JP2006264898A - シート搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンタにシート部材を吸着して供給する際、搬送用無端ベルトの表面に確実にシート部材を吸着すると共に、電源装置の簡潔化を図る。
【解決手段】導電性ベルト16の表面に誘電性表面からなる縞状の誘電部17を形成して搬送用無端ベルト1とし、この無端ベルト1の表面側から帯電ローラ7などによって誘電部17に帯電を行い、この誘電部17にシート部材2を吸着して搬送する。摩擦帯電などの手法に頼らないのでシート部材2を確実に吸着することができ、また帯電手段が直流電源でよいので電源装置を簡素化することができる。誘電部17の縞状は、シート部材2の搬送方向と平行、或いは直交、或いは斜めにしてよい。誘電部17の幅を0.1mm以上40mm以下とすることで、シート部材2を確実に吸着する。
【選択図】 図2
【解決手段】導電性ベルト16の表面に誘電性表面からなる縞状の誘電部17を形成して搬送用無端ベルト1とし、この無端ベルト1の表面側から帯電ローラ7などによって誘電部17に帯電を行い、この誘電部17にシート部材2を吸着して搬送する。摩擦帯電などの手法に頼らないのでシート部材2を確実に吸着することができ、また帯電手段が直流電源でよいので電源装置を簡素化することができる。誘電部17の縞状は、シート部材2の搬送方向と平行、或いは直交、或いは斜めにしてよい。誘電部17の幅を0.1mm以上40mm以下とすることで、シート部材2を確実に吸着する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、記録用紙やOHPシート等のシート部材を搬送するシート搬送装置に関し、例えば複数色の液体インクの微粒子(ドット)を印刷用紙上に吐出出力して所定の文字や画像を描画するようにしたインクジェットプリンタに用いられ、搬送ベルトの表面にシート部材を吸着して搬送するのに好適なものである。
このようなインクジェットプリンタは、一般に安価で且つ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジとインクジェットヘッド(一般にインクジェットヘッドという)とが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が印刷用紙等のシート部材上をその紙送り方向と直交する方向に往復しながらアクチュエータを駆動することにより、そのインクジェットヘッドに形成されているノズルから液体インクの微粒子を吐出(噴射)することで、シート部材上に微小なインクドットを出力して所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色毎のインクジェットヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(更に、これらの各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、或いは8色のものも実用化されている)。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジとインクジェットヘッド(一般にインクジェットヘッドという)とが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が印刷用紙等のシート部材上をその紙送り方向と直交する方向に往復しながらアクチュエータを駆動することにより、そのインクジェットヘッドに形成されているノズルから液体インクの微粒子を吐出(噴射)することで、シート部材上に微小なインクドットを出力して所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色毎のインクジェットヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(更に、これらの各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、或いは8色のものも実用化されている)。
また、このようにキャリッジ上のインクジェットヘッドを紙送り方向と直交する方向(印刷用紙の幅方向)に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタでは、1頁全体をきれいに印刷するためにインクジェットヘッドを数十回から100回以上も往復運動させる必要があるため、他の方式の印刷装置、例えば電子写真技術を用いたレーザプリンタ、複写機などに比べて大幅に印刷時間がかかるといった欠点がある。
これに対し、印刷用紙の幅と同じ寸法の長尺のインクジェットヘッドを配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドを印刷用紙の幅方向に移動させる必要がなく、所謂1パスでの印刷が可能となるため、前記レーザプリンタと同様な高速な印刷が可能となる。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス型プリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型プリンタ」と呼んでいる。
ところで、この種のラインヘッド型インクジェットプリンタでは、搬送用の無端ベルトに印刷用紙などのシート部材を吸着して搬送する構成がよく用いられている。そのうち、下記特許文献1に挙げるシート搬送装置では、絶縁性搬送ベルトの表面に交流電圧又は交番電圧を付加して、その搬送ベルトの表面をシート部材の搬送方向と直交方向の縞状に帯電させる。このように絶縁性搬送ベルトの表面を縞状に帯電すると、シート部材に誘電分極が生じ、その誘電分極による電荷と搬送ベルト表面の帯電電荷との間に静電吸引力が発生し、シート部材を吸着することができる。また、下記特許文献2に挙げるシート搬送装置では、導電性搬送ベルトの表面に誘電部と導電部とを混在し、この搬送ベルトを摩擦帯電して印刷用紙などのシート部材を吸着するものもある。
特開平3−256945号公報
特開平6−305598号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載される従来技術では、交流電圧又は交番電圧によって帯電を行うため、プラスとマイナスの二つの高圧電源が必要となり、コスト高の原因となる。また、前記特許文献2に記載される従来技術では、摩擦帯電で搬送ベルトの誘電層を帯電するためには、シート部材を吸着する前に、十分な摩擦を行う必要があり、そのために搬送ベルトの送り負荷が大きくなって搬送速度にムラが生じ、正確なシート部材搬送ができないという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、正確なシート部材搬送と可能とすると共にコスト面でも有利なシート搬送装置を提供することを目的とするものである。
[発明1]上記課題を解決するために、発明1のシート搬送装置は、搬送ベルトの表面にシート部材を静電気力で吸着して搬送するシート搬送装置であって、導電性ベルトの表面に誘電性表面からなる縞状の誘電部が形成された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの表面側から前記誘電部に帯電を行う帯電手段とを備えたことを特徴とするものである。
この発明に言う「誘電性」とか、「誘電部」とは、誘電分極が生じるという意味であり、実質的には非導電性、即ち中・高抵抗性或いは絶縁性を有する。
この発明に言う「誘電性」とか、「誘電部」とは、誘電分極が生じるという意味であり、実質的には非導電性、即ち中・高抵抗性或いは絶縁性を有する。
この発明1に係るシート搬送装置によれば、導電性ベルトの表面に縞状の誘電部を形成して搬送ベルトとし、この搬送ベルトの表面側から誘電部に帯電を行う構成としたため、誘電部の帯電はプラス・マイナスの何れかの極性でよいので帯電手段を低廉化することができると共に、帯電された縞状の誘電部で確実にシート部材を吸着して正確なシート部材搬送が可能となる。
[発明2]発明2のシート搬送装置は、前記発明1のシート搬送装置において、前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向と平行な縞状であることを特徴とするものである。
この発明2に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向と平行な縞状とすることにより、シート部材の搬送方向と直交方向の両端部を確実に吸着することが可能となる。
この発明2に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向と平行な縞状とすることにより、シート部材の搬送方向と直交方向の両端部を確実に吸着することが可能となる。
[発明3]発明3のシート搬送装置は、前記発明1のシート搬送装置において、前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向と直交する縞状であることを特徴とするものである。
この発明3に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向と直交する縞状とすることにより、シート部材の搬送方向両端部を確実に吸着することが可能となる。
この発明3に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向と直交する縞状とすることにより、シート部材の搬送方向両端部を確実に吸着することが可能となる。
[発明4]発明4のシート搬送装置は、前記発明1のシート搬送装置において、前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向に対して斜めな縞状であることを特徴とするものである。
この発明4に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向に対して斜めな縞状とすることにより、シート部材の四辺を確実に吸着することが可能となる。
この発明4に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部をシート部材の搬送方向に対して斜めな縞状とすることにより、シート部材の四辺を確実に吸着することが可能となる。
[発明5]発明5のシート搬送装置は、前記発明1乃至4の何れかのシート搬送装置において、前記誘電部の幅を0.1mm以上40mm以下としたことを特徴とするものである。
搬送ベルトの表面に形成される誘電部の幅を広げると、当該誘電部の中央部は、同じく搬送ベルトの表面に露出している導電部から離間する。導電部が離間すると、誘電部表面からシート部材を通じて導電部に至る電気力線中の抵抗値が大きくなり、シート部材の吸着力が低下する。また、誘電部の表面に電荷をためるためには、0.1mm以上の幅が必要になる。
搬送ベルトの表面に形成される誘電部の幅を広げると、当該誘電部の中央部は、同じく搬送ベルトの表面に露出している導電部から離間する。導電部が離間すると、誘電部表面からシート部材を通じて導電部に至る電気力線中の抵抗値が大きくなり、シート部材の吸着力が低下する。また、誘電部の表面に電荷をためるためには、0.1mm以上の幅が必要になる。
この発明5に係るシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成される誘電部の幅を0.1mm以上40mm以下とすることにより、シート部材の吸着力を確保することができる。
[発明6]発明6のシート搬送装置は、前記発明1乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記帯電手段が、前記搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部にのみ当接する導電性ローラによるものであることを特徴とするものである。
この発明6のシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部にのみ当接する導電性ローラで当該誘電部を帯電する構成としたため、誘電部の帯電を効率よく行うことができる。
この発明6のシート搬送装置によれば、搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部にのみ当接する導電性ローラで当該誘電部を帯電する構成としたため、誘電部の帯電を効率よく行うことができる。
[発明7]発明7のシート搬送装置は、前記発明1乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記帯電手段が、高抵抗層を有するローラによるものであることを特徴とするものである。
この発明7に係るシート搬送装置によれば、高抵抗層を有するローラで搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトの導電部に過大な電流を流すことなく、誘電部の帯電を行うことが可能となる。
この発明7に係るシート搬送装置によれば、高抵抗層を有するローラで搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトの導電部に過大な電流を流すことなく、誘電部の帯電を行うことが可能となる。
[発明8]発明8のシート搬送装置は、前記発明1乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記帯電手段が、コロナ帯電によるものであることを特徴とするものである。
この発明8に係るシート搬送装置によれば、コロナ放電で搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトに非接触な状態で誘電部の帯電を行うことが可能となる。
この発明8に係るシート搬送装置によれば、コロナ放電で搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトに非接触な状態で誘電部の帯電を行うことが可能となる。
[発明9]発明9のシート搬送装置は、前記発明1乃至5の何れかのシート搬送装置において、前記帯電手段が、導電性ローラの表面に誘電層を有するローラとそれを帯電するローラ帯電手段との組合せであることを特徴とするものである。
この発明9に係るシート搬送装置によれば、導電性ローラの表面に誘電層を有するローラとそれを帯電するローラ帯電手段との組合せで搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトの導電部に過大な電流を流すことなく、誘電部の帯電を行うことができる。
この発明9に係るシート搬送装置によれば、導電性ローラの表面に誘電層を有するローラとそれを帯電するローラ帯電手段との組合せで搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部を帯電する構成としたため、搬送ベルトの導電部に過大な電流を流すことなく、誘電部の帯電を行うことができる。
次に、本発明のシート搬送装置をインクジェットプリンタに適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成図である。図中の符号1は、印刷用紙等のシート部材2を搬送するための無端ベルトである。シート部材2は、前述したように印刷用紙やOHPシートのような中・高抵抗のシート状部材である。また、無端ベルト1は、後述するように導電性ベルトの外周面、即ち表面に絶縁体製の誘電部を縞状に形成したものである。この無端ベルト1は、図の左端部に配設された駆動ローラ3と、図の右端部に配設された従動ローラ4と、それらの中央部下方に配設されたテンションローラ5とに巻回されている。駆動ローラ3は、図示しない駆動源によって図の矢印方向に回転駆動され、後述する帯電ローラで帯電された無端ベルト1にシート部材2を吸着した状態で、当該シート部材2を図の右方から左方に、つまり矢印方向に搬送する。従動ローラ4は、後述する帯電ローラの当接部分との間に無端ベルト1を挟持して電圧を印加するために接地されている。テンションローラ5は、図示しないバネによって下方に付勢されており、これにより無端ベルト1に張力を付与している。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成図である。図中の符号1は、印刷用紙等のシート部材2を搬送するための無端ベルトである。シート部材2は、前述したように印刷用紙やOHPシートのような中・高抵抗のシート状部材である。また、無端ベルト1は、後述するように導電性ベルトの外周面、即ち表面に絶縁体製の誘電部を縞状に形成したものである。この無端ベルト1は、図の左端部に配設された駆動ローラ3と、図の右端部に配設された従動ローラ4と、それらの中央部下方に配設されたテンションローラ5とに巻回されている。駆動ローラ3は、図示しない駆動源によって図の矢印方向に回転駆動され、後述する帯電ローラで帯電された無端ベルト1にシート部材2を吸着した状態で、当該シート部材2を図の右方から左方に、つまり矢印方向に搬送する。従動ローラ4は、後述する帯電ローラの当接部分との間に無端ベルト1を挟持して電圧を印加するために接地されている。テンションローラ5は、図示しないバネによって下方に付勢されており、これにより無端ベルト1に張力を付与している。
無端ベルト1には、従動ローラ4に対向するようにして、帯電手段としての帯電ローラ7が当接されており、帯電ローラ7には直流電源8が接続されている。この帯電ローラ7の配置は、シート部材2の給紙位置の直前に相当する。帯電ローラ7の詳細については後段に詳述するが、前述したように、無端ベルト1の表面に形成されている誘電部に電荷を充電して帯電し、その電荷によってシート部材2に誘電分極を発生させ、その誘電分極によるシート部材2の電荷と無端ベルト1の表面の誘電部の電荷とによる静電気力でシート部材2を無端ベルト1の表面に吸着する。なお、図中の符号10は、帯電ローラ7を無端ベルト1に押圧するバネである。
従動ローラ4の上方には、紙押えローラ9が配設されている。この紙押えローラ9は、図示しないバネによって下方に付勢されており、シート部材2を従動ローラ4上の無端ベルト1に押付ける機能を有する。前述したように、縞状に帯電した無端ベルト1の外周面にシート部材2を搭載し、紙押えローラ9でシート部材2を無端ベルト1に押付けると誘電分極によってシート部材2は無端ベルト1の外周面に吸着される。紙押さえローラ9のシート部材2搬送方向上流側にはゲートローラ13が配設されている。このゲートローラ13は、給紙部14から給紙されたシート部材2を無端ベルト1上に送給するタイミングを調整すると共にシート部材2の搬送方向に対する曲がり、所謂スキューを補正する。なお、図中の符号15はシート部材2を排出する排紙部である。
図1の符号11は、インクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド11は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ライトマゼンダ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ブラック(K)の6色の各色毎に、シート部材2の搬送方向にずらして配設されている。各インクジェットヘッド11には、図示しない各色のインクタンクからインク供給チューブを介してインクが供給される。各インクジェットヘッド11には、シート部材2の搬送方向と交差する方向に、複数のノズルが形成されており、それらのノズルから同時に必要箇所に必要量のインク滴を吐出することにより、シート部材2上に微小なインクドットを形成出力する。これを各色毎に行うことにより、無端ベルト1に吸着されたシート部材2を一度通過させるだけで、所謂ワンパスによる印刷を行うことができる。即ち、このインクジェットヘッド11の配設領域が印字領域に相当する。
インクジェットヘッドの各ノズルからインクを吐出出力する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰インクジェット方式などがある。静電方式は、アクチュエータである静電ギャップに駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。ピエゾ方式は、アクチュエータであるピエゾ素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。膜沸騰インクジェット方式は、キャビティ内に微小ヒータがあり、瞬間的に300℃以上に加熱されてインクが膜沸騰状態となって気泡が生成し、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。本発明は、何れのインク出力方法も適用可能である。
印字領域を構成するインクジェットヘッド11の下方には、当該インクジェットヘッド11に対向するようにして平面形成部12が設けられている。平面形成部12は、一般にプラテンと呼ばれ、インクジェットヘッド11からインク滴を吐出する際に、シート部材2の平坦面を規制するものである。
図2は、図1の無端ベルト1の平面図である。図2aは、シート部材2の搬送方向を上向きにしている。本実施形態の無端ベルト1は、導電性のベルト16の表面に縞状の誘電部17(図中の+の符号がある部分)を形成している。本実施形態では、誘電部17はシート部材2の搬送方向と平行な縞状になっている。この無端ベルト1は、例えば図2bに示すように、導電性ベルト16の表面に縞状の誘電部材を埋設するようにして誘電部17を形成する方法や、図2cに示すように、導電性ベルト16の表面に誘電性部材19をシート状に貼り付け、更にその表面に縞状の導電部材を接合するようにして導電部18を形成する方法がある。縞状の誘電部17の間の部分は、同じく縞状の導電部18となる。
図2は、図1の無端ベルト1の平面図である。図2aは、シート部材2の搬送方向を上向きにしている。本実施形態の無端ベルト1は、導電性のベルト16の表面に縞状の誘電部17(図中の+の符号がある部分)を形成している。本実施形態では、誘電部17はシート部材2の搬送方向と平行な縞状になっている。この無端ベルト1は、例えば図2bに示すように、導電性ベルト16の表面に縞状の誘電部材を埋設するようにして誘電部17を形成する方法や、図2cに示すように、導電性ベルト16の表面に誘電性部材19をシート状に貼り付け、更にその表面に縞状の導電部材を接合するようにして導電部18を形成する方法がある。縞状の誘電部17の間の部分は、同じく縞状の導電部18となる。
図3には、前記図2bの無端ベルト1の製造方法を示す。この製造方法は、例えば押し出し成形などによって製造された図3aに示すような平坦な導電性ベルト16の表面にマスキングを施してから、図3bに示すように、誘電性樹脂17aを塗布し、それを加熱した管状の型に入れて裏面側を熱可塑変形させ、誘電性樹脂17aを導電性ベルト16に埋め込むようにして一体とする方法である。また、図4には、前記図2cの無端ベルト1の製造方法を示す。この製造方法は、同じく平坦な無端状の導電性ベルト16の表面に誘電性樹脂19を塗布、ディップなどによってシート状に貼り付け、その表面に導電性膜のパターンをスパッタリング、蒸着、スクリーン印刷などによって接合する方法である。
誘電部17は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の108〜1018Ω・cmの中抵抗から高抵抗若しくは絶縁性の樹脂(以下、誘電性樹脂)を使用する。また、導電部18は、前記誘電性樹脂にカーボン、白金、金、パラジウム、銅、ニッケル、銀、アルミニウムなどの導電性微粒子を混合した、106Ω以下の低抵抗性の樹脂を使用するか、若しくは上記の導電性微粒子をペースト状にして膜化したものや、白金、金、パラジウム、銅、ニッケル、銀、アルミニウムなどの導電性金属箔、導電性金属膜やカーボン膜などを使用する。
図2b、cに戻って、無端ベルト1を構成する導電性ベルト16及び導電部18は接地されている。一方、誘電部17は、前記帯電ローラ7を始めとする後述する帯電手段によって、この場合(+)に帯電されている。図5には、帯電手段による誘電部17の帯電方法のバリエーションを示す。図5aは、図1に対応する帯電ローラ7による帯電方法である。即ち、この帯電ローラ7は、縞状の誘電部17のみに当接する導電性ローラからなり、この帯電ローラ7に直流電圧(この場合は(+)電圧)を印加した状態で、接地された前記従動ローラ4と帯電ローラ7とで無端ベルト1を挟持すると、誘電部17が帯電する。この帯電方法によれば、誘電部17を効率よく帯電できるという利点がある。なお、図中の符号51は無端ベルト1の位置を規制するベルト規制部、図中の符号52は帯電ローラ7の位置を規制するローラ規制部である。
図5bは、前記図5aの導電性帯電ローラ7に代えて、高抵抗ローラ20を用いたものである。この高抵抗ローラ20は、無端ベルト1の全幅に接触するものであり、直流電圧が印加されている。この無端ベルト1の全幅に接触する高抵抗ローラ20によれば、無端ベルト1の導電部18に過大な電流を流すことなく、誘電部17の帯電を行うことが可能となる。図5cは、前記図5aの導電性帯電ローラ7に代えて、コロナ放電部21を用いたものである。このコロナ放電部21は、無端ベルト1の全幅を覆うものであり、無端ベルト1の表面には接触していない。コロナ放電部21は、非接触状態で、所謂電荷を降らせるものであり、この帯電方法によれば、無端ベルト1に非接触な状態で誘電部17の帯電を行うことが可能となる。図5d、eは、無端ベルト1の全幅に接触する帯電ローラ22と、その帯電ローラ22の軸方向全長に接触するローラ型ローラ帯電部23との組合せで無端ベルト1の誘電部17を帯電するものである。帯電ローラ22は、絶縁性の誘電体材料からなる表面の誘電層24と、その内側に配設された低抵抗の導電層25とからなり、導電層25は接地されている。一方、ローラ型ローラ帯電部23は、中抵抗のローラからなり、直流電圧が印加されている。従って、ローラ型ローラ帯電部23に接触している帯電ローラ22の誘電層24に電荷が充電され、その充電された帯電ローラ22の表面に無端ベルト1の表面が接触すると誘電部17に電荷が移動されて帯電される。この帯電方法によれば、無端ベルト1の導電部18に過大な電流を流すことなく、誘電部17の帯電を行うことができる。
例えば、給紙部14からゲートローラ13を介して給紙されたシート部材2は、紙押えローラ9で押圧されるまでの間、図2bに示すように、無端ベルト1から少し浮き上がっており、紙押さえローラ9で押圧されるとシート部材2は無端ベルト1に密着又はほぼ密着する。接地された導電部18がシート部材2に接触することでシート部材2も接地される。誘電部17に接触している部位との電位差を考えると、導電部18に接触している部位が給電部となる。一方、誘電部17とシート部材2の裏面、つまり誘電部17側面との間に発生する誘電分極によって、当該誘電部17とシート部材2の裏面との間に次第に電位差が生じ、その間の静電気力によってシート部材2が吸着される。なお、搬送ベルト1の裏面側を導電性ベルト16としたのは、排紙後の搬送ベルト表面の除電が容易になるためである。また、図2cのように誘電部17の上に導電部18を形成する場合は、製造が容易になる。
誘電部17は、前述したような帯電手段で帯電された電位により、電荷をためたコンデンサとして作用する。例えば、このコンデンサの電位差、つまりシート部材2の裏面と誘電部17の表面との電位差が当該シート部材2の吸着力となる。そこで、このコンデンサの電位差が、図6に示すように、紙押えローラ9からインクジェットヘッド11までの間に必要な電位差Vc以上となる条件を考察する。例えば、無端ベルト1とシート部材2との間に発生する静電気回路を、図7に示すような単純な回路で表す。前述したように、誘電部17の表面とシート部材2の裏面との微小な隙間が吸着力を発現するコンデンサと仮定して、誘電部17の幅を変えたときの吸着力、即ちコンデンサの電位差Vcを考える。コンデンサは空気の比誘電率で算出される静電容量Cとなる。回路中の導電部18とシート部材2との間の面接触抵抗R′は、前述のように導電部18の抵抗値が十分に小さいことから無視する。また、シート部材2の厚さは誘電部17の幅に比べて十分に小さく、当該シート部材2の厚さ方向の抵抗は、当該シート部材2の幅方向の抵抗Rに比べて十分に小さいため、無視した。
例えば誘電部17の表面の電位をVd、シート部材2の裏面の電位をVpとすると、両者の電位差(Vd−Vp)が、シート部材2の裏面と誘電部17の表面との隙間に形成されるコンデンサの電位差Vcになるのだが、前述のようにシート部材2の裏面の電位Vpは、誘電部17の表面の電位Vd(=電荷)による誘電分極で生じるものであるから、コンデンサの静電容量C、シート部材2の幅方向の抵抗Rを用いて、コンデンサの電位差Vcは下記1式のような時間tの関数として与えられる。
時間tは、紙押えローラ9からインクジェットヘッド11までの所要時間であるから、無端ベルト1によるシート部材2の搬送速度vと紙押さえローラ9−インクジェットヘッド11間の距離dを用いて、t=d/vで与えられる。搬送速度vを200mm/s、距離dを100mmと一般的な数値に設定し、A4サイズのシート部材2に対する吸着力を、誘電部17の幅Wdを種々に変えて計算した。なお、シート部材2の抵抗は、例えば印刷用紙の種類によって大きく異なる。例えば、体積抵抗は、上質紙(坪量:1m2の紙を1000枚束ねたときの重量=55kg)の1×1010Ωに対し、表面に平滑層を有するコート紙(坪量=73kg)では半分の5×109Ωであり、インクジェットプリンタ用の厚紙両面コート紙などでは5×108Ωと、2桁もの差がある。計算には、コンデンサの電位差Vcの増加が最も遅い上質紙(抵抗が大きいほど電位差が発生しにくい)の体積抵抗を用いた。また、シート部材2と誘電部17との隙間は、上質紙の最大表面粗さ15μmの半分の8μmとした。計算結果を図8に示す。
無端ベルト1の表面に形成される誘電部17の幅Wdを広げると、当該誘電部17の中央部は、同じく無端ベルト1の表面に形成されている導電部18から離間する。導電部18が離間すると、誘電部17の表面からシート部材2を通じて導電部18に至る前記図7の電気力線中の抵抗Rの抵抗値が大きくなり、シート部材2の吸着力が低下する。経験則から、A4サイズのシート部材2の確実な吸着に必要な吸着力は1000g程度である。また、誘電部の表面に電荷をためるためには、0.1mm以上の幅が必要になる。本実施形態では、無端ベルト1の表面に形成される誘電部17の幅を0.1mm以上40mm以下とすることにより、シート部材2の吸着力を確保することができる。
また、本実施形態では、導電性ベルト16の表面に縞状の誘電部17を形成して搬送用の無端ベルト1とし、この無端ベルト1の表面側から誘電部17に帯電を行う構成としたため、誘電部17の帯電はプラス・マイナスの何れかの極性でよいので帯電手段を低廉化することができると共に、帯電された縞状の誘電部17で確実にシート部材2を吸着して正確なシート部材搬送が可能となる。
また、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向と平行な縞状とすることにより、シート部材2の搬送方向と直交方向の両端部を確実に吸着することが可能となる。
次に、本発明のシート搬送装置の第2実施形態について図9を用いて説明する。このシート搬送装置が適用されるインクジェットプリンタの構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。本実施形態では、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向と直交する縞状とした。本実施形態では、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向と直交する縞状とすることにより、シート部材2の搬送方向両端部を確実に吸着することが可能となる。
次に、本発明のシート搬送装置の第2実施形態について図9を用いて説明する。このシート搬送装置が適用されるインクジェットプリンタの構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。本実施形態では、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向と直交する縞状とした。本実施形態では、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向と直交する縞状とすることにより、シート部材2の搬送方向両端部を確実に吸着することが可能となる。
次に、本発明のシート搬送装置の第3実施形態について図10を用いて説明する。このシート搬送装置が適用されるインクジェットプリンタの構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。本実施形態では、シート搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向に対して斜めな縞状とした。本実施形態では、シート部材搬送用の無端ベルト1の表面に形成される誘電部17をシート部材2の搬送方向に対して斜めな縞状とすることにより、シート部材2の四辺を確実に吸着することが可能となる。特に、本実施形態では、はがきのような小さな面積のシート部材の場合に、その四辺が誘電部17上になる可能性が高く、そのような場合に吸着効果が顕著となる。
1は無端ベルト、2はシート部材、3は駆動ローラ、4は従動ローラ、5はテンションローラ、7は帯電ローラ、8は直流電源、9は紙押えローラ、10はバネ、11はインクジェットヘッド、12は平面形成部、13はゲートローラ、14は給紙部、15は排紙部、16は導電性ベルト、17は誘電部、18は導電部、19は誘電性樹脂、20は高抵抗ローラ、21はコロナ放電部、22は帯電ローラ、23は中抵抗ローラ型ローラ誘電部
Claims (9)
- 搬送ベルトの表面にシート部材を静電気力で吸着して搬送するシート搬送装置であって、導電性ベルトの表面に誘電性表面からなる縞状の誘電部が形成された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの表面側から前記誘電部に帯電を行う帯電手段とを備えたことを特徴とするシート搬送装置。
- 前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向と平行な縞状であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向と直交する縞状であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 前記搬送ベルトの表面に形成される誘電部がシート部材の搬送方向に対して斜めな縞状であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 前記誘電部の幅を0.1mm以上40mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のシート搬送装置。
- 前記帯電手段が、前記搬送ベルトの表面に形成された縞状の誘電部にのみ当接する導電性ローラによるものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
- 前記帯電手段が、高抵抗層を有するローラによるものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
- 前記帯電手段が、コロナ帯電によるものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
- 前記帯電手段が、導電性ローラの表面に誘電層を有するローラとそれを帯電するローラ帯電手段との組合せであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005085697A JP2006264898A (ja) | 2005-03-24 | 2005-03-24 | シート搬送装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010224340A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Seiko Epson Corp | 機能液滴吐出ヘッドのワイピング装置およびこれを備えた液滴吐出装置 |
-
2005
- 2005-03-24 JP JP2005085697A patent/JP2006264898A/ja not_active Withdrawn
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