電位測定ステーションから前記電荷調整ステーションに戻す第2の移動段階。
    (ク)前記電荷調整ステーションの位置にある前記物体に前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて前記物体を帯電させる帯電段階。
    (ケ)前記物体を前記電荷調整ステーションから前記表面電位測定ステーションに再び移動する第3の移動段階。
    (コ)前記表面電位測定ステーションの位置にある帯電後の前記物体の表面電位を非接触で測定する第2の表面電位測定段階。
  6. 次の段階を備える電荷調整方法。
    (ア)正イオンと負イオンとを含む気体を生成するイオナイザを準備する段階。
    (イ)電荷調整の対象となる物体に前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンの両方を当てて前記物体を除電する除電段階。
    (ウ)前記物体に前記イオナイザが生成する前記正イオンと負イオンのうちのいずれか一方の種類のイオンを当てて前記物体を帯電させる帯電段階。
  7. 請求項5または6に記載の電荷調整方法によって電荷が調整された前記物体を試料として,その熱刺激電流を測定することを特徴とする熱刺激電流測定方法。
  8. 請求項7に記載の熱刺激電流測定方法において,前記試料は電子写真法の現像剤であることを特徴とする熱刺激電流測定方法。
JP2005339403A 2005-02-24 2005-11-24 電荷調整装置及び方法並びに熱刺激電流測定方法 Pending JP2006267082A (ja)

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