以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る光学レンズのコーティング装置の一実施の形態の一部を破断して示す外観斜視図、図2は同コーティング装置のクリーンルーム内の各種装置、機構、手段等の配置関係を示す概略平面図、図3は塗布装置の外観斜視図、図4は同塗布装置の概略側断面図、図5はコーティング溶液のへら機構とレンズ外周用溶液平滑化機構を示す外観斜視図、図6はコーティング溶液の回収装置を示す外観斜視図、図7はレンズラックを硬化部に移動させた状態を示す外観斜視図、図8はレンズラックの平面図、図9は図8のIX−IX線断面図である。
図1および図2において、全体を参照番号1で示すコーティング装置は、床面に設置された前後方向に長い立方体の筐体3を備えている。このコーティング装置1は、レンズ表面にコーティング溶液を塗布し、光線の照射によって硬化させることによりコーティング被膜を形成する一連の作業を自動的に行う装置である。また、このコーティング装置1は、眼鏡フレームに装着される2枚一組からなる眼鏡レンズ2に対してコーティング溶液の塗布作業と、コーティング溶液の硬化作業とを連続して行うことができる装置である。眼鏡レンズ2に塗布するコーティング溶液としては、紫外線硬化型の調光用コーティング溶液が用いられる。
眼鏡レンズ2は、被コーティング面2aである凸面のみが所定の曲率半径の光学面に研磨仕上げされ、凹面が未加工または光学面に研磨された円形のプラスチックレンズであって、外径が例えば、65mm、70mm、75mm、80mm等の種類がある。なお、2枚一組からなる眼鏡レンズ2を左眼用と右眼用を区別して説明する場合は、左眼用レンズには数字「2」に添え字「L」を付し、右眼用レンズには数字「2」に添え字「R」を付して示す。
コーティング装置1の筐体3は、複数本のフレームを接合して形成した箱型の骨組構造体4と、この骨組構造体4の底板5と、骨組構造体4の内部を上下2つの室6,7に仕切る基台8と、下方の室6の各壁面を構成する不透明な扉9と、上方の室7の各壁面および天井面を構成する複数枚のプレート10等で構成されている。
下方の室6の内部には、制御盤11、窒素ガス供給装置12、紫外線コントローラ13、コーティング溶液回収装置14の一部構成部材等が収納されている。制御盤11は、後述する第1〜第6の搬送手段21〜26、塗布装置30、光線照射装置32等をシーケンス制御するためのもので、図示を省略した外部入力装置が接続されている。外部入力装置としては、例えばパーソナルコンピュータが用いられ、第1〜第6の搬送手段21〜26、塗布装置30、光線照射装置32等の動作のタイミング、動作時間等を各眼鏡レンズ2に応じて設定し、その信号が制御盤11に入力される。
一方、上方の室7の内部には、第1〜第6の搬送機構21〜26、塗布装置30、光線照射装置32等が収納されている。また、上方の室7は、清浄な空気が供給管35によって上から下に向けて供給されることにより内圧が大気圧より若干高いクリーンルームを形成している。このため、以下の説明では上方の室をクリーンルーム7と称する。クリーンルーム7の壁面および天井面を形成するプレート10のうち、壁面を形成するプレート10には透明なプラスチック板が用いられている。また、壁面のうちクリーンルーム7の前面左側部分を形成するプラスチック板10aは、開閉自在な扉を形成している。一方、天井面を形成するプレート10にはステンレス板が用いられている。
クリーンルーム7の内部は、大きく分けて3つの領域、すなわちトレー搬送部40、塗布部41および硬化部42とからなる。トレー搬送部40は、2枚一組の眼鏡レンズ2L,2Rを収納するトレー44を装置の前方から後方に向けて搬送する部分であり、クリーンルーム7内の図1において右側部の前後方向全長にわたる領域である。塗布部41は、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aにコーティング溶液を塗布する部分であり、トレー搬送部40の左側でかつクリーンルーム7の前半部分の領域である。硬化部42は、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに塗布されたコーティング溶液を硬化させる部分であり、塗布部41より後方の領域である。
トレー44は、プラスチックの射出成形によって箱型に形成されたものであり、上面に各眼鏡レンズ2L,2Rが被コーティング面2aを上にしてそれぞれ載置される2つの載置部を有し、後壁に当該トレー44の識別番号を示すバーコード45が貼り付けられている。
トレー搬送部40には、トレー44を前方から後方に向かって搬送する第1の搬送手段21が設けられている。第1の搬送手段21としては、モータによって駆動するローラコンベアが用いられる。ローラコンベアは、搬送路46の両側にそれぞれ設けられモータの回転がベルトを介して伝達される複数個の駆動ローラ(図示せず)と、各駆動ローラに摩擦結合された複数個の従動ローラ(図示せず)とを備え、従動ローラによってトレー44を搬送するように構成されている。
前記搬送路46は、前端部がクリーンルーム7の前面側プラスチック板10bに設けた開口部47から前方に突出し、後端部が同じくクリーンルーム7の背面側プラスチック板10cに設けた開口部48から装置後方に突出して設けられ、その途中には第1、第8のレンズ受渡位置T1 ,T8 が設けられている。第1のレンズ受渡位置T1 はクリーンルーム7の内部前方位置で、トレー44を一時係止するストッパ49と、トレー44のバーコード45を光学的に読み取るバーコードリーダー50が配設されている。ストッパ49は、ソレノイド等の駆動手段により搬送路46に対して出没するように構成されている。第8のレンズ受渡位置T8 は、クリーンルーム7の内部後方位置で、同じくトレー44を一時係止するストッパ51が設けられている。このストッパ51も搬送路46に対して出没するように構成されている。
2枚一組の眼鏡レンズ2を収納したトレー44は、搬送路46の前端部において第1の搬送手段21の左右の従動ローラ上に載置されると、従動ローラの回転によって搬送されることによりプレート10bの開口部47を通ってクリーンルーム7内に導かれ、第1のレンズ受渡位置T1 まで搬送されストッパ49に当接して停止し、内部の眼鏡レンズ2が取り出されるとストッパ49から解放されて再び走行し、第8のレンズ受渡位置T8 に搬送される。
前記バーコードリーダ50は、搬送路46の左右両側板に設けた門型の取付板53の中央に取付けられている。バーコードリーダ50がトレー44に貼付されているバーコード45を読み取ると、読み取った信号は図示しないホストコンピュータに送られる。ホストコンピュータは、バーコード信号が入力されると、当該トレー44に収納されている各眼鏡レンズ2L,2Rのレンズ度数、外径、中心厚等のコーティングに必要なレンズ情報を外部入力装置に送出する。
また、外部入力装置はホストコンピュータからレンズ情報信号を受け取ると、それに基づいて制御盤11に信号を送出する。制御盤11は外部入力装置からの信号に基づいて駆動信号を出力し、第2の搬送手段22を動作させる。なお、トレー44への眼鏡レンズ2の装着、トレー44の第1の搬送手段21の従動ローラ上への載置およびトレー44へのバーコード45の貼付作業は作業者によって行われる。
前記トレー44がストッパ49に当たって第1のレンズ受渡位置T1 に停止すると、前記第2の搬送手段22は外部入力装置からの駆動信号によって駆動し、前記トレー44内の眼鏡レンズ2を挟持することにより第2のレンズ受渡位置T2 に搬送する。
前記第2のレンズ受渡位置T2 は、前記第1のレンズ受渡位置T1 の左方で、かつ前記塗布部41の前方位置であり、2枚一組の眼鏡レンズ2L,2Rが載置される2つのレンズ載置台53が配設されている。また、この第2のレンズ受渡位置T2 は、前記塗布装置30の前方位置である。2つのレンズ載置台53,53の間隔d1 は、トレー44に収納されている2つの眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 より大きく設定されている。
前記第2の搬送手段22は、第1のレンズ受渡位置T1 に停止したトレー44内の眼鏡レンズ2L,2Rを取り出した後第2のレンズ受渡位置T2 に搬送し、各レンズ載置台53にそれぞれ載置するもので、左右一対の挟持手段55A,55Bを備えている。これらの挟持手段55A,55Bは、各眼鏡レンズ2L,2Rをそれぞれ挟持する3本の挟持ピン56を備え、クリーンルーム7の前端部上方に設けた左右方向に延在するレール57に互いに接近離間自在に垂設されており、モーターの駆動によって第1のレンズ受渡位置T1 と第2のレンズ受渡位置T2 の間を往復移動するように構成されている。各挟持手段55A,55Bの眼鏡レンズ2を挟持する3本の挟持ピン56は、同一円周上に略等間隔おいて配設され、モーター(図示せず)の駆動によって同期して径方向に動くように構成されている。
また、一対の挟持手段55A,55Bは、レール57に対して上下動自在に設けられており、通常は第1のレンズ受渡位置1 の上方に待機している。この待機状態において、各挟持手段55A,55Bは、トレー44内の眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と同一の間隔に保持されている。そして、各挟持手段55A,55Bは、トレー44が第1のレンズ受渡位置T1 に搬送されてきて停止すると、下降してその内部に収納されている各眼鏡レンズ2L,2Rを3本の挟持ピン56でそれぞれ挟持し、再び上昇して第2のレンズ受渡位置T2 の上方に搬送して停止し、その停止位置で所定高さまで下降して挟持ピン56を開くことにより各眼鏡レンズ2L,2Rを各レンズ載置台53にそれぞれ受け渡すように構成されている。このとき、一対の挟持手段55A,55Bの間隔は、2つのレンズ載置台53の間隔d1 と等しくなるように拡大される。レンズ載置台53への眼鏡レンズ2の受け渡し作業が終了すると、各挟持手段55A,55Bは再び上昇して元の待機位置である第1のレンズ受渡位置T1 の上方に復帰する。
前記挟持手段55A,55Bがトレー44内の眼鏡レンズ2を取り出して第1のレンズ受渡位置T1 から第2のレンズ受渡位置T2 に移送するとトレー44は空になる。トレー44が空になると、ストッパ49は搬送路46の下方に退避してトレー44の係止状態を解除する。このため、空になったトレー44は、第1の搬送手段21によって再び搬送され、第8のレンズ受渡位置T8 に到達すると、この位置に設けられているストッパ51に当接して係止され、一時待機する。
図2〜図6において、前記塗布装置30は、2枚一組の眼鏡レンズ2を収納する塗布容器60と、この塗布容器60を第1、第2のコーティング溶液塗布位置S1 ,S2 間で往復移動させる塗布容器往復移動機構61と、塗布容器60内の2枚一組の眼鏡レンズ2の被コーティング面2aにコーティング溶液63をそれぞれ滴下する第1、第2のコーティング溶液滴下手段64,65等を備えている。
前記塗布容器60は、左右方向に長い直方体の容器からなり、上面には各眼鏡レンズ2L,2Rが挿入される左右一対の開口部67が形成されている。塗布容器60の内部には、各眼鏡レンズ2L,2Rが設置される左右一対の回転台68と、各回転台68をそれぞれ独立して回転させる2つのステッピングモータ69が配設されている。
回転台68は、載置された眼鏡レンズ2を真空吸着するとステッピングモータ69によって回転され、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下されたコーティング溶液63を遠心力によって薄く伸ばし膜厚を均一化させる。スピンコートのための回転台68の回転速度は、低速、高速の順で二段階に切り替えられる。低速時の回転数は15rpm程度であり、高速時の回転数は54rpm程度である。左右一対の回転台68の間隔は、前述した2つからなる第1の載置台53の間隔d1 と等しく設定されている。2つの回転台68の間隔をトレー44内の2つの眼鏡レンズ2の間隔d2 より大きくした理由は、各眼鏡レンズ2を回転させたとき遠心力によって飛散するコーティング溶液63が隣に位置する他方の眼鏡レンズ2に付着しないようにするためである。なお、塗布容器60の上板下面で各眼鏡レンズ2が挿入される各開口部67の周りには、遠心力によって各眼鏡レンズ2から飛散したコーティング溶液63が他方の眼鏡レンズ2に付着するのを防止する邪魔板70が取付けられている。
前記塗布容器60を第1、第2のコーティング溶液塗布位置S1 ,S2 間で往復移動させる前記塗布容器往復移動機構61は、モータ71と、このモータ71の回転を前記塗布容器60に伝達するボールねじ72と、塗布容器60を移動自在に支持する左右一対のガイドバー73とで構成されている。また、塗布容器往復移動機構61は、第1のコーティング溶液滴下手段64によってコーティング溶液63を眼鏡レンズ2上に滴下するとき、塗布容器60を眼鏡レンズ2の半径方向に移動させることができる。
第1のコーティング溶液塗布位置S1 は、前記第1のコーティング溶液滴下手段64によってコーティング溶液63を眼鏡レンズ2に滴下する位置である。第2のコーティング溶液塗布位置S2 は、前記第2のコーティング溶液滴下手段65によってコーティング溶液63を眼鏡レンズ2に滴下する位置であり、前記第1のコーティング溶液塗布位置S1 の後方に位置している。なお、第1のコーティング溶液塗布位置S1 は第3のレンズ受渡位置T3 と同一位置であり、第2のコーティング溶液塗布位置S2 は第4のレンズ受渡位置T4 と同一位置である。
前記第1のコーティング溶液滴下手段64は、コーティング溶液63をそれぞれ貯蔵する交換可能な左右一対の容器75と、この容器75内のコーティング溶液63を塗布容器60内の各眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下する左右一対のノズル76等を備え、後述する第1の滴下手段往復移動機構81に第1のスライド板77を介して上下動自在に取付けられている。第1のスライド板77の前面側には、左右一対からなる第2のスライド板78が配設されている。これらの第2のスライド板78は、左右一対のガイドバー79によって上下動自在に保持されており、モータ80の回転がボールねじ84を介して伝達されることにより上下動するように構成されている。そして、各第2のスライド板78の前面側には、前記容器75とノズル76がそれぞれ取付けられている。
前記容器75内のコーティング溶液63は、所定の圧力が加えられることによりノズル76から所定量押し出され、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下される。左右一対のノズル76は、塗布容器60内の各眼鏡レンズ2に対応するように各容器75の下部に配設されている。
塗布装置30によって各眼鏡レンズ2の被コーティング面2aにコーティング溶液63を滴下し、スピンコート法によってそれぞれ塗布すると、コーティング溶液63は被コーティング面2aの外周縁部において表面張力により膜厚が厚くなって盛り上がる。この被コーティング面2aの外周縁部におけるコーティング溶液63の膜厚が厚い場合、次工程である硬化工程において紫外線の照射によってコーティング溶液63を硬化させたとき、コーティング被膜に皺が発生するおそれがある。
このため、前記塗布装置30はへら機構90を備え、このへら機構90によって眼鏡レンズ2の被コーティング面2aの外周縁部における余分なコーティング溶液63を取り除き、膜厚を均一化させるようにしている。
図5において、前記へら機構90は、前記第1のコーティング溶液滴下手段64の第2のスライド板78に取付けられた支持アーム93と、この支持アーム93の先端部にノズル76の左側に位置するように取付けられた取付板94と、この取付板94の下端に取付けられたホルダー95と、このホルダー95の前端面に形成したスリット96に着脱可能に差し込まれたへら板97とで構成されている。ホルダー95は、垂直線に対して眼鏡レンズ2(2L)方向に所要角度(例えば、45°)傾斜するように支持アーム93に取付けられている。このため、へら板97もホルダー95と同一角度で同方向に傾斜している。また、へら板97は、第1のコーティング溶液滴下手段64の前後方向(図5の矢印A、B方向)に対して後端側が前端より眼鏡レンズ2から離間するように所要角度(例えば、30°)傾斜している。すなわち、へら板97は垂直線および前後方向の水平線に対して交差するように傾いた状態で取付けられている。このため、へら機構90の使用時にへら板97は前端が眼鏡レンズ2Lの被コーティング面2aの外周縁左側縁に対して接触し、眼鏡レンズ2Lの回転により前記被コーティング面2aの外周縁全周にわたって溜まっている余分なコーティング溶液63を削ぎ落とす。なお、へら機構90は、不使用時(コーティング溶液の非滴下時)において眼鏡レンズ2Lの後方に待機しており、使用時(コーティング溶液の滴下後)に前記第1のコーティング溶液滴下手段64の前進移動によって眼鏡レンズ2Lの左側方に移動し、へら板97を被コーティング面2aの外周縁に接触させる。なお、図5においては左眼用眼鏡レンズ2Lのへら機構90を示したが、右眼用眼鏡レンズ2Rのへら機構90も全く同一構造であるため、その説明を省略する。
さらに、前記塗布装置30はレンズ外周用溶液平滑化機構100を備えており、これによって眼鏡レンズ2の外周に付着している余分なコーティング溶液63を取り除くようにしている。
前記レンズ外周用溶液平滑化機構100は、同じく図5において、眼鏡レンズ2Lの外周面2bに付着しているコーティング溶液63の膜厚を平滑化させるためのもので、駆動装置101によって作動される保持機構102と、一対のコーティング溶液除去部材103とを備えている。保持機構102は、伸縮自在なパンダグラフ機構からなり、通常引張りコイルばね104によって短縮した状態に保持されており、コーティング溶液63の塗布時に駆動装置101の駆動により引張りコイルばね104に抗して伸長して、一対のコーティング溶液除去部材103を眼鏡レンズ2Lの外周面2bに所定圧で押し付けるように構成されている。駆動装置101としては、エアシリンダが用いられる。
コーティング溶液除去部材103は、吸着性に優れた発泡樹脂、好ましくはスポンジによって円柱状に形成され、パンダグラフ機構102の前端に取付けた取付板105の表面に前後方向に所定の間隔をおいて垂直に取付けられており、回転中の眼鏡レンズ2Lの外周面2bに押し付けられることにより、その外周面2bに付着しているコーティング溶液63を外周面全体にわたって薄く引き延ばし、均一な膜厚とする。なお、へら機構90とレンズ外周用溶液平滑化機構100は、第1のコーティング溶液滴下手段64によるコーティング溶液63の滴下後に略同時に動作するように構成されている。
コーティング溶液63は、前記塗布容器60が前記塗布容器往復移動機構61によって眼鏡レンズ2の半径方向に移動させることにより、眼鏡レンズの被コーティング面2bに対して図5に示すように螺旋状に滴下される。眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下されたコーティング溶液63は、回転台68の回転による遠心力によって被コーティング面2a全体に広がって飛散したり、へら機構90やレンズ外周用溶液平滑化機構100によって取り除かれることにより塗布容器60内に落下し、前記回収装置14によって回収される。
前記回収装置14は、図6に示すように吸引ポンプ110と、コーティング溶液63を回収する複数本の回収容器111とを備えている。吸引ポンプ110は、図1に示すように筐体3の下方の室6に収納されている。複数本の回収容器111は、パイプ112によって直列に接続されている。パイプ112の一端は、吸引ポンプ110に接続され、他端側が二股に分岐されて塗布容器60内に挿入され、各へら機構90の真下にそれぞれ位置付けられている。なお、図5においては左眼用眼鏡レンズ2Lのレンズ外周用溶液平滑化機構100を示したが、右眼用眼鏡レンズ2Rのレンズ外周用溶液平滑化機構100も全く同一構造であるため、その説明を省略する。
図4において、前記第1の滴下手段往復移動機構81は、前記第1のコーティング溶液滴下手段64の容器75内のコーティング溶液63がなくなったとき、コーティング溶液63が入っている新しい容器75と交換するために第1のコーティング溶液滴下手段64を図2に示すコーティング溶液補充室120内の第1のコーティング溶液補充位置W1 に移動させるための機構で、前記筐体3の天井フレーム3Aに取付けられたガイド付きの第1エアシリンダ121と、この第1エアシリンダ121によって前記第1の溶液塗布位置S1 と前記第1のコーティング溶液補充位置W1 間を往復移動する取付板122と、この取付板122の背面側に取付けられた第2エアシリンダ123とを備え、この第2エアシリンダ123によって前記第1のコーティング溶液滴下手段64を上下動させるように構成されている。
前記コーティング溶液補充室120は、前記塗布部41の左側方に位置するように前記クリーンルーム7に隣接して設けられている。また、コーティング溶液補充室120は、内部が第1、第2のコーティング溶液滴下手段64,65を前後に収納し得る広さと、開閉自在な扉機構130a,130b,130cを有し、クリーンルーム7とは独立して清浄な空気が供給されることによりクリーンルームを形成しており、通常は扉機構130a,130bによって装置外部から遮断されるとともに、扉機構130cによってクリーンルーム7から遮断されている。前記コーティング溶液補充室120の内部前方側空間120Aは、前記第1のコーティング溶液滴下手段64を収納してコーティング溶液63の容器75を交換し、一時待機させておく空間で、前記第1のコーティング溶液補充位置W1 が設けられている。一方、コーティング溶液補充室120の内部後方側空間120Bは、前記第2のコーティング溶液滴下手段65を収納してコーティング溶液63の容器75を交換し、一時待機させておく空間で、第2のコーティング溶液補充位置W2 が設けられている。なお、第1、第2のコーティング溶液滴下手段64,65の容器75を交換する際には、前記扉機構130a,130bを開いて行う。このとき、扉機構130cは閉じている。なお、このような扉機構130a,130b,130cは、前記制御盤11からの駆動信号によって開閉制御されるように構成されている。ただし、扉機構130a,130bは作業者が開閉するものであってもよい。
前記第2のコーティング溶液塗布手段65は、前記第1のコーティング溶液塗布手段64と全く同一の構造であり、図3に示すように第1のコーティング溶液塗布手段64の後方に配設されており、塗布容器60が前記第2の溶液塗布位置S2 にあるとき、第1のコーティング溶液塗布手段64に代わってコーティング溶液63を塗布容器60内の各眼鏡レンズ2の被コーティング面2bに滴下塗布するように構成されている。このため、第2のコーティング溶液塗布手段65については、第1のコーティング溶液塗布手段64と同一構成部品のものに同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
また、第2のコーティング溶液塗布手段65は、第2の滴下手段往復移動機構82(図4)によって、前記第2の溶液塗布位置S2 と前記第2のコーティング溶液補充位置W2 間を往復移動されるように構成されている。第2の滴下手段往復移動機構82も前記第1の滴下手段往復移動機構81と全く同一の構造であるため、同一構成部品のものについては同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
このような塗布装置30による塗布容器60内の眼鏡レンズ2に対するコーティング溶液63の滴下、塗布作業は、第1、第2のコーティング溶液塗布手段64,65によって交互に行われる。すなわち、第1のコーティング溶液塗布手段64によってコーティング溶液63を滴下、塗布するときは、第1のコーティング溶液塗布手段64を第1の滴下手段往復移動機構81によって第1の溶液塗布位置S1 の上方に移動させる。このとき、塗布容器60が第2の溶液塗布位置S2 に停止している場合は、塗布容器往復移動機構61によって塗布容器60を第1の溶液塗布位置S1 に移動させる。そして、第1のコーティング溶液塗布手段64によって塗布容器60内の各眼鏡レンズ2に対してコーティング溶液63を滴下、塗布する。一方、第2のコーティング溶液塗布手段65は、コーティング溶液補充室120内の第2のコーティング溶液補充位置W2 に移動、待機させておく。この待機中において、第2のコーティング溶液塗布手段65の容器75が空の場合は、コーティング溶液63の入っている新たな容器75と交換する。容器75の交換は、扉機構130bを開いて作業者が行う。このとき、扉機構130cは閉じておき、クリーンルーム7とコーティング溶液補充室120を完全に遮断した状態で行う。また、容器75の交換が終わった後は、扉機構130bを閉じてコーティング溶液補充室120内を高い清浄度に戻す。
第1のコーティング溶液塗布手段64によってコーティング溶液63の滴下、塗布を行うと、その容器75内のコーティング溶液63は徐々に減少し遂にはなくなる。容器75内のコーティング溶液63がなくなると、扉機構130cを開き、第1のコーティング溶液塗布手段64を第1の滴下手段往復移動機構81によって第1の溶液塗布位置S1 からコーティング溶液補充室120内の第1のコーティング溶液補充位置W1 に移動させ、空になった容器75をコーティング溶液63の入っている新たな容器75と交換する。この容器75の交換は、扉機構130aを開いて作業者が行う。また、この容器75の交換作業は、扉機構130cを閉じ、クリーンルーム7とコーティング溶液補充室120を完全に遮断した状態で行われる。容器75の交換が終わると、扉機構130aを閉じて清浄な空気を供給し、コーティング溶液補充室120内を元の高い清浄度に戻す。
第1のコーティング溶液塗布手段64が第1のコーティング溶液補充位置W1 に移動してクリーンルーム7内から退避すると、塗布容器60は、塗布容器往復移動機構61によって第1の溶液塗布位置S1 から第2の溶液塗布位置S2 に移動される。また、第2のコーティング溶液塗布手段65は、第1の滴下手段往復移動機構82によりコーティング溶液補充室120 からクリーンルーム7内に引き出されて第2の溶液塗布位置S2 に移動させ、塗布容器60内の眼鏡レンズ2へのコーティング溶液63の滴下、塗布を行う。したがって、クリーンルーム7を外気に解放することなく、コーティング溶液63の容器75の交換作業を行うことができる。また、第1、第2のコーティング溶液塗布手段64,65を交互に用いてコーティング溶液63の滴下、塗布を行うため、容器75の交換時に装置を一時停止させる必要がない。
再び図1および図2において、塗布部41の上方には、第2、第3および第4のレンズ受渡位置T2 ,〜T5 間を往復移動する第3の搬送手段23が設けられている。第3、第4のレンズ受渡位置T3 ,T4 は、前述した通り前記第1、第2の溶液塗布位置S1 ,S2 と等しい。第5のレンズ受渡位置T5 は、第4のレンズ受渡位置T4 より後方の位置で、空のレンズラック135が待機している位置である。
前記第3の搬送手段23は、図1に示すようにクリーンルーム7の左内壁に水平に設けたレール136に前後方向に移動自在に設けられたスライダー137と、このスライダー137を往復移動させる図示を省略したモータと、スライダー137に上下動自在に設けられ右方に延在する水平な取付板138と、この取付板138を上下動させる図示を省略した駆動装置と、取付板137の下面に取付けられた左右一対の挟持手段138A,138B等で構成されている。このような第3の搬送手段23は、第1の載置台53に載置されている眼鏡レンズ2L,2Rを一対の挟持手段138A,138Bによって挟持して、前記第3のレンズ受渡位置T3 または第4のレンズ受渡位置T4 に搬送すると、その位置に待機している塗布容器60内の各回転台68に受け渡し、また塗布装置30による各眼鏡レンズ2L,2Rへのコーティング溶液63の塗布作業が終了した後、各回転台68上の眼鏡レンズ2L,2Rを再び挟持して第5のレンズ受渡位置T5 に搬送し、当該第5のレンズ受渡位置T5 に待機している空のレンズラック135にそれぞれ収納するように駆動制御される。
前記第3の搬送手段23の各挟持手段138A,138Bは、各眼鏡レンズ2L,2Rの外周面2bを挟持する径方向に開閉自在な4本の挟持ピン140と、これらの挟持ピン140を開閉させる図示を省略したモータ等の駆動装置を有している。4本の挟持ピン140は、左右前後にそれぞれ2本ずつ設けられ、前後に対向する2本の挟持ピンが互いに接近離間するように構成されている。なお、一対の挟持手段138A,138Bの間隔は、第1の載置台53,53の間隔d1 と同一に設定されている。
前記塗布容器60の各眼鏡レンズ2L,2Rを収納する収納部の上面開口部67は、第3の搬送手段23による眼鏡レンズ2の収納、取出しを容易にするために、挟持ピン140が最大に開いた状態におけるこれらピンに外接する円よりも大きい円形に形成されている。また、この開口部67には、図5に示すように前記レンズ外周用溶液平滑化機構100の保持機構102の進退を可能にするU字状の溝67Aが形成されている。
図7〜図9において、前記レンズラック135は、ベースプレート140上に配設され各眼鏡レンズ2L,2Rを個々に収納する2つのケース、すなわち左眼用眼鏡レンズ2Lを収納する固定ケース142Aと、右眼用眼鏡レンズ2Rを収納する可動ケース142Bとを備えている。
前記ベースプレート140は、上プレート140Aと下プレート140Bとからなり、上プレート140Aが下プレート140B上に上下動自在に設置されている。一方、下プレート140Bは、前後方向に平行に延在する左右一対のガイドバー143によって摺動自在に支持されており、図2に示す第4の搬送手段24によって第5のレンズ受渡位置T5 と硬化部42と第6のレンズ受渡位置T6 の間を往復移動されるように構成されている。第4の搬送手段24としては、例えばモータによって駆動されるベルトが用いられる。
前記固定ケース142Aは、上プレート140Aの上面左端部に固定されており、眼鏡レンズ2Lを収納できるように上方が開放した収納部145を有している。収納部145は、眼鏡レンズ2Lを収納する穴部145Aと、この穴部145Aを縦断する左右一対のピン用溝部145Bとで構成されている。穴部145Aは、眼鏡レンズ2の挿入、取出しを容易にするために、上方に向かって拡径化するテーパ状に形成されている。また、このテーパ状穴部145Aは、後述する光線照射装置32によるコーティング溶液63の硬化時において眼鏡レンズ2Lの外周縁部に対する紫外線の照射を容易にする。ピン用溝部145Bは、第3の搬送手段23の挟持手段138Aによって眼鏡レンズ2Lを収納部145内に収納する際に、4本の挟持ピン140がそれぞれ挿入される溝である。また、これらのピン用溝部145Bは、後述する第5の搬送手段25による眼鏡レンズ2Lの取り出しを可能にしている。さらに、収納部145の内壁には、眼鏡レンズ2Lの外周縁部の左右両端部を支持する左右一対のレンズ載置部146が一体に突設されている。
さらに、固定ケース142Aには、コーティング溶液63の硬化時に収納部145内の空気を排気し不活性ガスに置換するために、Oリング148と、空気排気用通路149および不活性ガス供給用通路150が設けられている。不活性ガスとしては、窒素ガスが用いられる。
Oリング148は、固定ケース142Aの上面で収納部145の周囲に形成した環状溝151に嵌着されている。
空気排出用通路149は、固定ケース142Aの肉厚内に形成されて一端が収納部145の内壁に開口し、他端が配管151を介して図示を省略した真空ポンプに接続されている。不活性ガス供給用通路150は、同じく固定ケース142Aの肉厚内に形成されて一端が収納部145の底面中央に開口し、他端が配管152によって図1に示す窒素ガス供給装置12に接続されている。このため、収納部145には、不活性ガスとしての窒素ガス供給装置12から窒素ガスが供給される。さらに、収納部145の内部中央で眼鏡レンズ2Lの真下には、窒素ガスによる眼鏡レンズ2Lの浮き上がりを防止する邪魔板153が設けられている。
前記可動ケース142Bは、固定ケース142Aの右側に、固定ケース142Aに対して接近離間する方向に移動自在に配置されており、かつ引張りコイルばね154によって固定ケース142A方向に付勢されている。また、可動ケース142Bは、固定ケース142Aと左右対称で外観形状が若干異なるが、内部構造は全く同一である。このため、可動ケース142Bは、上方に開放し眼鏡レンズ2Rを収納する収納部155と、空気排気用通路156および不活性ガス供給用通路157と、収納部155を取り囲む環状溝158を有し、この環状溝158にはOリング159が嵌着されている。
可動ケース142Bの収納部155は、上方に向かって拡径化するテーパ状の穴部155Aと、この穴部155Aを縦断する左右一対のピン用溝部155Bとで構成され、内部には左右一対のレンズ載置部160と邪魔板161が設けられている。ピン用溝部155Bは、第3の搬送手段23の挟持手段138Bによって眼鏡レンズ2Rを収納部155内に収納する際に、4本の挟持ピン140がそれぞれ挿入される溝である。
このような固定ケース142Aと可動ケース142Bは、レンズラック135が第5のレンズ受渡位置T5 に待機している状態において、図8に示す間隔設定手段160によって2つの収納部145と155の間隔が第1のレンズ載置台53,53の間隔d1 と等しくなるように最大に離間した状態に保持されている。
前記間隔設定手段160は、第5のレンズ受渡位置T5 の装置固定部側に横設されたエアシリンダ161を備え、このエアシリンダ161の可動ロッド161aによって可動ケース142Bに設けているプレート163を通常引張りコイルばね154に抗して押圧し、可動ケース142Bを固定ケース142Aから離間させている。エアシリンダ161は、レンズラック135が第5のレンズ受渡位置T5 から硬化部42に向かって移動する直前にONからOFFに切り替わることによりロッド161aによるプレート163の押圧状態を解除する。間隔設定手段160による可動ケース142Bの押圧状態が解除されると、可動ケース142Bは引張りコイルばね154のばね力によって左方に移動して固定ケース142Aに当接し、これによって2つのケース142A,142Bの収納部145,155の中心間の間隔が狭められる。この中心間の間隔は、トレー44内における眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と等しい。
図7において、前記硬化部42には、レンズラック135を上プレート140Aとともに昇降させる駆動手段165と、前記光線照射装置32とが配設されている。駆動手段165は、上向きに設置された左右一対のエアシリンダで構成され、レンズラック135が硬化部42に停止すると駆動して上プレート140Aを上昇させレンズラック135を光線照射装置32の下面高さまで上昇させるように構成されている。
前記光線照射装置32は、密閉型のハウジング170内に水平に配置された紫外線ランプ171を備えている。ハウジング170の内部には、コーティング溶液63の硬化時に紫外線ランプ171の温度上昇を防ぐために冷却空気172が配管173を通って供給される。そして、ハウジング170内に供給された冷却空気172は、排気用配管174を通りシロッコファン175(図1)によって装置外部に排気される。
前記ハウジング170の底面側開口部は、紫外線ランプ171から出た紫外線が透過する透明板180によって密閉されている。レンズラック135の固定ケース142Aと可動ケース142Bは、コーティング溶液63の硬化時に駆動手段165によって押し上げられると、透明板180の下面にOリング148,159を介してそれぞれ押し付けられ、この状態で光線照射装置32によるコーティング溶液63の硬化が行われる。すなわち、光線照射装置32は、コーティング溶液63の硬化時に、透明板180によって固定ケース142Aと可動ケース142Bの開口部145,155を密閉し、紫外線ランプ171から放射された紫外線が透明板180を透過して固定ケース142Aと可動ケース142B内の眼鏡レンズ2L,2Rに塗布されているコーティング溶液63を照射することによりコーティング溶液63を硬化させるものである。なお、このような光線照射装置32によるコーティング溶液63の硬化作業は、透明板180によって固定ケース142Aと可動ケース142Bを密閉し、各収納部145,155内の空気を窒素ガスに置換した状態で行われる。
さらに、ハウジング170の内部で紫外線ランプ171と透明板180との間には、シャッタ181が配置されている。このシャッタ181は、通常閉状態に保持されることにより紫外線ランプ171から出た紫外線を遮断し、コーティング溶液63の硬化時に開くように構成されている。
前記第4の搬送手段24は、光線照射装置32によるコーティング溶液63の硬化処理が終了すると、レンズラック135を硬化部42から第6のレンズ受渡位置T6 に搬送する。第6のレンズ受渡位置T6 は硬化部42の後方位置であり、さらにその後方には第7のレンズ受渡位置T7 が設けられている。第7のレンズ受渡位置T7 には、左右一対からなる第2の載置台185が設けられている。第2の載置台185は、第1の載置台53と全く同一の構造である。また、第6のレンズ受渡位置T6 の上方空間には、第5の搬送手段25が設けられている。この第5の搬送手段25は、第6のレンズ受渡位置T6 に搬送されてきて停止したレンズラック135内の各眼鏡レンズ2L,2Rをそれぞれ取り出して第7のレンズ受渡位置T7 に搬送し、第2の載置台185上にそれぞれ載置する。このような第5の搬送手段25は、第3の搬送手段23と略同一構造ではあるためその説明を省略するが、駆動装置としてシリンダを用いている点、および各眼鏡レンズ2L,2Rを挟持する一対の挟持手段187A,187Bの間隔がトレー44内における眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と等しく設定されている点で異なっている。
第2の載置台185上に載置された各眼鏡レンズ2L,2Rは、第6の搬送手段26によって保持されると前記第8のレンズ受渡位置T8 に搬送され、この第8のレンズ受渡位置T8 に待機している空のトレー44に収納される。
第6の搬送手段26は、第7のレンズ受渡位置T7 と第8のレンズ受渡位置T8 との間を往復移動して眼鏡レンズ2L,2Rを搬送するもので、第2の搬送手段22と略同一構造であるため、その詳細についての説明を省略する。前記第8のレンズ受渡位置T8 に待機している空のトレー44は、処理済みの眼鏡レンズ2L,2Rが前記第6の搬送手段26によって収納されると、前記ストッパ51(図2)から解放され、第1の搬送手段21によってクリーンルーム7の外部後方に搬送される。
このように本発明に係るコーティング装置1は、第1、第2のコーティング溶液滴下手段64,65を備え、これらを交互に用いてコーティング溶液63を眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下、塗布し、容器75内のコーティング溶液63がなくなると、待機中のコーティング溶液滴下手段が代わってコーティング溶液63の滴下、塗布を行うように構成したので、コーティング溶液63がなくなった容器75をコーティング溶液63の入った新しいの容器75と交換する際に、装置を一時停止して交換する必要がなく、生産性、装置の稼働率を向上させることができる。
また、コーティング溶液63の容器75の交換作業は、コーティング溶液補充室120内において行い、容器75の交換が終了した後、コーティング溶液補充室120に清浄な空気を供給して高い清浄度にしてクリーンルーム7にコーティング溶液滴下手段を戻すようにしているので、クリーンルーム7の清浄度を低下させることがなく、コーティング処理の品質、信頼性を高めることができる。
また、コーティング溶液補充室120はクリーンルーム7に比べて十分に狭くすることができるため、容器75の交換のために装置外部に開放した後、元の清浄度に戻すために要する時間も短く、この点からも生産性を向上させることができる。
さらに、2枚一組からなる眼鏡レンズ2L,2Rのコーティング処理を同時に並行して行うように構成したので、生産性を一層向上させることができる。
なお、上記した実施の形態は、眼鏡レンズ2に調光用のコーティング被膜を形成する例について説明したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、遮光性、防眩性、耐擦傷性等のコーティング被膜を形成する場合にも適用することが可能である。
また、上記した実施の形態では、塗布容器60を移動自在に配設し、第1、第2のコーティング溶液塗布位置S1 ,S2 間を往復移動させるように構成したが、本発明はこれに限らず塗布容器60を固定配置するとともに、例えば無端状のレールを設け、このレールに沿って第1、第2のコーティング溶液滴下手段64,65を移動させ、コーティング溶液63の塗布位置とコーティング溶液補充位置間を往復移動させるようにしてもよい。
さらに、レンズ2を2枚一組とせず、1枚ずつ搬送してコーティング溶液63を塗布するようにしてもよい。
1…コーティング装置、2…眼鏡レンズ、2a…被コーティング面、3…筐体、7…クリーンルーム、21〜26…第1〜第6の搬送手段、30…塗布装置、32…光線照射装置、41…塗布部、42…硬化部、44…トレー、60…塗布容器、61…塗布容器往復移動機構、63…コーティング溶液、64…第1のコーティング溶液滴下手段、65…第2のコーティング溶液滴下手段、68…回転台、81…第1の滴下手段往復移動機構、82…第2の滴下手段往復移動機構、120…コーティング溶液補充室、130c…扉機構、S1 ,S2 …第1、第2のコーティング溶液塗布位置、W1 ,W2 …第1、第2のコーティング溶液補充位置。