JP2006244764A - アース端子の取付け構造 - Google Patents

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Abstract


【課題】 アース端子の脱落を防止する。
【解決手段】 アース端子10がその本体部11に開口する挿通孔13に挿通されたボルト50によってアース用の接地部材60に固定されるようになっており、かつ、この固定作業に先立って、アース端子10の先端側に設けられた取付片21を接地部材60の両面間に貫通する係合孔61に挿通係合させることでボルトを締め付ける際の回り止めを行っている。係合孔61は、大径孔61Aとこれより径の小さい小径孔61Bとが連通して形成される。取付片21は、大径孔61Aに挿通されたあと接地部材60の表裏両面に沿って小径孔61B側へスライドされることにより小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eが嵌入するスリット21Eを有する。したがって、ボルト50の締め付け作業前におけるアース端子10の脱落を防止できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、アース端子の取付け構造に関する。
アース端子を自動車のボディ等に固定する場合の一例として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。このものは、アース端子が、電線の端末が固着されるバレルからなる電線固着部の先に、ボルトの挿通孔が開口された目玉状をなす板状の本体部を有して形成される。そして、ボディのねじ孔に挿通孔を適合させ、そこにボルトを通してねじ孔にねじ込むことでアース端子がボディに固定されるようになっている。また、本体部の周縁からは取付片が下方へ向けて延出しており、上記の固定作業に先立って、取付片をボディの表裏両面に貫通する係合孔に挿通しておくことにより、ボルト締め付け時にアース端子が連れ回りするのが防止されるようになっている。
特開2000−208172公報
ところで、ボディの表面が水平面に対して斜め姿勢をとったり鉛直姿勢をとったりしている場合には、係合孔に対する取付片の引掛り代が浅くなってアース端子の脱落が起こり易いという問題があった。その結果、その後のボルトによる締め付け作業に難渋することが懸念された。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、アース端子の脱落を防止することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、板状の本体部に挿通孔が開口するとともにこの本体部から取付片を延出させたアース端子を備え、前記アース端子が前記挿通孔に挿通されたボルト等の固着部材によってアース用の接地部材に固定されるようになっており、かつ、この固定作業に先立って、前記取付片を前記接地部材の両面間に貫通する係合孔に挿通係合させることで前記固着部材を締める際の回り止めを行うようにしたものにおいて、前記係合孔は、大径孔とこれより径の小さい小径孔とが連通した形態とされ、前記取付片は、前記大径孔に挿通されたあと前記接地部材の両面に沿って前記小径孔側へスライドされることにより前記小径孔の孔縁部が嵌入するスリットを有する構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記小径孔の孔縁部は前記取付片のスライド方向に沿った両側縁部に延設され、前記スリットは前記両側縁部と対応するように前記取付片においてそのスライド方向に沿った両側面に延設されているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記スリットは前記取付片においてそのスライド方向に間隔をあけた複数位置に設定されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
取付片を接地部材の両面に沿って大径孔から小径孔へとスライドさせることによって取付片のスリットに小径孔の孔縁部を嵌入させ、その状態で挿通孔に挿通された固着部材によってアース端子を接地部材に固定する。このように取付片のスリットに小径孔の孔縁部を嵌入させることにより、接地部材に対する取付片の取付け強度を高めているから、固定作業前におけるアース端子の脱落を防止できる。
<請求項2の発明>
小径孔の孔縁部が取付片のスライド方向に沿った両側縁部に延設され、スリットが両側縁部と対応するように取付片においてそのスライド方向に沿った両側面に延設されているから、スリットの内側面が小径孔の孔縁部と広範囲にバランス良く係合し、接地部材に対する取付片の取付け強度をより高めることができる。
<請求項3の発明>
スリットが取付片においてそのスライド方向に間隔をあけた複数位置に設定されているから、アース端子が接地部材に対して浮き上がることなく強固に係止される。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6によって説明する。本実施形態は、自動車における金属製のボディからなる接地部材60に対してアース端子10を固定するための構造である。なお、以下の説明において前後方向については、図1の右側を前方とする。
アース端子10は、導電性の金属板を所定形状に打ち抜いて曲げ加工を施してなり、図1に示すように、板状をなす本体部11とその後方に延出して形成された電線接続部12とを有している。電線接続部12にはアース電線(図示せず)に圧着されるためのインシュレーションバレル12Aとワイヤバレル12Bとがオープンバレル状に前後に並んで形成されている。インシュレーションバレル12Aはアース電線の端末の被覆にかしめ付けられ、ワイヤバレル12Bはそのアース電線の被覆を剥いで露出した芯線にかしめ付けられる。
本体部11はその中央にボルト50を貫通させる挿通孔13を有し、この挿通孔13の孔縁は前後方向に対向する部分(前後孔縁13A)が直線状とされ、左右方向に対向する部分(両側孔縁13B)が円弧状とされている。本体部11のうち挿通孔13の前後孔縁13Aの近くには、後述する他のアース端子30が組み合わされたときに両者の接触状態を良好に保つための打ち出し部14が形成されている。そして、本体部11のうち挿通孔13の両側孔縁13Bの外側には他のアース端子30と係合するための端子係合部15がそれぞれ配置されている。端子係合部15のうちの一方は、挿通孔13の両側孔縁13Bを上方に膨れ出させたブリッジ片16から外側に張り出す突状片15Aとされ、他方は上記のブリッジ片16と同じ高さ位置まで膨れ出させた膨出片15Bとされる。また、突状片15Aは、その両側に隙間17が保有されており、ここへ他のアース端子30が組み付けられるとともに、上方へ撓み変形可能となっている。さらに突状片15Aの中央には下方へ向けて突片15Eが切り伏してあり、これが他のアース端子30側の膨出片35Bに設けられた端子係合孔(図示せず)に嵌まり込むようになっている。一方、膨出片15Bの中央には端子係合孔15Fが開口しており、そこには他のアース端子30側の突状片35Aに設けられた突片35Eが係合可能となっている。このようにアース端子10側の端子係合部15と他のアース端子30側の端子係合部35とが係合することによって両者が抜け止め状態で連結されるようになっている。
他のアース端子30はアース端子10の上に重ね合わされるが、両者はボルト50で共締めされて接地部材60にまとめて固定される。他のアース端子30は、図3に示すように、上記同様に、本体部31と電線接続部32とを有している。他のアース端子30の本体部31は、その中央にボルト50を貫通させる挿通孔13を有し、その周辺構造は上記のアース端子10における挿通孔13の周辺構造と類似している。すなわち、挿通孔13の左右両側にはそれぞれ突状片35Aと膨出片35Bとが設けられている。また、他のアース端子30側の突状片35Aと膨出片35Bとは周囲よりも低い位置に形成されており、これによって他のアース端子30とアース端子10との組み合わせが可能となっている。
さて、アース端子10の本体部11の先端領域は、図1に示すように、先方へ行くにしたがって幅を狭めるように延出しており、その先端側に、取付片21が形成されている。取付片21は、接地部材60に形成された係合孔61に嵌まり込むようになっており、これによりボルト50の締め付け時にアース端子10が連れ回りするのが防止されるようになっている。
詳しくは取付片21は、図2に示すように、本体部11の先端側にて下方へ向けて略直角に折り曲げられて延出する垂直部21Aとその下端から前方へ向けて略直角に折り曲げられて延出する水平部21Bとからなり、側面から見ると略Lの字形をなしている。取付片21の先端両角は角落としにより丸みを帯びている。そして、取付片21の垂直部21Aは、図6に示すように、その左右の両側面に一対のスリット21Eを有するとともに、その高さ方向の中央に、両スリット21Eによって左右両側面が抉られた括れ部21Fが形成されている。
ここで、接地部材60には、図3に示すように、取付片21と対応する位置に係合孔61が形成されている。係合孔61は、接地部材60の表裏の両面間に貫通する鍵孔状をなし、上方から取付片21の全体を貫通させることが可能な大きさの大径孔61Aと、この大径孔61Aに連通して、上方から取付片21の全体を貫通させることは不能であるが大径孔61A側から取付片21の括れ部21Fを進入させることが可能な大きさの小径孔61Bとからなる。大径孔61Aは、取付片21の水平部21Bの外周縁にほぼ沿うようにして前端両角が丸みを帯びた略方形状をなし、小径孔61Bは大径孔61Aの後端孔縁の中央領域から後方へ向けて切り込まれた略方形状をなしている。
したがって、取付片21は、係合孔61の大径孔61Aに導入されたあと接地部材60の表裏の両面に沿って小径孔61B側へスライドされることにより、両スリット21Eに小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eを嵌入させてここに係止されるようになっている。この場合に、小径孔61Bの左右幅寸法が、括れ部21Fの左右幅寸法より僅かに大きくなるように設定され、かつ、小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eの厚み寸法が、取付片21の垂直部21Aのうちスリット21Eを挟んで相対向する壁21Q間の距離とほぼ等しくなるように設定されているから、取付片21は上下方向及び左右方向にほぼがた付くことなく接地部材60に取り付けられる(図5を参照)。なお、他のアース端子30の本体部11は、この取付片21に相当する部分を含んでおらず、上記のアース端子10の本体部11の先端領域に相当する部分を切り落として短寸に形成されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果について説明する。まず、他のアース端子30とアース端子10のそれぞれの電線接続部12にアース電線をかしめ付ける。続いて、上述した要領で他のアース端子30とアース端子10とを組み付ける。そして、図6に示すように、アース端子10の取付片21の水平部21Bと係合孔61の大径孔61Aとを対峙させる。その状態で、図3に示すように、上方からアース端子10の取付片21を接地部材60の係合孔61の大径孔61Aに挿通させる。それから、図4に示すように、アース端子10を接地部材60の表裏両面と平行に小径孔61B側へスライドさせる。すると、取付片21の括れ部21Fが小径孔61B内に突入するとともに、スリット21Eを挟んで相対向する壁21Qが小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eにおける表裏両面に摺接して接地部材60を厚み方向に挟み込む。
その後、取付片21の垂直部21Aが小径孔61Bの後端孔縁の近くに至ると、接地部材60に形成されたねじ孔62に対してアース端子10の挿通孔13が整合位置する。こうして取付片21が小径孔61B側に正規深さで進入することにより、スリット21Eの内側面のほぼ全体に小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eが係入してアース端子10が他のアース端子30とともに回り止めされると同時に、接地部材60からの浮き上がりが規制され、かつ、接地部材60からの脱落が防止される。
次いで、仮止めされた上記のアース端子10に対し、上方からボルト50を挿通孔13から接地部材60のねじ孔62にねじ込み、もってアース端子10を本止め状態で固定する。かかるボルト50の締め付け作業は、取付片21と係合孔61との係合によって回り止め処理がなされているから、円滑な作業性が保障される。
以上のように、本実施形態によれば、取付片21のスリット21Eに小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eを嵌入させることにより、接地部材60に対する取付片21の取付け強度を高めるようにしたから、ボルト50の締め付け作業前におけるアース端子10の脱落を防止できる。
また、小径孔61Bの孔縁部61Eが前後方向つまり取付片21のスライド方向に沿った左右の両側縁に対になって延設され、スリット21Eがこれと対応するように取付片21において前後方向に沿った左右の両側面に対になって延設されているから、スリット21Eの内側面が小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eと広範囲でバランス良く係合することとなる。その結果、接地部材60に対する取付片21の取付け強度をより一層高めることができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図7によって説明する。実施形態2では、アース端子10の取付片21の形態が実施形態1と異なっている。その他は実施形態1と概ね同様であるので、同じ構造部位には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
実施形態2の取付片21は、本体部11の先端側から下方へ向けて略直角に折り曲げられて延出する第1垂直部21Aと、その下端から前方へ向けて略直角に折り曲げられて延出する水平部21Bと、更にその先端から上方へ向けて略直角に折り曲げられて延出する第2垂直部21Hとからなり、側方から見ると略Uの字形をなしている。そして、第1垂直部21Aはその左右の両側面に一対のスリット21Eを有し、第2垂直部21Hも同じくその左右の両側面に一対のスリット21Eを有している。したがって、第1垂直部21Aのスリット21Eと第2垂直部21Hのスリット21Eとは、前後方向つまり取付片21のスライド方向に離間して配置されているとともに、互いに同じ高さ位置に配置される。一方、接地部材60の係合孔61の小径孔61Bの前後長さは、水平部21Bの前後長さよりも大きく設定され、したがって小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eは、取付片21のスライド動作に伴い第1垂直部21Aのスリット21Eから第2垂直部21Hのスリット21Eにかけて嵌入可能となっている。
実施形態2によれば、取付片21が大径孔61Aに挿通されたあと小径孔61B側へスライドされることによって第1垂直部21Aのスリット21Eと第2垂直部21Hのスリット21Eとに小径孔61Bの左右両側の孔縁部61Eが前後方向で間隔をあけて嵌入するから、取付片21が接地部材60に対して浮き上がるのを規制された状態で確実に係止される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、アース端子と他のアース端子とを組み合わせて用いていたが、本発明は、アース端子が単品で用いられる場合にも適用できる。
(2)上記実施形態では、アース端子に直接電線の端末を圧着した例を示したが、本発明においては、アース端子が、例えばジョイントコネクタの端子の一端から延出した形態とされ、コネクタの嵌合に伴い間接的にアース用の電線が接続されるものであってもよい。
(3)上記実施形態では、接地部材に雌ねじの切られたねじ孔が形成されていたが、本発明においては、接地部材に単なる孔を設けてこの孔に連通するナットを接地部材に固着することによってボルトの締め付け作業を行ってもよい。
本発明の実施形態1におけるアース端子の平面図 その側面図 アース端子と他のアース端子とを組み付けて取付片を係合孔の大径孔に導入した状態をあらわす平面図 取付片を係合孔の大径孔から小径孔へとスライドさせてボルト締めした状態をあらわす平面図 小径孔の孔縁部と係合した取付片をあらわす正面図 取付片を係合孔に挿通する前の状態をあらわす要部拡大斜視図 実施形態2におけるアース端子の側面図
符号の説明
10…アース端子
11…本体部
21…取付片
21B…水平部
21E…スリット
30…他のアース端子
31…本体部
50…ボルト
60…接地部材
61…係合孔
61A…大径孔
61B…小径孔
61E…孔縁部

Claims (3)

  1. 板状の本体部に挿通孔が開口するとともにこの本体部から取付片を延出させたアース端子を備え、
    前記アース端子が前記挿通孔に挿通されたボルト等の固着部材によってアース用の接地部材に固定されるようになっており、かつ、この固定作業に先立って、前記取付片を前記接地部材の両面間に貫通する係合孔に挿通係合させることで前記固着部材を締める際の回り止めを行うようにしたものにおいて、
    前記係合孔は、大径孔とこれより径の小さい小径孔とが連通した形態とされ、
    前記取付片は、前記大径孔に挿通されたあと前記接地部材の両面に沿って前記小径孔側へスライドされることにより前記小径孔の孔縁部が嵌入するスリットを有することを特徴とするアース端子の取付け構造。
  2. 前記小径孔の孔縁部は前記取付片のスライド方向に沿った両側縁部に延設され、前記スリットは前記両側縁部と対応するように前記取付片においてそのスライド方向に沿った両側面に延設されていることを特徴とする請求項1に記載のアース端子の取付け構造。
  3. 前記スリットは前記取付片においてそのスライド方向に間隔をあけた複数位置に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアース端子の取付け構造。
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