JP4321407B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents

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本発明は、給紙ユニットから供給される記録媒体を静電吸着搬送ベルトで液滴吐出ヘッドに搬送して、液滴吐出ヘッドから吐出する液滴によって画像を形成してから搬出するようにした液滴吐出装置に関する。
従来の液滴吐出装置としては、例えば液滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドと、記録媒体を搬送する静電吸着搬送手段とを有し、インクジェット記録ヘッドと記録媒体との間のギャップ近傍に電極を配設し、この電極に交流電圧を印加することにより、インクジェット記録ヘッドから飛翔された液滴内の電荷を強制的に中和して、記録媒体とインクジェット記録ヘッ間にある電界の影響を受けずに液滴を飛翔させるようにしたインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、インクの吐出口の周囲に制御電極を設け、吐出口からインクが飛翔するタイミングでこの制御電極に電圧を加え、搬送ベルトと記録ヘッドとの間の電界を弱め或いは逆転させるようにしたインクジェット記録装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−83644号公報(第2頁、第3図(a)〜(c)) 特開2000−25249号公報(第1頁、図12)
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、インクジェット記録ヘッドと記録媒体との間に交流電圧を印加する電極を配設するようにしているので、インクジェット記録ヘッドと記録媒体との間のギャップを適正距離に設定すると、電極と記録媒体との間の距離が狭くなり、電極と記録媒体とが接触して記録媒体の搬送が阻害されるおそれがあり、これを避けるために高速搬送位置インクジェット記録ヘッドと記録媒体との間のギャップを長い距離に設定すると、インクジェット記録ヘッドから吐出される液滴の飛翔距離が長くなるため、液滴サイズの違いによる着弾位置のズレが目立ち、画質を損なうことになるという未解決の課題がある。すなわち、高画質化するには、2種類以上の液滴量を打ち分けてドットサイズを変えるようにするのが一般的であるが、液滴サイズをかえると飛翔速度も変わるため、飛翔距離が長いと差が目立つことになる。
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、液滴吐出口の周囲に制御電極を設けて、インクが飛翔するタイミングでこの制御電極に電圧を加え、搬送ベルトと記録ヘッドとの間の電界を弱め或いは逆転させるので、インクジェット記録ヘッドと記録媒体とのギャップを狭くすることができるが、記録媒体に形成するドット密度を高めると隣接する液滴吐出口のピッチ(例えば0.17mm)がギャップ距離(例えば1mm)より遥かに短くなるので、制御電極が隣接する液滴吐出口から吐出される液滴に影響を与えることになり、液滴の適正な飛翔が妨げられるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、液滴吐出ヘッドと記録媒体とのギャップ距離を短く保ちながら液滴吐出ヘッドから吐出される液滴に対する電界の影響を確実に防止するようにした液滴吐出装置を提供することを目的としている。
第1の発明は、給紙ユニットから供給される記録媒体を静電吸着して搬送する静電吸着搬送ベルトと、該静電吸着搬送ベルトで搬送される前記記録媒体に対してギャップ領域を介して対向し、当該記録媒体に吐出液滴によって画像を形成する液滴吐出ヘッドとを備えた液滴吐出装置であって、前記液滴吐出ヘッドと対向する領域で前記静電吸着搬送ベルトに前記搬送媒体の載置面とは反対側で接触して当該静電吸着ベルトに除電領域を形成する除電領域形成手段を備えていることを特徴としている。
この第1の発明では、液滴吐出ヘッドと対向する領域で静電吸着搬送ベルトにその搬送媒体の載置面とは反対側に除電領域形成手段を接触させて、静電吸着搬送ベルトの帯電量を減少させて液滴吐出ヘッドから吐出される液滴に影響を与える電界が形成されることを抑制して、液滴による画像品質を向上させる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記除電領域形成手段は、前記液滴吐出ヘッド近傍の上流側で前記静電吸着搬送ベルトに前記記録媒体の載置面とは反対側で接触する除電手段と、前記液滴吐出ヘッド近傍の下流側で前記静電吸着ベルトに前記記録媒体の載置面とは反対側で接触する再帯電手段とを備えていることを特徴としている。
この第2の発明では、除電手段によって静電吸着搬送ベルトを、その液滴吐出ヘッドに達する前に除電し、その後再帯電手段で静電吸着搬送ベルトを再帯電させることにより、静電吸着搬送ベルトによる電界が液滴吐出ヘッドとの間に作用することを抑制して、液滴による画像品質を向上させる。
さらに、第3の発明は、第2の発明において、前記除電手段及び再帯電手段の前記静電吸着搬送ベルトとの接触位置は、前記液滴吐出ヘッドの搬送方向の中央位置に対して前記記録ヘッドと前記静電吸着搬送ベルトの内周面までの距離と等しい距離だけ離れた位置に選定されていることを特徴としている。
この第3の発明では、除電手段及び再帯電手段が液滴吐出ヘッドの搬送方向の中央位置からの距離が記録ヘッドと静電吸着ベルトの内周面との距離と等しく設定されているので、静電吸着搬送ベルトの除電領域を必要最低限に短くし、記録媒体の浮き上がりを防止してギャップ距離を正確に維持することができる。
さらにまた、第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記除電手段及び再帯電手段が、前記静電吸着搬送ベルトに接触するブレード電極を有することを特徴としている。
この第4の発明では、除電手段及び再帯電手段の静電吸着搬送ベルトとの接触部がブレード電極で構成されているので、確実に静電吸着搬送ベルトに接触させることができると共に、安価に構成することができる。
なおさらに、第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、前記静電吸着搬送ベルトから前記記録媒体を搬出する位置に近い前記再帯電手段は、当該静電吸着搬送ベルトの通常の帯電電位より小さい当該記録媒体を分離し易い帯電電位に設定されていることを特徴としている。
この第5の発明では、記録媒体を排出する位置に近い再帯電手段の帯電電位を吸着帯電搬送ベルトの通常帯電電位より小さい値とすることにより、記録媒体の静電吸着力を弱めて排出位置での記録媒体の剥離を容易にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の液滴吐出装置をインクジェットプリンタに適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中、1は記録媒体としての記録用紙2を多数枚収納する給紙ユニットであって、この給紙ユニット1から記録用紙2が1枚ずつ給紙される。この給紙ユニット1から給紙された記録用紙2は電動モータ3aで回転駆動される給紙ローラ3でゲートローラ4に搬送される。このゲートローラ4は互いに転接する上下一対のローラで構成され、給紙ローラ3で搬送された記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触するまでは停止又は待機状態にあり、記録用紙2の先端が接触してから一対のローラの何れか一方を電動モータ4aで回転駆動することにより、記録用紙2の先端を搬送方向と直交する方向に一致させて記録用紙2を整列させて後段の搬送手段としての搬送機構5に受け渡す。
この搬送機構5は、ゲートローラ4側に回転自在に配設された従動ローラ6と、この従動ローラ6に対してゲートローラ4とは反対側の記録用紙2の排紙側に所定間隔を保って互い平行に配設された電動モータ7aによって回転駆動される駆動ローラ7と、これら従動ローラ6及び駆動ローラ7間に張設された幅広帯状で記録用紙2を静電力で吸着保持して搬送する静電吸着搬送ベルト8とで構成されている。従動ローラ6の上側に記録用紙2を静電吸着搬送ベルト8に圧着する圧着ローラ9が配設されている。
また、静電吸着搬送ベルト8はその張力が図示しないテンションローラ等によって調整されている。また、静電吸着搬送ベルト8は、基材となる樹脂として、ポリアミド系合成繊維、ポリエステル、ポリウレタン、PET、ポリカーボネートや、シリコン系、PVDF系等のフッ素系樹脂を適用し、これにカーボンブラックや導電性フィラーを混入させて、体積抵抗値を108 〜1015Ω・cm程度、より好ましくは109 〜1012Ω・cm程度に調整し、厚みを耐久性と柔軟性、高速での帯電及び除電特性から見て0.05〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.2mm程度に選定する。
また、搬送機構5は、図中で従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する導電性ゴム材で構成された帯電ローラ10を有し、この帯電ローラ10に高圧電源11から例えば+2kVの電圧が印加されている。
一方、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で静電吸着されて搬送される記録用紙2に僅かなギャップ領域(例えば1〜2mm)を保って対向する位置に記録用紙2に対してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク液滴を吐出する4つの記録ヘッドユニット12Y、12M、12C、12Kが記録用紙2の搬送方向の上流側から順に所定間隔を保って配設されている。
各記録ヘッドユニット12Y〜12Kの夫々は、記録用紙2の搬送方向と直交する方向即ち記録用紙2の幅方向にインク液滴を吐出するノズルを微小間隔で多数配置した記録領域が形成され、モノクロ印刷については基本的にブラックの記録ヘッド12Kのみでインク液滴を吐出し、黒を含む他の色の記録ヘッド12Y〜12Kで吐出したインク液滴を記録用紙2上で重畳させることにより、カラー印刷を行うことができる。
また、各記録ヘッド12Y〜12Kの直下における静電吸着搬送ベルト8の内側面に接触する除電領域形成手段としての除電領域形成部15Y〜15Kが配設されている。これら除電領域形成部15Y〜15Kの夫々は、図2に拡大図示するように、記録ヘッド12i(i=Y、M、C、K)の記録用紙2の搬送方向の中央位置に対して記録ヘッド12iと静電吸着搬送ベルト8の内周面までの距離Lhと等しい距離Lfだけ上流側に離れた位置で静電吸着ベルト8の内周面にその幅方向全域に亘って接触する除電手段としての除電ブレード電極16と、同様に記録ヘッド12iの搬送方向の中央位置から距離Lhと等しい距離Lrだけ下流側に離れた位置で静電吸着ベルト8の内周面にその幅方向の全域に亘って接触する再帯電手段としての再帯電ブレード電極17と、これら除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17間に配設された静電吸着搬送ベルト8の内周面とその幅方向の全域に亘って接触する絶縁材で形成されたプラテン部18とで構成されている。
ここで、除電ブレード電極16は、グランド(GND)又は負電源に接続され、再帯電ブレード電極17は正の定電流高圧電源19に接続されている。また、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17の静電吸着搬送ベルト8の内周面と接触する接触面には、図3に示すように、記録用紙2の搬送方向には交互で幅方向には連続する微小な凸部20が静電吸着搬送ベルト8に蛇行を生じることがなく且つ静電吸着搬送ベルト8の全面と確実に接触するように所定面積の基本パターン領域で略対称的に形成されている。
そして、最下流の記録ヘッド12Kを除く記録ヘッド12Y〜12Cに対向している除電領域形成部15Y〜15Cの定電流高圧電源19では、帯電ローラ10に印加する高電圧と同様の高電圧+2kVを再帯電ブレード電極17に印加するが、最下流の記録ヘッド12Kに対向している除電領域形成部15Kでは、駆動ローラ7側での記録用紙2の分離し易さを考慮して、注入電荷によるベルト表面電位が0.3kV〜1kVの範囲、好ましくは0.5kV〜0.8kVの範囲に収まるように定電流高圧電源18を定電流制御し、この定電流高圧電源19から出力される定電流制御された高電圧が再帯電ブレード電極17に印加される。
そして、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で搬送された記録用紙2は、記録ヘッドユニット12Y〜12Kで吐出されたインク液滴によって画像が形成された後、駆動ローラ6側に達すると、静電吸着搬送ベルト8の外周面に接触する剥離爪21によって静電吸着搬送ベルト8から分離され、駆動ローラ7より記録用紙2の搬送方向の下流側に配設された排紙ユニット22に受け渡される。
そして、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5及び記録ヘッド12K〜12Yの駆動制御がコントローラ30によって制御される。
このコントローラ30は、図4に示すように、給紙ローラ3及びゲートローラ4間の給紙ローラ3寄り位置に配設された記録用紙2の先端を例えば光学的に検出する用紙通過センサ31で検出した用紙先端検出信号が入力され、さらに外部のホストコンピュータ等の印刷情報形成装置からの印刷情報が入力され、これらに基づいて図5に示す印刷制御処理を実行するマイクロコンピュータ32と、このマイクロコンピュータ32から出力される駆動指令が入力される給紙ローラ3の電動モータ3aを制御するモータ駆動回路33、ゲートローラ4の電動モータ4aを制御するモータ駆動回路34、搬送機構5における駆動ローラ7の電動モータ7aを制御するモータ駆動回路35、及び記録ヘッド12K〜12Yを制御するヘッド駆動回路36とを有する。
マイクロコンピュータ32で実行する印刷制御処理は、図5に示すように、先ず、ステップS1で印刷する印刷情報が入力されているか否かを判定し、印刷情報が入力されていないときにはこれが入力されるまで待機し、印刷情報が入力されたときにはステップS2に移行する。
このステップS2では、給紙ユニット1及び給紙ローラ3のモータ駆動回路33に駆動信号を出力して、給紙ユニット1から記録用紙2を、給紙ローラ3を介して給紙し、次いでステップS3に移行して、用紙通過センサ31から用紙先端検出信号が入力されたか否かを判定し、用紙先端検出信号が入力されていないときには用紙先端検出信号が入力されるまで待機し、用紙先端検出信号が入力されたときにはステップS4に移行する。
このステップS4では、記録用紙2の先端がゲートローラ4に達するに十分な整列時間が経過したか否かを判定し、整列時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、整列時間が経過したときには、ステップS5に移行して、ゲートローラ4のモータ駆動回路34に対して駆動指令を出力すると共に、搬送機構5おける駆動ローラ7のモータ駆動回路35に対して駆動指令を出力し、さらに帯電ローラ10及び各除電領域形成部15Y〜15Kの再帯電ブレード電極17に高電圧を印加してからステップS6に移行する。
このステップS6では、ゲートローラ4を駆動してから所定時間が経過して記録用紙2の情報記録領域が先頭の記録ヘッド12Yによる記録領域に達したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS7に移行して、記録ヘッド12Yで、印刷情報で設定されたノズルによるインク液滴吐出制御を開始させる制御信号をヘッド駆動回路36に出力する記録ヘッド12Yの印刷処理を行う。
次いで、ステップS8に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド12Yから次の記録ヘッド12Mの記録領域に達するまでの所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS9に移行する。
このステップS9では、印刷情報に基づく記録ヘッド12Mでのインク液滴吐出制御を開始させる制御信号をヘッド駆動回路36に出力して前記ステップS7と同様の記録ヘッドユニット12Mの印刷処理を行う。
次いで、ステップS10に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド12Mから次の記録ヘッド12Cの記録領域に達するまでの所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS11に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド12Mでのインク液滴吐出制御を開始させる制御信号をヘッド駆動回路36に出力して前記ステップS7及びS9と同様の記録ヘッドユニット12Cの印刷処理を行う。
次いで、ステップS12に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド12Cから次の記録ヘッド12Kの記録領域に達するまでの所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS13に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド12Kでのインク液滴吐出制御を開始する制御信号をヘッド駆動回路36に出力して、印刷情報に基づく記録ヘッド12Kの印刷処理を行ってから前記ステップS1に戻る。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
先ず、インクジェットプリンタの電源が投入されると、コントローラ30が作動状態となって、図5の印刷制御処理を実行開始する。
このとき、外部の印刷情報形成装置から印刷情報がコントローラ30に入力されていないときには、これが入力されるまで待機し(ステップS1)、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5、記録ヘッド12Y〜12K、除電領域形成部15Y〜15Cが作動停止状態にある。
この作動停止状態から、外部の印刷情報形成装置から印刷情報がコントローラ30に入力されると、給紙ユニット1が駆動されると共に、モータ駆動回路17に駆動指令を出力して給紙ローラ3が駆動され(ステップS2)、これによって給紙ユニット1に収納されている記録用紙2が1枚だけ給紙されて給紙ローラ3によってゲートローラ4側に搬送される。
このとき、記録用紙2の先端が搬送ローラ3より後方位置にある用紙通過センサ31で検出されて、用紙先端検出信号がコントローラ30に入力されると、この用紙先端検出信号が入力された時点から記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触してその先端が搬送方向と直交する幅方向に一致する整列状態となるに十分な調整時間が経過したときに、モータ駆動回路34及び35に駆動指令を出力して、ゲートローラ4及び搬送機構5の駆動ローラ7が駆動開始されると共に、帯電ローラ10及び各除電領域形成部15Y〜15Kの再帯電ブレード電極17に高電圧電源11及び18から高電圧の印加が開始される。
これによって、ゲートローラ4に先端が接触している記録用紙2がゲートローラ4によって搬送機構5側に搬送され、この搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8上に受け渡される。このとき、静電吸着搬送ベルト8は従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する帯電ローラ10で帯電されており、圧着ローラ9によって記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8に圧着されるので、記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8にこれから浮き上がることなく密着状態で静電吸着保持されて搬送される。
そして、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド12Yの記録領域に到達すると、ヘッド駆動回路36に制御信号が出力されることにより、記録ヘッド12Yから印刷情報に基づいてイエローのインク液滴が記録用紙2の情報記録領域に吐出されて記録が開始される。その後、記録用紙2の情報記録領域の先端が順次記録ヘッド12M、12C及び12Kの記録領域に到達すると、印刷情報に基づいて各記録ヘッド12M、12C及び12Kからのマゼンタ、シアン及びブラックのインク液滴の吐出が制御されることにより、記録用紙2の情報記録領域に印刷情報に基づいたカラー印刷が行われる。
このとき、各記録ヘッド12Y〜12Kに対向する位置の静電吸着搬送ベルト8の内周面側に除電領域形成部15Y〜15Kが設けられており、この除電領域形成部15Y〜15Kの除電ブレード電極16がグランド又は負電源に接続され、この除電ブレード電極16が静電吸着搬送ベルト8の内周面に接触しているので、静電吸着搬送ベルト8に帯電されている正の電荷が除去されて、静電吸着搬送ベルト8が除電状態となり、この除電状態が静電吸着搬送ベルト8の内周面が再帯電ブレード電極17に接触するまでの間継続され、記録ヘッド12Y〜12Kの直下の静電吸着搬送ベルト8に除電領域が形成される。
このため、記録ヘッド12Y〜12Kと静電吸着ベルト8との間に電界が生じないので、各記録ヘッド12Y〜12Kから吐出されるインク液滴が正確に飛翔されて、記録用紙2上の正規の位置に着弾して、正確な画像を形成することができ、画像品質を向上させることができる。
その後、静電吸着搬送ベルト8の内周面に再帯電ブレード電極17が接触することにより、静電吸着搬送ベルト8が再帯電されて記録用紙2を静電吸着保持する状態に復帰する。
このとき、静電吸着搬送ベルト8の除電領域は、記録ヘッド12Y〜12Kの直下の短い距離であるので、記録用紙2の中間部分においては除電領域の前後で搬送ベルトに吸着されているので除電領域に於いて浮き上がることはなく、また、記録用紙の先端あるいは後端部分においても記録用紙2のコシによって記録用紙2の静電吸着搬送ベルト8からの浮き上がりが防止されて、静電吸着搬送ベルト8での吸着保持状態が維持され、記録ヘッド12Y〜12Kと記録用紙2との間のギャップを適正状態に維持することができる。
そして、最下流の記録ヘッド12Kに対向する除電領域形成部15Kでは、再帯電ブレード電極17に印加される定電流制御された高電圧が帯電ローラ10に印加される高電圧より低い値に設定されて、静電吸着搬送ベルト8の注入電荷によるベルト表面電位が他の除電領域形成部15Y〜15Cの再帯電ブレード電極17によるベルト表面電位より低く設定されて、静電吸着搬送ベルト8の静電吸着力が弱められているので、記録ヘッド12Kでの印刷を終了した記録用紙2が駆動ローラ7位置で静電吸着搬送ベルト8の外周面に摺接する剥離爪21に達したときに、記録用紙2を静電吸着搬送ベルト8の外周面から容易に剥離することができ、記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8に静電吸着されたまま従動ローラ6側に戻されることを確実に防止することができる。
そして、剥離爪21で静電吸着搬送ベルト8から剥離された記録用紙2は排紙ユニット22に収納される。
このように、第1の実施形態によると、帯電ローラ10による注入電荷で帯電された静電吸着搬送ベルト8が各記録ヘッド12Y〜12Kの直下で除電領域形成部15Y〜15Kによって除電されることにより、記録ヘッド12Y〜12Kと静電吸着搬送ベルト8との間に電界が作用することを確実に防止することができ、各記録ヘッド12Y〜12Kから吐出されるインク液滴の電界による飛翔方向が変更されることを確実に防止することができ、インク液滴を記録用紙2上に正確に着弾させるができ、画像品質を向上させることができる。
このとき、除電領域形成部15Y〜15Kが静電吸着搬送ベルト8の内周面側に配設されているので、記録ヘッド12Y〜12Kと記録用紙2との間のギャップが制限されることがなく、このギャップ長を最適な長さに設定することができる。しかも、除電領域形成部15Y〜15Kが除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17で構成されているので、静電吸着搬送ベルト8の除電及び再帯電を正確に行うことができると共に、除電形成部15Y〜15Kを安価に構成することができる。
また、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17が記録ヘッド12Y〜12Kの搬送方向の中央位置から記録ヘッド12Y〜12Kのインク液滴吐出口と静電吸着搬送ベルト8の内周面までの距離と等しい距離だけ離れた位置で静電吸着搬送ベルト8の内周面に接触されているので、静電吸着搬送ベルト8の除電領域を必要最低限としているので、記録用紙2の浮き上がりを防止し、記録ヘッド12Y〜12Kのインク液滴吐出口と記録用紙2との間のギャップを適正状態に維持することができる。
さらに、図3に示すように、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17の静電吸着搬送ベルト8との接触面に静電吸着搬送ベルト8の微小な凸部20が形成されているので過剰な摩擦負荷を生ずることが無く、また、微小な凸部20の配置を、記録紙の搬送方向に対してほぼ線対称に行っているので、正転吸着搬送ベルト8が蛇行することなく、さらに、微小な凸部20の配置を、記録紙の全部分に必ず1度は接触するように行っているので静電吸着搬送ベルト8と正確に接触させることでき、電荷の移動を確実に行うことができる。
さらにまた、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17間に静電吸着搬送ベルト8に接触するプラテン部18が配設されているので、静電吸着搬送ベルト8と記録ヘッド12Y〜12Kとの間のギャップを変動することなく所定値に正確に維持することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17間にプラテン部18を配設する場合について説明したが、除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17間の距離が短いので、プラテン部18を省略するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態では、除電領域形成部15Y〜15Kをブレード電極に代えて導電性ローラを適用したものである。
すなわち、第2の実施形態では、図6に示すように、前述した第1の実施形態における除電領域形成部15Y〜15Kにおける除電ブレード電極16及び再帯電ブレード電極17が省略され、これらに代えて導電性を有する除電ローラ41及び再帯電ローラ42が適用され、除電ローラがグランド(GND)又は負電源に接続され、再帯電ローラ42が第1の実施形態の定電流高圧電源19と同様の定電流高圧電源43に接続され、さらに除電ローラ41及び再帯電ローラ42間に静電吸着搬送ベルト8の内周面に摺接する絶縁体で構成されるプラテン部44が形成されていることを除いては図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、除電ローラ41及び再帯電ローラ42は、各種ゴム又は合成樹脂材料にカーボンブラックや導電性フィラーを適量混入して、前述した第1の実施形態におけるブレード電極と同様の体積抵抗値に調整されている。
この第2の実施形態によると、除電領域形成部15Y〜15Kを除電ローラ41及び再帯電ローラ42を含んで構成し、これら除電ローラ41及び再帯電ローラ42が静電吸着搬送ベルト8の内周面に転接するので、静電吸着搬送ベルト8に除電ローラ41及び再帯電ローラ42間で除電領域を形成することができ、記録ヘッド12Y〜12Kのインク液滴吐出口から吐出されるインク液滴の飛翔に影響を与える電界の発生を確実に防止することができる。
このとき、静電吸着搬送ベルト8に除電ローラ41及び再帯電ローラ42が接触するので、静電吸着搬送ベルト8に負荷を与えることがないと共に、摺接音を発することもなく、静寂で安定した状態で静電吸着搬送ベルト8に除電領域を形成することができる。
しかも、除電ローラ41及び再帯電ローラ42をゴム材で構成する場合には、除電ローラ41及び再帯電ローラ42の静電吸着搬送ベルト8との接触部にニップ部が形成されるので、より確実な接触による電荷移動を行うことができる。
なお、上記第2の実施形態においても除電ローラ41及び再帯電ローラ42間のプラテン部44を省略するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、記録ヘッド12Y〜12Kとして静電吸着搬送ベルト8の幅方向に延長して多数のインク液滴吐出口を形成した記録領域を有するラインヘッドである場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ラインヘッドを幅方向に所定数に分割して分割した記録ヘッド部を幅方向に千鳥状に配列するようにしてもよく、この場合には、記録ヘッド部全体に対して大きな除電領域形成部を配設してもよく、あるいは、各記録ヘッド部に対応させて除電領域形成部を配設してもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、記録用紙2の搬送機構としてベルト搬送機構を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、静電吸着ドラムを有する搬送機構とすることもでき、この場合には記録用紙を吸着搬送する搬送ドラムに所定間隔を保って記録ヘッド12Y〜12Kを放射状に配置すると共に、搬送ドラムの内側の記録ヘッド12Y〜12Kと対向する位置に除電領域形成部15Y〜15Kを設けるようにすればよい。
さらにまた、上記第1及び第2の実施形態においては、記録媒体として記録用紙2を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の任意の記録媒体を適用することができる。
なおさらに、上記第1及び第2の実施形態においては、4つの記録ヘッド12Y〜12Kを使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ライトシアン、ライトマゼンタを加えた6つの記録ヘッド、あるいは、レッド、ブルー、ライトブラックを加えた7つの記録ヘッド、等を適用してもよく、モノクロ画像を形成する場合には1つの記録ヘッドを適用することができ、記録ヘッド数については任意に設定することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、記録ヘッド12Y〜12Kからインク液滴を吐出させるインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、インクに代えて所望の液滴を吐出する他の液滴吐出装置にも本発明は適用することができる。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、用紙通過センサ31を給紙ローラ3及びゲートローラ4間に配設した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、圧着ローラ9及び記録ヘッド12Yとの間に設けるようにしてもよく、この場合には、図5の処理において、ステップS3の処理をステップS5及びS6間に移動させるようにすればよい。
本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の要部を示す拡大図である。 除電ブレード電極及び再帯電ブレード電極の静電吸着搬送ベルトとの接触面を示す拡大図である。 コントローラを示すブロック図である。 コントローラのマイクロコンピュータで実行する印刷処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態を示す要部の拡大図である。
符号の説明
1…給紙ユニット、2…記録用紙、3…給紙ローラ、4…ゲートローラ、5…搬送機構、6…従動ローラ、7…駆動ローラ、8…静電吸着搬送ベルト、10…帯電ローラ、11…高電圧電源、15Y〜15K…除電領域形成部、16…除電ブレード電極、17…再帯電ブレード電極、18…プラテン部、19…定電流高圧電源、41…除電ローラ、42…再帯電ローラ、43…プラテン部、44…定電流高圧電源

Claims (5)

  1. 給紙ユニットから供給される記録媒体を静電吸着して搬送する静電吸着搬送ベルトと、該静電吸着搬送ベルトで搬送される前記記録媒体に対してギャップ領域を介して対向し、当該記録媒体に吐出液滴によって画像を形成する液滴吐出ヘッドとを備えた液滴吐出装置であって、
    前記液滴吐出ヘッドと対向する領域で前記静電吸着搬送ベルトに前記搬送媒体の載置面とは反対側で接触して当該静電吸着ベルトに除電領域を形成する除電領域形成手段を備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記除電領域形成手段は、前記液滴吐出ヘッド近傍の上流側で前記静電吸着搬送ベルトに前記記録媒体の載置面とは反対側で接触する除電手段と、前記液滴吐出ヘッド近傍の下流側で前記静電吸着ベルトに前記記録媒体の載置面とは反対側で接触する再帯電手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記除電手段及び再帯電手段の前記静電吸着搬送ベルトとの接触位置は、前記液滴吐出ヘッドの搬送方向の中央位置に対して前記記録ヘッドと前記静電吸着搬送ベルトの内周面までの距離と等しい距離だけ離れた位置に選定されていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記除電手段及び再帯電手段は、前記静電吸着搬送ベルトに接触するブレード電極を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記静電吸着搬送ベルトから前記記録媒体を搬出する位置に近い前記再帯電手段は、当該静電吸着搬送ベルトの通常の帯電電位より小さい当該記録媒体を分離し易い帯電電位に設定されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1つに記載の液滴吐出装置。
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