JP3995849B2 - フェノール類のオルソアルキル化触媒およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法 - Google Patents

フェノール類のオルソアルキル化触媒およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、フェノール類のオルソ位をアルキル化する触媒(オルソアルキル化触媒と称する)およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法に関し、さらに詳しくは、少なくとも一つのオルソ位に水素原子を有するフェノール類をアルキルアルコール類にてアルキル化することによりオルソアルキル化フェノール類を製造できる、フェノール類のオルソアルキル化触媒、およびそのオルソアルキル化フェノール類の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
オルソアルキル化フェノール類としては、たとえばポリフェニレンオキサイド樹脂の製造のための原料である2,6-キシレノール、ビタミンEの合成原料である2,3,6-トリメチルフェノール、医農薬、樹脂、各種添加剤、工業薬品等の原料や中間体として、o- クレゾール、2,5-キシレノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,4,6-トリメチルフェノール、メチルハイドロキノン等が工業的に用いられている。
【0003】
従来、アルキル化触媒の存在下に、アルキルアルコール類によって、少なくとも一つのオルソ位に水素原子を有するフェノール類をオルソアルキル化する方法は、既に知られている。このような方法においては、触媒として酸化マグネシウム単独からなる触媒、銅で被覆された酸化マグネシウムからなる触媒、または酸化マグネシウムと助触媒であるマンガン塩を基剤とする触媒の存在下に、フェノール類に気相中でアルキルアルコール類を反応させている。
【0004】
酸化マグネシウム単独からなる触媒として、塩基性炭酸マグネシウム粉を圧縮成形した後、か焼することによって調製される酸化マグネシウム触媒が特公昭42−6894号公報に記載されている。
【0005】
銅で被覆された酸化マグネシウムからなる触媒として、酸化マグネシウム、およびこの酸化マグネシウムを基にして約0.1重量%の銅を含有し、この銅が超顕微鏡的厚さの層の形で元素の形で、または化学的に結合した形で酸化マグネシウム上に付着してなる触媒組成物が特開昭59−228940号公報に記載されている。この触媒組成物は、約50〜100℃で、か焼したとき酸化マグネシウムを生成する実質的に水不溶性のマグネシウム試薬(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムの少なくとも1種)の少なくも1種の銅塩の水溶液中のスラリーを調製し、スラリー中の銅含有率をコントロールすることにより、超顕微鏡的厚さの銅被覆層を有するマグネシウム含有固体層を調製し、この固体層を乾燥し、か焼することによって調製される。
【0006】
酸化マグネシウムと助触媒であるマンガン塩を基剤とする触媒として、酸化マグネシウムと硫酸マンガンとからなる触媒が特公昭46−21371号公報に記載されている。この触媒は、酸化マグネシウムを粉砕して硫酸マンガンと混合するか、あるいは酸化マグネシウムに硫酸マンガンを含浸させ、乾燥させた後、成形し、か焼することによって調製される。
【0007】
上記のような従来より知られている酸化マグネシウムを含むフェノール類のオルソアルキル化触媒は、たとえばフェノールを原料として、2,6-キシレノールを製造するために工業的に使用されており、ある程度まで、その目的を達成しているが、酸化マグネシウムを含む触媒は、本質的に劣化を伴うものであり、工業的観点からは、更なる触媒性能の向上が望まれている。
【0008】
そこで、本願出願人は、特開平7−265710号公報において、従来の酸化マグネシウムを含む触媒よりも更に触媒性能が向上した高選択性の触媒として、(a)シュウ酸マンガンと、(b)フェノール樹脂微粒子と、(c)塩基性炭酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種のマグネシウム化合物との乾燥混合物からなる触媒前駆体をか焼してなるフェノール類のオルソアルキル化触媒を開示した。
【0009】
しかしながら、この触媒よりも更に高活性・高選択性で触媒寿命が長く、かつ安定しているフェノール類のオルソアルキル化触媒、およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法の出現が望まれている。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、高活性・高選択性で触媒寿命が長く、かつ安定しているフェノール類のオルソアルキル化触媒、およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒は、
塩基性炭酸マグネシウム(a)および酸化マグネシウム(b)を含有し、かつ塩基性炭酸マグネシウム(a)と酸化マグネシウム(b)との混合重量比((a)/(b))が20/80〜80/20の範囲にある触媒前駆体をか焼してなることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係るオルソアルキル化フェノール類の製造方法は、
上記の、本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒の存在下に、フェノール類とアルキルアルコール類とを気相反応させることにより、オルソアルキル化フェノール類を製造することを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下に、本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒、およびその触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法について説明する。
【0014】
オルソアルキル化触媒
まず、本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒について説明する。
本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒は、塩基性炭酸マグネシウム(a)、酸化マグネシウム(b)および必要に応じてシュウ酸マンガン(c)を含有する触媒前駆体をか焼してなる。
【0015】
[塩基性炭酸マグネシウム(a)]
本発明で用いられる塩基性炭酸マグネシウム(a)は、通常、工業的に得られる微粉末が好適であり、市販されている軽質、重質いずれの製品も使用することができる。中でも、重質炭酸マグネシウムを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明の触媒前駆体の調製において、塩基性炭酸マグネシウム(a)は、塩基性炭酸マグネシウム(a)と酸化マグネシウム(b)との混合重量比((a)/(b))で20/80〜80/20、好ましくは20/80〜70/30、さらに好ましくは30/70〜60/40の割合で用いられる。
【0017】
[酸化マグネシウム(b)]
本発明では、酸化マグネシウム(b)は、触媒前駆体の調製においては、バインダー(結合剤)成分として用いられ、そして、か焼後は触媒成分として機能する。具体的には、軽焼マグネシアが用いられる。なかでも、活性の低いもの、例えばヨウ素価で10〜100のものが触媒前駆体の成形性の点で好ましい。
【0018】
本発明の触媒前駆体の調製において、酸化マグネシウム(b)は、塩基性炭酸マグネシウム(a)と酸化マグネシウム(b)との混合重量比((a)/(b))で、20/80〜80/20、好ましくは20/80〜70/30、さらに好ましくは30/70〜60/40の割合で用いられる。酸化マグネシウム(b)を上記混合重量比で用いると、触媒前駆体をたとえばペレット状に成形し、か焼してなる触媒成形体(触媒ペレット)において、触媒粒子間の結合強度のバラツキが非常に少なくなるため、触媒寿命が長く、かつ安定している触媒を得ることができる。従来、低温で高活性を示す酸化マグネシウム系のオルソアルキル化触媒は、触媒前駆体成型時の発熱が大きく、ペレット化するのが難しい。更に、触媒ペレット中の触媒粒子間の結合強度が低下し易く、使用している間に触媒成形体が崩れて粉末化し空隙率が低下し触媒機能が失われるという問題がある。一方、触媒粒子間の結合強度が十分でその低下が殆ど認められないようなオルソアルキル化触媒は、活性が低いため、触媒の再生あるいは触媒の入れ替え等の時期が早くなり、その結果、製造装置の稼働時間が短くなるという問題がある。本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒は、上記のような相反する問題を、触媒前駆体の調製において、塩基性炭酸マグネシウム(a)と酸化マグネシウム(b)を、上記のような割合で混合することによって解決した。
【0019】
[シュウ酸マンガン(c)]
本発明で必要に応じて用いられるシュウ酸マンガン(c)は、助触媒であり、均質混合性の点から微粉末のシュウ酸マンガンが好ましく、水和物、無水和物のいずれでもよい。
【0020】
このようなシュウ酸マンガン(c)は、本発明の触媒前駆体の調製において、必要に応じて、塩基性炭酸マグネシウム(a)および酸化マグネシウム(b)の合計100重量%に対して、0.1重量%以上、好ましくは0.1〜10重量%の量で用いられる。
【0021】
[触媒の調製]
本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒は、たとえば所定量の塩基性炭酸マグネシウム(a)、酸化マグネシウム(b)、および必要に応じてシュウ酸マンガン(c)をブレンダー等の機械的混合機等で乾式混合して均質に分散させた後(触媒前駆体)、水を添加して混練し、得られた混練物を押出し成形法等の方法で、たとえばペレット状の成形体を調製し、次いで、得られた成形体(触媒前駆体のペレット)をか焼処理して賦活化することによって調製される。
【0022】
なお、上記触媒前駆体の調製に際し、塩基性炭酸マグネシウム(a)、酸化マグネシウム(b)およびシュウ酸マンガン(c)の他に、必要に応じて、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム等の従来公知の通常の成形助剤を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。このような成形助剤は、必要に応じて、塩基性炭酸マグネシウム(a)および酸化マグネシウム(b)の合計100重量%に対して、通常0.1〜5重量%の量で用いられる。
【0023】
か焼処理は、活性触媒を得るために、上記触媒前駆体からなる成形体を少なくとも300℃、通常は300〜500℃、好ましくは350〜500℃の温度範囲で加熱すればよく、特に、本発明においては、分子状酸素の不存在下に、触媒前駆体の成形体を上記温度で加熱することが好ましい。このような条件下で触媒前駆体の賦活化を達成するのは、通常24時間以内のか焼処理で十分である。
【0024】
本発明おいては、上記か焼処理は、分子状酸素が共存しない雰囲気下に行なうことが好ましく、通常、不活性気体中、たとえば窒素気流下で行なうのがよい。また、フェノール類のオルソアルキル化反応において用いる原料、すなわちフェノール類、アルキルアルコール類またはこれらの混合物の蒸気を、か焼処理雰囲気下に流通させることもできる。触媒前駆体のか焼処理による賦活に際して、か焼処理雰囲気下に分子状酸素が存在する場合には、燃焼反応が起こるため十分な触媒性能を得ることはできず、得られる触媒は、触媒活性が低下するとともにその機械的強度も低下し、触媒寿命が短くなる。
【0025】
本発明においては、触媒前駆体のか焼処理による賦活化の操作は、触媒前駆体の成形体を反応器に充填するに先立って行なうことができるし、また、触媒前駆体の成形体を反応器に充填した後、反応器内で行なうこともできる。一般には、触媒前駆体の成形体を反応器に充填した後、か焼処理し賦活化するのが工業的に有利である。たとえば触媒前駆体の成形体を反応器に充填し、これを触媒前駆体の賦活化のために必要な所望の温度に予熱した窒素または供給原料混合物の蒸気と接触させることによって、触媒前駆体をか焼処理し賦活化することができる。
【0026】
このようにして、触媒前駆体をか焼することによって、シュウ酸マンガン(c)の脱炭酸、塩基性炭酸マグネシウム(a)の脱水と脱炭酸等が起こって形成される触媒前駆体が賦活化されるとともに、形成される触媒中に細孔が形成されるので、より一層大きい触媒表面積を得ることができる。一般に、触媒は、25m2 /g以上の表面積を有することが好ましく、特に25〜500m2 /gの範囲が好適であるが、本発明に従って、上記条件下にか焼することによって、通常、上記表面積を容易に得ることができる。
【0027】
上記のようにして得られるオルソアルキル化触媒は、触媒100重量%に対して、マンガンを0.1重量%以上、好ましくは0.2〜5重量%の量で含有している。
【0028】
オルソアルキル化フェノール類の製造方法
次に、上述したようにして得られる触媒を用いるオルソアルキル化フェノール類の製造方法について説明する。
【0029】
上述したような、本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒は、フェノール類のオルソアルキル化において、芳香環上のアルキル置換達成とその継続に有効に作用する。
【0030】
本発明に係るオルソアルキル化フェノール類の製造方法は、本発明に係るフェノール類のオルソアルキル化触媒の存在下に、フェノール類とアルキルアルコール類とを気相反応させることにより、オルソアルキル化フェノール類を製造する方法である。
【0031】
本発明で用いられるフェノール類としては、たとえば、次の一般式[I]で表わされる化合物などが挙げられる。
【0032】
【化1】
Figure 0003995849
【0033】
一般式[I]において、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、またはヒドロキシル基を示す。
【0034】
上記アルキル置換フェニル基におけるアルキル基は、通常、炭素原子数1〜12のアルキル基である。
好ましいRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ヒドロキシル基またはメチル置換フェニル基である。
【0035】
したがって、このようなフェノール類の好ましい具体例としては、たとえばフェノール、o- クレゾール、m- クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、ハイドロキノン、レゾルシンなどが挙げられる。本発明においては、これらのフェノール類は、単独で、あるいは必要に応じて2種以上の混合物として用いることができる。
【0036】
本発明でアルキル化剤として用いられるアルキルアルコール類は、炭素原子数1〜16のアルキルアルコール類、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキルアルコール類、特に好ましくは炭素原子数1〜6のアルキルアルコール類であり、分岐鎖状または直鎖状または脂環式の飽和アルコールである。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキシルメチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、特にメチルアルコールが最も好ましく用いられる。すなわち、本発明の方法は、オルソメチル化フェノール類の製造に好適である。
【0037】
これらのアルキルアルコール類は、通常、反応において過剰に供給されるので、反応後に回収され、再使用される。その際に副生物として、そのアルコール類に対応するエーテル体も回収されるが、これもアルキル化剤として有効に用いることができる。
【0038】
本発明に係るオルソアルキル化フェノール類の製造方法をより具体的に説明する。フェノール類とアルキルアルコール類とからなる原料混合物を予熱器で気化し、これを反応器内へ導入する。反応器内には、上述したような賦活化された、本発明のオルソアルキル化触媒が充填されており、その系内温度は、350〜600℃、好ましくは350〜550℃、さらに好ましくは430〜550℃の範囲の温度に加熱制御されている。
【0039】
本発明においては、反応温度は、主としてモノ-o-アルキル置換フェノール類を製造する目的の場合には、比較的低い温度が好ましく、また、主として2,6-ジアルキル置換フェノール類を製造する目的の場合には、高い温度が好ましい。しかしながら、反応温度を550℃以上の高温にするときは、用いるアルキルアルコール類の熱分解が加速され、アルコール類の不必要な損失を招くため好ましくない。
【0040】
所望のオルソアルキル化フェノール類の収率を最大にするためには、アルキル化すべきフェノール類の芳香環上のオルソ位置1つ当たり、少なくとも1モル以上、好ましくは1〜3モルのアルキルアルコール類を用いる。たとえば1分子当たりの2つのオルソ水素を有するm- クレゾールをメチル化して2,3,6-トリメチルフェノールを製造する場合には、m- クレゾール1モル当たり、2〜6モルのメチルアルコールを用いることが好ましい。他のアルキル化すべきフェノール類の芳香環上のオルソ位置1つ当たりのアルキルアルコール類の量が3モルを超えるときは、目的とするモノまたはジアルキル置換フェノール類の収率が高くなるが、同時に、目的としない高次アルキル化生成物も増加するため好ましくない。
【0041】
本発明に係る工業的なオルソアルキル化フェノール類の製造方法においては、アルキルアルコール類/フェノール類のモル比は、回収して再使用すべき未反応の原料の量を最小にするとともに、目的とするオルソアルキル化最終生成物(すなわちフェノール類の芳香環上の1つのオルソ位置(2位置)、または2つのオルソ位置(2および6位置)にアルキル置換基を有する置換フェノール類)に対する選択率を最大にするように設定される。
【0042】
さらに、本発明においては、フェノール類とアルキルアルコール類とからなる原料混合物を予熱器で気化し、これを反応器内へ導入する際に、同時に、水を上記原料混合物とともに、反応器に導入することが好ましい。ここに、水の量は、フェノール類1モル当たり、通常0.5モル以上、好ましくは1〜4モルの範囲である。水を導入することによって、触媒の活性をより長く維持できる利点があり、特に工業的に有利である。
【0043】
本発明において、気相反応におけるフェノール類およびアルキルアルコール類からなる原料混合物の気化ガスと触媒との接触時間は、原料のフェノール類を基準とした液空間速度(LHSV)で表わせば、通常0.01〜10hr-1の範囲である。ここに、「液空間速度」とは、一般的に、気相反応において常用されているように、触媒単位当たり、1時間に供給される原料のフェノール類の液体容積として定義される。この液空間速度は、工業的には、反応条件に応じて適宜変更され、生産速度と触媒寿命との関係から、最適の液空間速度にコントロールされる。
【0044】
本発明において、上記反応は、通常、大気圧下で行なわれるが、大気圧以上の下でも、あるいは減圧下でも、所望の圧力を採用することができる。また、反応器から出た反応蒸気は、冷却凝縮され、油水分離を行なった後、晶析や蒸留等の通常の単位操作によって、各々の成分に分離、精製される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、高活性・高選択性で触媒寿命が長く、かつ、従来のフェノール類のオルソアルキル化触媒よりも、さらに触媒寿命が安定しているフェノール類のオルソアルキル化触媒が得られる。
【0046】
また、上記のような効果を有する触媒を用いるので、オルソアルキル化フェノール類の製造に際して、触媒の再生が必要になるまでの期間が長く、その期間も一定した製造方法が得られる。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0048】
【実施例1】
[触媒前駆体成形体の調製]
重質塩基性炭酸マグネシウム140g、軽焼マグネシア[協和化学工業(株)製、商品名 キョウワマグ20]60gおよびシュウ酸マンガン4.9gを容量1リットルのビーカーに仕込み、十分に混合撹拌した。
【0049】
次いで、上記のようにして得られた原料混合物200gに対して、イオン交換水150gを添加した後、混練り・混合を行ない、均質な塊状混合物を得た。
次いで、この塊状混合物を3mmφのダイスを保有した押出成形機に投入して直径3mmのヌードル体を得た。
【0050】
次いで、このヌードル体を100℃の恒温槽に入れて、乾燥した後、破砕整粒機で成形体の大きさを5〜10mmのサイズにカットして、7メッシュの篩に通し、直径3mmの触媒前駆体成形体を得た。
【0051】
得られた触媒前駆体成形体の嵩密度は、0.64g/mlであり、また、その木屋式デジタル硬度計[商品名 KHT−20、藤原製作所(株)製]で測定した圧壊強度(横軸方向)は、4.6kgであった。
[触媒前駆体のか焼による触媒の調製と、フェノール類のオルソメチル化]
下記の実験反応装置を使用して、上記のようにして調製した触媒前駆体の存在下に、m- クレゾールをオルソメチル化して2,3,6-トリメチルフェノールを製造し、触媒性能を評価した。
【0052】
実験反応装置は、フェノール類とアルキルアルコール類とからなる原料混合物の予熱器および気化層を備えた反応管と、反応生成物を凝縮捕集する水冷冷却管を備えた受器とから構成されており、反応管底部と水冷冷却管とがステンレス製導管で繋がっている。
【0053】
この反応管は、直径1/2インチ、長さ40cmのステンレス鋼管からなり、鉛直方向に延びるように設置されている。
反応管に、上記の触媒前駆体前駆体25mlを装填し、窒素ガスを流速6000ml/hrで触媒層に流通させながら、370℃まで昇温した。この温度に15分間保った後、この触媒層に、m- クレゾールとメチルアルコールと水(モル比1/4/3)とからなる混合物を導入した。上記混合物の供給速度は30.2g/hrであり、これを液空間速度に換算すれば、1.2g/cc/hrであり、このとき、m- クレゾール基準の液空間速度(LHSV)は、0.45g/cc/hrである。このm- クレゾール基準のLHSVは、工業上便利な指標であるので、以下の実施例では、この指標を用いることとする。
【0054】
m- クレゾールのオルソメチル化反応は、大気圧で行なった。反応温度は、目的生成物である油層中の2,3,6-トリメチルフェノールの濃度が65±1%に維持されるように調整した。上記のようにして得られた反応生成物を静置し、水層を分離した後、油層の一部を分取し、これをガスクロマトグラフィーを用いて分析した。この分析は、定期的(2時間毎)に行なって、2,3,6-トリメチルフェノールの濃度管理を行なった。すなわち、2,3,6-トリメチルフェノール濃度が65±1%以下になった場合には、反応温度を1〜2℃上昇させる操作を行なった。
【0055】
このように、触媒の劣化に応じて、反応温度を上昇させながら、500℃に達するまで反応を継続して、この500℃に達するまでの反応時間を触媒寿命の尺度とした(以下、この反応時間を触媒寿命と言う)。また、生成物の組成は、全反応時間にわたる重量%表示による平均値で示した。
【0056】
また、触媒前駆体成形体をか焼して賦活した触媒は、当初、触媒活性が最も高いので、反応温度を低く設定することができる。そこで、目的生成物の2,3,6-トリメチルフェノールを油層中に濃度65±1%にて得ることができる反応当初の反応温度を「反応初期温度」として、以下に示す。
【0057】
反応結果を第1表に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003995849
【0059】
[触媒の再生]
反応温度500℃で反応液中の2,3,6-トリメチルフェノール濃度が65±1%以下になると、窒素雰囲気下で原料混合物のフィードと外部加熱を止めて触媒層の降温操作を行なう。そして、触媒層の温度が350℃に達した時点で、窒素ガスの供給を止めて触媒層内へエアーを導入して発熱状況を確認しながら、徐々にデコーキング操作を行なっていき、最終的には触媒層の反応温度450℃まで同デコーキング操作を行ない、発熱がないことを確認した後、エアーの導入を止めて窒素ガスを触媒層に供給し、上記と同様に、フェノール類とアルキルアルコール類とからなる原料混合物を予熱器に供給して気化して触媒層でm- クレゾールのオルソアルキル化反応を行なった。
【0060】
このようにして再生した触媒の木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、0.8kgであった。その結果を第5表に示す。
【0061】
【実施例2】
重質塩基性炭酸マグネシウム140g、軽焼マグネシア[協和化学工業(株)製、商品名 キョウワマグ20]140gおよびシュウ酸マンガン4.9gを用いて、実施例1と同様にして、直径3mmの触媒前駆体成形体を調製した。得られた触媒前駆体成形体を反応器に充填し、実施例1と同じ方法にて賦活し、触媒性能を評価した。その結果を第2表に示す。なお、得られた触媒前駆体成形体の嵩密度は、0.64g/mlであり、また、その木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、9.1kgであった。
【0062】
【表2】
Figure 0003995849
【0063】
また、実施例1と同様にして再生した触媒の木屋式強度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、2.1kgであった。その結果を第5表に示す。
【0064】
【実施例3】
重質塩基性炭酸マグネシウム60g、軽焼マグネシア[協和化学工業(株)製、商品名 キョウワマグ20]140gおよびシュウ酸マンガン2.1gを用いて、実施例1と同様にして、直径3mmの触媒前駆体成形体を調製した。得られた触媒前駆体成形体を反応器に充填し、実施例1と同じ方法にて賦活し、触媒性能を評価した。その結果を第3表に示す。なお、得られた触媒前駆体成形体の嵩密度は、0.72g/mlであり、また、その木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、9.9kgであった。
【0065】
【表3】
Figure 0003995849
【0066】
また、実施例1と同様にして再生した触媒の木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、2.5kgであった。その結果を第5表に示す。
【0067】
【比較例1】
軽焼マグネシウム[協和化学工業(株)製、商品名 キョウワマグ20]200gおよびリン酸マンガン0.15gを用いて、実施例1と同様にして、直径3mmの触媒前駆体成形体を調製した。得られた触媒前駆体成形体を反応器に充填し、実施例1と同じ方法にて賦活し、触媒性能を評価した。その結果を第4表に示す。なお、得られた触媒前駆体成形体の嵩密度は、1g/mlであり、また、その木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、9.3kgであった。
【0068】
【表4】
Figure 0003995849
【0069】
また、実施例1と同様にして再生した触媒の木屋式デジタル硬度計で測定した圧壊強度(横軸方向)は、1.6kgであった。その結果を第5表に示す。
【0070】
【表5】
Figure 0003995849

Claims (6)

  1. 塩基性炭酸マグネシウム(a)、酸化マグネシウム(b)、およびシュウ酸マンガン(c)を含有し、かつ塩基性炭酸マグネシウム(a)と酸化マグネシウム(b)との混合重量比((a)/(b))が20/80〜80/20の範囲であり、かつシュウ酸マンガン(c)が塩基性炭酸マグネシウム(a)および酸化マグネシウム(b)の合計100重量%に対して、0.1〜10重量%の量である触媒前駆体を
    か焼してなることを特徴とするフェノール類のオルソアルキル化触媒。
  2. 前記塩基性炭酸マグネシウム(a)が重質炭酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載のフェノール類のオルソアルキル化触媒。
  3. 前記酸化マグネシウム(b)が軽焼マグネシアであることを特徴とする請求項1または2に記載のフェノール類のオルソアルキル化触媒。
  4. 前記触媒前駆体を、成形し、分子状酸素の不存在下に、300〜500℃の温度でか焼してなることを特徴とする請求項1に記載のフェノール類のオルソアルキル化触媒。
  5. 前記アルキル化触媒の触媒表面積が25〜500m2/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のフェノール類のオルソアルキル化触媒。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のオルソアルキル化触媒の存在下に、フェノール類とアルキルアルコール類とを気相反応させることにより、オルソアルキル化フェノール類を製造することを特徴とするオルソアルキル化フェノール類の製造方法。
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