JPH10208651A - イオン源装置およびそれを用いたイオン注入方法 - Google Patents

イオン源装置およびそれを用いたイオン注入方法

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JPH10208651A
JPH10208651A JP9022215A JP2221597A JPH10208651A JP H10208651 A JPH10208651 A JP H10208651A JP 9022215 A JP9022215 A JP 9022215A JP 2221597 A JP2221597 A JP 2221597A JP H10208651 A JPH10208651 A JP H10208651A
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JP
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electrode
plasma
ion
extraction
ion source
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JP9022215A
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English (en)
Inventor
Shigeki Sakai
滋樹 酒井
Masato Takahashi
正人 高橋
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的な手段によって、イオン源から引き出
すイオンビームを、そのエネルギーを変化させずにしか
も方形パルス状に断続する。 【解決手段】 このイオン源2の引出し電極系20は、
プラズマ電極21および引出し電極22を有している。
そこで、プラズマ電極21に加速電圧V1 を印加する加
速電源26の正負両極間に、互いに直列接続されていて
互いに相反して入切する二つのスイッチ41、42から
成る加速電源スイッチ40を接続し、かつこの二つのス
イッチの互いの直列接続部43にプラズマ電極21を接
続した。更に、引出し電極22に引出し電圧V2 を印加
する引出し電源28の正負両極間に、互いに直列接続さ
れていて互いに相反して入切する二つのスイッチ51、
52から成る引出し電源スイッチ50を接続し、かつこ
の二つのスイッチの互いの直列接続部53に引出し電極
22を接続した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、イオン源とそれ
用の電源とを備えるイオン源装置および当該イオン源装
置を用いて被注入物にイオン注入を行うイオン注入方法
に関し、より具体的には、イオン源から引き出すイオン
ビームを電気的にしかも方形パルス状に断続する手段に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、被注入物、例えば半導体ウェーハ
の大口径化が進んでおり(例えば8インチから12イン
チへ)、そのような被注入物にイオン注入を行うための
イオン源には、大きなスループット(単位時間当たりの
処理枚数)を確保するために、大面積かつ大電流のイオ
ンビームを引き出すものが要求されている。またこのイ
オンビームの大面積化かつ大電流化に伴い、イオン源か
ら引き出したイオンビームを質量分離することなくその
まま被注入物に照射することが行われている。このよう
な非質量分離型のイオン注入装置は、イオンドーピング
装置とも呼ばれる。
【0003】更に近年は、特定用途向けのLSI(AS
IC)の需要が増しており、それに対応するために、被
注入物間で異なる注入条件でイオン注入を行うことが求
められている。これには、通常、複数枚の被注入物に一
括してイオン注入するバッチ式のイオン注入方法ではな
く、被注入物に1枚ずつイオン注入する枚葉式のイオン
注入方法が採用される。
【0004】上記のような大面積かつ大電流のイオンビ
ームを引き出し可能なイオン源を用いた非質量分離型か
つ枚葉式のイオン注入装置の従来例を図6に示す。
【0005】このイオン注入装置は、図示しない真空容
器内に設けられていて被注入物(例えば半導体ウェー
ハ)34を1枚ずつ保持するホルダ36と、このホルダ
36上の被注入物34にイオンビーム32を質量分離す
ることなくそのまま照射するイオン源2と、このイオン
源2用の電源とを備えている。イオンビーム32の断面
寸法は、通常は、被注入物34よりも大きい。イオン源
およびそれ用の電源を合わせて、この明細書では、イオ
ン源装置と呼ぶ。
【0006】イオン源2は、この例では高周波イオン源
であり、イオン源ガス10が導入されそれを高周波放電
によって電離させてプラズマ12を発生させるプラズマ
ソース部4と、このプラズマソース部4の出口付近に設
けられていて、プラズマソース部4内のプラズマ12か
ら電界の作用でイオンビーム32を引き出す引出し電極
系20とを有している。
【0007】プラズマソース部4は、側壁6aと、それ
に絶縁物8を介して取り付けられた背面板6bとを有す
るプラズマ生成容器6を備えており、その内部に所要の
イオン源ガス10が導入される。また、この例では側壁
6aおよび背面板6bがそれぞれ電極(放電電極)を兼
ねており、両者間に整合回路18を介して、高周波電力
供給用の高周波電源16が接続されている。14は、プ
ラズマ12閉じ込め用の磁石である。
【0008】引出し電極系20は、この例では、最プラ
ズマ側から下流側に向けて配置されたプラズマ電極2
1、引出し電極22、抑制電極23および接地電極24
を有している。これらの各電極21〜24は、この例で
は多孔電極であるが、イオン引出しスリットを有する場
合もある。
【0009】プラズマ電極21は、引き出すイオンビー
ム32のエネルギーを決める電極であり、直流の加速電
源26から、接地電位を基準にして正の加速電圧V1
印加される。このプラズマ電極21とプラズマソース部
4(より具体的にはそれを構成するプラズマ生成容器
6)とは、互いに接続されて同電位にされている。加速
電圧V1 は、例えば0kV〜100kV程度の範囲内で
設定される。
【0010】引出し電極22は、プラズマ電極21との
間に電位差を生ぜしめそれによる電界によってプラズマ
12からイオンビーム32を引き出す電極であり、直流
の引出し電源28から、プラズマ電極21の電位を基準
にして負の引出し電圧V2 が印加される。引出し電圧V
2 は、例えば0kV〜−3kV程度の範囲内で設定され
る。
【0011】抑制電極23は、下流側からの逆流電子を
抑制する電極であり、直流の抑制電源30から、接地電
位を基準にして負の抑制電圧V3 が印加される。抑制電
圧V3 は、例えば0kV〜−1kV程度の範囲内で設定
される。
【0012】接地電極24は、接地されている。
【0013】上記イオン注入装置の動作例を説明する
と、ホルダ36に所望の被注入物34を保持してその周
りの雰囲気を真空排気すると共に、イオン源2のプラズ
マソース部4に所望のイオン源ガス10を導入し、かつ
側壁6aと背面板6b間に高周波電源16から例えば1
3.56MHzの周波数の高周波電力を供給すると、側
壁6aと背面板6b間で高周波放電が起こりそれによっ
てイオン源ガス10が分解されてプラズマ12が作られ
る。このプラズマ12中のイオンは、引出し電極系20
によってイオンビーム32として引き出される。引き出
されたイオンビーム32は、質量分離を行うことなくそ
のまま被注入物34に照射され、当該被注入物34にイ
オン注入(イオンドーピング)が行われる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】被注入物34に対する
イオン注入においては、注入するイオンのエネルギー
(即ち被注入物34に照射するイオンビーム32のエネ
ルギー)および注入量の正確な制御が重要である。注入
するイオンのエネルギーを正確に制御するには、加速電
源26からプラズマ電極21に印加する加速電圧V1
正確に一定値に保つ必要がある。イオンの注入量を正確
に制御するには、被注入物34に対するイオンビーム照
射の開始および終了を(即ち注入時間を)厳密に制御す
る必要がある。
【0015】加速電源26や引出し電源28には、通常
は、出力電圧設定器(例えばボリューム)が備わってい
るが、それによる出力電圧の上げ下げを、被注入物34
に照射するイオンビーム32の断続に使用することはで
きない。なぜなら、出力電圧設定器による出力電圧の上
げ下げは波状にしか行うことができず、その途中で、イ
オンビームのエネルギーおよびビーム量が様々に変化し
てしまうからである。
【0016】従って通常は、イオン源2からは定常的に
一定のエネルギーかつ一定量のイオンビーム32を引き
出しておき、注入量の制御は、このイオンビーム32の
軌道に矢印Aに示すように出し入れされることによって
イオンビーム32を断続する機械的なシャッター38を
用いて行われる。
【0017】ところが、この方式では、被注入物34を
1枚ずつ処理する枚葉処理においては、バッチ処理の場
合と違って、1枚の被注入物34を処理するたびにシャ
ッター38を開閉しなければならないため、シャッター
38の開閉回数が多くなりシャッター38の寿命が短く
なる。また、イオンビーム32の口径に相当する寸法以
上の大型のシャッター38が必要となって大型の機構が
必要になると共に、当該シャッター38を動かすために
は大きなスペースが必要となってイオン注入装置が大型
化する。
【0018】そこでこの発明は、電気的な手段によっ
て、イオン源から引き出すイオンビームを、そのエネル
ギーを変化させずにしかも方形パルス状に断続すること
を主たる目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明に係るイオン源
装置の一つは、前記加速電源の正負両極間に、互いに直
列接続されていて互いに相反して入切する二つのスイッ
チから成る加速電源スイッチを接続し、かつこの二つの
スイッチの互いの直列接続部に前記プラズマ電極を接続
し、更に、前記引出し電源の正負両極間に、互いに直列
接続されていて互いに相反して入切する二つのスイッチ
から成る引出し電源スイッチを接続し、かつこの二つの
スイッチの互いの直列接続部に前記引出し電極を接続し
ていることを特徴としている。
【0020】イオン源の引出し電極系には、引出し電極
を有していないものもあるが、引出し電極を有している
場合は、プラズマ電極に印加する加速電圧の入切だけで
なく、それと共に引出し電極に印加する引出し電圧の入
切を行うことによって、イオンビームの電気的な断続が
可能であることが実験によって確かめられた。上記加速
電源スイッチおよび引出し電源スイッチは、この入切を
行うことができる。
【0021】しかし、上記電圧の入切に、単に電源と電
極間を入切する通常のスイッチを用いたのでは、イオン
ビームを、そのエネルギーを変化させずにしかも方形パ
ルス状に断続することはできない。これは、上記電極お
よびそれに電気的につながる部分と他の電極等との間に
は不可避的に静電容量が存在しており、単に上記電極に
印加する電圧を切っても、当該電極およびそれに電気的
につながる部分には電荷が残留していて、この残留電荷
による電圧によって、当該残留電荷がなくなるまで、イ
オンビームはそのエネルギーおよびビーム量を減衰させ
ながら引き出されるからである。
【0022】これに対して上記加速電源スイッチおよび
引出し電源スイッチは、共に、互いに相反して入切する
二つのスイッチから成っていて、その一方のスイッチに
よって電源の一方極と電極間を切ると同時に、他方のス
イッチによって当該電極と電源の他方極間を入にするこ
とができるので、この他方のスイッチを経由して、電極
およびそれに電気的につながる部分の残留電荷を瞬時に
アースへ逃がすことができる。従って、イオンビームは
瞬時に遮断される。その結果、イオン源から引き出すイ
オンビームを、そのエネルギーを変化させずにしかも方
形パルス状に断続することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るイオン源
装置を用いたイオン注入装置の一例を示す図である。図
6の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付
し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明す
る。
【0024】この実施例においては、前記加速電源26
の正負両極間に、互いに直列接続されていて互いに相反
して入切する(即ち一方が入のとき他方が切になり、一
方が切のとき他方が入になる。以下同じ)二つのスイッ
チ41、42から成る加速電源スイッチ40を接続し、
かつこの二つのスイッチ41、42の互いの直列接続部
43に前記プラズマ電極21等を接続している。
【0025】更に、前記引出し電源28の正負両極間
に、互いに直列接続されていて互いに相反して入切する
二つのスイッチ51、52から成る引出し電源スイッチ
50を接続し、かつこの二つのスイッチ51、52の互
いの直列接続部53に前記引出し電極22を接続してい
る。
【0026】これによって従来例で採用していた機械的
なシャッター38(図6参照)は不要になるので、その
ようなシャッター38は設けていない。
【0027】上記加速電源スイッチ40の具体的な構成
の一例を図2に示す。一方のスイッチ41は、フォトダ
イオード60、フォトトランジスタ62、この両者間を
接続する光ファイバ(図示省略)、制御電源64および
nチャネル形のMOSFET(MOS形電界効果トラン
ジスタ)66で構成されている。高耐圧を確保するため
に、MOSFET66は複数個を互いに直列接続してい
る。それに対応させて、フォトダイオード60も複数個
を互いに直列接続している。
【0028】他方のスイッチ42は、フォトダイオード
70、フォトトランジスタ72、この両者間を接続する
光ファイバ(図示省略)、制御電源74およびpチャネ
ル形のMOSFET76で構成されている。高耐圧を確
保するために、MOSFET76は複数個を互いに直列
接続している。それに対応させて、フォトダイオード7
0も複数個を互いに直列接続している。
【0029】上記スイッチ41および42には、それら
を互いに相反して入切するために、この例では、互いに
相反して高レベルおよび低レベルになる(即ち一方が高
レベルのとき他方が低レベルになり、一方が低レベルの
とき他方が高レベルになる)パルス信号P1 およびP2
がそれぞれ互いに同期して供給される。
【0030】パルス信号P1 が高レベルかつパルス信号
2 が低レベルのとき、スイッチ41側のフォトダイオ
ード60が発光し、フォトトランジスタ62がオンし、
MOSFET66がオンし、スイッチ40が入になり、
加速電源26からの加速電圧V1 はプラズマ電極21に
印加される。同時に、スイッチ42側のフォトダイオー
ド70は発光せず、フォトトランジスタ72はオフし、
MOSFET76はオフし、スイッチ42は切になる。
逆に、パルス信号P1 が低レベルかつパルス信号P2
高レベルのとき、上記とは逆の動作によって、MOSF
ET66がオフしてスイッチ41が切になって、加速電
源26からの加速電圧V1 がプラズマ電極21に印加さ
れなくなると同時に、MOSFET76がオンしてスイ
ッチ42が入になって、プラズマ電極21はこのスイッ
チ42を経由して加速電源26の負極側に、即ちアース
に接続される。
【0031】なお、上記のように二つのパルス信号
1 、P2 を用いる代わりに、一つのパルス信号を、一
つはそのまま、もう一つはインバータを経由する等して
極性反転させて用いても良い。また、MOSFET6
6、76の代わりに、パワートランジスタ等の他の半導
体スイッチング素子を用いても良い。それらの直列数
は、耐圧等に応じて適宜選定すれば良い。
【0032】引出し電源スイッチ50の具体的な構成
も、上記加速電源スイッチ40と同様であるので、ここ
では重複説明を省略する。
【0033】イオン源2の引出し電極系20が上記のよ
うな4枚の電極21〜24で構成されている場合、それ
らに電源26、28、30から印加する三つの電圧V1
〜V3 をどのように入切することでイオンビーム32を
遮断することができるかを実験した。この実験は、被注
入物34として6インチのシリコンウェーハを用い、そ
れにイオンビーム32を10分間照射し、その際の注入
量(ドーズ量)は、サーマルウェーブ法によって、イオ
ン注入によってウェーハ内に誘起される結晶欠陥の量を
測定することによって行った。その結果を表1に示す。
サーマルウェーブ値が大きいほど、ウェーハに結晶欠陥
が多く誘起されており、注入量が多いことを示してお
り、サーマルウェーブ値が小さいほど、注入量が少ない
ことを示している。
【0034】
【表1】
【0035】イオン注入を全く行わない場合でも、通常
のシリコンウェーハのサーマルウェーブ値は24前後あ
るので、試料1および2はイオンビームが完全に遮断さ
れていることを示している。試料3〜6は、イオンビー
ムが完全には遮断されず、わずかに引き出されているこ
とを示している。試料7および8は、通常通りイオンビ
ームが引き出されていることを示している。この結果か
ら、引出し電極系20が引出し電極22を有する場合
は、プラズマ電極21に印加する加速電圧V1 だけでな
く、それと引出し電極22に印加する引出し電圧V2
両方を切にすることによって初めて、イオンビームを完
全に遮断することが可能であることが分かる。
【0036】このプラズマ電極21に印加する加速電圧
1 と引出し電極22に印加する引出し電圧V2 の両方
を入切するために、図1の実施例では、加速電源スイッ
チ40および引出し電源スイッチ50を設けている。両
スイッチ40および50は、両者に例えば図2に示した
ようなパルス信号P1 およびP2 を共に供給することに
よって、互いに同期させて入切する(電極21、22に
電圧V1 、V2 をそれぞれ印加する場合を入、そうでな
い場合を切と呼ぶ)ことができる。
【0037】しかし、上記電圧V1 およびV2 の入切
に、単に電源と電極間を入切する通常のスイッチを用い
たのでは、イオンビーム32を、そのエネルギーを変化
させずにしかも方形パルス状に断続することはできな
い。これは、上記電極21、22およびそれに電気的に
つながる部分と他の電極等との間には不可避的に静電容
量が存在しており、単に上記電極21、22に印加する
電圧V1 、V2 を切っても、当該電極21、22および
それに電気的につながる部分には電荷が残留していて、
この残留電荷による電圧によって、当該残留電荷がなく
なるまで、イオンビーム32はそのエネルギーおよびビ
ーム量を減衰させながら引き出されるからである。
【0038】これに対して上記加速電源スイッチ40
は、互いに相反して入切する二つのスイッチ41、42
から成っていて、その一方のスイッチ41によって加速
電源26の一方極(正極)とプラズマ電極21間を切る
と同時に、他方のスイッチ42によって当該プラズマ電
極21と加速電源26の他方極(負極)間を入にするこ
とができるので、この他方のスイッチ42を経由して、
プラズマ電極21およびそれに電気的につながる部分の
残留電荷を瞬時にアースへ逃がすことができる。引出し
電源スイッチ50も同様であり、それが切のときは、引
出し電極22およびそれにつながる部分の残留電荷を、
その他方のスイッチ52および加速電源スイッチ40の
他方のスイッチ42を経由して、瞬時にアースへ逃がす
ことができる。これらの結果、イオン源2から引き出す
イオンビーム32を、そのエネルギーを変化させずにし
かも方形パルス状に(換言すれば矩形波状に)きれいに
断続することができる。
【0039】図3は、上記のことを確かめるために、プ
ラズマ電極21に印加する加速電圧V1 を入切したとき
のプラズマ電極電圧の時間的変化を測定した結果であ
る。同図中の実施例は、図2に示した加速電源スイッチ
40を用いて加速電圧V1 を入切した場合であり、プラ
ズマ電極電圧の立下り部Bはほぼ垂直に下がっている。
従ってこの場合は、イオンビーム32を一定のエネルギ
ーおよびビーム量の状態から瞬間的に遮断することがで
きている。即ちイオンビーム32を、そのエネルギーを
変化させずにしかも方形パルス状に断続することができ
ている。
【0040】一方、図3中の比較例は、図2に示した他
方のスイッチ42を設けずに一方のスイッチ41のみを
用いて加速電圧V1 を入切した場合であり、プラズマ電
極電圧の立下り部Cは斜めに下がっている。この立下り
部Cの間は、イオンビーム32はそのエネルギーおよび
ビーム量を減衰させながら引き出されるので、これでは
注入イオンのエネルギーおよび注入量の正確な制御は困
難である。
【0041】ところで、イオン源から安定して引き出す
ことのできるイオンビーム量は自ずと下限があり、大電
流型の、即ち大電流のイオンビームを引き出し可能なイ
オン源ほど、この下限値は大きい。従って、通常のイオ
ン源装置では、大電流型のイオン源を用いて低注入量注
入を行うことは困難である。
【0042】これに対して、上記実施例のようなイオン
源装置を用いれば、前述したように、イオンビーム32
をそのエネルギーを変化させずにしかも方形パルス状に
きれいに断続することができるので、大電流型のイオン
源2を用いながら、高注入量のイオン注入だけでなく、
低注入量のイオン注入をも容易に行うことができる。
【0043】そのためには、前記加速電源スイッチ40
および引出し電源スイッチ50を互いに同期させて入切
することを繰り返すことによって、イオン源2からパル
ス状のイオンビーム32を引き出してそれを被注入物3
4に照射すれば良い。このようなイオン注入方法を、パ
ルス注入と呼ぶ。これに対して、通常の、イオンビーム
を直流的に照射するイオン注入方法を連続注入と呼ぶ。
上記イオン源装置ではイオンビーム32をきれいに断続
することができるので、このようなパルス注入において
も、注入イオンのエネルギーは一定であり、しかもイオ
ンビーム断続のデューティ比を変化させることによっ
て、イオン源2から引き出すイオンビーム32のビーム
量(ビーム電流)を一定に保ちながら、被注入物34に
対する注入量を様々に変化させることができる。
【0044】図4は、上記のことを確かめるために、連
続注入時およびパルス注入時のウェーハのシート抵抗を
測定した結果である。これは、前述したイオン源2から
ジボランイオンを10keVのエネルギーで引き出して
それをシリコンウェーハに対して連続注入またはパルス
注入を行い、その後当該ウェーハを熱拡散炉で950
℃、30分のアニールを行った後、当該ウェーハのシー
ト抵抗を測定した結果である。
【0045】連続注入は、4枚の試料に対して、注入量
をそれぞれ1×1015、5×1014、3×1014および
1×1014(個/cm2 )に変化させたときのシート抵
抗を測定した(横軸)。パルス注入は、3枚の試料につ
いて、デューティ比が1(即ち連続注入)のときに注入
量が1×1015(個/cm2 )になる条件(ビーム電
流)で、デューティ比をそれぞれ0.5、0.3および
0.1に変化させたときのシート抵抗を測定した(縦
軸)。このときのイオンビーム断続(パルス)の周波数
fは10Hzとした。
【0046】丸印の測定結果値が全て45度の線L上に
完全に乗っていれば、パルス注入でデューティ比を変え
ることによって、連続注入で注入時間を変えて注入量を
変える場合と全く同じ効果(注入量)が得られることを
示しており、これが理想的な姿であるが、図4中の丸印
の測定結果値は全てこの線L上にほぼ乗っており、理想
的な姿に近いと言える。即ち、パルス注入によって、そ
のデューティ比を変えることによって、注入量をほぼ理
想的な姿で制御することができることを示している。こ
れは、上記実施例のようなイオン源装置を用いることに
よって、イオンビーム32をきれいに、即ち方形パルス
状に断続することができたからである。
【0047】なお、イオン源2の引出し電極系20に
は、図5に示す実施例のように、プラズマ電極21は有
しているけれども引出し電極22(図1参照)を有して
いない構成のものもある。その場合は勿論、引出し電源
28および引出し電源スイッチ50(いずれも図1参
照)を設ける必要はなく、加速電源26とプラズマ電極
21との間に前述したような加速電源スイッチ40を設
けることによって、図1の実施例の場合と同様の効果、
即ちイオンビーム32を方形パルス状に断続する効果を
奏することができる。
【0048】また、引出し電極系20が抑制電極23お
よび接地電極24を備えるか否かは、この発明の本質に
影響するものではなく、任意である。
【0049】また、上記実施例はいずれも、高周波放電
によってプラズマ12を生成するプラズマソース部4を
用いた例を示したが、プラズマソース部4はそれに限ら
れるものではなく、フィラメントを用いたアーク放電に
よってプラズマ12を生成するもの、またはマイクロ波
放電によってプラズマ12を生成するもの、等でも良
い。
【0050】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0051】請求項1記載の発明によれば、上記のよう
な加速電源スイッチおよび引出し電源スイッチを設けた
ので、電気的な手段によって、イオン源から引き出すイ
オンビームを、そのエネルギーを変化させずにしかも方
形パルス状にきれいに断続することができる。その結
果、機械的なシャッターを使用せずにイオンビームを断
続することができるので、機械的なシャッターを使用す
ることによる問題を解消することができる。
【0052】請求項2記載の発明によれば、上記のよう
な加速電源スイッチを設けたので、電気的な手段によっ
て、イオン源から引き出すイオンビームを、そのエネル
ギーを変化させずにしかも方形パルス状にきれいに断続
することができる。その結果、機械的なシャッターを使
用せずにイオンビームを断続することができるので、機
械的なシャッターを使用することによる問題を解消する
ことができる。
【0053】請求項3記載の発明によれば、パルス状の
イオンビームのデューティ比を調整することによって、
被注入物に対する注入量を、連続注入でその注入時間を
シャッター等によって調整する場合と同様に調整するこ
とができる。その結果、例えば、大電流型のイオン源を
用いながら、高注入量のイオン注入だけでなく、低注入
量のイオン注入をも容易に行うことができる。
【0054】請求項4記載の発明によれば、パルス状の
イオンビームのデューティ比を調整することによって、
被注入物に対する注入量を、連続注入でその注入時間を
シャッター等によって調整する場合と同様に調整するこ
とができる。その結果、例えば、大電流型のイオン源を
用いながら、高注入量のイオン注入だけでなく、低注入
量のイオン注入をも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン源装置を用いたイオン注
入装置の一例を示す図である。
【図2】図1中の加速電源スイッチの構成の一例を示す
回路図である。
【図3】加速電圧を入切したときのプラズマ電極電圧の
時間的変化の測定結果の一例を示す図である。
【図4】連続注入時およびパルス注入時のウェーハのシ
ート抵抗の測定結果の一例を示す図である。
【図5】この発明に係るイオン源装置を用いたイオン注
入装置の他の例を示す図である。
【図6】従来のイオン源装置を用いたイオン注入装置の
一例を示す図である。
【符号の説明】
2 イオン源 4 プラズマソース部 20 引出し電極系 21 プラズマ電極 22 引出し電極 26 加速電源 28 引出し電源 32 イオンビーム 34 被注入物 40 加速電源スイッチ 41、42 スイッチ 50 引出し電源スイッチ 51、52 スイッチ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマを生成するプラズマソース部
    と、当該プラズマからイオンビームを引き出す引出し電
    極系とを有し、かつ当該引出し電極系が、最プラズマ側
    に配置されていて接地電位を基準にして正の加速電圧が
    印加されるプラズマ電極と、このプラズマ電極のすぐ下
    流側に配置されていて当該プラズマ電極の電位を基準に
    して負の引出し電圧が印加される引出し電極とを有する
    イオン源と、前記プラズマ電極と接地電位部との間に前
    者を正極側にして接続された直流の加速電源と、前記引
    出し電極と前記プラズマ電極との間に前者を負極側にし
    て接続された直流の引出し電源とを備えるイオン源装置
    において、前記加速電源の正負両極間に、互いに直列接
    続されていて互いに相反して入切する二つのスイッチか
    ら成る加速電源スイッチを接続し、かつこの二つのスイ
    ッチの互いの直列接続部に前記プラズマ電極を接続し、
    更に、前記引出し電源の正負両極間に、互いに直列接続
    されていて互いに相反して入切する二つのスイッチから
    成る引出し電源スイッチを接続し、かつこの二つのスイ
    ッチの互いの直列接続部に前記引出し電極を接続してい
    ることを特徴とするイオン源装置。
  2. 【請求項2】 プラズマを生成するプラズマソース部
    と、当該プラズマからイオンビームを引き出す引出し電
    極系とを有し、かつ当該引出し電極系が、最プラズマ側
    に配置されていて接地電位を基準にして正の加速電圧が
    印加されるプラズマ電極を有するイオン源と、前記プラ
    ズマ電極と接地電位部との間に前者を正極側にして接続
    された直流の加速電源とを備えるイオン源装置におい
    て、前記加速電源の正負両極間に、互いに直列接続され
    ていて互いに相反して入切する二つのスイッチから成る
    加速電源スイッチを接続し、かつこの二つのスイッチの
    互いの直列接続部に前記プラズマ電極を接続しているこ
    とを特徴とするイオン源装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のイオン源装置を用いて、
    前記加速電源スイッチおよび前記引出し電源スイッチを
    互いに同期させて入切することを繰り返すことによっ
    て、前記イオン源からパルス状のイオンビームを引き出
    してそれを被注入物に照射することを特徴とするイオン
    注入方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のイオン源装置を用いて、
    前記加速電源スイッチを入切することを繰り返すことに
    よって、前記イオン源からパルス状のイオンビームを引
    き出してそれを被注入物に照射することを特徴とするイ
    オン注入方法。
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