JP2006232714A - 高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 Download PDF

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康明 高橋
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Abstract

【課題】 モノエステル体の含有量が約90質量%以上であるトリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】 トリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物を、順相系フラッシュクロマトグラフィーにて精製することを特徴とする高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関し、詳しくはモノエステル体の含有量が90質量%以上であるトリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関する。
従来、トリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの平均重合度が3のトリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により製造され、トリグリセリン1モルに対して脂肪酸をおよそ1モルの比率で反応させて得られる反応生成物を、慣用的にトリグリセリンモノ脂肪酸エステルと称している。
しかし、該トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは遊離の脂肪酸、並びに未反応のトリグリセリン、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体、テトラエステル体およびペンタエステル体の混合物であり、通常モノエステル体の含有量は約40質量%程度で、本来トリグリセリンモノ脂肪酸エステルが有している界面活性剤としての諸性能が十分に発揮され得る代物であるとは決して言えなかった。
そこで、上記反応生成物を精製し、高純度のトリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造するため、液液抽出による方法(例えば、特許文献1、2、3参照)が実施されている。しかし、このような方法で得られたトリグリセリンモノ脂肪酸エステルのモノエステル体含有量はたかだか80質量%強であり、更にモノエステル体含有量の高いトリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法が求められていた。
特開2004−187585号公報、試作例1 特開平10−165152号公報、実施例1 特開平10−225281号公報、実施例2
本発明は、モノエステル体の含有量が約90質量%以上であるトリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意・検討を行った結果、トリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物を、順相系フラッシュクロマトグラフィーにて精製することにより高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の(1)〜(2)からなっている。
(1)トリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物を、順相系フラッシュクロマトグラフィーにて精製することを特徴とする高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
(2)60℃における界面への吸着効率(pC20)が4.00以上であり、且つ最小界面張力値が3.0mN/m以下であることを特徴とする高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル。
本発明の製造方法により得られる高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、水に溶かしても油に溶かしても顕著な界面張力低下能を示し、従来水中油型乳化剤として広範囲に用いられているデカグリセリンモノオレイン酸エステルと比較して、優れた乳化能を有している。
本発明で用いられるトリグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が約2.5〜3.4、好ましくは平均重合度が3.0のトリグリセリン混合物が挙げられる。また、グリシドールまたはエピクロルヒドリンなどを原料として得られるものであっても良い。反応終了後、必要であれば中和、脱塩、脱色などの処理を行って良い。
本発明において、上記トリグリセリン混合物を、例えば蒸留またはカラムクロマトグラフィーなど自体公知の方法を用いて精製し、グリセリン3分子からなるトリグリセリンを約50質量%以上、特に約85質量%以上に高濃度化した高純度トリグリセリンが好ましく用いられる。
本発明で用いられる脂肪酸としては特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖状または分岐状の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキシル酸および縮合リシノール酸などが挙げられる。これら脂肪酸は、目的に応じて、1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、トリグリセリンに対する脂肪酸の仕込み量は、好ましくはトリグリセリン1モルに対して約1モル程度である。トリグリセリンに対する脂肪酸の仕込み量が少なすぎると、トリグリセリン脂肪酸エステルそのものの生成量が少なくなり、また、トリグリセリンに対する脂肪酸の仕込み量が多すぎると、モノエステル体の生成量が少なくなり、経済的に有利ではない。
本発明において、トリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は無触媒で行って良く、または酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いて行っても良いが、好ましくはアルカリ触媒の存在下で行なわれる。酸触媒としては、例えば濃硫酸などが挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ触媒の使用量は、トリグリセリンに対して約5×10-7〜1モル倍量、好ましくは約5×10-6〜0.1モル倍量である。
上記エステル化反応は、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に、ポリグリセリン、脂肪酸、および触媒を供給して攪拌混合し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で一定時間加熱して行われる。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、12以下を目安に決められる。
エステル化反応終了後、得られた反応混合物を例えば約100〜150℃まで冷却し、触媒を中和し、その温度で約0.5時間以上、好ましくは約1〜10時間放置する。未反応のトリグリセリンが下層に分離した場合はそれを除去し、トリグリセリン脂肪酸エステルを得る。
本発明に係る順相系フラッシュクロマトグラフィーの操作方法は特に限定されず、自体公知の方法を用いることができる。以下に、好ましい操作方法を例示する。例えば、筒状の容器(カラム)に固定相としてシリカゲルを充填し、そこに溶媒に溶解した該トリグリセリン脂肪酸エステルを流してシリカゲルに吸着させ、次に加圧下で展開溶媒を流し、容器(カラム)の反対側から出てくる液を一定量ずつ分取し、分取した液を例えばTLCまたはHPLCなどで分析し、モノエステル体を含むものを集めて濃縮する。
上記シリカゲルとしては、カラムクロマトグラフィー用シリカゲルであれば特に制限はないが、フラッシュクロマトグラフィー用として市販されている、平均粒子径が小さく粒度分布が狭いシリカゲルが好適である。該クロマトグラフィー用シリカゲルとしては、例えばWakosil C−200(64〜210μm 80%以上;和光純薬工業社製)などが、また該フラッシュクロマトグラフィー用シリカゲルとしては、例えばWakosil C−300(40〜64μm 80%以上;和光純薬工業社製)、シリカゲル60(球状)(40〜50μm;関東化学社製)、シリカゲル60(球状)(40〜100μm;関東化学社製)などが挙げられる。カラムに充填するシリカゲルの量は、被精製物であるトリグリセリン脂肪酸エステル1gに対して約20〜100gであるのが好ましい。
該トリグリセリン脂肪酸エステルを溶解する溶媒としては、各成分の展開に使用する展開溶媒と同一組成であることが好ましい。
上記展開溶媒としては、未反応のトリグリセリンとモノエステル体、モノエステル体とジエステル体が十分に分離するものであれば特に限定はなく、1種類の溶媒のみを用いても良いが、通常2種類以上の溶媒を混合した混液が好ましく用いられる。該混液の例としては、例えばヘキサン・酢酸エチル、ヘキサン・ジクロロメタン、クロロホルム・メタノール、酢酸エチル・メタノールなどが挙げられる。
トリグリセリン脂肪酸エステル溶液がシリカゲルに染み込んだら、加圧下で展開溶媒を流し各成分を展開する。展開溶媒の量はカラムの大きさ、シリカゲルの充填量、目的とする成分の分配係数などにより異なり一様ではないので、予備実験をしておくことが望ましい。カラム内の圧力は、例えば通常のガラス製クロマト管では約50〜200Pa程度であるのが好ましい。
モノエステル体を含むフラクションを集めて濃縮することにより、濃縮物として、通常モノエステル体を約90質量%以上、しばしば約95質量%以上含有する高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られる。
該高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは界面活性剤として優れた性能を有し、例えば60℃における界面への吸着効率pC20は4.00以上であり、且つ最小界面張力値は3.0mN/m以下である。
吸着効率(pC20)は、ある現象で一定の変化が生じるのに必要な界面活性剤の量を表すパラメーターであり、具体的には液−液界面の界面張力を20mN/m低下させるのに必要なバルク液相の界面活性剤濃度の逆数の対数で表される注1)
注1)M.J.ローゼン著、「界面活性剤と界面現象」、フレグランスジャーナル社、平成7年、p.87
Figure 2006232714
最小界面張力値は、界面活性剤の量に関わらず界面活性剤によって引き起こされる最大変化量を表す数値であり、界面活性剤の界面張力低下能の限界点である。即ち、界面張力は界面活性剤の添加に伴い低下していき、やがて界面が界面活性剤で飽和状態となり、界面活性剤をこれ以上増やしても界面活性が殆ど低下しなくなる。この限界点が最小界面張力値である。
吸着効率及び界面張力の測定装置としては、液体と液体の界面張力の測定に用いられる装置であれば特に限定はなく、例えば、ペンダントドロップ法による界面張力計(型式:PD−V;協和界面科学社製)などが使用できる。
以下に本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1]
攪拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%溶液100mlを加え、窒素ガス気流中250℃で4時間グリセリン縮合反応を行った。
得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸(85質量%)約20gを添加して中和した後ろ過し、ろ液を160℃、400Paの条件下で減圧蒸留してグリセリンを除き、続いて200℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、ジグリセリンを主成分とする留分約3.7kgを除き、更に、240℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、グリセリン1質量%、ジグリセリン4質量%、トリグリセリン88質量%、テトラグリセリン3質量%、環状ポリグリセリン4質量%を含む留分約1.5kgを得た。次に、該留分に活性炭を1質量%加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたトリグリセリン混合物の水酸基価は約1164で、その平均重合度は約3.0であった。
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、上記トリグリセリン混合物240g(約1.0モル)、およびミリスチン酸(商品名:ミリスチン酸98;ミヨシ油脂社)219g(約0.96モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%溶液10mlを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を約150℃まで冷却し、リン酸(85質量%)1gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置し、分離した未反応のトリグリセリン約40gを除去し、トリグリセリンミリスチン酸エステル(試作品1)約400gを得た。
[製造例2]
製造例1のミリスチン酸(商品名:ミリスチン酸98;ミヨシ油脂社)219g(約0.96モル)に替えてステアリン酸(商品名:ステアリン酸90;ミヨシ油脂社)272g(約0.96モル)を使用し、以下製造例1と同様に実施し、トリグリセリンステアリン酸エステル(試作品2)約450gを得た。
[製造例3]
製造例1のミリスチン酸(商品名:ミリスチン酸98;ミヨシ油脂社)219g(約0.96モル)に替えてオレイン酸(商品名:PM 810−RB;ミヨシ油脂社)270g(約0.96モル)を使用し、以下製造例1と同様に実施し、トリグリセリンオレイン酸エステル(試作品3)約440gを得た。
[実施例1]
順相系カラムクロマトグラフィーにてトリグリセリンミリスチン酸エステル(試作品1)を精製し、高純度トリグリセリンモノミリスチン酸エステルを作製した。
〈操作方法〉
(1)シリカゲル(商品名:Wakosil C−200;和光純薬工業社製)50gをビーカーにとり、酢酸エチル・メタノール混液(80:20)約100mLを加えて気泡を除去した後、テフロン(登録商標)コック付きクロマト管(φ:3cm,L:50cm)に流し込み、シリカゲルカラムを作製する。
(2)シリカゲルの上部に円系のろ紙を乗せ、カラム内の溶媒がシリカゲル表面すれすれにまできたところでコックを止め、トリグリセリンミリスチン酸エステル(試作品1)約0.6gを酢酸エチル・メタノール混液(80:20)約2mLに溶解した溶液を駒込ピペットでろ紙上に静かに滴下する。
(3)クロマト管のコックを開けて溶媒を自然落下させ、該溶液がシリカゲルに染み込んだらコックを止め、次に酢酸エチル・メタノール混液(80:20)約200mLでカラム内を満たす。
(4)T字管を挿入したシリコンゴム栓をクロマト管の上端に取り付け、一端に金魚用のエアポンプからの送気チューブを接続し、残る一端にゴム管を付けスクリューコックで止める。クロマト管のコックを開け、エアポンプで加圧し、スクリューコックの絞りを加減して流出量の流下速度を毎分約10mLに調整し、5mLずつ試験管に分取する。
(5)分取した各フラクションを、シリカゲルTLCプレート(Merck,Art5554,F254 0.25mm)を用い、酢酸エチル・メタノール混液(80:20)を展開溶媒として常法により分析する。
(6)上記(1)〜(5)を15回繰り返してモノエステル体のフラクションを集め、ロータリーエバポレーターを用いて、約90℃、約4kPaの条件で濃縮し、トリグリセリンモノミリスチン酸エステル(実施品1:モノエステル体含有量93.5質量%)約4.5gを得た。
尚、モノエステル体含有量の測定はHPLCで行った。分析条件を以下に示した。
〈HPLC分析条件〉
装置 高速液体クロマトグラフ(型式:LC−10AS;島津製作所社製)
検出器 RI検出器(型式:RID−6A;島津製作所社製)
カラム GPCカラム(型式:SHODEX KF−802;昭和電工社製)
2本連結
温度 40℃
移動相 THF
流量 1.0mL/min
検液注入量 15μL
[実施例2]
実施例1のトリグリセリンミリスチン酸エステル(試作品1)0.6gに替えてトリグリセリンステアリン酸エステル(試作品2)0.6gを使用し、以下実施例1と同様に実施し、トリグリセリンモノステアリン酸エステル(実施品2:モノエステル体含有量96.5質量%)約4.5gを得た。
[実施例3]
実施例1のトリグリセリンミリスチン酸エステル(試作品1)0.6gに替えてトリグリセリンオレイン酸エステル(試作品3)0.6gを使用し、以下実施例1と同様に実施し、トリグリセリンモノオレイン酸エステル(実施品3:モノエステル体含有量98.5質量%)約4.5gを得た。
[試験例1]
ナタネ白絞油(ボーソー油脂社製)100.0gを正確に量り、実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)をそれぞれ20〜5000ppmの濃度となるよう添加し、60℃で溶解したものを試験溶液とした。該試験溶液と蒸留水との界面張力を測定し、吸着効率(pC20)と最小界面張力値を求めた。結果を表1に示した。
〈界面張力測定方法〉
接触角計(型式:Drop Master 300;協和界面科学社製)に付属装置をセットし、界面張力測定装置として使用した。ガラス製セルに試験溶液を10mL入れ、60℃に温調したジャケット式チャンバーに固定する。精製水を保持させたテフロン(登録商標)コートシリンジ針の先端を試験溶液中に挿入し、蒸留水を試験溶液中に押出して懸滴(ペンダント・ドロップ)を形成させ、懸滴の最大径(de)と、懸滴最下端からdeだけ上昇した位置における懸滴径(ds)を測定し、次式から界面張力値(γ)を算出した。
Figure 2006232714
ここで、Δρは精製水とナタネ白絞油との密度差、gは重力加速度、1/Hはds/deから求められる補正係数である。尚、精製水の密度は0.983(60℃)注2)を、ナタネ白絞油の比重は0.884 (60℃)注3)を用いた。
注2)「化学便覧 基礎編II」(社団法人 日本化学会編)、p.432
注3)「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会)の[2.2.2-1996 比重]に準じて測定した。
Figure 2006232714
[試験例2]
蒸留水100.0gを正確に量り、実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)をそれぞれ20〜5000ppmの濃度となるよう添加し、60℃で溶解したものを試験溶液とした。該試験溶液とナタネ白絞油(ボーソー油脂社製)との界面張力を測定し、吸着効率(pC20)と最小界面張力値を求めた。結果を表2に示した。
〈界面張力測定方法〉
接触角計(型式:Drop Master 300;協和界面科学社製)に付属装置をセットし、界面張力測定装置として使用した。ガラス製セルに試験溶液を10mL入れ、60℃に温調したジャケット式チャンバーに固定する。ナタネ白絞油を保持させたテフロン(登録商標)コートシリンジ針の先端を試験溶液中に挿入し、ナタネ白絞油を試験溶液中に押出して懸滴(ペンダント・ドロップ)を形成させ、懸滴の最大径(de)と、懸滴最下端からdeだけ上昇した位置における懸滴径(ds)を測定し、次式から界面張力値(γ)を算出した。
Figure 2006232714
ここで、Δρは精製水とナタネ白絞油との密度差、gは重力加速度、1/Hはds/deから求められる補正係数である。尚、精製水の密度は0.983(60℃)注2)を、ナタネ白絞油の比重は0.884 (60℃)注3)を用いた。
注2)「化学便覧 基礎編II」(社団法人 日本化学会編)、p.432
注3)「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会)の[2.2.2-1996 比重]に準じて測定した。
Figure 2006232714
[試験例3]
実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)の乳化能を試験した。同時に、比較例としてデカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製)についても試験した。結果を表3に示した。
〈乳化試験方法〉
1)500mL容ビーカーに精製水150gを入れ、約60℃に加温する。
2)TKホモミキサー(型式:MARKII;特殊機化工業社)で低速で攪拌しながら、実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)またはデカグリセリンモノオレイン酸エステル(比較例)3.0gを加えて溶解し、水相とする。
3)上記水相に約60℃に加温した油相(ナタネ白絞油)150gを徐々に加え、その後10000rpmで3分間攪拌して乳化し、水中油型乳化液1〜4を得た。
4)各乳化液を100mL容有栓メスシリンダーに100mL入れ、40℃恒温器に保存し、24時間後の乳化液の状態を観察した。
Figure 2006232714
本発明の製造方法により得られる高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、従来水中油型乳化剤として広範囲に用いられているデカグリセリンモノオレイン酸エステルと比較して、優れた性能を有していることが明らかである。
[試験例4]
実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)の乳化能を試験した。同時に、比較例としてデカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製)についても試験した。結果を表4に示した。
〈乳化試験方法〉
1)500mL容ビーカーに精製水150gを入れ、約60℃に加温する。
2)ナタネ白絞油(ボーソー油脂社製)150gに、実施例1〜3で得た高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル3種(実施品1〜3)またはデカグリセリンモノオレイン酸エステル(比較例)3.0gを加えて溶解し、油相とする。
3)TKホモミキサー(型式:MARKII;特殊機化工業社)で低速で攪拌しながら、上記水相に約60℃に加温した油相を徐々に加え、その後10000rpmで3分間攪拌して乳化し、水中油型乳化液5〜8を得た。
4)各乳化液を100mL容有栓メスシリンダーに100mL入れ、40℃恒温器に保存し、24時間後の乳化液の状態を観察した。
Figure 2006232714
本発明の製造方法により得られる高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、従来水中油型乳化剤として広範囲に用いられているデカグリセリンモノオレイン酸エステルと比較して、優れた乳化能を有していることが明らかである。
本発明の製造方法により得られる高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、界面活性剤として優れた機能を有しており、例えば可溶化剤、乳化剤、起泡剤、洗浄剤、分散剤などとして広範囲の分野に使用できる。

Claims (2)

  1. トリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物を、順相系フラッシュクロマトグラフィーにて精製することを特徴とする高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 60℃における界面への吸着効率(pC20)が4.00以上であり、且つ最小界面張力値が3.0mN/m以下であることを特徴とする高純度トリグリセリンモノ脂肪酸エステル。
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