JP2006262840A - 大麦水飴及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高濃度の亜鉛イオンを含む大麦水飴の製造方法を確立し、高い発酵促進効果を持つ食品素材を提供する。
【解決手段】 大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る液化工程と、液化液に糖化酵素を添加して反応させて糖化液を得る糖化工程と、pHを4以下に調整後さらに反応させる亜鉛抽出工程とを備える大麦水飴の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る液化工程と、液化液に糖化酵素を添加して反応させて糖化液を得る糖化工程と、pHを4以下に調整後さらに反応させる亜鉛抽出工程とを備える大麦水飴の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、大麦もしくはその粉砕物を原料とする大麦水飴及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、高濃度の亜鉛イオンを含有する大麦水飴およびその製造方法に関する。
副原料に対し麦芽使用量が少ない発泡酒はビールに比べ香味が劣るが、副原料として大麦を糖化処理・濃縮して得られる大麦分解物、すなわち大麦水飴を使用することにより、発泡酒の香味が改善される(特許文献1参照)。これは、大麦水飴が持つ酵母の発酵促進効果により香味が改善されたものだが、発酵食品においてはこの様に発酵促進効果を持つ食品素材を添加して香味を改善する方法がよく用いられる。
しかしながら、特許文献1に記載されているように、大麦水飴を全原料の25%使用しても、充分な風味改善は得られない。そのため、大麦水飴がもつ発酵促進効果を強化して、更なる香味の改善をすることが期待されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているように、大麦水飴を全原料の25%使用しても、充分な風味改善は得られない。そのため、大麦水飴がもつ発酵促進効果を強化して、更なる香味の改善をすることが期待されている。
従来から、発酵の分野では、発酵原料中のミネラル組成が重要であり、このミネラル組成により発酵の程度が異なり、発酵食品の風味が左右されることが知られている。例えば、酵母による発酵の場合、リン酸イオンにより発酵が促進され、珪酸イオンにより発酵が阻害されることが知られている(非特許文献1参照)。
したがって、大麦水飴の場合も、ミネラル組成を改善することにより、発酵促進効果を強化できるものと考えられる。
したがって、大麦水飴の場合も、ミネラル組成を改善することにより、発酵促進効果を強化できるものと考えられる。
非特許文献2には、麦汁に亜鉛イオンを0.6ppm(0.6mg/L)程度添加することにより、酵母の増殖速度が急激に上がることが記されている。このことから、ミネラルの中でも亜鉛イオンが特に重要であり、大麦水飴の亜鉛イオン量を増加させることにより、発酵促進効果を大幅に増強できることが分かる。
特開2001−333760号公報
「やさしい醸造学」、井上馨著、工業調査会発行、1997年
Pol.J.Food.Nutl.Sci 6/47巻、4号、1997年、p61
以上述べたように、大麦水飴は、亜鉛イオンを増強することにより、高い発酵促進効果を持つ食品素材となる。しかし、これまで大麦水飴中の亜鉛イオン量を増強する手段がなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高濃度の亜鉛イオンを含む大麦水飴の製造方法を確立し、高い発酵促進効果を持つ食品素材を提供することを課題とする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高濃度の亜鉛イオンを含む大麦水飴の製造方法を確立し、高い発酵促進効果を持つ食品素材を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の大麦水飴は、大麦もしくはその粉砕物を原料とし、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る液化工程と、液化液に糖化酵素を添加して反応させて糖化液を得る糖化工程と、pHを4以下に調整後さらに反応させる亜鉛抽出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の製造方法において、液化液又は糖化液に、プロテアーゼを添加して反応させるタンパク質分解工程を備えることが好ましい。
本発明の大麦水飴は、大麦もしくはその粉砕物を原料とし、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る液化工程と、液化液に糖化酵素を添加して反応させて糖化液を得る糖化工程と、pHを4以下に調整後さらに反応させる亜鉛抽出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の製造方法において、液化液又は糖化液に、プロテアーゼを添加して反応させるタンパク質分解工程を備えることが好ましい。
本発明の大麦水飴は、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上であるため、発酵促進効果が高く、酵母を利用した発酵食品、発酵飲料に利用することができる。本発明の製造方法によれば、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上である大麦水飴を製造することができる。
本発明の大麦水飴は、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上である。亜鉛イオンの含有量は、15〜100mg/Lであることが好ましく、20〜50mg/Lであることがより好ましい。
本発明の亜鉛イオン含有量は、大麦もしくはその粉砕物に由来する亜鉛イオン含有量であり、他から添加したものではない。他から亜鉛イオンを添加すれば、亜鉛イオンの含有量は容易に増やすことができるが、食品に使用できる亜鉛化合物は、極限られたものしかない。具体的には、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛の使用が可能であるが、含まれるアニオンが、発酵食品、飲料の味覚に影響し、好ましくない。
本発明の亜鉛イオン含有量は、大麦もしくはその粉砕物に由来する亜鉛イオン含有量であり、他から添加したものではない。他から亜鉛イオンを添加すれば、亜鉛イオンの含有量は容易に増やすことができるが、食品に使用できる亜鉛化合物は、極限られたものしかない。具体的には、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛の使用が可能であるが、含まれるアニオンが、発酵食品、飲料の味覚に影響し、好ましくない。
以下に、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上である大麦水飴を製造する方法について説明する。
まず、大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る(液化工程)。液化法には、酵素液化法と酸液化法とがあるが、工業的には酵素液化法が好ましい。
酵素液化法の条件は特に限定されるものではないが、液化酵素としては、α−アミラーゼを用いることが好ましい。また、α−アミラーゼに、プロテアーゼ、セルラーゼを配合した混合酵素を用いることがより好ましい。
混合酵素とすることにより、大麦の構成成分であるタンパク質、多糖類を破壊し、その結果、α−アミラーゼの澱粉質への攻撃を容易として、歩留まりを上げられるからである。
混合酵素の場合、α−アミラーゼに対するプロテアーゼの質量比は、5〜50%であることが好ましい。また、α−アミラーゼに対するセルラーゼの質量比は、5〜50%であることが好ましい。
添加量、反応時間には特に制限がないが、大麦、もしくはその粉砕物(以下「固形分」という。)1gあたり50〜1000U添加し、10分〜5時間反応させることが好ましい。反応温度は、通常大麦の糊化温度より高い温度に設定するが、液化酵素、特にα−アミラーゼの至適温度にするのがより好ましい。なお、ここで言う至適温度とは酵素活性が最も高くなる温度のことである。反応pHは、通常4〜10にするが、液化酵素、特にα−アミラーゼの至適pHにするのがより好ましい。なお、ここで言う至適pHとは酵素活性が最も高くなるpHのことである。
例えば、大麦、もしくはその粉砕物100部に対し水を170部添加し、消石灰によりpHを6.0に調整してpHが安定するまで充分攪拌した後に、プロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを固形分1gあたり500U添加し、55℃1時間反応後、30分かけて90℃まで昇温し、90℃に30分保持することにより液化できる。
まず、大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る(液化工程)。液化法には、酵素液化法と酸液化法とがあるが、工業的には酵素液化法が好ましい。
酵素液化法の条件は特に限定されるものではないが、液化酵素としては、α−アミラーゼを用いることが好ましい。また、α−アミラーゼに、プロテアーゼ、セルラーゼを配合した混合酵素を用いることがより好ましい。
混合酵素とすることにより、大麦の構成成分であるタンパク質、多糖類を破壊し、その結果、α−アミラーゼの澱粉質への攻撃を容易として、歩留まりを上げられるからである。
混合酵素の場合、α−アミラーゼに対するプロテアーゼの質量比は、5〜50%であることが好ましい。また、α−アミラーゼに対するセルラーゼの質量比は、5〜50%であることが好ましい。
添加量、反応時間には特に制限がないが、大麦、もしくはその粉砕物(以下「固形分」という。)1gあたり50〜1000U添加し、10分〜5時間反応させることが好ましい。反応温度は、通常大麦の糊化温度より高い温度に設定するが、液化酵素、特にα−アミラーゼの至適温度にするのがより好ましい。なお、ここで言う至適温度とは酵素活性が最も高くなる温度のことである。反応pHは、通常4〜10にするが、液化酵素、特にα−アミラーゼの至適pHにするのがより好ましい。なお、ここで言う至適pHとは酵素活性が最も高くなるpHのことである。
例えば、大麦、もしくはその粉砕物100部に対し水を170部添加し、消石灰によりpHを6.0に調整してpHが安定するまで充分攪拌した後に、プロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを固形分1gあたり500U添加し、55℃1時間反応後、30分かけて90℃まで昇温し、90℃に30分保持することにより液化できる。
次に、液化液を糖化酵素により糖化して糖化液を得る(糖化工程)。糖化酵素は、液化液を糖化できれば特に限定されるものでなく、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、あるいは麦芽により糖化することができる。酵素の起源も限定されるものではなく、大麦・大豆などの植物由来、Basillus属、Pseudomonas属などを微生物由来のものなど使用することができる。
添加量、反応時間には特に制限がないが、固形分1gあたり0.5〜50U添加し、8〜96時間反応させることが好ましい。反応温度は、短時間で失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐れがない程度に高い温度であれば特に問題はない。通常は50〜70℃にするが、糖化酵素の至適温度にするのがより好ましい。反応pHは、通常4〜10にするが、糖化酵素の至適pHにするのがより好ましい。
添加量、反応時間には特に制限がないが、固形分1gあたり0.5〜50U添加し、8〜96時間反応させることが好ましい。反応温度は、短時間で失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐れがない程度に高い温度であれば特に問題はない。通常は50〜70℃にするが、糖化酵素の至適温度にするのがより好ましい。反応pHは、通常4〜10にするが、糖化酵素の至適pHにするのがより好ましい。
糖化工程後、pHを4以下に調整してさらに反応させる(亜鉛抽出工程)。この段階でpHを4以下とすることにより、大麦中でアニオンと結合している亜鉛イオンが、水素イオン濃度の上昇により遊離してくるため、得られる大麦水飴中の亜鉛イオン濃度を高めることができる。
調整後のpHは4以下であればよいが、pH3以上であることが好ましい。特に発酵食品用途の場合、酵母の生育がpHに大きく依存するので、pHの低すぎる大麦水飴を発酵促進剤として発酵原料に添加すると、発酵原料のpHが低くなりすぎて、かえって酵母の発酵が阻害されてしまうからである。pH3未満の大麦水飴を発酵促進剤として使用する場合、pH低下による発酵阻害を避けるために、全発酵原料の1%程度しか添加することができない。そのため、pHを3未満とすると水飴としての商品価値が下がってしまう。
調整後のpHは4以下であればよいが、pH3以上であることが好ましい。特に発酵食品用途の場合、酵母の生育がpHに大きく依存するので、pHの低すぎる大麦水飴を発酵促進剤として発酵原料に添加すると、発酵原料のpHが低くなりすぎて、かえって酵母の発酵が阻害されてしまうからである。pH3未満の大麦水飴を発酵促進剤として使用する場合、pH低下による発酵阻害を避けるために、全発酵原料の1%程度しか添加することができない。そのため、pHを3未満とすると水飴としての商品価値が下がってしまう。
pHの調整は反応液に酸を添加することにより行う。添加する酸は食品添加物として認められている酸であることが好ましい。得られる大麦水飴を食品用途に用いることができるからである。食品添加物である酸としては、アスコルビン酸、アジピン酸、塩酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸、コハク酸、酢酸、シュウ酸、ソルビン酸、乳酸、リンゴ酸などが挙げられる。食品添加物には使用基準があるので、その基準に従って使用量などを調整することが好ましい。
また、得られる大麦水飴が食品の中でも発酵食品の用途に用いられる場合、酸により発酵食品の風味を害する場合がある。したがって、発酵食品の風味を害さないよう、発酵食品の種類に応じて使用する酸の種類と量を適宜制限することが好ましい。
一方、得られる水飴が食品用途以外のときは、酸を食品添加物に限定する必要がなく、例えば、硝酸などを使用することができる。
pH調整後の亜鉛抽出反応の反応温度は特に限定されるものではなく、亜鉛抽出工程の温度と特に異なる温度とする必要はない。反応時間も特に限定されず、4時間程度で充分である。
また、得られる大麦水飴が食品の中でも発酵食品の用途に用いられる場合、酸により発酵食品の風味を害する場合がある。したがって、発酵食品の風味を害さないよう、発酵食品の種類に応じて使用する酸の種類と量を適宜制限することが好ましい。
一方、得られる水飴が食品用途以外のときは、酸を食品添加物に限定する必要がなく、例えば、硝酸などを使用することができる。
pH調整後の亜鉛抽出反応の反応温度は特に限定されるものではなく、亜鉛抽出工程の温度と特に異なる温度とする必要はない。反応時間も特に限定されず、4時間程度で充分である。
また、液化液又は糖化液にプロテアーゼを添加して反応させる(タンパク質分解工程)ことが好ましい。これにより、アミノ酸が生成するので、酵母の発酵促進効果をさらに高めることができる。
タンパク質分解工程は、糖化工程と同時に行っても、亜鉛抽出工程以降に行っても、これらの工程の間に行ってもよい。すなわち、プロテアーゼは、糖化酵素と同時に液化液に添加してもよいし、糖化酵素よりも後から糖化液に添加してもよいし、さらに、pHを4に調製した後に添加してもよい。
プロテアーゼとしては、カビ由来、植物由来、動物由来等の各種由来のプロテアーゼを用いることができる。また、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼの何れを用いてもよい。ただし、タンパク質分解工程を亜鉛抽出工程以降に行う場合には、酸性プロテアーゼを用いる必要がある。
添加量、反応時間には特に制限がないが、液化液又は糖化液の固形分1gあたり5〜5000Uのプロテアーゼを添加し、8〜96時間反応させることが好ましい。反応温度は、通常30〜70℃にするが、プロテアーゼの至適温度にするのがより好ましい。反応pHは、通常4〜10にするが、プロテアーゼの至適pHにするのがより好ましい。
タンパク質分解工程は、糖化工程と同時に行っても、亜鉛抽出工程以降に行っても、これらの工程の間に行ってもよい。すなわち、プロテアーゼは、糖化酵素と同時に液化液に添加してもよいし、糖化酵素よりも後から糖化液に添加してもよいし、さらに、pHを4に調製した後に添加してもよい。
プロテアーゼとしては、カビ由来、植物由来、動物由来等の各種由来のプロテアーゼを用いることができる。また、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼの何れを用いてもよい。ただし、タンパク質分解工程を亜鉛抽出工程以降に行う場合には、酸性プロテアーゼを用いる必要がある。
添加量、反応時間には特に制限がないが、液化液又は糖化液の固形分1gあたり5〜5000Uのプロテアーゼを添加し、8〜96時間反応させることが好ましい。反応温度は、通常30〜70℃にするが、プロテアーゼの至適温度にするのがより好ましい。反応pHは、通常4〜10にするが、プロテアーゼの至適pHにするのがより好ましい。
この様にして製造した反応液から遠心分離やフィルタープレスにより不溶部を除いた後、可溶部をケイソウ土や活性炭などを助材としてろ過し、さらに精密ろ過を行うことにより精製し、最後に濃縮することによって、目的とする水飴を得ることができる。
なお、液化工程で酸液化法を採用する場合、酸の除去のため、通常精密ろ過の前にイオン交換樹脂による脱イオン工程を行うのが通常である。しかし、本発明では脱イオン工程を行わないことが好ましい。この工程を経ると、亜鉛イオンがイオン交換樹脂に吸着し、亜鉛イオン含有量が低下してしまうからである。液化工程で酵素液化法を採用すれば、脱イオン工程を問題なく省略することができる。
濃縮は、固形分濃度(Bx)が、65〜90%となるまで行うことが好ましく、75〜85%となるまで行うことがより好ましい。65%以上、特に75%以上に濃縮することにより、雑菌汚染やカビの増殖を防ぐことができる。また、90%以下、特に85%以下の濃縮に留めることにより、粘度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
なお、液化工程で酸液化法を採用する場合、酸の除去のため、通常精密ろ過の前にイオン交換樹脂による脱イオン工程を行うのが通常である。しかし、本発明では脱イオン工程を行わないことが好ましい。この工程を経ると、亜鉛イオンがイオン交換樹脂に吸着し、亜鉛イオン含有量が低下してしまうからである。液化工程で酵素液化法を採用すれば、脱イオン工程を問題なく省略することができる。
濃縮は、固形分濃度(Bx)が、65〜90%となるまで行うことが好ましく、75〜85%となるまで行うことがより好ましい。65%以上、特に75%以上に濃縮することにより、雑菌汚染やカビの増殖を防ぐことができる。また、90%以下、特に85%以下の濃縮に留めることにより、粘度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における分析値は次の方法で得たものである。
pHは、サンプルを30w/v%の濃度となるように純水で希釈後、20℃にて、堀場製作所製pHメーターDS−12を用いて測定した。
アミノ酸濃度はホルモール滴定法(第4回改正国税庁所定分析法注解、日本醸造協会、23頁)に基づいて行った。すなわち、サンプルを30w/v%の濃度となるように純水で希釈後、10mLを計り採り、これにフェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えて0.1N水酸化ナトリウムで中和し、これに中性ホルマリン液5mlを加えることにより遊離した酸を0.1N水酸化ナトリウムで淡桃色になるまで滴定することにより求めた。なお、滴定値からアミノ酸濃度への換算は、(滴定値)×0.0075×10×1.108×75÷30の式により行った。
亜鉛イオン濃度は、サンプルに強塩酸を加えて加熱して灰化させ、次に純水を加えて溶解させた後、ICP発光分光分析装置(機種SPS4000、セイコーインスツルメンツ製)により定量分析した。分析条件は、高周波出力:1.3kW、プラズマガス流量:16L/分、補助ガス流量:0.5L/分、キャリアガス流量:1.0L/分とした。
Bxは、アタゴ製精密アッベ屈折計3Tを用いた温度20℃における屈折率測定により求めた。
pHは、サンプルを30w/v%の濃度となるように純水で希釈後、20℃にて、堀場製作所製pHメーターDS−12を用いて測定した。
アミノ酸濃度はホルモール滴定法(第4回改正国税庁所定分析法注解、日本醸造協会、23頁)に基づいて行った。すなわち、サンプルを30w/v%の濃度となるように純水で希釈後、10mLを計り採り、これにフェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えて0.1N水酸化ナトリウムで中和し、これに中性ホルマリン液5mlを加えることにより遊離した酸を0.1N水酸化ナトリウムで淡桃色になるまで滴定することにより求めた。なお、滴定値からアミノ酸濃度への換算は、(滴定値)×0.0075×10×1.108×75÷30の式により行った。
亜鉛イオン濃度は、サンプルに強塩酸を加えて加熱して灰化させ、次に純水を加えて溶解させた後、ICP発光分光分析装置(機種SPS4000、セイコーインスツルメンツ製)により定量分析した。分析条件は、高周波出力:1.3kW、プラズマガス流量:16L/分、補助ガス流量:0.5L/分、キャリアガス流量:1.0L/分とした。
Bxは、アタゴ製精密アッベ屈折計3Tを用いた温度20℃における屈折率測定により求めた。
〔実施例1〕
国産大麦の粉砕物345gを純水655gに分散させた。これに消石灰を加えて、pHを6.0に調整後、丸米液化H−3(天野エンザイム製、枯草菌由来と糸状菌由来の混合酵素)を100000U添加し、55℃で1時間反応させた。次に加熱し、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度丸米液化H−3を100000U添加して、90℃で1時間反応させて液化液を得た(液化工程)。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにベータラーゼ1500EL(日本バイオコン社、麦芽酵素)を4000U添加し、60℃で24時間糖化反応させて糖化液を得た(糖化工程)。その後、プロテアーゼとしてAアマノG(天野エンザイム製、Aspergillus oryzae由来プロテアーゼ)を24000U添加して、60℃で12時間反応させた(タンパク質分解工程)。さらに、シュウ酸を加えて、pH4.0に調製した後、60℃で4時間反応させた(亜鉛抽出工程)。
国産大麦の粉砕物345gを純水655gに分散させた。これに消石灰を加えて、pHを6.0に調整後、丸米液化H−3(天野エンザイム製、枯草菌由来と糸状菌由来の混合酵素)を100000U添加し、55℃で1時間反応させた。次に加熱し、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度丸米液化H−3を100000U添加して、90℃で1時間反応させて液化液を得た(液化工程)。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにベータラーゼ1500EL(日本バイオコン社、麦芽酵素)を4000U添加し、60℃で24時間糖化反応させて糖化液を得た(糖化工程)。その後、プロテアーゼとしてAアマノG(天野エンザイム製、Aspergillus oryzae由来プロテアーゼ)を24000U添加して、60℃で12時間反応させた(タンパク質分解工程)。さらに、シュウ酸を加えて、pH4.0に調製した後、60℃で4時間反応させた(亜鉛抽出工程)。
得られた反応液を遠心分離(9000G、20分)し、その上清を加熱した。加熱後の上清を、ろ紙No.5C(東洋濾紙製)上に10gの活性炭白鷺A(武田薬品工業製)をコートしたヌッチェに通液してろ過した。このろ過液を孔径0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィルター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにてBx75まで濃縮し、大麦水飴を得た。
〔実施例2〕
糖化工程において、ベータラーゼ1500ELに代えて、ハイマルトシンGL(エイチビィアイ製、小麦由来β−アミラーゼ)を10000Uを用いた他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
糖化工程において、ベータラーゼ1500ELに代えて、ハイマルトシンGL(エイチビィアイ製、小麦由来β−アミラーゼ)を10000Uを用いた他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
〔比較例1〕
亜鉛抽出工程においてpHを調整しなかった他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
〔比較例2〕
亜鉛抽出工程において、シュウ酸を添加してpH5.0に調整した他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
〔比較例3〕
亜鉛抽出工程において、シュウ酸を添加してpH4.5に調整した他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
亜鉛抽出工程においてpHを調整しなかった他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
〔比較例2〕
亜鉛抽出工程において、シュウ酸を添加してpH5.0に調整した他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
〔比較例3〕
亜鉛抽出工程において、シュウ酸を添加してpH4.5に調整した他は、実施例1と同様にして、大麦水飴を得た。
各実施例、比較例における亜鉛抽出工程における糖化酵素及びpHと、得られた大麦水飴中のアミノ酸濃度と亜鉛イオン濃度を表1に示す。
表1から、亜鉛抽出工程におけるpHが4.5〜5.6の範囲では水飴中に含まれる亜鉛イオン量がほぼ同等であるが、亜鉛抽出工程におけるpHを4.0とすることにより、水飴中の亜鉛イオン量が著しく増加することがわかる。
本発明の亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上である大麦水飴は、酵母発酵を促進する食品素材として好適に使用できる。例えば、清酒、ビール、発泡酒、パンなどの酵母を用いる発酵食品に利用することができる。
Claims (3)
- 大麦もしくはその粉砕物を原料とし、亜鉛イオンの含有量が15mg/L以上であることを特徴とする大麦水飴。
- 大麦もしくはその粉砕物を液化して液化液を得る液化工程と、
液化液に糖化酵素を添加して反応させて糖化液を得る糖化工程と、
pHを4以下に調整後さらに反応させる亜鉛抽出工程とを備える大麦水飴の製造方法。 - 液化液又は糖化液に、プロテアーゼを添加して反応させるタンパク質分解工程を備える請求項2に記載の大麦水飴の製造方法。
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2005
- 2005-03-25 JP JP2005088830A patent/JP2006262840A/ja not_active Withdrawn
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