JP2006260964A - 燃料電池用セパレータ及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性、流路形成のための成型性、耐腐食性、軽量化に優れ、出力の経時安定性に優れる燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することにある。
【解決手段】 難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池用セパレータ及び燃料電池に関する。
近年、携帯用電子機器及び無線通信機器の急激な普及に伴って、携帯用電源供給装置や無公害自動車用エネルギー源として燃料電池が注目され、その開発に力が注がれている。燃料電池は、電極であるアノード極およびカソード極と、これらの間に設けられた電解質等から構成され、燃料として水素ガス又はメタノール等を用い、酸化剤として酸素ガス又は空気を用い、これらを電気化学的に反応させて生ずるエネルギーを直接電気エネルギーに変換させる発電システムである。これには、500〜700℃の高温で作動する溶融炭酸塩電解質型燃料電池、200℃付近で作動する燐酸電解質型燃料電池、常温から100℃以下で作動するアルカリ電解質型燃料電池及び高分子電解質型燃料電池等が含まれる。
このような燃料電池は、電解質膜にプロトン伝導性膜を用い、この電解質膜を介して、拡散層と触媒層を有するカソード極とアノード極を接合し、アノード側には燃料を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータが設けられ、カソード側には酸化剤を供給するための流路溝を有するカソード側セパレータが設けられた構造を取っている。
アノード極とカソード極は、各々の反応物の供給及び拡散のための拡散層と反応物の酸化/還元反応が生じる触媒層とを有する電極である。
セパレータは、燃料又は酸化剤を供給するための流路を形成するとともに、燃料電池ユニットを積層したときに、互いに隣接するカソード極とアノード極とでそれぞれ生じる燃料や酸化剤の流れや化学反応を分離する機能を有する。また、発生した電気を外部回路に流す導体となる。
従って、セパレータには、導電性、流路形成のための成型性、耐腐食性、軽量性などが要求されている。
このような状況下において、セパレータは、黒鉛を粉砕してフェノール高分子等のバインダーに混合して成型したものが使用されることが多い。(特許文献1参照)
また、金属をセパレータとして使用することも知られている。
特開2000−77079号公報
特許文献1に開示された技術では、軽量化は図れるが、セパレータで使用される黒鉛粉末は、ミクロンオーダー以下のサイズに粉砕することが困難であるため、バインダー量が少ないと成型性が悪くなる。
そのため、導電性を高くするために、黒鉛量を多くすると、バインダー量が少なくなり、成型性が悪くなるという問題が生じる。
また、カーボン量が少ないと、すなわち、バインダー量を増やし過ぎたのでは、電気抵抗が増加してしまうことになり、出力の経時安定性が低下する。
このように、特許文献1に開示された技術では、導電性と成型性を両立できない。
また、セパレータを金属などで製造しようとする場合、耐腐食性に問題があり、やはり、出力の経時安定性が良くない。また、多数のセルを積層するため、重くなるという問題が生じる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性、流路形成のための成型性、耐腐食性、軽量化に優れ、出力の経時安定性に優れる燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することにある。
上記の本発明の目的は、以下に記載のいずれか1項の構成によって達成することが出来る。
(請求項1)
難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
(請求項2)
前記難黒鉛化炭素を生成する高分子が、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより20質量%以上90質量%未満の残渣を生成する高分子であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項3)
前記混合物は、前記難黒鉛化炭素を生成する高分子に対して、易黒鉛化炭素を1質量%以上150質量%未満の割合で混合することにより得られた混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項4)
前記混合物は成型されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項5)
前記混合物は、繊維形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項6)
前記繊維形状は、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項7)
前記混合物は、平板の少なくとも片側の平面に流路溝が形成されている形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項8)
前記焼成物は、焼成後の工程で賦活処理されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
(請求項9)
アノード極側セパレータ及びカソード極側セパレータの少なくとも一方が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータを用いたことを特徴とする燃料電池。
(請求項10)
前記燃料電池は、直接メタノール燃料電池であることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池。
本発明者は、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータを用いることで、軽量化ができ、かつ、焼成による高分子の炭素化により、焼成物自体に高い導電性と耐腐食性を付与でき、また、易黒鉛化炭素の混合によりさらに導電性を高められることができるため、燃料電池の出力の経時安定性が向上すると考え、本発明に至った。
また、前記混合物は、高分子であるので、流路形成のための成型性に優れる。
本発明に係る難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータは、金属に比べて明らかに軽量であり、かつ高い導電性、耐腐食性を兼ね備えた優れたセパレータとすることができ、燃料電池の出力の経時安定性が向上する。
また、混合物を成型することにより、高分子の状態で、容易に成型できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る燃料電池の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る燃料電池の単セルIの基本構成を示す概略図である。符号1は電解質膜、符号2はアノード極触媒層、符号3はカソード極触媒層、符号4はアノード極拡散層、符号5はカソード極拡散層、符号6はアノード極側セパレータ、符号7はカソード極側セパレータ、符号8は燃料流路、符号9は酸化剤流路を表す。
ここでは便宜上、拡散層4とその上に設けられたアノード極側触媒層2を含めてアノード極と称し、拡散層5とその上に設けられたカソード極側触媒層3を含めてカソード極と称する。
図1に示すように電解質膜1をアノード極とカソード極とにより接合した接合体の外側に、アノード極側セパレータ6とカソード極側セパレータ7とを配置している。これらを接合することにより、単セルIを形成している。この単セルを複数個、場合によっては図示していない絶縁板を介して積層することにより、燃料電池が構成される。
以下、各構成要素について説明する。
(セパレータ)
まず、本発明の特徴的構成であるセパレータについて説明する。
図2は、本発明に係るセパレータ6,7(6または7)の斜視図であり、燃料流路8、酸化剤流路9(燃料流路8または酸化剤流路9)の溝を形成するように櫛歯形状に成型されている。このアノード極側セパレータ6とカソード極側セパレータ7は基本的に同一の構造である。
本発明は、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータを燃料電池のアノード極側セパレータ及びカソード極側セパレータの少なくとも一方のセパレータに用いることに特徴がある。
まず、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を、不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成した焼成物について説明する。
通常、炭素質材料は、有機物を不活性雰囲気中でおよそ400〜3000℃の加熱により分解し、炭素化さらには黒鉛化を行うことにより得られる。炭素質材料の出発原料は、ほとんどの場合に有機物であり、炭素化工程である1500℃付近までの加熱により、ほとんど炭素原子のみが残り、3000℃近い高温までの加熱により黒鉛構造を発達させる。
この有機物原料としては、液相ではピッチ、コ−ルタ−ルあるいはコ−クスとピッチの混合物などが用いられ、固相では木質原料、フラン高分子、セルロ−ス、ポリアクリロニトリル、レ−ヨンなどが用いられる。また、気相では、メタン、プロパンなどの炭化水素ガスが用いられる。炭素質材料は大別すると、石油ピッチなどを出発原料とし、一般的には2000℃以上の高温で焼成し、発達したグラファイト構造を有する、いわゆる易黒鉛化炭素材料と、ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂などのフェノール高分子や、フラン高分子を始めとする熱硬化性高分子を出発原料として、2000℃以下の比較的低温で焼成し、乱層構造を有する、いわゆる難黒鉛化炭素材料とがある。
また、空気を遮断し有機材料を400℃以上で蒸し焼きにすると炭素を生成するが、このとき有機材料の種類により生成する炭素の量が異なる。
本発明で用いる難黒鉛化炭素を生成する高分子とは、有機材料の中でも窒素雰囲気下800℃で焼成したときに、(焼成後の炭素の質量×100)/(焼成前の高分子の質量)が2質量%以上の炭素を生成できる高分子を意味し、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上が、また40質量%以上の炭素を生成する高分子であれば最も好適である。
高分子の残渣は、窒素雰囲気下における熱質量分析法(以下TGA)で測定する。昇温速度10℃/分で900℃まで測定し、800℃における残渣を読み取る。また試料は一度空気中100℃で60分加熱処理を行ったものを用いる。
耐熱性の高い高分子でも800℃で焼成を行うと数%以上の質量減少を生じるが、この焼成条件で質量減少が小さい高分子は一般に加工適性に劣るので好ましくなく、(焼成による質量減少分×100)/(焼成前の高分子の質量)が10質量%より大きい質量減少を生じる高分子が適する。このような高分子としては、先に例示したような熱硬化性高分子があげられる。
例えば、窒素雰囲気下800℃で焼成したときに、(焼成物の質量×100)/(焼成前の高分子の質量)が20質量%以上90質量%未満となるように残渣を生成する高分子が好ましい。このような高分子としては、未硬化ノボラック樹脂が好ましい。
本発明に用いられる未硬化ノボラック樹脂とは例えばフェノールの他にアルキルフェノール類や他の置換フェノール類、多価フェノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類を原料とし、一般に知られている常法により酸性触媒下において反応せしめて得られるものである。
炭化物の導電性をより高められるという点で、樹脂中に易黒鉛化炭素粉末を混合することが必要である。また、延伸しながら炭化を進める方法も好ましい。ただし、炭化する際の焼成温度については、800℃以上が必要であり、好ましくは1200℃以上である。
難黒鉛化炭素を生成する高分子に混合する易黒鉛化炭素であるが、高温度で熱処理すると容易にグラファイト構造を発達させる易黒鉛化炭素材料であれば何でも良く特に制限しない。しかし、高分子に混合する作業性から、その大きさは制限を受ける。易黒鉛化炭素材料が、繊維状の形態もしくは異方性粒子であれば、長い寸法で大きさが定義され、等方性粒子であれば近似される球体の直径でその大きさが定義される。易黒鉛化炭素材料の大きさはそれらの平均値で代表され、本発明では、その平均値が3cm以上であると高分子とともに混練りする時に作業性が悪いので3cm未満が好ましく、さらに好ましくは1cm未満である。1mm未満であれば高分子への分散が短時間でできるので好適である。しかし1nm未満になると二次粒子の凝集力が著しく大きくなるので好ましくは1nm以上の大きさが好ましい。
易黒鉛化炭素材料の高分子への添加量である(易黒鉛化炭素の質量×100)/(高分子の質量)については、焼成物の導電性をより高める観点から1質量%以上が好ましく、加工性の観点から150質量%未満が好ましい。さらに好ましくは、50質量%以上100質量%以下である。
また易黒鉛化炭素材料としては、ケッチェンブラックやカーボンナノチューブが、高分子への少量の添加で導電性を高められる点で好ましい。これらの材料であれば、添加量を5質量%以上100質量%以下とすることができる。
易黒鉛化炭素材料を難黒鉛化炭素を生成する高分子へ混合後、そのまま焼成を行ってもよいが、焼成前に繊維状や球状、酸化剤や燃料の流路溝を形成した形状(例えば櫛歯状)など様々な形態に成型後、焼成を行うのが好ましい。
特に、焼成前に、酸化剤や燃料の流路溝を形成した形状(例えば櫛歯状)に成型することにより、焼成物に高い導電性を付与することができ、また、焼成前の混合物を成型することにより、高分子の状態で、容易に成型できる。焼成物自体が高い導電性を有しているので、成型物を焼成した焼成物を燃料電池のセパレータに用いた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
この酸化剤や燃料の流路溝を形成した形状(例えば櫛歯状)に成型する際の製造方法について説明する。まず、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素を所定の割合で混練し、この混合物を図3に示すような金型10内に充填し、金型を50℃〜150℃程度の温度に加熱しながら、図中の矢印F方向から3〜15気圧程度の圧力を加えて、樹脂成型法にてセパレータの形状形成を行う。樹脂成型法としては、プレス成型法、トランスファー成型法、射出成型法などを適用することができる。このような樹脂成型法によって、図2に示す櫛歯状のセパレータに成型する。これによれば、原則として切削などの機械加工が不要であり、安価にかつ容易に成型することが可能である。この成型物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより、難黒鉛化炭素を生成する高分子の炭素化により、導電性が高められるとともに、焼成によりセパレータの機械的強度も向上する。
また、繊維形状に成型することにより、容易に繊維形状の焼成物が得られる。
繊維状にすることで、繊維同士の接触面積の増加により電子伝導性が向上するので、繊維状の焼成物を燃料電池のセパレータに含有させた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
また、繊維形状を、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上とするとさらに好ましい。
また、焼成後に粉砕、分級などのプロセスを行なっても良い。本発明で重要なのは、焼成温度であり、公知のように400℃以上でも炭素材料は得られるが、本発明の目的を達成するためには、不活性雰囲気下800℃以上の温度で焼成を行うことが必要である。3000℃以上の温度でも好ましい結果が得られるがあまり高温度であると経済性がよくないので、上限は3000℃までが好ましい。1000℃以上であれば材料の均一性も向上し好ましい結果が得られる。さらに好ましい焼成温度は1200℃以上2000℃未満である。この焼成温度までの昇温速度および焼成温度の保持時間は処理する炭素材料の形状や組成で異なるので特に制限をしないが、昇温速度は1℃/分以上50℃/分未満が、保持時間は1分以上24時間未満が好ましい。また、昇温については、後述の実施例で示すように、室温から焼成温度まで、階段状に昇温していくことが好ましい。これにより、より効果的にひび割れの発生を抑えられる。
また、前述の繊維状の焼成物や粒子状の焼成物あるいはその粉砕物を、酸化剤や燃料の流路溝を形成した形状(例えば櫛歯状)に成型することにより、さらに高い導電性を達成することができ、成型物を燃料電池のセパレータに用いた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
また、これらの、繊維状の焼成物や粒子状の焼成物あるいはその粉砕物を樹脂をバインダーとして成型してもよい。
樹脂は、セパレータの成型性を高めるためのものであるが、具体的には、公知のフェノール樹脂やポリイミド樹脂やエポキシ樹脂やフラン樹脂などを利用することができる。この内、特にフェノール樹脂は、所要の成型性を得やすく、また耐硫酸性にすぐれているため、好適に利用できる。このフェノール樹脂は、ノボラック系フェノール樹脂とレゾール系フェノール樹脂とのいずれでもよく、またこれらの混合物を用いることもできる。
本発明においては、焼成物を、例えば窒素をキャリアとした水蒸気で1時間程度の賦活処理をすることが好ましい。賦活処理により、さらに安定性を高めることができる。
本発明は、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータを燃料電池のアノード極側セパレータ及びカソード極側セパレータの少なくとも一方のセパレータに用いることにより効果が得られる。より好ましくは、本発明の燃料電池用セパレータを燃料電池のアノード極側セパレータ及びカソード極側セパレータの両方に用いることである。
(電解質膜)
電解質膜1は、アノード極の触媒層で生じた水素イオンをカソード極側に拡散させる一方、電子を通しにくいという機能を有する膜である。
電解質膜1はプロトン伝導性固体高分子膜が好ましく、公知のプロトン伝導性ポリマーを用いることが出来る。プロトン伝導性ポリマーとしては、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂等が挙げられる。ナフィオン112(商品名、デュポン社製)、ナフィオン117(商品名、デュポン社製)やDOW膜(商品名、ダウ・ケミカル社製)等として入手出来る。
その他にスルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化プラスチック系電解質等が有る。なお、これらの電解質材料のスルホン酸当量としては0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂程度、好ましくは0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂である。スルホン酸当量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂より小さい場合はイオン伝導抵抗が大きくなり、2.0ミリ当量/g乾燥樹脂より大きい場合には水に溶解しやすくなる。
又、フッ素系電解質材料として、例えば、
一般式 CF2=CF−(OCF2CFX)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、m=0〜3、n=0〜12、q=0又は1、X=F又はCF3、A=スルホン酸型官能基)で表されるフロロビニル化合物とテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン又はパーフロロアルキルビニルエーテルの如きパーフロロオレフィンとの共重合体が挙げられる。フロロビニル化合物の好ましい例としては、例えば、CF2=CFO(CF2)aSO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)aSO2F、CF2=CF(CF2)bSO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))cO(CF22SO2F(ここに、a=1〜8、b=0〜8、c=1〜5の整数)を用いることも出来る。
(触媒層)
アノード極触媒層2、カソード極触媒層3について以下に説明する。触媒層は、電極反応の反応場となる層であり、主成分は、触媒金属あるいは触媒金属担持カーボンと高分子電解質である。
触媒金属としては、公知の触媒金属を用いることが出来る。例えば、貴金属触媒として、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、金、銀、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マガジン、バナジウム又はこれらの多元合金を用いることができ、白金及び白金合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの貴金属触媒をカーボン粒子に担持させた貴金属触媒担持カーボン粒子を用いることが出来る。金属触媒径としては、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
カーボン粒子としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト及びそれらの混合物を好ましく採用することが出来る。例えばカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられ、Denka BLACK(電気化学工業社製)、Valcan XC−72(キャボット社製)、Black Pearl 2000(同前)、Ketjen Black EC300J(ケェチェンブラック・インターナショナル社製)等市販のものを採用することが出来る。又、そのカーボン粒子に親水化処理をしても良い。特に、カルボキシル化合物で処理してカルボキシル化したもの、又はスルホン化合物で処理してスルホン化したものが好ましい。
貴金属触媒をカーボン粒子に担持させるには、例えばカーボンブラック分散液に白金やルテニウム等の貴金属触媒の塩を加え、ヒドラジン等を用いて還元し、濾過、乾燥することで得られる。又、更に熱処理を行っても良い。市販のValcan XC−72に白金或いは白金−ルテニウム触媒を担持させたもの(田中貴金属(株)製)等を用いることも出来る。
触媒層用の電解質材料としては、プロトン伝導性高分子電解質膜に用いられる様なイオン導電性を有する電解質であれば特に制限は無く、例えば、フッ素系電解質材料、部分フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料等が挙げられる。この触媒層における貴金属触媒担持カーボンと高分子電解質の比率は、必要とされる電極特性に応じて適宜決められるべきもので、特に限定されるものではないが、貴金属触媒担持カーボン/高分子電解質の質量比率で5/95〜95/5が好ましく、40/60〜85/15がさらに好ましい。又、触媒層には、種々の添加物を加えることも出来る。例えば、電子伝導性向上のための炭素などの導電剤や、結着性向上のための高分子バインダー、撥水性向上のための撥水性付与剤等の添加物などがあるが、特に限定されることなく用いることが出来る。撥水性付与剤としては、テフロン(登録商標)の様なポリテトラフロロエチレン(PTFE)、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体等の含フッ素樹脂が挙げられる。
触媒層を形成するための塗布液は、触媒金属又は触媒金属担持カーボン、プロトン伝導性高分子電解質等を含む溶液と、有機溶媒−水の混合溶媒を添加して、超音波分散機を用いて均一に分散させた分散液の形態で供給されることが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒が挙げられ、単独あるいは混合物として用いることが出来る。
(拡散層)
拡散層4、5は、アノード極側触媒層2及びカソード極側触媒層3への燃料及び酸素の供給、反応により生成する水及び二酸化炭素の排出、ならびに発生した電子をセパレータへ受け渡す、または、受け取る機能を有する層である。拡散層は、多孔質かつ電子伝導性を有する材料が用いられる。この拡散層は、必ずしも必要ではないが、あればより効果的に反応物質の供給と電子の授受を行うことが出来る。
拡散層4、5の主成分としては、上記の触媒層に用いられるカーボン粒子、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材、ナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等の導電性物質と、上記の撥水性付与剤、バインダーとしても機能する上記のプロトン伝導性ポリマー等である。拡散層を形成するための拡散層用塗布液についても、上記と同様に、導電性物質とバインダーとしても機能するプロトン伝導性ポリマー及び必要に応じて撥水性付与剤等を含む溶液と、有機溶媒−水の混合溶媒を添加して、超音波分散機を用いて均一に分散させた分散液の形態で供給されることが好ましい。
拡散層に用いる基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば、特に限定されることなく用いることが可能である。拡散層に用いる基材としては、例えば、導電性無機物質を主とするものが挙げられ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材、前述のナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等が挙げられる。拡散層に用いる基材の導電性無機物質の形態は特に限定されず、例えば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層の基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。例えば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるもの等、特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等による不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布等が好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。拡散層用基材に炭素繊維からなる無機導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示される。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましい。さらに、拡散層に用いる基材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液等を用いて撥水化処理を行うことができる。
(電解質膜−電極接合体)
電解質膜と電極とを接合して電解質膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を製造する方法としては、例えば、触媒層に用いる塗布液を電解質層に直接塗設する方法、拡散層に用いる基材に触媒層を塗設したものと電解質膜をホットプレスにより接合する方法、あるいは支持体に触媒層を塗設した後、電解質層や拡散層に転写する方法等で形成することができる。
転写方法による接合の場合には、転写基材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板などが用いられ、さらに、接合性を高めるため、ホットプレス処理を施してもよい。
塗設による接合の方法としては、ロッドコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ディップコーター、ロールコーター等のコーターを用いる方法や刷毛塗りなどが挙げられる。
以上の様にして作製した電解質膜−電極接合体の外側に、燃料流路と酸化剤流路を形成する溝が形成されたアノード極セパレータと、カソード極セパレータとを配したものを単セルとし、この単セルを複数個、絶縁板等を介して積層することにより、燃料電池が構成される。
本発明の燃料電池に採用できる燃料としては、水素ガス、メタノール、エタノール、1−プロパノール、ジメチルエーテル、アンモニア等が挙げられるが、メタノールが好ましい。
直接メタノール燃料電池は、燃料としてのメタノール水溶液を改質して水素ガスを取り出すこと無く、液体のまま直接供給することによって発電できるという特徴を有するため、燃料をガス化又は改質して供給する従来からの固体高分子型燃料電池と比べて、発電システムとしての構造をシンプルにでき、小型化、軽量化が容易で、分散型電源、ポータブル電源としての用途が注目されている。
この様な直接メタノール燃料電池は、例えば、電解質膜にプロトン導電性固体高分子膜を用い、この電解質膜を介して、アノード極とカソード極を接合し、アノード極側には燃料としてのメタノール水溶液を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータが設けられ、カソード極側には酸化剤ガスとしての空気を供給するための流路溝を有するカソード極側セパレータが設けられた構造を取り、アノード極にメタノール水溶液を供給し、カソード極に空気を供給すると、アノード極ではメタノールと水との酸化反応によって炭酸ガスが生成すると共に水素イオンと電子が放出され(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)、カソード極では電解質膜を通過してきた前記水素イオンと空気との還元反応によって水が生成して(6H++(3/2)O2+6e-→3H2O)、アノード極とカソード極を繋ぐ外部回路に電気エネルギーを得ることができる。従って、直接メタノール燃料電池の全反応は、メタノールと酸素から水と二酸化炭素が生成する反応である。
実施例により、本発明に係る燃料電池用セパレータ及びそれを用いた燃料電池について、さらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は、かかる実施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
なお、以下に示す高分子、ケッチェンブラックの残渣は、窒素雰囲気下における熱質量分析法(以下TGA)で測定した。昇温速度10℃/分で900℃まで測定し、800℃における残渣を読み取る。また試料は一度空気中100℃で60分加熱処理を行ったものを用いた。
(セパレータの作製1)
フェノール1.2kg、50%ホルマリン0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた後、さらに加熱下で真空脱水濃縮を行い軟化点110℃の未硬化ノボラック樹脂1kgを得た。一方、ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))100gと前記未硬化ノボラック樹脂200gとを加熱溶融させ、混合攪拌する。混合物を乳鉢に移し冷却しながら造粒する。この粉体の残渣は、60質量%であった。ケッチェンブラックEC600JDの残渣は99質量%であり、この混合物のノボラック樹脂は、約40質量%の残渣と推定される。
ケッチェンブラックEC600JDとノボラック樹脂との混合物100gに10%アニリン水溶液10gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行う。成型物を窒素雰囲気下、図4の熱処理パターンで加熱して、焼成を行いセパレータを作製した。表面比抵抗を測定したところ0.1Ωcmと高い導電性を示した。
なお、図4は、横軸が熱処理時間で縦軸が熱処理温度(焼成温度)である。このように最終的な焼成温度である1200℃の手前の300℃と800℃で所定時間保持することにより、階段状に昇温した。
(セパレータの作製2)
フェノール1.2kg、50%ホルマリン0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた後、さらに加熱下で真空脱水濃縮を行い軟化点110℃の未硬化ノボラック樹脂1kgを得た。一方、ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))200gと前記未硬化ノボラック樹脂200gとを加熱溶融させ、混合攪拌する。混合物を乳鉢に移し冷却しながら造粒する。この粉体の残渣は70質量%であった。ケッチェンブラックEC600JDの残渣は99質量%であり、この混合物のノボラック樹脂は約40質量%の残渣と推定される。
ケッチェンブラックEC600JDとノボラック樹脂との混合物100gに10%アニリン水溶液10gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行う。成型物を窒素雰囲気下、図4の熱処理パターンで加熱して、焼成を行いセパレータを作製した。表面比抵抗を測定したところ0.1Ωcmと高い導電性を示した。
(セパレータの作製3)
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))100gとレゾール樹脂(スミライトレジンPR−310)200gとを混合する。粉体の残渣は63質量%であった。ケッチェンブラックEC600JDの残渣は99質量%であり、この混合物のレゾール樹脂は約41質量%の残渣と推定される。
ケッチェンブラックEC600JDと樹脂との混合物100gに10%アニリン水溶液10gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行う。成型物を窒素雰囲気下、図4の熱処理パターンで加熱して、焼成を行いセパレータを作製した。表面比抵抗を測定したところ0.1Ωcmと高い導電性を示した。
(セパレータの作製4)
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))100gとレゾール樹脂(スミライトレジンPR−51107)200gとを混合する。この粉体の残渣は58質量%。ケッチェンブラックEC600JDの残渣は99質量%であり、この混合物のレゾール樹脂は約39質量%の残渣と推定される。
ケッチェンブラックEC600JDと樹脂との混合物100gに10%トルエンスルフォン酸水溶液10gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行う。成型物を窒素雰囲気下、図4の熱処理パターンで加熱して、焼成を行いセパレータを作製した。表面比抵抗を測定したところ0.1Ωcmと高い導電性を示した。
(セパレータの作製5)
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))200gとレゾール樹脂(スミライトレジンPR−51107)200gとを混合する。この粉体の残渣は、69質量%であった。ケッチェンブラックEC600JDの残渣は99質量%であり、この混合物のレゾール樹脂は約39質量%の残渣と推定される。
ケッチェンブラックEC600JDと樹脂との混合物100gに10%トルエンスルフォン酸水溶液10gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行う。成型物を窒素雰囲気下、図4の熱処理パターンで加熱して、焼成を行いセパレータを作製した。表面比抵抗を測定したところ0.1Ωcmと高い導電性を示した。
(セパレータの作製6)
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))300gとレゾール樹脂(スミライトレジンPR−51107)10gとを混合する。
ケッチェンブラックEC600JDと樹脂との混合物100gに10%トルエンスルフォン酸水溶液0.5gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行った。表面比抵抗を測定したところ10Ωcmであった。
(セパレータの作製7)
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))300gとエポキシ樹脂10gとを混合する。
ケッチェンブラックEC600JDと樹脂との混合物100gにエチレンジアミン0.1gを添加し乳鉢で混合する。この混合物の一部を図3のセパレータの金型に入れ、5気圧の条件で加熱プレス(加熱温度80℃)を行った。表面比抵抗を測定したところ10Ωcmであった。
〔電極と固体電解質膜接合体の作製〕
イ.カソード極用の白金電極の作製
デュポン社製ナフィオン溶液に、触媒担持カーボン(触媒;Pt、カーボン;Cabot社製VulcanXC−72R、白金担持量;50質量%)とイソプロパノールを加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。
東レ製カーボンペーパーTGP−H−060を拡散層として、この層の片面に前記触媒−ポリマ組成物を触媒層として塗布し、カソード極を作製した。
ロ.アノード極用の白金/ルテニウム電極の作製
デュポン社製ナフィオン溶液に、触媒担持カーボン(触媒;PtとRu、カーボン;Cabot社製VulcanXC−72R、白金、ルテニウム担持量;50質量%)とイソプロパノールを加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。
東レ製カーボンペーパーTGP−H−060を拡散層として、この層の片面に前記触媒−ポリマ組成物を触媒層として塗布してカソード極を作製した。
ハ.電極−固体電解質膜接合体の組み立て
イ、ロで作製した電極を、デュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力が9.8×105(Pa)でホットプレスして電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(実施例1)
セパレータの作製1で作製されたセパレータを2つ用意し、各々、アノード極側セパレータおよびカソード極側のセパレータとして、前記電極−固体電解質膜接合体の作製で作製された電極−固体電解質膜接合体の両側に配置させ、直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(実施例2)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製2で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(実施例3)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製3で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(実施例4)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製4で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(実施例5)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製5で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(比較例1)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製6で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
(比較例2)
セパレータの作製1で得られたセパレータを用いる代わりに、セパレータの作製7で作製されたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様に直接メタノール燃料電池単セルを作製した。
〔電池評価と結果〕
以上で作製した実施例及び比較例の直接メタノール燃料電池単セルを用い、大気圧下での2モルのメタノール水溶液を燃料流速30ml/分で燃料流路に流し、酸化剤ガスとして1atmの空気を100ml/分でガス流路に流して、80℃で発電を行ない、運転初期と運転10時間後の電圧−電流特性を測定した。
なお、アノード極側およびカソード極側のセパレータに外部出力端子を取り付けて、燃料電池の出力を取り出せるようにした。
結果を表1に示す。
Figure 2006260964
これより、運転10時間後の出力を見ると、本発明のセパレータを用いた場合の実施例1〜5の電圧、電流値が、比較例1,2のそれよりも良好であり、安定した高出力を長時間にわたって得られていることがわかる。また、比較例1,2のセパレータは、実施例1〜5のセパレータに比較し、機械的強度が低く、割れやすかった。
また、比較例1では、触媒の酸によるセパレータの腐食が発生した。
本発明に係る燃料電池の単セルIを示す模式図である。 本発明に係るセパレータの斜視図である。 本発明に係るセパレータを金型成型している状態を示す図である。 本発明に係る焼成の温度パターンの一例を示す図である。
符号の説明
I 燃料電池の単セル
1 電解質膜
2 アノード極側触媒層
3 カソード極側触媒層
4 アノード極側拡散層
5 カソード極側拡散層
6 アノード極側セパレータ
7 カソード極側セパレータ
8 燃料流路
9 酸化剤流路
10 金型

Claims (10)

  1. 難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記難黒鉛化炭素を生成する高分子が、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより20質量%以上90質量%未満の残渣を生成する高分子であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記混合物は、前記難黒鉛化炭素を生成する高分子に対して、易黒鉛化炭素を1質量%以上150質量%未満の割合で混合することにより得られた混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 前記混合物は成型されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 前記混合物は、繊維形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
  6. 前記繊維形状は、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用セパレータ。
  7. 前記混合物は、平板の少なくとも片側の平面に流路溝が形成されている形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
  8. 前記焼成物は、焼成後の工程で賦活処理されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  9. アノード極側セパレータ及びカソード極側セパレータの少なくとも一方が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータを用いたことを特徴とする燃料電池。
  10. 前記燃料電池は、直接メタノール燃料電池であることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池。
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