JP2006250020A - エンジン用燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンに急激なトルク変動を生じさせることなく、スピード・デンシティ方式による制御とスロットル・スピード方式による制御とをスムースに切り換えることができるエンジン用燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】噴射時間決定部2Aに、スピード・デンシティ方式により吸入空気量を推定して空燃比を適正にするための噴射時間Ti1を演算する噴射時間演算手段201と、スロットル・スピード方式により吸入空気量を推定して空燃比を適正にするための噴射時間Ti2を演算する噴射時間演算手段202と、噴射時間Ti1と噴射時間Ti2の加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段203と、噴射時間Ti1と噴射時間Ti2とを決定された加算割合で加算することにより各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段204とを設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンに燃料を供給するインジェクタに燃料噴射動作を行なわせる時間を各種の制御条件に対して制御することにより、周囲環境やエンジンの運転状況に応じて混合気の空燃比を適正値に保つように燃料噴射量を制御するエンジン用燃料噴射制御装置に関するものである。
周知のように、エンジン用燃料噴射装置は、エンジンの吸気管などに取り付けられたインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)と、燃料タンクからインジェクタに燃料を供給する燃料ポンプと、燃料ポンプからインジェクタに与えられる燃料の圧力を一定に保つ圧力調整器と、混合気の空燃比を適正値に保つためにインジェクタから噴射させる燃料の量(燃料噴射量)を制御する燃料噴射制御装置とにより構成される。エンジン用燃料噴射装置においては、上記のようにインジェクタに供給される燃料の圧力が一定に保たれるため、燃料噴射量は、インジェクタに燃料噴射動作を行なわせる時間(噴射時間)により管理される。
エンジン用燃料制御装置において、燃料の噴射時間を決定する際には吸入空気量を求める必要がある。吸入空気量を求める手段としてはエアフローメータが用いられているが、コストの削減を図ることが必要とされる場合や、エンジンの構造上エアフローメータの取り付けスペースを確保できない場合などには、エアフローメータを省略することが必要とされることが多い。そのため、エンジンの回転速度と吸気管圧力とエンジンの体積効率とから吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量に対して空燃比を適正な値に保つために必要な噴射時間を決定するようにした燃料噴射制御方法と、エンジンのスロットル開度αと回転速度Nとから吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量に対して空燃比を適正な値に保つために必要な噴射時間を決定する燃料噴射制御方法とが用いられている。
エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いて吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量に対して空燃比を適正な値に保つために必要な噴射時間を演算する方法は、スピード・デンシティー方式(以下S−D方式とも呼ぶ。)と呼ばれている。また、エンジンのスロットル開度αと回転速度Nとから吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量に対して空燃比を適正な値に保つために必要な噴射時間を決定する方法は、スロットル・スピード方式(以下α−N方式とも呼ぶ。)と呼ばれている。
図2は、4サイクルエンジンの吸気管圧力P及びスロットル開度αと負荷変動との関係を示したものである。同図においてPa及びPbはそれぞれエンジンの低速回転時及び高速回転時の吸気管圧力を示し、αa及びαbはそれぞれエンジンの低速回転時及び高速回転時のスロットル開度を示している。
また図3はエンジンの1燃焼サイクルの間に観察される吸気管圧力の波形を示したもので、同図(A)はエンジンが高負荷の状態で高速回転しているときの吸気管圧力波形を示し、同図(B)はエンジンが低負荷の状態で高速回転しているときの吸気管圧力波形を示している。これらの図から明らかなように、エンジンの高速回転時には、負荷が小さいときに吸気管圧力の脈動が小さいが、負荷が大きくなったときには吸気管圧力の脈動が大きくなる。
S−D方式により燃料噴射量を高精度で制御するためには、吸気管圧力が負荷変動に対して大きな変化を示す必要があり、1燃焼サイクル中に検出される吸気管圧力の脈動が小さいことが必要である。図2から明らかなように、吸気管圧力は、エンジンの低速回転時においても、高速回転時においても、負荷変動に対して直線的な変化を示す。またエンジンが高速回転している状態でも、負荷が軽いときには吸気管圧力の脈動は小さい。そのため、低速回転時及び軽負荷高速回転時には、S−D方式により燃料の噴射量を高精度で制御することができる。しかしながら、エンジンが高負荷状態で高速回転しているときには、図3(A)に示したように、1燃焼サイクルの全体に亘って吸気管圧力波形の脈動が大きくなるため、S−D方式による制御では、燃料噴射量を高精度で制御することはできなくなる。
一方、α−N方式による制御では、スロットル開度の負荷変動に対する変化量が大きいときに高精度で燃料噴射量を制御することができる。図2から明らかなように、スロットル開度はエンジンのアイドル運転領域では小さく、負荷の増加に伴って指数関数的に増大していくため、α−N方式による制御では、エンジンの高負荷時に燃料噴射量の制御を正確に行なうことができる。しかしながらエンジンの負荷が軽い状態では、スロットル開度の負荷変動に対する変化量が小さくなるため、α−N方式による制御で燃料噴射量を正確に制御することは難しくなる。
そこで、特許文献1に示されたように、エンジンの運転状況に応じてS−D方式による制御とα−N方式による制御とを切り換えることが提案されている。特許文献1に示された制御では、エンジンの負荷が小さいときにS−D方式により燃料噴射制御を行なわせ、エンジンの負荷が大きいときにα−N方式により燃料噴射制御を行なわせている。
特開昭56−96132号公報
特許文献1に記載されているように、エンジンの運転状況に応じてS−D方式による制御とα−N方式による制御とを切り換えるようにすれば、エンジンの低負荷時にも高負荷時にも、エアフローメータを用いずに燃料噴射量を正確に制御することができる。しかしながら、このような制御を行なった場合には、S−D方式及びα−N方式によりそれぞれ演算される噴射時間に大きな差がある状態で両方式による制御が切り換えられることがあるため、制御方式の切り換え時に燃料の噴射量が変化して、エンジンの出力トルクが急変し、それによりエンジンの回転に急激な変動が生じて、運転フィーリングが悪くなるという問題があった。
本発明の目的は、エンジンに急激なトルク変動を生じさせることなく、スピード・デンシティ方式による制御とスロットル・スピード方式による制御とをスムースに切り換えることができるようにしたエンジン用燃料噴射制御装置を提供することにある。
本発明は、各噴射タイミングでエンジンに取り付けられたインジェクタに燃料噴射を行なわせる時間を実噴射時間として、該実噴射時間を各種の制御条件に対して決定する噴射時間決定部と、噴射時間決定部により決定された実噴射時間の間インジェクタに燃料噴射を行なわせるように各噴射タイミングでインジェクタを駆動するインジェクタ駆動部とを備えたエンジン用燃料噴射制御装置に適用される。
本発明においては、噴射時間決定部が、エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いて推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間(スピード・デンシティ方式により演算された噴射時間)を第1の噴射時間として演算する第1の噴射時間演算手段と、エンジンのスロットル開度と回転速度とを用いて推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間(スロットル・スピード方式により演算された噴射時間)を第2の噴射時間として演算する第2の噴射時間演算手段と、第1の噴射時間と第2の噴射時間とを所定の割合で加算して実噴射時間を演算するために用いる加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段と、第1の噴射時間と第2の噴射時間とを加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段とを備えている。
上記加算割合は、適用するエンジンに対して行なった試験の結果に基づいて、エンジンの運転状態が如何なる状態にある場合でも、実噴射時間が的確に決定され、かつ急激な変化を示すことがないように設定する。すなわち、エンジンの回転速度が低速から高速まで変化する過程、及び各回転速度においてエンジンのスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間が急激な変化を示すことなく的確な値に決定されるように、回転速度とスロットル開度と加算割合との間の関係を設定しておく。
本発明の好ましい態様では、エンジンの回転速度が低く、スロットル開度が小さいときに実噴射時間に対して第1の噴射時間が占める割合を大きくして第2の噴射時間が占める割合を小さくし、エンジンの回転速度が低く、スロットル開度が大きいときに実噴射時間に対して第1の噴射時間が占める割合を小さくして第2の噴射時間が占める割合を大きくし、エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が小さいときに実噴射時間に対して第1の噴射時間が占める割合を大きくして第2の噴射時間が占める割合を小さくし、エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が大きいときに実噴射時間に対して第1の噴射時間が占める割合を小さくして第2の噴射時間が占める割合を大きくするようにエンジンの回転速度とスロットル開度と加算割合との間の関係を規定した加算割合演算用マップを記憶したマップ記憶手段が設けられ、加算割合決定手段は、この加算割合演算用マップを検索することにより加算割合を演算するように構成される。
上記のように、スピード・デンシティ方式により演算された噴射時間と、スロットル・スピード方式により演算された噴射時間とを所定の加算割合で加算することにより実噴射時間を決定するようにしておくとともに、加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して適値に決定するようにしておくと、エンジンの回転速度が低速から高速に変化する過程及び各回転速度においてスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間を急激な変化が伴うことなく適正な値に調整することができる。
エンジンの加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して適正に決定するように加算割合演算用マップを作成しておけば、噴射時間が大幅に変化して、エンジンの出力トルクが急変するのを防ぐことができるが、噴射時間の大幅な変化による出力トルクの急変を確実に防ぐためには、上記噴射時間決定部に、各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために加算割合決定手段により新たに決定された加算割合と前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段と、この加算割合変化量判定手段により加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段とを更に設けることが好ましい。
このように構成しておけば、万一加算割合が大幅な変化を示したとしても、噴射時間が大幅に変化するのを防ぐことができるため、S−D方式とα−N方式とを切り換えた際にエンジンの出力トルクが急変して運転者に不快感を与える事態が生じるのを防ぐことができる。
本発明の他の好ましい態様では、噴射時間決定部が、エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いてエンジンに吸入される空気量を第1の吸入空気量として推定する第1の吸入空気量推定手段と、エンジンのスロットル開度と回転速度とを用いてエンジンに吸入される空気の量を第2の吸入空気量として推定する第2の吸入空気量推定手段と、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを所定の割合で加算して実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために用いる加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段と、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより実噴射時間演算用吸入空気量を演算する実噴射時間演算用吸入空気量演算手段と、実噴射時間演算用吸入空気量に対して各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段とを備えている。
上記のように、スピード・デンシティ方式により演算された吸入空気量と、スロットル・スピード方式により演算された吸入空気量とを所定の加算割合で加算することにより実噴射時間演算用吸入空気量を決定するようにしておくとともに、加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して適値に決定するようにした場合にも、エンジンの回転速度が低速から高速に変化する過程及び各回転速度においてスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間を急激な変化が伴うことなく適正な値に調整することができる。
上記のように、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを所定の加算割合で加算して実噴射時間を演算するために用いる吸入空気量を求めるようにする場合にも、噴射時間決定部は、各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために加算割合決定手段により新たに決定された加算割合と、前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段と、加算割合変化量判定手段により、加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段とを備えた構成とするのが好ましい。
本発明の好ましい態様では、エンジンの回転速度が低く、スロットル開度が小さいときに実噴射時間用演算用吸入空気量に対して第1の吸入空気量が占める割合を大きくして第2の吸入空気量が占める割合を小さくし、エンジンの回転速度が低く、スロットル開度が大きいときに実噴射時間演算用吸入空気量に対して第1の吸入空気量が占める割合を小さくして第2の吸入空気量が占める割合を大きくし、エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が小さいときに実噴射時間演算用吸入空気量に対して第1の吸入空気量が占める割合を大きくして第2の吸入空気量が占める割合を小さくし、エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が大きいときに実噴射時間演算用吸入空気量に対して第1の吸入空気量が占める割合を小さくして第2の吸入空気量が占める割合を大きくするようにエンジンの回転速度とスロットル開度と加算割合との間の関係を規定した加算割合演算用マップを記憶したマップ記憶手段が設けられ、加算割合演算用マップを検索することにより加算割合を演算するように加算割合決定手段が構成される。
上記のように、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを所定の割合で加算して実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために用いる加算割合も、適用するエンジンに対して行なった試験の結果に基づいて、エンジンの運転状態が如何なる状態にある場合でも、実噴射時間演算用吸入空気量が的確に決定され、かつ急激な変化を示すことがないように設定する。すなわち、エンジンの回転速度が低速から高速まで変化する過程、及び各回転速度においてエンジンのスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間演算用吸入空気量が急激な変化を示すことなく的確な値に決定されるように、回転速度とスロットル開度と加算割合との間の関係を設定しておく。
以上のように、本発明によれば、スピード・デンシティ方式により推定された吸入空気量に対して演算された第1の噴射時間と、スロットル・スピード方式により推定された吸入空気量に対して演算された第2の噴射時間との加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定して、決定された加算割合で第1の噴射時間と第2の噴射時間とを加算することにより実噴射時間を決定するか、または、スピード・デンシティ方式により推定された第1の吸入空気量とスロットル・スピード方式により推定された第2の吸入空気量との加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定して、決定された加算割合で第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを加算することにより求めた吸入空気量を用いて実噴射時間を演算するようにしたので、各回転速度及びスロットル開度に対して加算割合を適値に定めておくことにより、エンジンの回転速度が低速から高速に変化する過程及び各回転速度においてスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間を急激な変化を伴うことなく適正な値に調整することができる。従って、本発明によれば、運転者に違和感を生じさせるようなショックを生じさせることなく、低負荷低回転時から高負荷高回転時まで燃料の噴射量を的確に制御してエンジンの高い性能を引き出すことができる。
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の構成を概略的に示したもので、同図において1はエンジン、2は燃料噴射制御装置である。エンジン1は、シリンダ101及びクランクケース102と、シリンダ101内に配置されたピストン103と、ピストン103にコンロッド104を介して連結されたクランク軸105と、吸気管106及び排気管107とを有しており、吸気管106にはスロットルバルブ108が取り付けられている。エンジンのシリンダヘッドには点火プラグ109が取り付けられ、吸気管106にはインジェクタ110が取り付けられている。インジェクタ110は、吸気管106内のスロットルバルブよりも下流側の空間に燃料を噴射するように取り付けられ、インジェクタ110には図示しない燃料タンクから燃料ポンプを介して燃料が供給されている。インジェクタに供給される燃料の圧力は圧力調整器により一定の保たれている。
エンジンのクランク軸105には、外周にリラクタrが形成されたフライホイール111が取り付けられ、フライホイール111の近傍に、リラクタrの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出してパルス信号を発生する信号発生器3が配置されている。また吸気管106には、その内部の圧力(吸気管圧力)を検出する圧力センサ4が取り付けられ、スロットルバルブ108には、スロットル開度を検出するスロットルセンサ5が取り付けられている。
燃料噴射制御装置2は、各噴射タイミングでエンジンに取り付けられたインジェクタに燃料噴射を行なわせる時間を実噴射時間として該実噴射時間を各種の制御条件に対して決定する噴射時間決定部2Aと、噴射時間決定部により決定された実噴射時間の間インジェクタ110に燃料噴射を行なわせるように各噴射タイミングでインジェクタ110を駆動するインジェクタ駆動部2Bとを備えている。
噴射時間決定部2Aは、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより構成される回転速度演算手段200と、第1の噴射時間演算手段201と、第2の噴射時間演算手段202と、加算割合決定手段203と、実噴射時間演算手段204とを備えている。
回転速度演算手段200は、信号発生器3が発生するパルス信号の発生間隔を計測することによりエンジンの回転速度Nを演算する。
第1の噴射時間演算手段201は、回転速度演算手段200により演算されたエンジン1の回転速度Nと圧力センサ4により検出された吸気管圧力Pとを用いて(S−D方式により)推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間を第1の噴射時間Ti1として演算するように構成されている。
また第2の噴射時間演算手段202は、エンジン1のスロットル開度αと回転速度Nとを用いて(α−N方式により)推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間を第2の噴射時間Ti2として演算するように構成されている。
本発明においては、上記のようにして演算された第1の噴射時間Ti1と第2の噴射時間Ti2とを選択的に切り換えて用いるのではなく、これらの噴射時間Ti1及びTi2を、スロットル開度α及び回転速度Nに対して適値に決定した加算割合で加算することにより実噴射時間を求める。
図1において加算割合決定手段203は、第1の噴射時間Ti1と第2の噴射時間Ti2とを所定の割合で加算して実噴射時間Tiを演算するために用いる加算割合βをエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する手段であり、実噴射時間演算手段204は、第1の噴射時間Ti1と第2の噴射時間Ti2とを加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより各噴射タイミングにおける実噴射時間Tiを演算する手段である。本実施形態の加算割合決定手段203は、第2の噴射時間Ti2が実噴射時間Tiに対して占める割合を加算割合βとして演算するようになっており、実噴射時間演算手段204は、この加算割合βを用いて下記の式により実噴射時間Tiを演算する。
Ti=(1−β)・Ti1+β・Ti2 …(1)
本実施形態では、図6に示したように、エンジンの回転速度Nとスロットル開度αと加算割合βとの間の関係を規定した加算割合演算用マップをROMに記憶したマップ記憶手段が設けられている。このマップは、回転速度N1,N2,…,(N1<N2<…)と、スロットル開度α1,α2,…(α1<α2<…)と、これらの回転速度及びスロットル開度に対応する加算割合β11,β12,…,β21,β22,…,β31,β32,…,β41,β42,…とをテーブルの形にまとめた構造を有しており、加算割合決定手段203は、この加算割合演算用マップを検索して補間演算を行なうことにより、エンジンの回転速度及びスロットル開度に対して加算割合βを演算する。
図6に示された加算割合演算用マップを構成する加算割合β11,β12,…,β21,β22,…,β31,β32,…,β41,β42,…は、実機に対して行なった試験の結果に基づいて適宜に定められる。
前述のように、S−D方式により吸入空気量を推定するようにした場合、エンジンが低速回転しているとき及びエンジンが軽負荷で高速回転しているときに燃料の噴射量を高精度で制御することができるが、エンジンが高負荷状態で高速回転しているときには、1燃焼サイクルの全体に亘って吸気管圧力波形の脈動が大きくなるため、燃料噴射量を高精度で制御することはできなくなる。
これに対し、α−N方式により吸入空気量を推定するようにした場合には、スロットル開度の負荷変動に対する変化量が大きいとき、即ち、エンジンの高負荷時に燃料噴射量の制御を正確に行なうことができる。
従って、加算割合演算用マップを構成する加算割合β11,β12,…,β21,β22,…,β31,β32,…,β41,β42,…は、エンジンの回転速度Nが低く、スロットル開度が小さいときに実噴射時間Tiに対して第1の噴射時間Ti1が占める割合(1−β)を大きくして第2の噴射時間Ti2が実噴射時間に対して占める割合βを小さくし、エンジンの回転速度Nが低く、スロットル開度αが大きいときに実噴射時間Tiに対して第1の噴射時間Ti1が占める割合(1−β)を小さくして第2の噴射時間Ti2が実噴射時間に対して占める割合βを大きくし、エンジンの回転速度Nが高く、スロットル開度αが小さいときに実噴射時間Tiに対して第1の噴射時間Ti1が占める割合(1−β)を大きくして第2噴射時間Ti2が実噴射時間に対して占める割合βを小さくし、エンジンの回転速度Nが高く、スロットル開度αが大きいときに実噴射時間Tiに対して第1の噴射時間Ti1が占める割合(1−β)を小さくして第2の噴射時間Ti2が占める割合βを大きくするように定めるのが好ましい。
インジェクタ駆動部2Bは、実噴射時間演算手段204が演算した実噴射時間Tiの間インジェクタから燃料を噴射させるために必要なパルス幅を有する噴射指令パルスを発生する噴射指令パルス発生手段と、該噴射指令パルスが発生している間インジェクタ110のソレノイドに駆動電流を流すインジェクタ駆動回路とからなっていて、実噴射時間Tiの間インジェクタ110の弁を開いて該インジェクタから燃料を噴射させる。
第1の噴射時間演算手段201と、第2の噴射時間演算手段202と、加算割合決定手段203と、実噴射時間演算手段204とを構成するために、エンジンの1燃焼サイクル当たり1回マイクロプロセッサに実行させる噴射時間演算処理のアルゴリズムを示すフローチャートを図4に示した。
このアルゴリズムによる場合には、ステップ01において、S−D方式により推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値に保つために必要な噴射時間を第1の噴射時間Ti1として演算し、ステップ02においてα−N方式により推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値に保つために必要な噴射時間を第2の噴射時間Ti2として演算する。次いでステップ03において、スロットル開度αと回転速度Nとに対して加算割合演算用マップを検索することにより加算割合βを演算し、ステップ04において今回演算された加算割合βから前回演算された加算割合βとの差の絶対値を加算割合変化量として、この加算割合変化量が制限値LMTを超えているか否かを判定する。その結果加算割合変化量が制限値を超えていると判定されたときには、ステップ05に移行して今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合βよりも大きいか否かを判定する。この判定により、今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合βよりも大きいと判定されたときには、ステップ06に進んで前回演算された加算割合に制限値LMTを加算した値を今回の加算割合βとする。またステップ05で今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合β以下であると判定されたときには、前回演算された加算割合βから制限値LMTを減算した値を今回の加算割合とする。ステップ06または07において今回の加算割合βが求められた後、ステップ08に移行し、前記(1)式により実噴射時間Tiを演算してこの処理を終了する。
図4に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ01により、S−D方式により推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値に保つために必要な噴射時間を第1の噴射時間Ti1として演算する第1の噴射時間演算手段201が構成され、ステップ02により、α−N方式により推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値に保つために必要な噴射時間を第2の噴射時間Ti2として演算する第2の噴射時間演算手段が構成される。
またステップ03により、第1の噴射時間Ti1と第2の噴射時間Ti2とを所定の割合で加算して実噴射時間を演算するために用いる加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段203が構成され、ステップ08により、第1の噴射時間と第2の噴射時間とを加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより各噴射タイミングにおける実噴射時間Tiを演算する実噴射時間演算手段204が構成される。
更に図4に示した例では、ステップ04により、各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために加算割合決定手段203により新たに決定された加算割合と、前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段が構成され、加算割合変化量判定手段により加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、ステップ05ないし07により、加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段が構成されている。
上記のように、スピード・デンシティ方式により演算された噴射時間と、スロットル・スピード方式により演算された噴射時間とを所定の加算割合で加算することにより実噴射時間を決定するようにするとともに、加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して適正に決定するようにしておくと、エンジンの回転速度が低速から高速に変化する過程及び各回転速度においてスロットル開度が全閉時の開度から全開時の開度まで変化する過程で、実噴射時間を急激な変化が伴うことなく適正な値に調整できるため、運転者に違和感を生じさせるようなショックを生じさせることなく、低負荷低回転時から高負荷高回転時まで燃料の噴射量を的確に制御してエンジンの高い性能を引き出すことができる。
また図4に示した例のように、加算割合変化量判定手段により加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段を設けておくと、加算割合演算用マップを作成する際の実機試験で予想されなかった運転状態が生じて、加算割合が大幅に変化しようとしたときに、その変化を抑制することができるため、噴射時間の大幅な変化によりエンジンの出力トルクが変動するのをより確実に防ぐことができる。
上記の例では、第2の噴射時間Ti2が実噴射時間Tiに対して占める割合を加算割合βとして演算して、前記(1)式により実噴射時間を演算するようにしたが、第1の噴射時間Ti1が実噴射時間Tiに対して占める割合を加算割合βとして演算して、下記の式により実噴射時間Tiを演算するようにしてもよい。
Ti=β・Ti1+(1−β)・Ti2 …(2)
上記の実施形態では、スピード・デンシティ方式により推定された吸入空気量に対して演算された第1の噴射時間と、スロットル・スピード方式により推定された吸入空気量に対して演算された第2の噴射時間との加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定して、決定された加算割合で第1の噴射時間と第2の噴射時間とを加算することにより実噴射時間を決定するようにしたが、スピード・デンシティ方式により推定された第1の吸入空気量とスロットル・スピード方式により推定された第2の吸入空気量との加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定して、決定された加算割合で第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを加算することにより求めた吸入空気量を用いて実噴射時間を演算するようにしてもよい。
スピード・デンシティ方式により推定された第1の吸入空気量とスロットル・スピード方式により推定された第2の吸入空気量との加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定して、決定された加算割合で第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを加算することにより実噴射時間の演算に用いる吸入空気量を求めるようにする場合にマイクロプロセッサに実行させる処理のアルゴリズムを示すフローチャートを図5に示した。
図5に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ11において、S−D方式により推定した吸入空気量に対してエンジンの吸入空気量を推定し、この吸入空気量を第1の吸入空気量A1とする。またステップ12においてα−N方式により吸入空気量を推定し、この吸入空気量を第2の吸入空気量A2とする。次いでステップ13において、スロットル開度αと回転速度Nとに対して加算割合演算用マップを検索することにより加算割合βを演算し、ステップ14において今回演算された加算割合βと前回演算された加算割合βとの差の絶対値を加算割合変化量として、この加算割合変化量が制限値LMTを超えているか否かを判定する。その結果加算割合変化量が制限値を超えていると判定されたときには、ステップ15に移行して今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合βよりも大きいか否かを判定する。この判定により、今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合βよりも大きいと判定されたときには、ステップ16に進んで前回演算された加算割合に制限値LMTを加算した値を今回の加算割合βとする。またステップ15で今回演算された加算割合βが前回演算された加算割合β以下であると判定されたときには、ステップ17において前回演算された加算割合βから制限値LMTを減算した値を今回の加算割合とする。ステップ16または17において今回の加算割合βが求められた後、ステップ18に移行し、下記の式により実噴射時間演算用吸入空気量Aを演算する。
A=(1−β)A1+βA2 (3)
次いでステップ19において吸入空気量Aに対して実噴射時間Tiを演算してこの処理を終了する。
図5に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ11により、S−D方式により(エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いて)エンジンの吸入空気量を第1の吸入空気量として推定する第1の吸入空気量推定手段が構成され、ステップ12により、α−N方式により(エンジンのスロットル開度と回転速度とを用いて)エンジンの吸入空気量を第2の吸入空気量として推定する第2の吸入空気量推定手段が構成される。
またステップ13により、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを所定の割合で加算して実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために用いる加算割合をエンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段が構成される。更にステップ18により、第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより実噴射時間演算用吸入空気量を演算する実噴射時間演算用吸入空気量演算手段が構成され、ステップ19により、実噴射時間演算用吸入空気量に対して各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段が構成される。
更に図5に示した例では、ステップ14により、各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために加算割合決定手段により新たに決定された加算割合と、前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段が構成され、ステップ15ないし16により、加算割合変化量判定手段が加算割合の差が制限値を超えていると判定したときに、加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段が構成される。
上記の例では、第2の吸入空気量A2が実噴射時間演算用吸入空気量Aに対して占める割合を加算割合βとして演算して、前記(3)式により実噴射時間演算用吸入空気量Aを演算するようにしたが、第1の吸入空気量A1が実噴射時間演算用吸入空気量Aに対して占める割合を加算割合βとして演算して、下記の式により実噴射時間演算用吸入空気量Aを演算するようにしてもよい。
A=β・A1+(1−β)・A2 …(4)
上記の実施形態では、単気筒エンジンを例にとっているが多気筒エンジンにも本発明を適用できるのはもちろんである。
本発明の一実施形態の構成を概略的に示した構成図である。 4サイクルエンジンの吸気管圧力と負荷との関係及びスロットル開度と負荷との関係を示したグラフである。 (A)及び(B)はそれぞれエンジンの高負荷高回転時及び高負荷低回転時の吸気管圧力波形を示した波形図である。 本発明の実施形態においてマイクロプロセッサが実行する噴射時間演算処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 本発明の他の実施形態においてマイクロプロセッサが実行する噴射時間演算処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 加算割合演算用マップの構造を示した図表である。
符号の説明
1 エンジン
108 スロットルバルブ
110 インジェクタ
2 燃料噴射制御装置
3 信号発生器
4 圧力センサ
5 スロットルセンサ
2A 噴射時間決定部
201 第1の噴射時間演算手段
202 第2の噴射時間演算手段
203 加算割合決定手段
204 実噴射時間演算手段

Claims (6)

  1. 各噴射タイミングでエンジンに取り付けられたインジェクタに燃料噴射を行なわせる時間を実噴射時間として該実噴射時間を各種の制御条件に対して決定する噴射時間決定部と、前記噴射時間決定部により決定された実噴射時間の間前記インジェクタに燃料噴射を行なわせるように各噴射タイミングで前記インジェクタを駆動するインジェクタ駆動部とを備えたエンジン用燃料噴射制御装置であって、
    前記噴射時間決定部は、前記エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いて推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間を第1の噴射時間として演算する第1の噴射時間演算手段と、前記エンジンのスロットル開度と回転速度とを用いて推定した吸入空気量に対して混合気の空燃比を適正値にするための噴射時間を第2の噴射時間として演算する第2の噴射時間演算手段と、前記第1の噴射時間と第2の噴射時間とを所定の割合で加算して前記実噴射時間を演算するために用いる加算割合を前記エンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段と、前記第1の噴射時間と第2の噴射時間とを前記加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより各噴射タイミングにおける前記実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段とを備えたエンジン用燃料噴射制御装置。
  2. 前記噴射時間決定部は、
    各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために前記加算割合決定手段により新たに決定された加算割合と、前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算するために前記加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段と、
    前記加算割合変化量判定手段により、前記加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、前記加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段と、
    を更に備えている請求項1に記載のエンジン用燃料噴射制御装置。
  3. 前記エンジンの回転速度が低く、前記スロットル開度が小さいときに前記実噴射時間に対して前記第1の噴射時間が占める割合を大きくして前記第2の噴射時間が占める割合を小さくし、前記エンジンの回転速度が低く、前記スロットル開度が大きいときに前記実噴射時間に対して前記第1の噴射時間が占める割合を小さくして前記第2の噴射時間が占める割合を大きくし、前記エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が小さいときに前記実噴射時間に対して前記第1の噴射時間が占める割合を大きくして前記第2の噴射時間が占める割合を小さくし、前記エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が大きいときに前記実噴射時間に対して前記第1の噴射時間が占める割合を小さくして前記第2の噴射時間が占める割合を大きくするように前記エンジンの回転速度と前記スロットル開度と前記加算割合との間の関係を規定した加算割合演算用マップを記憶したマップ記憶手段が設けられ、
    前記加算割合決定手段は、前記加算割合演算用マップを検索することにより前記加算割合を演算するように構成されている請求項1または2に記載のエンジン用燃料噴射制御装置。
  4. 各噴射タイミングでエンジンに取り付けられたインジェクタに燃料噴射を行なわせる時間を実噴射時間として該実噴射時間を各種の制御条件に対して決定する噴射時間決定部と、前記噴射時間決定部により決定された実噴射時間の間前記インジェクタに燃料噴射を行なわせるように各噴射タイミングで前記インジェクタを駆動するインジェクタ駆動部とを備えたエンジン用燃料噴射制御装置であって、
    前記噴射時間決定部は、前記エンジンの回転速度と吸気管圧力とを用いて前記エンジンに吸入される空気の量を第1の吸入空気量として推定する第1の吸入空気量推定手段と、前記エンジンのスロットル開度と回転速度とを用いて前記エンジンに吸入される空気の量を第2の吸入空気量として推定する第2の吸入空気量推定手段と、前記第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを所定の割合で加算して実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために用いる加算割合を前記エンジンのスロットル開度と回転速度とに対して決定する加算割合決定手段と、前記第1の吸入空気量と第2の吸入空気量とを前記加算割合決定手段により決定された加算割合で加算することにより前記実噴射時間演算用吸入空気量を演算する実噴射時間演算用吸入空気量演算手段と、前記実噴射時間演算用吸入空気量に対して各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する実噴射時間演算手段とを備えたエンジン用燃料噴射制御装置。
  5. 前記噴射時間決定部は、
    各噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために前記加算割合決定手段により新たに決定された加算割合と、前回の噴射タイミングにおける実噴射時間を演算する際に用いる実噴射時間演算用吸入空気量を演算するために前記加算割合決定手段により決定された加算割合との差が設定された制限値を超えているか否かを判定する加算割合変化量判定手段と、
    前記加算割合変化量判定手段により、前記加算割合の差が制限値を超えていると判定されたときに、前記加算割合の差を制限値以下に抑えるように新たに決定された加算割合の値を調整する加算割合調整手段と、
    を更に備えている請求項4に記載のエンジン用燃料噴射制御装置。
  6. 前記エンジンの回転速度が低く、前記スロットル開度が小さいときに前記実噴射時間用演算用吸入空気量に対して前記第1の吸入空気量が占める割合を大きくして前記第2の吸入空気量が占める割合を小さくし、前記エンジンの回転速度が低く、前記スロットル開度が大きいときに前記実噴射時間演算用吸入空気量に対して前記第1の吸入空気量が占める割合を小さくして前記第2の吸入空気量が占める割合を大きくし、前記エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が小さいときに前記実噴射時間演算用吸入空気量に対して前記第1の吸入空気量が占める割合を大きくして前記第2の吸入空気量が占める割合を小さくし、前記エンジンの回転速度が高く、スロットル開度が大きいときに前記実噴射時間演算用吸入空気量に対して前記第1の吸入空気量が占める割合を小さくして前記第2の吸入空気量が占める割合を大きくするように前記エンジンの回転速度と前記スロットル開度と前記加算割合との間の関係を規定した加算割合演算用マップを記憶したマップ記憶手段が設けられ、
    前記加算割合決定手段は、前記加算割合演算用マップを検索することにより前記加算割合を演算するように構成されている請求項4または5に記載のエンジン用燃料噴射制御装置。
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