JP2006257405A - 室温硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と、反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)と、有機錫化合物(C)と、アミノ基含有シランカップリング剤(D)とを含有する室温硬化性組成物であって、該組成物中の、メチルエチルケトンに可溶な成分に対する錫原子の含有割合(質量%)が、式1で係数kが0.60であるときに求められるcSn1の値以上であることを特徴とする室温硬化性組成物。
式1 cSn1=k×(1−Y/S)
(式中、Yはメチルエチルケトンに不溶な成分の質量であり、Sは組成物全体の質量である。)
【選択図】 図1
Description
しかし、当該重合体のみでは、各用途において接着強度、耐候性等が充分ではない場合があり、この問題を解決するために当該重合体に、エポキシ樹脂、アクリル系重合体、または、反応性ケイ素基含有アクリル系重合体などを組み合わせて使用する方法も知られている。
この分野において、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体と、反応性ケイ素基を有するメタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステル(以下(メタ)アクリル酸エステルという)の重合体の混合物を含有した組成物に関する種々の技術が開示されている。例えば、当該組成物を含有する組成物を用いた接着剤用組成物であって、接着剤が硬化し被着体が固定されるまでの間に被着体がずれないように仮押さえをする必要がない接着剤用組成物および接着方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この提案では、接着強度や強度発現時間が十分ではなかった。
一方、反応性ケイ素基を有する重合体の硬化促進剤および/または硬化剤として、一般に有機錫触媒が使用されている。この有機錫触媒について種々の技術が開示されており、この有機錫触媒の構造を変えることにより低温での硬化性や内部硬化性を改良したり、表面タックを低減させる等の検討が行なわれている(特許文献2〜4)。
式1 cSn1=k×(1−Y/S)
(式中、Yはメチルエチルケトンに不溶な成分の質量であり、Sは組成物全体の質量である。)
また、反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)が、メタクリル酸アルキルエステルに基づく繰返し単位および/またはアクリル酸アルキルエステルに基づく繰返し単位を主たる構成単位として含むことを特徴とする室温硬化性組成物であることがさらに好ましく、コンタクト型接着剤用組成物として極めて有用である。
式2 −OC(O)CH2C(O)R1
(式2中、R1は水素原子または、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。)
(オキシアルキレン重合体(A))
上記オキシアルキレン重合体(A)は、主鎖が実質的にポリオキシアルキレン鎖からなり、好ましくは分子末端の少なくとも一部に下記式3で表される反応性ケイ素基を有する。
式3 −SiXaR1 3-a
(式3中、R1は独立して炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基を表し、Xは独立して水酸基または加水分解性基を表し、aは1、2または3を表す。XおよびR1は、それぞれが2個以上ある場合は同じでも異なっていてもよい。)
式4 −CH2CH(CH3)O−
「実質的に」としているのは、オキシアルキレン重合体を製造する場合の開始剤の化学構造および反応性ケイ素基との連結基等は、一般に上記繰返し単位以外の化学構造を有するからであり、さらに他の化学構造をある程度含んでもよいからである。上記式(2)で表される繰返し単位が、オキシアルキレン重合体(A)全体の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
オキシアルキレン重合体(A)の製造方法はいかなる方法を用いてもよく、特に限定されないが、以下に具体例を示す。
オキシアルキレン重合体(A)は、分子末端に官能基を有するオキシアルキレン重合体を原料に用い、その分子末端に有機基を介してまたは直接に反応性ケイ素基を結合させて製造することが好ましい。原料として用いるオキシアルキレン重合体としては、触媒および開始剤の存在下にアルキレンオキシドを開環重合反応させて得られる水酸基末端の重合体が好ましい。
開始剤は1種のみを用いることも2種以上を併用することもできる。
式5 −R0−SiXaR1 3-a
(式5中、R0は2価の有機基を表し、R1、X、およびaは上記式3と同様である。)
(イ)水酸基を有する原料オキシアルキレン重合体の末端に、エチレン性不飽和結合を導入した後、下記式6で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
式6 HSiXaR1 3-a
(式6中、R1、X、およびaは上記式5と同様である。)
原料オキシアルキレン重合体の末端にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、原料オキシアルキレン重合体の末端水酸基と連結しうる官能基およびエチレン性不飽和結合を有する反応剤を原料ポリオキシアルキレン重合体と反応させることによりエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合またはカーボネート結合などを介して導入させる方法が挙げられる。また、開始剤にアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのエチレン性不飽和結合含有エポキシ化合物を共重合させることにより原料オキシアルキレン重合体の末端の少なくとも一部にエチレン性不飽和結合を導入する方法も使用できる。
ヒドロシリル化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、およびフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、およびトリメチルシロキシメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロへキシルケトキシメート)メチルシラン、およびビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン等のケトキシメートシラン類が例示できる。触媒としては、塩化白金酸、白金金属、塩化白金、および白金オレフィン錯体などの白金系触媒が特に好ましい。エチレン性不飽和結合にヒドロシリル化合物を反応させる反応は30〜150℃、好ましくは60〜120℃の温度で行い、一般に数時間以内の反応時間でヒドロシリル化反応が充分に進行する。
式7 R1 3-a−SiXa−R0−SH
(式7中、R0、R1、X、およびaは上記式3と同様である。)
R0は好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、特に好ましくは、トリメチレン(−CH2CH2CH2−)基である。上記式7で表されるメルカプトシラン化合物としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、および3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式8 R1 3-a−SiXa−R0−NCO
(式8中、R0、R1、X、およびaは上記式5と同様である。)
R0は好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、特に好ましくは、トリメチレン基である。
式9 R1 3-a−SiXa−R0−W
(式9中、R0、R1、X、およびaは上記式5と同様である。)
R0は好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、特に好ましくは、トリメチレン基である。Wは、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、1級アミノ基、および2級アミノ基から選ばれる活性水素原子含有基を表す。
本発明において反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)を使用する。ビニル重合体(B)における反応性ケイ素基は、好ましくは下記式3で表される。(なお、以下、ビニル単量体に基づく繰返し単位をビニル単量体単位という。)
式3 −SiXaR1 3-a
(式3中、X、a、R1は上記と同様である。)
重合体(B)は、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と、アルキル基の炭素数が10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の両方を有しているもの、アルキル基の炭素数が1〜2の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と、アルキル基の炭素数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の両方を有しているもの、などが好ましい。
(ホ)エチレン性不飽和結合および反応性ケイ素基を有する化合物を共重合成分として用い、上述した単量体とともに共重合する方法。
(ヘ)エチレン性不飽和結合および反応性官能基を有する化合物を上述した単量体とともに共重合した後、上記反応性官能基と結合が形成可能な官能基および反応性ケイ素基を有する化合物をさらに反応させる方法。
(ト)上述した重合性単量体を共重合して(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を製造する際に、連鎖移動剤として、反応性ケイ素基およびメルカプト基を有するシラン化合物を反応させる方法。
(チ)反応性ケイ素基を有するラジカル開始剤、たとえばアゾビスニトリル化合物またはジスルフィド化合物を開始剤として用い、上記重合性単量体を共重合して(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を合成する方法。
(リ)リビングラジカル重合法によって上記重合性単量体を共重合し、分子鎖末端に反応性ケイ素基を導入する方法。
(ヌ)例えば、上記(ホ)と(ト)を組み合わせるなど、上記(ホ)〜(リ)を2種以上組み合わせる方法。
本発明の室温硬化性組成物には、上記オキシアルキレン重合体(A)およびビニル重合体(B)を任意の割合で含有させることができ、その割合は室温硬化性組成物の目的とする特性に応じて適宜調整することができる。一般には、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対し、ビニル重合体(B)を5〜1000質量部の範囲で用いることが好ましく、5〜250質量部の範囲で用いることがさらに好ましい。
本発明においては反応性ケイ素基の加水分解および/または架橋反応を促進するため、有機錫化合物(C)を用いる。有機錫化合物(C)としては、分子内で錫原子に対して配位結合し得る部位を有する下記式2で表される有機基を少なくとも1つ有する4価の有機錫化合物(C−1)、フタル酸アルキルエステルとジアルキル錫オキシドとの混合物もしくは反応生成物(C−2);(C−1)、(C−2)以外の4価有機錫化合物(C−3)、2価有機錫化合物(C−4)ならびにこれらとアルコキシシラン類の反応生成物からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。
式2 −OC(O)CH2C(O)R1
(式2中、R1は水素原子または、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。)
(C−2)としては、(n−C4H9)2SnOおよび(n−C8H17)2SnOなどの有機錫オキシドと、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステルとの混合物もしくは反応生成物が例示できる。
また2価有機錫化合物(C−4)としては、2−エチルヘキサン酸錫、n−オクチル酸錫、ナフテン酸錫、およびステアリン酸錫などの2価錫カルボン酸塩類も用いることができる。
これらの化合物は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、脂肪族モノアミンおよびその他の上記アミン化合物を併用することが優れた硬化性が得られることから好ましい。
式1 cSn1=k×(1−Y/S)
(式中、Yはメチルエチルケトンに不溶な成分の質量であり、Sは組成物全体の質量である。)
式1において(1−Y/S)は、組成物中のメチルエチルケトン可溶性成分の割合に相当する。メチルエチルケトン可溶性成分とは、通常本発明における反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)、反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)、有機錫化合物(C)、シランカップリング剤(D)、その他の有機成分が含まれる。
なお、組成物をメチルエチルケトンで抽出した後、抽出物から有機溶媒を留去した後、残存する成分の定量を行うことにより有機成分を直接定量することも可能である。この場合には、有機溶媒の留去の際に、抽出物から、組成物中に配合されていた有機成分も除去されるおそれがあり、正確な定量ができないおそれがあるので、本発明では採用しないこととする。
係数kの値は、好ましくは0.70であり、より好ましくは0.80であり、さらに好ましくは、1.20である。すなわち、係数kの値が高くなるほど、cSn1が高くなるので、すなわち、錫原子の含有割合が大きくなる必要がある。錫原子の含有割合が大きくなるほど、本発明の室温硬化性組成物の初期の粘着強度を発現でき、初期粘着強度発現速度を早める効果がより顕著になる。錫原子の含有割合の上限は、メチルエチルケトン可溶性成分に対して5質量%であることが好ましい。5質量%を超えると、耐熱性、耐水性、耐温水性が著しく悪化するので好ましくない。
式10 cSna=A/(1−Ya/Sa)
(式中、Saは組成物の質量であり、Aは質量Saの組成物に含まれる錫原子の割合(質量%)であり、Yaは質量Saの組成物に含まれるメチルエチルケトン不溶性成分の質量である。)
組成物に含まれる錫原子の割合A(質量%)は、組成物自体を分析することにより測定してもよい。また、錫原子を含む成分である有機錫化合物がメチルエチルケトンなどの有機溶媒で抽出される場合は、組成物から有機溶媒抽出で分取した溶媒可溶性成分を分析することにより測定してもよい。ただし、後者の場合、メチルエチルケトンなどの溶媒不溶性成分中に微量の錫成分が含有されることがありうるので、溶媒不溶性成分の測定を適宜実施して錫原子含有割合を補正する等の処理を行うことが好ましい。
組成物に含まれる錫原子の割合の測定方法は、プラズマ発光分光分析法(以下、ICP発光分析という。)、原子吸光光度法、発光分光分析法などが挙げられる。測定方法は、ppmレベルの精度で錫含有量を求められる分析であれば、特に分析手法は限定されない。
組成物自体に含まれる錫原子の割合を測定する場合、通常前処理が必要である。前処理方法としては、通常金属分析に使用される前処理方法を用いることが好ましい。例えば、酸化性液体中で加熱分解を行う湿式灰化法や、バーナーや炉で加熱する乾式灰化法などが挙げられる。なお、酸化性液体としては強酸が挙げられ、硝酸と硫酸との併用、過塩素酸と硝酸と硫酸との併用などが挙げられる。メタ錫酸や酸に不溶である酸化錫を生成せずに錫成分を完全に分解(溶解)できればいずれの手法を用いてもよい。例えば、試料を白金皿にとり、Na2CO3を加え、ガスバーナーで灰化し、さらに800℃の電気炉で完全に灰化融解をした後、酸溶液に溶解する方法や、硝酸−硫酸−過塩素酸の混合液中で、メタ錫酸や酸化錫が生成しないように湿式分解する方法で前処理を行い、原子吸光光度法、ICP発光分析法により錫含有量を求める方法が挙げられる。
また、組成物から有機溶媒抽出で分取した溶媒可溶性成分を分析することにより測定する場合、錫原子を含む成分である有機錫化合物を抽出する溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。これら有機溶媒抽出液は、有機溶媒導入系装置を備えるICP発光分析装置で測定することができる。測定対象中に前記有機溶媒に不溶な成分が含まれる場合は、ろ過または遠心分離により有機溶媒に不溶な成分を取り除けばよい。
本発明の室温硬化組成物には、被着体への接着性を向上させる目的でアミノ基含有シランカップリング剤(D)を用いる。アミノ基含有シランカップリング剤(D)とは、アミノ基とアルコキシシリル基を有する分子量500以下の有機化合物が好ましい。
具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基とアルコキシシリル基を有する分子量200以下の有機化合物が挙げられる。
これらの反応物は原料のシランカップリング剤を混合し、室温〜150℃の範囲の温度で1〜8時間撹拌することによって容易に得られる。
シランカップリング剤(D)の使用量は、オキシアルキレン重合体(A)および反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)の合計100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。30質量部を超えると硬化物が硬くなりすぎる場合がある
本発明の室温硬化性組成物にはさらに以下に述べる添加剤をさらに適宜用いてもよい。
(充填剤)
充填剤としては公知の充填剤が使用でき、特に限定されない。充填剤の使用量はオキシアルキレン重合体(A)およびビニル重合体(B)の合計100質量部に対して0.01〜1000質量部、特に50〜250質量部が好ましい。充填剤の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム類、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、プラスチックバルーン(メチルエチルケトンに不溶)、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、およびフリント粉末などの粉体充填剤;石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、およびポリエチレンファイバーなどの繊維状充填剤が挙げられる。上記炭酸カルシウム類には、脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、前記炭酸カルシウムをさらに微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、および平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウムなどが含まれる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。なお、上記充填剤のうち、プラスチックバルーン等の中空体は本発明の室温硬化性組成物の比重を小さくする軽量化剤としても有効である。
本発明の室温硬化性組成物には可塑剤を含有させてもさせなくてもよい。可塑剤は特に限定されないが、以下のものが例示できる。例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、およびフタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、およびオレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;リン酸トリオクチル、およびリン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、およびエポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤類;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを縮合させて得られるポリエステル類;ポリオキシプロピレングリコールおよびその誘導体などのポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレンおよびポリスチレンなどのスチレン系オリゴマー類;特開平2000−178456号公報等に開示されているリビングラジカル重合法を用いて製造した分子量分布(Mw/Mn)が1.8以下の反応性ケイ素基を有しない(メタ)アクリル酸エステル系重合体;「工業材料」1998年8月号110頁に記載された東亜合成株式会社製のSGOポリマー等のアクリル重合体;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、およびエポキシ化ポリブタジエンなどのオリゴマー類が挙げられる。これらは1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。本発明の室温硬化性組成物に可塑剤を含有させる場合は、オキシアルキレン重合体(A)およびビニル重合体(B)の合計量100質量部に対して可塑剤の量が1〜1000質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることがより好ましく、1〜30質量部であることが特に好ましい。1〜10質量部であることが最も好ましい。
本発明の室温硬化性組成物には、アミノ基含有シランカップリング剤(D)以外のシランカップリング剤を使用してもよい。上述したような(メタ)アクリロイルオキシ基含有シランカップリング剤類;上述したようなエポキシ基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、および3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤類;ならびに、2−カルボキシエチルトリエトキシシラン、2−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、およびN−(N−カルボキシルメチル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのカルボキシル基含有シランカップリング剤類が挙げられる。
また、エポキシ基含有シランカップリング剤類とメルカプト基含有シランカップリング剤類の反応物、およびメルカプト基含有シランカップリング剤類どうしの反応物も使用できる。これらの反応物は原料のシランカップリング剤を混合し、室温〜150℃の範囲の温度で1〜8時間撹拌することによって容易に得られる。
これらの化合物の使用量は、オキシアルキレン重合体(A)およびビニル重合体(B)の合計100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
(その他)
さらに、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランなどの脱水剤を、オキシアルキレン重合体(A)およびビニル重合体(B)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部使用してもよい。
また、さらに、脂肪族アミド、水添ヒマシ油などのチクソ性付与剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、3級HALSなどの光安定剤などの老化防止剤、顔料などの添加剤を配合することができる。
なお、以下の実施例および比較例における各種重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である。具体的には、GPCのカラムとしてMultiporeHxL(東ソー株式会社製)を2本直列につないだものを用い、移動相にテトラヒドロフランを使用し、温度は40℃で測定を行った。また、分子量既知のポリスチレン標準試料(Polymer Laboratories社製PS−2)を用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算分子量としてMw、MnおよびMw/Mnの値を求めた。
グリセリンにプロピレンオキシド(以下、POという)を開環重合させて得られたMn=1000のポリオキシプロピレントリオールを開始剤として用い、亜鉛ヘキサシアノコバルテート―グライム錯体触媒の存在下、POを開環重合させて、Mnが17000であり、Mw/Mnが1.3であるポリオキシプロピレントリオールを得た。このトリオールに対し、水酸基の1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。次にこれに塩化アリルを反応させた後、未反応の塩化アリルを減圧して除去し、さらに副生した塩を精製により除去し、アリル基末端オキシプロピレン重合体を得た。さらにこれにメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させて、末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体(以下、重合体(A1)という)を得た。得られた重合体(A1)のMnは20000であり、Mw/Mnは1.35であった。
ジプロピレングリコールにPOを開環重合させて得られたMn=3000のポリオキシプロピレンジオール(以下、ジオールAという)120gおよびグリセリンにPOを開環重合させて得られたMn=5000のポリオキシプロピレントリオール(以下、トリオールBという)200gの混合物を開始剤として用い、1.2gの亜鉛ヘキサシアノコバルテート―グライム錯体触媒存在下、2480gのPOを反応容器内に少しずつ添加しながら120℃の条件下で重合反応を行い、POの全量を添加したのち反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。続いて、120gのジオールAおよび200gのトリオールBを反応容器内に投入し、上記と同様にして1680gのPOを少しずつ加えたのち反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。さらに、120gのジオールAおよび200gのトリオールBを反応容器内に投入し、上記同様にして1280gのPOを少しずつ加えたのち反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。さらに、80gのジオールAおよび130gのトリオールBを反応容器内に投入し、さらに上記と同様にして590gのPOを少しずつ加え、反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。さらに60gのジオールAおよび100gのトリオールBを添加し、さらに上記と同様にして240gのPOを少しずつ加えたのち反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。最後に75gのジオールAおよび125gのトリオールBを添加し、上記と同様にして200gのPOを少しずつ加えたのち反応容器内圧が下がらなくなるまで反応させた。この操作により、Mnが17000、Mw/Mnが1.76、かつ粘度が19.5Pa・s(25℃)のポリオキシプロピレンポリオールを得た。
上記製造例2で得られたポリオキシプロピレンポリオールに対し、その水酸基の1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。次にこれに塩化アリルを反応させてから、未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製して除去し、末端アリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。さらにこれに対して、メチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させて、末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体(以下、重合体(A2)という)を得た。得られた(A2)のMnは17000であり、Mw/Mnは1.79であった。
ジムロート冷却管、バキュームスターラおよび攪拌翼を取り付けた500mLセパラブルフラスコに、120gのメチルエチルケトン、85gのメチルメタクリレート、6.4gのn−ブチルアクリレート、9.2gの2−エチルヘキシルアクリレート、11.6gのメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、および13.7gのドデシルメルカプタンを入れ攪拌しながら窒素をバブリングすると共にフラスコ内を窒素置換した。これに30gのメチルエチルケトンに8.4gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶解させた溶液を投入し、約67℃で10時間反応させ(メタ)アクリレート共重合体(B1)を含有する溶液を得た。この(メタ)アクリレート共重合体(B1)のMnは、2600であった。
三方コック、バキュームスターラおよび攪拌翼を備えた攪拌軸を取り付けた500mLセパラブルフラスコにオキシプロピレン重合体(A1)120gと(メタ)アクリレート共重合体(B1)を含有する溶液240gとを投入し、115℃〜125℃/5mmHgで4時間加熱して溶媒を除去し、重合体混合物(AB1)240gを得た。
オキシプロピレン重合体(A1)の代わりにオキシプロピレン重合体(A2)を用いる以外は製造例4と同様に行い重合体混合物(AB2)240gを得た。
特開平7−207166号公報記載の方法と同様に、ジ−n−ブチル錫(アセチルアセトナート)(2−エチルヘキシルオキシド)10.0gに対し、ジメチルジメトキシシラン2.60gを加え、ガラス製反応器中窒素雰囲気下で撹拌しながら60℃、3時間反応させ、有機錫化合物(C2)を得た。錫原子含有量は22.0%であった。
特開平6−16868号公報記載の方法で、ジ−n−ブチル錫(アセトナート)(2−エチルヘキシルオキシド)(錫原子含有量28.0%)を製造し、有機錫化合物(C3)とした。
表1に示したように、重合体混合物(AB1)100質量部に対して、重質炭酸カルシウム(NS−No400:日東紛化工業社製)50質量部、膠質炭酸カルシウム(白艶化CCR:白石工業社製)30質量部、酸化チタン(TIPAQUE R−820:石原産業社製)5質量部、脂肪族アミド系チクソ性付与剤(ディスパロンNo6500:楠本化成社製)3質量部、紫外線吸収剤(TINUVIN327:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)1質量部、酸化防止剤(IRGANOX1010:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)1質量部、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(KBM1003:信越化学工業社製)5質量部、アミノ基含有シランカップリング剤(D)として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM603:信越化学工業社製)3質量部、エポキシ基含有シランカップリング剤として3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業社製)1質量部、および硬化促進剤として有機錫化合物(C1)を5質量部配合して、室温硬化性組成物を作製した。
実施例1−1で使用した組成物の各成分をそれぞれガラス製シャーレに1.0g秤取り、そこにメチルエチルケトンを1.0gを入れ、目視にて可溶であるか不溶であるか確認した。重合体混合物(AB1)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ビニルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、化合物(C1)は可溶性成分であることを確認した。また、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、酸化チタン、チクソ性付与剤は、不溶性成分であることを確認した。
硬化性組成物中のメチルエチルケトン可溶性成分量の定量は、次のように行った。実施例1−1で得られた硬化性組成物に、メチルエチルケトンを10倍量加え撹拌後、3000Gの遠心分離により、上澄み液を除去した。この操作を数回繰り返すことでメチルエチルケトンに溶解しなかった成分を洗浄・分離し、エバポレーターにより60℃、5mmHgの減圧条件でメチルエチルケトンを除去し、メチルエチルケトン不溶性成分を得た。このメチルエチルケトン不溶性成分の質量と分取前の硬化性組成物の質量から、硬化性組成物中に含まれるメチルエチルケトン可溶性成分の含有割合((1−Y/S))を求めたところ、0.581(=58.1質量%)であった。
硬化性組成物中の錫原子の含有割合(質量%)は、次のように行った。実施例1−1の硬化性組成物にイソプロピルアルコールを10倍量加えて撹拌し、3000Gの遠心分離を行い上澄み液を回収した。さらに沈殿物にイソプロピルアルコールを加えて同様の操作を数回繰り返し、抽出率を向上させた。全ての上澄み液を集めて濃度を調整した後、有機溶媒導入系装置を備えたICP発光分析装置(セイコー電子工業社製)用いて測定を行ったところ、硬化性組成物中の錫含量は0.62wt%であった。尚、錫測定用の試料は、錫含量が1ppm以上になるようにイソプロピルアルコールで希釈し、市販の錫標準試料により作成した検量線により測定し、試料中の錫含量を求めた。錫標準液は、錫測定用試料とイソプロピルアルコール量が同じになるように調整した。
上記の方法により得られた硬化性組成物中のメチルエチルケトン可溶性成分量と硬化性組成物中の錫原子の含有割合から、メチルエチルケトン可溶性成分量に対する錫原子含有量を換算したところ、1.07質量%となった。
本発明において、実施例1−1の組成物は、メチルエチルケトン可溶成分量((1−Y/S))の実測値が0.581であるので、式1における係数kが0.6の時のcSn値は0.35である。すなわち、本発明における効果を得るためには、錫が0.35質量%以上含有されている必要があるのに対し、実測値は1.07質量%であり、上記条件を満足している。実施例1−1の組成物は表2および3に示した通り、極めて優れた物性を発現する。
一方、原料の配合量から計算されたメチルエチルケトン可溶性成分の割合と、化合物C1中の錫原子含有量から計算した値(計算値)は1.10質量%であり、実測値とほぼ一致するので、本発明の実施例2以降においては、硬化性組成物中のメチルエチルケトン可溶性成分に対する錫原子の含有割合は、原料の配合量から計算されたメチルエチルケトン可溶性成分の割合と、化合物C1中の錫原子含有量から計算した値(計算値)とし、この値を表1に示す。ただし、このとき化合物(C1)は、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220:日東化成社製、錫原子含有量25.4%)とした。
また、cSn1の値は、原料の配合量から計算されたメチルエチルケトン可溶性成分の割合に係数0.60をかけて算出した。同様に、係数が0.70、0.80、1.20の場合の値も表1に示した。
表1に示した組成とする以外は、実施例1と同様に行った。ただし、化合物(C4)はフタル酸オクチルとジブチル錫オキシドとの反応生成物を含む有機錫触媒(No−918:三共有機合成社製、錫原子含有量18.8%)である。また、化合物(C2)〜(C4)はメチルエチルケトン可溶性成分である。
重合体混合物(AB2)100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン(KBM1003:信越化学工業社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM603:信越化学工業社製)、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業社製)を表1に示した通りに配合し、さらに硬化促進剤として有機錫化合物(C3)を表1に示したように配合して室温硬化性組成物を作成した。それ以外は実施例1と同様に行った。
上記で得られた室温硬化性組成物に対して、以下の感圧接着性試験方法で評価を行った。すなわち、2枚のアルミニウム基材のそれぞれの片面をアセトンでふいてから、厚さ0.26mmのテフロン(登録商標)テープをスペーサーとして室温硬化性組成物を塗布し、表2に示すように任意の時間温度23℃、湿度50%の条件で放置した後(オープンタイムを取り)、室温硬化性組成物の塗られた面を貼り合わせた。5kgローラーを5回かけることで圧着し、直ちに200mm/分の引張り速度にてT字剥離接着強度を測定した。
この評価結果を表2および表3に示す。
表2および図4に示されるように、錫原子含有量が規定量以上である実施例8〜9でもまた、初期粘着強度が早く発現し、また、T字剥離接着強度が高いことから初期粘着強度が高いことが示された。これに比べ錫含有量が規定量以上であるがシランカップリング剤を含有しない比較例2では、初期粘着強度が低いことが示された。
表3および図5に示されるように、さらに錫含有量が規定量以上である実施例10〜12でもまた、初期粘着強度が早く発現し、また、T字剥離接着強度が高いことから初期粘着強度が高いことが示された。これに比べ錫含有量が規定量以上であるがシランカップリング剤を含有しない比較例3では、初期粘着強度が悪いことが示された。
Claims (4)
- 反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と、反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)と、有機錫化合物(C)と、アミノ基含有シランカップリング剤(D)とを含有する室温硬化性組成物であって、該組成物中の、メチルエチルケトンに可溶な成分に対する錫原子の含有割合(質量%)が、式1で係数kが0.60であるときに求められるcSn1の値以上であることを特徴とする室温硬化性組成物。
式1 cSn1=k×(1−Y/S)
(式中、Yはメチルエチルケトンに不溶な成分の質量であり、Sは組成物全体の質量である。) - 反応性ケイ素基を有するビニル重合体(B)が、メタクリル酸アルキルエステルに基づく繰返し単位および/またはアクリル酸アルキルエステルに基づく繰返し単位を主たる構成単位として含むことを特徴とする請求項1に記載の室温硬化性組成物。
- コンタクト型接着剤用途に使用する、請求項1または2に記載の室温硬化性組成物。
- 前記有機錫化合物(C)が、分子内で錫原子に対して配位結合し得る部位を有する下記式2で表される有機基を少なくとも1つ有する4価の有機錫化合物(C−1)、フタル酸アルキルエステルとジアルキル錫オキシドとの混合物もしくは反応生成物(C−2)、ならびにこれらとアルコキシシラン類の反応生成物からなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の室温硬化性組成物。
式2 −OC(O)CH2C(O)R1
(式2中、R1は水素原子または、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。)
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