JP2006232860A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
有益な皮膚常在細菌の増殖因子として、アミノ酸が、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、バリンから選ばれた1乃至複数及び有害な皮膚常在細菌生育阻害因子としての高級脂肪酸がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸から選ばれた1乃至複数を含み、これら適量を皮膚に塗布することで皮膚表面の常在菌が整備され、有用常在菌ふ含む皮脂膜の形成を図る化粧料を提案する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、人工的に組成された化粧料は皮膚の自然な機能によって組成されるものには到底及び得ないものであり、さらにヒトの皮膚には普通肌、脂性肌、乾燥型脂性肌、乾性肌の4タイプがあり、それぞれのタイプによって皮膚の乾燥や肌荒れの防止法及び改善法は異なってくる。
さらに、人工的に組成された化粧料は、皮膚の自然な機能によって組成される状況に比較すると、その安全性の面で多くの問題点を有している。
従って従来の化粧料は、皮膚の正常化、及び活性酸素や紫外線による障害防御等に対して広範囲な効果と安全性を期待することができないという欠点を有していた。
最新化粧品科学ー改訂増IIー、株式会社薬事日報社, 1992年7月10日,PP17−19 化粧品製剤実用便覧ー日本ケミカルズ株式会社,1982年5月28日,PP,50−51
さらには、本発明化粧料は、皮膚常在細菌の栄養源として皮脂及至汗に含まれる成分を1種又は2種以上含有することを特徴とするものである。
ヒトの皮膚表層には代表的な細菌として、プロピオニバクテリウム・アクネスとスタフィロコッカス・エピデルミディスが常在し、その平均的な数量は、皮膚1cm2当たりプロピオニバクテリウム・アクネスは数万個から数十万個、スタフィロコッカス・エピデルミディスは数百から数千個に及ぶことが判明した。
この時、皮膚常在細菌は多種多様な代謝産物をつくり出し、皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗が乳化したものと共に皮膚の乾燥や炎症を防ぎ、活性酸素や紫外線による障害を防御し、さらには皮膚有害細菌の生育を阻害する層(以下「皮脂層」という)を形成することを見いだした。
皮脂と汗が乳化したものと皮膚常在細菌の代謝産物は皮膚からの水分の蒸散を抑制することによって皮膚を乾燥から守っている。絶えず外部から加わる化学的・物理的な障害に対してバリア層として働き、皮膚を炎症や損傷から守っている。皮膚常在細菌が産生するスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)やカタラーゼ等の酵素は活性酸素の酸化力を消失させることによって皮膚を障害から守っている。皮膚常在細菌は直接紫外線を吸収することによって、皮膚を紫外線による障害から守っている。皮膚常在細菌が脂質を代謝することによって産生する遊離脂肪酸が、主に皮膚表層のpHを弱酸性(pH6前後)に維持し、皮膚有害細菌の生育を阻害することによって皮膚の清浄化に関与している、等である。
そこで、減少する皮膚常在細菌の増殖因子と皮膚有害細菌の生育阻害因子、さらには同じく減少する皮脂と汗の成分の中から選ばれた1種又は2種以上を化粧料に配合して、これを散布又は塗布すると、肌荒れや炎症が緩和し、美しく健全な肌に改善されることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。
皮膚常在細菌の増殖因子である必須アミノ酸(アルギニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、バリン)については、それぞれ0.01〜10重量%(更に好ましくは0.05〜1重量%)で、特に、皮膚常在細菌の増殖因子である必須アミノ酸群としては、トリプトファンを除く全ての必須アミノ酸をバランスよく含有するケラチン等を使用することができる。ケラチンを使用する場合は0.01〜50重量%(更に好ましくは0.5〜10重量%)。
皮膚有害細菌の生育阻害因子の化粧料に対する添加比率(重量%)は、健全な皮膚の表層に存在する高級脂肪酸の自然な組成に準ずるものであるが、通常下記のとおりである。 高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸)は、それぞれ0.01〜50重量%(更に好ましくは0.5〜10重量%)。
尚、以上の因子又は成分は日本薬局方及至化粧品原料基準に収載されているので、品質・規格等はこれらに準ずる。
さらにまた、本発明にかかる皮膚常在細菌の増殖因子及至皮膚有害細菌の生育阻害因子は、化粧料に限らず各種化学品や薬剤等の関連分野の製品に適用できる。
この「皮脂層」は、皮膚を乾燥から守り、外部から加わる化学的・物理的な障害に対してバリア層として働き、また活性酸素や紫外線による障害を防御し、さらに皮膚有害細菌の生育を阻害する等の良好な皮膚保護作用・自浄作用を達成し、皮膚を美しく健全にすることができる。
まず、本発明にかかる皮膚常在細菌の増殖因子としての必須アミノ酸について述べる。
(1)実験例−1〔皮膚常在細菌のアミノ酸要求性〕健常成人の頬から分離したプロピオニバクテリウム・アクネス(以下「Pa」という)、プロピオニバクテリウム・グラニュローサム(Propionibacterium granulosum 以下「Pg」という)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(以下「Se」という)のアミノ酸要求性を調べた結果を表1に示す。
(3)実験例−3〔ステアリン酸、オレイン酸の皮膚常在細菌増殖効果〕PYGブロス培地(培地組成は実験例−2と同様)に各種高級脂肪酸を10μg/ml添加し、37℃で48時間培養した場合の、代表的な皮膚常在細菌である「Pa」の標準菌株ATCC 11827 の増殖結果を図2に示す。各種高級脂肪酸の中で、ステアリン酸及びオレイン酸が明らかな「Pa」の増殖効果を示した。
つぎに、本発明にかかる皮膚有害細菌の生育阻害因子としての高級脂肪酸について述べる。
各種高級脂肪酸の中で、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸が2.5mg/ml以下で「Sa」の生育阻害効果を示した。特に、ラウリン酸、パルミトレイン酸とリノレン酸が「Sa」の2菌株に対して、低濃度で生育を阻害した。
さらに、本発明にかかる皮膚常在細菌の栄養源としての皮脂成分、及び汗成分を添加した場合の皮膚常在細菌の増殖効果について述べる。
健全な皮膚細菌叢の皮膚保護作用・自浄作用のなかで、特に重要な活性酸素及び紫外線に対する防御作用について述べる。
太陽光線中の紫外線は、UVA(長波長紫外線)とUVB(中波長紫外線)、UVC(短波長紫外線)に分けられるが、UVCはオゾンや酸素に遮られて地表には到達しない。地表に到達する紫外線のひとつであるUVAは真皮まで浸透しシミやシワの原因になる。一方UVBは皮表に炎症を起こしシミやソバカス等の原因になる色素沈着を起こす。この皮膚に障害を起こし、さらに老化を促進する紫外線に対して、皮膚常在細菌は紫外線吸収作用によって紫外線による障害を防御していることを解明した。
つぎに、本発明にかかる化粧料の処方例を例示するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(化粧水) (重量%)
グリセリン 3
ポリオキシエチレンモノオレート 1.5
エタノール 10
ピロリドンカルボン酸Na 2
香料 適量
ケラチン 2
オレイン酸 2
ラウリン酸 2
トリグリセリド 3
乳酸−乳酸ナトリウム 0.5
精製水 残部 100
(クリーム) (重量%)
ワセリン 4
セタノール 0.5
ソルビタンセスキオレート 2
液状ラノリン 4
固形パラフィン 4
ブチルパラベン 0.1
メチルパラベン 0.1
香料 0.2
ケラチン 2
オレイン酸 2
パルミトレイン酸 2
スクワラン 10
コレステロールエステル 0.6
乳酸 1
精製水 残部 100
(本処方例では、スクワレンが不飽和の炭化水素であるため、不安定で化粧料の原料としては使用しにくいため、スクワレンに水素を添加して安定化させた生物学的作用が同等なスクワランを処方した。)
上記各処方例につき(皮膚常在細菌の増殖因子を除外したものを対照として)0.2mlを基本寒天培地(φ3.5cmシャーレ;PUK培地からイーストエキス、システイン塩酸塩、さらにオレイン酸ナトリウムを除いた、トリプチカーゼ(BBC)1.5%、ハートエキス(日水)0.5%、グリセリン1%、食塩0.2%、K2HPO40.2%、ブロモクレゾールパープル0.002%、寒天1.5%、pH6.8、3ml)上に均等塗布吸収させた後、健常者頬部皮膚から採取した皮膚常在細菌懸濁希釈液を塗布し、嫌気性培養を行い、皮膚常在細菌のコロニーの生育の様子を数と大きさで比較検討した。
実際に、皮膚常在細菌の増殖因子及び栄養源、さらに皮膚有害細菌の生育阻害因子を含有した化粧水及びクリームを毎朝洗顔後、継続使用したとき、顔面(頬部)の皮膚細菌叢と皮膚に与える影響をみた。健康な女性20名(19〜59歳)のボランティア被験者を選び、頬部から試験例1と同様に皮膚細菌を採取し4週間にわたり皮膚細菌叢の分析を行った。また、これと平行して、皮膚細菌採取隣接部から脱脂綿棒にて皮脂を採取し、遊離脂肪酸につき、ガスクロマトグラフィー分析を行った。表9に化粧水及びクリーム使用に伴う皮膚細菌数の推移結果を示す。
スタフィロコッカス・キャピティス(Staphylococcus capitis)は少数検出されたが、減少傾向を示した。この試験では、その他の皮膚細菌については選択平板培地上にほとんど検出されなかった。
Claims (4)
- 皮脂膜を形成する皮膚常在細菌の増殖因子として、アミノ酸が、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、バリンから選ばれた1乃至複数を含み、請求項1の化粧料。
- 前記増殖因子が、ケラチンである請求項1に記載の化粧料。
- 有害な皮膚常在細菌生育阻害因子としての高級脂肪酸がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸から選ばれた1乃至複数を更に含む請求項1、2に記載の化粧料。
- 前記皮膚常在細菌の栄養源としての皮脂の成分がトリグリセリド、ワックスエステル、スクワレン、コレステロールエステル、コレステロールで、および汗の成分が水、塩素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、アンモニア、ブドウ糖、乳酸から選ばれた1乃至複数を更に含む請求項1、2に記載の化粧料。
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