JP3816221B2 - 内燃機関の燃料制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、気筒数よりも少ない数のインジェクタが設けられた内燃機関の燃料制御装置に関し、特に加速状態(過渡運転時)での運転状態の違いによらず、最適な燃料補正量を演算することのできる内燃機関の燃料制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各気筒に燃料を供給するためのインジェクタ(燃料噴射弁)を備えた内燃機関(エンジン)において、吸気量およびエンジン回転数などの各種運転情報から必要な燃料量を演算し、演算された燃料量に基づいてインジェクタを駆動する燃料制御装置はよく知られている(実開昭59−569号公報参照)。
【0003】
複数気筒を有する内燃機関の燃料制御装置を、燃料噴射方式(インジェクタ数の違い)で大別すると、内燃機関の気筒数分のインジェクタを有するMPI(マルチポイントインジェクション)方式と、気筒数よりも少ない数(たとえば、4気筒に対して2本など)のインジェクタを有する噴射方式と、気筒数にかかわらず単一のインジェクタで燃料を供給するSPI(シングルポイントインジェクション)方式とによる装置がある。
【0004】
MPI方式の装置において、インジェクタは、吸気マニホルドの通路で各気筒の吸気ポート近傍に設けられており、各インジェクタは各気筒に必要な燃料を各々供給するようになっている。
【0005】
MPI方式による装置のメリットは、燃料噴射位置が各気筒の吸入ポートに近いことから、比較的高温となる吸入ポートの吸入弁に向けて燃料を噴射することができるので、燃料の霧化がよいことや、噴射された燃料が気筒内に吸入されるまでの時間および距離が短いことなどがあげられる。
【0006】
これに対して、SPI方式または気筒数よりも少ない数のインジェクタで燃料を供給する方式の装置においては、1本のインジェクタで複数気筒に燃料を供給する必要があるので、吸気マニホルドの通路の各気筒への分岐点よりも上流側にインジェクタが設けられており、目標空燃比となる燃料量を演算して各気筒に噴射している。
【0007】
一般的な内燃機関の燃料制御装置においては、エンジン回転数および吸気量に基づいて、噴射すべき基本燃料量を求め、そのときのエンジンの冷却水温度や吸気温度などの種々の運転状態に基づいて基本燃料量を補正し、最終的な噴射燃料量を決定している。
【0008】
たとえば、エンジンの吸気量を調整するスロットル弁が開かれた場合、吸気量が増大してエンジン回転数が上昇する加速状態となる。このとき、エンジン回転数および吸気量から導かれる基本燃料量のみで燃料を供給すると、空燃比(供給燃料量と吸気量との割合)が悪化して燃焼が不安定な状態となり、失速したり有毒排出物が増大することになる。
【0009】
したがって、従来より、所定期間内の吸気変化量に基づいて基本燃料量を補正することにより、内燃機関を目標空燃比で制御している。
【0010】
また、このとき、運転状態によっては、所定期間内の吸気変化量の最大値をそのまま用いると過補正となるおそれがあるので、吸気変化量の最大値が上限値を超えた場合には、最大値を上限値で制限している。
【0011】
さらに、空燃比を最適化するために、吸気変化量の最大値検出後に吸気変化量を運転状態に応じて漸減させるテーリング処理などが行われている。
【0012】
図10は一般的な内燃機関の燃料制御装置を概略的に示す構成図であり、図において、1は内燃機関の本体となる複数気筒(たとえば、4気筒)のエンジン、2はエンジン1の吸気管の吸入口に設けられたエアクリーナ、3は吸気管内で開閉駆動されて吸気量を調整するスロットル弁、4aはエンジン1の吸気側に設けられた吸気マニホルド、4bはエンジン1の排気側に設けられた排気マニホルドである。
【0013】
5は吸気管内の圧力Paを吸気量情報として検出する吸気管圧力センサ、6はスロットル弁3の開度Tを検出するスロットル開度センサ、7は冷却水温度Wをエンジン1の温度情報として検出する冷却水温度センサである。
【0014】
ここでは、吸気量検出手段として、コストアップを防ぐために吸気管圧力センサ5が用いられているが、高価なエアフローセンサが用いられ得ることは言うまでもない。
【0015】
8はエンジン1のクランク軸の回転に同期したクランク角信号CAを出力するクランク角センサ、9はエンジン1の排気ガス成分から空燃比信号AFを出力する空燃比センサである。
これらのセンサ5〜9は、図示しない他のセンサとともに、エンジン1の運転状態を検出する各種センサを構成している。
【0016】
10はマイクロコンピュータからなるコントロールユニットであり、運転状態を示す各種センサ情報Pa、T、W、CAおよびAFなどに基づいて、エンジン1の制御パラメータ(燃料制御量など)を演算し、たとえば燃料噴射制御信号Jおよび燃料圧力制御信号Pfを出力する。
【0017】
11は燃料噴射制御信号Jにより駆動されて吸気マニホルド4a内に燃料を噴射するインジェクタ、12は燃料を収納する燃料タンク、13は燃料圧力制御信号Pfにより駆動されてインジェクタ11に燃料を供給する燃料ポンプ、14は吸気管圧力Paに応じて燃料圧力を調整する圧力レギュレータ、15はエンジン1の排気管の排出口に設けられて排気ガスを浄化する三元触媒である。
【0018】
次に、図10に示した従来の内燃機関の燃料制御装置の動作について説明する。
まず、大気中からエンジン1の吸気管に吸入された空気は、塵を取り除くエアクリーナ2、吸気量を調節するスロットル弁3を通過して、吸気マニホルド4aに導入され、エンジン1の各気筒に分配されて供給される。
【0019】
このとき、スロットル弁3と吸気マニホルド4aとの間に設けられた吸気管圧力センサ5は、吸気管内の圧力Paを検出し、スロットル弁3に設けられたスロットル開度センサ6は、スロットル弁3の開度Tを検出し、各検出信号をコントロールユニット10に入力する。
【0020】
また、エンジン1に設けられたクランク角センサ8は、エンジン1の各気筒のピストンの所定位置(所定タイミング)に対応したクランク角信号CAを検出し、この検出信号をコントロールユニット10に入力する。
【0021】
コントロールユニット10は、クランク角信号CAからエンジン1の回転数Neを演算することもできる。たとえば、エンジン回転信号は、エンジン1の出力軸の1回転に対して等間隔に2回(すなわち、クランク角で180°毎に)出力されるパルスからなる。
【0022】
コントロールユニット10は、入力されたクランク角信号CA(エンジン回転数情報)および吸気管圧力Paなどに基づいて演算処理を行い、たとえば、エンジン1の吸気量を演算する。
【0023】
次に、コントロールユニット10は、吸気量に応じた燃料量を演算する。
このとき、エンジン1の吸入空気に混合される燃料は、燃料ポンプ13の加圧により燃料タンク12から吸引されて、吸気マニホルド4aに設けられたインジェクタ11に導かれる。
【0024】
また、インジェクタ11に導かれた燃料の圧力は、圧力レギュレータ14により、吸気管圧力Paと燃料圧力との差圧を一定に保つように調整される。
これにより、インジェクタ11には、吸気管圧力Paに抗して一定圧力の燃料が印加される。
【0025】
コントロールユニット10は、一定圧力の燃料が供給されているインジェクタ11の開弁時間を演算し、燃料噴射制御信号Jによりインジェクタ11を開放駆動する。
これにより、燃料噴射量は、吸気量に対して最適な空燃比となるように制御される。
【0026】
また、エンジン1の冷却水通路に設けられた冷却水温度センサ7は、冷却水温度Wを検出してコントロールユニット10に入力し、燃料噴射量の補正に寄与させる。
【0027】
こうして、エンジン1に燃料とともに吸入された混合気は、エンジン1内で燃焼し、燃焼後の排気ガスは、排気マニホルド4bおよび三元触媒15を介して大気中に排出される。このとき、排気ガスは、三元触媒15を通過して、酸化および還元されて浄化された後で大気中に放出される。
【0028】
また、排気マニホルド4bに設けられた空燃比センサ9は、空燃比情報を空燃比信号AFとしてコントロールユニット10に入力し、燃料量のフィードバック制御に寄与させる。コントロールユニット10は、空燃比信号AFに応答して燃料噴射量を補正することにより、空燃比を適正な値に制御する。
【0029】
しかしながら、図10のように、単一(または、気筒数よりも少ない数)のインジェクタ11で燃料を供給するSPI方式の装置においては、MPI方式の装置の場合よりも、インジェクタ11の取り付け位置が吸気マニホルド4aの上流側にシフトされるので、エンジン1の各気筒内に吸入される空気の流れや吸気マニホルド4a内の温度が燃料量に与える影響は、MPI方式の装置の場合よりも大きくなる。
【0030】
したがって、たとえば上述したように、エンジン1の加速状態での燃料量制御において、所定期間内の吸気変化量の最大値を単一に固定された上限値で制限しても、エンジン1の種々の運転状態に応じて最適な噴射燃料量に補正することはできない。
【0031】
また、インジェクタ11の取り付け位置が吸気マニホルド4aの上流側にあり、インジェクタ11からの噴射燃料がエンジン1の各気筒内に直接吸入されないことから、インジェクタ11から各気筒までの吸気マニホルド4aの内壁部に付着する燃料量が増大してしまう。
【0032】
このように、吸気マニホルド4aの内壁部に付着する燃料量は、エンジン1の運転状態によって異なるが、所定の燃料量が蓄積された時点で初めて、壁面を伝わりながら各気筒内に流れ込むことになる。
【0033】
たとえば、エンジン1の始動時などにおいては、吸気マニホルド4aの壁面付着の燃料量は少なく、通常運転状態においては、吸気マニホルド4a内に均一に燃料が付着しており、加速時などにおいては、吸気量および必要燃料量が増大方向に移行する。
【0034】
したがって、エンジン1の始動状態から加速状態(過渡状態)に移行した場合には、通常運転状態から加速状態に移行した場合に比べて、吸気マニホルド4aの内壁部への付着から各気筒に流れ込むまでの蓄積量が多いので、供給燃料量が不足となり、特に過渡移行の初期に燃料不足量が多くなる。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内燃機関の燃料制御装置は以上のように、エンジン1の加速時における燃料補正量の過補正を防止するために、所定期間内の吸気変化量の最大値を単一の上限値で制限しているので、種々の運転状態に応じて最適な噴射燃料量に補正することができないという問題点があった。
【0036】
また、インジェクタ11から各気筒までの吸気マニホルド4aの内壁部に付着する燃料が運転状態によって異なることから、エンジンの始動状態から加速状態に移行した場合、特に過渡移行の初期に燃料不足量が多くなるという問題点があった。
【0037】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、加速時(過渡時)の運転状態の違いによらず、最適な燃料補正量を演算して目標空燃比に制御することのできる内燃機関の燃料制御装置を得ることを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る内燃機関の燃料制御装置は、複数の気筒を有する内燃機関に対して気筒数よりも少ない数だけ設けられたインジェクタと、内燃機関の温度を検出する温度検出手段と、内燃機関の吸気量を検出する吸気量検出手段と、吸気量を調整するスロットル弁の開度をスロットル開度として検出するスロットル開度検出手段と、内燃機関の運転状態に応じて必要な基本燃料量を演算する基本燃料量演算手段と、温度の上昇に応じて減少するように基本燃料量を補正する基本燃料量補正手段と、吸気量の増大により内燃機関の加速状態を検出する加速状態検出手段と、吸気量の所定期間内の変化を吸気変化量として演算する吸気変化量演算手段と、内燃機関の運転状態に応じて吸気変化量の演算上の上限値を可変設定する上限値設定手段と、吸気変化量に基づいて基本燃料量の補正量を演算する補正量演算手段とを備え、加速状態検出手段は、内燃機関の始動後の初回の加速状態を判定する初回加速判定手段を含み、上限値設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、上限値を通常よりも高い値に設定するとともに、内燃機関の始動時の温度の上昇に応じて減少するように上限値を設定するものである。
【0042】
また、この発明に係る内燃機関の燃料制御装置による上限値設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、上限値を通常よりも高い値に設定するものである。
【0043】
また、この発明に係る内燃機関の燃料制御装置による上限値設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、内燃機関の始動時の温度の上昇に応じて減少するように上限値を設定するものである。
【0046】
また、この発明に係る内燃機関の燃料制御装置による初回加速判定手段は、初回の加速状態を判定するための判定期間が制限され、内燃機関の始動から判定期間の経過後に無効にされるものである。
【0047】
また、この発明に係る内燃機関の燃料制御装置による初回加速判定手段は、内燃機関の始動時の温度が暖機状態に対応した所定温度以上の場合に、無効にされるものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。なお、この発明の実施の形態1の構成は、図10に示した通りであり、コントロールユニット10内の動作プログラムの一部が異なるのみである。
【0049】
この場合、コントロールユニット10は、基本燃料量演算手段と、基本燃料量補正手段と、加速状態検出手段と、吸気変化量演算手段と、吸気変化量の上限値設定手段と、基本燃料量の補正量演算手段とを備えている。
【0050】
コントロールユニット10内の基本燃料量演算手段は、エンジン1(内燃機関)の各種センサ情報(運転状態)に応じて必要な基本燃料量を演算し、基本燃料量補正手段は、冷却水温度W(エンジン温度)の上昇に応じて減少するように基本燃料量を補正する。
【0051】
加速状態検出手段は、吸気管圧力Pa(吸気量)の増大によりエンジン1の加速状態を検出し、吸気変化量演算手段は、吸気管圧力Paの所定期間内の変化(吸気管圧力変化量ΔPa)を吸気量変化量として演算する。
【0052】
上限値設定手段は、運転状態に応じて、吸気管圧力変化量ΔPaの上限値Mpを可変設定し、補正量演算手段は、吸気管圧力変化量ΔPa(吸気変化量)に基づいて、基本燃料量の補正量を演算する。
また、上限値設定手段は、スロットル開度Tの増大に応じて増大するように上限値Mpを設定するとともに、冷却水温度Wの上昇に応じて減少するように上限値Mpを設定する。
【0053】
図1および図2はこの発明の実施の形態1に関連した装置によるエンジン加速時の動作を示すフローチャートである。
図3はこの発明の実施の形態1の動作を説明するためのタイミングチャート、図4はこの発明の実施の形態1による上限値Mpのマップデータ(3次元テーブルTB)を示す説明図である。通常、3次元テーブルTBは、2次元テーブルの組み合わせにより構成されている。
【0054】
図3は、クランク角信号CA、スロットル開度T、吸気管圧力Paおよび吸気管圧力変化量ΔPaの時間変化を示している。
図3において、吸気管圧力変化量ΔPaは、クランク角信号CAの2パルス周期毎に演算されており、吸気管圧力変化量ΔPaの最大値は、上限値Mpにより制限されている。
【0055】
図4の3次元テーブルTBにおいて、上限値Mpのマップデータは、スロットル開度Tの増大に応じて増大し、冷却水温度Wの上昇に応じて減少するように設定されている。
【0056】
図1〜図4において、所定期間内のエンジン1の吸気変化量(ここでは、吸気管圧力変化量ΔPa)の上限値Mpとして、スロットル開度Tおよび冷却水温度W(エンジン温度)に応じた制限が設けられ、スロットル開度Tの開き方や温度Wに左右されずに基本燃料量が補正される。
【0057】
次に、図1〜図4とともに、図10を参照しながら、この発明の実施の形態1に関連した装置の動作について説明する。なお、基本的な燃料制御動作については、前述と同様なので、ここでは省略する。
【0058】
まず、一定周期毎に処理される図1のエンジン吸気変化量演算ルーチンについて説明する。
図1のルーチンは、エンジン1の回転信号に相当するクランク角信号CAのパルスが所定回数だけ検出される毎に実行される。
【0059】
まず、コントロールユニット10は、図1内のステップS1において、吸気管圧力Paの今回検出値Pa(i)を、前回の吸気管圧力すなわち前回検出値Pa(i−1)として記憶させる。
また、ステップS2において、吸気管圧力センサ5から検出される現在の吸気管圧力Paの値を読み込み、これを最新の今回検出値Pa(i)として記憶させる。
【0060】
次に、ステップS3において、今回検出値Pa(i)と前回検出値Pa(i−1)との偏差を、吸気管圧力変化量ΔPa(i)として、以下の(1)により演算する。
【0061】
ΔPa(i)=Pa(i)−Pa(i−1) …(1)
【0062】
最後に、(1)式の演算結果を、今回の吸気変化量に相当する吸気管圧力変化量ΔPa(i)として、RAMに記憶させた後、図1のルーチンを抜け出る。
このとき、ステップS3で演算された吸気管圧力変化量ΔPa(i)が正の値であれば、加速側の吸気量変化を示しており、負の値であれば、減速側の吸気量変化を示していることになる。
【0063】
次に、図2の処理動作、すなわち、加速時の吸気変化量(吸気管圧力変化量ΔPa)に対して、スロットル開度Tおよび冷却水温度Wに応じた上限値Mpを設定するルーチンについて説明する。
図2のルーチンは、エンジン回転信号に相当するクランク角信号CAのパルスが検出される毎に実行される。
【0064】
まず、ステップS11において、前述のステップS3で記憶された吸気管圧力変化量ΔPaの値を参照し、吸気管圧力変化量ΔPaの値が所定値ΔPoよりも大きいか否かを判定する。ここで、所定値ΔPoは、実際に加速状態と判定するための吸気管圧力変化量に対応している。
【0065】
もし、ステップS11において、吸気管圧力変化量ΔPa>所定値ΔPo(すなわち、YES)と判定されれば、加速状態であると判断して、次のステップS12に進む。
また、ΔPa≦ΔPo(すなわち、NO)と判定されれば、加速状態ではないと判断して、図2のルーチンを終了する。
【0066】
ステップS12において、コントロールユニット10は、スロットル開度センサ6から検出される現在のスロットル開度Tの値を読み込み、この検出値に基づく上限値Mp1を、コントロールユニット10内の2次元テーブルから取得して、RAMに記憶させる。
【0067】
なお、コントロールユニット10内の2次元テーブルには、所定期間内の吸気管圧力変化量ΔPaに制限をかけるために、たとえば、スロットル開度Tに応じた上限値Mp1がマップデータとして、あらかじめ格納されている(図4参照)。
【0068】
続いて、ステップS13において、現在のエンジン1の温度情報として、エンジン1の冷却水温度Wを読み込み、この検出値に基づく上限値Mp2を、コントロールユニット10内の2次元テーブルから取得して、RAMに記憶させる。
【0069】
前述と同様に、コントロールユニット10内の別の2次元テーブルには、所定期間内の吸気管圧力変化量ΔPaに制限をかけるために、たとえば、冷却水温度Wに応じた上限値Mp2がマップデータとして、あらかじめ格納されている(図4参照)。
【0070】
次に、ステップS14において、各ステップS12およびS13により取得されて記憶された上限値Mp1およびMp2を加算し、最終的な上限値Mpを求める。
コントロールユニット10内の各2次元テーブルは、図4のように、1つの3次元テーブルTBに置き換えられることができる。
【0071】
最後に、ステップS15において、吸気管圧力変化量ΔPaと上限値Mpとを比較し、吸気管圧力変化量ΔPaが上限値Mpを超えたか否かを判定する。
もし、ΔPa>Mp(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS16において、上限値Mpを吸気管圧力変化量ΔPaに代入して、吸気管圧力変化量ΔPaを上限値Mpでクリップをかけ、図2のルーチンを終了する。
【0072】
図3においては、破線のように、加速時に上限値Mpを超えた吸気管圧力変化量ΔPa(破線参照)が検出されたとしても、実線のように、吸気管圧力変化量ΔPaを上限値Mpに制限した状態が示されている。
一方、ステップS15において、ΔPa≦Mp(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS16を実行せずに図2のルーチンを終了する。
【0073】
その後、コントロールユニット10は、図1および図2のルーチンにより演算された吸気管圧力変化量(エンジン1の吸気変化量に相当する)ΔPaに基づいて、加速時の燃料噴射補正量を演算し、他の補正量と共に基本燃料噴射量を補正する。
【0074】
このように、吸気マニホルド4aの上流に単一(または、気筒数以下)のインジェクタ11が設けられたエンジン1において、基本燃料量の補正値を決定する吸気管圧力変化量ΔPa(吸気変化量)に対して、上限値Mpをスロットル開度Tおよび冷却水温度Wに応じた適正値に設定することにより、エンジン1の加速運転時に発生する吸気流の影響および吸気管温度による影響を抑制して、エンジン1を最適な目標空燃比で運転することができる。
【0075】
なお、上記説明では、図1および図2に示したルーチンの処理周期をクランク角信号CA(エンジン回転数Ne)に応じて設定したが、エンジン回転数Neとは無関係に所定時間毎の処理周期としてもよい。
また、エンジン1の吸気量情報として吸気管圧力Paを用いたが、実際に空気量を検出してもよい。
【0076】
また、吸気管圧力変化量ΔPaに対する上限値Mpを取得するために、2次元テーブルを用いたステップS12およびS13を実行したが、1つの3次元テーブルTB(図4参照)を用いた場合は、スロットル開度Tおよび冷却水温度Wに応じた1回のデータ取得ステップを実行するのみで上限値Mpが得られる。
【0077】
また、上記説明では、スロットル開度Tおよび冷却水温度Wに応じて上限値Mpを設定したが、スロットル開度Tまたは冷却水温度Wの一方のみに応じて上限値Mpを設定してもよい。
【0078】
また、上記説明では、加速時における吸気管圧力変化量ΔPaの上限値Mpを設定するために、一定のデータマップを用いたが、エンジン1の始動後の判定期間内であって始動後の初回加速状態が検出されたときには、データマップ(2次元テーブルまたは3次元テーブル)を変更することが要求される。
【0079】
以下、初回加速状態に応じて上限値Mpを変更したこの発明の実施の形態1を図について説明する。
なお、この発明の実施の形態1の構成は、図10に示した通りであり、コントロールユニット10内の動作プログラムの一部が異なるのみである。また、ここでは、吸気管圧力変化量ΔPaの減少時に漸減処理を行う場合を示している。
【0080】
図5および図6はこの発明の実施の形態1によるエンジン加速時の動作を示すフローチャートである。
また、図7および図8はこの発明の実施の形態1の動作を説明するためのタイミングチャートであり、図9はこの発明の実施の形態1による上限値Mpのマップデータ(3次元テーブルTB1〜TB3)を示す説明図である。
【0081】
図5および図6の処理ルーチンは、前述(図1参照)のように一定周期で(たとえば、クランク角信号CAに同期して)実行される。
図6は、エンジン始動後の判定期間TE以内であって、冷却水温度Wが所定温度Wo以下の状態で初回加速された場合の、上限値Mpおよび最終吸気管圧力変化量ΔPAの演算処理を示している。
【0082】
図5において、各ステップS1〜S3は前述(図1参照)と同様のステップである。
また、図6において、各ステップS11〜S13は前述(図2参照)と同様のステップであり、ステップS36、S40およびS41は、それぞれ、前述のステップS14、S15およびS16に対応している。
【0083】
図7は、エンジン1の停止または始動状態を示すエンジン回転数Neと、初回加速判定手段を有効にする初回加速判定実行フラグFと、初回加速判定実行フラグFをリセットするための時間カウンタCTとの時間変化を示している。
【0084】
図7内の時刻t1において、エンジン1が停止して初回加速判定実行フラグFがセットされ、時刻t2において、エンジン1が始動されて時間カウンタCTが起動し、始動時刻t2から判定期間TEだけ経過した後の時刻t3において、初回加速判定実行フラグFがリセットされている。
【0085】
図8は、クランク角信号CA、スロットル開度T、吸気管圧力Paおよび吸気管圧力変化量ΔPaと、漸減処理後の漸減吸気管圧力変化量ΔPtと、最終的に設定される最終吸気管圧力変化量ΔPAとの各時間変化を示している。
【0086】
図8において、漸減吸気管圧力変化量ΔPtは、クランク角信号CAの2パルス周期毎に演算されており、吸気管圧力変化量ΔPaの増大中には、吸気管圧力変化量ΔPaの演算値に更新され、吸気管圧力変化量ΔPaの減少時には、所定の漸減率(漸減係数K)で漸減される。
また、最終吸気管圧力変化量ΔPAは、最大値が上限値Mpにより制限されている。
【0087】
図9の3次元テーブルTB1〜TB3において、始動時水温Wsが低い場合には、3次元テーブルTB1のように高い上限値Mpが設定され、始動時水温Wsが上昇するにつれて、3次元テーブルTB2からTB3へと移行し、低い上限値Mpとなるように設定されている。
【0088】
この場合、コントロールユニット10内の加速状態検出手段は、エンジン1の始動後の初回の加速状態を判定する初回加速判定手段を含み、上限値設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、上限値Mpを通常とは異なる値(ここでは、通常よりも高い値)に設定する。
【0089】
また、コントロールユニット10は、所定期間内の吸気管圧力変化量ΔPaを漸減(テーリング)させる吸気変化量漸減手段と、吸気管圧力変化量ΔPaの漸減率(漸減係数K)を設定する漸減率設定手段とを含む。
【0090】
漸減率設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、吸気管圧力変化量ΔPaの漸減率を通常よりも大きい値に設定するとともに、エンジン1の始動時の冷却水温度すなわち始動時水温Wsの上昇に応じて減少するように吸気管圧力変化量ΔPaの漸減率を設定する。
【0091】
また、初回加速判定手段は、初回の加速状態を判定するための判定期間TEが制限されており、エンジン1の始動から判定期間TEの経過後に無効にされる。また、初回加速判定手段は、暖機状態に対応した所定温度Woよりも始動時水温Wsが高い場合にも無効にされる。
【0092】
すなわち、コントロールユニット10は、初回加速判定時に、吸気管圧力変化量ΔPaの上限値Mpを、冷却水温度Wに応じて通常とは異なる値(通常よりも高い値)に設定した後、吸気管圧力変化量ΔPaを漸減させながら補正するとともに、漸減率(漸減係数K)を始動時水温Wsに応じて変化させることにより、始動後の吸気管内付着燃料が少ない状態からの加速時において基本燃料量を補正する。
【0093】
図5において、まず、コントロールユニット10は、前述と同様に、吸気管圧力Paの今回検出値Pa(i)を前回検出値Pa(i−1)として記憶させ、現在の吸気管圧力Paを最新の今回検出値Pa(i)として記憶させる(ステップS1、S2)。
【0094】
また、ステップS2Aにおいて、吸気管圧力変化量ΔPaの今回演算値ΔPa(i)を、前回演算値ΔPa(i−1)として記憶させる。
続いて、最新の吸気管圧力変化量、すなわち今回演算値ΔPa(i)をRAMに記憶させた後(ステップS3)、図5のルーチンを抜け出る。
【0095】
次に、この発明の実施の形態1の特徴とする図6の処理動作について説明する。図6の処理ルーチンは、クランク角信号CA(エンジン回転信号)の検出毎に実行される。
まず、ステップS20において、クランク角信号CAからエンジン回転数Neが0か否かを判定する。
【0096】
もし、Ne=0(すなわち、YES)と判定されれば、エンジン1が停止したものと見なし、ステップS21において、エンジン始動後の初回加速判定実行フラグFを「1」にセットした後、次の判定ステップS23に進む。
【0097】
一方、ステップS20において、エンジン回転数Ne>0(すなわち、NO)と判定されれば、エンジン1が始動されたものと見なし、ステップS22において、エンジン始動時の冷却水温度Wを始動時水温Wsとして記憶させた後、ステップS23に進む。
【0098】
ステップS23において、コントロールユニット10は、エンジン始動後からの経過時間を時間カウンタCTにより計測し、時間カウンタCTの値が判定期間TEに相当する所定カウンタ値CToを超えたか否かを判定する。
判定期間TEは、エンジン始動後に吸気マニホルド4aの内壁に十分に燃料が付着するのに要する時間に対応する。
【0099】
もし、CT≦CTo(すなわち、NO)と判定されれば、エンジン始動後から判定期間TEが経過しておらず、初回加速判定条件が成立するので、エンジン停止時にセットされた初回加速判定実行フラグF(ステップS21参照)を「1」に保持して、初回加速判定手段を有効にする。
【0100】
続いて、ステップS24において、始動時水温Wsがエンジン1の暖機状態に対応した所定温度Woよりも高いか否かを判定する。
もし、Ws>Wo(すなわち、YES)と判定されれば、エンジン1が暖機状態に達しており、始動後の初回加速判定条件が成立しないので、ステップS25において、初回加速判定実行フラグFをリセット(0クリア)し、初回加速判定手段を無効にした後、ステップS11に進む。
【0101】
また、始動時水温Ws≦所定温度Wo(すなわち、NO)と判定されれば、エンジン1が暖機状態に達しておらず、初回加速判定条件が成立するので、ステップS25を実行せずに、初回加速判定実行フラグFを「1」に保持したままステップS11に進む。
【0102】
一方、ステップS23において、時間カウンタCT>所定カウンタ値CTo(すなわち、YES)と判定された場合は、エンジン始動後から判定期間TEが経過しており、始動後の初回加速判定条件が成立しないので、ステップS25において初回加速判定実行フラグFをリセットし、初回加速判定手段を無効にした後、ステップS11に進む。
【0103】
すなわち、エンジン始動後に、所定の判定期間TE以上にわたって加速判定されずに運転が継続した場合は、吸気マニホルド4a内に付着する燃料必要量がすでに満たされており、もし初回加速判定時の燃料噴射補正を行うと過補正になるので、始動後に判定期間TEが経過していれば、初回加速判定実行フラグFを0クリアして補正が行われないようにする。
【0104】
ステップS11において、コントロールユニット10は、吸気管圧力変化量の今回演算値ΔPa(i)が所定値ΔPoよりも大きいか否かを判定し、ΔPa(i)>ΔPo(すなわち、YES)と判定されれば、現在加速状態なので、次のステップS11Aに進む。
【0105】
また、今回演算値ΔPa(i)≦所定値ΔPo(すなわち、NO)と判定されれば、加速状態ではないので、ステップS11A以下の処理を実行せずに、後述するステップS38に進む。
【0106】
ステップS11Aにおいて、コントロールユニット10は、吸気管圧力変化量の前回演算値ΔPa(i−1)が所定値ΔPo以下か否かを判定し、もし、ΔPa(i−1)≦ΔPo(すなわち、YES)であれば、今回検出された加速状態が初回加速なので、ステップS12に進む。
【0107】
また、前回演算値ΔPa(i−1)>所定値ΔPo(すなわち、NO)であれば、今回の加速状態が初回加速ではなく加速継続中であるので、ステップS12以下の処理を実行せずに、後述するステップS36に進む。
【0108】
初回の加速状態が判定された場合、コントロールユニット10は、スロットル開度Tに応じた上限値Mp1を取得し(ステップS12)、続いて、冷却水温度Wに応じた上限値Mp2を取得する(ステップS13)。
【0109】
次に、ステップS30において、初回加速判定実行フラグFが「1」であるか否かを判定し、もし、F=1(すなわち、YES)であれば、始動時水温Wsに応じた補正処理ステップS31およびS32に進む。
【0110】
また、初回加速判定実行フラグF=0(すなわち、NO)であれば、初回加速判定手段が無効なので、初回加速判定結果とは無関係に、通常の処理ステップS34およびS35に進む。
【0111】
ステップS30において、F=1(初回加速状態)と判定された場合、コントロールユニット10は、ステップS31において、始動時水温Wsに応じた上限補正値ΔMp2を、2次元テーブルから取得してRAMに記憶させる。
【0112】
また、ステップS32において、吸気管圧力変化量ΔPaに対する漸減係数Kとして、始動時水温Wsに応じた漸減係数を2次元テーブルから取得してRAMに記憶させる。漸減係数Kは、たとえば、0.5<K<1の範囲内の値に設定される。
【0113】
こうして、始動時水温Wsに応じた補正処理ステップS31およびS32が終了した後、ステップS33において、初回加速判定実行フラグFをリセットし、次のステップS36に進む。
【0114】
一方、ステップS30において、初回加速判定フラグFがすでにクリアされており、F=0(すなわち、NO)と判定されれば、通常の加速判定状態と見なされるので、ステップS34において、上限補正値ΔMp2を「0」に設定し、始動時水温Wsに関連して上限値Mpが補正されないようにする。
【0115】
また、ステップS35において、吸気管圧力変化量ΔPaに対する漸減係数Kとして、通常の漸減係数を2次元テーブルから取得してRAMに記憶させた後、ステップS36に進む。
なお、通常の漸減係数Kは、エンジン回転数Neなどに応じた2次元テーブルであってもよく、または各種パラメータとは無関係の固定値であってもよい。
【0116】
ステップS36において、コントロールユニット10は、ステップS12およびS13で得られた上限値Mp1およびMp2と、ステップS31またはS34で得られた上限補正値ΔMp2とを加算して、最終的な上限値Mpを求める。
【0117】
続いて、ステップS37において、吸気管圧力変化量の今回演算値ΔPa(i)と漸減吸気管圧力変化量ΔPtとを比較し、今回演算値ΔPa(i)が漸減吸気管圧力変化量ΔPtよりも大きいか否かを判定する。
なお、最初の判定時においては、今回演算値ΔPa(i)と0レベルの漸減吸気管圧力変化量ΔPtとが比較される。
【0118】
もし、ΔPa(i)≦ΔPt(すなわち、NO)と判定されれば、今回演算値ΔPa(i)が前回よりも減少したものと見なし、ステップS38において、漸減吸気管圧力変化量ΔPtを更新設定する。
【0119】
すなわち、今回の漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i)は、吸気管圧力変化量の今回演算値ΔPa(i)の大きさとは無関係に、前回の漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i−1)と、すでに記憶された漸減係数Kとを用いて、以下の(2)式のように演算される。
【0120】
ΔPt(i)=ΔPt(i−1)×K …(2)
【0121】
一方、ステップS37において、ΔPa(i)>ΔPt(すなわち、YES)と判定されれば、今回演算値ΔPa(i)が前回よりも増大したものと見なし、ステップS39において、今回演算値ΔPa(i)を今回の漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i)として更新設定する。
【0122】
次に、ステップS40において、今回の漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i)と上限値Mpとを比較し、漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i)が上限値Mpよりも大きいか否かを判定する。
【0123】
もし、ΔPt(i)>Mp(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS41において、上限値Mpを今回の最終吸気管圧力変化量ΔPA(i)として設定し、図6のルーチンを終了する。
【0124】
また、ステップS40において、ΔPt(i)≦Mp(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS42において、今回の漸減吸気管圧力変化量ΔPt(i)を今回の最終吸気管圧力変化量ΔPA(i)として設定し、図6のルーチンを終了する。
【0125】
すなわち、吸気管圧力変化量ΔPaが増大しているときには、上限値Mpを超えない範囲で吸気管圧力変化量ΔPaがそのまま最終吸気管圧力変化量ΔPAとなり、吸気管圧力変化量ΔPaが減少したときには、漸減吸気管圧力変化量ΔPtが最終吸気管圧力変化量ΔPAとなる。
【0126】
その後、コントロールユニット10は、図5および図6の処理ルーチンで演算された最終吸気管圧力変化量ΔPAに基づいて、加速時の燃料噴射補正量を演算し、他の補正量に加えて基本燃料噴射量を補正する。
【0127】
このように、吸気マニホルド4aの上流に単一(または、気筒数以下)のインジェクタ11が設けられたエンジン1において、基本燃料量の補正値を決定する吸気管圧力変化量ΔPa(吸気変化量)に対して、上限値Mpをスロットル開度Tおよび冷却水温度Wに応じた適正値に設定することにより、エンジン1の加速運転時に発生する吸気流の影響および吸気管温度による影響を抑制して、エンジン1を最適な目標空燃比で運転することができる。
【0128】
また、吸気マニホルド4aの上流にインジェクタ11が配置されることから、吸気マニホルド4aの壁面に付着する燃料量も増大するが、冷却水温度Wの低温時におけるエンジン始動後の初回加速時においても、吸気管圧力変化量ΔPaの上限値Mpを始動時の冷却水温度に応じて補正するとともに、その後の吸気管圧力変化量ΔPaの漸減率(漸減係数K)も変化させることにより、エンジン1を目標空燃比で運転することができる。
【0129】
さらに、エンジン始動後の判定期間TE以上にわたって加速判定されない場合には、吸気マニホルド4a内に付着する燃料必要量が満たされるので、初回加速判定による補正を無効にして過補正を防止することにより、空燃比を目標通りに制御することができる。
【0130】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、エンジン始動後の初回加速判定時に、吸気マニホルド4aの内壁に付着する燃料量の増大を考慮して、上限値Mpを増大させるように補正したが、あらかじめ、始動後の燃料噴射量を増大補正制御するように設計された装置に対しては、始動時の過補正を防止するために上限値Mpを減少補正してもよい。
【0131】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、複数の気筒を有する内燃機関に対して気筒数よりも少ない数だけ設けられたインジェクタと、内燃機関の温度を検出する温度検出手段と、内燃機関の吸気量を検出する吸気量検出手段と、吸気量を調整するスロットル弁の開度をスロットル開度として検出するスロットル開度検出手段と、内燃機関の運転状態に応じて必要な基本燃料量を演算する基本燃料量演算手段と、温度の上昇に応じて減少するように基本燃料量を補正する基本燃料量補正手段と、吸気量の増大により内燃機関の加速状態を検出する加速状態検出手段と、吸気量の所定期間内の変化を吸気変化量として演算する吸気変化量演算手段と、内燃機関の運転状態に応じて吸気変化量の演算上の上限値を可変設定する上限値設定手段と、吸気変化量に基づいて基本燃料量の補正量を演算する補正量演算手段とを備え、燃料補正量決定用の上限値を運転状態に応じて適正値に設定したので、加速時の運転状態の違いによらず、最適な燃料補正量を演算して目標空燃比に制御することのできる内燃機関の燃料制御装置が得られる効果がある。
また、加速状態検出手段は、内燃機関の始動後の初回の加速状態を判定する初回加速判定手段を含み、上限値設定手段は、初回の加速状態が判定されたときに、上限値を通常よりも高い値に設定するとともに、内燃機関の始動時の温度の上昇に応じて減少するように上限値を設定するので、初回加速時の運転状態の違いによらず、また、始動時温度の違いによらず、最適な燃料補正量を演算することのできる内燃機関の燃料制御装置が得られる効果がある。
【0139】
また、この発明によれば、初回の加速状態を判定するための判定期間を制限し、始動から判定期間の経過後に初回加速判定手段を無効にしたので、過補正を防止して最適な燃料補正量を演算することのできる内燃機関の燃料制御装置が得られる効果がある。
【0140】
また、この発明によれば、始動時の温度が暖機状態に対応した所定温度以上の場合に、初回加速判定手段を無効にしたので、始動時温度の違いによらず、最適な燃料補正量を演算することのできる内燃機関の燃料制御装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に関連した装置による吸気管圧力変化量の演算動作を示すフローチャートである。
【図2】 この発明の実施の形態1に関連した装置による吸気管圧力変化量に対する上限値の演算動作を示すフローチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態1に関連した装置による吸気管圧力変化量の補正演算動作を示すタイミングチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態1に関連した装置による吸気管圧力変化量に対する上限値の補正用マップデータを示す説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による吸気管圧力変化量の演算動作を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態1による吸気管圧力変化量に対する上限値の演算動作を示すフローチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態1による初回加速判定手段の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態1による吸気管圧力変化量の補正演算動作を示すタイミングチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態1による吸気管圧力変化量に対する上限値の補正用マップデータを示す説明図である。
【図10】 従来の内燃機関の燃料制御装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)、3 スロットル弁、4a 吸気マニホルド、5 吸気管圧力センサ、6 スロットル開度センサ、7 冷却水温度センサ、8 クランク角センサ、9 空燃比センサ、10 コントロールユニット、11 インジェクタ、CA クランク角信号、F 初回加速判定実行フラグ、J 燃料噴射制御信号、K 漸減係数、Mp 上限値、Ne エンジン回転数、Pa 吸気管圧力、T スロットル開度、TB、TB1〜TB3 3次元テーブル、TE 判定期間、W 冷却水温度、Wo 所定温度、Ws 始動時水温、ΔPa、ΔPa(i) 吸気管圧力変化量(吸気変化量)、ΔPA、ΔPA(i) 最終吸気管圧力変化量、ΔPt、ΔPt(i) 漸減吸気管圧力変化量、S3 吸気管圧力変化量を演算するステップ、S11 加速を判定するステップ、S11A 始動後の初回加速を判定するステップ、S12 スロットル開度に応じた上限値を取得するステップ、S13 冷却水温度に応じた上限値を取得するステップ、S14、S36 最終的な上限値を演算するステップ、S15、S16、S40、S41 吸気管圧力変化量を上限値で制限するステップ、S20 エンジン始動時を判定するステップ、S23 始動後の経過時間を計測するステップ、S31 始動時水温に応じた上限補正値を取得するステップ、S32 始動時水温に応じた漸減係数を取得するステップ、S38 吸気管圧力変化量を漸減させるステップ。
Claims (3)
- 複数の気筒を有する内燃機関に対して気筒数よりも少ない数だけ設けられたインジェクタと、
前記内燃機関の温度を検出する温度検出手段と、
前記内燃機関の吸気量を検出する吸気量検出手段と、
前記吸気量を調整するスロットル弁の開度をスロットル開度として検出するスロットル開度検出手段と、
前記内燃機関の運転状態に応じて必要な基本燃料量を演算する基本燃料量演算手段と、
前記温度の上昇に応じて減少するように前記基本燃料量を補正する基本燃料量補正手段と、
前記吸気量の増大により前記内燃機関の加速状態を検出する加速状態検出手段と、
前記吸気量の所定期間内の変化を吸気変化量として演算する吸気変化量演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記吸気変化量の演算上の上限値を可変設定する上限値設定手段と、
前記吸気変化量に基づいて前記基本燃料量の補正量を演算する補正量演算手段とを備え、
前記加速状態検出手段は、前記内燃機関の始動後の初回の加速状態を判定する初回加速判定手段を含み、
前記上限値設定手段は、前記初回の加速状態が判定されたときに、前記上限値を通常よりも高い値に設定するとともに、前記内燃機関の始動時の温度の上昇に応じて減少するように前記上限値を設定することを特徴とする内燃機関の燃料制御装置。 - 前記初回加速判定手段は、前記初回の加速状態を判定するための判定期間が制限され、前記内燃機関の始動から前記判定期間の経過後に無効にされることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料制御装置。
- 前記初回加速判定手段は、前記内燃機関の始動時の温度が暖機状態に対応した所定温度以上の場合に、無効にされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の燃料制御装置。
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