JP2006266777A - 巨大磁気抵抗効果素子を備える磁気センサ - Google Patents

巨大磁気抵抗効果素子を備える磁気センサ Download PDF

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Abstract

【課題】 巨大磁気抵抗効果素子を使用した磁気センサを小型化すること。
【解決手段】 磁気センサは、第1巨大磁気抵抗効果素子20を備える。第1巨大磁気抵抗効果素子は、固定層P、スペーサ層S及びフリー層Fを備える。フリー層Fは、固定層との間にスペーサ層を挟むように形成された第1強磁性膜24と、交換結合膜23と、交換結合膜により第1強磁性膜と交換結合する第1強磁性膜より厚膜の第2強磁性膜22と、を含む。第1巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値を決定する第1強磁性膜24の磁化の向きは、外部磁界により回転する第2強磁性膜22の磁化の向きと反平行である。従って、固定層の磁化の向きを同じ向きに固定した第1巨大磁気抵抗効果素子20と通常の巨大磁気抵抗効果素子とを基板11上に形成すれば、互いに磁界検出向きが反平行の二つの巨大磁気抵抗効果素子を近接して形成することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、巨大磁気抵抗効果素子を備える磁気センサに関する。
従来から知られる巨大磁気抵抗効果素子(以下、「GMR素子」とも称呼する。)は、固定層と、フリー層と、スペーサ層と、を有するスピンバルブ膜から構成されている。固定層は、強磁性膜であるピンド層及び同ピンド層の磁化の向きを固定するための反強磁性膜等からなるピニング層からなっている。フリー層は、外部磁界に応じて磁化の向きが変化する強磁性膜からなっている。スペーサ層は、ピンド層とフリー層との間に配置される非磁性導電膜からなっている。ピンド層の磁化の向きは、固定層の固定された磁化の向きということができる。
このGMR素子の抵抗値は、固定層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きのなす角度に応じて変化する。GMR素子の抵抗値は、固定層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きが平行(相対角度0°)であるとき最小となり、固定層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きが反平行(相対角度180°)であるとき最大となる。
一方、一般に、フリー層の磁化の向きは、外部磁界が加わっていないときに固定層と直交する向きになるように設定されている。固定層の固定された磁化の向きと直交する外部磁界の成分が一定又は無視できるほど小さい場合には、フリー層の磁化の向きは、固定層の固定された磁化の向きに沿う外部磁界の成分の大きさに基づいて回転する。従って、GMR素子の抵抗値は、外部磁界の固定層層の磁化の向きに沿う成分の大きさに応じて変化する。換言すると、GMR素子は、固定層の固定された磁化の向きに沿って大きさが変化する磁界を検出することができる。
ここで、説明の便宜上、「GMR素子の磁界検出向き」を、「固定層の固定された磁化の向きと反平行の向き(固定層の固定された磁化の向きと逆向き、固定層の固定された磁化の向きと180°異なる向き)」と定義する。この定義によれば、GMR素子は、その磁界検出向きの磁界の大きさが大きくなるほど大きくなる抵抗値を呈し、磁界検出向きと逆向き(反平行)の磁界の大きさが大きくなるほど小さくなる抵抗値を呈する。
一方、固定層の磁化は、例えば、ピンド層となる強磁性膜にピニング層となる反強磁性膜を積層し、その積層された膜に所定の向きの磁界を加えながら同膜を高温下に置く磁場中熱処理を行うことにより同所定の向きに固定される。
他方、このようなGMR素子を利用した磁気センサは、図18の(A)に示したように、磁界検出向きが所定の向きの二つのGMR素子101,102及び磁界検出向きが前記所定の向きと180度異なる二つのGMR素子103,104を単一の基板上に備え、これらの素子をフルブリッジ接続して図示した接続箇所P1及びP2間の電位差を出力Vとして取り出している。図18の(B)は、図18の(A)に示した磁気センサの磁界検出向きの外部磁界Hに対する出力Vを示す。
このブリッジ接続により、従来の磁気センサは、微小な磁界に対しても大きな出力を得ることが可能となる。また、各素子の温度は同様に変化するから、各素子の抵抗値も同様に変化する。即ち、例えば、一つの素子の温度が上昇したとき他の素子の温度も同様に上昇するから、各素子の抵抗値は同様に変化する。従って、出力Vは素子温度の変化の影響を受け難いので、上記磁気センサは素子温度が変化した場合にも外部磁界を精度良く検出することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004−163419号
磁界検出向きを決定するピンド層の磁化の向きは磁場中熱処理において固定層となる層に与えられる磁界により定まる。従って、上記ブリッジ接続に用いる磁界検出向きが互いに180度異なる複数のGMR素子を単一の基板上に形成するためには、向きが180度異なる磁界を「複数のGMR素子となる膜を形成した基板」に付与しなければならない。しかしながら、向きが180度異なる磁界を微小な領域に発生させることは容易でない。このため、GMR素子間の距離をある程度大きくせざるを得ず、その結果、磁気センサが大型化するという問題がある。
本発明による磁気センサは、上述した問題に鑑みてなされたものであって、単一の基板上に形成された第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とを備える。
第1巨大磁気抵抗効果素子は、
磁化の向きが所定の向きに固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第1強磁性膜と、同第1強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第1強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第1強磁性膜と交換結合するとともに同第1強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第2強磁性膜と、を含むフリー層、
を有する。
第2巨大磁気抵抗効果素子は、
磁化の向きが前記所定の向きに固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜を含むフリー層、
を有する。
このように、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とは、フリー層の構成のみが相違している。これらの巨大磁気抵抗効果素子において、基板の上方に向かってフリー層、スペーサ層、固定層の順にこれらの層が積層されてもよく、基板の上方に向かって固定層、スペーサ層、フリー層の順にこれらの層が積層されてもよい。この点は、本明細書における巨大磁気抵抗効果素子の総てに共通に適用される。
ところで、膜厚が相対的に大きい強磁性膜と膜厚が相対的に小さい強磁性膜とを交換結合膜(例えば、Ruからなる薄膜)を挟むように形成すると、両強磁性膜の磁化の向きは交換結合により反平行の向き(180°異なる向き)となる。更に、膜厚が相対的に大きい強磁性膜の磁化の向きは、外部磁界の向きに近づくように変化する。加えて、巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値は、「固定層の固定された磁化の向き」と「スペーサ層に接するとともに同スペーサ層を介して固定層と対向する強磁性膜の磁化の向き」のなす角度に依存して変化する。この「スペーサ層を介して固定層と対向する強磁性膜の磁化の向き」を、本明細書においては、以下、「フリー層の磁化の向き」とも称呼する。
上記第1巨大磁気抵抗効果素子において、「スペーサ層を介して固定層と対向する強磁性膜」は、膜厚が相対的に小さい第1強磁性膜である。第1強磁性膜は、交換結合膜を介して第2強磁性膜と交換結合している。従って、第1強磁性膜の磁化の向きは第2強磁性膜の磁化の向きと反平行の向きとなる。第2強磁性膜の磁化の向きは、第2強磁性膜の膜厚が相対的に大きいから、外部磁界の磁化の向きに近づくように動く。この結果、第1強磁性膜の磁化の向きは外部磁界の磁化の向きと反平行の向きとなる。換言すると、第1巨大磁気抵抗効果素子の「フリー層の磁化の向き」は外部磁界の磁化の向きと反平行の向きとなる。
これに対し、
上記第2巨大磁気抵抗効果素子において、「スペーサ層を介して固定層と対向する強磁性膜」は、その磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜である。換言すると、第2巨大磁気抵抗効果素子の「フリー層の磁化の向き」は外部磁界の磁化の向きと平行の向きとなる。
この結果、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子は、各固定層の磁化の向きが互いに同一の所定の向きでありながらも、磁界検出向きが180°異なる二つの巨大磁気抵抗効果素子となる。換言すると、前述した磁場中熱処理において各固定層に加える磁界の向きを同じ向きとしても、磁界検出向きが180°異なる二つの巨大磁気抵抗効果素子を得ることができる。この結果、上記構成を備える磁気センサは、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子を近接配置することができるので、小型な磁気センサとなり得る。
また、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子は単一基板上の微小領域内に形成され得る。従って、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子を単一基板上の微小領域内に形成すれば、基板及び基板等を覆う樹脂等が熱や外部から加わる応力などによって変形したときであっても、両巨大磁気抵抗効果素子には一様な応力(例えば、略同一の引張応力又は略同一の圧縮応力)が加わる。これにより、各巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値は互いに同様に増大又は減少する。この結果、これらの巨大磁気抵抗効果素子の各抵抗値の差に基づいて磁界を検出する場合、磁界検出精度を向上することができる。更に、例えば、これらの巨大磁気抵抗効果素子を用いてブリッジ回路を構成した場合、そのブリッジ回路のバランスが崩れてしまう可能性が低減するから、そのブリッジ回路により磁界を精度良く検出することができる。
この場合、前記第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜と、同第3強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第3強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第3強磁性膜と交換結合するとともに同第3強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜と、からなることができる。
これによれば、第1巨大磁気抵抗効果素子と同じように、第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層において交換結合膜による交換結合を利用した磁気センサが提供される。また、通常のフリー層F(本発明を適用していないフリー層)には磁化の向きが外部磁界により変化しない反磁界領域がエッヂ部(磁界方向の両端部)に発生する。これに対し、上記巨大磁気抵抗効果素子のように、フリー層Fにおいて互いに膜厚が異なる二つの強磁性膜を交換結合させると、反磁界領域の幅が減少する。従って、本発明による巨大磁気抵抗効果素子は、素子幅を小さくしても、MR比が低下しない。この結果、巨大磁気抵抗効果素子を一層小さい素子とすることができるので、より小型な磁気センサが提供され得る。
本発明による他の磁気センサは、第1乃至第4巨大磁気抵抗効果素子(少なくとも4つの巨大磁気抵抗効果素子)を単一の基板上に備える。
第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子は、その固定層の固定された磁化の向きが第1の向きである点を除き、前述した第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子と同一の構成を備えている。
第3巨大磁気抵抗効果素子は、磁化の向きが前記第1巨大磁気抵抗効果素子の固定層の層面と平行な面内において前記第1の向きと直交する第2の向きに固定されている点を除き、同第1巨大磁気抵抗効果素子と類似の膜構成を備えている。
具体的に述べると、第3巨大磁気抵抗効果素子は、
磁化の向きが前記第1巨大磁気抵抗効果素子の固定層の層面と平行な面内において前記第1の向きと直交する第2の向きに固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第5強磁性膜と、同第5強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第5強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第5強磁性膜と交換結合するとともに同第5強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第6強磁性膜と、を含むフリー層、
を有する。
第4巨大磁気抵抗効果素子は、第3巨大磁気抵抗効果素子に対し、フリー層の構成のみが相違している。具体的に述べると、第4巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜を含む。即ち、固定層の固定された磁化の向きを除き、第3巨大磁気抵抗効果素子と第4巨大磁気抵抗効果素子との関係は、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子との関係と同じである。
このように構成された磁気センサは、磁界検出向きが第1の向きと平行の第1巨大磁気抵抗効果素子と、磁界検出向きが第1の向きと反平行の第2巨大磁気抵抗効果素子と、磁界検出向きが第1の向きと直交する第2の向きと平行の第3巨大磁気抵抗効果素子と、磁界検出向きが第2の向きと反平行の第4巨大磁気抵抗効果素子と、を1つの基板上に備えることになる。従って、互いに直交する2つの向き(第1の向き及び第2の向きからなる2軸)のそれぞれにおける外部磁界の成分を検出でき、外部磁界の面内方位を検出できる磁気センサが提供される。
前述したように第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とは単一基板上の微小領域内に形成され得る。従って、基板及び基板等を覆う樹脂等が熱や外部から加わる応力などによって変形したときであっても、これらの素子には一様な応力(例えば、略同一の引張応力又は略同一の圧縮応力)が加わる。これにより、各巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値は互いに同様に増大又は減少するので、例えば、これらの素子を接続してブリッヂ回路を構成した場合、そのブリッジ回路のバランスが崩れてしまう可能性が低減する。この結果、上記磁気センサは第1の向きの磁界を精度良く検出することができる。
同様に、第3巨大磁気抵抗効果素子と第4巨大磁気抵抗効果素子とは単一基板上の微小領域内に形成され得る。従って、これらの素子には一様な応力が加わるので、各巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値は互いに同様に増大又は減少する。従って、例えば、これらの素子を接続してブリッヂ回路を構成した場合、そのブリッジ回路のバランスが崩れてしまう可能性が低減する。この結果、上記磁気センサは第2の向きの磁界も精度良く検出することができる。
この場合、
前記第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜と、同第3強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第3強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第3強磁性膜と交換結合するとともに同第3強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜と、から構成され、
前記第4巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第7強磁性膜と、同第7強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第7強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第7強磁性膜と交換結合するとともに同第7強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第8強磁性膜と、から構成されることができる。
これによれば、第1巨大磁気抵抗効果素子と同じように第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層において交換結合膜による交換結合を利用し、第3巨大磁気抵抗効果素子と同じように第4巨大磁気抵抗効果素子のフリー層において交換結合膜による交換結合を利用した磁気センサが提供される。上述したように、この構成においても、各巨大磁気抵抗効果素子は、フリー層Fにおいて互いに膜厚が異なる二つの強磁性膜を交換結合させている。従って、反磁界領域の幅が減少するので、素子幅を小さくしてもMR比が低下しない。この結果、巨大磁気抵抗効果素子を一層小さい素子とすることができるので、より小型な磁気センサが提供され得る。
以下、本発明による磁気センサの各実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1に平面図を示した本発明の第1実施形態に係る磁気センサ10は、単一の基板(モノリシックチップ)11と、第1巨大磁気抵抗効果素子(第1GMR素子)20と、第2巨大磁気抵抗効果素子(第2GMR素子)30とを備えている。
基板11は、シリコンからなっている。基板11は、平面視において互いに直交するX軸及びY軸に沿った辺を有する長方形状を有し、X軸及びY軸に直交するZ軸方向に小さな厚みを有する薄板体である。
第1GMR素子20は、基板11の上面(主面)の上に形成されている。第1GMR素子20は、拡大平面図である図2及び図2の1−1線に沿った平面にて第1GMR素子20を切断した概略断面図である図3に示したように、複数の(この例では6個の)幅狭帯状部20a1〜20a6と、複数の(この例では7個の)バイアス磁石膜20b1〜20b7と、一対の端子部20c1,20c2と、を備えている。
幅狭帯状部20a1〜20a6の各々はY軸方向に長手方向を有している。最もX軸正方向側に位置する幅狭帯状部20a1のY軸負方向側の端部は、バイアス磁石膜20b1の上に形成されている。バイアス磁石膜20b1は接続部20c1と接続されている。幅狭帯状部20a1のY軸正方向側の端部は、バイアス磁石膜20b2の上に形成されている。
幅狭帯状部20a2は、幅狭帯状部20a1のX軸負側において幅狭帯状部20a1に隣接配置されている。幅狭帯状部20a2の一つの端部はバイアス磁石膜20b2の上に形成されるとともに、バイアス磁石膜20b2上において幅狭帯状部20a1と接続されている。幅狭帯状部20a2の他の端部はバイアス磁石膜20b3の上に形成されている。
幅狭帯状部20a3は、幅狭帯状部20a2のX軸負側において幅狭帯状部20a2に隣接配置されている。幅狭帯状部20a3の一つの端部はバイアス磁石膜20b3の上に形成されるとともに、バイアス磁石膜20b3上において幅狭帯状部20a2と接続されている。幅狭帯状部20a3の他の端部はバイアス磁石膜20b4の上に形成されている。
幅狭帯状部20a4は、幅狭帯状部20a3のX軸負側において幅狭帯状部20a3に隣接配置されている。幅狭帯状部20a4の一つの端部はバイアス磁石膜20b4の上に形成されるとともに、バイアス磁石膜20b4上において幅狭帯状部20a3と接続されている。幅狭帯状部20a4の他の端部はバイアス磁石膜20b5の上に形成されている。
幅狭帯状部20a5は、幅狭帯状部20a4のX軸負側において幅狭帯状部20a4に隣接配置されている。幅狭帯状部20a5の一つの端部はバイアス磁石膜20b5の上に形成されるとともに、バイアス磁石膜20b5上において幅狭帯状部20a4と接続されている。幅狭帯状部20a5の他の端部はバイアス磁石膜20b6の上に形成されている。
幅狭帯状部20a6は、幅狭帯状部20a5のX軸負側において幅狭帯状部20a5に隣接配置されている。幅狭帯状部20a6の一つの端部はバイアス磁石膜20b6の上に形成されるとともに、バイアス磁石膜20b6上において幅狭帯状部20a5と接続されている。幅狭帯状部20a6の他の端部はバイアス磁石膜20b7の上に形成されている。バイアス磁石膜20b7は接続部20c2と接続されている。このように、第1GMR素子20は、複数の幅狭帯状部をジグザグ状(つづら折れ状)に配列し、それらを直列接続した素子である。
幅狭帯状部20a1〜20a6の各々は、図4の(A)に膜構成を示したスピンバルブ膜SV1からなっている。このスピンバルブ膜(GMR膜)SV1は、基板11の上に形成されたベース層B、ベース層Bの上に形成されたフリー層F、フリー層Fの上に形成されたスペーサ層S、スペーサ層Sの上に形成された固定層P及び固定層Pの上に形成された保護層(キャッピング層)Cを備えている。
ベース層Bは、Taからなる膜21からなっている。ベース層Bは、フリー層Fと固定層Pの層間結合を抑制することを目的とし、スピンバルブ膜SV1を結晶配向させる下地層を構成する。
フリー層Fは、COFe(又はNiFe等)からなる強磁性膜22、Ruからなる交換結合膜23、COFe(又はNiFe等)からなる強磁性膜24を含んでいる。強磁性膜22はベース層Bの膜21の直上に積層され、交換結合膜23は強磁性膜22の直上に積層され、強磁性膜24は交換結合膜23の直上に形成されている。
強磁性膜22の膜厚は4nm程度である。交換結合膜23の膜厚は0.5〜1nm程度又はそれ以下である。強磁性膜24の膜厚は2nm程度である。強磁性膜22の膜厚は、強磁性膜24の膜厚の1.5乃至3倍程度である。以下、便宜上、スペーサ層Sの非磁性導電体膜25に接している(隣接している)強磁性膜24を第1強磁性膜と称呼し、強磁性膜22を第2強磁性膜と称呼する。
ところで、膜厚が相対的に大きい強磁性膜と膜厚が相対的に小さい強磁性膜とを交換結合膜(例えば、Ruからなる薄膜)を挟むように形成すると、両膜は交換結合し、それらの磁化の向きは互いに反平行の向き(180°異なる向き)となる。更に、この場合、膜厚が相対的に大きい強磁性膜の磁化の向きは外部磁界の向きに近づくように変化する。
従って、上記強磁性膜の称呼方法によれば、第1GMR素子20のフリー層Fは、スペーサ層Sに接し固定層Pとの間にスペーサ層Sを挟むように形成された第1強磁性膜24と、第1強磁性膜24に接するように形成された交換結合膜23と、交換結合膜23に接し且つ第1強磁性膜と24の間に交換結合膜23を挟むように形成されることにより第1強磁性膜24と交換結合するとともに第1強磁性膜24の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第2強磁性膜22と、を含むと云うことができる。
フリー層Fは、幅狭帯状部20a1〜20a6のそれぞれが長手方向を有していることから、Y軸方向に沿った長手方向を有した形状となっている。従って、フリー層Fに外部磁界が付与されていない場合の同フリー層Fの磁化の向き(以下、「初期状態における磁化の向き」と称呼する。)は、形状異方性によりフリー層Fの長手方向(第1GMR素子20の場合はY軸方向)となっている。
スペーサ層Sは、非磁性導電体(例えば、Cu)の膜25である。
固定層(固着層、磁化固定層)Pは、CoFeからなる強磁性膜26と、Ptを45〜55mol%含むPtMn合金から形成した反強磁性膜27とを重ね合わせた膜である。強磁性膜26は、スペーサ層Sである膜25の直上に形成されている。強磁性膜26は、ピニング層を構成する反強磁性膜27に交換結合的に裏打されることにより磁化(磁化ベクトル)の向きがX軸正方向(所定の向き、第1の向き)にピン(固着)されるピンド層を構成している。強磁性膜26の磁化の向きが、第1GMR素子20のピンド層の固定された磁化の向き(固定層の固定された磁化の向き)である。
保護層Cは、チタン(Ti)又はタンタル(Ta)の薄膜28からなっている。
再び、図2及び図3を参照すると、バイアス磁石膜20b1〜20b7は、CoCrPt等の硬質強磁性体であって高保磁力及び高角型比を有する材質からなっている。バイアス磁石膜20b1〜20b7は、着磁されて永久磁石膜(ハードマグネット膜)となっている。バイアス磁石膜20b1〜20b7は、それぞれの直上部に形成されたフリー層Fと磁気的に結合し、フリー層Fに対して同フリー層Fの長手方向(第1GMR素子20の場合、Y軸方向)にバイアス磁界を与えるようになっている。
以上の構成により、第1GMR素子20の抵抗値は、幅狭帯状部20a1〜20a6の各抵抗値の和として、接続部20c1及び接続部20c2から取得される。前述したように、固定層P(ピンド層である強磁性膜26)の固定された磁化の向きは、X軸正方向である。また、第1GMR素子20の抵抗値を決定するフリー層Fの磁化の向きは、第1強磁性膜24の磁化の向きであり、図4の(B)に示したように、外部磁界に応じて変化する第2強磁性膜22の向きと反平行の向きである。
この結果、第1GMR素子20は、図4の(C)に示したように、−Hc〜+Hcの範囲において、固定層Pの固定された磁化の向き(X軸正方向)の外部磁界Hxの大きさが大きくなるにしたがって増大する抵抗値を示す。即ち、第1GMR素子20の磁界検出向きはX軸正方向である。
第2GMR素子30は、図1に示したように、基板11の上面であって、第1GMR素子20にY軸方向において近接した位置に形成されている。第2GMR素子30は、フリー層の膜構成を除き、第1GMR素子20と同一の構成を備えている。
具体的に述べると、第2GMR素子30は、図5の(A)に膜構成を示したスピンバルブ膜SV2からなっている。このスピンバルブ膜SV2は、スピンバルブ膜SV1と同様に、基板11の上に形成されたベース層B、ベース層Bの上に形成されたフリー層F、フリー層Fの上に形成されたスペーサ層S、スペーサ層Sの上に形成された固定層P及び固定層Pの上に形成された保護層Cを備えている。このうち、ベース層Bをなす膜31、スペーサ層Sをなす非磁性導電体膜35、固定層Pをなす強磁性膜36及び反強磁性膜37及び保護層Cをなす膜38は、第1GMR素子20のスピンバルブ膜SV1のそれら各膜(25〜28)に対応する膜と同一である。第2GMR素子30のピンド層の固定された磁化の向きは、第1GMR素子20のピンド層の固定された磁化の向きと同じX軸正方向である。
第2GMR素子30のフリー層Fは、COFe(又はNiFe等)からなる強磁性膜32、Ruからなる交換結合膜33、COFe(又はNiFe等)からなる強磁性膜34を含んでいる。強磁性膜32はベース層Bの膜31の直上に積層され、交換結合膜33は強磁性膜32の直上に積層され、強磁性膜34は交換結合膜33の直上に形成されている。
強磁性膜32の膜厚は2nm程度である。交換結合膜33の膜厚は0.5〜1nm程度又はそれ以下である。強磁性膜34の膜厚は4nm程度である。強磁性膜34の膜厚は、強磁性膜32の膜厚の1.5乃至3倍程度である。以下、便宜上、スペーサ層Sの非磁性導電体膜35に接している(隣接している)強磁性膜34を第3強磁性膜と称呼し、強磁性膜32を第4強磁性膜と称呼する。
従って、この強磁性膜の称呼方法によれば、第2GMR素子30のフリー層Fは、
スペーサ層Sに接し固定層Pとの間にスペーサ層Sを挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜34と、第3強磁性膜34に接するように形成された交換結合膜33と、交換結合膜33に接し且つ第3強磁性膜34との間に交換結合膜33を挟むように形成されることにより第3強磁性膜34と交換結合するとともに第3強磁性膜34の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜32と、からなると云うことができる。
更に、第2GMR素子30は、磁化の向きが所定の向きに固定された固定層P、固定層Pに接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層S、及び、スペーサ層Sに接し固定層Pとの間にスペーサ層Sを挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜34を含むフリー層、を有する素子と云うことができる。
なお、第2GMR素子30のフリー層Fも、第1GMR素子20のフリー層Fと同様、Y軸方向に長手方向を有する幅狭帯状部の形状を有している。従って、初期状態における磁化の向きは、形状異方性によりY軸方向となっている。また、第2GMR素子30の図示しないバイアス磁石膜も、第2GMR素子のフリー層FにY軸方向のバイアス磁界を与えるようになっている。第2GMR素子30の抵抗値を決定するフリー層Fの磁化の向きは、第3強磁性膜34の磁化の向きである。
以上の構成により、第2GMR素子30の抵抗値は、図5の(B)に示したように、固定層P(ピンド層である強磁性膜36)の固定された磁化の向きであるX軸正方向と、第3強磁性膜34の磁化の向きとのなす角度により定まる。この結果、第2GMR素子30は、図5の(C)に示したように、−Hc〜+Hcの範囲において、固定層Pの固定された磁化の向き(X軸正方向)の外部磁界Hxの大きさが大きくなるにしたがって減少する抵抗値を示す。即ち、第2GMR素子30の磁界検出向きはX軸負方向である。
磁気センサ10は、図6の(A)に示したように、第1GMR素子20と第2GMR素子30を接続したハーブブリッヂ回路により構成されている。具体的に述べると、第2GMR素子30の一端は定電圧源の正極に接続され、電圧Vdが付与される。第2GMR素子30の他端と第1GMR素子20の一端は、接続点T1にて接続される。第1GMR素子20の他端は接地される。そして、磁気センサ10は、接続点T1の電位を出力Voxとして出力するようになっている。なお、素子20,30の各々に隣接した位置に示されたグラフは、各グラフに隣接した素子の特性(外部磁界HのX軸正方向成分に対する抵抗値Rの変化)を示している。
これにより、磁気センサ10は、図6の(B)に示したように、X軸正方向に沿う磁界の成分Hxに比例した電圧Voxを出力するようになっている。
以上、説明したように、第1実施形態に係る磁気センサ10が備える第1GMR素子20及び第2GMR素子30は、各固定層Pの磁化の向きが互いに同一の所定の向き(X軸正方向)でありながらも、磁界検出向きが180°異なる二つの巨大磁気抵抗効果素子となっている。換言すると、磁場中熱処理において各素子20及び30の固定層に加える磁界の向きを同じ向きであるX軸正方向としながら、磁界検出向きが180°異なる二つのGMR素子を得ることができる。この結果、磁気センサ10は、第1GMR素子20及び第2GMR素子30を基板11上にて近接配置することができるので、小型な磁気センサとなっている。
また、第1GMR素子20及び第2GMR素子30は単一基板11の上の微小領域内に形成されている。従って、基板11及び基板11等を覆う樹脂等が熱や外部から加わる応力などによって変形したときであっても、両GMR素子20,30には一様な応力(例えば、略同一の引張応力又は略同一の圧縮応力)が加わる。従って、各GMR素子の抵抗値は互いに同様に増大又は減少する。また、磁気センサ10は、これらのGMR素子20,30の各抵抗値の差に基づいて磁界を検出するために、ブリッジ回路を備えている。従って、上述した応力により、そのブリッジ回路のバランスが崩れてしまう可能性が低減する。その結果、磁気センサ10は応力の影響を受けることなく、より磁界を精度良く検出することができる。
また、図7の(A)に示したように、通常のフリー層Fには磁化の向きが外部磁界により変化しない反磁界領域Aがエッヂ部に発生する。これに対し、第1GMR素子20及び第2GMR素子30のように、フリー層Fにおいて互いに膜厚が異なる二つの強磁性膜を交換結合させると、図7の(B)に示したように、反磁界領域Aの幅が減少する。従って、第1GMR素子20及び第2GMR素子30は、素子幅(幅狭帯状部の短手方向の長さ)を小さくしても、MR比が低下しない。この結果、第1GMR素子20及び第2GMR素子30は一層小さい素子となり得るので、磁気センサ10を一層小型化することもできる。
なお、第1GMR素子20は、磁化の向きが固定された固定層Pと、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層Fと、固定層Pとフリー層Fとの間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層Sと、を備えた巨大磁気抵抗効果素子であり、フリー層Fは、第1強磁性膜24と、第1強磁性膜24の膜厚より大きい膜厚を有する第2強磁性膜22と、第1強磁性膜24と第2強磁性膜22との間に配置され第1強磁性膜24と第2強磁性膜22とを交換結合する交換結合膜23と、を備えた素子であると云うこともできる。
<第2実施形態>
図8に平面図を示した本発明の第2実施形態に係る磁気センサ40は、単一の基板(モノリシックチップ)40aと、合計で8個の巨大磁気抵抗効果素子41〜44,51〜54と、を含んでいる。磁気センサ40は、便宜上「Nタイプの磁気センサ40」と称呼される。
基板40aは、シリコンからなっている。基板40aは、平面視において互いに直交するX軸及びY軸に沿った辺を有する長方形状(略正方形状)を有し、X軸及びY軸に直交するZ軸方向に小さな厚みを有する薄板体である。
巨大磁気抵抗効果素子41,42,43及び44はそれぞれ第1,第2,第3及び第4X軸GMR素子と称呼され、巨大磁気抵抗効果素子51,52,53及び54はそれぞれ第1,第2,第3及び第4Y軸GMR素子と称呼される。
第1X軸GMR素子41は、前述した第1GMR素子20と同一の構成を備えた素子である。第1X軸GMR素子41は、基板40aのY軸方向略中央部下方でX軸正方向端部近傍に形成されている。第1X軸GMR素子41の磁界検出向きはX軸正方向となっている。
第2X軸GMR素子42は、前述した第2GMR素子30と同一の構成を備えた素子である。第2X軸GMR素子42は、基板40aのY軸方向略中央部上方でX軸正方向端部近傍に形成されている。第2X軸GMR素子42の磁界検出向きはX軸負方向となっている。
第3X軸GMR素子43は、前述した第1GMR素子20と同一の構成を備えた素子である。第3X軸GMR素子43は、基板40aのY軸方向略中央部下方で第1X軸GMR素子41から僅かな距離だけX軸負方向に離れた位置に形成されている。第3X軸GMR素子43の磁界検出向きはX軸正方向となっている。
第4X軸GMR素子44は、前述した第2GMR素子30と同一の構成を備えた素子である。第4X軸GMR素子44は、基板40aのY軸方向略中央部上方で第2X軸GMR素子42から僅かな距離だけX軸負方向に離れた位置に形成されている。第4X軸GMR素子44の磁界検出向きはX軸負方向となっている。
このように、第1〜第4X軸GMR素子41〜44は、基板40a上のX軸正方向端部近傍において互いに近接した位置(第1微小領域内)に形成されている。
第1Y軸GMR素子51は、前述した第1GMR素子20(従って、第1GMR素子41)を平面視においてZ軸の周りに反時計方向に90°回転した素子と同一の構成を備えた素子である。第1Y軸GMR素子51は、基板40aのX軸方向略中央部右方でY軸正方向端部近傍に形成されている。第1Y軸GMR素子51の磁界検出向きはY軸正方向となっている。
第2Y軸GMR素子52は、前述した第2GMR素子30(従って、第2GMR素子42)を平面視においてZ軸の周りに反時計方向に90°回転した素子と同一の構成を備えた素子である。第2Y軸GMR素子52は、基板40aのX軸方向略中央部左方でY軸正方向端部近傍に形成されている。第2Y軸GMR素子52の磁界検出向きはY軸負方向となっている。
第3Y軸GMR素子53は、第1Y軸GMR素子51と同一の構成を備えた素子である。第3Y軸GMR素子53は、基板40aのX軸方向略中央部右方で第1Y軸GMR素子51から僅かな距離だけY軸負方向に離れた位置に形成されている。第3Y軸GMR素子53の磁界検出向きはY軸正方向となっている。
第4Y軸GMR素子54は、前述した第2Y軸GMR素子52と同一の構成を備えた素子である。第4Y軸GMR素子54は、基板40aのX軸方向略中央部左方で第2Y軸GMR素子52から僅かな距離だけY軸負方向に離れた位置に形成されている。第4Y軸GMR素子54の磁界検出向きはY軸負方向となっている。
このように、第1〜第4Y軸GMR素子51〜54は、基板40a上のY軸正方向端部近傍において互いに近接した位置(第2微小領域内)に形成されている。
磁気センサ40は、第1〜第4X軸GMR素子41〜44からなるX軸磁気センサ(X軸方向を磁界検出向きとする磁気センサ)及び第1〜第4Y軸GMR素子51〜54からなるY軸磁気センサ(Y軸方向を磁界検出向きとする磁気センサ)を備えている。
X軸磁気センサは、図9の(A)に等価回路を示したように、第1〜第4X軸GMR素子41〜44がフルブリッジ接続されることにより構成されている。X軸磁気センサにおいては、第1X軸GMR素子41の一端と第2X軸GMR素子42の一端とが接続されて第1回路要素が構成されている。第2X軸GMR素子42の他端には第1電位(図示しない定電圧源により与えられる一定電圧)+Vが付与されている。第1X軸GMR素子41の他端は、接地されている(GNDに接続されている。)。即ち、第1X軸GMR素子41の他端には、第1電位と異なる第2電位が付与されている。
更に、第3X軸GMR素子43の一端と第4X軸GMR素子44の一端とが接続されて第2回路要素が構成されている。第3X軸GMR素子43の他端には第1電位+Vが付与されている。第4X軸GMR素子44の他端は、接地されている(GNDに接続されている。)。即ち、第4X軸GMR素子44の他端には、第1電位と異なる第2電位が付与されている。
そして、第1X軸GMR素子41の一端と第2X軸GMR素子42の一端との接続箇所Q1の電位VQ1と、第3X軸GMR素子43の一端と第4X軸GMR素子44の一端との接続箇所Q2の電位VQ2と、の電位差Vox(=VQ2−VQ1)がセンサの出力値(第1出力値)として取り出される。この結果、X軸磁気センサは、図9の(B)に示したように、外部磁界Hxに略比例するとともに、外部磁界Hxが大きいほど小さくなる電圧Voxを出力するようになっている。
Y軸磁気センサは、図10の(A)に等価回路を示したように、第1〜第4Y軸GMR素子51〜54がフルブリッジ接続されることにより構成されている。Y軸磁気センサにおいては、第1Y軸GMR素子51の一端と第2Y軸GMR素子53の一端とが接続されて第3回路要素が構成されている。第2Y軸GMR素子53の他端には第1電位+Vが付与されている。第1Y軸GMR素子51の他端は、接地されている(GNDに接続されている。)。即ち、第1Y軸GMR素子51の他端には、第1電位と異なる第2電位が付与されている。
更に、第3Y軸GMR素子53の一端と第4Y軸GMR素子54の一端とが接続されて第4回路要素が構成されている。第3Y軸GMR素子53の他端には第1電位+Vが付与されている。第4Y軸GMR素子54の他端は、接地されている(GNDに接続されている。)。即ち、第4Y軸GMR素子54の他端には、第1電位と異なる第2電位が付与されている。
そして、第1Y軸GMR素子51の一端と第2Y軸GMR素子52の一端との接続箇所Q3の電位VQ3と、第3Y軸GMR素子53の一端と第4Y軸GMR素子54の一端との接続箇所Q4の電位VQ4と、の電位差Voy(=VQ3−VQ4)がセンサの出力値(第2出力値)として取り出される。この結果、Y軸磁気センサは、図10の(B)に示したように、Y軸に沿って変化する外部磁界Hyに略比例するとともに、外部磁界Hyが大きいほど大きくなる電圧Voyを出力するようになっている。
(磁気センサ40の製造方法:ピンド層の磁化固定方法)
次に、磁気センサ40の製造方法(特に、第1〜第4X軸GMR素子41〜44及び第1〜第4Y軸GMR素子51〜54の各ピンド層の磁化の固定方法)について説明する。
先ず、平面図である図11に示したように、後に基板40aとなる基板40a−1の上に、第1〜第4X軸GMR素子41〜44及び第1〜第4Y軸GMR素子51〜54を構成する膜Mを島状に複数形成する。これらの膜Mは、基板40a−1が後の切断工程により図11の鎖線にて示した切断線CLに沿って切断されて図8に示した個々の磁気センサ40に分割されたとき、第1〜第4X軸GMR素子41〜44及び第1〜第4Y軸GMR素子51〜54が図8に示した基板40a上の各位置に配置されるように形成される。
次に、図12及び図13に示したマグネットアレイ60を準備する。図12は、マグネットアレイ60の平面図である。図13は、図12の2−2線に沿った平面にてマグネットアレイ60を切断したマグネットアレイ60の断面図である。このマグネットアレイ60は、それぞれが直方体形状の複数の永久磁石(永久棒磁石)61…61と透明な石英ガラスからなるプレート62と、を備えている。永久磁石61…61は正方格子状に配列され、各上面がプレート62の下面に固定されている。永久磁石61…61は、永久磁石61…61の各端面を含む平面において、最短距離で隣接する磁極の極性が異なるように配列されている。
即ち、マグネットアレイ60は、略直方体形状であって同直方体の一つの中心軸に直交する断面の形状が略正方形である複数の永久磁石61を、同略正方形を有する端面の重心が正方格子の格子点に一致するように配設するとともに、同配設された各永久磁石61の磁極の極性が最短距離を隔てて隣接する他の永久磁石61の磁極の極性と異なるように配置・構成されたマグネットアレイである。
図14は、上記永久磁石61…61を5個だけ取り出した状態を示す同永久磁石の斜視図である。この図から明らかなように、永久磁石61…61の端面(前記磁極が形成された端面)では、一つのN極から同N極に最短距離で隣接するS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界が形成される。本実施形態においては、この磁界を第1〜第4X軸GMR素子41〜44及び第1〜第4Y軸GMR素子51〜54のピンド層の磁化の向きを固定する際の磁界として使用する。
次に、上記膜Mが形成された基板40a−1をマグネットアレイ60の上に配置する。このとき、図15の平面図に示したように、基板40a−1を切断線CLにて切断したときに形成される正方形の膜Mが隣接して形成されていない2辺及びその2辺の交点を、2本の切断線CL及びその2本の切断線CLの交点とそれぞれ一致させるように、基板40a−1とマグネットアレイ60とを相対的に配置する。この結果、図14及び図15に矢印にて示したように、各膜Mに同各膜Mの幅狭帯状部の長手方向と直交する向きの磁界が加わる。
そして、この状態にある基板40a−1及びマグネットアレイ60を真空中で250℃〜280℃に加熱し、その後、4時間ほど放置する磁場中熱処理を実施する。これにより、固定層Pの磁化の向きが固定される。
磁場中熱処理を実施した後、バイアス磁石膜等の着磁などの必要な処理を行い、図15に示した切断線CLに沿って基板40a−1を切断する。これにより、図8に示した磁気センサ40と図16に示した磁気センサ70とが同時に多数個製造される。
この磁気センサ70は、便宜上「Sタイプの磁気センサ70」と称呼される。ここで磁気センサ70について簡単に説明すると、磁気センサ70は、第1〜第4X軸GMR素子71〜74及び第1〜第4Y軸GMR素子81〜84を備えている。これらの素子の固定層Pの固定された磁化の向き及び磁界検出向きは、図16に示した通りである。
また、第1〜第4X軸GMR素子71〜74は、磁気センサ40の第1〜第4X軸GMR素子41〜44と同様にフルブリッジ接続されてX軸磁気センサを構成する。同様に、第1〜第4Y軸GMR素子81〜84は、第1〜第4Y軸GMR素子51〜54と同様にフルブリッジ接続されてY軸磁気センサを構成する。
このように、第2実施形態に係る磁気センサ40(又は70)は、少なくとも以下((1)〜(4)に示した)の四個のGMR素子41,42,51,52(71,72,81,82)を備え、それらの素子が単一の基板40aの上に形成されてなる磁気センサである。
この磁気センサ40の構造によれば、第1微小領域内に形成した4個のGMR素子となる膜41〜44にX軸正方向の磁界を与えるだけで、磁界検出向きがX軸正方向及びX軸負方向の巨大磁気抵抗効果素子が形成される。従って、基板40aのX軸方向両端部のそれぞれに巨大磁気抵抗効果素子を形成する必要がないので、磁気センサ40は小型となる。同様に、第2微小領域内に形成した4個のGMR素子となる膜51〜54にY軸正方向の磁界を与えるだけで、磁界検出向きがY軸正方向及びY軸負方向の巨大磁気抵抗効果素子が形成される。従って、基板40aのY軸方向両端部のそれぞれに巨大磁気抵抗効果素子を形成する必要がないので、磁気センサ40は小型となる。
(1) 磁化の向きが第1の向き(X軸正方向)に固定された固定層P、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第1強磁性膜(24に相当)と、同第1強磁性膜に接するように形成された交換結合膜(23に相当)と、同交換結合膜に接し且つ同第1強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第1強磁性膜と交換結合するとともに同第1強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第2強磁性膜(22に相当)と、を含むフリー層、
を有する第1GMR素子41。
(2) 磁化の向きが前記第1の向きに固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜(34に相当)を含むフリー層、
を有する第2GMR素子42。
この場合、第2GMR素子42のフリー層は、
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜(34に相当)と、同第3強磁性膜に接するように形成された交換結合膜(33に相当)と、同交換結合膜に接し且つ同第3強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第3強磁性膜と交換結合するとともに同第3強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜(32に相当)と、からなる。
(3) 磁化の向きが前記第1GMR素子41の固定層の層面と平行な面内において前記第1の向きと直交する第2の向き(Y軸正方向)に固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第5強磁性膜(24に相当)と、同第5強磁性膜に接するように形成された交換結合膜(23に相当)と、同交換結合膜に接し且つ同第5強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第5強磁性膜と交換結合するとともに同第5強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第6強磁性膜(22に相当)と、を含むフリー層、
を有する第3GMR素子51。
(4) 磁化の向きが前記第2の向きに固定された固定層、
前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜(34に相当)を含むフリー層、
を有する第4GMR素子52。
この場合、第4GMR素子52のフリー層は、
前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第7強磁性膜(34に相当)と、同第7強磁性膜に接するように形成された交換結合膜(33に相当)と、同交換結合膜に接し且つ同第7強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第7強磁性膜と交換結合するとともに同第7強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第8強磁性膜(32に相当)と、からなる。
従って、磁気センサ40は、磁界検出向きが第1の向きと平行(X軸正方向)の第1巨大磁気抵抗効果素子41と、磁界検出向きが第1の向きと反平行(X軸負方向)の第2巨大磁気抵抗効果素子42と、磁界検出向きが第1の向きと直交する第2の向きと平行(Y軸正方向)の第3巨大磁気抵抗効果素子51と、磁界検出向きが第2の向きと反平行(Y軸負方向)の第4巨大磁気抵抗効果素子52と、を1つの基板40a上に備えることになる。従って、互いに直交する2つの向き(第1の向き及び第2の向きからなる2軸)のそれぞれにおける外部磁界の成分を検出できる磁気センサが提供される。
また、第1〜第4X軸GMR素子41〜44は微小領域内に形成され、第1〜第4Y軸GMR素子51〜54は他の微小領域内に形成される。従って、磁気センサ40は、基板40a等からの応力の影響を受け難い磁気センサとなっている。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、各GMR素子を、所謂「シンセティックスピンバルブ膜」からなる巨大磁気抵抗効果素子(以下、「SAF素子」と称呼する。)としてもよい。
このシンセティックスピンバルブ膜は、ベース層B、フリー層F、スペーサ層S及び保護層Cは、上述した各実施形態のベース層B、フリー層、スペーサ層S及び保護層Cとそれぞれ同一の構成を備える。その一方、固定層P’は、図17に膜構成を示したように、CoFeからなる第1強磁性膜P1と、第1強磁性膜P1の上に積層されたRuからなる交換結合膜Exと、交換結合膜Exの上に積層されたCoFeからなる第2強磁性膜P2と、第2強磁性膜P2の上に積層されるとともにPtを45〜55mol%含むPtMn合金からなる交換バイアス膜(反強磁性膜)Ebとを重ね合わせた多重膜積層固定層である。
交換結合膜Exは、第1強磁性膜P1と第2強磁性膜P2とにサンドイッチ状に挟まれている。第1強磁性膜P1は、交換結合膜Ex及び第2強磁性膜P2と協働して磁化の向きが外部磁界の変化に対して変化しないように固定されるピンド層を構成している。交換バイアス膜Ebは、第2強磁性膜P2及び交換結合膜Exを介してピンド層である第1強磁性膜P1の磁化の向きを固定するピニング層を構成している。なお、第1強磁性膜P1、交換結合膜Ex及び第2強磁性膜P2をピンド層と呼ぶこともできる。
交換バイアス膜Ebは第2強磁性膜P2と交換結合し、第2強磁性膜P2の磁化(磁化ベクトル)の向きを所定の方向に固定している。また、第1強磁性膜P1と第2強磁性膜P2は、交換結合膜Exを介して互いに交換結合している。このとき、第1強磁性膜P1の磁化の向きと第2強磁性膜P2の磁化の向きは反平行となる。
なお、上記本発明に係る実施形態の巨大磁気抵抗効果素子は、
磁化の向きが固定された固定層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、同固定層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、を備えた巨大磁気抵抗効果素子において、
前記フリー層は、第1強磁性膜と、同第1強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有する第2強磁性膜と、同第1強磁性膜と同第2強磁性膜との間に配置され同第1強磁性膜と同第2強磁性膜とを交換結合する交換結合膜と、を備えたことを特徴とする巨大磁気抵抗効果素子であるということができる。
上述したように、この構成の巨大磁気抵抗効果素子は、フリー層Fにおいて互いに膜厚が異なる二つの強磁性膜を交換結合させている。従って、反磁界領域の幅が減少するので、素子幅を小さくしてもMR比が低下しない。この結果、巨大磁気抵抗効果素子を一層小さい素子とすることができる。
この場合、前記第1強磁性膜が前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されることが好適である。
このような構成の巨大磁気抵抗効果素子となる膜を、通常の巨大磁気抵抗効果素子となる膜と隣接配置し、磁場中熱処理において両者に同一方向の磁界を加えることによって、磁界検出向きが180°異なる二つの巨大磁気抵抗効果素子を得ることができる。加えて、このような構成の巨大磁気抵抗効果素子となる膜と、前記第2強磁性膜が前記スペーサ層に接し前記固定層との間に前記スペーサ層を挟むように形成される膜と、を隣接配置し、磁場中熱処理において両者に同一方向の磁界を加えることによっても、磁界検出向きが180°異なる二つの巨大磁気抵抗効果素子を得ることができる。従って、小型の磁気センサが提供され得る。
本発明の第1実施形態に係る磁気センサの平面図である。 図1に示した第1GMR素子の拡大平面図である。 図2の1−1線に沿った平面にて第1GMR素子を切断した概略断面図である。 図4の(A)は図1に示した第1GMR素子の膜構成を示した図、図4の(B)は第1GMR素子の各膜の磁化の向きを説明するための図、図4の(C)は第1GMR素子の外部磁界に対する抵抗値の変化を示したグラフである。 図5の(A)は図1に示した第2GMR素子の膜構成を示した図、図5の(B)は第2GMR素子の各膜の磁化の向きを説明するための図、図5の(C)は第2GMR素子の外部磁界に対する抵抗値の変化を示したグラフである。 図6の(A)は図1に示した磁気センサが備える等価回路図であり、図6の(B)は外部磁界のX軸正方向成分に対する同磁気センサの出力の変化を示したグラフである。 図7の(A)は従来のGMR素子のフリー層に生じる反磁界領域を示した図であり、図7の(B)は図1に示した第1及び第2GMR素子のフリー層に生じる反磁界領域を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る磁気センサ(Nタイプ)の平面図である。 図9の(A)は図8に示した磁気センサが備えるX軸磁気センサの等価回路図であり、図9の(B)は外部磁界のX軸正方向成分に対する同X軸磁気センサの出力の変化を示したグラフである。 図10の(A)は図8に示した磁気センサが備えるY軸磁気センサの等価回路図であり、図10の(B)は外部磁界のY軸正方向成分に対する同Y軸磁気センサの出力の変化を示したグラフである。 図8に示した磁気センサを製造するためのウエハ(基板)の部分平面図である。 図8に示した磁気センサのピンド層の磁化の向きを固定する際に使用するマグネットアレイの平面図である。 図12の2−2線に沿った平面にてマグネットアレイを切断した同マグネットアレイの断面図である。 図12に示したマグネットアレイの永久磁石を5個だけ取り出した状態を示す同永久磁石の斜視図である。 図8に示した磁気センサのGMR素子のピンド層の磁化の向きを固定する方法を示したマグネットアレイ及びウエハの部分平面図である。 本発明の第2実施形態に係る磁気センサ(Sタイプ)の平面図である。 シンセティックスピンバルブ膜の固定層の膜構成を示した図である。 図18の(A)は従来の磁気センサの等価回路図であり、図18の(B)はは外部磁界に対する同従来の磁気センサの出力の変化を示したグラフである。
符号の説明
10…磁気センサ、11…基板、20…第1巨大磁気抵抗効果素子(第1GMR素子)、21…Ta膜、22…第2強磁性膜、23…交換結合膜、24…第1強磁性膜、25…非磁性導電体膜、26…強磁性膜(ピンド層)、27…反強磁性膜(ピニング層)、28…Ta膜、30…第2巨大磁気抵抗効果素子(第2GMR素子)、31…Ta膜、32…第4強磁性膜、33…交換結合膜、34…第3強磁性膜、35…非磁性導電体膜、36…強磁性膜(ピンド層)、37…反強磁性膜(ピニング層)、38…Ta膜、40…磁気センサ、40a…基板、41…第1X軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、42…第2X軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、43…第3X軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、44…第4X軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、51…第1Y軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、52…第2Y軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、53…第3Y軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、54…第4Y軸巨大磁気抵抗効果素子(GMR)素子、60…マグネットアレイ、61…永久磁石、70…磁気センサ、P…固定層、S…スペーサ層、F…フリー層、SV1…スピンバルブ膜、SV2…スピンバルブ膜。

Claims (4)

  1. 磁化の向きが所定の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第1強磁性膜と、同第1強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第1強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第1強磁性膜と交換結合するとともに同第1強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第2強磁性膜と、を含むフリー層、
    を有する第1巨大磁気抵抗効果素子、並びに、
    磁化の向きが前記所定の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜を含むフリー層、
    を有する第2巨大磁気抵抗効果素子、
    を備えるとともに、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子が単一の基板上に形成されてなる磁気センサ。
  2. 請求項1に記載の磁気センサにおいて、
    前記第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜と、同第3強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第3強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第3強磁性膜と交換結合するとともに同第3強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜と、からなる磁気センサ。
  3. 磁化の向きが第1の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第1強磁性膜と、同第1強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第1強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第1強磁性膜と交換結合するとともに同第1強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第2強磁性膜と、を含むフリー層、
    を有する第1巨大磁気抵抗効果素子、
    磁化の向きが前記第1の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜を含むフリー層、
    を有する第2巨大磁気抵抗効果素子、
    磁化の向きが前記第1巨大磁気抵抗効果素子の固定層の層面と平行な面内において前記第1の向きと直交する第2の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成された第5強磁性膜と、同第5強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第5強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第5強磁性膜と交換結合するとともに同第5強磁性膜の膜厚より大きい膜厚を有することにより磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第6強磁性膜と、を含むフリー層、
    を有する第3巨大磁気抵抗効果素子、
    並びに、
    磁化の向きが前記第2の向きに固定された固定層、
    前記固定層に接するように形成された非磁性導電体からなるスペーサ層、及び
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する強磁性膜を含むフリー層、
    を有する第4巨大磁気抵抗効果素子、
    を備えるとともに、
    前記第1乃至第4巨大磁気抵抗効果素子が単一の基板上に形成されてなる磁気センサ。
  4. 請求項3に記載の磁気センサにおいて、
    前記第2巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第3強磁性膜と、同第3強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第3強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第3強磁性膜と交換結合するとともに同第3強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第4強磁性膜と、からなり、
    前記第4巨大磁気抵抗効果素子のフリー層は、
    前記スペーサ層に接し前記固定層との間に同スペーサ層を挟むように形成されるとともに磁化の向きが外部磁界の向きに近づくように変化する第7強磁性膜と、同第7強磁性膜に接するように形成された交換結合膜と、同交換結合膜に接し且つ同第7強磁性膜との間に同交換結合膜を挟むように形成されることにより同第7強磁性膜と交換結合するとともに同第7強磁性膜の膜厚より小さい膜厚を有する第8強磁性膜と、からなる磁気センサ。
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