JP2006247851A - 捕捉部材用含浸液、インクジェットプリンタ用捕捉部材、及びインクジェットプリンタ - Google Patents

捕捉部材用含浸液、インクジェットプリンタ用捕捉部材、及びインクジェットプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録方式による縁無印刷において、記録用紙以外の領域に吐出させるインク滴を捕捉する捕捉部材の状態を長期間にわたって良好な状態に維持することができる捕捉部材用含浸液、捕捉部材、及びインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】含浸液は、水溶性樹脂を含有しており、インクジェット記録用プリンタヘッド13から吐出されるインク滴19のうち、記録用紙11以外の領域に吐出されるインク滴19を直接に捕捉する捕捉部材30に含浸される。捕捉部材30は、水溶性樹脂を含浸して含み、インクジェットプリンタは、前記捕捉部材30を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、捕捉部材用の含浸液、インクジェットプリンタ用の捕捉部材、及びインクジェットプリンタに関する。本発明によれば、例えば、インクジェット記録方式による縁無印刷において、記録媒体以外の領域に吐出させるインク滴を捕捉する捕捉部材の状態を長期間にわたって良好な状態に維持することができる。
インクジェット記録方式においても、銀塩写真と同様の縁無印刷が行われている。縁無印刷では、記録媒体の縁端部に非画像領域(余白)を全く残さずに、全表面を画像領域とする必要がある。そこで、記録媒体の表面から縁端部の外側にまで、プリンタヘッドからインク滴を連続的に吐出させることにより、記録媒体の縁端部にまで適正な画像を形成させることができる。このように、従来から行われている縁無印刷の原理を、以下、添付図面に沿って説明する。
最初に、縁無印刷の原理を模式的に図1及び図2に示す。図1は、インクジェット記録方式による縁無印刷の工程を模式的に示す要部拡大斜視図であり、図1(A)は、記録媒体前縁部を印刷している状態を示し、図1(B)は記録媒体側縁部を印刷している状態を示し、図1(C)は記録媒体後縁部を印刷している状態を示す。図2は、図1(A)の状態の模式的要部側面図である。
図1及び図2に示すように、インクジェット記録装置10は、主走査方向(すなわち、記録用紙11の幅方向;図1の矢印Bの方向)に延びるガイド軸12に沿って往復移動するキャリッジ14に搭載された記録ヘッド13と、この記録ヘッド13の下方に対向して配置されたプラテン(図示せず)を有しており、記録用紙11は、前記記録ヘッド13と前記プラテンとの間を、紙送り手段(図示せず)によって副走査方向(図1及び図2の矢印Aの方向)に搬送される。
記録用紙11の前縁部11aが記録ヘッド13の下方まで搬送されると、図1(A)及び図2に示すように、前縁部11aの印字が開始される。すなわち、記録ヘッド13は、ガイド軸12に沿って主走査方向(矢印B方向)に往復移動しながら、記録用紙11の方向に向けてインク滴19を吐出させることにより印刷が開始される。このとき、記録用紙11の前縁部11aに余白を残さずに印刷を実行するために、記録用紙11の前縁部11aの外側にもインク滴19を吐出させる。記録用紙11の外側に吐出されたインク滴19は、プラテンに設けた捕捉部材30に直接に付着し、更に捕捉部材30の内部に浸透して、インク液捕捉領域31を形成する。
記録用紙11の前縁部11aの印刷が終了すると、記録用紙11が副走査方向(矢印A方向)に搬送され、記録用紙11の中央部の印刷が行われる。中央部の印刷においては、記録用紙11の両側の側縁部11bに余白を残さずに印刷を実行するために、図1(B)に示すように、記録用紙11の側縁部11bの外側にもインク滴19を吐出させ、このように外側に吐出されたインク滴19は、プラテンに設けた捕捉部材30に直接に付着して捕捉される。更に、記録用紙11の中央部の印刷が終了すると、記録用紙11が副走査方向(矢印A方向)に搬送され、記録用紙11の後縁部11cの印刷が行われる。後縁部11cの印刷においても、記録用紙11の後縁部1cに余白を残さずに印刷を実行するために、図1(C)に示すように、記録用紙11の後縁部11cの外側にもインク滴19を吐出させ、そのインク滴19は、プラテンに設けた捕捉部材30に直接に付着して捕捉される。
図1及び図2に示すように、縁無印刷を実施するには、記録用紙11の外側にもインク滴19を吐出させる。従って、記録用紙11の外側に吐出されたインク滴19が記録用紙11の裏面などを汚すことを防止する目的で、プラテンに捕捉部材を設ける必要がある。このような捕捉部材をプラテンに設けた代表的なインクジェット記録装置を図3〜図5に示す。
図3は、代表的なインクジェット記録装置10Aの斜視図であり、そのケースカバー1を開放して、特に印刷機構部を示す。印刷機構部には、インクカートリッジ2,3や記録ヘッド4Aを搭載したキャリッジ4と、その移動経路に対向する位置にプラテン5が配置されており、更にそのプラテン5を挟む位置に、記録用紙の排出方向の上流側に第1の紙押えローラ6が配置され、下流側に第2の紙押えローラ7が配置されている。図4は、図3に示すインクジェット記録装置10の印刷機構部の部分平面図であり、図5は、図3に示すインクジェット記録装置10の印刷機構部の部分断面図である。
特に、図4及び図5に示すように、プラテン5の一部に、プラテン開口部5a,5b,5cを設け、プラテン5の下方部には捕捉部材20を配置する。プラテン開口部5aは、記録用紙Pの前縁部印刷の際に、プラテン5の表面にインク滴を付着させたり、インクミストを発生させたりせずに、捕捉部材20に直接捕捉させるための窓であり、プラテン開口部5b及びプラテン開口部5cは、それぞれ、記録用紙Pの側縁部印刷及び後縁部印刷の際に用いる窓である。すなわち、記録ヘッド4Aから吐出されたインク滴の内、記録用紙Pの外側に吐出されたインク滴の全ては、プラテン開口部5a,5b,5cを通過して、捕捉部材20に直接捕捉される。なお、記録用紙Pの裏面は、プラテン5の表面と接触しながら搬送され、その際に記録用紙Pの裏面が、捕捉部材20の上面と接触することのない高さに捕捉部材20を配置する必要がある。
捕捉部材20は、図5に示すように、支持部材8に担持されており、更に、その支持部材8には支持部材開口部8aが設けられており、この支持部材の下方には廃インクタンク9が設けられているので、捕捉部材20に一時的に捕捉されたインク液は、支持部材開口部8aから徐々に、廃インクタンク9に導かれ、廃インクタンク9に通常設けられている吸収保持材に吸収されて保持される。
なお、本明細書において、プリンタに関して「下方」又は「上方」は、プリンタによって印刷が行われている状態での重力方向に関する下方又は上方を意味する。
最近は印刷物の保存性の向上を主な目的として、顔料インクが採用されている。前記のような捕捉部材は、通常、多孔質材料(例えば、ウレタンフォーム)から形成されているので、特に顔料インクの場合には、溶剤成分のみが内部に浸透し、顔料粒子が多孔質捕捉部材の表面に残留して、堆積する傾向がある。顔料粒子の堆積が、多孔質捕捉部材の表面上で次第に成長してプラテン開口部の上方に突出すると、記録用紙の裏面に顔料粒子が付着したり、更に、その記録用紙の裏面からプラテン表面に転写されて、別の記録用紙の裏面まで汚したりすることになる。
このような顔料粒子の堆積を防止する技術は、既に、提案されており、例えば、前記の捕捉部材に有機溶剤を含浸させる技術が知られている(特許文献1)。また、顔料インクの色種に対応して選択した有機溶剤を含浸させる技術も知られている(特許文献2)。更に、前記の捕捉部材を受容層と拡散層との2層又はそれ以上の多層構造とする技術も知られている(特許文献3)。更にまた、前記の捕捉部材に貫通孔を設けて浸透を促進する技術も知られている(特許文献4)。
特開2003−191545号公報 特開2004−174978号公報 特開2003−39754号公報 特開2004−1485号公報
本発明者は、多孔質捕捉部材表面上での顔料粒子堆積を防止する技術を鋭意研究していたところ、従来提案されているものとは異なる手段、すなわち、捕捉部材に水溶性樹脂を予め含浸させておくことによって、顔料粒子の表面堆積を極めて有効に防止することができることを見出した。
本発明者が見出した前記の手段は、後述する実施例に示すとおり、捕捉部材に有機溶剤を含浸させる前記特許文献1に記載の技術と比較しても、その効果が優れており、多孔質捕捉部材表面上での顔料粒子堆積を有効に防止することができる。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出されるインク滴のうち、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を直接に捕捉する捕捉部材に含浸させる含浸液であって、水溶性樹脂を含有することを特徴とする、前記含浸液に関する。
本発明による含浸液の好ましい態様においては、水溶性樹脂が 親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物である。
また、本発明による含浸液の別の好ましい態様においては、水溶性溶剤を更に含む。
また、本発明による含浸液の更に別の好ましい態様においては、前記水溶性溶剤の少なくとも1種は、20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である。
本発明は、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出されるインク滴のうち、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を直接に捕捉する捕捉部材であって、水溶性樹脂を含浸して含むことを特徴とする、インクジェットプリンタ用の前記捕捉部材にも関する。
本発明による捕捉部材の好ましい態様においては、水溶性樹脂を湿潤状態又は乾燥状態で担持する。
また、本発明による捕捉部材の別の好ましい態様においては、多層構造である。
本発明は、前記の捕捉部材を備えることを特徴とする、インクジェットプリンタにも関する。
本発明によるインクジェットプリンタの好ましい態様においては、使用するインクの着色剤が顔料である。
本発明によれば、後述する実施例に示すとおり、インクジェット記録方式による縁無印刷に利用されている捕捉部材の表面上での顔料粒子の堆積発生を有効に防止ないし抑制することができる。
インクジェット記録方式に通常用いられている水系顔料インク組成物では、その組成物中で顔料粒子が充分に安定に分散されている。それにもかかわらず、捕捉部材の表面で顔料粒子の堆積が発生する機構の詳細は、現在のところ解明されていない。従って、水溶性樹脂を予め捕捉部材に含浸させておくことによって顔料粒子の堆積発生を有効に抑制ないし防止することができる機構も不明である。
しかしながら、後述する実施例に示すとおり、捕捉部材に水溶性樹脂を予め含浸させておくことにより、捕捉部材に付与されたインク組成物における分散系の破壊が防止ないし抑制されるものと思われ、捕捉部材としての機能を長期間にわたって良好な状態に維持することができるので、その結果として、捕捉部材の長寿命化を実現することができる。
本発明の含浸液は、水溶性樹脂を含む。
本発明で用いる水溶性樹脂は、例えば、親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物であり、具体的には、付加重合体及び縮合系重合体等を挙げることができる。付加重合体としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体を挙げることができる。付加重合体としては、例えば、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合したもの等を使用することができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体も用いることもできる。
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、又はリン酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、又はジエチレングリコールジメタクリレート等を使用することができる。
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルを使用することができる。
上記親水基及び疎水基を有するモノマーを共重合することにより得られる共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等いずれの構造のものでもよい。好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
これらの共重合体に、ポリオキシエチレン基、又は水酸基を有するモノマーを適宜共重合させてもよい。また、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、又はN−ビニルイミダゾール等を適宜共重合させることもできる。
前記の縮合系重合体としては、公知のポリエステル系重合体を挙げることができ、ポリエステル系重合体としては、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類をカルボキシル基の過剰の条件下で反応させて得られる、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を挙げることができる。
具体的には、多価カルボン酸類として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、又はテトラヒドロフタル酸等の不飽和脂肪族、あるいは脂環族ジカルボン酸等を挙げることができる。
一方、多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上の脂肪族多価アルコール類、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、トリシクロデカン、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール類、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
上記成分の内で、ジカルボン酸類とジオール類とを、まずは水酸基過剰で反応させた後、分子末端にトリメリット酸、トリメシン酸、又はピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸を反応させることにより、適度の酸価を有するポリエステル樹脂を得ることができる。
また、ポリエステル系重合体は、リン酸基含有ポリエステル樹脂であることもでき、そのリン酸基含有ポリエステル樹脂は、例えば、前記の多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との反応過程において、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、又は亜リン酸の少なくとも1種を併用することによって得ることができる。
更に、ポリエステル系重合体は、スルホン基含有ポリエステル樹脂であることもでき、そのスルホン基含有ポリエステル樹脂としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、又は5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等のスルホン基含有ジカルボン酸又はその金属塩、アンモニウム塩と、多価アルコール類とを用いて得られる、スルホン基含有ポリエステル樹脂を挙げることができる。
次に、ポリエステル系重合体は、酸基を有するポリウレタン樹脂であることもでき、その酸基を有するポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを合成し、次いで、鎖伸長剤、及び反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、高分子ジオール化合物、鎖伸長剤等にカルボキシル基を有する化合物を利用するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、高分子ジオール化合物等にスルホン基を有する化合物を利用するスルホン基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ここで、本発明による含浸液の水溶性樹脂として用いられるポリウレタン樹脂の有機ジイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、又はテトラメチルキシリレンジイソシアネートが有用である。
また、カルボキシル基含有高分子ジオール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールと無水ピロメリット酸との反応物等、カルボキシル基含有鎖伸長剤としては、ジメチロールプロピオン酸のようなカルボキシル基含有ジオール化合物が有用である。
更に、高分子ジオール成分として、前記スルホン基含有ジカルボン酸化合物等とジオール化合物を反応させたスルホン基含有ポリエステルジオールを用いることにより、スルホン基含有ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、水溶性樹脂として、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレート・アクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も、本発明において有効に使用することができる。
なお、特に限定するものではないが、水溶性樹脂の親水性基はカルボン酸基又はカルボン酸塩の基であることが好ましい。これらの水溶性樹脂のうち、親水基が酸性基である共重合体は、水溶性を高めるため、塩基性物質との塩の状態で使用することが好ましい。これらの重合体と塩を形成する塩基性物質としては、ナトリウム、カリウム、又はリチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、又はトリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、あるいはアンモニア等を挙げることができる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、又はリチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物を好適に使用することができる。アルカリ金属類は強電解質であり、親水性基の解離を促進させる効果があると考えられるからである。
水溶性樹脂は、共重合体の酸価に対して50%以上中和されていることがより好ましく、共重合体の酸価に対して80%以上中和されていることがより好ましい。水溶性樹脂は、重量平均分子量で2000〜15000のものが好ましく、重量平均分子量3500〜10000のものがより好ましい。これらの水溶性樹脂は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明による含浸液は、前記水溶性樹脂の他に、例えば水溶性溶剤を含有することができる。水溶性溶剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ブテンー1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等を挙げることができる。これらの水溶性溶剤は1種又は2種以上を用いることができる。また、捕捉部材に捕捉されたインクの乾燥防止の観点から、これらの水溶性溶剤の少なくとも1種は20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である高沸点低揮発であることが好ましく、より好ましくは20℃における蒸気圧が0.005mmHg以下である。
本発明による含浸液は、前記水溶性樹脂及び水溶性溶剤の他に、例えば固体保湿剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐・防カビ剤等を含有することができる。
固体保湿剤としては、融点が20℃以上で、かつ20℃における水への溶解度が5重量%以上のものが該当し、具体的には、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール等のアルコール類、炭酸エチレン等のエステル類、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、尿素、チオ尿素、N−エチル尿素等の窒素化合物、ジヒドロキシアセトン、エリトリトール、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、2−デオキシ−β−D−リボース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース、D−アラビトール、リビトール、D−アルトロース、D−アロース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−キノボース、D−グルコース、D−ジギタロース、D−ジギトキソース、D−シマロース、L−ソルボース、D−タガトース、D−タロース、2−デオキシ−D−グルコース、D−フコース、L−フコース、D−フルクトース、D−マンノース、L−ラムノース、D−イノシトール、myo−イノシトール、D−グルシトール、D−マンニトール、メチル=D−ガラクトピラノシド、メチル=D−グルコピラノシド、メチル=D−マンノピラノシド、N−アセチルキトビオース、イソマルトース、キシロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、コンドロシン、スクロース、セロビオース、ソホロース、α,α−トレハロース、マルトース、メリビオース、ラクトース、ラミナリビオース、ルチノース、ゲンチアノース、スタキオース、セロトリオース、プランテオース、マルトトリオース、メレジトース、ラクト−N−テトラオース、ラフィノース等の糖類を挙げることができる。
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等を用いることが出来る。また、必要に応じて、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、硼酸等を挙げることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有することができる。ノニオン性界面活性剤の具体例として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。上記ノニオン性界面活性剤の中でも特にアセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤が発泡も少なく、また優れた消泡性能を有する点で好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤の更なる具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどを挙げることができるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等を挙げることができる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビタン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、又は1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Arch Chemicals Inc.のプロキセルBZ、プロキセルBD20、プロキセルGXL、プロキセルXL2、又はプロキセルTN)等を挙げることができる。
本発明による含浸液は、水系であることが好ましい。主要な溶媒成分は水である。本発明による含浸液は、前記の水溶性樹脂及び場合により前記の水溶性溶剤を水と単に混合することによって調製することができる。
本発明の含浸液における水溶性樹脂の含有量は、特に限定されるものでなく、本発明の含浸液を捕捉部材に担持させることにより、捕捉部材上での顔料粒子の堆積発生を防止ないし抑制することができれば、特に限定されないが、捕捉部材上の水溶性樹脂の担持量の下限は、好ましくは、1mg/gである。
本発明の前記含浸液は、捕捉部材に含浸させて使用する。本明細書において「捕捉部材」とは、インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出されるインク滴のうち、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を直接に着弾させて捕捉する部材として使用されるものであり、従来から同様の目的で、インクジェット記録用プリンタにおいて「インク吸収材」などと称されて使用されている。また、「記録媒体以外の領域」とは、記録媒体表面以外にインク滴を吐出する任意の領域であり、代表的には、縁無印刷の際の記録媒体周縁に隣接する外側領域であり、更には、プリンタヘッドのクリーニング処理の際の吐出領域を含む。前記のクリーニング処理は、記録媒体が搬送されない所定のホームポジションにおいて、プリンタヘッドにインク組成物を強制的に通過・吐出させてプリンタヘッドの吐出不良を回避する目的で実施する処理である。このホームポジションにも前記の捕捉部材を設けることができる。
本発明で用いる捕捉部材は、従来の同種の捕捉部材と同様に、インクヘッドから吐出されたインク滴を直接に着弾させて受け入れ、完全に捕捉する必要がある。例えば、縁無印刷の際に、記録媒体の外側領域に吐出されるインク滴が完全に捕捉されずに記録媒体の周縁部でミスト化された状態で浮遊すると、記録画像や記録媒体を汚染し、更にはプラテン表面の記録媒体接触面を汚染することがある。また、捕捉部材にインク液が捕捉されている状態で、プリンタ設置場所の変更などの際にプリンタが90°程度回転させられることがあっても、インク液を漏出させない程度の保持能を有することが好ましい。更に、捕捉部材は、捕捉したインク液を、順次、廃インクタンクに移動させ、次のインク滴を捕捉するための受容能を維持する必要がある。
本発明で用いる捕捉部材は、前記の機能を有する任意の材料から調整することができ、従来から、捕捉部材として用いられている多孔質材料からなることが好ましく、特に好ましくは、個々の気孔が連通している連続多孔質材料からなることがより好ましい。
多孔質材料としては、例えば、プラスチック製の発泡体シート又は有孔体シート、あるいは繊維質材料(例えば、ウエブ、網状体、織物、編物、又は不織布)のシートを用いることができる。プラスチック製発泡体としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、フッ素樹脂多孔質体などを挙げることができる。
本発明で用いる捕捉部材は、単層構造であることも、2層以上の多層構造であることもできる。2層からなる場合は、インク受容層とインク拡散層とからなることが好ましい。前記インク受容層は、プリンタヘッドから吐出されたインク滴を直接に着弾させて、捕捉する層であり、前記インク拡散層は、インク受容層に捕捉されたインク液を保持しつつ、廃インクタンクに移動させる層である。インク受容層とインク拡散層は少なくともその一部を接触させ、インク拡散層にインク受容層よりインク吸収性の高い材料を用いることがより好ましい。また、これらのインク受容層及びインク拡散層が、それぞれ、2層以上の多層構造を有することもできる。
前記インク受容層と前記インク拡散層との組合せとしては、例えば、撥水性を有する高分子化合物製(例えば、フッ素樹脂製)の網状シートと、親水性高分子化合物製の多孔質シートやフェルト材との組合せ、あるいはポリウレタンフォームシートとPVAスポンジシートとの組合せを挙げることができる。
本発明で用いる捕捉部材に、前記水溶性樹脂を含浸させ、担持させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬、噴霧、又は塗布などの方法を用いることができる。また、本発明で用いる捕捉部材は、こうして含浸された前記水溶性樹脂を、前記水溶性樹脂を湿潤状態又は乾燥状態で含むことができるが、湿潤状態である方が好ましい。
本発明で用いる捕捉部材に担持させる前記水溶性樹脂の量は、捕捉部材表面上での顔料粒子堆積を有効に防止することができる量であれば、特に限定されず、使用するインク組成や捕捉部材の種類に応じて、当業者が適宜決定することができる。例えば、ポリウレタンフォームよりなる捕捉部材の場合には、前記水溶性樹脂を5mg/g以上の量で担持させることが好ましく、より好ましくは20mg/g以上であり、更により好ましい担持量は50mg/g以上である。
本発明で用いるインクジェットプリンタは、前記の捕捉部材を配置可能である限り特に限定されず、通常のプリンタをそのまま利用することができる。インクジェット記録方式の種類も限定されず、記録信号によってピエゾ振動子を振動させることによって液滴を噴射させる装置、あるいは、記録ヘッド室内の記録液に記録信号に対応した熱エネルギーを与え、そのエネルギーにより液滴を発生させる装置などに利用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例において、部及び%は、特に断らない限り、重量による。
<実施例1>
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸31部、メチルメタクリレート129部、ステアリルメタクリレート40部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量11,000、及び酸価100mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当する水酸化ナトリウムを溶解させた水酸化ナトリウム水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Aを調製して含浸液Aとした。
<実施例2>
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、アシッドホスホニルメタクリレート20部、メチルメタクリレート120部、ブチルアクリレート60部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量12,000、及び酸価165mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当するトリエタノールアミンを溶解させたトリエタノールアミン水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Bを調製して含浸液Bとした。
<実施例3>
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸95部、メチルメタクリレート65部、ステアリルメタクリレート40部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量11,000、及び酸価310mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当する水酸化カリウムを溶解させた水酸化カリウム水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Cを調製して含浸液Cとした。
<実施例4>
水溶性樹脂としてアクリル共重合体樹脂を含有したアクリル共重合体樹脂水溶液(ジョンクリル62;ジョンソンポリマー株式会社製)10%、グリセリン70%、トリプロパノールアミン1%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL2;Arch Chemicals Inc.製)0.1%、及び水18.9%と混合して水溶性樹脂水溶液Dを調製して含浸液Dとした。
<実施例5>
前記実施例1で調製した水溶性樹脂水溶液A10%、グリセリン60%、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル5%、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール5%、及び水20%を混合して水溶性樹脂水溶液Eを調製して含浸液Eとした。
<実施例6>
前記実施例2で調製した水溶性樹脂水溶液B5%、アクリル共重合体樹脂水溶液(ジョンクリル62;ジョンソンポリマー株式会社製)5%、1,2,6−ヘキサントリオール80%、及び水10%を混合して水溶性樹脂水溶液Fを調製して含浸液Fとした。
<実施例7>
前記実施例3で調製した水溶性樹脂水溶液C30%、グリセリン44%、トリエチレングリコール20%、1,2−ヘキサンジオール5%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL2;Arch Chemicals Inc.製)0.1%、及びトリエタノールアミン0.9%を混合して水溶性樹脂水溶液Gを調製して含浸液Gとした。
〔物性評価〕
(1)捕捉部材(フォーム)の調製
前記実施例1〜7で調製した含浸液を含浸させる捕捉部材として、軟質ポリウレタンフォームを準備した。具体的には、ポリオール(V3030;株式会社ダウ製)100部、トリレンジイソシアネート(TDI80;日本ポリウレタン社製)50部、水4部、アミン系触媒(DABCO−33LV;三井エアープロダクツ製)0.3部、スズ触媒(スタナスオクトエート;日東化成社製)0.3部、及びシリコーン整泡剤(L−520;日本ユニカ社製)1部から、ワンショット法で軟質ポリウレタンフォームを得た。圧縮度が×5となるように熱圧縮した。得られたフォームは通気度が、2.0cm/cm/secの連続多孔質体である。
(2)含浸処理
続いて、前記の捕捉部材用フォーム(100cm×100cm×0.5cm)に、実施例1〜7で調製した各含浸液A〜Gを、重量あたり5g/gの量で均一に含浸させて、実験用の捕捉部材を調製した。比較用として、含浸液を含浸させていない捕捉部材用フォームを準備した(比較例1)。
(3)印刷試験
前項(2)で得た含浸捕捉部材を、インクジェットプリンタ(PX−V500;セイコーエプソン社)のプラテン部に装着し、40℃及び相対湿度20%の環境下において、インクジェット印刷用葉書用紙に縁無印刷を連続して実施し、裏面汚れが発生するまでの印刷回数(枚数)を調べた。なお、裏面汚れの発生は、印刷後の葉書用紙を目視によって判断した。その結果を、以下の表1に示す。
Figure 2006247851
本発明による水溶性樹脂含有含浸液は、例えば、インクジェット記録方式による縁無印刷において、記録媒体以外の領域に吐出させるインク滴を直接に着弾させて捕捉する捕捉部材に含浸させて用いることができ、捕捉部材の表面上での顔料粒子の堆積発生を有効に防止ないし抑制することができる。
また、本発明の捕捉部材は、前記含浸液を含浸させて水溶性樹脂を担持した後に、インクジェット記録方式による縁無印刷において、記録媒体以外の領域に吐出させるインク滴を直接に着弾させて捕捉する捕捉部材として用いることができ、捕捉部材の表面上での顔料粒子の堆積発生を有効に防止ないし抑制することができる。
更に、本発明によるインクジェットプリンタは、前記捕捉部材を備えており、捕捉部材の表面上での顔料粒子の堆積発生を有効に防止ないし抑制することができる。
インクジェット記録方式による縁無印刷の工程を模式的に示す要部拡大斜視図である。 図1(A)の状態の模式的要部側面図である。 代表的なインクジェット記録装置の斜視図である。 図3に示すインクジェット記録装置の印刷機構部の部分平面図である。 図3に示すインクジェット記録装置の印刷機構部の部分断面図である。
符号の説明
1・・・ケースカバー;2,3・・・インクカートリッジ;4・・・キャリッジ;
4A・・・記録ヘッド;5・・・プラテン;5a,5b,5c・・・プラテン開口部; 6・・・第1の紙押えローラ;7・・・第2の紙押えローラ;
8・・・支持部材;8a・・・支持部材開口部
9・・・廃インクタンク;10,10A・・・インクジェット記録装置;
11・・・記録用紙;11a・・・記録用紙の前縁部;11b・・・記録用紙の側縁部;11c・・・記録用紙の後縁部;12・・・ガイド軸;13・・・記録ヘッド;
14・・・キャリッジ;19・・・インク滴;20・・・捕捉部材;
30・・・捕捉部材;31・・・インク液捕捉領域。

Claims (9)

  1. インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出されるインク滴のうち、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を直接に捕捉する捕捉部材に含浸させる含浸液であって、水溶性樹脂を含有することを特徴とする、前記含浸液。
  2. 水溶性樹脂が親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物である、請求項1に記載の含浸液。
  3. 水溶性溶剤を更に含む、請求項1又は2に記載の含浸液。
  4. 前記水溶性溶剤の少なくとも1種は、20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含浸液。
  5. インクジェット記録用プリンタヘッドから吐出されるインク滴のうち、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を直接に捕捉する捕捉部材であって、水溶性樹脂を含浸して含むことを特徴とする、インクジェットプリンタ用の前記捕捉部材。
  6. 水溶性樹脂を湿潤状態又は乾燥状態で担持する請求項5に記載の捕捉部材。
  7. 多層構造である、請求項5又は6に記載の捕捉部材。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の捕捉部材を備えることを特徴とする、インクジェットプリンタ。
  9. 使用するインクの着色剤が顔料である、請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
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