JP2006232759A - 核アルキル化芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

核アルキル化芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒活性が高く、触媒の劣化を抑制して触媒寿命を延ばし、かつ、脂肪族アルコールの分解を抑制して効率的に核アルキル化芳香族化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 芳香族化合物と脂肪族アルコールとを触媒の存在下で反応させて核アルキル化芳香族化合物を製造する方法であって、該触媒はあらかじめ還元処理されていることを特徴とする核アルキル化芳香族化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は核アルキル化芳香族化合物の製造方法に関する。
核メチル化芳香族化合物は、各種の化学製品としての用途を有し、また、工業原料や中間体としても有用な化合物である。なかでも、オルトメチルフェノール化合物は、工業的に重要な化合物であり、例えば、フェノールのオルト位選択的メチル化により得られるオルトクレゾールは、工業原料、殺菌消毒剤として有用であり、ジメチル化生成物である2,6−キシレノールは、ポリフェニレンオキシドの製造原料となる。また、メタクレゾールのオルト位選択的メチル化により得られる2,3,6−トリメチルフェノールは、ビタミンEの製造原料として有用である。
核メチル化芳香族化合物の工業的な製造方法としては、芳香族化合物をメチル化剤により核メチル化する方法が有用である。オルトメチルフェノール化合物を製造するには、芳香族環上の水酸基のオルト位を選択的に核メチル化する必要があり、このようなオルトメチルフェノール類の製造方法は、気相法や液相法により行われる。
気相法としては、固定床流通反応装置を用いた酸化マグネシウム触媒による気相反応が一般に行われている。しかしながら、気相反応では選択率は高いが、メチル化剤であるメタノールの分解が激しいという問題がある。例えば、特許文献1では、これを防いでコストバランスを図るために反応温度を低下させているが、生成物の選択率が犠牲となってしまう。すなわち、メチル化剤であるメタノールの分解と選択率の低下の二者択一を余儀なくされるのである。また、フェノール化合物とメタノールとのメチル化反応は、発熱反応であり、発生熱を効率よく除去する必要があるが、効率的な除熱にはコストがかかる一方、不充分な除熱では選択率の低下を招くことになる。
また、高温で原料化合物が触媒に気体状態で接触する場合には、触媒のコーキングが生じて劣化しやすく、触媒の再生工程が必要となるなどの問題がある。さらに、露点の問題から反応濃度を上昇させることができず、大量生産においては、反応器サイズを大きくする必要がある。このため、反応温度を温和にできる触媒が提案されており、例えば、特許文献2や3には、流動床プロセスを採用して気相で鉄又はバナジウムの酸化物、あるいはそれらの複合酸化物を含有する触媒を使用したメチル化方法が提案されている。しかしながら、これら触媒を固定床で使用した場合、触媒性能の経時変化が大きいため、安定した生成物の組成を得るためには、流動床プロセスを使用する必要がある。流動床プロセスでは、触媒の一部を抜き出して再生し、循環使用するための煩雑な触媒再生工程を付随させる必要がある。さらに、オルトメチル化収率を上げるためにはメタノールのモル分率を高くすることが好ましいが、一方でメタノールの分解が増加するために触媒の劣化が顕著になる。すなわち、この方法ではメタノールの分解抑制効果が不充分であるため、オルトメチル化物の収率と触媒寿命の二者択一を余儀なくされる。
一方、液相法として、アルミニウムメトキシドを反応触媒としてメチル化反応を行うことによりオルトメチルフェノール類を製造する方法がある。しかしながら、アルミニウムメトキシドは、均一系の触媒であるため、生成物と触媒との分離工程が必要となる。また、アルミニウムメトキシド自体が高価であるため、製造コストが高くなる。また、液相でアルミナ触媒を使用すれば、製造コストを抑えて触媒の分離工程が不要であるという利点があるが、選択率が低くて収率よく生成物を得られないという問題がある。
特許文献4では、超臨界アルコールを反応媒体として、かつ、アルキル化剤として使用して、金属酸化物(好ましくは酸・塩基強度が、+1.5<H0<+12.2である金属酸化物)触媒の存在下にフェノール化合物をオルト位選択的にアルキル化する方法について記載されている。また、特許文献5には、同じく超臨界アルコールを反応媒体として、かつ、アルキル化剤として使用し、鉄及び/又はバナジウムを含有する触媒の存在下に接触させてなる核メチル化芳香族化合物の製造方法が記載されている。何れの方法も、オルトアルキル化合物が選択性良く得られるが、活性の向上、副生物の低減及び触媒寿命に改善の余地がある。
また、鉄−バナジウム触媒は、フェノール類のオルト位メチル化触媒として知られている(例えば、特許文献3、6〜7)。何れも気相反応であるが、活性の劣化抑制が不十分であり、一部触媒を抜き出して再生しながら反応を行うなどの問題点がある。
活性の劣化抑制法として、超臨界条件下の反応が知られている。例えば、特許文献4では超臨界メタノールを反応媒体、かつ、メチル化剤とする反応が知られている。超臨界条件とすることで活性向上、寿命改善などの効果が見られるがまだまだ十分とはいえない。
さらに、特許文献8では、超臨界メタノールまたは超臨界メタノールとCOを反応媒体、かつ、メチル化剤とし、アルカリ(土類)金属水酸化物あるいはアルカリ(土類)金属のメチラートを触媒とする反応が知られているが、寿命の記述はない。
したがって、触媒活性が高く、選択率が高く、メチル化剤であるメタノールの分解が少なく、かつ、収率の高い核メチル化芳香族化合物の製造方法が望まれている。
特公昭42−6894号公報 特公昭47−37943号公報 特開平6−298687号公報 特開2000−38363号公報 特開平6−116188号公報 特開平6−116189号公報 特開2003−252814号公報 特開2002−3426号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、触媒活性が高く、触媒の劣化を抑制して触媒寿命を延ばし、かつ、アルキル化剤である脂肪族アルコールの分解を抑制して効率的に核アルキル化芳香族化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、芳香族化合物と脂肪族アルコールとを触媒の存在下で反応させて核アルキル化芳香族化合物を製造する方法であって、該触媒はあらかじめ還元処理されていることを特徴とする核アルキル化芳香族化合物の製造方法、に関する。
本発明によれば、あらかじめ触媒を還元処理することで、経時的な活性低下を抑制し、一定時間以上で未処理触媒を上回る活性を維持できる。
本発明者らは、核メチル化芳香族化合物の製造方法について、超臨界メタノールを反応媒体かつメチル化剤とし、芳香族化合物と接触させる反応工程により核メチル化芳香族化合物を製造することができることに着目し、反応条件及び反応開始前の触媒前処理効果などについて種々検討した。このなかで、芳香族化合物と接触させる前に、触媒を還元剤に接触させ、あらかじめ触媒を還元することで、触媒の活性を安定化させ、最終的に還元処理を行わない触媒に比べて活性が逆転することを見出し本発明に至った。
このように、あらかじめ触媒を還元することで、触媒の活性を安定化させ、最終的に還元処理を行わない触媒に比べて活性が逆転する原因については明らかではないが、あらかじめ還元処理することにより、触媒表面上へのコークの沈着が抑制されるのではないかと推察している。このように触媒性能が安定するので、固定床反応装置を用いた場合にも安定して工業的に製造することが可能となる。
なお、このような製造方法では、エーテル化生成物であるアニソールなどの副生を抑制することが可能である。
(芳香族化合物)
本発明で用いることのできる芳香族化合物は、芳香族環上に少なくとも1個の水素原子を有する化合物である。例えば、このような化合物としては、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼン、ナフタレンなどの官能基のない芳香族化合物が挙げられる。また、1個以上の水素原子以外にアミノ基、水酸基、エーテル基、チオール基、カルボキシル基などの官能基を有する化合物についても本反応で好適に用いることができる。例えば、アミノ基を有する化合物としては、アニリンなどの芳香族アミノ化合物が、水酸基を有する化合物としては、フェノール類、ナフトール類、カテコール類、ヒドロキノン類が、エーテル基を有する化合物としては、アニソールなどの芳香族水酸化物がエーテル化した化合物が、チオール類としては、チオフェノールなどの芳香族水酸化物の水酸基がチオール基に置き換わった化合物が、カルボキシル基を有する化合物としては安息香酸などの芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの官能基は1個以上の水素原子が芳香族環上にあれば、2個以上芳香族環に結合していてもさし支えない。
このなかで、芳香族化合物としては芳香族水酸化物が好ましく、例えば芳香族化合物としてフェノールを反応原料に、アルキル化剤としてメタノールを用いた場合には、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、2,3,4,6−テトラメチルフェノール、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェノールを製造することができる。フェノール以外の芳香族化合物を原料に用いた場合には、同様に対応する核メチル化物を製造することが可能で、芳香環に結合する水素原子をメチル基で置換したキシレノール類、トリメチルフェノール類、テトラメチルフェノール類、メチルカテコール類、ジメチルカテコール類、アルキル置換のメチルカテコール類、メチルヒドロキノン類、メチルナフトール類などを製造することができる。
特に、後述するバナジウム及び鉄の複合酸化物を用いた場合には、水酸基に隣接する水素原子(オルト位)を選択的にメチル化することができる。このため、オルト位に少なくとも1つの水素原子を有する芳香族化合物を用いることが好ましい。このような芳香族化合物としては、芳香族環上に水酸基を有し、又は、芳香族環上に水酸基と炭素数1〜10のアルキル基とを有し、水酸基のオルト位に少なくとも1つの水素原子を有するものを反応原料として使用することが好ましい。なお、芳香族環上にこれらの基が複数ある場合には、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。より具体的には、フェノール、メタクレゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、カテコール、ヒドロキノン、ナフトールが好適である。これらの原料を用いた場合、本発明の製造方法によって得られるオルトメチル化芳香族化合物としては、オルトクレゾール、2,6−キシレノール、2,3−キシレノール、2,5キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、3−メチルカテコール、3,6−ジメチルカテコール、2−メチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、オルトメチルナフトール、オルトジメチルナフトールなどが挙げられる。これらのなかでも、フェノール、クレゾールを反応原料に使用することが特に好ましい。フェノールを用いると、難燃性樹脂として有用なポリフェニレンエーテルの原料となる2,6−キシレノールや、メタクレゾールを用いるとビタミンEの原料となる2,3,6−トリメチルフェノールなどのオルトメチルフェノール化合物を製造することができる。しかも、従来法では製造原料として使用するメタノールの分解と触媒寿命の観点から困難であるが、本発明では容易にこれらの化合物を製造することができる。
(脂肪族アルコール)
本発明でアルキル化剤および反応媒体として使用される脂肪族アルコールは、特に限定されるものではなく、アルカノール類やアルキレングリコール類、あるいは分子内にアリル基、エーテル基、アミノ基などの他の官能基を複数有するアルコール化合物を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの一級、二級、三級のアルカノール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどのアルキレングリコール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのエーテル基を持つアルコール化合物、2−アミノアルコールなどのアミノ基を持つアルコール化合物などを挙げることができ、なかでも炭素数1から8のアルカノールが反応選択性の点で好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノールであり、特にメタノールが好ましい。
(反応)
以下、芳香族環上に少なくとも1個の水素原子及び水酸基を有する芳香族化合物とメタノールを代表な原料として、反応工程について説明する。
反応工程は、芳香族化合物の核アルキル化反応が可能であればどの様な形式でもよい。たとえば、流通反応形式、回分式反応形式、半回分式反応形式などが可能であるが、流通反応形式が簡便で好ましい。また、反応条件は気相、液相、亜臨界、超臨界条件などの条件が選べるが、活性向上、および活性の低下抑制の観点からは超臨界メタノールあるいは亜臨界メタノールを反応媒体かつメチル化剤として用いることが好ましい。ここで、メタノールの超臨界条件とは、メタノールの臨界温度(239℃)と臨界圧力(8.1MPa)を超えた条件を意味するが、臨界点近傍の臨界圧力より低い条件領域(亜臨界条件)を含む。具体的には、温度が239℃以上、かつ、圧力が7MPa以上の領域を意味する。このような条件においては、メタノールは気体と液体の中間的な性質を示し、既存の溶媒には認められない様々な特徴を有する。超臨界メタノール条件としては、反応系内に存在する触媒以外の反応原料や生成物などの各成分の全量又は一部が超臨界メタノールに溶解していることが好ましい。
反応に用いる芳香族環上に少なくとも1個の水素原子及び水酸基を有する芳香族化合物とメタノールとの比率としては、芳香族化合物とメタノールとのモル比(芳香族化合物:メタノールのモル比)を1:2以上、すなわち芳香族化合物に対するメタノールのモル比を2以上とすることが好ましく、また、1:100以下、すなわち芳香族化合物に対するメタノールのモル比を100以下とすることが好ましい。より好ましくは、1:3以上であり、また、1:70以下であり、更に好ましくは、1:5以上であり、また、1:40以下である。メタノールのモル分率が高いほどオルトメチル化収率が向上するが、未反応のメタノール回収コストが大きくなる一方、メタノールのモル分率が低いと、オルトメチル化収率が低下するうえ、触媒寿命が短くなる場合があるからである。超臨界条件下ではメタノールの分解が殆ど起こらないため、気相法に比べて、高いモル分率のメタノールを使用することができる。
上記反応工程において、反応温度及び反応圧力は、超臨界条件又は亜臨界条件の範囲であればよい。反応温度は、通常、250℃〜500℃、好ましくは270℃〜450℃の範囲である。反応温度が高すぎると、メタノールの分解反応が進行し、また、オルト位を選択的にメチル化する場合には選択率が低下する恐れがある。さらに、触媒のコーキングが進行し、触媒寿命が短縮される恐れがある。一方、反応温度が低すぎると、反応速度の低下や液相に近い条件での物質移動過程の影響が大きくなる場合があり好ましくない。反応圧力は、通常、7〜35MPa、好ましくは8〜30MPaの範囲である。反応圧力が高すぎると、高圧設備が必要になるため設備費が必要になり、設備コストが高くなるうえ、反応速度が低下する恐れがある。一方、圧力が低すぎると、気相状態に近くなってメタノールの分解や触媒劣化が顕著になる場合があり、工業的に不利となる恐れがある。
(触媒)
反応工程に用いる酸化物触媒は、芳香族化合物の核アルキル化反応に有効な酸化物触媒であればどれでもよいが、酸化物触媒が還元されることにより活性の低下が抑制されることを考えると、還元されやすい金属を含むものが好ましい。具体的には、例えば、周期律表において、4族の酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、5族の酸化バナジウム、酸化ニオブ、6族の酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、7族の酸化マンガン、8族の酸化鉄、9族の酸化コバルト、12族の酸化亜鉛、13族の酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、14族の二酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化鉛、15族の酸化アンチモン、2族の酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、3族の酸化イットリウム、ランタノイドの酸化ランタンなどを挙げることができる。これらの金属酸化物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら酸化物あるいは組み合わせた酸化物に添加物を加えることが可能である。添加物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、貴金属、リン、ホウ素の各元素またはその化合物が挙げられる。
このなかで最も好ましい形態としては、酸化バナジウムと酸化鉄を含有するものであり、より好ましくは鉄とバナジウム及び鉄の複合酸化物である。鉄とバナジウムの原子比は特に制限されるものではないが、鉄とバナジウムの原子比(Fe/V)で1/0.1〜1/5であり、より好ましくは1/0.2〜1/4であり、最も好ましくは1/1である。上記酸化バナジウムと酸化鉄を含有する触媒は、先に示した酸化物を担体とし複合化してもよいし、より不活性なシリカ、アルミナなどに担持し、複合化してもよい。担体として用いる酸化物は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。このように適当な酸化物を担体として用いることで、適当な比表面積に制御することができる。
また、触媒の形状としては特に限定されるものではなく、粉末のまま使用することもできるし、必要に応じて円柱状、球状、リング状などの任意の形状に成形したものを用いることができる。触媒の成形に際しては、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機及び/又は有機バインダーを成形助剤として用い、成形した触媒を用いてもよい。流通式で行う場合には、固定床式、流動床式のいずれの方式でも用いることができるが、固定床式反応装置が簡便なため好ましい。この際、所望の転化率レベルを達成するために必要な接触時間は、容器の大きさ、又は、反応温度及び反応圧力などの要因に依存して広い範囲内で適宜選択することができる。
(触媒の還元処理)
触媒を還元処理する方法としては、適当な還元剤を反応前に触媒と接触させることで行う。還元剤としては、水素、一酸化炭素などの無機ガス;ギ酸、ホルマリン、メタノールなどの有機化合物が挙げられる。このなかで、先にあげた好ましい反応条件である超臨界メタノールあるいは亜臨界メタノール条件で実施する場合、超臨界あるいは亜臨界条件のメタノールを用いることが好ましく、さらに反応時の安定性を考えた場合、還元温度は実施する反応温度よりも2℃〜80℃高い温度で実施することが好ましく、5℃〜50℃高い温度で実施するのがより好ましい。また、還元処理に用いられる圧力は実施する反応圧よりも0〜5MPa高い圧で実施することが好ましく、0〜3MPaで実施することがより好ましい。これ以下の温度あるいは圧力で還元処理を行った場合は、反応中に経時的な安定性を損なう恐れがあり、逆にこれ以上の反応温度、反応圧で還元処理を行った場合は、昇温、昇圧に必要以上のエネルギーを消費し、経済性を損なうことになる。
本発明によれば、超臨界メタノールを反応媒体、かつ、メチル化剤として使用するフェノールのオルト位メチル化反応において、反応前にあらかじめ超臨界メタノール(還元剤)で処理した触媒を用いることで、反応初期より活性劣化を抑制し、一定時間以上で活性が逆転するという効果を有する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
芳香族環上に少なくとも1個の水素原子及び水酸基を有する芳香族化合物としてフェノールを反応基質として選び、実施例中、フェノールをPhOHと、オルトクレゾールをoCreと、2,6−キシレノールを2,6−Xと、アニソールをANIとそれぞれ略記する。なお、実施例における各数値は、次の方法で得られる。
PhOH転化率(%)=[1−(反応管出口での未反応PhOHモル数/供給したPhOHモル数)]×100
oCre収率(%)=(反応管出口のoCre生成モル数/供給したPhOHモル数)×100
2,6−X収率(%)=(反応管出口の2,6−X生成モル数/供給したPhOHモル数)×100
ANI収率(%)=(反応管出口のANI生成モル数/供給したPhOHモル数)×100
選択率(%)=[(oCre収率+2,6−X収率)/(PhOH転化率)]×100
ANI選択率(%)=(ANI収率/PhOH転化率)×100
メタノール回収率(%)=[1−{1−反応管出口での反応液流出速度(g/hr)/反応管入口での原料液供給速度(g/hr)}/原料液中のメタノールモル分率]×100
LHSV(h−1)=(反応管入口での原料液供給速度(mL/hr)/触媒体積(mL))
(触媒調製例)
硝酸鉄9水和物(11.0g)とメタバナジン酸アンモニウム(3.2g)とをメタノール(150g)に均一に溶解させた。このメタノール溶液中に、酸化ジルコニウム粉体(16.3g;関東化学製)を浸漬した。70℃湯浴上でよく攪拌しながら蒸発乾固させた後、空気気流下にて120℃で6時間、引き続いて750℃で5時間焼成した。これを圧縮成型し、粉砕し、0.3〜0.85mmφに篩い分けした。これを触媒Aと称する。得られた触媒の組成比はFe/V/Zr=1/1/5(原子比)であった。
(還元処理例)
直管反応器(内径10mm、長さ135mm、SUS−316製)の下部にガラスウール2mLを充填し、その上に触媒A 4mLを充填した。反応器出口には空冷式冷却管を介してフィルターと背圧弁を取り付けて、圧力制御できるようにした。反応管部分をGCオーブン(ガスクロマトグラフ用オーブン)で外部から加熱し、温度を350℃に設定した。その後、精密高圧定量ポンプを使用してメタノールを0.267mL/分の流量(LHSV=4.01h−1)で反応器下部から上向きに流通させながら、背圧弁で反応管内の圧力を15.2MPaに設定し反応器内部の圧力を上昇させた。設定の圧力に達してから5.0時間メタノールを供給し、触媒を超臨界条件のメタノールによる還元処理を行った。
所定時間の還元処理が終了したところでメタノールの供給を停止し、反応器内部の圧力を常圧まで戻し、所定の反応温度まで温度を下げた。
還元前のFe/V触媒は茶色であり、酸化バナジウム(V)の相当する色と思われる。これを還元処理すると、触媒はやや青みがかった黒色に変化する。
還元後の触媒を示差熱・熱質量同時測定装置(TG−DTA)で分析すると、発熱にともなう重量減少は認められず、触媒の黒色がメタノールの分解による触媒表面上へのカーボンの沈積はほとんどないと考えられる。触媒がやや青みがかったのは、酸化バナジウム(IV)などの一部還元された酸化物の色を反映していると考えられる。
また、144時間反応後の抜き出し触媒についても、還元処理後の触媒と同様な触媒の色の変化及びTG−DTAチャートを与える。
(実施例)
反応管に充填された還元処理後の触媒Aを引き続き反応に用いた。
精密高圧定量ポンプを用い、フェノールを含むメタノール溶液(モル比=1/30)を0.267mL/分の流量(LHSV=4.0h−1)で反応器下部から上向きに流通させながら、背圧弁で反応管内の圧力を15.2MPaに設定した。反応管部分は、GCオーブンを用いて外部から加熱し、温度を320℃に設定した。温度と圧力が安定してから所定の時間ごとに生成液をサンプリングした。なお、この反応は超臨界条件で行った。
得られた生成液は、内部標準法を用いガスクロマトグラフで分析した。メタノールの回収率は96〜98%の値をとり、経時的な変化はほとんど見られなかった。分析結果を表1に示す。
(比較例)
触媒Aを還元処理なしで用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。温度と圧力が安定してから所定の時間ごとに生成液をサンプリングした。得られた生成液は、内部標準法を用いガスグロマトグラフで分析した。メタノールの回収率は反応開始1.6時間後の分析では89%であったが、24時間後の分析では95%となり、以降144時間まで95〜96%の値となった。分析結果を表1に示す。
Figure 2006232759
表1において、PhOH転化率が48時間経過後に逆転し、実施例の転化率が比較例よりも上回ることがわかる。2,6−Xの収率についても、48時間経過後に逆転し、実施例の収率が比較例よりも上回ることがわかる。

Claims (5)

  1. 芳香族化合物と脂肪族アルコールとを触媒の存在下で反応させて核アルキル化芳香族化合物を製造する方法であって、該触媒はあらかじめ還元処理されていることを特徴とする核アルキル化芳香族化合物の製造方法。
  2. 前記触媒は、鉄及び/又はバナジウムが無機酸化物に担持されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記無機酸化物はシリカ及び/又はジルコニアであることを特徴とする請求項1及び2記載の方法。
  4. 前記触媒は、あらかじめ有機物を還元剤として還元処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記還元処理が、超臨界条件の脂肪族アルコールを還元剤とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101067656B1 (ko) 2009-07-17 2011-09-27 한국화학연구원 페놀의 알킬화 반응에 의한 2,6-디메틸페놀을 제조하는 방법
CN114349590A (zh) * 2022-01-10 2022-04-15 上海巽田科技股份有限公司 一种合成芳香族化合物的方法

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