JP2006244950A - 燃料電池用電極及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高度の物質移動性と拡散性及び導電性を有し、出力の経時安定性に優れた燃料電池用電極を提供すること。
【解決手段】 難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用電極。なお混合物は難黒鉛化炭素を生成する高分子に対し易黒鉛化炭素を1質量%以上90質量%未満の割合で混合したものである。また混合物は成形されており,繊維形状に成形されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用電極及び燃料電池に関する。
近年、携帯用電子機器及び無線通信機器の急激な普及に伴って、携帯用電源供給装置や無公害自動車用エネルギ−源として燃料電池が注目され、その開発に力が注がれている。燃料電池は、電極であるアノード極およびカソード極と、これらの間に設けられた電解質等から構成され、燃料として水素ガス又はメタノ−ル等を用い、酸化剤として酸素ガス又は空気を用い、これらを電気化学的に反応させて生ずるエネルギ−を直接電気エネルギ−に変換させる発電システムである。これには、500〜700℃の高温で作動する溶融炭酸塩電解質型燃料電池、200℃付近で作動する燐酸電解質型燃料電池、常温から100℃以下で作動するアルカリ電解質型燃料電池及び高分子電解質型燃料電池等が含まれる。
このような燃料電池は、電解質膜にプロトン伝導性膜を用い、この電解質膜を介して、拡散層と触媒層を有するカソード極とアノード極を接合し、アノード側には燃料を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータ層が設けられ、カソード側には酸化剤を供給するための流路溝を有するカソード極側セパレータ層が設けられた構造を取っている。
アノード極とカソード極は、各々の反応物の供給及び拡散のための拡散層と反応物の酸化/還元反応が生じる触媒層とを有する電極である。
セパレータ層は、燃料電池ユニットを積層したときに、互いに隣接するカソード極とアノード極とでそれぞれ生じる燃料や酸化剤の流れや化学反応を分離する機能を有する。また、発生した電気を流す導体となる。
上記した燃料電池は、作製された電極の構造によって、その電池特性が支配される。即ち、この電池のアノード極における酸化反応とカソード極における還元反応は、アノード極及びカソード極に含まれる触媒層と電解質膜の界面で進行するため、アノード極及びカソード極での反応物質及び生成物質の拡散・供給・排出性は、反応効率、出力の経時安定性の面で重要な因子である。したがって、アノード極、カソード極において、拡散層及び触媒層での物質移動、拡散性が高いことが必要である。
また、触媒層、拡散層の各層は電気を通す必要があることから、導電性を有する材料を原料として使用して形成される。燃料電池の電解質として使用されるリン酸や「ナフィオン」等の高分子化合物は腐食性を有するために、これらの各層に金属材料を使用するのは困難な場合が多く、炭素系材料が導電性材料として広く使用されている。
このような背景下において、従来の燃料電池は、拡散層であるカーボンペーパーに触媒担持カーボン粒子を塗設した触媒層を設けたアノード極及びカソード極を電極として採用していた。(特許文献1参照)
例えば、触媒層においては白金触媒の担持性に優れて導電性も有するカーボンブラックが使用されることが多い。
また、燃料電池の電極用の炭素材料として、カーボンブラックを加熱して黒鉛化したグラファイト粉末を使用することが提案されている。特許文献1には、一次粒径が100nm以下で、X線格子面間隔C0が0.680nm未満(002面の面間隔が3.40Å未満)の炭素粉が記載されている。当該炭素粉は固体高分子型燃料電池の触媒担体として使用される。特許文献1には、原料として使用されるカーボンブラックがハイストラクチャーなものの方が、導電性付与の効果が大きいことが記載されている。ホウ素化合物とともに加熱することで黒鉛化を進行させやすいことも記載されており、黒鉛化のための熱処理炉としては、アチソン炉、高周波炉及び固体黒鉛発熱体を用いた炉などが例示されている。また、特許文献2には、カーボンブラックとホウ素化合物等からなる黒鉛化促進物質とを加熱して得られた黒鉛化カーボンブラックをリン酸型燃料電池の触媒担体に用いることが記載されている。これにより電解質に濡れにくく耐食性に優れた触媒担体を提供できることが記載されている。
国際公開第2001/092151号パンフレット 特開2000−273351号公報
上記特許文献1及び2に記載されているように、カーボンブラックを黒鉛化することによって、導電性が改善され、耐食性に優れたグラファイト粉末が提供される。しかしながら、特にカーボンペーパー上に触媒を担持したカーボン粒子を塗設した触媒層では、カーボン粒子同士の十分な接触を得ることは難しく、抵抗値が上昇する。
また、カーボンペーパーからなる拡散層及びカーボンペーパー上に触媒を担持したカーボン粒子を塗設した触媒層では、反応・生成物質の移動・拡散効率が低く、出力の経時安定性が得られなかった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高度の物質移動性と拡散性及び導電性を有し、出力の経時安定性に優れる燃料電池用電極及び燃料電池を提供することにある。
上記の本発明の目的は以下の手段によって達成することが出来る。
(請求項1)
難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用電極。
(請求項2)
前記難黒鉛化炭素を生成する高分子が、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより20質量%以上90質量%未満の残渣を生成する高分子と、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより0質量%以上20質量%未満の残渣を生成する高分子との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極。
(請求項3)
前記混合物は、難黒鉛化炭素を生成する高分子に対して、易黒鉛化炭素を1質量%以上90質量%未満の割合で混合することにより得られた混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用電極。
(請求項4)
前記混合物は成型されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
(請求項5)
前記混合物は、繊維形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用電極。
(請求項6)
前記繊維形状は、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用電極。
(請求項7)
前記焼成物は、焼成後の工程で賦活処理されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
(請求項8)
アノード極及びカソード極の少なくとも一方が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用電極を用いたことを特徴とする燃料電池。
(請求項9)
前記燃料電池は、直接メタノール燃料電池であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池。
本発明者らは、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用電極を用いることで、焼成による高分子の炭素化と多孔質化により、焼成物自体に高い物質移動性と拡散性及び導電性を付与でき、また、易黒鉛化炭素の混合によりさらに導電性を高められることができるため、燃料電池の出力の経時安定性が向上すると考え、本発明に至った。
本発明によれば、本発明に係る燃料電池用電極は、電極に含まれる焼成物が高い物質移動性と拡散性及び導電性を有するため、電極内での燃料及び酸化剤の反応物の拡散性が向上し、触媒と電解質膜との界面に燃料及び酸化剤が十分に供給され、また、電極反応により生成した水や二酸化炭素の反応生成物の拡散性が向上し、速やかに反応系外に排出されることにより、また、電極内での電子伝導性の向上により、十分な出力の経時安定性が得られる燃料電池を提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る燃料電池の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る燃料電池の単セルIの基本構成を示す概略図である。符号1は電解質膜、符号2はアノード極触媒層、符号3はカソード極触媒層、符号4はアノード極拡散層、符号5はカソード極拡散層、符号6はアノード極側セパレータ、符号7はカソード極側セパレータ、符号8は燃料流路、符号9は酸化剤流路を表す。
ここでは便宜上、拡散層4とその上に設けられたアノード極側触媒層2を含めてアノード極と称し、拡散層5とその上に設けられたカソード極側触媒層3を含めてカソード極と称する。
図1に示すように電解質膜1をアノード極とカソード極とにより接合した接合体の外側に、アノード極側セパレータ6とカソード極側セパレータ7とを配置している。これらを接合することにより、単セルIを形成している。この単セルを複数個、場合によっては図示していない冷却板を介して積層することにより、燃料電池が構成される。
本発明は、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用電極を燃料電池のアノード極及びカソード極の少なくとも一方の電極に用いることに特徴がある。
本発明においては、アノード極、カソード極を構成する拡散層、触媒層の少なくとも1層に本発明の難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有させることにより効果が得られる。
拡散層4、5は、アノード極側触媒層2及びカソード極側触媒層3への燃料及び酸化剤などの反応物の供給、反応により生成する水及び二酸化炭素などの反応生成物の排出、ならびに発生した電子を集電体であるセパレータへ受け渡す、または、受け取る機能を有する層である。この拡散層は、必ずしも必要ではないが、あれば、触媒層を支持する機能を担保することができ、また、より効果的に反応物質の供給と電子の授受を行うことが出来る。
まず、難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を、不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物について説明する。
通常、炭素質材料は、有機物を不活性雰囲気中でおよそ400〜3000℃の加熱により分解し、炭素化さらには黒鉛化を行うことにより得られる。炭素質材料の出発原料は、ほとんどの場合に有機物であり、炭素化工程である1500℃付近までの加熱により、ほとんど炭素原子のみが残り、3000℃近い高温までの加熱により黒鉛構造を発達させる。
この有機物原料としては、液相ではピッチ、コ−ルタ−ルあるいはコ−クスとピッチの混合物などが用いられ、固相では木質原料、フラン高分子、セルロ−ス、ポリアクリロニトリル、レ−ヨンなどが用いられる。また、気相では、メタン、プロパンなどの炭化水素ガスが用いられる。炭素質材料は大別すると、石油ピッチなどを出発原料とし、一般的には2000℃以上の高温で焼成し、発達したグラファイト構造を有する、いわゆる易黒鉛化炭素材料と、フェノール高分子やフラン高分子を始めとする熱硬化性高分子を出発原料として、2000℃以下の比較的低温で焼成し、乱層構造を有する、いわゆる難黒鉛化炭素材料とがある。
また、空気を遮断し有機材料を400℃以上で蒸し焼きにすると炭素を生成するが、このとき有機材料の種類により生成する炭素の量が異なる。
本発明で用いる難黒鉛化炭素を生成する高分子とは、有機材料の中でも窒素雰囲気下800℃で焼成したときに、(焼成後の炭素の質量×100)/(焼成前の高分子の質量)が2質量%以上の炭素を生成できる高分子を意味し、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上が、また40質量%以上の炭素を生成する高分子であれば最も好適である。
高分子の残渣量は、窒素雰囲気下における熱質量分析法(以下TGA)で測定する。昇温速度10℃/分で900℃まで測定し、800℃における残渣量を読み取る。また試料は一度空気中100℃で60分加熱処理を行ったものを用いる。
耐熱性の高い高分子でも800℃で焼成を行うと数%以上の質量減少を生じるが、この焼成条件で質量減少が小さい高分子は一般に加工適性に劣るので好ましくなく、(焼成による質量減少分×100)/(焼成前の高分子の質量)が20質量%以上となる質量減少を生じる高分子が適する。このような高分子としては、先に例示したような熱硬化性高分子があげられる。
例えば、窒素雰囲気下800℃で焼成したときに、(焼成物の質量×100)/(焼成前の高分子の質量)が20質量%以上90質量%未満となるように残渣を生成する高分子Aと、窒素雰囲気下800℃で焼成したときに、(焼成物の質量×100)/(焼成前の高分子の質量)が0質量%以上20質量%未満となるように残渣を生成する高分子Bをブレンドした材料が好ましい。高分子Bをブレンドすることにより、焼成物の多孔性が高まるので、焼成物自体により高い物質移動性と拡散性を付与することができる。
高分子Aとしては、未硬化ノボラック樹脂が好ましく、高分子Bとしては、ポリビニルブチラールが好ましい。
本発明に用いられる未硬化ノボラック樹脂とは例えばフェノールの他にアルキルフェノール類や他の置換フェノール類、多価フェノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類を原料とし、一般に知られている常法により酸性触媒下において反応せしめて得られるものである。本発明に用いられるポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性触媒下で反応して得られるポリマーでブチラール樹脂ともよばれ、工業製品は酢酸ビニール、ビニルアルコール、ビニルブチラールの共重合体であり、各種の重合度、ブチル化度のものが使用できる。未硬化ノボラック樹脂にポリビニルブチラールを加える方法としては、例えば未硬化ノボラック樹脂の製造工程において反応終了時点、即ち、樹脂温度が高く、まだ溶融状態である時点でポリビニルブチラールを混合することができる。また、未硬化ノボラック樹脂とポリビニルブチラールを加熱し、溶融混合させることもできる。
このときの高分子Bの混合割合であるが、高分子Bを90質量%以上添加すると炭素化過程で易黒鉛化炭素材料の凝集が生じるので好ましくなく、好ましくは(高分子Bの質量×100)/(高分子Aの質量+高分子Bの質量)が、0質量%以上90質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上60質量%未満、最も好ましいのは0質量%以上50質量%未満である。
炭化物の導電性をより高められるという点で、樹脂中に易黒鉛化炭素粉末を混合することが好ましい。また、延伸しながら炭化を進める方法も好ましい。ただし、炭化する際の焼成温度については、800℃以上が好ましくさらに好ましくは1200℃以上である。
難黒鉛化炭素を生成する高分子に混合する易黒鉛化炭素であるが、高温度で熱処理すると容易にグラファイト構造を発達させる易黒鉛化炭素材料であれば何でも良く特に制限しない。しかし、高分子に混合する作業性から、その大きさは制限を受ける。易黒鉛化炭素材料が、繊維状の形態もしくは異方性粒子であれば、長い寸法で大きさが定義され、等方性粒子であれば近似される球体の直径でその大きさが定義される。易黒鉛化炭素材料の大きさはそれらの平均値で代表され、本発明では、その平均値が3cm以上であると高分子とともに混練りする時に作業性が悪いので3cm未満が好ましく、さらに好ましくは1cm未満である。1mm未満であれば高分子への分散が短時間でできるので好適である。しかし1nm未満になると二次粒子の凝集力が著しく大きくなるので好ましくは1nm以上の大きさが好ましい。
易黒鉛化炭素材料の高分子への添加量である(易黒鉛化炭素の質量×100)/(高分子の質量)については、焼成物の導電性をより高める観点から1質量%以上が好ましく、加工性の観点から90質量%未満が好ましい。さらに好ましくは、5質量%以上60質量%がである。
また易黒鉛化炭素材料としては、ケッチェンブラックやカーボンナノチューブが、高分子への少量の添加で導電性を高められる点で好ましい。これらの材料であれば、添加量を5質量%以上40質量%未満とすることができる。
易黒鉛化炭素材料を難黒鉛化炭素を生成する高分子へ混合後、そのまま焼成を行ってもよいが、焼成前に繊維状や球状、平板状、フィルム状など様々な形態に成型後、焼成を行うのが好ましい。
特に、焼成前に、例えば平板状やフィルム状に成型することにより、焼成物に高い導電性を付与することができ、また、焼成物自体が多孔質で、高い物質移動性と拡散性を有しているので、成型物を燃料電池の電極に含有させた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
また、繊維形状に成型することにより、容易に繊維形状の焼成物が得られる。電解質膜に接する電極の面の1辺と同等の長さ、例えば、長さが数cm以上の長繊維であれば、クロス状にしてそのまま電極に用いることができる。また、電解質膜に接する電極の面の1辺と同等の長さに満たない短繊維であれば電解質膜または拡散層に塗設することにより電極として用いることができる。いずれも、焼成物自体が多孔質で、高い物質移動性と拡散性を有しており、また、繊維状にすることで、繊維同士の接触面積の増加により電子伝導性が向上するので、繊維状の焼成物を燃料電池の電極に含有させた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
また、短繊維の場合、繊維形状を、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上とするとさらに好ましい。
また、焼成後に粉砕、分級などのプロセスを行なっても良い。本発明で重要なのは、焼成温度であり、公知のように400℃以上でも炭素材料は得られるが、本発明の目的を達成するためには、不活性雰囲気下800℃以上の温度で焼成を行うことが必要である。3000℃以上の温度でも好ましい結果が得られるがあまり高温度であると経済性がよくないので、上限は3000℃までがこのましい。1000℃以上であれば材料の均一性も向上し好ましい結果が得られる。さらに好ましい焼成温度は1200℃以上2000℃未満である。この焼成温度までの昇温速度および焼成温度の保持時間は処理する炭素材料の形状や組成で異なるので特に制限をしないが、昇温速度は1℃/分以上50℃/分未満が、保持時間は1分以上24時間未満が好ましい。
また、焼成後の焼成物あるいはその粉砕物を、例えば板状に成型することにより、さらに高い導電性を達成することができ、また、焼成物自体が多孔質で、高い物質移動性と拡散性を有しているので、成型物を燃料電池の電極に含有させた場合に、燃料電池の出力の経時安定性がさらに向上する。
本発明においては、焼成物を、例えば窒素をキャリアとした水蒸気で1時間程度の賦活処理をすることが好ましい。賦活処理により、焼成物の多孔性を高めたり、安定性を高めることができる。
また、本発明における電極は、前述の焼成物を含有していればよく、本発明においては、アノード極、カソード極を構成する拡散層、触媒層の少なくとも1層に本発明の焼成物を含有させることにより効果が得られる。
拡散層に本発明の焼成物を用いる場合には、板状に成型した後焼成したもの、あるいは焼成物粒子を板状に成型したもの、あるいは、長繊維状に成型して、クロスにした後、焼成したものを用いることがこのましい。
拡散層となる本発明の焼成物に、白金触媒を担持したカーボン粒子を塗布し、熱処理して触媒層を形成して電極とするか、あるいは、触媒層のペーストを電解質膜へ塗布した後、拡散層となる本発明の焼成物とホットプレスして一体化する方法などがある。
カーボン粒子としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト及びそれらの混合物を好ましく採用することができる。
例えばカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられ、Denka BLACK(電気化学工業社製)、Valcan XC−72(キャボット社製)、Black Pearl 2000(同前)、Ketjen Black EC300J(ケェチェンブラック・インターナショナル社製)等市販のものを採用することができる。
担持する貴金属触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、金、銀、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マガジン、バナジウム、ランタン、ジルコニウム、チタン、マグネシウム又はこれらの多元合金を用いることができ、白金及び白金ルテニウム合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。金属触媒径としては、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
貴金属触媒をカーボン粒子に担持させるには、カーボン粒子分散液に白金塩やルテニウム塩を加え、ヒドラジン等を用いて還元し、濾過、乾燥することで得られる。又、更に熱処理を行っても良い。
次に、触媒層に本発明の焼成物を用いる場合について説明する。
貴金属触媒を本発明の焼成物に担持させるには、焼成物が例えば板状の成型物や繊維を織り込んだクロスである場合は、酸化処理した活性炭素板やクロスを、相対電極を備えた電解槽に位置させる。次いで、約1体積%の0.1MのHCl及び約0.5体積%のエタノールが添加された0.02MのH2PtCl6溶液からなる白金電解析出溶液を前記板またはクロスの平面と接触するように前記電解槽に導入する。次いで、基準電極(SCE)対比−0.5乃至0.0Vの電位領域で四角パルス電位を前記電解析出溶液に印加して0.1乃至10C/cm2の総電荷を流すことにより、前記板またはクロスに白金触媒を析出させる。次いで、前記板またはクロスを純粋な水で充分洗浄した後、熱処理すればよい。
焼成した焼成物の空孔部の全体あるいは電解質膜に接する近傍に触媒を担持させればよい。
また、焼成物が粒子状であれば、粒子状の焼成物分散液に白金塩やルテニウム塩を加え、ヒドラジン等を用いて還元し、濾過、乾燥することで得られる。又、更に熱処理を行っても良い。例えば、触媒を担持させた粒子状の焼成物を、拡散層となるカーボンペーパーや前述の板状またはクロス状の焼成物に塗布し、熱処理して触媒層を形成することにより電極を形成できる。この他、触媒層のペーストを電解質膜へ塗布する方法等が有る。
本発明の燃料電池に採用できる燃料としては、水素ガス、メタノール、エタノール、1−プロパノール、ジメチルエーテル、アンモニア等が挙げられるが、メタノールが好ましい。
直接メタノール燃料電池は、燃料としてのメタノール水溶液を改質して水素ガスを取り出すこと無く、液体のまま直接供給することによって発電できるという特徴を有するため、燃料をガス化又は改質して供給する従来からの固体高分子型燃料電池と比べて、発電システムとしての構造をシンプルにでき、小型化、軽量化が容易で、分散型電源、ポータブル電源としての用途が注目されている。
この様な直接メタノール燃料電池は、例えば、電解質膜にプロトン導電性固体高分子膜を用い、この電解質膜を介して、アノード極とカソード極を接合し、アノード極側には燃料としてのメタノール水溶液を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータが設けられ、カソード極側には酸化剤ガスとしての空気を供給するための流路溝を有するカソード極側セパレータが設けられた構造を取り、アノード極にメタノール水溶液を供給し、カソード極に空気を供給すると、アノード極ではメタノールと水との酸化反応によって炭酸ガスが生成すると共に水素イオンと電子が放出され(CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)、カソード極では電解質膜を通過してきた前記水素イオンと空気との還元反応によって水が生成して(6H++(3/2)O2+6e-→3H2O)、アノード極とカソード極を繋ぐ外部回路に電気エネルギーを得ることができる。従って、直接メタノール燃料電池の全反応は、メタノールと酸素から水と二酸化炭素が生成する反応である。
電解質膜1はプロトン伝導性固体高分子膜であり、公知のプロトン伝導性ポリマーを用いることが出来る。プロトン伝導性ポリマーとしては、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂等が挙げられる。ナフィオン112(商品名、デュポン社製)、ナフィオン117(商品名、デュポン社製)やDOW膜(商品名、ダウ・ケミカル社製)等として入手出来る。
その他にスルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化プラスチック系電解質等が有る。なお、これらの電解質材料のスルホン酸当量としては0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂程度、好ましくは0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂である。スルホン酸当量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂より小さい場合はイオン伝導抵抗が大きくなり、2.0ミリ当量/g乾燥樹脂より大きい場合には水に溶解しやすくなる。
又、フッ素系電解質材料として、例えば、
一般式 CF2=CF−(OCF2CFX)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、m=0〜3、n=0〜12、q=0又は1、X=F又はCF3、A=スルホン酸型官能基)で表されるフロロビニル化合物とテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン又はパーフロロアルキルビニルエーテルの如きパーフロロオレフィンとの共重合体が挙げられる。フロロビニル化合物の好ましい例としては、例えば、CF2=CFO(CF2)aSO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)aSO2F、CF2=CF(CF2)bSO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))cO(CF22SO2F(ここに、a=1〜8、b=0〜8、c=1〜5の整数)を用いることも出来る。
電解質膜と前述の方法で作製した本発明の焼成物を含有する電極とを接合して製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。
イ.粒子状の焼成物または焼成物を粉砕した粒子を板状に成型した後、空孔部の全体あるいは電解質膜に接する近傍に触媒を担持させた後、電解質膜とホットプレスして一体化する方法。
ロ.板状に成型した後、焼成した焼成物の空孔部の全体あるいは電解質膜に接する近傍に触媒を担持させた後、電解質膜とホットプレスして一体化する方法。
ハ.長繊維状に成型し、織り込んでクロスとした後、焼成した焼成物に、触媒を担持させた後、電解質膜とホットプレスして一体化する方法。
ホ.白金触媒を担持したカーボン粒子を拡散層となる本発明の板状またはクロス状の焼成物に塗布し、熱処理して触媒層を形成して電極を形成後、電解質膜とホットプレスして一体化するか、あるいは、触媒層のペーストを電解質膜へ塗布した後、拡散層となる本発明の板状またはクロス状の焼成物とホットプレスして一体化する方法。
特に、イ〜ハにおける方法は、別途に拡散層を設ける必要がないので、部品点数を減らすことができるので好ましい。
以上の様にして作製した電解質膜と電極との接合体の外側に、燃料流路と酸化剤流路を形成する溝が形成された燃料配流板(アノード極セパレータ)と、酸化剤配流板(カソード極セパレータ)とを配したものを単セルとし、この単セルを複数個、冷却板等を介して積層することにより、燃料電池が構成される。
実施例により、本発明に係る燃料電池用電極及びそれを用いた燃料電池について、さらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は、かかる実施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
なお、以下に示す高分子の残渣量は、窒素雰囲気下における熱質量分析法(以下TGA)で測定した。昇温速度10℃/分で900℃まで測定し、800℃における残渣量を読み取る。また試料は一度空気中100℃で60分加熱処理を行ったものを用いた。
〔焼成物の作製1〕
800℃の残渣45質量%を示したレゾール型フェノールレジン(PRー51107、住友ベークライト(株))50gにケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))20gを添加してセラミック製三本ロール上で30分混練後トルエンスルフォン酸2gを添加して1分間の混練り後80℃のホットプレート上に移し約1mmの厚みに成型しながら硬化させる。硬化物を10cm四方に切り出し、BN(窒化硼素)を主成分とする離型剤を塗布した1辺15cm厚み1cmの正方形の炭素板2枚にはさみ、電気炉の中に設置した。窒素雰囲気下5℃/分で1300℃まで昇温後1時間保持した。室温まで24時間かけて冷却してから炭素板を取り出し、注意深くその中から試料を取り出した。体積固有抵抗を測定したところ、0.01Ωcmの極めて導電性の高い多孔質の炭化物ができていた。この炭化物を一辺5cmの正方形に切りそろえ窒素をキャリアとした水蒸気で1時間賦活処理し、活性炭化物を得た。同様に体積固有抵抗を測定したが、0.01Ωcmと高い導電性を維持していた。
〔焼成物の作製2〕
焼成物の作製1で用いたレゾール型フェノールレジン(PRー51107、住友ベークライト(株))40gにポリビニルブチラール300(和光純薬工業株式会社製、TGAで残渣量を求めたところ6質量%であった。)20g、ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))20gを添加してセラミック製三本ロール上で30分混練後トルエンスルフォン酸2gを添加して1分間の混練り後80℃のホットプレート上に移し約1mmの厚みに成型しながら硬化させる。硬化物を10cm四方に切り出し、BN(窒化硼素)を主成分とする離型剤を塗布した1辺15cm厚み1cmの正方形の炭素板にのせ、その上に炭素繊維でできた20cm角の織物を5枚軽くかぶせる。窒素雰囲気下5℃/分で1300℃まで昇温後1時間保持した。室温まで24時間かけて冷却後注意深く炭化物を取り出した。体積固有抵抗を測定したところ、0.01Ωcmの極めて導電性の高い多孔質の炭素板であった。この炭化物を一辺5cmの正方形に切りそろえ窒素をキャリアとした水蒸気で1時間賦活処理したところ、活性炭化物を得た。同様に体積固有抵抗を測定したが、0.01Ωcmと高い導電性を維持していた。
〔焼成物の作製3〕
フェノール1.2kg、50%ホルマリン0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた後、さらに加熱下で真空脱水濃縮を行い軟化点110℃の未硬化ノボラック樹脂1kgを得た。残渣量を求めたところ、42質量%であった。一方、ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))50g、ポリビニルブチラール300(和光純薬工業株式会社製)200gと前記未硬化ノボラック樹脂200gとを加熱溶融させ、混合攪拌して未硬化ノボラック樹脂混合物を得た。この未硬化ノボラック樹脂混合物を孔数20、孔径0.2mmφの紡糸口金を用いて260m/分の速度で溶融紡糸を行い、未硬化ノボラック樹脂混合物繊維を得た。このノボラック樹脂繊維をホルムアルデヒドと塩酸を主成分とした硬化水溶液中に浸漬し、0.5℃/分の速度で95℃まで昇温後、8時間保持して硬化ノボラック樹脂繊維を得た。この繊維を用いて10cm四方の織物を作製後、カーボンクロスに包み、窒素気流中、5℃/minの速度で1300℃まで昇温し、1300℃で30分保持し、多孔質の炭素織物を得た。この炭素織物を電気炉に入れ、窒素をキャリアとした水蒸気で1時間賦活処理し、活性炭素織物を得た。表面比抵抗を測定したところ0.03Ωcmと高い導電性を示した。
〔焼成物の作製4〕
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))50g、ポリビニルブチラール300(和光純薬工業株式会社製)200gと焼成物の作製3で合成した未硬化ノボラック樹脂200gとを加熱溶融させ、混合攪拌して未硬化ノボラック樹脂混合物を得た。この未硬化ノボラック樹脂混合物を孔数20、孔径0.2mmφの紡糸口金を用いて260m/分の速度で溶融紡糸を行い、未硬化ノボラック樹脂混合物繊維を得た。このノボラック樹脂繊維を長さ約1mmで断裁した後、ホルムアルデヒドと塩酸を主成分とした硬化水溶液中に浸漬し、0.5℃/分の速度で95℃まで昇温後、8時間保持して硬化ノボラック樹脂短繊維(繊維軸方向の長さAが1mm、繊維軸に垂直方向の長さBが0.2mmであり、A/Bが5)を得た。この短繊維をカーボン坩堝に入れ、窒素気流中、5℃/分の速度で1300℃まで昇温し、1300℃で30分保持し、多孔質の炭素短繊維を得た。
この炭素短繊維を電気炉に入れ、窒素をキャリアとした水蒸気で1時間賦活処理し、活性炭素短繊維を得た。炭素短繊維をプレス機で9.8×103(Pa)の圧力をかけ2cm角の平板を作製した。この表面比抵抗を測定したところ0.09Ωcmと高い導電性を示した。
〔焼成物の作製5〕
ケッチェンブラックEC600JD(ケッチェンブラックインターナショナル(株))50g、ポリビニルブチラール300(和光純薬工業株式会社製)200gと焼成物の作製3で合成した未硬化ノボラック樹脂200gとを加熱溶融させ、混合攪拌して未硬化ノボラック樹脂混合物を得た。この未硬化ノボラック樹脂混合物を孔数20、孔径0.2mmφの紡糸口金を用いて260m/minの速度で溶融紡糸を行い、未硬化ノボラック樹脂混合物繊維を得た。このノボラック樹脂繊維をホルムアルデヒドと塩酸を主成分とした硬化水溶液中に浸漬し、0.5℃/minの速度で95℃まで昇温後、8時間保持して硬化ノボラック樹脂繊維を得た。窒素気流中でこの繊維を最高温度が100℃のゾーン50cm、最高温度400℃のゾーンが50cm、最高温度600℃のゾーンが20cm、最高温度800℃のゾーンが10cm、最高温度1000℃のゾーンが10cm、最高温度1300℃のゾーンが40cmの長尺電気炉に1cm/分の速度で0.4Nの荷重をかけながら延伸し、炭素棒に巻き取りながら熱処理を行った。炭素棒に巻き取った多孔質の繊維で織物を作成し、5cm四方に切りそろえ、それを電気炉に入れ、窒素をキャリアとした水蒸気で1時間賦活処理し、活性炭素織物を得た。表面比抵抗を測定したところ0.02Ωcmと高い導電性を示した。
〔電極と固体電解質膜接合体の作製〕
(実施例1)
イ.酸化処理
5M過酸化水素溶液に焼成物の作製3で作製した活性炭素織物を入れて約80℃で約2時間超音波処理する。次いで、前記活性炭素織物を純水で洗滌して再び0.1M過酸化水素溶液に入れて約40℃で約30分間超音波処理する。次いで、前記活性炭素織物を純水で洗浄した後、約30℃の純水で約10分間超音波洗浄する。前記洗浄溶液のpHを測定した後pHが中性になるまで超音波洗浄を繰り返す。
ロ.カソード極用の白金電極の作製
酸化処理した活性炭素織物を、相対電極を備えた電解槽に位置させる。次いで、約1体積%の0.1MのHCl及び約0.5体積%のエタノールが添加された0.02MのH2PtCl6溶液からなる白金電解析出溶液を前記活性炭素織物の一面と接触するように前記電解槽に導入する。次いで、基準電極(SCE)対比−0.5乃至0.0Vの電位領域で四角パルス電位を前記電解析出溶液に印加して0.1乃至10C/cm2の総電荷を流すことにより、前記活性炭素織物に白金触媒を析出させる。次いで、前記活性炭素織物を純粋な水で充分洗浄した後、熱処理してカソード極を作製した。
ハ.アノード極用の白金/ルテニウム電極の作製
酸化処理した活性炭素織物を、相対電極を備えた電解槽に位置させる。次いで、約5体積%の0.1MのHCl及び約2体積%のエタノールが添加されて0.05MのH2PtCl6溶液及び0.05MのRuCl3溶液からなる白金/ルテニウム電解析出溶液を前記活性炭素織物の一面と接触するように前記電解槽に導入する。次いで、基準電極(SCE)対比−0.5乃至0.3Vの電位領域でパルス電位を前記電解析出溶液に印加して0.1乃至10C/cm2の総電荷を流すことにより、前記活性炭素織物に白金/ルテニウム触媒を析出させる。次いで、前記活性炭素織物を純粋な水で充分洗浄した後熱処理してアノード極を作製した。
ニ.電極と固体電解質膜接合体の組み立て
ロ、ハで作成した電極を、デュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力が9.8×105(Pa)でホットプレスして電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(実施例2)
5M過酸化水素溶液に焼成物の作製4で作製した炭素短繊維を入れて約80℃で約2時間超音波処理する。次いで、前記炭素短繊維をブフナーロート上において純水で洗浄後、再び0.1M過酸化水素溶液に入れて約40℃で約30分間超音波処理する。次いで、同様にブフナーロート上において純水で十分に洗浄する。洗浄溶液のpHを測定した後pHが中性になるまで洗浄を繰り返す。
酸化処理の終了した短繊維を未乾燥のまま濾紙に挟んで水切りを行う。3回水切りを行う間に軽くほぐしながら薄板に仕上げる。その後この短繊維でできた薄板をホットプレスに挟み込み、50℃の温度をかけながら4.9×106(Pa)まで30分間かけて昇圧する。2時間一定圧力で保持した後、9.8×106(Pa)まで一気に昇圧後ゆっくり減圧する。プレスが完了したらとりだすと、炭素の多孔質薄板ができる。この多孔質薄板を用いて、実施例1と同様にカソード極、アノード極を作製し、電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(実施例3)
焼成物の作製1の炭素材料を用い、実施例1のカソード極用の白金電極の作製と同様にして白金電極を作製し、カソード極として用いた以外は、実施例1と同様にカソード極、アノード極を作製し、電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(実施例4)
焼成物の作製2の炭素材料を用い、実施例1のカソード極用の白金電極の作製と同様にして白金電極を作製し、カソード極として用いた以外は、実施例1と同様にカソード極、アノード極を作製し、電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(実施例5)
焼成物の作製5の炭素材料を用い、実施例1のカソード極用の白金電極の作製と同様にして白金電極を作製し、カソード極として用いた以外は、実施例1と同様にカソード極、アノード極を作製し、電極−固体電解質膜接合体を作製した。
(比較例1)
イ.酸化処理
東レ製カーボンペーパーTGP−H−060(比抵抗:1Ωcm)を5M過酸化水素溶液に入れて約80℃で約2時間超音波処理する。次いで、純水洗浄して再び0.1Mの過酸化水素溶液に入れて約40℃で約30分間超音波処理する。さらに純水で洗浄した後、約30℃の純水で約10分間超音波洗浄する。pHが中性になるまで超音波洗浄を繰り返す。
ロ.カソード極用の白金電極の作製
デュポン社製ナフィオン溶液に、触媒担持カーボン(触媒;Pt、カーボン;Cabot社製VulcanXC−72R、白金担持量;50質量%)とイソプロパノールを加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。
酸化処理した東レ製カーボンペーパーTGP−H−060を拡散層として、この層の片面に前記触媒−ポリマ組成物を触媒層として塗布し、カソード極を作製した。
ハ.アノード極用の白金/ルテニウム電極の作製
デュポン社製ナフィオン溶液に、触媒担持カーボン(触媒;PtとRu、カーボン;Cabot社製VulcanXC−72R、白金、ルテニウム担持量;50質量%)とイソプロパノールを加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。
酸化処理した東レ製カーボンペーパーTGP−H−060を拡散層として、この層の片面に前記触媒−ポリマ組成物を触媒層として塗布してカソード極を作製した。
ニ.電極−固体電解質膜接合体の組み立て
ロ、ハで作成した電極を、デュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力が9.8×105(Pa)でホットプレスして電極−固体電解質膜接合体を作製した。
〔電池評価と結果〕
以上で作製した実施例及び比較例の電解質膜と電極の接合体を燃料流路が形成されたチタン製のアノード極側セパレータ及びガス流路が形成されたチタン製のカソード極側セパレータで挟み、直接メタノール燃料電池単セルを作製し、電流−電圧特性を測定した。
なお、アノード極側およびカソード極側のセパレータに外部出力端子を取り付けて、燃料電池の出力を取り出せるようにした。
上記で作製した燃料電池を用い、大気圧下での2モルのメタノール水溶液を燃料流速30ml/分で燃料流路に流し、酸化剤ガスとして1atmの空気を100ml/分でガス流路に流して、80℃で発電を行ない、電流−電圧特性を測定した。代表値として、500Ωと1kΩの抵抗を接続した電流値で、運転初期と運転10時間後と運転1週間後の出力を評価した。
結果を表1に示す
Figure 2006244950
これより、運転10時間後と1週間後の出力を見ると、本発明の電解質膜と電極の接合体を用いた場合の電流値が、比較例のそれよりも良好であり、安定した高出力を長時間にわたって得られていることがわかる。
本発明に係る燃料電池の単セルIを示す模式図である。
符号の説明
I 燃料電池の単セル
1 電解質膜
2 アノード極側触媒層
3 カソード極側触媒層
4 アノード極側拡散層
5 カソード極側拡散層
6 アノード極側セパレータ
7 カソード極側セパレータ
8 燃料流路
9 酸化剤流路

Claims (9)

  1. 難黒鉛化炭素を生成する高分子と易黒鉛化炭素の混合物を不活性雰囲気下において800℃以上の温度で焼成することにより得られる焼成物を含有することを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 前記難黒鉛化炭素を生成する高分子が、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより20質量%以上90質量%未満の残渣を生成する高分子と、窒素雰囲気下で800℃で焼成することにより0質量%以上20質量%未満の残渣を生成する高分子との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極。
  3. 前記混合物は、難黒鉛化炭素を生成する高分子に対して、易黒鉛化炭素を1質量%以上90質量%未満の割合で混合することにより得られた混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用電極。
  4. 前記混合物は成型されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
  5. 前記混合物は、繊維形状に成型されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用電極。
  6. 前記繊維形状は、繊維軸方向の長さAが1cm未満であり、かつ、繊維軸方向の長さAと繊維軸に垂直な方向の長さBとの比であるA/Bが2以上であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用電極。
  7. 前記焼成物は、焼成後の工程で賦活処理されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
  8. アノード極及びカソード極の少なくとも一方が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用電極を用いたことを特徴とする燃料電池。
  9. 前記燃料電池は、直接メタノール燃料電池であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015146984A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 日本バイリーン株式会社 導電性多孔体、固体高分子形燃料電池、及び導電性多孔体の製造方法

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