JP2006240964A - 高純度シリコンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、安価、かつ、大量に、高純度の太陽電池基板用Siの原材料を提供する方法を提供する。
【解決手段】溶融シリコンに酸化剤を付与してシリコン中のホウ素を酸化して除去するシリコンの製造方法において、高温酸化剤から発生した酸化性ガスを精製炉内、又は、溶融Si上の狭い空間に密閉することにより、系外に廃棄されるガス量を減少させ、酸化剤使用量を抑制するものである。酸化剤のガス化は、その温度での飽和蒸気圧に達した時点で停止するので、それ以降、酸化剤の急速なガス化は発生せず、酸化性ガスによるSi中のホウ素酸化は安定して進行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池等に使用可能な高純度シリコン(Si)を製造するための方法に関するものである。
太陽電池に使用されるSiには、一般に99.9999%以上の純度が求められ、各種金属不純物は0.1ppm以下、ホウ素(B)(以下、ホウ素濃度をB濃度と称する。)については少なくとも0.3ppm以下であることが必要である。この条件を満たすSiには、シーメンス法により製造される半導体用のものが存在するが、製造法が高価であるため、安価であることが特に重視される太陽電池用途には適さない。安価な高純度Si製造法として、過去、いくつかの試みがなされている。
金属Si(シリコン)の一方向凝固法、即ち、溶融させたSiを一方向に凝固させ、固相と液相の不純物溶解度の差を利用することにより、固相側のSiを高純度化させる技術は古くから知られており、多くの金属不純物に対して有効な精製方法である。しかし、Bは固相−液相間の溶解度差が小さいため、この精製法をホウ素不純物に対して適用することはできない。
また、真空溶解法、即ち、溶融させたSiを真空下に保持し、Si中の低沸点不純物を除去する方法も良く知られており、炭素不純物等の除去に有効である。しかし、溶融Si中のBは、通常、低沸点物質の形態を取らないため、ホウ素不純物に対してこの精製法を適用することはできない。
この様に、Si中不純物の中で、Bは最も除去し難く、かつ、Siの電気特性への影響の大きい成分として問題視されてきた。Si中のBの除去を主な目的とした技術には、例えば、以下のものが開示されている。
「特許文献1」には、シリコンを酸洗洗浄する方法と、真空溶解法、一方向凝固法と共に、B除去のため、スラグ精錬法、即ち、溶融シリコン上に、溶融物質(スラグ)を配置し、シリコン中の不純物をスラグに移行させる方法が挙げられている。当該文献では、CaF+CaO+SiOからなるスラグを使用して、ホウ素分配比(スラグ中B濃度/Si中B濃度)1.357を得て、B濃度8質量ppmのSiを生成している。しかし、この濃度では、太陽電池用Siとしては不適格であり、また、当該文献のスラグ精錬法では、工業的に、これ以上ホウ素純度を向上させることもできない。なぜならば、この文献で用いている工業的に得られるスラグ原料は、数ppm程度のBを含有することが避けらない。この様なスラグを用いたスラグ精錬では、ホウ素分配比が充分高くない限り、スラグと同程度の濃度のBがSi中に残留することが避けられないからである。したがって、当該文献での様に、1前後の分配比のスラグ精錬では、1ppm程度の純度のSiしか得ることはできないのである。スラグ原料を精製してBを低減することは原理的に可能であるが、経済的合理性を欠くので、工業的には実施不可能である。
「特許文献2」には、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属酸化物を含有するスラグと粉砕した粗製Siを溶融前に混合した後、これら全部を溶融させるスラグ精錬法が開示されている。しかし、当該文献でのSi中のB濃度は、1ppmが限界であり、太陽電池用途には適さない。また、Siを粉砕する際には新たな不純物の混入が不可避なので、この点からも、Si精製法として不利である。
「特許文献3」には、金属Siに、CaO、CaCO、NaO等のフラックス(スラグ)を付与し、酸化性ガスを吹き込むスラグ精錬法が開示されている。しかし、当該文献でのSi中のB濃度は、7.6ppm程度であり、太陽電池用途には適さない。また、安価、かつ、安定して溶融Si中にガスを吹き込むことは、エンジニアリング的にかなり困難であり、Si精製法として不利である。
「非特許文献1」には、NaO+CaO+SiO成分のスラグを用いたスラグ精錬の例が開示されている。当該文献でのホウ素分配比は最高3.5であり、過去開示された技術の中で最も高いものであるが、現実的に使用可能なスラグ原料中Bの濃度を考慮すると、太陽電池用途としては依然として不適である。
この様に、Siのスラグ精錬技術は、一般に、溶融Si上にスラグを単に配置すればよいと言う簡便・安価な方法であるが、高いホウ素分配比を得ることができないため、太陽電池用途としては不適である。
スラグ精錬以外のSi中のB除去技術としては、Si中のBを酸化した後、気化除去、又は、スラグに吸収させる精製方法が各種提案されている。
「特許文献4」には、溶融Siに、プラズマガスにHO、O、CO等のガス及びCaO、SiO等の酸素含有物質を付与することにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
「特許文献5」には、プラズマジェット中に、水蒸気、SiOを付与し、Si中のBを除去する方法が開示されている。
「特許文献6」には、溶融Siと上部の電極の間にアークを発生させ、容器内に不活性ガス、又は、酸化性ガスを吹き込むことにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
「特許文献7」及び「特許文献8」には、特殊なトーチを使用し、酸素+水素トーチに水蒸気、SiOを、CaO、BaO、CaF等を溶融Siに、付与することにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
「特許文献9」には、底部にガス吹き込み羽口を有する容器内でSiを溶融し、羽口からAr又はH等のガスを吹き込むことにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
「特許文献10」には、Ca(OH)、CaCO、MgCOをキャリアガスと共に溶融Si中に吹き込み、Si中のBを除去する方法が開示されている。
これら、「特許文献4」〜「特許文献10」には、Si中のBを太陽電池用途の許容レベルに低減できるものも存在する。しかし、これら全ての技術は、プラズマ装置やガス吹き込み装置等の高価な設備及び複雑な操業が必須であり、経済性の観点から工業的に実用化困難である。
特開昭56−32319号公報 特開昭58−130114号公報 特開2003−12317号公報 特開平4−130009号公報 特開平4−228414号公報 特開平5−246706号公報 米国特許第5972107号明細書 米国特許第6368403号明細書 特開平4−193706号公報 特開平9−202611号公報 棚橋他、「資源と素材」2002年、第118巻、p.497−505
そこで、本発明においては、粗製Siを用いて高純度Siを製造する方法において、製品Si中の不純物を、特に、Bの濃度を太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価、簡便に減少せしめる高純度シリコン製造方法を提供することを目的とする。
本発明者のSi製造に関する研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
第1発明は、シリコン精製炉内に配置された溶融シリコンに酸化剤を付与してシリコン中のホウ素を酸化してシリコン中から除去するシリコンの製造方法において、酸化剤から発生するガスを精製炉内に密閉することを特徴とする高純度シリコンの製造方法である。
第2発明は、シリコン精製炉内に配置された溶融シリコンに酸化剤を付与してシリコン中のホウ素を酸化してシリコン中から除去するシリコンの製造方法において、溶融シリコン上に酸化剤を配置し、酸化剤の上部を液体物質で覆うことにより、酸化剤からのガス発生量を抑制することを特徴とする高純度シリコンの製造方法である。
第3発明は、前記酸化剤として、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物の内、1種又は2種以上の組み合わせを用いることを特徴とする第1又は第2発明に記載の高純度シリコンの製造方法である。
第4発明は、前記アルカリ金属の炭酸塩、前記アルカリ金属の炭酸塩の水和物、前記アルカリ金属の水酸化物、前記アルカリ土類金属の炭酸塩、前記アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、前記アルカリ土類金属の水酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は、これらの水和物、水酸化マグネシウム、又は、水酸化カルシウムの内、1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする第1〜第3発明のいずれか一つに記載の高純度シリコンの製造方法である。
第5発明は、前記液体物質が、シリコン酸化物、又は、アルミニウム酸化物の一方又は両方を主成分とするスラグであることを特徴とする第2発明に記載の高純度シリコンの製造方法である。
本発明の方法により、プラズマ装置やガス吹き込み装置等の高価な設備を使用することなく、Si中のB濃度を、太陽電池基板用途の0.3ppm以下まで低減することができる。さらに、本発明技術を従来技術である一方向凝固法や真空溶融法と組み合わせることにより、太陽電池基板用の原料Siを高品質、かつ、安価に供給することが可能となる。
まず、本発明と従来技術の差異について述べる。先に示した従来技術は、次の4つの手法に便宜的に分類できる。即ち、第1法は、溶融Si上にスラグを単独で供給する方法(「特許文献1、2」等。以下、「単純スラグ精錬法」と呼ぶ)である。第2法は、酸化性ガスを溶融シリコンに接触させる方法(「特許文献5、6」等。以下、「ガス酸化法」と呼ぶ)である。第3法は、固体酸化剤(MgCO等)を溶融Si中にキャリアガスと共に吹き込む方法(「特許文献10」等。以下、「酸化剤吹き込み法」と呼ぶ)である。第4法は、酸化性ガスを溶融シリコンに接触させると共に、スラグ、又は、スラグ原料(SiO等)を溶融Siに添加する方法(「特許文献3、4、7、8、9」等。以下、「複合スラグ精錬法」と呼ぶ)である。これに対し、本発明においては、特段のキャリアガス等使用することなく、酸化剤を溶融Siに接触させると共に、酸化剤から発生した酸化性ガスを溶融Si表面近傍に保持することが特徴であり、これら従来技術分類のいずれにもあてはまらない。
次に、本発明の原理を説明する。ガス酸化法に見られる様に、溶融Si中のBは、酸化性ガスに曝されるされることによって、Si中から効率的に除去される。また、酸化剤ガス吹き込み法においても、特許文献10に見られる様に、MgCO等の酸化剤は、Siとの接触による急激な昇温によって分解し、COを発生し、この様な酸化性ガスがSi中のBを酸化する。即ち、単純スラグ精錬法以外の脱ホウ素法において、酸化性ガスによるSi中のBの酸化が本質的に重要な反応機構であり、酸化性ガスをいかに簡易、かつ、効果的にSi中のBと接触させ得るかが、脱ホウ素法の優劣を決定する。ここで、固体、又は、液体の酸化剤を単に溶融Si上に配置することで酸化性ガスを発生させて、溶融Si中のBを効率的に酸化できれば、安価なB除去が実現できるはずである。しかし、この様な方法は、工業化されていない。なぜならば、この様な方法で発生する酸化性ガスは、反応速度の制御が困難であり、一般に急激なガス発生反応が生じることが多い。このため、常温の酸化剤を供給したとしても、酸化剤が溶融Si上に長時間存在して周囲から加熱され続けると、酸化剤の大半が気化して系外に失われるため、大量の酸化剤供給が必要になると共に、膨大な排気の処理費用が発生し、さらに、溶融Siと酸化剤の直接接触に伴い、酸化剤から爆発的にガスが発生する場合があり、Si融液の飛散、装置の破損の惧れがある。したがって、従来、酸化剤を使ってSi中のBを酸化するSi精製においては、供給した酸化剤の大半がSi融液と短時間に接触・反応する形式のものしか選択余地がなかった。酸化剤吹き込み法は、この一例であり、比表面積の大きい、微粒状の酸化剤をキャリアガスによって溶融Siの内部に供給することにより、酸化剤単位質量当りの反応面積を大きく設定でき、短時間でのホウ素酸化を実現している。しかし、前述の様に、酸化剤吹き込み法では、吹き込み装置を必要とし、酸化剤も極端に微粒化する必要があるため、生産設備が高価、かつ、操業が複雑であり、効率的なB除去方法とは言えない。
ところで、前述の、溶融Si上に酸化剤を直接載せる方法で発生する問題は、Si中のBの酸化を常圧下で行うことに起因するものである。即ち、常圧作業を維持しようとすれば、高温酸化剤から発生した酸化性ガスの大半を系外に廃棄しなければならず、酸化剤使用量が増大する。また、常圧に開放されたSi融液上では、少ない質量の酸化剤が気化したとしても、膨張速度が巨大になり易く、Si融液を激しく飛散させてしまうからである。
そこで、本発明では、高温酸化剤から発生した酸化性ガスを精製炉内、又は、溶融Si上の狭い空間に密閉することにより、系外に廃棄されるガス量を減少させ、酸化剤使用量を抑制するものである。この際、Si融液上方ではガス圧力が上昇するが、これは、炉体強度、又は、Si融液及び酸化剤の上方に配置された液体(スラグ)の静圧によって耐える。この様な高圧作業条件下では、酸化剤のガス化は、その温度での飽和蒸気圧に達した時点で停止するので、それ以降、酸化剤の急速なガス化は発生せず、酸化性ガスによるSi中のホウ素酸化は安定して進行することができる。同時に、この酸化反応は酸化性ガス分圧の高い高圧下でなされるため、常圧時よりも高速にSi中のBを酸化することができる。
ここで、本発明において、従来技術では問題になる、酸化剤気化によるSi融液の飛散現象が抑制される原理について説明する。Si融液が飛散する原因は、Si中に一時的に浸漬した酸化剤が周囲をSi融液に囲まれた状態で、気化膨張することにより、発生ガスが周囲のSi融液を押しのけ、最終的にSi融液がるつぼ外に跳ね飛ばされることによるものである。このとき、発生ガスがSi融液を押しのける圧力は、その温度における発生ガスの飽和蒸気圧とSi雰囲気圧力(炉内圧力)との差になる。また、同一質量の発生ガスがSi融液を押しのける量、即ち、排除体積は、ボイル−シャルルの法則により、Si雰囲気圧力に反比例する。さらに、Si雰囲気中での酸化剤発生ガス分圧が酸化剤の飽和蒸気圧に近づくにつれて、酸化剤の気化速度は低下し、酸化剤発生ガス分圧が酸化剤の飽和蒸気圧に達すれば、そもそも新たなガスは発生しなくなる。したがって、炉内圧力が発生ガスの飽和蒸気圧に近い高圧の場合、発生ガスが周囲のSi融液を押しのける正味の圧力が減少すること、排除体積が減少すること、ガス発生速度が減少することの3つの効果によって、Si融液が酸化剤からの発生ガスにより飛散させられる現象は著しく抑制されるのである。また、本発明においては、密閉炉中のSi融液上に酸化剤を投入する際、炉内は、常圧であってもかまわない。これは、酸化剤を投入した直後は、酸化剤の平均温度が低く、ガス発生速度が小さいため、Si融液の飛散は発生しないからである。酸化剤投入後、十分な時間がたてば酸化剤の平均温度はSi融液並に上昇するが、その時点では、それまでに発生したガスによって炉内は十分高圧になっているので、Si融液の飛散は最早発生し得ない。
(装置構成)
図1を用いて、第1発明を説明する。精製炉1内に設置されたるつぼ2は、周囲のヒータ3により加熱・保温される。るつぼ内には溶融させたSi4を保持でき、所定温度に維持される。るつぼ2内の溶融Si4上に酸化剤供給管7を通して酸化剤5が供給される。これら、溶融Si−酸化剤起因の酸化性ガス間でB除去を含めた反応・精製がなされる。加熱時の炉内雰囲気は、ガス供給管10、ガス排気管11を通して、ガス種・ガス濃度が制御される。精製中は、これらの配管の弁13を閉止して、炉内を密閉する。その結果、酸化剤より発生したガスにより、炉内は高圧化する。炉内圧力は、反応速度の観点からは、より高圧であることが望ましいが、100気圧を超える高圧設備は一般に極めて高価であるため、100気圧以下が望ましい。酸化剤が充分消耗(Si融液との反応によるもの)した時点で、残酸化剤はるつぼ外に排出される。排出方法は、るつぼに設置されたるつぼ傾動装置12によってるつぼが傾けられ、溶融Si上部に存在する残酸化剤及びSiの酸化により副次的に生成したスラグのみが冷却材受9に排出される。この後、るつぼを元の位置に戻し、必要であれば、再度酸化剤を溶融Si上に供給して精製を複数回継続してもよい。
次に、図2を用いて、第2発明を説明する。精製炉内の構成と作業手順は、概ね図1と同様である。相違点は、スラグ供給管8を通して、溶融Si上の酸化剤のさらに上方にスラグ6を供給する点である。第2発明においては、加熱された高温酸化物から発生した酸化性ガスは、まず、溶融Siとスラグ間に空間を形成して保持される。この空間内の圧力は、上部に蓋をするスラグによる静圧と釣り合い、高圧化する。このため、酸化剤からのガス発生速度は抑制される。また、この空間において、酸化性ガスは、Si、Si中のBと共にスラグとも反応して、大半がSi又はスラグに吸収される。さらに、発生した酸化ガスの一部は、スラグ内を気泡の形で上昇し、炉内に放出される。
(酸化剤)
酸化剤に関しては、酸化能力、純度、取り扱い易さ、並びに、価格の条件を満たせばどの様なものでもよい。しかし、望ましくは、酸化剤は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物の内、1種又は2種以上の組み合わせを主成分とする物質であるべきである。なぜならば、これらの物質は、第1に、高温下で酸化性ガスを容易に発生させ、第2に、Siへの溶解による汚染が少ないからである。更に望ましくは、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は、これらの水和物、水酸化マグネシウム、又は、水酸化カルシウムの内、1種又は2種以上を用いることである。なぜならば、これらの物質は、第1に、Siの酸化に伴いSi融液表面に発生する強固なSiO薄膜と反応して低粘度のスラグを形成し、酸化剤とSi融液の接触阻害を回避させる効果があるから、第2に、工業的に大量に生産されており、高純度製品の製造法が確立しているからである。尚、この明細書及び請求の範囲に記載されているアルカリ土類金属は、ベリリウムとマグネシウムを含むものとする。
(スラグ)
スラグは、Si融点以上の高温で固体又は液体として安定に存在し、かつ、Siへの汚染の少ないものが望ましい。この様な物質の例として、高純度のシリカ、アルミナを主体にすることが望ましい。また、後述の様に低温での作業が望ましいので、低温でもスラグに流動性を付与するため、添加剤を用いることが適当である。添加剤としては、Siを汚染し難い物質として、CaO、NaCO等を用いることができる。但し、スラグの粘性を過度に低下させると、スラグの下方で酸化剤から発生したガスがスラグ中を気泡として容易に上昇してしまうので、問題である。特に、酸化剤との反応によって、作業後半ではスラグの粘性は急激に低下するので、投入時のスラグは、流動可能な範囲で、できるだけ高粘度、例えば、0.01Pa・sec以上にすべきである。また、スラグは僅かな流動性を有すればSi上を密閉することが可能なので、例えば、10Pa・sec以下の粘度のものであれば十分使用できる。スラグ温度は、スラグの流動性を好適にするため、適宜設定されるべきである。但し、1000℃未満のスラグでは、酸化性ガスの吸収速度が著しく低下するので、これ以上の温度とすべきであり、るつぼ保護の観点からは2000℃以下で作業すべきである。
(その他作業条件)
使用するるつぼについては、溶融シリコンや酸化剤に対して安定であることが望ましく、例えば、黒鉛やアルミナが使用可能である。
作業温度については、高温での作業は、炉材耐久性や炉材汚染の観点から避けるべきである。したがって、溶融Siの温度は融点以上2000℃以下であることが望ましい。また、工程上の当然の条件として、Si温度は、融点以上でなければならない。
作業雰囲気については、本発明において、Si中のBを酸化することが重要であるので、水素ガス等の還元性雰囲気は避けるべきである。また、るつぼ・炉材に黒鉛を使用する場合には、これらの酸化ロスを防止するため、空気等の酸化性雰囲気も避けるべきである。従って、望ましくは、Arガス等の不活性ガス雰囲気とすべきである。
(実施例1)
図1の精製炉を用いてSiの精製を実施した。まず、精製炉内の直径500mmの黒鉛製るつぼ内に、B濃度12質量ppmで平均直径5mmの金属Si粒を50kg配置し、Ar雰囲気下で抵抗ヒータによりるつぼを加熱して、1500℃の溶融Siとして保持した。次に、酸化剤供給弁15を開放し、B濃度0.3質量ppmで粉末状の常温の炭酸ナトリウム(NaCO)5kgを、酸化剤供給管7を通じて精製炉内の溶融Si上に投入した。その後、酸化剤供給弁15及びガス供給管及びガス排出管の弁13を閉止して精製炉内を密閉し、溶融Siを1500℃に維持して30分間精製を実施した。精製開始後、炉内の圧力を圧力計14で連続監視した。精製中、酸化剤の昇温に伴って炉内圧力は急速に上昇したが、炉内ゲージ圧約900000Paに達した時点で安定した。精製終了後、弁13を開放し、10分間かけて徐々に炉内を常圧に復帰させ、るつぼを傾動して、残酸化剤及びSiの酸化により副次的に発生したスラグを廃スラグ受に排出した後、溶融シリコンのサンプルを採取した。サンプルの採取方法は、Siの融点以上に先端を加熱した高純度アルミナ管の先端を溶融シリコンに浸漬し、この管を通して溶融シリコンを吸引し、アルミナ管の加熱されていない部分で急冷されて凝固したシリコンをアルミナ管ごと炉外に取り出し、後に、アルミナ管からシリコンを分離したものを分析サンプルとした。1回当りのサンプル質量は、約100gであった。サンプルの成分分析方法は、広く市場で用いられているICP分析法によった。その後再び、溶融Si上に酸化剤を供給して精製を繰り返し、計7回の精製を実施した。1回の精製毎に、Si中のB濃度は、精製前の約1/2に低下した。最終的に得られたSi中のB濃度は、0.1質量ppmであり、太陽電池用SiのB濃度仕様を満足した。
(実施例2)
図2の精製炉を用いて,Siの精製を実施した。まず、精製炉内の直径700mmの黒鉛製るつぼ内に、B濃度12質量ppmで平均直径5mmの金属Si粒を50kg配置し、Ar雰囲気下で抵抗ヒータによりるつぼを加熱して、1500℃の溶融Siとして保持した。次に、これとは別の第2の加熱炉内において、B濃度1.5質量ppmで平均直径10mmの高純度ケイ砂100kg及びB濃度0.3質量ppmで粉末状の炭酸ナトリウム(NaCO)30kgを事前に混和した後、第2の加熱炉内に配置された黒鉛るつぼ内で1600℃まで加熱・保持してスラグを形成した。次に、酸化剤供給弁15を開放し、B濃度0.3質量ppmで粉末状の炭酸ナトリウム(NaCO)5kgを、酸化剤供給管7を通じて精製炉内の溶融Si上に投入した後、スラグ供給弁16を開放し、第2の加熱炉内で生成させたスラグをるつぼと共に精製炉上まで輸送し、るつぼを傾動させ、スラグ供給管8を通じて精製炉内の溶融Si上にスラグを注湯した。酸化剤投入からスラグ注湯までの時間は、約5分であった。スラグ注湯後に、酸化剤供給弁15、スラグ供給弁16、並びに、ガス供給管及びガス排出管の弁13を閉止して精製炉内を密閉し、溶融Siを1500℃に維持して30分間精製を実施した。精製開始後、炉内の圧力を圧力計14で連続監視した。精製中、酸化剤の昇温に伴って炉内圧力は急速に上昇したが、炉内ゲージ圧が約10000Paに達した時点で安定した。精製終了後、弁13を開放して10分間かけて徐々に炉内を常圧に復帰させ、るつぼを傾動して、スラグ及び残酸化剤を廃スラグ受9に排出した後、溶融シリコン及びスラグのサンプルを採取した。サンプルの採取方法及び分析方法は、実施例1と同様である。その後再び、溶融Si上に酸化剤及びスラグを供給して精製を繰り返し、計8回の精製を実施した。1回の精製毎に、Si中のB濃度は、精製前の約1/2に低下した。最終的に得られたSi中のB濃度は、0.1ppmであり、太陽電池用SiのB濃度仕様を満足した。
(実施例3)
図2の弁13を開放して炉内発生ガスを系外に排気することにより、精製時の炉内圧力を常圧に保持する条件とし、これ以外の条件を全て実施例2と同様に設定して、Si精製を実施した。最終的に得られたSi中のB濃度は、0.23ppmであり、太陽電池用SiのB濃度仕様を満足した。
第1発明の模式図 第2発明の模式図
符号の説明
1 精製炉、
2 るつぼ、
3 ヒータ、
4 溶融シリコン、
5 酸化剤、
6 スラグ、
7 酸化剤供給管、
8 スラグ供給管、
9 廃スラグ受、
10 ガス供給管、
11 ガス排気管、
12 るつぼ傾動装置、
13 弁、
14 圧力計、
15 酸化材供給弁、
16 スラグ供給弁。

Claims (5)

  1. シリコン精製炉内に配置された溶融シリコンに酸化剤を付与してシリコン中のホウ素を酸化してシリコン中から除去するシリコンの製造方法において、酸化剤から発生するガスを精製炉内に密閉することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  2. シリコン精製炉内に配置された溶融シリコンに酸化剤を付与してシリコン中のホウ素を酸化してシリコン中から除去するシリコンの製造方法において、溶融シリコン上に酸化剤を配置し、酸化剤の上部を液体物質で覆うことにより、酸化剤からのガス発生量を抑制することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  3. 前記酸化剤が、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物の内、1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度シリコンの製造方法。
  4. 前記アルカリ金属の炭酸塩、前記アルカリ金属の炭酸塩の水和物、前記アルカリ金属の水酸化物、前記アルカリ土類金属の炭酸塩、前記アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、前記アルカリ土類金属の水酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は、これらの水和物、水酸化マグネシウム、又は、水酸化カルシウムの内、1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の高純度シリコンの製造方法。
  5. 前記液体物質が、シリコン酸化物、又は、アルミニウム酸化物の一方又は両方を主成分とするスラグであることを特徴とする請求項2に記載の高純度シリコンの製造方法。
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