JP2009280761A - 廃グリセリン添加エマルション燃料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成されて油性基材表面に付着する閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を添加すると共に油脂をアルコールとエステル化反応する過程で生成される廃グリセリンを添加した水分散液を燃料油に混合する。または、単粒子化された糖ポリマーを主成分とする乳化分散剤と油脂をアルコールとエステル化反応する過程で生成される廃グリセリンとを添加した水分散液を燃料油に混合する。
【選択図】なし
Description
この際、分散液中への廃グリセリンの溶解を促進するために、分散液に廃グリセリンを添加する際に加熱するようにしてもよい。
そして、乳化分散剤を分散させた分散液中に廃グリセリンを添加して完全に溶解させて廃グリセリン水分散液を形成する。この際、分散液への溶解を促進するために、分散液を40〜50℃に加熱するとよい(ステップS02)。
その後、廃グリセリン水分散液を燃料油に混合させて、燃料油を廃グリセリン水分散液で乳化する(ステップS03)。
この図2に示す結果から判るように、C重油を除いて安定した乳化状態が得られ、常温においては廃グリセリンの添加量が多くなると流動性が損なわれる傾向にあるが、50℃では、いずれのエマルション燃料も、良好な流動性が得られている。
本研究において、天然及び半合成系糖ポリマー誘導体として,以下の8種類を使用した。
アルカリゲネス産生多糖類は伯東株式会社から提供されたものをそのまま用いた。アルカリゲネス産生多糖類はAlcaligenes latus B−16菌株が産出した糖ポリマーで、下式で示されるように、高分子成分と低分子成分の混合物構成成分(高分子量成分:低分子量成分=約7:1)である。
ローカストビーンガムは地中海沿岸に生育するマメ科の植物であるローカストビーン(イナゴマメ)の種子の胚乳部分を原料に作られる。ガラクトマンナン多糖で,下式に基本的な構造式を示す。
カラギーナンは,紅藻類の細胞間粘質物質を原料とする硫酸基を含有する直鎖状の構造の酸性多糖類である。その基本的な構造を下式に示す。
キサンタンガム(ケルザン)は、下式に示される構成を有し、Xanthomonas campestrisが菌体外に生産する酸性多糖類である。
HEC(ヒドロキシエチルセルロース)は、下式に示される構成を有し、植物から抽出される天然食物繊維のセルロースから作られるノニオン性の水溶性の高分子物質。
片栗粉はユリ科の多年草である片栗の地下茎から製した白色の澱粉。近時,市販の多くは馬鈴薯澱粉である。下式に示されるように、α-グルコースが直鎖状につながった高分子のアミロースとα-グルコースが多数の分岐を以て鎖状につながった高分子のアミロペクチンからなる。
CMC(カルボキシメチルセルロース)は、天然パルプを原料として、セルロースの水酸基を部分的にカルボキシチル基で置換(エーテル化)して得られるアニオン系水溶性高分子である。基本構造を下式に示す。
ヒドロキシエチルセルロースのカチオン化反応により生成したカチオン化ヒドロキシエチルセルロースである。ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルなどと表されることもある。
以上の糖ポリマーを利用して、先ず、糖ポリマー水分散液を調製する。糖ポリマー水分散液の調製は、図7に示されるように、まず所定の質量比 (糖ポリマー:水)になるように量り取った糖ポリマーを水に加え(ステップS11)、卓上ホモミキサー(みづほ工業株式会社 QUICK HOMOMIXIER LR-1型)(3000rpm)で攪拌して単粒子化させ(ステップS12)、一日熟成させて糖ポリマー水分散液を調製した(ステップS13)。分散液の調製は室温(25℃)、80℃,90℃で行なった。
この結果から、粘度が4000mP・sを超えると流動性が保てなくなるため、この範囲を除外すると、図12に示されるように、アルカリゲネス産生多糖類では0.3wt%まで、Locust Bean Gumでは1.0wt%まで、Carrageenanでは0.5wt%まで、Xanthan Gumでは0.5wt%まで、HECでは0.5wt%まで、片栗粉では1.0wt%までとなる。また、CMC及びカチオン化セルロースにおいては、1.0wt%でも流動性が十分に保てるため、1.0wt%までとした。
したがって、糖ポリマー分散液中の糖ポリマーの濃度の上限(各種糖ポリマー分散液によるA重油乳化で使用できる濃度)は1.0wt%とした。
次に、上述のようにして調製された糖ポリマー水分散液を用い、各所定の濃度の糖ポリマー水分散液に所定濃度となるように廃グリセリンを加熱(40〜50℃)しながら溶解して廃グリセリン水分散液を生成した(ステップS14)。そして、次に燃料油を加え,ホモミキサー(株式会社アーンスト・ハンセン商会 DIAX900 18F シャフト径 18 mm/25 mm)(16000 rpm)を用い室温で10分間攪拌し,三相乳化エマルションを調製した(ステップS15)。
糖ポリマーの濃度は、アルカリゲネス産生多糖類の場合は0.1wt%とし、Locust Bean Gumの場合は0.3wt%とし、Carrageenanの場合は0.5wt%とし、Xanthan Gumの場合は0.3wt%とし、HECの場合は0.15wt%とし、片栗粉の場合は0.5wt%、CMCの場合では0.3wt%、カチオン化セルロースの場合では0.2wt%を代表濃度として設定した。
乳化状態は概ね良好であり、常温(20℃)においても流動性の点で問題はなかった。
Claims (8)
- 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成されて油性基材表面に付着する閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤と油脂をアルコールとエステル化反応する過程で生成される廃グリセリンとを添加した水分散液と燃料油を混合して構成されることを特徴とする廃グリセリン添加エマルション燃料。
- 前記両親媒性物質0.1〜2.0wt%、前記廃グリセリン5wt%以上40wt%未満、前記燃料油30〜70wt%、水バランスで組成されることを特徴とする請求項1又は2記載の廃グリセリン添加エマルション燃料。
- 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成されて油性基材表面に付着する閉鎖小胞体を主成分とする乳化分散剤を水の中に添加して分散させる工程と、
この分散液中に、油脂をアルコールとエステル化反応する過程で生成される廃グリセリンを添加して溶解させる工程と、
前記廃グリセリンを溶解した分散液を燃料に混合させる工程と
を有することを特徴とする廃グリセリン添加エマルション燃料の製造方法。 - 単粒子化された糖ポリマーを主成分とする乳化分散剤と油脂をアルコールとエステル化反応する過程で生成される廃グリセリンとを添加した水分散液を燃料油と混合して構成されることを特徴とする廃グリセリン添加エマルション燃料。
- 前記糖ポリマーは、アルカリゲネス産生多糖類、ローキアストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、片栗粉,カルボキシメチルセルロース,カチオン化セルロースよりなる群から選ばれた1又は2以上のものであることを特徴とする請求項5記載の廃グリセリン添加エマルション燃料。
- 前記糖ポリマー0.02〜1.0wt%、前記廃グリセリン1wt%以上40wt%未満、前記燃料油10〜80wt%、水バランスで組成されることを特徴とする請求項5又は6記載の廃グリセリン添加エマルション燃料。
- アルカリゲネス産生多糖類、ローキアストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、片栗粉,カルボキシメチルセルロース,カチオン化セルロースよりなる群から選ばれた1又は2以上の糖ポリマーを単粒子化させる工程と、
前記単粒子化した糖ポリマーを主成分とする乳化分散剤に水を添加して所望濃度の糖ポリマー水分散液を調製する工程と、
この糖ポリマー水分散液中に、油脂をアルコールとエステル化反応する過程で調製される廃グリセリンを添加して溶解させる工程と、
前記廃グリセリンを溶解した糖ポリマー水分散液を燃料に混合させる工程と
を有することを特徴とする廃グリセリン添加エマルション燃料の製造方法。
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