JP2006233140A - 精製された含フッ素重合体の製造方法、ペリクルおよび露光処理方法 - Google Patents

精製された含フッ素重合体の製造方法、ペリクルおよび露光処理方法 Download PDF

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伸治 岡田
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弘賢 山本
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雄一郎 石橋
Naoko Shirota
直子 代田
Ikuo Matsukura
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Abstract

【課題】精製された含フッ素重合体の製造方法、該含フッ素重合体をペリクル膜に用いたペリクルおよび該ペリクルを用いた露光処理方法を提供する。
【解決手段】構造の一部として下式(A)で表される構造を有するモノマー単位を含む含フッ素重合体(A)を極性を有する官能基を持たない貧溶媒で洗浄する精製された含フッ素重合体の製造方法(ただし、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基であり、少なくとも3個がフッ素原子である。)。たとえば、CF=CFOCFCFCH=CFの環化重合により形成された下式(I1)で表されるモノマー単位を含む精製された含フッ素重合体の製造方法。該含フッ素重合体の膜からなるペリクル、該ペリクルを用いた露光処理方法。
【化1】
Figure 2006233140

【選択図】なし

Description

本発明は、精製された含フッ素重合体の製造方法、ペリクルおよび該ペリクルを用いた露光処理方法に関する。
半導体等の製造工程に用いる露光処理方法において、フォトマスクまたはレチクルへの異物付着を防止するためにペリクルが用いられる。ペリクルとは、透明薄膜(以下、ペリクル膜という。)が接着剤を介して枠体に設置された、フォトマスクまたはレチクルに一定の距離をおいて装着される光学物品である。
半導体の配線間隔が微細化するに伴い、露光処理の露光光源として発振波長が200nm以下のエキシマレーザー光(たとえば、発振波長が193nmのArFエキシマレーザー光、発振波長が157nmのFエキシマレーザー光等。)の使用が検討されている。この場合のペリクル材料としては、特定の含フッ素モノマーを環化重合させて得た少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合しない炭素原子からなる主鎖と、含フッ素脂肪族環構造とを有する含フッ素重合体が知られている(特許文献1参照。)。
特開2004−085713号公報
特許文献1の含フッ素重合体のうち、主鎖と含フッ素脂肪族環構造中の3級炭素原子に水素原子が結合し、かつ該3級炭素原子に隣接する炭素原子に少なくとも3個のフッ素原子が結合した含フッ素重合体は、短波長光に対する初期透過率が不安定でありペリクル材料として不充分であった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、該含フッ素重合体の初期透過率が不安定である原因は該3級炭素原子の化学的不安定に基づく含フッ素重合体の変性であり、この重合体の変性は得られた含フッ素重合体の精製段階で起こりやすいとの知見を得た。
そして、該含フッ素重合体を特定方法により処理すると該含フッ素重合体を変性させずに精製できることを見出した。さらに精製された該含フッ素重合体は短波長光に対する透過率に優れ、ペリクル材料として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
[1]:構造の一部として下式(A)で表される構造を有するモノマー単位を含む含フッ素重合体(A)を極性を有する官能基を持たない貧溶媒で洗浄することを特徴する精製された含フッ素重合体の製造方法。
Figure 2006233140
ただし、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基であり、少なくとも3個がフッ素原子である。
[2]:含フッ素重合体(A)の洗浄を、含フッ素重合体(A)の溶液と極性を有する官能基を持たない貧溶媒とを混合して該含フッ素重合体(A)を凝集させることによって行う、[1]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[3]:含フッ素重合体(A)を凝集させた後凝集した含フッ素重合体(A)を極性を有する官能基を持たない貧溶媒と分離し、ついで得られた含フッ素重合体(A)を250℃以下で乾燥する、[2]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[4]極性を有する官能基を持たない貧溶媒が、比誘電率が15以下の官能基を持たない貧溶媒である[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
[5]:含フッ素重合体(A)が、下式(i)で表される化合物の環化重合により形成された下式(I)で表されるモノマー単位を含む含フッ素重合体(I)である、[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
CY=CX11OCYCX2131CH=CX4151 (i)
Figure 2006233140
ただし、X11、X21、X31、X41およびX51は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基であり、少なくとも3個がフッ素原子である。Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基である。
[6]:ペリクル膜が枠体に接着された露光処理用のペリクルであって、ペリクル膜が[5]に記載の製造方法で得られた含フッ素重合体の膜からなるペリクル。
[7]:[6]に記載のペリクルを用いて発振波長が200nm以下の光源を用いた露光処理を行う露光処理方法。
本発明によれば、含フッ素重合体の光学物性を阻害する、含フッ素重合体の変性体、不純物等を含まない精製された含フッ素重合体の製造方法が提供される。本発明の製造方法により得た精製された含フッ素重合体は、短波長光(特に157nmの波長光であるFエキシマーレーザー光。)に対する初期透過率および耐久耐光性に優れるため、短波長光を用いた露光処理用のペリクル材料として好適である。
本明細書においては、式(i)で表される化合物を化合物(i)と、式(I)で表されるモノマー単位をモノマー単位(I)と、それぞれ記す。他の式で表される化合物と他の式で表されるモノマー単位も同様に記す。
本発明における含フッ素重合体(A)は少なくとも1種のモノマー単位を含み、かつその内の必須のモノマー単位として、構造の一部として下式(A)で表される構造を含むモノマー単位を有する(ただし、X、X、X、XおよびXは前記と同じ意味を示す。以下同様。)。下式(A)で表される構造(以下、部分構造(A)という。)で示されるように、この構造中には水素原子と3個の炭素原子が結合した炭素原子(3級炭素原子)が存在し、3級炭素原子に結合した3個の炭素原子の内少なくとも2個はフッ素原子が結合した炭素原子であり、また少なくとも1個は酸素原子が結合した炭素原子である。
Figure 2006233140
この部分構造(A)を含むモノマー単位は、この部分構造を含むモノマーや重合によりこの部分構造を含むようになるモノマー(以下、これらをモノマーAという。)を重合させることにより形成される。含フッ素重合体(A)は、モノマーAの少なくとも1種を重合させることにより、またはモノマーAの少なくとも1種とモノマーA以外のモノマーの少なくとも1種とを共重合させることによって得られる。含フッ素重合体(A)中の全モノマー単位に対する部分構造(A)を含むモノマー単位の割合は5〜100モル%が好ましい。
部分構造(A)を含むモノマー単位としては下記モノマー単位(I)が好ましい(ただし、X11、X21、X31、X41、X51、Y、Y、YおよびYは前記と同じ意味を示す。以下同様。)。
Figure 2006233140
モノマー単位(I)としては、下記モノマー単位が挙げられる。
Figure 2006233140
モノマーAとしては環化重合によりモノマー単位(I)となる下記化合物(i)が好ましい。
CY=CX11OCYCX2131CH=CX4151 (i)。
化合物(i)としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CFOCFCFCH=CF
CF=CFOCFCF(CF)CH=CF
CF=CFOCFCFCH=CFH、
CF=CFOCFCF(CF)CH=CFH、
CF=CFOCFCFCH=CH
含フッ素重合体(I)としては、化合物(i)を環化重合させて得られる重合体、化合物(i)と他の環化重合し得るモノマーとを環化共重合させて得られる共重合体、化合物(i)と環化重合しない共重合性モノマーとを環化重合と(環化重合ではない)通常の重合を同時に行って得られる共重合体、などが好ましい。なお、化合物(i)の環化重合においては、モノマー単位(I)とともに他の構造を有するモノマー単位が生成することがある。しかし、化合物(i)の環化重合により生成する主たるモノマー単位はモノマー単位(I)である。
本発明における含フッ素重合体(I)は、モノマー単位(I)以外の他のモノマー単位を含む共重合体であってもよい。他のモノマー単位としてはモノマー単位(I)に含まれる脂肪族環構造と同様の脂肪族環構造を有するモノマー単位が好ましい。モノマー単位(I)以外の脂肪族環構造を有するモノマー単位としては、下記化合物(z)の重合により形成される下記モノマー単位(Z)が好ましい(ただし、Zはフッ素原子、またはトリフルオロメトキシ基を示す。ZおよびZは、それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。)。
Figure 2006233140
化合物(z)としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2006233140
本発明における含フッ素重合体(I)が他のモノマー単位を有する共重合体の場合、その共重合体中の全モノマー単位に対するモノマー単位(I)の割合は、5〜95モル%が好ましい。他のモノマー単位としては上記モノマー単位(Z)が好ましく、その割合は、5〜95モル%が好ましい。モノマー単位(Z)を含む含フッ素重合体(I)は、モノマー単位(I)のみからなる含フッ素重合体(I)に比較して、機械的強度と耐熱性に優れるためよりペリクル材料に適する。
モノマーAの重合(他のモノマーとの共重合を含む。以下同様。)は、重合開始剤の存在下に行うのが好ましい。重合開始剤は、ペルフルオロ(ジアルキルペルオキシド)、ペルフルオロ(ジアシルペルオキシド)、ペルフルオロ(ジアルキルペルオキシド)のペルフルオロアルキル基部分の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された化合物またはペルフルオロ(ジアシルペルオキシド)のペルフルオロアシル基部分の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された化合物が好ましい。
重合開始剤としては、(CCOO−)、(CCOO−)、(COCF(CF)CFCOO−)、((CFCO−)、(CO−)等が挙げられる。これらの化合物における炭素数が3以上のペルフルオロアルキル基部分は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
モノマーAの重合における温度は、120℃以下が好ましく、50℃以下が特に好ましい。重合における圧力は、減圧、加圧または大気圧のいずれで行ってもよい。重合方法としては、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合、溶液重合法等が挙げられる。
含フッ素重合体(A)の質量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10が特に好ましい。
本発明において、重合により得られた含フッ素重合体(A)は次いで精製される。精製される前の、重合により得られた含フッ素重合体(A)を以下、粗ポリマーAという。
粗ポリマーAが粉末として得られた場合(懸濁重合により得られた粉末など。)には、該粉末を極性を有する官能基を持たない貧溶媒(以下、単に洗浄溶媒という。)に接触させて、不純物(たとえば、未重合のモノマーA、重合開始剤の残渣など。)を洗浄溶媒に溶解させることにより含フッ素重合体(A)を精製するのが好ましい。貧溶媒とは溶媒100gあたりの含フッ素重合体(A)の溶解量が1g以下の溶媒をいう。また官能基としては水酸基、カルボニル基、スルホン酸基、チオニル基、リン酸基、アミノ基、アミド基、ニトリル基、イミド基等が挙げられる。
粗ポリマーAが溶液として得られた場合(溶液重合により得られた溶液など。)には、該溶液を洗浄溶媒と混合して含フッ素重合体(A)を凝集させるとともに不純物を洗浄溶媒に溶解させることにより含フッ素重合体(A)を精製するのが好ましい。また、粉末や塊状の粗ポリマーAを溶媒に溶解して溶液とし、この溶液から同様に含フッ素重合体(A)を凝集させることにより含フッ素重合体(A)を精製することもできる。これらの粗ポリマーAの洗浄方法は、含フッ素重合体(A)の溶液と洗浄溶媒とを混合して該含フッ素重合体(A)を凝集させる方法が好ましい。
洗浄溶媒としては、10〜30℃において比誘電率が15以下の官能基を持たない貧溶媒が好ましく、10〜30℃において比誘電率が13以下の官能基を持たない貧溶媒が特に好ましい。この範囲の洗浄溶媒を用いる場合、洗浄溶媒中に不純物を効率的に抽出できる。洗浄溶媒は、炭素数5〜20のアルカン、炭素数1〜20のハロアルカンまたは炭素数2〜20のエーテルが好ましく、洗浄における含フッ素重合体(A)の回収効率の観点から、炭素数5〜20のアルカンまたは炭素数2〜20のエーテルが特に好ましい。
アルカンとしては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン等が挙げられる。ハロアルカンとしては、CCl、CHCl、CHCl等が挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
洗浄溶媒の温度は、100℃以下が好ましく、−50℃〜50℃がより好ましく、0℃〜30℃が特に好ましい。また容積効率の観点から、含フッ素重合体(A)の1gに対して洗浄溶媒は、10mL〜10Lを用いるのが好ましく、10mL〜5Lを用いるのが特に好ましい。また洗浄の回数は、精製された含フッ素重合体の用途にしたがって適宜、決定できる。また粗ポリマーAの溶液を使用する場合、その溶媒としては含フッ素重合体(A)を溶解しうる溶媒である限り限定されないが、含フッ素溶媒が好ましい。
本発明の製造方法において、洗浄された含フッ素重合体(A)は、洗浄溶媒から分離回収された後乾燥される。分離回収は濾別、遠心分離などの方法を採用しうる。乾燥は、精製された含フッ素重合体(A)の変性を抑制する観点から、250℃以下にて行うのが好ましく、150℃以下にて行うのが特に好ましい。また、乾燥を短くするために減圧下に乾燥を行うのが好ましい。
本発明の製造方法によれば、重合体(A)を変性させずに、重合体(A)中の重合に起因する不純物を除去できる。その理由は、必ずしも明確ではないが、重合体(A)を洗浄溶媒中で洗浄することにより、重合体(A)中の3級炭素原子に結合する不安定な水素原子が活性化されないためと考えられる。
本発明の製造方法により得た含フッ素重合体のうち、精製された含フッ素重合体(I)(以下、精製重合体(I)という。)は短波長光に対する透明性と耐久性に特に優れる。その理由は、必ずしも明確ではないが、精製重合体(I)は、主鎖と含フッ素脂肪族環構造中の3級炭素原子に結合する水素原子により3級炭素原子に隣接する炭素原子中のフッ素原子の超共役が分断されて安定化されている、化合物(i)の環化重合に起因する不純物を含まない、含フッ素重合体(I)の変性体を含まない、ためと考えられる。
本発明は、ペリクル膜が枠体に接着された露光処理用のペリクルであって、ペリクル膜が精製重合体(I)の膜からなるペリクルを提供する。
本発明のペリクルの製造方法としては、精製重合体(I)を含フッ素溶媒に溶解させた溶液組成物を基材に塗布してから含フッ素溶媒を揮発させて精製重合体(I)からなる薄膜が基材表面に形成された処理基材を得る工程、および処理基材の表面に形成された薄膜を枠体に接着させてから処理基材を薄膜から剥離させる工程をこの順に行う、精製重合体(I)の膜からなるペリクルの製造方法が挙げられる。含フッ素溶媒・基材・ペリクルの枠体の種類、溶液組成物の調製・塗布方法および剥離の方法は、特開2004−85713号公報に記載の手段を用いるのが好ましい。
本発明のペリクルは、露光処理用のペリクルとして、短波長光を光源に用いた露光処理用のペリクルとして好ましく、発振波長が200nm以下の光源を用いた露光処理用のペリクルとしてより好ましく、Fエキシマレーザー光を光源に用いた露光処理用のペリクルとして特に好ましく、使用できる。本発明の露光処理方法においては、ペリクルを長期間使用しても、ペリクル膜が劣化しないため安定したフォトリソグラフィーを実施できる。
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下においては、Mを質量平均分子量、Mを数平均分子量、ガラス転移点をT、CClFCClFをR−113、ジクロロペンタフルオロプロパンをR−225という。また圧力は、特に表記しない限り、絶対圧で示す。
およびMは、特開2001−74892号公報に記載のゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定した。具体的には、R−225(旭硝子社製、商品名:アサヒクリンAK−225SECグレード1)/CFCH(OH)CFの容量比が99/1である混合溶媒を移動相として用い、PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結して分析カラムとした。分子量測定用標準試料としてペルフルオロポリエーテルの5種を用いた。移動相の流速を1.0mL/分、カラム温度を37℃とし、検出器としては蒸発光散乱検出器を用いた。
は、示査走査熱量分析法により測定を行った。
[例1(合成例)]化合物(i1)の製造例
Figure 2006233140
[例1−1]化合物(i1−6)の製造例
滴下ロートと撹拌機を備えた3つ口フラスコ(内容積5L)に、14質量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液(4200g)と塩化トリオクチルメチルアンモニウム(19g)を投入して撹拌した。つぎにフラスコの内温を10℃未満に保持して、撹拌しながらフラスコに化合物(i1−7)(340g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間、撹拌した。つぎにフラスコ内溶液の上澄み液をデカンテーションして除去してから、水で洗浄して反応液(244g)を得た。反応液をNMRとGCで分析した結果、化合物(i1−6)(収率59%)の生成を確認した。
[例1−2]化合物(i1−5)の製造例
滴下ロート、還流冷却管、撹拌機、恒温槽を備えた4つ口フラスコ(内容積2L)に、窒素ガスで置換し、CsF(53g)、ジグライム(1400g)、および水(3.1g)を投入して撹拌した。つづいて、フラスコに例1−1と同様の方法で得た反応液(500gの化合物(i1−6)を含む。)を滴下しながら、25℃にて撹拌した。
2時間後、還流冷却管を、ドライアイス冷却トラップが連結した直管に付け換えた。フラスコ内を25℃に保持しながら減圧すると、ドライアイス冷却トラップに液体(670g)が捕捉された。液体を減圧蒸留して60℃/250Paの留分を得た。留分をNMRとGCで分析した結果、化合物(i1−5)(収率70%)の生成を確認した。
[例1−3]化合物(i1−4)の製造例
オイルバスに浸した窒素ガス雰囲気下の滴下ロート、還流冷却管、撹拌機を備えた3つ口フラスコ(内容積500mL)にLiI(127g)を投入した。つぎに、フラスコ内を撹拌しながら例1−2で得た留分(390g)を投入した。つぎにオイルバスを100℃に加熱して、1.5時間フラスコ内溶液を加熱還流し、つぎに25℃まで冷却した。還流冷却管を、氷水冷却トラップおよびドライアイス冷却トラップが順に連結した直管に付け換えた。フラスコ内を667Paまで減圧しながら80℃まで加熱すると、氷水冷却トラップに液体(300g)とドライアイス冷却トラップに液体(130g)が捕捉された。氷水冷却トラップ中の液体をNMRとGCで分析した結果、化合物(i1−4)(収率94%)の生成を確認した。
[例1−4]化合物(i1−3)の製造例
オイルバスに浸したオートクレーブ(内容積1L、ハステロイ製)に例1−3で得た化合物(i1−4)を含む液体(290g)を投入した。オイルバスを200℃に加熱すると、オートクレーブの内圧が3時間にわたって昇圧しつづけた。つぎにオートクレーブの内温を25℃に保持して、オートクレーブ内溶液を抜き出して反応粗液(270g)を得た。つぎに反応粗液を、亜硫酸ナトリウム水溶液(50mL)、水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で順に洗浄して粗生成物を得た。粗生成物をGCで分析した結果、化合物(i1−3)(収率98%)の生成を確認した。さらに粗生成物を精留して37℃/0.93kPaの留分として化合物(i1−3)を得た。GCにより求めた留分の純度は99%であった。
[例1−5]化合物(i1−2)の製造例
オイルバスに浸したオートクレーブ(内容積500mL、ニッケル製)に例1−4と同様の方法で得た留分(400g)、CF(CFH(210g)、および((CHCO)(8g)を投入した。オートクレーブを密閉し、ガス状のCH=CFを内圧が0.05MPa(ゲージ圧)になるまで封入した。CH=CFの封入量は0.4gであった。
つぎにオイルバスの温度を上げて内温が110℃を超えた時点で、ガス状のCH=CF(流量:10.4g/h)をオートクレーブに投入し、内温を120℃にして撹拌した。5時間後のオートクレーブの内圧は0.3MPa(ゲージ圧)であった。
さらに、1時間、撹拌してからオイルバスを外し、オートクレーブの内温を25℃まで下げて、オートクレーブ内容物を抜き出して反応粗液を得た。反応粗液を、亜硫酸ナトリウム水溶液(100mL)、水(100mL)、および飽和食塩水(100mL)を用いて順に洗浄して粗生成物を得た。粗生成物をGCで分析した結果、化合物(a31)(収率40%)の生成を確認した。また未反応の化合物(i1−3)(収率26%)を回収した。さらに粗生成物を精留して、GC純度が99%の化合物(i1−2)を得た。
[例1−6]化合物(i1−1)の製造例
滴下ロート、恒温槽、蒸留装置を備えた4つ口フラスコ(内容積1L)に、例1−5で得た純度99%の化合物(i1−2)(170g)、および1,4−ジオキサン(450g)を投入した。つぎに25℃でN(CHCHCHCH(90g)を滴下しながら撹拌し、滴下終了後、さらに12時間、撹拌して反応粗液を得た。反応粗液をGCで分析した結果、化合物(i1−1)の生成を確認した。反応粗液を減圧留去してから、飽和食塩水(500mL)で洗浄して反応液を得た。反応液をGCで分析した結果、化合物(i1−1)(収率98%)の生成を確認した。
[例1−7]化合物(i1)の製造例
還流液を捕集する容器を備えた還流コンデンサー、および滴下ロートを備えた4つ口フラスコ(内容積1L)に、亜鉛(120g)およびジメチルホルムアミド(360g)を投入して撹拌した。つぎにフラスコの内温を60℃に加熱して、1,2−ジブロモエタン(37g)を投入して、30分間撹拌した。つぎにフラスコ内を26.7kPaに減圧して、例1−6で得た化合物(i1−1)(120g)を滴下ロートよりゆっくりと滴下すると該容器に液体(80g)が留出した。留出した液体をNMRとGCで分析した結果、化合物(i1)(収率85%)の生成を確認した。さらに液体を精留して20℃/1.33kPaの留分として、純度99%の化合物(i1)得た。
化合物(i1)のH−NMRスペクトル(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):4.74(1H)。
化合物(i1)の19F−NMRスペクトル(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−70.4(1F),−71.8(1F),−91.0(2F),−111.9(2F),−114.5(1F),122.8(1F),135.1(1F)。
[例2(実施例)]精製された重合体(I−1)の製造例
反応器(内容積20mL、耐圧ガラス製)に、化合物(i1)(5.91g)と(CCOO)を3質量%含むR−225溶液(1.29g)を加えた。反応器を、凍結脱気してから20℃の恒温振とう槽内に浸漬し、65時間、重合を行ってゴム状の重合体を得た。該重合体をR−225(40mL)に溶解させて重合体溶液を得た。
重合体溶液の全量をヘキサン(4L)中に滴下し、凝集した固形物を濾過により回収した。該固形物を、さらにヘキサン(2L)中に滴下し、凝集した固形物を20分間、撹拌洗浄した。該固形物を濾過により回収してから、80℃にて17時間、真空乾燥して白色粉末状の重合体(I−1)(3.51g)を得た。
重合体(I−1)をH−NMRおよび19F−NMRにより分析した結果、重合体(I−1)は下記モノマー単位(I1)を含むことを確認した。重合体(I−1)の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1600〜1880cm−1の領域にスペクトルは確認されなかった。重合体(I−1)のMは49,900、Mは93,000、Tは76℃であった。
Figure 2006233140
[例3(実施例)]精製された重合体(I−2)の製造例
窒素ガス雰囲気下のオートクレーブ(内容積200mL、SUS製)の内温を−10℃以下に保持しながら、オートクレーブ内を真空ポンプにより減圧した。オートクレーブにCF(CFH(53.86g)、(CCOO)を3質量%含むR−225溶液(2.80g)、化合物(i1)(1.60g)および下記化合物(z1)(2.66g)を投入した。オートクレーブを凍結脱気してから、窒素ガスを封入して内圧を1.5MPa(ゲージ圧)とし、内温を20℃に保持して5時間重合を行って重合体を得た。
重合体の全量をR−225で希釈して100mLの重合体溶液としてから、ヘキサン(6L)中に滴下し、凝集した固形物を濾過により回収した。つぎに固形物をヘキサン(3L)中に滴下し、凝集した固形物を20分間、撹拌洗浄した。固形物を濾過により回収し80℃にて17時間、真空乾燥して白色粉末状の重合体(I−2)(2.90g)を得た。
重合体(I−2)をH−NMRおよび19F−NMRにより分析した結果、重合体(I−2)はモノマー単位(I1)と下記モノマー単位(Z1)を含むことを確認した。重合体(I−2)中の全単位に対する、モノマー単位(I1)の割合は10モル%であり、モノマー単位(Z1)の割合は90モル%であった。重合体(I−2)の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1600〜1880cm−1の領域にスペクトルは確認されなかった。重合体(I−2)の、Mは25,900、Mは190,600、Tは160℃であった。
Figure 2006233140
[例4(比較例)]変性した重合体の製造例
反応器(内容積20mL、耐圧ガラス製)に、化合物(i1)(5.86g)と(CCOO)を3質量%含むR−225溶液(1.28g)を加えた。反応器を、凍結脱気してから20℃の恒温振とう槽内に浸漬し、20時間、重合を行った。反応器内に生成した高粘調な重合体にR−225(20mL)を加えて重合体溶液を得た。
重合体溶液の全量をヘキサン(3L)に投入して得た固形物を回収し、エタノール(1.5L)中に投入して20分間、撹拌洗浄した。つぎに80℃にて17時間、真空乾燥して白色粉末状の重合体(2.24g)を得た。重合体のMは39,400、Mは61,800、Tは58℃であった。
重合体をH−NMRおよび19F−NMRにより分析した結果、重合体はモノマー単位(I1)を含むことを確認した。重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1600〜1880cm−1にピークが検出された。また重合体のH−NMRを測定した結果、1.5ppmおよび4.6ppmにピークが検出された。重合体は変性してエトキシカルボニル基(−COOCHCH)を有すると考えられた。
[例5(実施例)]重合体(I−1)からなる膜を具備するペリクル(1)の評価例
フラスコに、重合体(I−1)(1g)と1,3−トリフルオロメチルベンゼン(12.5g)を投入した。フラスコ内容液を、50℃にて24時間、撹拌して無色透明な溶液を得た。研磨した石英基板を毎分500回転させて、該溶液を石英基板上に10秒間、スピンコートした。さらに該石英基板を毎分650回転させて、さらに該溶液を石英基板上に20秒間、スピンコートした。つづいて70℃にて5分加熱し、さらに150℃にて5分加熱して、石英基板を乾燥させた。その結果、重合体(I−1)の均一な薄膜が表面に形成された基材(1)を得た。
薄膜の接着する面に接着剤が塗布された枠体を、該面が上側を向くようにホットプレート(120℃)に載せ枠体を10分間、加熱した。つぎに基材(1)の重合体(I−1)の薄膜が形成された面と枠体を圧着して、120℃で10分間、加熱して基材(1)と枠体を接着した。つづいて石英基材を剥離して、重合体(I−1)の均一な薄膜(膜厚1μm)がペリクル膜として、接着剤を介して枠体に接着したペリクル(1)を得た。
ペリクル(1)のFエキシマレーザー(発振波長157nm)に対する初期光線透過率は97%であった。また、200Hzサイクルの0.1mJ/パルスの強度を有するFエキシマレーザーを照射(総照射量100J/cm)しても、ペリクル膜に伸びや破れが発生しなかった。
[例6(実施例)]重合体(I−2)からなる膜を具備するペリクル(1)の評価例
重合体(I−1)の変わりに重合体(I−2)を用いる以外は、例5と同様の方法を用いて、重合体(I−2)の均一な薄膜(膜厚1μm)がペリクル膜として、接着剤を介して枠体に接着したペリクル(2)を得た。
ペリクル(2)のFエキシマレーザー(発振波長157nm)に対する初期光線透過率は74%であった。また、200Hzサイクルの0.1mJ/パルスの強度を有するFエキシマレーザーを照射(総照射量100J/cm)しても、ペリクル膜には伸びや破れが発生しなかった。
[例7(比較例)]変性した重合体からなる膜を具備するペリクルの評価例
重合体(I−1)の変わりに例4で得た変性した重合体を用いる以外は、例5と同様の方法を用いて、変性した重合体の均一な薄膜(膜厚1μm)がペリクル膜として、接着剤を介して枠体に接着したペリクル(3)を得た。
ペリクル(3)のFエキシマレーザー(発振波長157nm)に対する初期光線透過率は29%であった。また、200Hzサイクルの0.1mJ/パルスの強度を有するFエキシマレーザーを照射(総照射量100J/cm)するとペリクル膜に破れが発生した。
本発明の製造方法によれば、特定モノマーの重合により形成された含フッ素重合体を変性させずに精製できる。該含フッ素重合体は、短波長光(特にFエキシマレーザー光、193nmのArFエキシマレーザー光。)を用いた露光処理に好適に用いられるペリクル等の光学材料として有用である。

Claims (7)

  1. 構造の一部として下式(A)で表される構造を有するモノマー単位を含む含フッ素重合体(A)を極性を有する官能基を持たない貧溶媒で洗浄することを特徴する精製された含フッ素重合体の製造方法。
    Figure 2006233140
    ただし、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基であり、少なくとも3個がフッ素原子である。
  2. 含フッ素重合体(A)の洗浄を、含フッ素重合体(A)の溶液と極性を有する官能基を持たない貧溶媒とを混合して該含フッ素重合体(A)を凝集させることによって行う、請求項1に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  3. 含フッ素重合体(A)を凝集させた後凝集した含フッ素重合体(A)を極性を有する官能基を持たない貧溶媒と分離し、ついで得られた含フッ素重合体(A)を250℃以下で乾燥する、請求項2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  4. 極性を有する官能基を持たない貧溶媒が、比誘電率が15以下の官能基を持たない貧溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
  5. 含フッ素重合体(A)が、下式(i)で表される化合物の環化重合により形成された下式(I)で表されるモノマー単位を含む含フッ素重合体(I)である、請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
    CY=CX11OCYCX2131CH=CX4151 (i)
    Figure 2006233140
    ただし、X11、X21、X31、X41およびX51は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基であり、少なくとも3個がフッ素原子である。Y、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基である。
  6. ペリクル膜が枠体に接着された露光処理用のペリクルであって、ペリクル膜が請求項5に記載の製造方法で得られた含フッ素重合体の膜からなるペリクル。
  7. 請求項6に記載のペリクルを用いて発振波長が200nm以下の光源を用いた露光処理を行う露光処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009116253A1 (ja) * 2008-03-17 2009-09-24 ダイセル化学工業株式会社 重合体の製造方法
WO2013118348A1 (ja) * 2012-02-06 2013-08-15 三菱電機株式会社 ガス遮断器

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