JP2006249227A - 艶消し粉体塗料用樹脂組成物、艶消し粉体塗料及びそれを用いた塗装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 艶消し効果に優れ、かつ得られる塗膜の耐候性、平滑性、機械物性及び耐湿性に優れる粉体塗料を与えることができる粉体塗料用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 50以下の酸価を有し、かつカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂と、70以上の酸価を有し、かつポリエステルポリオールに由来する構造単位を有す結晶性ポリウレタン樹脂と、カルボキシル基と反応する官能基を有する化合物からなる硬化剤とを含有してなる、艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、艶消し効果に優れた粉体塗料を製造する際に使用する粉体塗料用樹脂組成物に関する。
大気汚染などの環境問題の観点より、有機溶剤を含有しない塗料の一形態である粉体塗料の使用量は、年々増加している。かかる粉体塗料の用途としては、家電・建材用などのような金属製品の塗装用をはじめ多岐に亘る。
現在、実用に供されている粉体塗料では、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系のものが主に知られている。
これらのうち、水酸基やカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂と硬化剤とを組み合わせたポリエステル樹脂系粉体塗料、中でも、非結晶性ポリエステル樹脂とエポキシ基含有アクリル樹脂又はヒドロキシアクリルアミドなどの硬化剤とを組み合わせたポリエステル樹脂系粉体塗料は、耐候性、機械物性に優れるなどバランスのとれた塗膜性能を有する他に、安全性や硬化時に有機化合物を発生しないなど優れた特長を有する。
また近年、特に屋外用途向けなどに優れた耐候性や意匠性を具備するという市場ニーズの多様化に対応した粉体塗料が望まれてきている。中でも、今後は、溶剤系塗料からの切り替え需要などから、艶消し粉体塗料、とりわけ耐候性に優れる艶消し粉体塗料は、最も必要性が高いと考えられてきている。
前述したような、非結晶性ポリエステル樹脂と硬化剤とからなるポリエステル系粉体塗料では、一般的にシリカなどの艶消し顔料を添加し、艶消し塗料を作成しているのが現状であるが、艶消し顔料の艶消し効果は十分ではなく、また、塗料作成時にシリカによる粉砕機械の摩耗が生じるなど問題点が多い。
近年、別の艶消し手法として、特定のアクリル樹脂と特定のポリエステル樹脂の組み合わせによる艶消し方法(例えば、特許文献1参照。)や酸価の異なる2種類のポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルアミドの組合せによる艶消し方法(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
しかしながら、前記の従来の技術はいずれも近年高まっている平滑性に対する要求に対して十分とは言えなくなってきており、また、溶剤系塗料から粉体塗料への置き換えの際に必要となる耐湿性も不十分であった。
一方で耐候性、平滑性、耐湿性、耐衝撃性等に優れる方法として、特定の非結晶性ポリエステル樹脂と特定の結晶性ポリエステルポリウレタン樹脂と硬化剤からなる組成物(例えば、特許文献3参照。)等が提案されているが、艶消し塗料については特に言及されていない。
特開平7−070714号公報 特開平10−7944号公報 特開2002−249710号公報
環境対応型塗料である粉体塗料をますます普及させるためには、耐候性、平滑性に優れ、しかも塗膜性能バランスにも優れる艶消し粉体塗料用樹脂組成物がどうしても必要であるが、前記したように従来の技術ではかかる要求性能を満足するものはなかった。
本発明の目的は、艶消し効果に優れ、かつ得られる塗膜の耐候性、平滑性、機械物性及び耐湿性に優れる粉体塗料を与えることができる粉体塗料用樹脂組成物を提供することにある。
そこで、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の欠点・問題点を解消するべく、加えて、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂と、特定の結晶性ポリウレタン樹脂と、硬化剤を必須の皮膜形成成分として含有することから成る粉体塗料用樹脂組成物が、艶消し効果、耐候性、塗膜の平滑性などに優れ、極めて実用性の高い粉体塗料を与えること等を見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、50以下の酸価を有し、かつカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(A)と、70以上の酸価を有し、かつポリエステルポリオールに由来する構造単位を有す結晶性ポリウレタン樹脂(B)と、カルボキシル基と反応する官能基を有する化合物からなる硬化剤(C)とを含有してなる、艶消し粉体塗料用樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料を基材上に塗布し、次いで加熱硬化せしめてなる塗装体を提供するものである。
本発明によれば、艶消し効果に優れ、かつ得られる耐候性、平滑性、機械物性及び耐湿性等に優れた塗膜を形成可能な粉体塗料を提供可能な、艶消し粉体塗料用樹脂組成物を得ることができる。したがって、本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料は、従来の溶剤系塗料に代替することが可能であり、自動車車体、建材類、プラスチック製品、木工諸製品類の塗装用途に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で使用する50以下の酸価を有し、かつカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(A)について説明する。
非結晶性とは、示差走査型熱量計を用いて、JIS K7121の条件に従って得られる示差走査熱量測定(DSC)曲線において、結晶化ピーク温度を示さないことを意味する。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)は、従来から公知の、例えばエステル化反応、エステル交換反応等の反応方法で製造することができる。
すなわち、多価カルボン酸と多価アルコールとを加熱条件下で脱水縮合反応させることにより製造することができる。この場合、使用する多価カルボン酸及び多価アルコールの種類や樹脂化後の冷却速度等を適宜調整することにより、非結晶性のポリエステル樹脂(A)を得ることができる。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)にカルボキシル基を導入するには、例えば多価カルボン酸と多価アルコールとを、水酸基に対してカルボキシル基過剰の当量比で反応させる方法、多価カルボン酸の無水物を開環付加反応させる方法等が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)を製造する際に使用することができる多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸やテレフタル酸、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式ジカルボン酸類、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、(無水)イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類があげられる。また(無水)トリメリット酸や(無水)ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸、さらにP−オキシ安息香酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
また非結晶性ポリエステル樹脂(A)を製造する際に使用することができる多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂は、その顔料分散性や粉体塗料の安定性などに優れることから、粉体塗料に広く用いられており、非結晶性のポリエステル樹脂を得るには、従来より公知の手法を採用すればよい。例えば、前記多価カルボン酸の中から2種以上を組み合わせて使用することにより、得られるポリエステル樹脂の結晶化が阻害され、非結晶性のポリエステル樹脂が得られる。また前記多価カルボン酸の中でも、イソフタル酸、(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸など結晶化を阻害する性質を有するものを使用することで、非結晶性のポリエステル樹脂を得ることができる。
また、前記多価アルコールの中でも、ネオペンチルグリコールやブチルエチルプロパンジオールなど側鎖にアルキル基を有するものを使用することにより、得られるポリエステル樹脂の結晶化が阻害され、非結晶性のポリエステル樹脂が得られる。
これらのなかでも、得られる粉体塗料の保存安定性や塗膜物性、艶消し効果等の総合的なバランスを考慮すると、多価カルボン酸としては、イソフタル酸やテレフタル酸等芳香族2塩基酸が好ましい。炭素鎖が直鎖状の脂肪族2塩基酸類は、軟化点の調整など必要な場合にだけ少量用いることが好ましい。特に、多価カルボン酸としてイソフタル酸とテレフタル酸の2種類を主成分とした場合、軟化点が高い非結晶性ポリエステルが得られ、粉体塗料の保存安定性に優れることから好ましい。また、多価アルコールとしては、同様の理由からネオペンチルグリコールが好ましい。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)が有する酸価は、後述する結晶性ポリエステル樹脂(B)が有する酸価との差が大きいほど、十分な艶消し効果を得ることができ、具体的には非結晶性ポリエステル樹脂(A)が有する酸価は50以下であり、20〜40の範囲がより好ましい。酸価が20以下の場合、架橋密度が下がり機械物性が低下する場合があるので注意する必要がある。
また非結晶性ポリエステル樹脂(A)が有する軟化点は、特に制限されないが、耐ブロッキング性及び塗膜の平滑性の点で、80〜150℃が好ましく、より好ましくは100〜120℃の範囲である。該樹脂の軟化点がこの範囲であると、耐ブロッキング性が高く、塗膜の平滑性に優れる。
さらに、非結晶性ポリエステル樹脂(A)が有する数平均分子量は特に制限されないが、貯蔵安定性及び塗膜の平滑性の点で、1000〜10000が好ましく、2000〜6000の範囲が特に好ましい。該樹脂の数平均分子量がこの範囲であると、粉体塗料の貯蔵安定性が優れるし、塗膜の平滑性に優れるものとなる。
次に、本発明に使用する70以上の酸価を有し、かつポリエステルポリオールに由来する構造単位を有す結晶性ポリウレタン樹脂(B)について説明する。
ここで結晶性とは、示差走査型熱量計を用いて、JIS K7121の条件に従って得られる示差走査熱量測定(DSC)曲線において、結晶化ピーク温度を示すことを意味する。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)の結晶化ピーク温度は、30〜150℃の範囲であることが好ましく、50〜130℃の範囲が特に好ましい。該樹脂の結晶化ピーク温度が30〜150℃の範囲であれば、粉体塗料の貯蔵安定性が優れ、また、塗料化時の溶融混練が容易となるため好ましい。
前記結晶化ピーク温度は、JIS K7121 プラスチックの転移温度測定方法に記載の示差走査熱量測定(DSC)曲線のピーク温度により求められる数値に基づくものである。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)の溶融粘度は、硬化温度での粘度が低く、良好な平滑性を得るためには、180℃で5Pa・s以下であることが好ましく、0.005〜2Pa・sであることが特に好ましい。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)が有する酸価は70〜300の範囲であり、艶消し効果をより優れたものにするためには、200〜300の範囲がより好ましい。該酸価が70より小さい場合には、目的の艶消し効果が十分ではなく、300以上では目的の結晶性を有するポリエステルが得られにくい。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)は、従来から公知の、例えばあらかじめ多価カルボン酸とポリオールとを、縮合反応せしめて作成したポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの付加反応等の反応方法で製造することができる。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)を製造する際に使用する、ポリエステルポリオールを製造する際に使用することができる多価カルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式ジカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類などが挙げられる。
また、トリメリット酸やピロメリット酸等の3官能以上のカルボン酸及びその無水物、さらにP−オキシ安息香酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸を併用することができる。これらのなかでも、炭素原子数が2〜22の偶数で炭素鎖が直鎖状の脂肪族ジカルボン酸類またはテレフタル酸が、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化ピーク温度のコントロールの上で好ましい。これらの中でも特に、炭素原子数が12以下のものが好ましい。
また、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を製造する際に使用する、ポリエステルポリオールを製造する際に使用することができる多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。これらのなかでも、溶融粘度を低くし、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化ピーク温度をコントロールするためには、炭素原子数が2〜20の偶数である直鎖状脂肪族ジオールが特に好ましい。
なかでも、テレフタル酸、コハク酸及びドデカンジ酸からなる群より選ばれたいずれか一種を主成分とする多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,4ブタンジオール及び1,6ヘキサングリコールからなる群より選ばれたいずれか一種を主成分とする多価アルコールとを用いて反応させて得られたポリエステルポリオールが好ましく、特にテレフタル酸と1,6ヘキサンジオールの組み合わせ、コハク酸と1,4ブタンジオールの組み合わせがより好ましい。かかるポリエステルポリオールを使用することにより、最終的に得られる粉体塗料の艶消し効果を優れたものとすることができる。ただし、複数の種類の多価カルボン酸や多価アルコールを組み合わせた場合、結晶性が低下し、艶消し効果や塗料の保存安定性が低下することがあるので注意が必要である。
次に、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を製造する際に使用することができるポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートやこれらの水添物、そして、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのジイソシアネートと2官能以上のポリオールとの反応生成物や、ジイソシアネートのイソシアヌレート化物も使用できる。これらのなかでも、低粘度化及び結晶化度の面から、ジイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートと、前記ポリエステルポリオールとの反応は、ポリエステルポリオールが溶融流動化する100〜200℃の温度範囲で行うことができ。その際に錫化合物などの反応触媒を用いることもできる。また、後述するプレポリマー法において、ポリウレタン樹脂中のウレタン結合の濃度を向上させて、ポリウレタン樹脂の結晶性をコントロールするために、鎖伸長剤を使用することも可能である。
本発明に使用する結晶性ポリウレタン樹脂(B)は、従来から公知の、例えばいわゆるワンショット法、プレポリマー法等の反応方法で製造することができる。
すなわち、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させるか、またはポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させ末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを生成し、得られたプレポリマーにポリオールまたはアミン化合物等の鎖伸長剤を反応させることによって、結晶性ポリウレタン樹脂(B)を得ることができる。この場合、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤の使用の有無及び樹脂化後の冷却速度等を適宜調整することにより、結晶性のポリウレタン樹脂を得ることができる。
鎖伸長剤として代表的なものを挙げれば、前記に示したエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオールや、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミンが挙げられる。
結晶性ポリウレタン樹脂(B)にカルボキシル基を導入するには、例えば前記多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させてポリエステルポリオールを作成する際に、水酸基とともにカルボキシル基を有するかたちとし、ポリイソシアネートと反応させる方法、あるいは、前記ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応の際にポリイソシアネートに対してポリエステルポリオールが過剰になるよう反応させて得られる水酸基末端を有するポリエステルポリウレタンに、多価カルボンの無水物を開環付加反応させる方法等が挙げられる。
特に、多価カルボンの無水物である無水トリメリット酸や無水コハク酸を付加する方法が酸価の調整など製造の簡便さより好ましい。そのほか使用できる無水物として、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂(A)と結晶性ポリウレタン樹脂(B)の使用割合は、質量比で(A)/(B)=95/5〜40/60の範囲が好ましく、90/10〜60/40の範囲が特に好ましい。かかる範囲であれば、得られる粉体塗料の艶消し効果が良好であり、塗膜の平滑性、機械物性及び耐湿性にも優れるので好ましい。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を塗膜化した際に、優れた艶消し効果が発現する理由は明らかではないが、結晶性ポリウレタン樹脂(B)は特異的な結晶化ピーク温度を有するため、粉体塗料を塗装焼き付けした際の加熱、溶融硬化挙動が非結晶性ポリエステル樹脂(A)と異なることにより塗膜中に不均一な硬化が生じ、光を乱反射し光沢を落とす微細な凹凸が生じることが、その理由の一つとなっていると推察される。
次に、本発明で使用するカルボキシル基と反応する官能基を有する化合物からなる硬化剤(C)について説明する。硬化剤(C)は、非結晶性ポリエステル樹脂(A)及び結晶性ポリウレタン樹脂(B)が有するカルボキル基と反応して硬化させる化合物である。
硬化剤(C)として使用することができるものとしては、例えばヒドロキシアルキルアミド類;、グリシジル基を含有するアクリル樹脂、グリシジル基を含有するポリエステル樹脂、グリシジル基を含有するポリエーテル樹脂、グリシジル基を含有するポリアミド樹脂、グリシジル基を含有するポリオレフィン樹脂及びグリシジル基を含有するポリ酢酸ビニル樹脂など;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェニールなどを原料とするジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性型エポキシ樹脂;
トリグリシジルイソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジル基を有する化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの水酸基含有化合物;テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン化合物を挙げることができる。
これらの化合物のうち、塗膜の平滑性、安全性、耐候性、加工性の点を考慮すると、ヒドロキシアルキルアミド及びグリシジル基含有アクリル樹脂が特に好ましい。
ヒドロキシアルキルアミドは、下記一般式〔I〕で示されるものである。
[HO−CH(R)―CH―N(R)−CO―]―A―[−CO−N(R)―CH―CH(R)−OH] ……〔I〕
[式中、Rは水素原子又は炭素数1から5までのアルキル基、Rは炭素数1から5までのアルキル基、又は下記一般式〔II〕で示される基、Aは多価の有機基、mは1又は2、nは0、1又は2(mとnの合計は、少なくとも2である。)を表わす。]
一般式〔II〕;HO−CH(R)−CH
[式中、Rは水素原子又は炭素数1から5までのアルキル基を表わす。]
前記一般式〔I〕中のAは、脂肪族、脂環族又は芳香族炭化水素であることが好ましく、炭素数2から20の脂肪族、脂環族又は芳香族炭化水素がより好ましく、炭素数4から10の脂肪族炭化水素が更に好ましい。
また、前記一般式〔I〕におけるmとnの合計は、2又は3又は4であることが好ましい。
前記ヒドロキシアルキルアミドは、例えば、カルボン酸やその低級アルキルエステルとヒドロキシアルキルアミンとを反応させることで製造することができる。
かかるカルボン酸やその低級アルキルエステルとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチルなどが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミンなどが挙げられる。
硬化剤(C)として使用可能なヒドロキシアルキルアミドの中でも、最も好ましい化合物の一つとして、β−ヒドロキシアルキルアミドである、「プリミドXL−552」(スイス国 エムス社製)を挙げることができる。
また、グリシジル基含有アクリル樹脂も、硬化剤(C)として好ましいものの1つである。
このグリシジル基含有アクリル樹脂の軟化点は80℃〜140℃の範囲が好ましく、90℃〜120℃の範囲がより好ましい。軟化点が前記範囲であれば、得られる粉体塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)及び流動性が良好で、塗膜の平滑性に優れるので好ましい。
グリシジル基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、1000〜15000の範囲が好ましく、4000〜10000の範囲内がより好ましい。数平均分子量が前記範囲であれば、塗膜の機械物性が良好で、塗膜の平滑性に優れるので好ましい。
グリシジル基含有アクリル樹脂の製造方法は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレ−ト等のグリシジル基含有モノマーと、必要に応じてその他のビニル系モノマーとを、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等の公知慣用の重合方法によりラジカル重合反応させる方法が挙げられる。
前記その他のビニル系モノマーとして使用することができるものは、ヒドロキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、(メタ)アクリロニトリル化合物類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、酢酸ビニル等のカルボン酸のビニル系モノマー類等が挙げられる。
前記グリシジル基含有アクリル樹脂における、グリシジル基含有モノマー由来の構成単位の含有量としては、反応性の点から、10〜70質量%が好ましく、特に20〜60質量%の範囲内がより好適である。
また、例えばブロックポリイソシアネート化合物、ε−カプロラクタムでブロックされたイソホロンジイソシアネート[「ベスタゴンB−1530」(ヒュルス社製)等]やウレトジオン結合で内部ブロック化されたブロックイソシアネート[「ベスタゴンBF−1540」(ヒュルス社製)等]なども場合により、併用することが出来る。
カルボキシル基と反応する官能基を有する硬化剤(C)の配合量は、〔非結晶性ポリエステル樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(B)が有するカルボキシル基の全モル数〕/〔硬化剤(C)が有するカルボキシル基と反応する官能基のモル数〕が、2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲となることが好ましい。更に好ましくは1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内である。かかる範囲内であれば、良好な艶消し効果が得られる。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物には、前記した非結晶性ポリエステル樹脂(A)、結晶性ポリウレタン樹脂(B)及び硬化剤(C)以外にも、必要に応じて、前記硬化剤(C)以外の硬化剤、表面調製剤、エポキシ樹脂、顔料、硬化促進剤などの添加剤類を適宜添加することができる。艶消し粉体塗料用樹脂組成物は、これらの、原料を公知の手法により混合することにより得ることができる。
次ぎに本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料について説明する。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて本発明の艶消し粉体塗料を調製するには、公知慣用の種々の方法を利用し適用できる。
具体的には、本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を構成する必須成分である非結晶性ポリエステル樹脂(A)、結晶性ポリウレタン樹脂(B)、硬化剤(C)、及び必要に応じて、前記したような添加剤類を公知の手法により混合して粉体塗料用樹脂組成物を得たのち、該粉体塗料用樹脂組成物を押出機等を用いて溶融混練し、得られた固形塗料を微粉砕せしめる方法、いわゆる機械粉砕方式により製造することができる。他にも方法があるが、前記の方法が特に簡便であるので好ましい。
本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料は、艶消し効果、耐候性、塗膜の平滑性、加工性等の性能(以下、機械物性という。)、耐湿性等に優れた塗膜を形成することができ、自動車車体又は自動車(用)部品類、輪車または二輪車(用)部品類、門扉又はフェンス類の如き各種の建材類、アルミサッシ類の如き各種の建築内外装用資材類、アルミホイールなどのような種々の鉄又は非鉄金属類の諸素材、プラスチック製品、木工諸製品類などの用途に適用することができる。
次ぎに本発明の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料を、基材上に塗布し、次いで加熱硬化せしめてなる塗装体について説明する。
本発明の塗装体は、前記で得られる本発明の艶消し粉体塗料を、公知慣用の種々の塗装方法によって、基材上に塗装し、次いで、加熱硬化(焼き付け)することにより形成される硬化塗膜と前記基材とからなるものである。
前記艶消し粉体塗料の基材への塗装方法としては、例えば、静電粉体塗装法、摩擦耐電法、流動浸漬法等にが挙げられる。
塗装膜厚は特に限定されないが、通常30μm〜150μm、特に40μm〜100μmの範囲が好適である。
また、塗装膜の加熱硬化(焼き付け)条件は、140〜210℃の乾燥炉で20〜60分間であることが好ましい。
前記の基材としては、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板、ブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類、瓦類、ガラス類、各種の無機質建材類、耐熱性のあるプラスチック、木材などが挙げられ、具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類、二輪車または二輪車(用)部品類、門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類、アルミサッシ類の如き、各種の建築内外装用資材類、アルミホイールなどのような種々の鉄ないしは非鉄金属類の諸素材ないしはプラスチック製品、木工諸製品類などがある。また、それらに化成処理、リン酸亜鉛処理、クロメート処理などの表面処理したものや、電着塗装を施されたものも含まれる。
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明する。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、質量基準であるものとする。また、参考例の特性値は、以下の方法により測定または評価した。
〔水酸基価〕
無水酢酸とピリジンとの混合溶液に樹脂試料を溶解して、100℃で一時間加熱環流し、水酸基をアセチル化し、次いでイオン交換水を加えてさらに加熱環流した後、冷却し、水酸化カリウムのトルエン/メタノール溶液で逆滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
〔酸価〕
ベンジルアルコール、必要に応じシクロヘキサノン、N―メチルピロリドンに樹脂試料を溶解して、0.1規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
〔軟化点〕
環球式自動軟化点試験器[明峰社製作所(株)製]を用い、グリセリンの加熱浴で3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化し始め、球が落下した時の温度を測定した(単位:℃)。
〔結晶化ピーク温度〕
DSC−3100型示差走査型熱量計〔マックサイエンス社(製)〕を用い、JIS K7121に従って測定した(単位:℃)。
〔溶融粘度〕
コーンプレート型粘度計CV−1S〔東亜工業株式会社(製)〕を用い、コーンCP−5で回転数750rpmに設定して、プレート温度180℃での溶融粘度を測定した(単位:Pa・s)。
参考例1〔カルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の調製〕
攪拌機、温度計、精留塔及び窒素ガス導入口を備えた反応容器にネオペンチルグリコール430部、トリメチロールプロパン10部、テレフタル酸500部、イソフタル酸120部及びジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で攪拌を行いながら240℃まで5時間を要して昇温した。240℃で脱水縮合反応を続行せしめ、酸価が10以下になった事を確認した後、180℃まで降温し、イソフタル酸100部を加え、再び、240℃まで5時間を要して昇温した。そのまま240℃で脱水縮合反応を続行せしめ、酸価29、軟化点115℃のポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂(A−1)と略記する。
参考例2〔酸価50を超える非結晶性ポリエステル樹脂(A−2)の調製〕
攪拌機、温度計、精留塔及び窒素ガス導入口を備えた反応容器にネオペンチルグリコール430部、テレフタル酸420部、イソフタル酸180部及びジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で攪拌を行いながら240℃まで5時間を要して昇温した。240℃で脱水縮合反応を続行せしめ、酸価が5以下になった事を確認した後、180℃まで降温し、無水トリメリット酸120部を加え、180℃で3時間反応し、酸価70、軟化点114℃のポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂(A−2)と略記する。
参考例3〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−1)の調製〕
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,6ヘキサンジオールの560部、テレフタル酸550部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、240℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価232、酸価2のポリエステルポリオールを得た。ついで160℃に降温してヘキサメチレンジイソシアネート90部を2時間にわたって加えた。次に170℃に昇温し、無水トリメリット酸580部を加えて、170℃で4時間反応したのち取り出した。 酸価215、溶融粘度1.1(Pa・S)、結晶化ピーク温度115℃の酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を得た。以下、これをポリウレタン樹脂(B−1)と略記する。
参考例4〔結晶性ポリウレタン樹脂(B−2)の調製〕
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,4ブタンジオールの600部、コハク酸560部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、210℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価214、酸価3のポリエステルポリオールを得た。ついで150℃に降温してヘキサメチレンジイソシアネート75部を2時間にわたって加えた。次に170℃に昇温し、無水トリメリット酸560部を加えて、170℃で4時間反応したのち取り出した。酸価210、溶融粘度0.5(Pa・S)、結晶化ピーク温度64℃の酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を得た。以下、これをポリウレタン樹脂(B−2)と略記する。
参考例5(結晶性ポリウレタン樹脂(B−3)の調製)
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,4ブタンジオールの590部、コハク酸550部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、210℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価182、酸価4のポリエステル中間体を得た。ついで150℃に降温してヘキサメチレンジイソシアネート75部を2時間にわたって加えた。次に170℃に昇温し、無水トリメリット酸444部を加えて、170℃で4時間反応したのち取り出した。酸価180、溶融粘度0.4(Pa・S)、結晶化ピーク温度59℃の酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を得た。以下、これをポリウレタン樹脂(B−3)と略記する。
参考例6(結晶性ポリウレタン樹脂(B−4)の調製)
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,4ブタンジオールの530部、コハク酸500部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、210℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価133、酸価4のポリエステル中間体を得た。ついで150℃に降温してヘキサメチレンジイソシアネート135部を2時間にわたって加えた。次に170℃に昇温し、無水トリメリット酸148部を加えて、170℃で4時間反応したのち取り出した。酸価75、溶融粘度0.4(Pa・S)、結晶化ピーク温度59℃の酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を得た。以下、これをポリウレタン樹脂(B−4)と略記する。
参考例7〔酸価70未満の結晶性ポリウレタン樹脂(B−5)の調製〕
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,4ブタンジオールの550部、コハク酸510部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、210℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価79、酸価5のポリエステル中間体を得た。ついで150℃に降温してヘキサメチレンジイソシアネート75部を2時間にわたって加えた。次に170℃に昇温し、無水トリメリット酸100部を加えて、170℃で4時間反応したのち取り出した。酸価53、溶融粘度0.3(Pa・S)、結晶化ピーク温度69℃の酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を得た。以下、これをポリウレタン樹脂(B−5)と略記する。
参考例8〔結晶性ポリエステル樹脂(B−6)の調製〕
撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた反応容器に1,6ヘキサンジオールの400部、テレフタル酸375部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で撹拌を続けながら、240℃に昇温し、脱水縮合反応を行ない、水酸基価147、酸価3のポリエステル中間体を得た。ついで175℃に降温して無水トリメリット酸330部を加えて、175℃で4時間反応したのち取り出した。 酸価184、溶融粘度1.1(Pa・S)、結晶化ピーク温度120℃の酸基を有する結晶性ポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂(B−6)と略記する。
参考例9(硬化剤(C−2)―エポキシ基含有アクリル樹脂の調製例)
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた反応容器に、キシレンの100部を入れ、130℃にまで昇温した。
これに、エポキシ基含有ビニル系モノマーとして、グリシジルメタクリレートの30部、その他のビニル系モノマーとして、n−ブチルメタクリレートの10部、メチルメタクリレートの10部およびスチレンの50部と、重合開始剤としてのtertーブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、5時間に亘って滴下した。
滴下終了後も、同温度に、さらに、10時間のあいだ保持して、重合反応を続行し反応を完結せしめ、さらに、180℃、20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって、不揮発分99.5%以上、エポキシ当量500、軟化点115°のエポキシ基含有アクリル樹脂を得た。これを硬化剤(C−2)と略記する
実施例1〜6および比較例1〜4
(粉体塗料組成物および粉体塗料の調製)
それぞれ、第1表及び第2表に示す割合で、それぞれ、粉体塗料用樹脂組成物を配合せしめ、得られた各粉体塗料用樹脂組成物を、「コ・ニーダーPR−46型」(スイス国ブス社製の一軸混練機)を使用して、100℃で溶融混練せしめたのちに、微粉砕し、さらに200メッシュの金網で分級することによって、粉体塗料(P−1)〜(P−6)、(p−1)〜(p−4)を調製した。
Figure 2006249227
Figure 2006249227
〔第1表及び第2表の脚註〕〕
1)C−1 …プリミドXL−552(β−ヒドロキシアルキルアミド、スイス国エムス社製。)
2)BYK−360P …(表面調整剤、ドイツ国BYK社製。)
3)CR−90 …酸化チタン「タイペーク CR−90」(石原産業(株)製。)
次いで、得られた粉体塗料(P−1)〜(P−6)、(p−1)〜(p−4)を使用して、下記の塗膜形成方法に従って各種の塗膜を作製した。
被塗物として使用する基材としては、0.8mm(厚さ)×70mm×150mmの燐酸亜鉛処理鋼板を用いた。
粉体塗料(P−1)〜(P−6)、(p−1)〜(p−4)を、それぞれ、前記基材に焼き付けた後の膜厚が60〜70μmとなるようにして静電粉体塗装せしめた後、180℃/20分間なる条件下に焼き付けを行ない、粉体塗料からなる塗膜(以下、粉体塗膜と略記する。)を有する被塗物を得た。
得られた基材上の粉体塗膜について塗膜性能の評価を行った。それらの結果をまとめて第3表及び第4表に示した。
Figure 2006249227
Figure 2006249227
なお、評価判定の要領は、次の通りである。
〔光沢〕
60°鏡面光沢(JIS K5400)
〔平滑性〕
PCIによる粉体塗膜の平滑性目視判定用標準板を用いて判定。
標準板はNO.1からNo.10までの10枚あり、標準板は1から10へ段階的に平滑性が良好となる。平滑性がどの標準板に当たるかを目視により判定。
No.1:平滑性不良
No.10:平滑性良好
* PCI(パウダーコーティングインスティチュート)
1981年に設立された北アメリカの粉体塗料工業を代表する粉体塗料の普及、粉体塗料業界の交流を目的とした非営利組織(ホームページ;http://www.powdercoating.org/home.htm)。
〔耐候性〕
サンシャイン・ウエザーメーター(スガ試験機(株)製)を使用して、400時間の促進耐候性試験を行い、塗膜の光沢保持率(60°G.R%)を測定した。
〔耐衝撃性〕
塗膜面にデュポン衝撃試験機で、1/2インチ径のポンチに500gの重りを落下させてワレが発生する高さ(cm)で耐衝撃性を判定した。
〔耐湿性〕
50℃、湿度98%以上の条件下に240時間保存した後、カッターナイフで碁盤面にクロスカット(25/25)を入れ、セロハン粘着テープで剥離試験を行い、付着性を下記の基準で判定した。
◎:全く異状が認められない。
○:僅かながらの剥離が認められる。
△:かなりの程度の剥離が認められる。
×:全面剥離。

Claims (7)

  1. 50以下の酸価を有し、かつカルボキシル基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(A)と、70以上の酸価を有し、かつポリエステルポリオールに由来する構造単位を有す結晶性ポリウレタン樹脂(B)と、カルボキシル基と反応する官能基を有する化合物からなる硬化剤(C)とを含有してなる、艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  2. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)が有する酸価が、200から300である請求項1に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  3. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)が、30〜150℃の結晶化ピーク温度を有する請求項1又は2に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  4. 結晶性ポリウレタン樹脂(B)が、180℃における溶融粘度が5Pa・s以下である、請求項1又は2又は3に記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  5. 硬化剤(C)が、ヒドロキシアルキルアミド及び/又はエポキシ基含有アクリル樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の艶消し粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる艶消し粉体塗料。
  7. 請求項6に記載の艶消し粉体塗料を基材上に塗布し、次いで加熱硬化せしめてなる塗装体。


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