JP2006245303A - 銅箔の表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 銅箔の表面に1種又は複数種の加水分解性金属化合物を銅箔表面に付着させて乾燥させた後に、該表面に対してコロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理を施すことを含むことを特徴とするプリント配線板用の銅箔の表面処理方法。
【選択図】 図2
Description
また、高周波信号は導体の表面に集中して流れる。これを表皮効果と呼ぶ。この性質は高周波になるほど顕著であり、銅の場合、1GHzの周波数では表面2.1μmに電流が集中する。したがって粗化処理により表面に凹凸がある場合、導体抵抗が高くなり伝送損失が大きくなるので好ましくない。
更に、ベアチップをフレキシブルプリント配線板(FPC)上に実装して電気的接続を行うCOF(チップ・オン・フレックス)技術、又はTAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)技術では、チップ搭載時に位置合わせのために樹脂を通して導体に形成されている位置決めパターンを視認する必要がある。その際、導体表面が粗化処理により荒れていると樹脂表面も粗くなり、視認性が低下する。
また、特開平7−331454号公報ではクロメート処理等の防錆処理を施した銅箔表面に水酸基を付与した上でシランカップリング剤を塗布反応させる処理方法が開示されている。シランカップリング剤を塗布された銅箔は乾燥される。
また、特開平6−41761号公報では銅箔の表面にSi又はZr又はTiの酸化物或いは水酸化物を主体とする被膜を形成する処理を行うことを特徴とする銅箔の表面処理方法が開示されている。この発明は、銅箔の表面にSi又はZr又はTiの金属酸化物や水酸化物の被膜を銅箔の表面に形成することによって、銅箔の表面を粗面化し、樹脂基材との密着性を高めようとするものである。上記酸化物や水酸化物の被膜の形成は、Si又はZr又はTiの金属アルコキシド又は塩化物を有機溶剤に添加して均一になるように充分に攪拌して溶解又は分散させることによって処理液を調整し、この処理液中に銅箔を浸漬したり、あるいは銅箔の表面に処理液をスプレーしたりした後、乾燥させることによって行っている。
更に、特開2003−291256号公報では電着銅層を備えた銅箔の当該電着銅層に対してコロナ放電を行い、前記コロナ放電が施された前記電着銅層の表面に加水分解性ケイ素化合物を付着させる銅箔の表面処理を開示している。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の一つは銅箔と絶縁基板との接着強度を向上させるための汎用性の高い銅箔の表面処理方法を提供することである。
従って、本発明は一実施形態において、(1)銅箔の表面に1種又は複数種の加水分解性金属化合物を銅箔表面に付着させて乾燥させた後に、(2)該表面に対してコロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理を施すことを含むプリント配線板用の銅箔の表面処理方法である。
また、本発明の別の一実施形態においては、前記コロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理が、銅箔を絶縁基板に積層する前の1時間以内に完了する。
また、本発明の別の一実施形態においては、前記加水分解性金属化合物が、金属アルコキシド及び金属カップリング剤よりなる群から選択される1種又は複数種である。
また、本発明の別の一実施形態においては、前記金属アルコキシド及び金属カップリング剤の金属はSi、Ti及びZrよりなる群から選択される1種又は複数種の金属である。
また、本発明の別の一実施形態においては、前記表面処理方法を施した銅箔である。
また、本発明の別の一実施形態においては、前記銅箔を材料とした銅張積層板である。
更に、本発明の別の一実施形態においては、前記銅張積層板を材料としたプリント配線板である。
これに対し、コロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理では基材が高温になることが無く、低温のまま酸化物とすることが可能である。更に、これらの処理直後は酸化物の表面に有機物等の汚れ成分がほとんど無く、活性が高いために、接着に適した状態となっている。この状態で絶縁基板と接着することで高い接着強度を得ることが可能である。そして、カップリング剤を用いた従来の手法では、カップリング剤の有機官能基を介して銅箔と絶縁基板が接合するのに対し、本方法では金属酸化物を介して銅箔が絶縁基板と接合することになるため、カップリング剤の耐熱性、カップリング剤表面の汚染又はカップリング剤と有機物の親和性の違い(例えばエポキシ樹脂にはエポキシ系のカップリング剤を使用することが望ましいが、ポリイミド樹脂とエポキシ系のカップリングの組み合わせでは逆効果となる)といった点で発生する接着強度の低下を招くことがなく、従来よりも広い条件で接着性が向上する。
工程(1):銅箔の表面に銅以外の金属酸化物を主体とする被膜を形成することのできる表面処理化合物を銅箔表面に付着させて乾燥させた後に、
工程(2):該表面に対してコロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理を施すことを含む。
本発明に係る金属酸化物としては接着強度、酸化物の耐食性、エッチング後の回路特性(めっき性、根残り性、パターン間の絶縁性等)、取扱い易さ及び安全性等の観点からSi、Ti又はZrの酸化物が好適に使用され、銅箔の主成分であるCu、或いは耐熱層として使用されることの多いNiやZnの酸化物では、充分な接着強度を得ることができない。また、樹脂を塗布後硬化して使用するポリイミド等の場合では、酸性の前駆体と銅箔表面が接触するため、充分な耐食性が必要とされるが、NiやZnの酸化物では耐食性が不十分であることが多い。
また、銅箔の表面に対してNiめっきやNi−Co、Ni−PといったNi合金めっきを施すことで、銅箔の耐熱性を向上することができ、結果的に絶縁基板との接着強度が更に向上する。NiめっきおよびNi合金めっきの厚さは1〜50nmとするのが好ましい。Niめっきは公知の方法により実施することができるが、例えば、電気めっき、無電解めっき等の方法により実施することができる。素材が導電性の銅箔であることから、生産性およびコストに優れた電気めっきを用いることが多い。
また、クロメート処理等の耐食性を向上する処理を施すこともできる。
さらに、銅箔表面、めっき表面もしくはクロメート表面に水酸基を付与する工程を設けることもできる。銅箔表面に水酸基を付与することで表面処理化合物が表面に付着し易くなるからである。水酸基の付与は、公知の方法により実施することができるが、例えば、水蒸気の存在下での銅箔の加熱処理、又はアルカリ処理によって行うことができる。
その他、陽極酸化法等がある。
上記の前処理は単独で又は組み合わせて行うことが可能であり、組み合わせて行う場合にはNiめっきもしくはNi合金めっきと水酸基の付与の工程の組合せを、めっき→水酸基付与の順序で行うのが好ましい。
当然のことながらこれらの前処理は随意的な工程であり、例えばNiめっきを施すことなく工程(1)を実施することを妨げるものではない。
本発明においては、粗化処理工程を行わずに平坦なまま行う場合が主であるが、適度な粗化処理工程を入れても問題無い。さらに耐熱層形成には特段制約は無く、必要に応じた耐熱層を形成することが可能である。防錆層形成は防錆能力が充分であれば省略することが可能であるが、施すことを排除するものではない。
本発明に係る表面処理は上記表面処理工程の最終段階で施す。すなわち、防錆層を形成させる場合はその後に実施する。本発明の表面処理は所望により銅箔の片面又は両面に行うことができる。本発明に係る表面処理を行うことにより接着性能を十分に向上させた場合には粗化処理を省略又は簡略化することもできるので、銅箔表面の平坦化又は低粗度化が可能となる。また、本発明に係る表面処理によって耐食性を十分に向上させた場合にはクロメート処理等の防錆処理を省略することもできる。これにより環境負荷の低減も可能となる。
一側面において、本発明にかかる加水分解性金属化合物は、金属原子に結合した少なくとも一つのアルコキシ基(−OR)を有する金属アルコキシドである。とりわけ、一般式:M(OR)n(式中、Mは金属原子であり、ORは各々独立にアルコキシ基であり、nはMの原子価である。)で表わすことができる金属アルコキシドが加水分解性能や金属酸化物形成性能の観点から好ましい。アルコキシ基としては、例えば、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、より具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、第二級ブトキシ基、第三級ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。上記アルコキシ基は置換基を有していてもよい。金属アルコキシドの具体例としては、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4、Ti(OC4H9)4、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4等が挙げられる。
金属アルコキシドとして、複数種の金属からなるアルコキシド(例えば二種の金属からなるダブルアルコキシド)やダイマー、トライマー、テトラマー等の多量体を用いることもできる。また、金属アルコキシドは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。他の表面処理化合物、例えば金属カップリング剤の1種又は複数種と組み合わせて用いてもよい。
金属カップリング剤の加水分解性基としては前述のように、例えば、クロル基等のハロゲン基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基等が挙げられ、安定性及び取扱い易さの観点等からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては上述したアルコキシ基を用いることができる。
また、有機官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アミノ基、N−フェニルアミノプロピル基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフィド基等が挙げられ、残留した場合の反応性の観点からアミノ基もしくはエポキシ基が好ましい。
金属カップリング剤としては、例えば、アミノ基を末端に持つシランカップリング剤のSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)等のシランカップリング剤、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等のチタネートカップリング剤を使用することができる。
上記金属カップリング剤は単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。他の表面処理化合物、例えば金属アルコキシドの1種又は複数種と組み合わせて用いてもよい。
タフピッチ銅のインゴットを溶製し、これを熱間圧延で板にした後、再結晶焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最後に冷間圧延で18μmの厚みの素材に仕上げた。また、電解銅箔についても試験に供した。
この供試材を10cm角の大きさで溶解し、ICP分析にてSi量を測定したところ、20μmol/m2相当であった。
イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製)を0.2mmol/Lの水溶液としてディップ法で塗布し、100℃で乾燥した。この供試材を10cm角の大きさで溶解し、ICP分析にてTi量を測定したところ、7μmol/m2相当であった。
テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム(IV)を2mmol/Lの濃度で1−プロパノールに溶解し、ディップ法を用いて塗布した後に100℃で乾燥した。この供試材を10cm角の大きさで溶解し、ICP分析にてZr量を測定したところ20μmol/m2相当であった。
コロナ放電はコロナ放電処理装置(春日電機)により、電極に水晶を用い、電極表面と試料表面との距離を2mm、電圧26kV、周波数39kHz、放電量200W・min/m2で処理した。
プラズマ処理はプラズマ処理装置(松下電工マシンアンドビジョン)を用いて、Arガス流量2.14L/min、O2流量27ml/L、出力140W、放出口と試料との距離5mm、移動速度を6m/minで処理した。
UVオゾン処理は光オゾン処理装置PL16−110(セン特殊光源)でライトと試料との距離20mm、照射時間5分で処理した。
処理前後の表面をXPS分析した結果、TiおよびSiについては処理前にカップリング剤中に含まれるN原子の表面における濃度が9atomic%を超えていたものが、処理後では4atomic%以下に減少しており、酸化分解が進んでいることが確認された。ZrについてはNを含まないものを用いたので、Nによる酸化分解の確認はできなかったが、Cが減少していることが確認された。
樹脂は、次の3種類を用いた。
厚み0.15mmのガラス布基材エポキシ樹脂プリプレグ(エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン製エピコート1001、エピコート154の混合)と銅箔を170℃、40kg/cm2、120分の条件で加熱加圧して積層成形することで銅箔ガラス基材エポキシ樹脂板を得た。
ポリイミド前駆体として、宇部興産製のU−ワニスAを用いて、ロールコーターで銅箔上に塗布した後に、130℃で30分乾燥後に昇温速度5℃/minで20℃→200℃(10分保持)→250℃(10分保持)→350℃(10分保持)→室温まで炉冷の温度履歴で硬化させた。硬化後の樹脂厚さが30μmになるように塗布量を調整した。この工程で、2層CCLを得た。
液晶ポリマーとして、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が330℃である膜厚25μmの熱可塑性樹脂を用い、両面に銅箔を配置し、真空熱プレス機を用いて、温度340℃、圧力30kg/cm2、時間10分の条件で熱圧着して銅張り積層板を得た。
樹脂と銅箔とのピール強度をJIS C 6471に準じ、90度剥離試験を行って評価した。
各条件のピール強度を表2〜7に示す。
No.28は銅箔を電解銅箔に替えてTi処理とコロナ放電処理を施したものであるが、圧延銅箔と同じく高いピール強度が得られた。
No.29〜31は後処理を施さない場合である。表面処理にTiを用いた場合はカップリング剤の効果を示したものと思われ、ZrおよびSi処理の場合に比較して高いピール強度が得られたが、後処理を施したものよりは低いピール強度であった。
Claims (7)
- 銅箔の表面に1種又は複数種の加水分解性金属化合物を銅箔表面に付着させて乾燥させた後に、該表面に対してコロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理を施すことを含むことを特徴とするプリント配線板用の銅箔の表面処理方法。
- 前記コロナ放電処理、プラズマ処理又はUV照射処理を、銅箔を絶縁基板に積層する前の1時間以内に完了させることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記加水分解性金属化合物が、金属アルコキシド及び金属カップリング剤よりなる群から選択される1種又は複数種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理方法。
- 前記金属アルコキシド及び金属カップリング剤の金属はSi、Ti及びZrよりなる群から選択される1種又は複数種の金属であることを特徴とする請求項3に記載の表面処理方法。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の表面処理方法を施した銅箔。
- 請求項5に記載の銅箔を材料とした銅張積層板。
- 請求項6に記載の銅張積層板を材料としたプリント配線板。
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