JP2006261228A - 回路基板用配線パターン形成装置および配線パターンの補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配線パターンPの立体的な表面形状を測長手段13により計測する。こうして得られた配線パターンPの立体的な表面情報から、パターン欠損部の位置と補充すべき体積とが分かる。その後、インクジェット機構14により正確なパターン欠損部の位置に適量のコロイド液を吐出して、配線パターンPの膜厚を正確かつ効率的に均一化させたり、配線パターンに発生した断線部を補修できる。
【選択図】図1
Description
特許文献1は、XYテーブルにより、絶縁基板を導体回路の形状データに応じて移動させながら、インクジェットノズルより、金属ナノ粒子を分散させたペースト状のインクを絶縁基板に吐出させることで、絶縁基板上に配線パターンを形成させる方法である。
特許文献2は、被補修プリント基板をXY平面内で移動させるXYテーブルと、XYテーブルに載置された被補修プリント基板の配線パターンを撮像するカメラと、撮像された配線パターンの画像を表示するモニタと、配線パターンに発生した断線部(遮断部)をワイヤによりブリッジさせるワイヤ接続手段(ワイヤウェルダなど)と、プリント配線板の導体オアターンまたはソルダレジスト短絡部を切り離す切離手段(グラインダなど)と、これらの短絡部または切り離し部にソルダレジストを供給して再塗布するインクジェット機構とを備えている。
さらに、カメラにより撮像された画像情報からでは、配線パターンの十分な位置精度が得られない。そのため、パターン配線がさらに精細化された場合、配線パターンの平坦化が難しくなるといった問題点があった。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、配線パターンの凹凸情報とXYステージにより検出される位置情報とを組み合わせて配線パターンの立体的な表面情報を生成し、この立体的な表面情報を利用すれば、配線パターンの膜厚(厚さ)の均一化が図れ、これによりイオンマイグレーションに有効に対処できることを知見し、この発明を完成させた。
コロイド液用の液体としては、例えばオイル、水、有機溶媒などを採用することができる。
コロイド粒子は、金属ナノ粒子でもよいし、金属酸化物ナノ粒子でもよい。または、金属ナノ粒子と金属酸化物ナノ粒子との混合物でもよい。
金属ナノ粒子としては、例えば、銅、銀、金、パラジウム、ニッケルなどの導電性材料をナノレベルに微粒子化したものを採用することができる。
金属酸化物ナノ粒子としては、例えば、酸化銀、酸化銅などを採用することができる。
液体中へのコロイド粒子の添加量としては、液体を100重量部としたとき10〜80
重量部である。10重量部未満では、十分な電気特性を得ることができない。また、80重量部を超えると、増粘によってノズルが詰まり安くなる。液体中へのコロイド粒子の好ましい添加量は、30〜70重量部である。この範囲であれば、電気的特性も良好でかつ詰まりにくいというさらに好適な効果が得られる。
インクジェット方式に採用されるインクジェットヘットの電源部は、インクジェット方式に応じて、直流電源または交流電源を採用することができる。
配線パターン(導体パターン)の形成素材、パターンの線幅は限定されない。
測長手段としては、配線パターンの立体的な表面形状を計測可能な方法であれば限定されない。例えば、レーザ光を用いた発光部に対し、受光部としてCCD(Charge coupled device)、PSD(Position Sensing device)、PD(Photo Diode)などを採用することができる。
パターン欠損部の一種である断線部とは、配線パターンの一部に形成された切断部分をいう。
パターン欠損部の一種である凹部とは、配線パターンの一部に形成された凹み部分をいう。凹みの平面的な大きさ(平面的な面積)、立体的な大きさ(凹んだ空間の容積)および外観形状は限定されない。
インクジェット制御駆動機構には、コロイド液の吐出量を測定するセンサ(例えば、流量センサなど)が組み込まれている。
システム制御機構は、測長手段により検出された配線パターンの表面形状データに基づき、ステージ制御駆動機構と、測長手段用制御駆動機構と、インクジェット制御駆動機構とをそれぞれ制御する回路基板用配線パターン形成装置の主コントローラである。
加熱手段によるコロイド液の加熱温度は、コロイド液の液体の素材により適宜変更される。例えば、液体が銀コロイドの場合には100〜300℃である。100℃未満では、金属粒子の結合が不十分で電気抵抗が増大する。また、300℃を超えると、回路用基板が熱的ダメージを受ける。
コロイド液の好ましい加熱温度は、150〜250℃である。この範囲であれば、耐熱性
基板が使用可能でかつ導体パターンの抵抗値も適正値になるというさらに好適な効果が得
られる。
インクジェット機構のコロイド液の吐出側とは、インクジェット機構に組み込まれたインクジェットノズルのノズル口側をいう。
加熱手段の熱放出側とは、加熱手段のうち、熱源から発生した熱を積極的に外部に放出させる部分が存在する側をいう。
パターン形成用ユニットの面のうち、回路基板と対向する側の面とは、配線パターンの形成時にパターン形成用ユニットが回路基板と向かい合う(対峙する)側の面をいう。
パターン形成用ユニットとは、測長手段とインクジェット機構と加熱手段とを構成体とし、これらを一体物として取り扱えるようにしたものである。これらの構成体は、1つのケーシングに収納してもよい。
その結果、パターン欠損部の検出と、パターン欠損部へのコロイド液の塗布と、塗布されたコロイド液の硬化とを連続的に短時間で行うことができる。よって、請求項2の場合より、さらに短時間でパターンの膜厚の均一化または断線部の修復を行うことができる。
パターン形成用ユニットの回転軸の形成位置は限定されない。例えば、パターン形成用ユニットのうち、インクジェット機構が配置された位置でもよい。
ユニット回転手段としては、例えば電動モータ、超音波モータなどを採用することが
できる。
そのため、高精度に配線パターンの凹凸を検出することができ、またX軸位置センサとY軸位置センサとを使用し、ステージ制御駆動機構より得られたXYステージの位置情報と組み合わせることで、配線パターンの立体的な表面情報を生成することができる。このような表面形状データを利用することにより、配線パターンのパターン欠損部に対して、適量のコロイド液を選択的かつ正確に塗布することができる。その結果、補修後の配線パターンの膜厚の均一化を図ることができたり、配線パターンの断線部の高精度な修復を行うことができる。
レーザ発光部と両集光レンズとレーザ受光部とは、これらの何れか同士、または、これらの全部を一体的に設けてもよいし、別体で設けてもよい。
また、インクジェット機構として、静電誘引方式を採用したので、針状電極への電圧の印加に伴って生じた静電気力により、例えば圧電方式、サーマル方式などに比べて、コロイド液による液体流路の詰まりを抑え、コロイド液を液吐出口から吐出させることができる。
また、液吐出口の口径は、例えば0.1〜20μmである。0.1μm未満では、コロイド液の目詰まりが発生し易い。また、20μmを超えると液滴の精密な制御が困難になる。液吐出口の好ましい口径は0.2〜5μmである。
インクジェット機構は静電誘引方式である。そのため、液吐出口から離間した液吐出方向の所定位置には、一般的に、対向電極が配置される。
針状電極およびゲート電極の素材としては、例えばPolySi、MoSi2、WSi、TiSi2、Wなどを採用することができる。これらの電極の形成方法としては、例えばCVD法、スパッタリング法などを採用することができる。
針状電極は、液体タンクの下流側に連結させてもよいし、液体タンクの下流側から液体材料の流出方向に離間して設けてもよい。
静電誘引方式のインクジェット機構の電源部としては、一般に針状電極用として直流電源が採用され、ゲート電極用として交流電源が採用される。
静電誘引方式のインクジェット機構では、針状電極に所定のバイアス電圧を印加し、ゲート電極に所定のパルス電圧を印加してこのパルス電圧をバイアス電圧に重畳することで、吐出液(コロイド液)の液滴(微粒子)を、液吐出方向の所定位置に存在する例えば基板の表面に吐出させることができる。
これにより、配線パターンの膜厚を正確かつ効率的に均一化させたり、配線パターンに発生した断線部を補修したりすることができる。
金属ナノ粒子の平均粒径は5〜20nmである。
実施例1では、インクジェット法として静電誘引方式を採用している。
配線パターン形成装置10は、回路基板11をXY平面内で移動させるXYステージ12と、XYステージ12から離間して配置され、前記配線パターンPの立体的な表面形状を計測する測長手段13と、配線パターンPのうち、断線部および凹部からなるパターン欠損部に対して、所定量のコロイド液をそれぞれ吐出するインクジェット機構14と、XYステージ12のXY平面内での移動を制御するステージコントローラ(ステージ制御駆動機構)15と、測長手段13による配線パターンPの表面形状の計測を制御する測長手段用コントローラ(測長手段用制御駆動機構)16と、インクジェット機構14によるコロイド液の吐出を制御するインクジェット機構コントローラ(インクジェット制御駆動機構)17と、データ合成機構18と、測長手段13が検出した配線パターンPの表面形状データに基づき、ステージコントローラ15、測長手段用コントローラ16およびインクジェット機構コントローラ17をそれぞれ制御するシステムコントローラ(システム制御機構)19とを備えている。システムコントローラ19は、演算機能、通信機能、データ記憶機構、タイマなどから構成されている。
また、ステージコントローラ15と、測長手段用コントローラ16と、インクジェット機構コントローラ17と、データ合成機構18と、システムコントローラ19とは、図示しない装置架台に設けられた制御盤に搭載されている。
Yステージ24は、Xステージ23のX方向の両端部に離間された1対の平行なYレール28と、回路基板11が搭載されるY移動板29と、Y移動板29のX方向の両端部の裏側に離間され、対応するYレール28に沿って摺動する図示しない1対のリニアガイドと、同じく図示しないYモータとを有している。一方のYレール28の外側には、ステージコントローラ15の一部を構成し、Y移動板29のY軸方向への移動距離を検出するY軸リニアスケール(Y軸位置センサ)30が設けられている。
まず、回路基板11に作成される回路パターンPの図形データを、システムコントローラ19に取り込む(図2(1))。
システムコントローラ19では、図形データに基づき、XYステージ12の制御指令およびインクジェット機構14のコロイド液の吐出タイミングデータが生成される。その後、システムコントローラ19からは、ステージコントローラ15にXYステージ12の制御指令が送信され(図2(2))、これと同時に前記吐出タイミングデータが、インクジェット機構コントローラ17に送信される(図2(3))。
一方、インクジェット機構コントローラ17では、ステージの動きに合わせて断線することなくコロイド液(金属コロイド)を塗布するように、適切な吐出周波数からなる吐出タイミング信号が生成され、インクジェット機構14に送られる(図2(5))。
これにより、インクジェット機構14からコロイド液が回路基板11に向かって塗布され、所定形状の配線パターンPが塗布される。なお、コロイド液の吐出に際しては、スライド昇降手段21を介して、インクジェット機構14が、回路基板11の表面近くまで下降される。
その後、配線パターンPの塗布が終了した回路基板11は、XYテーブル12から取り外され、加熱装置の炉内に挿入される。ここで、回路基板11が200℃で60分間加熱
される。これにより、塗布されたコロイド液が硬化され、配線パターンPが形成される。
前記回路パターンPの図形データ(作成データ)に基づき、システムコントローラ19よりステージコントローラ15に制御指令を送信する(図3(1))。
ステージコントローラ15では、指令に対して位置ずれなくXYステージ12を動作させるような駆動パターン(時間と電流値の関係)が生成され、XYステージ12のX移動板26、Y移動板29に供給される(図3(2))。これにより、X移動板26とY移動板29とが、所定量ずつ移動される。このときのX移動板26とY移動板29との移動量が、X軸リニアスケール27およびY軸リニアスケール30から、シリアル信号として、ステージコントローラ15に送信される(図3(3))。
送信されたシリアル信号は、ステージコントローラ15によりXY軸の座標データに変換され、データ合成機構18に送信される(図3(4))。
測定手段用コントローラ16では、アナログ信号をデジタル信号に変換して演算処理を行い、その後、これを凹凸情報としてデータ合成機構18に送信する(図3(6))。
データ合成機構18では、配線パターンPの表面形状データが生成され、これがシステムコントローラ19に送信される(図3(7))。
システムコントローラ19では、送信されたデータに基づき、配線パターンPの表面のパターン欠損部(不足部および断線部)の形状を解析する。そして、パターン欠損部の中心位置を算出し、ステージコントローラ15に制御指令を送信する(図3(8))。
X移動板26およびY移動板29の所定位置への移動後、システムコントローラ19よりインクジェット機構コントローラ17に吐出指令が送信される(図3(10))。
インクジェット機構コントローラ17では駆動パルスが生成され、インクジェット機構14へと送信され(図3(11))、吐出が行われる。
これは、従来の配線パターン形成装置による場合のように、配線パターンPの欠損部の検出にカメラによる表面観察を採用し、パターン欠損部の平面的な形状欠陥だけしか検出できなかったときの補修と大いに異なる。
図4に示すように、XY軸上の2次元的な位置における高さ情報から、パターンの表面形状を解析することができる。この解析結果より、システムコントローラ19において表面の凹部の位置と体積を算出し、インクジェットノズルコントローラにコロイド液の必要吐出量を伝達し、同時にステージコントローラ15に位置を伝達する。これらの信号に応じて、XYステージ12とインクジェット機構14との各動作がなされることで、配線パターンPのパターン欠損部(導体の体積不足部分)に対して、配線パターンPの膜厚を均一化させる適量の金属コロイド液を供給することができる。
図5に示すように、この発明の実施例2の回路基板用配線パターン形成装置10Aは、測長手段13と、インクジェット機構14と、回路基板11に吐出されたコロイド液を加熱して硬化させる加熱手段31とを、それぞれ垂直な仕切り板を介して、互いに固定状態で連結してパターン形成用ユニット32を設けた点を特徴としている。
パターン形成用ユニット32では、測長手段13の配線パターンPの計測側と、インクジェット機構14のコロイド液の吐出側と、加熱手段31の熱放出側とが、パターン形成用ユニット32の面のうち、記回路基板11と対向する側の面にそれぞれ配置されている。
パターン形成用ユニット32は、そのX1側からX2側に向かって順に、インクジェット機構14、加熱手段31、測長手段13が直線的に配置されている。
パターン形成用ユニット32は、スライド昇降手段21、具体的にはスライド昇降手段21の一部を構成する昇降板の下端部に、パターン形成用ユニット32の上板の中央部が固定されている。
配線パターンPの作成プロセスは、まずインクジェット機構14によりコロイド液を吐出し、その後、加熱手段31によりコロイド液中の溶媒を蒸発させる。そして、硬化後の配線パターンPの表面を計測する。そのため、図5に示すように、配線パターンPの描画の進行方向に対してインクジェット機構14による塗布ポイントと加熱手段31の加熱エリアと測長手段13の対象エリアが順に並ぶことで、これらの3つの作業を連続して行うことができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と略同じであるので説明を省略する。
図6に示すように、この発明の実施例3の回路基板用配線パターン形成装置10Bは、パターン形成用ユニット32を、パターン形成用ユニット32の回路基板11と対向する側の面と直交した回転軸(垂直軸)38を中心にして、回転モータ(ユニット回転手段)39により回転可能な構造とした点を特徴としている。このとき、パターン形成用ユニット32は、パターン形成用ユニット32の回路基板11に対向する側の面が、回路基板11の表面と平行な状態で保持されている。回転モータ39は、エンコーダ付きである。他の回転モータとしては、位置決め角度の分解能が十分なものであれば、直流モータ、交流モータ、ステッピングモータなどを採用することができる。
回転モータ39は、出力軸を下方に向けて、スライド昇降手段21のうち、上下動される昇降板の表側に固定されている。回転軸38と出力軸39aとは、カップリング40により連結されている。
そこで、このように回路パターンPの斜線部分を描画したり、その後に直線部分を描画する際には、インクジェット機構14による塗布ポイントと加熱手段31の加熱エリアと測長手段13の対象エリアが常時順に並ぶように、システムコントローラ19から回転モータに対して、パターン形成用ユニット32を、所定方向に所定角度だけ回転させる指令を送信する。これにより、回路パターンPの作成中、常時、インクジェット機構14による塗布ポイントと、加熱手段31の加熱エリアと、測長手段13の対象エリアとが順に並ぶように制御することができる。その結果、途中に斜線部分が存在する回路パターンPの作成時でも、これらの3つの作業を連続して行うことができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例2と略同じであるので説明を省略する。
図7に示すように、この発明の実施例4の回路基板用配線パターン形成装置10Cは、測長手段13として、レーザ光を斜め方向から照射するレーザ発光部41と、レーザ発光部41から発せられたレーザ光を配線パターンPに集光させる第1の集光レンズ42と、配線パターンPから斜めに反射したレーザ光を受光するレーザ受光部43と、配線パターンPから反射したレーザ光をレーザ受光部43に集光させる第2の集光レンズ44とを有した点を特徴としている。
測長手段13は、外観が直方体のケーシング45を本体としている。ケーシング45の下板の中間部には、逆V字形状の屈曲部45aが形成されている。この屈曲部45aを構成するX1側の屈曲壁に、第1の集光レンズ42が組み込まれている。また、屈曲部45aを構成する他方の屈曲壁に、第2の集光レンズ44が組み込まれている。ケーシング45内には、第1の集光レンズ42の近傍にレーザ発光部41が収納され、第2の集光レンズ44の近傍にレーザ受光部43が収納されている。
その他の構成、作用、効果は、実施例1と略同じであるので説明を省略する。
図8に示すように、この発明の実施例5の回路基板用配線パターン形成装置10Dは、インクジェット機構14が、コロイド液を貯液する液体タンク46と、コロイド液を吐出する液吐出口47と、液体タンク46と液吐出口47とを連通させる液体流路48と、液体流路48の液体タンク46より下流側に配置され、電圧の印加に伴って発生した静電気力によりコロイド液を吐出する針状電極49と、液吐出口47の近傍に配設されたゲート電極50とを有したことを特徴としている。
ヘッド本体51の液吐出口47の形成部には、液吐出口47と連通した開口部を有するゲート電極50が設けられている。
液体流路48は、液体タンク46と液滴ノズル52とを連通する長さ方向がX方向(横方向)となった細い連通路48aと、液滴ノズル52内に形成された長さ方向がZ方向(縦方向)となった内部流路48bとから構成されている。内部流路48bは、その上部が大径な液溜め部で、その下部が小径な液吐出路となっている。液吐出路の下端に液吐出口47が形成されている。針状電極49は、液溜め部の下部に収納されている。
コロイド液は、液体タンク46から液体流路48を通って針状電極49に供給される。第1の直流電源部54から針状電極49に所定の直流電圧を印加し、パルス電源部55からゲート電極50に所定のパルス電圧を印加すると、針状電極49とゲート電極50間に電界が発生する。これにより、プラス(+)に帯電されたコロイド液が微小なドットとなり、針状電極49の先端からゲート電極50を通過して、第2の直流電源部56から所定の直流電圧が印加された対向電極53に載置された回路基板11に飛翔する。このような静電現象を利用したインクジェット機構14を用いることで、吐出量を高精度に制御することが可能となり、微細配線パターンPにおいても回路パターンの膜厚の均一化と、断線部の補修とを行うことができる。
その他の構成、作用、効果は、実施例1と略同じであるので説明を省略する。
実施例6では、実施例1の回路基板用配線パターン形成装置10を使用し、配線パターンPの補修を行う。
回路基板11上に塗布された配線パターンPの立体的な表面の測長工程では、測長手段13により配線パターンPの表面を走査する。得られた配線パターンPの表面の凹凸情報は、データ合成機構18からシステムコントローラ19に、表面形状データとして送信される(図9(1))。
システムコントローラ19では、演算部により配線パターンP表面の立体的な凹部を検出し、凹部の体積(容積)とその中心位置とが算出される。算出された凹部の体積をV、インクジェット機構14から吐出する1回の吐出量をV0とした場合、硬化により体積がVからV/nに減少するとき、インクジェット機構14からのコロイド液の吐出回数Fは、F=n・V/V0となる。この吐出回数Fが、指令値としてシステムコントローラ19からインクジェット機構コントローラ17に送信される(図9(2))。
その他の構成、作用、効果は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
11 回路基板、
12 XYステージ、
13 測長手段、
14 インクジェット機構、
15 ステージコントローラ(ステージ制御駆動機構)、
16 測長手段用コントローラ(測長手段用制御駆動機構)、
17 インクジェット機構コントローラ(インクジェット制御駆動機構)、
18 データ合成機構、
19 システムコントローラ(システム制御機構)、
27 X軸リニアスケール(X軸位置センサ)、
30 Y軸リニアスケール(Y軸位置センサ)、
31 加熱手段、
32 パターン形成用ユニット、
38 回転軸、
39 回転モータ(ユニット回転手段)、
41 レーザ発光部、
42 第1の集光レンズ、
43 レーザ受光部、
44 第2の集光レンズ、
46 液体タンク、
47 液吐出口、
48 液体流路、
49 針状電極、
50 ゲート電極、
P 配線パターン。
Claims (6)
- 金属ナノ粒子および金属酸化物ナノ粒子のうち、少なくとも1つを含むコロイド液をインクジェット法により吐出し、任意形状の配線パターンを回路基板に形成する回路基板用配線パターン形成装置であって、
前記回路基板をXY平面内で移動させるXYステージと、
該XYステージから離間して配置され、前記配線パターンの立体的な表面形状を計測する測長手段と、
前記配線パターンのうち、断線部および凹部からなるパターン欠損部に対して、所定量の前記コロイド液をそれぞれ吐出するインクジェット機構と、
前記XYステージのXY平面内での移動を制御するステージ制御駆動機構と、
前記測長手段による配線パターンの表面形状の計測を制御する測長手段用制御駆動機構と、
前記インクジェット機構によるコロイド液の吐出を制御するインクジェット制御駆動機構と、
前記測長手段が検出した配線パターンの表面形状データに基づき、前記ステージ制御駆動機構、前記測長手段用制御駆動機構および前記インクジェット制御駆動機構をそれぞれ制御するシステム制御機構とを備えた回路基板用配線パターン形成装置。 - 前記測長手段と、前記インクジェット機構と、前記回路基板に吐出されたコロイド液を加熱して硬化させる加熱手段とを、互いに固定状態で連結してパターン形成用ユニットを設け、
前記測長手段の配線パターンの計測側と、前記インクジェット機構のコロイド液の吐出側と、前記加熱手段の熱放出側とは、前記パターン形成用ユニットの面のうち、前記回路基板と対向する側の面にそれぞれ配置されている請求項1に記載の回路基板用配線パターン形成装置。 - 前記パターン形成用ユニットを、該パターン形成用ユニットの回路基板と対向する側の面と直交した回転軸を中心にして、前記パターン形成用ユニットの回路基板に対向する側の面を、前記回路基板の表面と平行状態で回転させるユニット回転手段を有した請求項2に記載の回路基板用配線パターン形成装置。
- 前記測長手段は、レーザ発光部と、該レーザ発光部から発せられたレーザ光を前記配線パターンに集光させる第1の集光レンズと、前記配線パターンから反射したレーザ光を受光するレーザ受光部と、前記反射したレーザ光をレーザ受光部に集光させる第2の集光レンズとを有し、
前記XYテーブルにはステージ制御駆動機構の一部を構成するX軸位置センサとY軸位置センサとがそれぞれ設けられ、前記X軸位置センサおよびY軸位置センサからの検出信号に基づき、前記ステージ制御駆動機構によりXYステージのXY平面内での移動を制御する請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の回路基板用配線パターン形成装置。 - 前記インクジェット機構は、
前記コロイド液を貯液する液体タンクと、
前記コロイド液を吐出する液吐出口と、
前記液体タンクと液吐出口とを連通させる液体流路と、
該液体流路の液体タンクより下流側に配置され、電圧の印加に伴って発生した静電気力により前記コロイド液を吐出する針状電極と、
前記液吐出口の近傍に配設されたゲート電極とを有した請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の回路基板用配線パターン形成装置。 - 金属ナノ粒子および金属酸化物ナノ粒子のうち、少なくとも1つを含むコロイド液をインクジェット法により吐出し、回路基板に形成された任意形状の配線パターンを補修する配線パターンの補修方法あって、
前記回路基板をXY平面内で移動させながら、前記配線パターンの立体的な表面形状を計測する工程と、
前記回路基板のX軸およびY軸の各座標データと、計測された前記配線パターンの表面の凹凸情報とを組み合わせ、該組み合わせより得られた前記配線パターンの表面情報から、前記配線パターンの表面のうち、断線部と凹部とからなるパターン欠損部の体積を算出する工程と、
得られた体積データに基づき、硬化時の体積減量分を含めた前記コロイド液の必要吐出量を算出する工程と、
該必要吐出量のコロイド液を、前記インクジェット法により、前記パターン欠損部に吐出する工程とを備えた配線パターンの補修方法。
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