JP2006249233A - 繊維強化プラスチックの製造方法および強化用繊維材料 - Google Patents

繊維強化プラスチックの製造方法および強化用繊維材料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、0.6デシテックス以下の細繊度の有機系繊維を均一に分散させ、かつ理論上からの強度特定劣化の少ない繊維強化プラスチックの製造方法とそれを可能とする強化用繊維材料を提供することにある。
【解決手段】海島状の断面を有する短繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック材料の製造方法であって、島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、海成分がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分がマトリックス樹脂より20℃以上高い融点又は熱分解温度をもつ樹脂からなる短繊維を、マトリックス樹脂中に溶融混練して得ることを特徴とする繊維強化プラスチック材料の製造方法により達成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチックの製造方法とその強化用繊維材料に関する。更に詳しくは、微細な有機系強化用繊維をマトリックス樹脂中に均一に分散する技術とそれを可能とする強化用繊維材料に関するものである。
プラスチック材料の機械的強度、剛性、耐衝撃強度等の向上のために、炭素繊維や金属繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を分散した繊維強化プラスチック(通常FRPと呼ばれる。)が知られている。ところが、近年の環境への配慮が高まるにつれ、リサイクル性や廃棄性に問題のあるガラス繊維等の無機系繊維からポリエチレンテレフタレート(PETと略す。)、ビニロン、ナイロン等の有機系繊維へ置き換える検討がされている(例えば、特許文献1、特許文献2など参照。)。
さらに0.6デシテックス以下の細繊度の繊維を補強繊維とする場合、凝集し易く、マトリックス樹脂中への分散が悪いこと、それに伴い連続成型における定量供給性が不均一になりやすく、目標とする機械的強度や耐衝撃強度を劣化させる傾向があった。
特許文献1、特許文献2共に、芯部を構成する樹脂の融点がマトリックス樹脂の成型温度より十分高く、鞘部を構成する樹脂の融点より20℃以上高い複合紡糸繊維であることを特徴とする有機繊維系強化材をマトリックス樹脂中に溶融混練成形することで、芯成分からなる強化繊維の分散性を向上させる繊維強化プラスチックの製法方法が提示されている。但し、このような芯鞘複合繊維は、細繊度化が難しく、芯成分からなる強化繊維の繊度が1.0デシテックスより小さくすることが困難であること、また芯比率を小さくすることにより芯繊度を小さくすることは、曳糸性が悪くなる方向で必ずしも紡糸ドラフトを上げて細繊度化できることには繋がらず、また、周囲の鞘樹脂成分の比率が多くなることで、強化繊維の密度や添加量を多くできないので十分な物性向上に繋がらないデメリットがあった。従って、0.6デシテックス以下の細繊度の有機系繊維を強化繊維として使用される実例はなかった。
特開平8−151483号公報 特開2003−96622号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、0.6デシテックス以下の細繊度の有機系繊維を均一に分散させ、かつ理論上からの強度特定劣化の少ない繊維強化プラスチックの製造方法とそれを可能とする強化用繊維材料を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。 即ち、本発明は、
(1) 海島状の断面を有する短繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック材料の製造方法であって、島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、海成分がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分がマトリックス樹脂より20℃以上高い融点又はガラス転移点をもつ樹脂からなる短繊維を、マトリックス樹脂中に溶融混練して得ることを特徴とする繊維強化プラスチック材料の製造方法、
(2) 海島状の断面を有する短繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック材料であって、海島状の断面を有する短繊維の島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、海成分がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分がマトリックス樹脂より20℃以上高い融点又はガラス転移点をもつ樹脂からなることを特徴とする繊維強化プラスチック用繊維材料、
(3) 海島状の断面を有する短繊維が、海島型の複合紡糸により得られることを特徴とする、(2)の繊維強化プラスチック材料、
(4) 海島状の断面を有する短繊維が、2成分以上の樹脂の混合紡糸により得られることを特徴とする、(2)の繊維強化プラスチック材料、
(5) 島成分がポリエチレンテレフタレートからなり、海成分がポリオレフィンからなる、(2)〜(4)記載の繊維強化プラスチック材料、
(6)島成分が脂肪族ポリアミドからなり、海成分がポリオレフィンからなる、(2)〜(4)記載の繊維強化プラスチック材料、
である。
本発明によれば、極細有機系繊維を強化用繊維として、高濃度で、分散性良く、かつ界面剥離による物性低下の少ない繊維強化プラスチックを提供することを可能とする。
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の繊維強化プラスチック材料はマトリックス樹脂と海島状の断面を有する短繊維からなる。
本発明の海島状の繊維断面を有する繊維材料は、海成分の樹脂の種類がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、島部を構成する樹脂の融点が、海部すなわちマトリックス樹脂成分を構成する樹脂の融点又はガラス転移点より20℃以上高い有機繊維であれば特に限定はされない。島部の樹脂の融点と、海部すなわちマトリックス樹脂の融点若しくはガラス転移点の差が20℃未満の場合は、繊維強化プラスチックの溶融成型時に島部が融けたり、軟化変形することで目的とする改質効果に劣るようになる。この場合、マトリックス樹脂が結晶性樹脂の場合には融点より20℃以上高く、一方マトリックス樹脂が非晶性樹脂の場合にはガラス転移点より20℃以上高くなるように島成分を構成する樹脂を選択することが好ましい。またガラス転移点(Tg)、融点(Tm)は示差走査熱量計(DSC)で測定して得たDSC曲線より常法により求める。
島部、海部、マトリックス部に用いられる樹脂成分としては特に限定されないが、従来より使用されている成型用樹脂等を用いることができる。島部に用いられる合成樹脂成分としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリパラフェニレンスルフィド系、ポリエーテルケトン系、全芳香族ポリエステル系などがあげられるが、これらの樹脂成分は単一もしくは混合されて用いることもできる。一方、海部の有機繊維に用いられる合成樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系、脂肪族ポリアミド系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系などがあげられ、これらの樹脂成分は単一もしくは混合されて用いることもできるが、海部を構成する主成分はマトリックス樹脂と同種でなければならない。ここで主成分とは具体的には70重量%以上、好ましくは90重量%以上を指す。また、同種とは、同一の繰返し単位の化学式(分子構造)を持つという意味であり、含まれる副生成物や不純物、平均分子量等は海成分とマトリックス樹脂成分で異なっていてもよい。この理由は、マトリックス樹脂成分と海成分の繰返し単位の化学式(分子構造)が同一の樹脂が含まれないと、海成分とマトリックス樹脂成分の相溶性に差が生じ、目的とする細繊度繊維の均一分散性や界面剥離抑制が達成されないからである。繊維化や海島断面形成性、製品の成形性、製品物性等の観点から、マトリックス樹脂と海成分樹脂のメルトフローレイト(以下、MFRと略す。)が異なっていても特に問題にはならない。また、界面剥離を抑制するための相溶化剤や溶融粘度調整のための減粘剤、又は第3成分の樹脂(例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィンやアイオノマー等、他のポリマーの官能基と反応して界面接着を起こす樹脂、ポリエーテルポリエステル系エラストマー、ポリエステルポリエステル系エラストマー、スチレンブタジエンラバー、等耐衝撃強度を向上させる樹脂、等)が目的に応じて含まれていてもよい。これらの中で、操作性、コストの観点から好ましく用いられるのは、島部としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等の脂肪族ポリアミド類、海部すなわちすなわちマトリックス樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン類の組み合わせである。
海島状断面の繊維材料の製造方法は、海成分、島成分である樹脂を各々溶融して公知である海島型複合口金(例えば、最新の紡糸技術(繊維学会編 1992年刊)215p 図6 等を参照。)を用いて複合し、口金より吐出させ、口金下で冷却後、ドラフトを掛けながら巻き取る複合紡糸法によって得る未延伸糸を延伸することで得る方法が挙げられる。海/島の比率は特に限定されないが、適用する繊維強化プラスチックの設計上に応じて決められる。高濃度の極細繊維を得たい場合は、海に対する島の重量比をできるだけ多くする方がよいが、あまり多くしすぎると分散性が悪化する懸念があるので、適切な範囲としては島比率が30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%である。また、本発明において、「海島状」とは島の数が2以上の場合を言い、いわゆる「芯鞘型」断面の複合繊維は含まれない。好ましい島の数は、繊度にもよるが、3〜1000、さらに好ましくは7〜100である。
その他の海島状断面繊維材料の製造方法として、混合紡糸法がある。具体的には、互いに非相溶である海成分、島成分の樹脂を溶融時に混練して口金より吐出させ、口金下で冷却後、ドラフトを掛けながら巻き取って得る未延伸糸を延伸することで得る。互いに非相溶の樹脂が相分離を起こし、溶融粘度や界面張力、樹脂の重量比率により、海島状に分離し、島が不連続の極細繊維となっている。島の数はコントロールできないが、島の平均繊度は相溶化剤や海成分樹脂と島成分樹脂の分子量選択や相溶化剤または減粘剤の添加等によって変化し得る。一般に高粘度側又は重量成分比の少ない樹脂が島成分となる傾向があるので、島成分の比率を上げるためには、海成分の溶融粘度が下がるように分子量や添加剤を選択するか、もしくは溶融粘度の高い島成分を選択するとよい。海/島の比率、島の平均繊度は特に限定されないが、適用する繊維強化プラスチックの設計上に応じて決められる。高濃度の極細繊維を得たい場合は、海に対する島の重量比をできるだけ多くする方がよいが、あまり多くしすぎると分散性が悪化する懸念があるので、適切な範囲としては島比率が30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%である。また、島の平均繊度は、同様の理由で、0.001〜0.1デシテックス、好ましくは0.005〜0.05デシテックスが好ましいと思われる。
本発明の繊維材料を用いて繊維強化プラスチックを成形するにあたって、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で公知のタルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤や添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。成形には、公知方法、例えば、射出成形,押出成形,ブロー成形などを適用することができる。
本発明の繊維材料とマトリックス樹脂を用いて繊維強化プラスチックを成形する方法は特に限定はされないが、例えば、本発明の繊維材料とマトリックス樹脂成分を押出機などの公知の装置を用いて溶融混練してペレット状にしたものを射出成形する方法、また繊維材料とマトリックス樹脂成分とを押出機より溶融混練してシート状、環状などの形状に直接成形する方法、繊維材料を織物、不織布、マット状等に加工した後にマトリックス樹脂成分を溶融し含浸させ成形する方法などに用いることができる。但し、多くの場合、繊維材料を成型する際に、製糸プロセス上の潤滑又は集束のために、鉱物油系やアルキル燐酸塩等の油剤を繊維表面に付着しているが、溶融成型時にかかる高温で油剤が熱分解、発泡するために、繊維材料とマトリックス樹脂間で界面剥離を起こすことがあり、メタノールやアセトン、または水洗によって脱油しておくことが好ましい。
繊維材料の繊維長は特に限定を受けないが、溶融成型時に0.6デシテックス以下の島繊維がより均一に分散するためには0.05〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmの範囲が良い。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)極限粘度(〔η〕)
ポリエステルの場合、オルトクロロフェノールを溶媒として、温度35℃で測定した。また、ポリアミドの場合、メタクレゾールを溶媒として、温度35℃で測定した。
(2)メルトフローレイト(MFR)
JIS K7210記載の方法に従った。
(3)融点(Tm)
JIS K7121記載の示査走査熱量測定(DSC)に従って得たDSC曲線における吸熱ピーク温度として定義した。
(4)繊度
JIS L 1015 7.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(5)引張強さ
JIS−K7113に準拠して測定した。
(6)曲げ弾性率
JIS−K7203に準拠して測定した。
(7)シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)
JIS−K7111に準拠して測定した。
(8)強化繊維分散性
液体窒素中で凍結した繊維強化プラスチック成型サンプルを剃刀でスライスし、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、繊維の分散状態を目視により下記の基準で評価した。
レベル1 均一に分散しており、凝集塊が認められない。
レベル2 分散が不均一であるが、凝集塊には殆どなっていない。
レベル3 粒状の凝集塊が多数認められる。
[実施例1]
MFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)と、120℃で16時間真空乾燥した固有粘度[η]が0.64、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を各々別のエクストルーダーで溶融し、各々250℃と280℃の溶融ポリマーとして、前者を海成分A、後者を島成分Bとし、複合比率A:B=50:50(重量比)として、335孔を有する19島の海島型複合紡糸口金を用いて、複合化して溶融吐出させた。この際、口金温度は280℃、吐出量は330g/分であった。さらに、吐出ポリマーを口金下60mmの位置で30℃の冷却風で空冷し1150m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中で3倍に延伸した後、ラウリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を0.1重量%付与した後、110℃で60分間乾燥した後、ギロチンカッターで1mmの繊維長にカットした。このとき得られた短繊維の繊度は3.2デシテックスであり、島PET成分の繊度は0.085デシテックスであった。
得られたカット繊維材料とマトリックス樹脂としてMFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)とをバンバリーミキサーを用いて170℃で混練して、ペレットを得た。なお、混合比は、繊維材料/マトリックス樹脂=30/70(重量比)である。得られたペレットを用い、設定温度190℃で射出成形により試験片を作製し、各物性評価を行った。
本例の実施条件と得られた結果の集約を表1に示す。
[比較例1]
固有粘度0.5dl/gのポリエチレンテレフタレート100重量%をエクストルーダーに供給し、溶融温度290℃で、2100孔有する丸孔口金より吐出させた。このときの口金温度は280℃、吐出量は350g/分であった。さらに、吐出ポリマーを口金下30mmの位置で30℃の冷却風で空冷し1100m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を70℃の温水中で4.0倍に延伸した後、ラウリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を0.1重量%付与した後、130℃で60分間乾燥した後、ギロチンカッターで1mmの繊維長にカットした。このとき得られた短繊維の繊度は0.42デシテックスであった。
得られたカット繊維材料とマトリックス樹脂としてMFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)とをバンバリーミキサーを用いて170℃で混練して、ペレットを得た。なお、混合比は、繊維材料/マトリックス樹脂=15/85(重量比)である。得られたペレットを用い、設定温度190℃で射出成形により試験片を作製し、各物性評価を行った。
本例の実施条件と得られた結果の集約を表1に示す。
[比較例2]
MFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)と、120℃で16時間真空乾燥した固有粘度[η]が0.64、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を各々別のエクストルーダーで溶融し、各々250℃と280℃の溶融ポリマーとして、前者を鞘成分A、後者を芯成分Bとし、複合比率A:B=50:50(重量比)として、900孔有する芯鞘型複合紡糸口金を用いて、複合化して溶融吐出させた。この際、口金温度は280℃、吐出量は150g/分であった。さらに、吐出ポリマーを口金下30mmの位置で30℃の冷却風で空冷し1150m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中で3倍に延伸した後、ラウリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を0.1重量%付与した後、90℃で60分間乾燥した後、ギロチンカッターで1mmの繊維長にカットした。このとき得られた短繊維の繊度は1.2デシテックスであり、芯PET成分の繊度は0.6デシテックスであった。
得られたカット繊維材料とマトリックス樹脂としてMFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)とをバンバリーミキサーを用いて170℃で混練して、ペレットを得た。なお、混合比は、繊維材料/マトリックス樹脂=30/70(重量比)である。得られたペレットを用い、設定温度190℃で射出成形により試験片を作製し、各物性評価を行った。
本例の実施条件と得られた結果の集約を表1に示す。
[比較例3]
強化用繊維材料を加えず、マトリックス樹脂100%とした他は、実施例1と同様に試験片を作成した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
190℃で測定したメルトインデックスが50g/10分の融点103℃の低密度ポリエチレン50重量%と、固有粘度1.35dl/gのナイロン−6(NY6;Tm=215℃)50重量%とを、チップで混合してエクストルーダーに供給し、溶融温度250℃で、1000孔有する丸孔口金より吐出させた。このときの口金温度は230℃、吐出量は1000g/分であった。さらに、吐出ポリマーを口金下30mmの位置で30℃の冷却風で空冷し650m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を70℃の温水中で2倍に延伸した後、ラウリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を0.1重量%付与した後、50℃で60分間乾燥した後、ギロチンカッターで1mmの繊維長にカットした。このとき得られた短繊維の繊度は9デシテックスであり、その断面において島成分であるNY6成分が多数分散しており、その平均繊度は0.004デシテックスであった。
得られたカット繊維材料とマトリックス樹脂としてMFRが20g/10分、Tmが105℃の低密度ポリエチレン(LDPE)とをバンバリーミキサーを用いて170℃で混練して、ペレットを得た。なお、混合比は、繊維材料/マトリックス樹脂=30/70(重量比)である。得られたペレットを用い、設定温度190℃で射出成形により試験片を作製し、各物性評価を行った。
本例の実施条件と得られた結果の集約を表1に示す。
[実施例3]
190℃で測定したメルトインデックスが50g/10分の低密度ポリエチレン45重量%と190℃で測定したメルトインデックスが8g/10分の無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン5重量%、固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート50重量%とを、チップで混合してエクストルーダーに供給し、溶融温度285℃で、1000孔有する丸孔口金より吐出させた。このときの口金温度は280℃、吐出量は700g/分であった。さらに、吐出ポリマーを口金下30mmの位置で30℃の冷却風で空冷し200m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を70℃の温水中で2.5倍に延伸した後、ラウリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を0.1重量%付与した後、90℃で60分間乾燥した後、ギロチンカッターで3mmの繊維長にカットした。このとき得られた短繊維の繊度は15デシテックスであり、その断面において島成分であるNY6成分が多数分散しており、その平均繊度は0.0015デシテックスであった。
得られたカット繊維材料とマトリックス樹脂としてMFRが20g/10分、Tmが105℃の低密度ポリエチレン(LDPE)とをバンバリーミキサーを用いて170℃で混練して、ペレットを得た。なお、混合比は、繊維材料/マトリックス樹脂=30/70(重量比)である。得られたペレットを用い、設定温度190℃で射出成形により試験片を作製し、各物性評価を行った。
本例の実施条件と得られた結果の集約を表1に示す。
[比較例4]
強化用繊維材料を加えず、マトリックス樹脂100%とした他は、実施例2と同様に(実施例3とも同一)試験片を作成した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2006249233
本発明によれば、極細有機系繊維を強化用繊維として、高濃度で、分散性良く、かつ界面剥離による物性低下の少ない繊維強化プラスチックを提供することができ、工業的な意義は大きい。

Claims (6)

  1. 海島状の断面を有する短繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック材料の製造方法であって、島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、海成分がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分がマトリックス樹脂より20℃以上高い融点又はガラス転移点をもつ樹脂からなる短繊維を、マトリックス樹脂中に溶融混練して得ることを特徴とする繊維強化プラスチック材料の製造方法。
  2. 海島状の断面を有する短繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック材料であって、海島状の断面を有する短繊維の島成分の繊度が0.6デシテックス以下であって、海成分がマトリックス樹脂と同種類の樹脂を主成分とし、島成分がマトリックス樹脂より20℃以上高い融点又はガラス転移点をもつ樹脂からなることを特徴とする繊維強化プラスチック材料。
  3. 海島状の断面を有する短繊維が、海島型の複合紡糸により得られることを特徴とする、請求項2記載の繊維強化プラスチック材料。
  4. 海島状の断面を有する短繊維が、2成分以上の樹脂の混合紡糸により得られることを特徴とする請求項2記載の繊維強化プラスチック材料。
  5. 島成分がポリエチレンテレフタレートからなり、海成分がポリオレフィンからなる、請求項2〜4いずれか1項記載の繊維強化プラスチック材料。
  6. 島成分が脂肪族ポリアミドからなり、海成分がポリオレフィンからなる、請求項2〜4いずれか1項記載の繊維強化プラスチック材料。
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