JP2006241424A - エマルション燃料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境負荷への影響を低減することが可能な経時安定性に優れたエマルション燃料を提供する。
【解決手段】 水を添加した燃料(軽油、重油、粘度調整を施した高粘度重質油など)に自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を必須成分として含ませる。自己組織能を有する両親媒性物質は、下記で表される(ポリオキシエチレン)硬化ひまし油誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜15である誘導体を用いるとよい。

【選択図】 なし

Description

本発明は、軽油、重油、又は高粘度の重質油等と水とを混合して形成されるエマルション燃料であって、経時安定性や燃焼性を向上させ、また、環境負荷への影響を減らすことが可能なエマルション燃料に関する。
従来、軽油等を燃料とした熱機関(自動車、発電、船舶、航空機など)からの排気ガス中には、PM(炭素微粒子)やVOC(α-Biphenyl など)以外に燃焼に伴い必然的に発生するCOやNOxの問題がある。このため、各自治体においては、独自に厳格な規制値を設定しており(例えば100〜110ppm以下)、この問題の技術的解決策としては、燃料に水を50%添加したエマルション燃料によって可能になることが報告されている(非特許文献1、非特許文献2等)。
また、高粘度の重質油とは、蒸留残渣油(タール、ピッチ、アスファルト等)、オイルサンド、天然ビチューメン、オリノコタール等の常温では扱えないような高粘性油であるが、これを流動化するために低粘度の石油留分等で調整すること、また、この調整重質油を界面活性剤によってエマルション化することも知られている(特許文献3)。
"水エマルジョン燃料による排気ガスの窒素酸化物および黒煙の低減効果"、[平成16年8月25日検索]、インターネット<URL: http://www.naro.affrc.go.jp/top/seika/2002/kanto/kan019.html> "水エマルジョン燃料のディーゼル機関への適用化研究"、 川崎重工技報 第132号、[平成16年8月25日検索]、インターネット<URL: 1111979092250_2.htm> 特開平07−70574号公報
しかしながら、軽油等の燃料は、多種の炭化水素油の混合物であるため、水を添加した燃料を従来の界面活性剤により乳化することは困難であり、界面活性剤による経時安定的なエマルション燃料は未だ開発されていない。
また、低粘度の石油留分等で流動化された調整重質油は搬送ラインでの沈降、附着あるいは不完全燃焼による環境汚染などのため幅広く利用されるまでになっていない。しかも、調整重質油を界面活性剤によってエマルション化したエマルション燃料は、成分性状に著しい差異があるため、多量多種の界面活性剤を使っても満足できる安定性が得られていない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷への影響を低減することが可能な経時安定性に優れたエマルション燃料を提供することを主たる課題としている。
従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化・分散法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化分散剤を必要とするものであった。これに対して、本発明者らは、新規な乳化技術を開発するために鋭意研究を重ねた結果、油/両親媒性化合物/水系の中で独立相として存在する両親媒性化合物のナノ粒子をファンデルワールス力により燃料油に付着させることで乳化を行なう三相乳化法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を達成するために、この発明に係るエマルション燃料は、水を添加した燃料に自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を必須成分として含むことを特徴としている(請求項1)。
ここで、閉鎖小胞体は、平均粒子径を、エマルション形成時に8nm〜500nm、分散剤調整時に200nm〜800nmとすることが好ましい(請求項2)。また、燃料は、軽油、重油(A−重油、C−重油)、灯油、ガソリン等、又は粘度調整を施した高粘度の重質油(蒸留残渣油、オイルサンド、天然ビチューメン、オリノコタール等)を想定しており、自己組織能を有する両親媒性物質としては、下記の一般式(化1)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜15である誘導体を用いるとよい(請求項3,4)。
また、燃焼ガスのCOやNOxの値を上述した規制値以下とするためには、重量比で、両親媒性物質0.1〜15.0%、前記燃料1〜95%、水バランスで組成することが好ましい(請求項5)。
燃料としてA−重油を用い、両親媒性物質として上記誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が10である誘導体(HCO−10)を用いた場合には、HCO−10を0.1〜14.25%、A−重油を5〜95%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を 5〜14.25%、A−重油を5〜50%、水バランスで組成するとよい。
また、燃料として軽油を用い、両親媒性物質として前記HCO−10を用いた場合であれば、HCO−10を 0.4〜10.0%、軽油 5〜95%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を 0.8〜10.0%、軽油を5〜60%、水バランスで組成するとよい。
さらに、燃料として重質油を用い、粘度調整剤で流動化する工程を経て両親媒性物質として前記HCO−10を用いた場合には、HCO−10を0.3〜9%、調整重質油80〜10%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を0.3〜9%。調整重質油を70〜30%、水バランスで組成すると良い。
また、上記のエマルション燃料に防錆剤、焼き付き防止剤、防腐剤などの添加物を目的に応じ任意に配合できる。上記の三相乳化技術は、軽油、重油以外の合成油、植物油等との混合油にも適用可能である。
尚、上述したエマルション燃料を製造する方法は、原料油を流動化調整する工程と、流動化調整された原料油を所定温度以下まで温度を下げる温度調節工程と、前記温度調節工程で温度調節された原料油を自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤の溶液中に滴下し微細化する工程とを含むとよい。特に重質油においては温度管理が重要である。重質油が流動可能になる80℃前後に加温した上で粘度調整用油を所要量加えて均一化する。このときの粘度は調整用油の量によって管理可能である。しかし乳化分散剤と併せるときには60℃ぐらい迄温度を下げておく必要がある。このように調整した重質油または軽油、重油等はエマルション燃料組成にあわせた水と乳化分散剤の液中に少量ずつ加えていく形で、攪拌されてエマルション燃料が形成される。
以上述べたように、この発明によれば、水を添加した軽油、又は、重油に自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を必須成分として含むようにしたので、極めて経時安定性に優れた燃料エマルションを形成することができ、また、NO,CO,SOの発生濃度を低減することができる。また、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃焼機関の耐久年数の向上が望める。さらに、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃料成分の重量比から予測される以上のCOを発生させ、また酸素濃度を増加させることができることから、完全燃焼を促進することが可能となり、不完全燃焼によって生じる炭素微粒子(PM)を低減することが可能となる。
以下、この発明の最良の実施形態を説明する。
図1において、従来型の界面活性剤による乳化法と今回採用した三相乳化法の概念図が示されている。
従来の界面活性剤による乳化法においては、図1(a)に示されるように、界面活性剤は同一分子内に性質の異なる親水基と親油基を持つため、油の粒子に対しては、界面活性剤の親油基が油に相溶し、また、その親水基は油粒子の外側に配向した状態で並び、油水界面張力を減少させて、水媒体中に均一に混ざり合い、O/W型エマルションを生成する。
しかしながら、従来型のこのような乳化法によると、被乳化油性基剤の所要HLB値に適合した界面活性剤を選択するため、油表面に吸着し、形成する単分子膜状の乳化膜は、界面活性剤の種類によりその界面の物性が変化する不都合がある。また、図2(a)に示されるように、油滴の熱衝突による合一によって油滴のサイズは次第に大きくなり、この凝集・合一過程を経て遂には油と界面活性剤水溶液とに相分離する。これを防ぐためには、マイクロエマルションを形成させる必要があり、これには、多量の界面活性剤を用いなければならない不都合がある。
そこで、本件においては、図1(b)に示されるように、油や水の粒子に対して乳化分散剤相のナノ粒子を付着させ、これにより、水相―乳化分散剤相―油相の三相構造を形成し、従来の界面活性剤と異なって相溶性による油水界面の界面エネルギーの低下をさせることなく、図2(b)に示されるように、熱衝突による合一を起こりにくくして乳化物の長期安定化を図っている。また、このような機構に基づき、少量の乳化分散剤によってエマルションを形成することが可能な新規な乳化法(三相乳化法)を採用した。
このような三相乳化を実現する乳化分散剤としては、自己組織能を有する両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を用いることが有効であり、本発明のエマルション燃料は、水を添加した軽油、重油(A−重油、C−重油)、重質油、灯油、又はガソリン等の燃料に前記乳化分散剤を必須成分として含ませたものである。
ここで、両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体は、平均粒子径を8nm〜500nmとすることが好ましい。粒子径を8nmより小さくすると、ファンデルワールス力に起因する吸引作用が小さくなり、閉鎖小胞体が油滴の表面に付着しにくくなるからであり、また、粒子径を500nmよりも大きくすると、安定したエマルションを維持できなくなるためである。図3に粒子径8nmを表すTEMの写真を示す。また、粒子径が500nmより大きくなると、針状粒子が生じるようになり、安定したエマルションを形成できなくなる。図4に平均粒子径390.0nmの場合(500nm以下の場合:図中(A)側)と平均粒子径2087.8nmの場合(500nmより大きい場合:図中(B)側)の散乱強度分布とTEMの写真を示す。
閉鎖小胞体の粒子径をエマルション形成時にこの範囲にするには分散剤の調整時には200nm〜800nmにあってもよい。これはエマルション形成の工程で閉鎖小胞体が細粒化されるためである。この工程で閉鎖小胞体が破壊されていないことは図5のXRDピークを観察することで確認できる。
このような閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質としては、下記の一般式(化2)で表される(ポリオキシエチレン)硬化ひまし油誘導体を採用するとよい。
硬化ひまし油の誘導体としては、エチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜15である誘導体が使用可能である。また、目的に応じて上記の閉鎖小胞体の熱安定性の向上を図るため、上記の乳化分散剤と他のイオン性界面活性剤・両性界面活性剤その他の非イオン界面活性剤を併用することもできる。
尚、上述したエマルション燃料を製造する方法は、特に重質油においては温度管理が重要である。即ち、重質油等の高粘性油を利用したエマルション燃料においては、流動化調整する工程(ステップI)と流動化調整した高粘性油を所定温度以下(60℃以下)まで温度を下げる温度調節工程(ステップII)が必要となる。
流動化調整の工程(ステップI)は、図6に示されるように、原料油が流動可能になるよう80℃程度に加温調整する工程(ステップI−1)、その上で粘度調整用油を所要量添加する工程(ステップI−2)、攪拌し均一化する工程(ステップI−3)により達成される。均一化する際の粘度は調整用油の添加量によって管理可能である。また、ステップI−1の加温調整の温度は、調整用油と混合可能であれば80℃でなくてもよいが、重質油等の高粘性油の場合には、乳化分散剤と併せるときに60℃以下迄温度を下げておかなくてはならない。このため、高粘性油の場合には、流動化調整する工程の後に、流動化調整された原料油を所定温度以下(60℃以下)まで温度を下げる温度調節工程(ステップII)が必要となる。このステップI、及び、ステップIIの工程は、原料油によっては省略可能である。
その後、流動化調整された原料油を乳化分散剤液中に滴下する工程(ステップIII)、粒子を微細化するために攪拌する工程(ステップIV)を経てエマルション燃料を生成する。即ち、流動化調整した重質油または軽油、重油等はエマルション燃料組成にあわせた水と乳化分散剤の液に少量ずつ加えていく形で、攪拌されてエマルション燃料が形成される。攪拌は、高速攪拌(〜16000rpm)であることが望ましいが、攪拌については温度上昇が観察されない程度の速度であればよい。また、水中滴下と粒子の微細化の工程は、同時に実施した方が好ましい。
以下において、両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を用いて水と軽油およびA−重油を乳化し、エマルション燃料を調製する実施例を示す。
市販品の軽油、A−重油を水道水にて乳化させることを試みた。乳化分散剤としては、親水性のナノ微粒子を形成するポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうち、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(E)が10である誘導体(以下、HCO−10という;分子量1380g/mol)を水で分散させた分散液を使用した。このHCO―10は、水への溶解性がほとんどなく、水中で自己組織化して閉鎖小胞体を形成することが判っており、平均粒子径は表1に示すように濃度によるが、水分散液の段階で200nm〜800nmである。分散液中での安定性を考慮して5〜20wt%の濃度範囲に設定した。界面活性剤は全く使用しなかった。
乳化機は通常のホモジナイザーを使用し、燃焼実験は灯油仕様のバーナを使用した燃焼実験装置を使用し、燃焼排気ガス中の5成分(NO,CO,SO,CO,O)を自動モニターした。
HCO−10水分散液に燃料を添加し、ホモジナイザーで16000rpm、10分間攪拌してエマルションを調製した。エマルションの組成は、重量比でHCO−10:5%、油相50%、水45%である。
図7に、従来の界面活性剤による軽油とA−重油のエマルションと本発明の三相乳化法による軽油とA−重油のエマルションを調製した後、界面活性剤によるエマルションにあっては2日経過した状態を、三相乳化法によるエマルションにあっては30日経過した状態(この状態は、2ヶ月経過しても同じであった)を示す。この図から判るように、従来の界面活性剤によるエマルションは完全に相分離しているが、三相乳化法によるエマルションにあっては、HCO−10の乳化分散剤以外に添加物を用いなくても経時的に極めて安定に存在した。
次に、HCO−10、油相(A−重油、軽油)、水の重量比を変化させて攪拌によりエマルションを調製した後、室温で1ヶ月経過した状態を観測した。
A−重油の乳化例を表2乃至表4に示す。また、表3の乳化状態の写真を図8に示す。短時間であれば、HCO−10:0.5%、油相:95%でもエマルションは形成されるが、油相が80%以上になると経時変化がみられる。
上記結果から判るように、HCO−10を0.1〜14.25%、A−重油を5〜95%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を 5〜14.25%、A−重油を5〜60%、水バランスで組成するとよい。
軽油の乳化例を表5乃至表8に示す。また、表7の乳化状態の写真を図9に示し、表8の乳化状態の写真を図10に示す。この場合には、油相80%以上のエマルションは安定に形成されなかった。しかし経時的な変化は見られない。
上記結果から判るように、HCO−10を 0.4〜10.0%、軽油 5〜95%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を 0.8〜10.0%、軽油を5〜60%、水バランスで組成するとよい。
尚、以上においては、油種として軽油とA−重油を用いた場合について示したが、ガソリン、灯油、C−重油を乳化する場合についても、表9に示されるように、僅かな乳化分散剤で、安定した乳化状態が確認された。
高粘度の重質油を乳化する場合には粘度を調整する工程を経る。この時使われる粘度調整剤は石油精製等の工程から得られる留出分の低粘度油である軽油やA重油が好適であるが、重質油と均一に混ざるものであれば特に限定する必要はない。表10及び図11に灯油、軽油、A重油および流動パラフィンによる粘度調整の結果を示す。
図11で3万mPaぐらいまでは次工程での取扱いに支障はない。粘度調整剤として流動パラフィンを40重量部用いた場合の乳化例は乳化自体は可能であったが流動性不良のため取扱いがたい。
また、粘度調整剤としてA重油を30%加えた調整重質油と10wt%HCO−10水分散液とでエマルジョン化した結果を、表11及び表12に示す。
更に粘度調整剤として灯油、軽油、流動パラフィンを用いた場合の乳化実験例を、表13、表14、表15に示す。
上記の結果から判るように、HCO−10を2〜9%、調整重質油80〜10%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を3〜9%、調整重質油を70〜30%、水バランスで組成すると良い。
次に、軽油エマルションとA−重油エマルションの燃焼実験をそれぞれ行なった。灯油仕様の燃焼装置を使用し、バーナーの改造を施さなくても、エマルション燃料は消火することなく燃焼した。
軽油の燃焼時の排気ガスについての測定結果を図12に、A−重油の燃焼時の排気ガスについての測定結果を図13に示す。
図12から明らかなように、燃料を軽油からそのエマルションに切り換えると、排気ガス中のNOx濃度が著しく減少し、燃焼が安定すると通常の約1/10になった。また、CO濃度は一旦増加するものの、SO濃度と共に減少する傾向が見られた。これに対し、排気ガス中の酸素濃度は増加し、CO濃度も燃料成分が50%であることから比べて増加しているので、軽油単独での燃料よりも完全燃焼していると考えられる。軽油とそのエマルションのそれぞれの燃焼温度は、それぞれ約1150度と950度であり、約200度低下した。
また、図13から明らかなように、燃料をA−重油からそのエマルションに切り換えた場合にも、排気ガス中のNOx濃度は著しく減少し、燃焼が安定すると通常の約1/6になった。CO濃度は一旦増加するものの、SO濃度と共に減少する傾向が見られた。これに対し、排気ガス中の酸素濃度は増加し、CO濃度も燃料成分が50%であることから比べて増加しているので、A−重油単独での燃料よりも完全燃焼していると考えられる。A−重油とそのエマルションのそれぞれの燃焼温度は、それぞれ約1050度と900度であり、約150度低下した。
よって、上述したエマルション燃料を使用することにより、大気汚染が改善され、環境負荷を著しく低減させることが可能になると予期される。
図1は、乳化メカニズムを説明する図であり、図1(a)は従来の界面活性剤の単分子膜吸着メカニズムを説明する図、図1(b)はナノ粒子の付着メカニズムを説明する図である。 図2(a)は従来の吸着分子型での熱衝突による現象を説明する図であり、図2(b)は乳化分散剤相付着型での熱衝突による現象を説明する図である。 図3は、DMPC−C14TAB系乳化剤粒子のTEM写真( Xs=0.5、等モル混合)である。 図4は、DMPC−C14TAB系乳化剤粒子の平均粒子径が390.0nmの場合(A)と2097.8nmの場合(B)の散乱強度分布とTEM写真である。 図5は、水に対して0.5wt%のDMPC−TTAB混合液晶に油を添加して乳化した場合のXRDピークを観測した結果を示す図である。 図6は、エマルション燃料の製造方法を説明するブロック図である。 図7(a)は、従来の界面活性剤を用いた軽油とA−重油のエマルションを調製後2日間置いた状態を示す図であり、図7(b)は、三相乳化法を用いた軽油とA−重油のエマルションを調製後30日間置いた状態を示す図である。 図8は、表3の乳化状態を示す写真である。 図9は、表7の乳化状態を示す写真である。 図10は、表8の乳化状態を示す写真である。 図11は、灯油、軽油、A−重油、流動パラフィンによる粘度調整の結果を示す。 図12は、軽油の燃焼から軽油エマルションの燃焼へ移行させて排気ガスの各成分の濃度変化を測定した試験結果を示す。 図13は、A−重油の燃焼からA−重油エマルションの燃焼へ移行させて排気ガスの各成分の濃度変化を測定した試験結果を示す。
即ち、上記課題を達成するために、この発明に係るエマルション燃料は、水を添加した燃料に、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成されて油性基材表面に付着する閉鎖小胞体を主成分とし、前記閉鎖小胞体の平均粒子径がエマルション形成時に8nm〜500nm、分散剤調製時に分散液中の濃度範囲5〜20wt%において200nm〜800nmである乳化分散剤を必須成分として含むことを特徴としている(請求項1)。
ここで、燃料は、軽油、重油(A−重油、C−重油)、灯油、ガソリン等、又は粘度調整を施した高粘度の重質油(蒸留残渣油、オイルサンド、天然ビチューメン、オリノコタール等)を想定しており、自己組織能を有する両親媒性物質としては、下記の一般式(化1)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜15である誘導体を用いるとよい(請求項2,3)。
また、燃焼ガスのCOやNOxの値を上述した規制値以下とするためには、重量比で、両親媒性物質0.1〜15.0%、前記燃料1〜95%、水バランスで組成することが好ましい(請求項4)。
以上述べたように、この発明によれば、水を添加した軽油、又は、重油に自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成されて油性基材表面に付着する閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を必須成分として含むようにしたので、極めて経時安定性に優れた燃料エマルションを形成することができ、また、NOx,CO,HCの発生濃度を低減することができる。また、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃焼機関の耐久年数の向上が望める。さらに、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃料成分の重量比から予測される以上のCOを発生させ、また酸素濃度を増加させることができることから、完全燃焼を促進することが可能となり、不完全燃焼によって生じる炭素微粒子(PM)を低減することが可能となる。
上記の結果から判るように、HCO−10を0.3〜9%、調整重質油80〜10%、水バランスで組成すること、より好ましくは、HCO−10を0.3〜9%、調整重質油を70〜30%、水バランスで組成すると良い。

Claims (6)

  1. 水を添加した燃料に自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を必須成分として含むことを特徴とするエマルション燃料。
  2. 前記閉鎖小胞体の平均粒子径がエマルション形成時に8nm〜500nm、分散剤調整時に200nm〜800nmであることを特徴とする請求項1記載のエマルション燃料。
  3. 前記両親媒性物質は、下記の一般式(化1)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜15である誘導体である請求項1又は2記載のエマルション燃料。
  4. 燃料ベースとして軽油、重油又は粘度調整を施した高粘度重質油を用いた請求項1乃至3のいずれかに記載のエマルション燃料。
  5. 前記両親媒性物質0.1〜15.0%、前記燃料1〜95%、水バランスで組成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエマルション燃料。
  6. 原料油を流動化調整する工程と、流動化調整された原料油を所定温度以下まで温度を下げる温度調節工程と、前記温度調節工程で温度調節された原料油を自己組織能を有する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤の溶液中に滴下し微細化する工程とを含むことを特徴とするエマルション燃料の製造方法。
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