JP2006250655A - ラマン分光法によるタンパク質溶液結晶化過程の解析方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質結晶化過程判別作業の高効率化することを目的とする。
【解決手段】ラマン結晶化判断解析装置Bは、画像処理装置31とラマンスペクトル装置51と、を有している。ラマンスペクトル装置51は、タンパク質を載せる結晶化プレート35と、結晶化プレート35を載せてこれをX−Y−Z軸方向に移動させることができるX−Y−Zステージ53と、結晶化プレート35上のタンパク質に関するラマン分光を観測するラマンプローブ57と、ラマン分光用のレーザーを出射させるレーザー装置61と、ラマンプローブ57により取得されたラマン分光光を取得するスペクトル分光部63と、分光光をデジタルデータに変換するCCD65aと、レーザー装置61に対して設けられているレーザースポット位置を観察するCCD65bと、上記デジタルデータを解析するとともに、これらの構成を制御する制御装置67と、を有している。
【選択図】図4
【解決手段】ラマン結晶化判断解析装置Bは、画像処理装置31とラマンスペクトル装置51と、を有している。ラマンスペクトル装置51は、タンパク質を載せる結晶化プレート35と、結晶化プレート35を載せてこれをX−Y−Z軸方向に移動させることができるX−Y−Zステージ53と、結晶化プレート35上のタンパク質に関するラマン分光を観測するラマンプローブ57と、ラマン分光用のレーザーを出射させるレーザー装置61と、ラマンプローブ57により取得されたラマン分光光を取得するスペクトル分光部63と、分光光をデジタルデータに変換するCCD65aと、レーザー装置61に対して設けられているレーザースポット位置を観察するCCD65bと、上記デジタルデータを解析するとともに、これらの構成を制御する制御装置67と、を有している。
【選択図】図4
Description
本発明は、タンパク質溶液の結晶化過程の観察技術に関し、特に、ラマン分光分析を利用したタンパク質溶液の結晶化過程の観察技術に関する。
現在タンパク質の構造解析には、X線結晶構造解析法が多く用いられている。これは結晶化したタンパク質にX線を当てて、分子構造を観察するものである。液体中では分子が激しく運動しているため、複雑な分子の構造を見ることは難しい。しかしながら、固体中では分子運動は大きく制限されており、実質的に分子の運動を止めた状態で分子構造を観察することができる。固体の中でも特に結晶中では、分子が規則的に整列しているため、分子構造解析の結果は非常に正確となる。さらに、この手法は、分子量の制約を受けずに解析を行うことができる点で有用である。この手法にはタンパク質の結晶作製が必須である。以下にタンパク質の結晶作製過程について説明する。
まず、精製したタンパク質溶液を用意する。次に、沈殿剤を用意する。沈殿剤は、種々の塩、バッファ液、沈殿液等の組合せにより、濃度、pHが調製されており、約100種類に及ぶ沈殿剤が用意されている。次いで、結晶作製のためのセッティングを行う。タンパク質試料により結晶化セッティングの方法は異なるが、ハンギングドロップ法、シッティングドロップ法などの結晶化セッティング方法が用いられる。
例えば、ハンギングドロップ法では、24ウェル結晶化プレートにリザーバーとして種々の沈殿剤を注入する。次にウェル大のカバーグラス上に沈殿剤溶液を滴下し、その上に同量のタンパク質溶液を滴下する。次いで、カバーグラスを裏返し、液滴がウェルの中心に位置するようにして接着する。この状態で例えば20℃以下の温度で一定時間放置する。すなわち、カバーグラスで封じられた結晶化プレートのウェルからなる容器内のタンパク質溶液の液滴を、自然拡散により、目的とするタンパク質結晶が成長する条件下にしておき、タンパク質結晶の成長を促進する。結晶が析出されたかどうかについてある時間毎に例えば顕微鏡を用いて目視観察を行う。上記のようなタンパク質の結晶化に関する観察工程を、結晶が析出されるまで繰り返す。
尚、ハンギング・ドロップ法以外によく用いられているタンパク質の結晶化技術としては、シッティング・ドロップ法などがある。
従来、上記のような方法においては、沈殿剤の濃度や分子量等とタンパク質の特性とが最適になった条件下で構造解析に適した結晶が析出する。一般的には、良質な結晶を析出させるためには、数十時間から数週間程度の時間を要する。例えば、新規のタンパク質を対象とする場合に、最適条件を得るまでに、1つのタンパク質に対して約100種類の沈殿剤を手作業で組み合わせる必要がある。従来法では、一連の作業を連続的に行うことは困難であるため、作業効率が悪く時間を要する。下記非特許文献1によれば、タンパク質溶液にレーザーを照射し結晶化を促進できるという報告がある。
H. Adachi et al, Laser Irradiated Growth of Protein Crystal, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42, pp. L798-L800 (2003).
結晶析出に至る過程は、図2に示すように、1.クリアドロップ(溶液)→2.沈殿→3.
微結晶→4.単結晶に大別される。全てのサンプルに対して、顕微鏡下で目視観察して結晶化過程の評価を行うことになる。結晶析出時間はタンパク質によって様々であり、短いものでは数日であるが、長いものでは数ヶ月に渡る。そのため結晶作製期間中、毎日あるいは数日おきに、各サンプルの結晶化状態の確認を行う。これが従来の結晶作製作業である。
微結晶→4.単結晶に大別される。全てのサンプルに対して、顕微鏡下で目視観察して結晶化過程の評価を行うことになる。結晶析出時間はタンパク質によって様々であり、短いものでは数日であるが、長いものでは数ヶ月に渡る。そのため結晶作製期間中、毎日あるいは数日おきに、各サンプルの結晶化状態の確認を行う。これが従来の結晶作製作業である。
このようにタンパク質結晶作成法では、多くの時間を要するため一年間に一人当たり数個の結晶しか得ることができない。また、目視による結晶化過程の判別では、結晶の見逃し等のミスが生じることに加え、人的コストが高くなるなどの問題点がある。
特に、近年、ヒトを含む多くの生物種のDNA塩基配列の解読が急速に進み、これら大量のゲノム配列情報から抽出される膨大な数の遺伝子について、個々の遺伝子にコードされるタンパク質の立体構造を明らかにし、機能との関係を解明することが重要な課題となってきている。
この「構造ゲノム科学」において、構造解析の対象となるタンパク質はヒトの遺伝子で約10万種類ほどと極めて多い。そこで、タンパク質の立体構造は、数千種類の基本構造単位の組合せから形成されており、その組合せによって機能の多様性が実現されていると考え、これら基本構造単位を全て解明することにより、タンパク質の構造と機能の関係を明らかにすることを目標とした研究が進められている。このような体系的・網羅的な構造解析においては、解析の全過程を高速化・自動化することが急務となっている。
一般にタンパク質の構造解析の手段としてはNMRとX線結晶解析法が用いられている。X線結晶解析法は分子が規則的に整列しているサンプルを観察するため、分子構造を精密に見るという点において極めて有用である。
しかしながら、X線結晶解析法を用いる場合に、構造解析に必要なタンパク質結晶の作製作業はすべて手作業で行われており、例えば、一年に一人当たり数個の結晶しか得ることができないのが現状である。結晶作製の作業工程の中で、自動化の可能性が高いタンパク質結晶化判断解析システムの開発は急務の課題である。本発明は、タンパク質結晶化過程判別作業を高効率化することを目的とする。
本発明は、上記問題点を解決するために、従来手作業で行っていたタンパク質結晶化過程を分光学的手法により判別することを特徴とする。また、本発明のタンパク質結晶化過程の判別方法および装置は、結晶化過程の試料に関してラマン分光測定を行うことにより、上記、クリア、沈殿、微結晶、結晶を基準とした各段階に判別することを特徴とする。
すなわち、本発明の一観点によれば、目的タンパク質を結晶化するタンパク質結晶化過程を解析するタンパク質溶液結晶化過程の解析装置であって、目的タンパク質を含む溶液が収容されている容器を支持する支持部と、該支持部に支持されている前記容器内の観測対象に対してラマン励起用レーザー光を照射するレーザー部と、共焦点ラマン分光分析顕微鏡と、該共焦点ラマン分光分析顕微鏡からのラマン分光光をスペクトル解析するスペクトル解析部とを有するタンパク質溶液結晶化過程の解析装置が提供される。
上記解析装置によれば、目的タンパク質を含む溶液が収容されている容器内のタンパク質結晶化過程を観測できるように、ラマン分光分析顕微鏡を設けているため、例えばタンパク質の単結晶をX線解析により分析する前の段階として比較的短時間かつ簡単に、X線解析を行う段階であるか否かを判断することができる。上記構成では、容器に収容された状態でラマン分光を行うことができる。従って、結晶化が十分ではない場合には、前の結晶化工程(画像解析)にも簡単に戻ることができる。尚、ラマン分光分析は、容器内に観測対象を入れた状態で行うが、後続のX線解析処理は、上記容器から取り出して解析を行う。
さらに、前記容器に照射する前記レーザー光の位置を相対移動可能な位置変動機構を備えたことを特徴とする解析装置が提供される。前記共焦点ラマン分光分析顕微鏡において、測定されたラマン散乱光の不要な成分をカットするためにピンホールを設ける。すなわち、目的タンパク質に対して合焦した場合にのみ、ラマン散乱光がスペクトル解析部に導入されるようにピンホールを構成・配置することにより、精度の良いラマン分光分析が可能となる。また、高いNA値と高倍率の対物レンズとを備えた光学系が提供される。
この新規なタンパク質結晶化判別方法および装置により、従来では人の目で行っていたタンパク質結晶化判別作業を分光学的に行うことができるようになるため、タンパク質結晶化段階の客観的な判断を行うことができる。また、この作業を自動化することによりタンパク質結晶化作製の作業効率の飛躍的に向上する。
本明細書において、可視光から近赤外光までをカバーするレーザーとしては、例えば、HeNeレーザー、Ti−Sapphireレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
まず、本発明に係るタンパク質溶液結晶化解析技術の概要について図面を参照しつつ説明を行う。図1は、タンパク質溶液結晶化解析装置の概要構成例を示す図である。図2は、タンパク質溶液結晶化解析装置によるタンパク質結晶化観察の画像解析結果を示す図である。図3は、ハンギングドロップ法の原理を示す図である。図1に示すように、タンパク質溶液結晶化解析装置Aは、画像解析部1と、ラマン分光測定部3と、これら各部にタンパク質溶液結晶化を解析するための試料を搬送する搬入部5及び搬出部7と、を備えた試料搬送機構部と、を有している。例えば、24ウェルハンギングドロップ法で作成したタンパク質結晶の結晶化状態を、主としてラマン分光法により解析を行うことにより、沈殿、微結晶等のグレーゾーンを識別する。
画像解析部1は、ラマン分光測定前に結晶化状態を観察するために設けられ、例えば、光学顕微鏡と画像取り込みソフトウェアとを備えている。試料搬送機構部5、7は、試料を各部XYテーブル試料台にショックを低減した状態で充填し搬送することが可能である。
画像解析部1による解析の結果、画像で判断が難しい場合には、そのウェル番号を指定してラマン分光測定を行う。画像解析において、単結晶、クリアドロップ、沈殿の一部を搬出するとともに、ラマン分光測定を行った測定結果に関しても出力する。
そこで、いわゆるグレーゾーンにある試料についてはラマン分光分析装置による解析を行う。
以下、本発明の一実施の形態によるタンパク質溶液結晶化解析技術について図面を参照しつつ説明を行う。本明細書におけるタンパク質という用語は、一般的なタンパク質に特に限定されるものではなく、例えば、ホルモンなどの種々の生理活性機能を有する物質も含まれるものとする。
上述のように、タンパク質の結晶化観察においては、まず、1.クリアドロップ、2.沈殿、3.微結晶、4.単結晶の順番で結晶化が進んでいく。但し、上記1〜4までの過程の識別に関しては、画像観察のみでは判定が難しいグレーゾーンがある。このグレーゾーンを精度良く識別できるようにするのが望ましい。
タンパク質の結晶化過程は以下のようになる。まず、目的タンパク質を精製・濃縮した後、結晶を作製する。結晶作製方法として一般的に用いられている手法は、上述のように、ハンギングドロップ蒸気拡散法とシッティングドロップ蒸気拡散法である。図3に示すように、本実施の形態によるハンギングドロップ蒸気拡散法を利用したシステムは、上方に開口を有するウェル11が多数形成された結晶化プレート20と、ウェル11内に入れられているリザーバー溶液15と、上記開口を塞ぐように載せられているカバーグラス17と、を有し、カバーグラス17の下面に付着しているタンパク質溶液の液滴21中の水分を自然拡散させていくことにより目的とするタンパク質結晶が成長する。リザーバー溶液15中にはタンパク質溶液21の液滴に含まれる沈殿剤より濃い濃度の沈殿剤が含まれる。密閉されたウェル11の中で、タンパク質溶液21中の水は徐々に蒸発してリザーバー溶液15中に拡散する。この過程でタンパク質溶液21の濃度がタンパク質の溶解度に達するとゆっくりと結晶化が始まる。タンパク質溶液21に対してラマンレーザー励起光L1を照射すると、タンパク質溶液21の性質を反映するラマン散乱光27を得ることができる。
尚、本発明において、結晶作製の手法は、ラマン分光測定を行うことができれば、どの手法でもよい。
図4は、本実施の形態によるラマン結晶化判断解析装置の構成例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態によるラマン結晶化判断解析装置Bは、画像処理装置31とラマンスペクトル装置51と、を有している。画像処理装置31は、タンパク質を載せる結晶化プレート35を載せてこれをX−Y−Z軸方向に移動させることがきるX−Y−Zステージ33と、結晶化プレート35内のタンパク質を観測する光学顕微鏡37と、光学顕微鏡37により観測された像を撮像しデジタル画像データに変換するCCD41と、CCD41のデジタル画像データを画像処理するとともに、画像処理装置系を制御する制御装置45と、を有している。さらに、図示しない試料搬送機構(搬入部5、搬出部7、図1参照)を備えている。
一方、ラマンスペクトル装置51は、タンパク質を載せる結晶化プレート35を載せてこれをX−Y−Z軸方向に移動させることがきるX−Y−Zステージ53と、結晶化プレート35のタンパク質に関するラマン分光を観測するラマンプローブ57と、ラマン分光用のレーザーを出射させるレーザー装置61と、レーザー装置61に対して設けられているレーザースポット位置を観察するCCD65bと、ラマンプローブ57によりラマン散乱光を取得するスペクトル解析部63と、散乱光をデジタルデータに変換するCCD65aと、上記デジタルデータを解析するとともに、これらの構成を制御する制御装置67と、を有している。制御装置45と制御装置67とはデータベースサーバ47とネットワークNによりそれぞれ接続されている。
前述の結晶化過程の同定を行うためのラマンスペクトル解析部63の仕様としては、高い空間分解能を実現する必要がある。このため、ピンホールを設け、可能な限り高NA、高倍率の対物レンズを用い、レーザースポット径を小さくした共焦点ラマン分光顕微鏡を実現する。本装置の場合、ピンホール100μm、NA0.7、60倍の対物レンズを用いた場合、平面方向の分解能は0.35μm、深さ方向の分解能は2.7μmであった。また、高SN比を得るために、ラマン光の検出器として冷却型CCD(Charge Coupled Device)を用いた。
種々のタンパク質に対応可能とするために、主たるラマン励起光の発光源としてHeNeレーザー(633nm)を設置する。さらにIR領域の可変波長レーザーであるTi-Sapphireレーザー(700nm〜1,000nm)を増設可能にした。図4に示す装置を用いて、試料のラマン分光測定を行う。
結晶化過程の同定を行うためのラマンスペクトル装置51の構成として、結晶の位置、特にz軸方向の位置に関して高い空間分解能を実現する必要がある。このため、ピンホールを設け、可能な限り高NA、高倍率の対物レンズを用い、レーザースポット径を小さくした共焦点ラマン分光顕微鏡が好ましい。上記分解能は、一般的なタンパク質結晶に関する空間分解能としては十分な値である。さらに、Z軸方向の移動には微細な移動用モーターの制御が可能な制御系を用いた。また、CCD撮像装置も設けることにより、レーザースポットの位置の確認を行うことができるようにした。
図5から図8までは、本実施の形態による装置を用いて、リゾチーム単結晶、リゾチーム微結晶、リゾチーム沈殿およびリゾチーム液滴と、それぞれの周囲の溶液とについて観測したラマンスペクトルの例を示す図である。図5及び図6にそれぞれ示す単結晶サンプル及び微結晶サンプルでは、単結晶部のスペクトルに、タンパク質に特有のアミドI結合、アミドIII結合、CH変角振動等のラマンスペクトルが観測される。
図5に示すように、リゾチームの単結晶のラマンスペクトルにおいては、1)の単結晶部では、アミドI結合、アミドIII結合、CH変角振動のピーク強度が高くなっていることがわかる。これらのピーク強度の高さが高いことから、タンパク質の単結晶であると判断することができる。例えば、アミドI結合のピーク強度は34000程度と高い値を示す。2)の周りの溶液部では、タンパク質特有のピークは現れないことが確認されている。
図6に示すように、リゾチームの微結晶のラマンスペクトルにおいては、1)の微結晶部では、アミドI結合、アミドIII結合、CH変角振動のピーク強度が現れているが、これらのピーク強度の高さからタンパク質の微結晶であると判断することができる。すなわち、例えば、アミドI結合のピーク強度は8800程度と図5の単結晶の場合に比べて低い値を示す。この強度値を調べることにより、単結晶と微結晶とを識別することができる。図5の場合と同様に、図6においても、2)の周りの溶液部では、タンパク質特有のピークは現れない。
図7に示すように、リゾチームの沈殿のラマンスペクトルにおいては、1)の沈殿部を観測した場合に、アミドI結合、アミドIII結合、CH変角振動のピーク強度が現れておらず、2)の周りの溶液部と同様のピークプロファイルと同様である。これより、タンパク質の結晶とはみなせないことがわかる。
図8に示すように、リゾチームのクリアドロップのラマンスペクトルにおいては、1)のクリアドロップと、2)のHEPESバッファー液のラマンスペクトルがほぼ同じピークプロファイルを有しており、タンパク質の結晶は存在しないことが明らかである。
以上のように、まず、結晶部が存在するか否かを、アミドI結合、アミドIII結合、CH変角振動のピークの有無に基づいて判定し、ピークが存在する場合には、そのピーク強度値に基づいて単結晶か微結晶かを判定することができる。
尚、結晶部が存在するか否かに関しては、画像解析装置において判断することも可能である。すなわち、画像解析装置を用いて結晶部の有無を判定し、画像解析の結果、結晶部が有ると判断された場合にのみ、ラマン分光分析を行うようにしても良い。
図9は、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析処理の流れを示すフローチャート図である。このフローチャート図に基づくプログラムに基づいて、自動的に解析をおこなうことが可能である。図9に示すように、まず、ステップS1において処理を開始(Start)する。次いで、ステップS2において、画像処理装置により試料を観察する。ステップS3において、ステップS2の観察結果に基づいて、単結晶部又は微結晶部が存在するか否かを判断する。いずれも存在しない場合には(No)、ステップS5に進み、ある時間経過した後に、再びステップS3に戻り、単結晶部又は微結晶部の有無を判断する。尚、ある程度の時間が経過しても、単結晶部が観察されない場合には処理を終了するのが好ましい。
ステップS3において、単結晶部又は微結晶部が存在すると判断されると(Yes)、ステップS4に進み、例えば搬送装置を用いてラマン分光分析を行うステージに試料を搬送し実際のラマン分光分析を行う。ステップS6において、ラマン分光分析に基づいて、タンパク質固有のスペクトルが存在するか否かを判断する。タンパク質固有のスペクトルが存在しない場合には、ステップS5に進み、ある時間経過後に再びステップS3に戻る。
ステップS6においてタンパク質固有のスペクトルが存在すると判断された場合には(Yes)、ステップS7に進み、タンパク質固有のスペクトルがあるしきい値以上の強度を有しているか否かを判断する。タンパク質固有のスペクトルがあるしきい値以上の強度を有していないと判断された場合には(No)、ステップS8に進み、ある時間が経過した後に、ステップS4に進み、ラマン分光分析を行う。タンパク質固有のスペクトルがあるしきい値以上の強度を有していると判断された場合には(Yes)、ステップS9に進み単結晶と判断される。そこで、この試料に関しては、ステップS10のX線解析に基づく結晶解析に進む価値があると判断され、実際に必要に応じてX線解析による結晶性の評価等を行う際の目安とすることができる。
このように、本実施の形態によるラマン分光法を利用したタンパク質溶液結晶化過程の解析装置は、画像解析とラマン分光分析とを備えているため、タンパク質の結晶化観察において、画像観察では、判定できないグレーゾーンにある微結晶と沈殿との識別を可能にすることが可能となる。また、光学顕微鏡による画像解析部(画像処理装置31)を設けることで、クリア(溶液状態)は画像解析のみ行い、ラマン分光測定をスキップするなどの処理を行うことによりラマン分光部の負荷を軽くすることができるという利点がある。
次に、本発明の第2の実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析装置について、図面を参照しつつ説明を行う。本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析装置は、相関分光法を結晶の質の識別に応用することを特徴とする。例えば、図4に示すタンパク質溶液結晶化過程の解析装置において、X−Y−Zステージ53又はラマンプローブ57の少なくともいずれか一方がX−Y方向に例えば1μm/s程度の速度で相対移動可能に構成されている。尚、レーザーのスポット径は、1μm程度である。
上記図4に示す装置を用いて、タンパク質の結晶面のレーザースポット位置を変えることにより、タンパク質結晶の質、即ち良質な単結晶か否かを識別することが可能である。以下、動作原理を述べる。もし単結晶の結晶格子が規則正しく配列されていれば、レーザースポットの位置を上記の程度で変えてもラマンスペクトルに揺らぎは生じないはずであるが、結晶の不完全性に起因して、結晶格子が規則正しく配列されていなければ、スペクトルに揺らぎが生じる。
図10は、この原理を利用した本実施の形態による技術を用い、レーザースポット位置を変えることによる単結晶と微結晶とを識別可能に構成された装置を用いたラマンスペクトルの分析結果を示す図である。図10の上の図は、単結晶のラマンスペクトルによる分光分析結果を示す図である。図10の下の図は、微結晶の場合のラマンスペクトルによる分光分析結果を示す図である。いずれのスペクトルも、同じサンプルについて10回の測定を行って重ね書きした結果を示す図である。図10の上下のぞれぞれの図を比較すると明らかなように、単結晶を対象としたラマン分光分析によるスペクトルの場合には、レーザー光のスポット位置を変化させてもスペクトル曲線にはほとんど変化が見られない。これは、単結晶の結晶性の良さ(完全さ)に起因するものである。一方、微結晶を対象とした場合には、レーザー光のスポット位置を変化させるとスペクトル曲線に明らかに変化がみられることがわかる。このように、相関分光法を利用すると、結晶の質の識別が可能になる。この相関分光法を用いて結晶の完全性を評価することにより、タンパク質結晶の非破壊分析による結晶性の評価を行うことができるとともに、次のX線解析ステップに進むかどうかの判定に関する精度を向上させることができる。スペクトルの変動幅の経時変化をみることにより、結晶化の進行速度を評価することも可能である。例えば、1時間おきに、図10に示すスペクトルを測定することにより、結晶化の度合いを推定することができる。
さらに、顕微鏡解析では、一見、タンパク質結晶に見えるサンプルにおいて、ラマン分光測定ではタンパク質特有のスペクトルが現れない、いわゆる擬似結晶解析、すなわち、タンパク質に似ているが実際には非タンパク質である結晶であるかどうかを解析する場合にも適用できる。もし、擬似結晶とはわからない結晶をX線解析にかけた場合、膨大な時間をロスすることになる。よって本発明による技術をX線構造解析の事前チェックに応用することができる点で便利である。
図14は、タンパク質と非タンパク質との画像とラマン分光スペクトルとの例を示す図である。図14(A)は、キシラナーゼタンパク結晶であり、図14(B)はキシラナーゼ非タンパク結晶であり、図14(C)はリン酸塩結晶(リファレンス)である。図14(A)、(B)は、それぞれの結晶化条件が異なるために、タンパク結晶と非タンパク結晶とがそれぞれ析出されるため、ラマン分光スペクトルが異なっている例を示す図であり、図14(A)の結果を参照すると図14(B)の状態は非タンパク質の状態であるということがわかる。すなわち、図14(B)はキシラナーゼ非タンパク結晶、要するに図14(C)と同じリン酸塩結晶が析出されていることを意味する。
かかる識別は、画像のみでは難しいが、ラマン分光スペクトルを比較することでタンパク質結晶と非タンパク質結晶とを明確に識別することができることがわかる。
尚、図3に示すデータベースサーバに、ある時間毎に取得したCCD画像を格納しておき、このCCD画像と関連付けて、CCD画像の撮影直後に取得したラマン分光分析スペクトルのデータも格納することで、例えば同じタンパク質を同じ条件で結晶化させた場合に、CCD画像に基づいてラマンのデータを推測することもできる。これにより、ラマン測定を逐一行わなくても、CCD撮影のみでもある程度結晶化の度合いを推測でき、さらに便利である。合わせて、X線解析を行った場合のX線解析の結果も合わせて格納しておくことにより、より精度の良い推測を行うことも可能である。
次に、本発明の第3の実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術について図面を参照しつつ説明を行う。本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術は、ラマン測定を効率的に行うために、結晶へのレーザースポットを自動で焦点合わせ(オートフォーカシング:AF)を行うことを特徴とする。図11は、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析装置の構成例を示す図である。図11に示すように、本実施の形態による解析装置は、サンプルからのラマン光70を受ける分光器/CCD(ラマンスペクトル)75と、バンドパスフィルター/スライシング制御・検出回路77と、を有するオートフォーカシング制御部73と、比較部(79a〜79c)と、顕微鏡Z軸フォーカシングモータドライバー81と、モータ83と、を有している。
上記装置において、AFのために、測定サンプルからのラマンスペクトルYにおいてタンパク質特有のバンドに着目する。例えば、アミドIのラマンシフト(71)は、1600cm-1付近にあるため、このラマンシフトの位置をSとし、このラマンシフト位置におけるラマンスペクトルのラマン強度をAとする。
ラマン分光器・CCD75からの出力を、図示しないパーソナルコンピュータとバンドパスフィルター/スライシング制御・検出回路77とに対して出力する。尚、S点はバンドパスフィルターで検出し、この点におけるラマン強度を示すA点は、スライシング制御・検出回路により検出する。そして、アミドI(71)のピーク値Aに基づいて、モータ83を正転・停止・逆転させるための制御信号を出力する。すなわち、出力される制御信号は、ラマン顕微鏡対物レンズZ軸駆動のモータドライバー81に入力し、モータを正転方向に回転させる。例えば、ラマン強度に関するA点が、予め定めた上限(Upper Limit:UL)以上であれば(79a)、モータ83を逆方向に回転させる(逆転)ための信号を出力する(79a)。ラマン強度に関するA点が、予め定めた下限(Lower Limit:LL)以下であれば、モータ83を正方向に回転させる(正転)ための信号を出力する(79c)。これにより、顕微鏡の対物レンズと検査対象のタンパク質との間の距離が近づく。ラマン強度に関するA点が、下限と上限との間である場合には、モータ83の回転を停止させる(79b)。
このように、タンパク質に特有のバンドのラマンシフトとそのときのラマン強度とを設定しておけば、任意のラマンシフトとその際の強度とにより、結晶にオートフォーカシングすることができる。尚、これらの制御は、パーソナルコンピュータのソフトウェアによりコントロールされる。
尚、本実施の形態によるAF機構は、カメラのAF機構のように画像の表面に焦点を合わせるものではなく、結晶のある程度の深さまでレーザー光が到達してはじめて合焦となる点においても異なる。
以上に説明したように、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術は、タンパク質に特有のラマンスペクトルの強度に基づいて、タンパク質の結晶に対する合焦状態を判別するため、タンパク質溶液結晶化過程の解析において合焦精度を向上させることができる。尚、顕微鏡のZ軸駆動用モータの分解能は、0.002μmと高精度であるため、特にZ軸方向に関して高い合焦精度を得ることができ、タンパク質の結晶化過程の解析に適している。尚、上記実施の形態においては、ラマン分光装置によるタンパク質特有のピーク、例えばアミドI71のピーク強度を観測しながら、モータにより顕微鏡のZ軸の合焦処理を行うため、オートフォーカスによる高精度の合焦処理を行うことができるという利点がある。
次に、本発明の第4の実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術について図面を参照しつつ説明を行う。本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術は、結晶の質、例えば結晶の規則性を測定するのに適した偏光ラマン分光測定法に関する技術である。図12は、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術に関連する装置の構成例を示す図である。図12(C)に示すように、本実施の形態による解析装置は、ラマン顕微鏡にモータドライブの偏光板123を装着し、偏光板123を回転することにより、0〜180°偏光角を可変にする構成に特徴を有する。本実施の形態による解析装置は、光路に沿って順番に、レーザー光源113と、レーザーラインフィルター111と、ビームエキスパンダー107と、が配置されている。ビームエキスパンダー107からの光束は、タイクロイックミラー103において、図の下側に進み、モータドライブ偏光板123と対物レンズ117を通って測定サンプルであるタンパク質結晶121に至る。一方、タンパク質結晶121からのラマン散乱光は、対物レンズ117、モータドライブ偏光板123、レンズ101、ピンホール97、レンズ95、分光器93からCCD91に至る。
モータドライブ偏光板123は、右下図にも示されるように、設定偏光角をモータドライブにより調整することができるようになっている。これにより、偏光面を任意に変えることができる。尚、レーザー光源113からのレーザー光は元々偏光しているため、モータドライブ偏光板123と組み合わせることにより任意の偏光を結晶サンプルに照射することができる。もし、結晶に不規則性があれば、図12(A)に示すように、偏光ラマン測定結果に基づく特徴的なラマンスペクトル(ラマンバンド)が位置Aから位置Bにシフトするため、結晶の不規則性の有無を判断することができる。タンパク質結晶に規則性がない場合には、X線3次元構造解析によりX線回折パターンを取ることができない。そこで、本実施の形態による方法を用いることにより、X線解析が可能か否かを事前に判断することができるため、X線解析を行った後に解析結果が役に立たないことに気が付くなどの無駄な測定時間を省くことができる。
尚、図12(B)は、偏光状態表示ウインドウの表示例を示す図である。レーザー光は元々偏光しており、光軸を調整して偏光角を0°に設定し、これを基準座標とする。このときの偏光板の回転角は0〜90°に設定できる。図12(C)に示す45°の線は、偏光板を回転することにより、レーザー光が45°に偏光したことを示し、サンプルにはこのような波面が照射される。なお、偏光角を設定する方法は2種類の方法がある。第1の方法は、図12(B)のウインドウ131の左に示すように、Angle設定ゲージ149のバーを左右にずらせば設定できる。バーの左端が0°右端は90°である。この場合、45と設定し、Startボタン155を押して設定に基づく処理を実行する。
あるいは、数値を符号147に示す領域に直接入力することもできる。Stopボタン157は、実行停止用のボタンである。偏光しない元々のレーザー光を0°と設定しているため、基準座標Angle shiftは0°である。Total153は、これらの合計、即ち基準からの傾き角度を示す。
第2の方法は、ウインドウ右の画面159を見ながら例えばパソコンのマウスをドラッグして線を回転させる。偏光板が回転し、所要の場所で止めれば表示の場所、ここでは45°で停止したことを示す。もし、基準座標を90°と設定すれば、偏光板の回転角は90〜180°に設定される。尚、Graph opacity enable143は、偏光状態表示ウインドウ159を半透明にする機能のOn/Offスイッチであり、その下のバー145はその透明度の設定ゲージである。この半透明機能は、偏光角表示を実際のサンプルのCCD画像に重ね合わせることにより、サンプルへのレーザー光の照射偏光角を簡易的に表示する機能である。
以上に説明したように、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術によれば、偏光ラマン測定結果に基づくラマンスペクトル(ラマンバンド)のシフトの有無に基づいて、X線解析を行う価値があるか否かを事前に判断することができるという利点がある。
次に、本発明の第5の実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術について図面を参照しつつ説明を行う。ハンギングドロップ法以外の結晶作製法、例えばサンドイッチドロップ法又はシッティングドロップ法などにより実施する解析技術である。右図の装置Cはシッティングドロップ法に基づく装置であり、左図の装置Bは、サンドイッチドロップ法に基づく装置である。一般的に、ウェル11はポリプロピレンなどにより形成されており、石英製のガラスを通してレーザー光をタンパク質の試料に照射するように構成されている。
すなわち、ポリプロピレン製のウェルは、光学特性に優れているわけではないため、レーザー光を試料に照射しにくかった。また、上記シッティングドロップ法又はサンドイッチドロップ法に基づく作製法に用いるウェルは、ハンギングドロップ法(図3)に基づくウェルと比べて複雑な形状にならざるを得ず、レーザー光を試料に照射しにくく、ラマン散乱光を検出しにくいという問題があった。
そこで、図13に示すように、本実施の形態による装置Eでは、レーザー光源22からのレーザー光L11を、光ファイバプローブ187を用いて、石英グラスまたは光学グラス17bから液滴21内のタンパク質結晶21aに照射したり(装置B)、リザーバー溶液15が溜められていない領域において石英グラス製の底面を持つウェル183の底面からレーザー光L13を光ファイバープローブ187により液滴21内のタンパク質結晶21aに照射する(装置C)。装置Bでは、液滴21は、ウェル11の内側面に設けられた高さの異なる2枚の板19a、19bのそれぞれの上面に、ある間隔を開けて設置された例えば2枚の石英ガラスまたは光学ガラス17a、17bの間に液滴が収容される。図13の左図に示す構成のように、液滴21とリザーバー溶液15とが離れて配置されているサンドイッチドロップ法の他に、図13に符号21bで示す石英グラスまたは光学グラス17aと17bとの間の空間21bに、リザーバー溶液15の代わりに空間21bにリザーバー溶液を入れておく形態のサンドイッチドロップ法を用いても良い。もちろん、ウェル全体を石英製にしても良い。尚、ラマン散乱光もファイバープローブから検出する構成を有している。
以上に説明したように、本実施の形態によるタンパク質溶液結晶化過程の解析技術においては、ウェルのうち石英製の部分から光ファイバープローブを用いることによりタンパク質結晶に対してレーザー光を照射しラマン光を検出する構成を有しているため、装置設計の自由度が増すとともに、結晶を破損するなどの問題が少なくなるという利点がある。
本発明は、タンパク質溶液結晶化過程の解析方法及び装置として利用可能である。
A…タンパク質溶液結晶化観察装置、1…画像解析部、3…ラマン分光測定部、5…搬入部、7…搬出部、11…ウェル、15…リザーバー溶液、17…カバーグラス、20…結晶化プレート、21…タンパク質溶液の液滴、31…画像処理装置、33…X−Y−Zステージ、37…光学顕微鏡、41…CCD、45…制御装置、47…データベースサーバ、51…ラマンスペクトル装置、53…X−Y−Zステージ、57…ラマンプローブ、61…レーザー、63…ラマンスペクトル解析部、65a、65b…CCD、67…制御装置、70…ラマン光、75…分光装置・CCD、77…バンドパスフィルター/スライシング制御・検出回路、79a〜79c…比較部、81…顕微鏡Z軸フォーカシングモータドライバー、83…モータ、91…CCD、93…分光器、95…レンズ、97…ピンホール、101…レンズ、103…ダイクロイックミラー、107…ビームエキスパンダー、111…レーザーラインフィルタ、113…レーザー、123…モータドライブ偏光板、121…測定試料、183…石英ガラス底面を持つウェル。
Claims (14)
- 目的タンパク質を結晶化するタンパク質結晶化過程を解析するタンパク質溶液結晶化過程の解析装置であって、
目的タンパク質を含む溶液が収容されている容器を支持する支持部と、
該支持部に支持されている前記容器内の観測対象に対してラマン励起用レーザー光を照射するレーザー部と、共焦点ラマン分光分析顕微鏡と、該共焦点ラマン分光分析顕微鏡からのラマン分光光をスペクトル解析するスペクトル解析部と
を有するタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。 - 前記スペクトル解析部において、ラマン分光によりタンパク質の結晶化の度合いを、タンパク質特有のスペクトルを観察することにより解析することを特徴とする請求項1に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- さらに、前記容器に照射する前記レーザー光の位置を相対移動可能な位置変動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 前記共焦点ラマン分光分析顕微鏡において、前記スペクトル解析部の入射部にピンホールを設けるとともに、高いNA値と高倍率の対物レンズとを備えた光学系を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 可視光から近赤外光までをカバーするレーザーとそれに対応する光学系とに基づいて、前記レーザー光及び前記ラマン分光光を生成することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 請求項1から5までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置において、
測定対象からのラマン光を受けるラマン分光装置と、検出対象ラマンスペクトルピークのピーク位置を示すS点と、該S点におけるラマンピーク強度を示すA点とをそれぞれ検出するバンドパスフィルター/スライシング制御・検出回路と、を有するオートフォーカシング制御部と、比較部と、ラマン顕微鏡Z軸フォーカシングモータドライバーと、ラマン顕微鏡Z軸駆動用モータと、を有し、
前記A点が第1のしきい値強度以下の場合に前記目的タンパク質に近づく方向に前記ラマン顕微鏡Z軸駆動用モータを駆動させ、
前記A点が前記第1のしきい値強度と該第1のしきい値強度よりも高い第2のしきい値強度との間にある場合には、前記ラマン顕微鏡Z軸駆動用モータを停止し、
前記A点が第2のしきい値強度よりも高い場合には、前記目的タンパク質から遠ざかる方向に前記ラマン顕微鏡Z軸駆動用モータを駆動させる制御を行うことを特徴とするタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。 - 前記ラマン分光分析顕微鏡と測定対象との間に、回転可能な偏光板を設けたことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 前記容器の少なくとも一部領域をラマン励起光が透過できる材料により構成するとともに、前記一部領域から前記目的タンパク質に対して前記ラマン励起用レーザー光の入射させることができる位置に前記ラマン励起用のレーザー光源を配置するとともに、ラマン散乱光も前記入射方向の略同じ方向から検出する機構を有することを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- さらに、前記レーザー光の照射位置を相対的に変更可能な移動機構を備えたことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 前記移動機構の移動に応じてラマン分光分析を行う制御機構を有することを特徴とする請求項9に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 前記ラマン光の検出器として冷却型CCD装置を備えたことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- さらに、溶液状態を識別する顕微鏡画像解析部を備えることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 前記スペクトル解析部と前記顕微鏡画像解析部とのそれぞれにより得られたデータを関連付けして格納するデータベースサーバを備えたことを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載のタンパク質溶液結晶化過程の解析装置。
- 目的タンパク質を結晶化するタンパク質結晶化過程を解析するタンパク質溶液結晶化過程の解析方法であって、
目的タンパク質を含む溶液を画像解析し単結晶部或いは微結晶部があるか否かを判定するステップと、
単結晶部或いは微結晶部があると判断された場合に、ラマン分光分析を行い、目的タンパク質固有のラマンスぺクトルピークの有無を判定するステップと、
目的タンパク質固有のラマンスぺクトルピークが有る場合に、該ラマンスぺクトルピーク強度が単結晶であることを示すあるしきい値以上であるか否かを判定するステップと、
あるしきい値よりも大きい場合には、単結晶と判断してX線解析を行い、あるしきい値よりも小さい場合にはラマンスペクトルの経時変化に基づいて単結晶化が進んでいるか否かを判定するステップと、
単結晶化が進んでいると判断される場合には、ラマンスペクトルの経時変化を継続して観察するステップと
を有することを特徴とするタンパク質溶液結晶化過程の解析方法。
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