JP2006231120A - 固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 - Google Patents
固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006231120A JP2006231120A JP2005045815A JP2005045815A JP2006231120A JP 2006231120 A JP2006231120 A JP 2006231120A JP 2005045815 A JP2005045815 A JP 2005045815A JP 2005045815 A JP2005045815 A JP 2005045815A JP 2006231120 A JP2006231120 A JP 2006231120A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- waste liquid
- organic waste
- solid organic
- oxidative decomposition
- organic matter
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
Abstract
【課題】 固形有機物を含む有機廃液を、支障なく十分に酸化分解し、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理できる、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法。
【解決手段】 固形有機物を含む有機廃液が連続的に供給されるとともに酸素または空気が供給され、亜臨界状態で固形有機物を含む有機廃液を湿式酸化分解するとともに有機廃液を固形有機物が可溶化した中間生成物に変換する反応塔と、反応塔の下流側に直列に接続し酸素または空気が供給され亜臨界状態で反応塔から送り込まれた中間生成物を触媒により無機化する触媒塔とを備え、反応塔に供給される固形有機物を含む有機廃液の固形有機物を磨砕して微粒子化する磨砕装置を反応塔の上流側に備えてなることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置、および同装置による酸化分解処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 固形有機物を含む有機廃液が連続的に供給されるとともに酸素または空気が供給され、亜臨界状態で固形有機物を含む有機廃液を湿式酸化分解するとともに有機廃液を固形有機物が可溶化した中間生成物に変換する反応塔と、反応塔の下流側に直列に接続し酸素または空気が供給され亜臨界状態で反応塔から送り込まれた中間生成物を触媒により無機化する触媒塔とを備え、反応塔に供給される固形有機物を含む有機廃液の固形有機物を磨砕して微粒子化する磨砕装置を反応塔の上流側に備えてなることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置、および同装置による酸化分解処理方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固形有機物を含む有機廃液を、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理する酸化分解処理装置および酸化分解処理方法に関する。
従来、一般に食品工業廃水等、動植物由来の有機物、バイオマス有機物としての固形有機物を含む有機廃液は、農地還元(畑地散布)、濃縮・乾燥の後に家畜飼料化、メタン発酵によるエネルギー回収、海洋投棄などにより処理されることが多かった。特に、酒類製造廃液等は処理量が多量であり、就中、焼酎廃液はそのような処理に適していた。
しかし、農地還元は、需給バランスがとれず、二次汚染の心配があること、家畜飼料化は、濃縮・乾燥のための設備・処理コストが高いこと、メタン発酵は、メタン発酵のための処理設備が大規模で、設備費用が大きく、バイオのため運転が不安定なこと、海洋投棄は、将来的には海洋投棄禁止の方向にあること、などの問題があるため、近年、新たな処理方法、処理装置が求められている。
そこで、例えば、特開2003−290738公報(特許文献1)に示されるような有機廃棄物及び有機廃水の処理システムが提案されており、再利用も行うものとしている。その記載されている概要を、図2の構成概要図に基づき以下説明する。
図2において、101は破砕機であり、高速で回転し、有機廃棄物を裁断するカッター(刃)と、攪拌機を備えている。104は筒状の密閉式高圧容器からなる分解炉であり、外殻には、電気ヒーターを利用した加熱手段が設けられている。105は分解炉104と同様の筒状の密閉式高圧容器からなり、チタニア及びアルミナに、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を担持した触媒、または白金、ゼオライトのような触媒が充填されている触媒炉である。
108は、炭酸ガスを選択的に吸着するゼオライトを封入した吸着塔等から構成される炭酸ガス濃縮装置である。109は、触媒(ルテニウム触媒)を封入した反応管、ヒーター等から構成される炭酸ガス還元装置である。110は、金属イオン成分(陽イオン成分)と無機栄養塩類(陰イオン成分)を除去あるいはその濃度を低減するためのゼオライトが封入された吸着塔などから構成される不純物吸着装置である。111は、ポリアミド重合膜とポリスルホンの膜からなるフィルタ(逆浸透膜)を備える高度浄水装置である。114は、メタンガスを燃料に発電する発電装置である。115は、水耕栽培により野菜や果樹などを生産する植物工場的な植物栽培装置等である。分解炉104、触媒炉105、炭酸ガス還元装置108はヒートポンプなどからなる廃熱回収システムに接続されており、回収された熱は熱交換器103において再利用される。
なお、システムは、この他にも高圧圧送ポンプ102や、空気添加装置106、背圧バルブ107、気液分離装置113などを備える。
このようにして構成されたシステムによって、有機廃棄物及び有機廃水を処理し、再利用する主な工程は概略以下のように提案されている。
(1)破砕工程:
有機廃棄物及び有機廃水は、破砕機101に投入され、カッターで裁断され攪拌機で混合されたのちスラリー状にされ、高圧圧送ポンプ102を用いてバルブ112経由、熱交換器103に送り込まれ、熱交換器103によって予熱されたのち、分解炉104に送り込まれる。
有機廃棄物及び有機廃水は、破砕機101に投入され、カッターで裁断され攪拌機で混合されたのちスラリー状にされ、高圧圧送ポンプ102を用いてバルブ112経由、熱交換器103に送り込まれ、熱交換器103によって予熱されたのち、分解炉104に送り込まれる。
(2)酸化分解工程:
送り込まれたスラリー状物質は、分解炉104で酸化効率を高めるために空気添加装置106(あるいは酸素供給装置)により所定量の空気(酸素でもよい)が添加されるとともに、高温(250〜300℃)に加熱され、含有する有機物が酸化分解されて、炭酸ガスと分解できなかった少量の有機物とを含有する水溶液とからなる中間生成物に変換される。そして、炭酸ガスと分解できなかった少量の有機物を含む水溶液は、互いに交じり合った混合溶液として、高圧圧送ポンプ102の圧力により連続的に触媒炉5に送られる。なお、分解炉104で生じた廃熱は熱交換器103により回収される。
送り込まれたスラリー状物質は、分解炉104で酸化効率を高めるために空気添加装置106(あるいは酸素供給装置)により所定量の空気(酸素でもよい)が添加されるとともに、高温(250〜300℃)に加熱され、含有する有機物が酸化分解されて、炭酸ガスと分解できなかった少量の有機物とを含有する水溶液とからなる中間生成物に変換される。そして、炭酸ガスと分解できなかった少量の有機物を含む水溶液は、互いに交じり合った混合溶液として、高圧圧送ポンプ102の圧力により連続的に触媒炉5に送られる。なお、分解炉104で生じた廃熱は熱交換器103により回収される。
(3)無機化工程:
触媒炉105に流入した混合水溶液に含まれる有機物は、空気添加装置106(あるいは酸素供給装置)を用いて触媒に循環接触されてさらに酸化分解され、混合溶液は水、炭酸ガス、窒素ガス等に分解されて完全に無機化される。そして、無機化された水溶液は、熱交換器103を経て背圧バルブ107で降圧されて気液分離器113に導入され、水溶液と炭酸ガスに分離され、それぞれ、不純物吸着装置110、炭酸ガス濃縮装置108に送り込まれる。なお、触媒炉105で生じた廃熱は熱交換器103により回収される。背圧バルブ107は、分解炉104、触媒炉105内を所定の高圧に維持するものである。
触媒炉105に流入した混合水溶液に含まれる有機物は、空気添加装置106(あるいは酸素供給装置)を用いて触媒に循環接触されてさらに酸化分解され、混合溶液は水、炭酸ガス、窒素ガス等に分解されて完全に無機化される。そして、無機化された水溶液は、熱交換器103を経て背圧バルブ107で降圧されて気液分離器113に導入され、水溶液と炭酸ガスに分離され、それぞれ、不純物吸着装置110、炭酸ガス濃縮装置108に送り込まれる。なお、触媒炉105で生じた廃熱は熱交換器103により回収される。背圧バルブ107は、分解炉104、触媒炉105内を所定の高圧に維持するものである。
(4)浄水工程:
無機化された水溶液は、不純物吸着装置110によって、陰電荷に帯電したゼオライトによって金属成分(陽イオン)が一定量除去されるとともに、陽電荷に帯電したゼオライトによって無機栄養塩類(陰イオン)が一定量取り除かれ、浄水として高度浄水装置111に送り込まれる。
無機化された水溶液は、不純物吸着装置110によって、陰電荷に帯電したゼオライトによって金属成分(陽イオン)が一定量除去されるとともに、陽電荷に帯電したゼオライトによって無機栄養塩類(陰イオン)が一定量取り除かれ、浄水として高度浄水装置111に送り込まれる。
(5)再利用工程:
気液分離装置113で水溶液と分離された炭酸ガスは、炭酸ガス濃縮装置108による吸着と分離によって分離濃縮され、炭酸ガス還元装置109に送り込まれて水素ガスを加えられたのち、還元されてメタンガスと水に転換される。そして、メタンガスは燃料として発電装置114に送り込まれる。また、発電装置114から生じた炭酸ガスは、植物工場の植物栽培装置115に送り込まれ、光合成によって植物の成長に利用される。植物栽培装置115では不純物吸着装置110で回収した無機栄養塩類も肥料として再利用できる。
気液分離装置113で水溶液と分離された炭酸ガスは、炭酸ガス濃縮装置108による吸着と分離によって分離濃縮され、炭酸ガス還元装置109に送り込まれて水素ガスを加えられたのち、還元されてメタンガスと水に転換される。そして、メタンガスは燃料として発電装置114に送り込まれる。また、発電装置114から生じた炭酸ガスは、植物工場の植物栽培装置115に送り込まれ、光合成によって植物の成長に利用される。植物栽培装置115では不純物吸着装置110で回収した無機栄養塩類も肥料として再利用できる。
図2に示すように、有機廃棄物及び有機廃水の処理システムの基本的な考え方の例は従来示されているが、食品工業廃水等、動植物由来の有機物、バイオマス有機物としての固形有機物を含む有機廃液、特に、焼酎廃液のような酒類製造廃液を、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理するには、まだ解決されなければならない問題が多かった。特に、分解炉104と触媒炉105で、湿式酸化分解処理を行おうとした場合、有機廃液中の固形分を単にカッターなどで裁断して混合し、スラリー化して分解炉104に投入した場合、分解炉104中で固形有機物が炭化粒子となって分解炉内に沈殿堆積し、あるいは下流の触媒炉105に流れて触媒の表面を覆い触媒を劣化し、湿式酸化分解処理が十分行えなくなることがあった。
本発明は、固形有機物を含む有機廃液を、支障なく十分に酸化分解し、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理できる、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するためになされ、下記の(1)から(4)の手段を提供するものであり、以下、特許請求の範囲に記載の順に説明する。
(1)その第1の手段として、固形有機物を含む有機廃液が連続的に供給されるとともに酸素または空気が供給され、亜臨界状態で前記固形有機物を含む有機廃液を湿式酸化分解するとともに前記有機廃液を前記固形有機物が可溶化した中間生成物に変換する反応塔と、同反応塔の下流側に直列に接続し酸素または空気が供給され同亜臨界状態で前記反応塔から送り込まれた前記中間生成物を触媒により無機化する触媒塔とを備え、前記反応塔に供給される前記固形有機物を含む有機廃液の固形有機物を磨砕して微粒子化する磨砕装置を前記反応塔の上流側に備えてなることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を提供する。
(2)第2の手段としては、第1の手段の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置において、前記亜臨界状態は略、310℃、14MPaであることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を提供する。
(3)第3の手段として、第1の手段または第2の手段の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置において、前記磨砕装置は前記固形有機物を粒度100μmから10μmに磨砕するものであることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を提供する。
(4)第4の手段として、第1の手段ないし第3の手段のいずれかの固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を用いて、固形有機物を含む有機廃液を磨砕したのち前記反応塔に供給し、酸素または空気を添加し亜臨界状態で前記有機廃液を酸化分解して可溶化した中間生成物とし、前記触媒塔で酸素または空気を添加し亜臨界状態で前記中間生成物を前記触媒により無機化することを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理方法を提供する。
(1)特許請求の範囲に記載の請求項1の発明によれば、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を上記第1の手段のように構成したので、処理対象の固形有機物を含む有機廃液を先ず磨砕機で処理して、固形有機物を微粒子に形成し、微粒子によるスラリーを形成したのち、亜臨界状態の反応塔、触媒塔で湿式酸化分解処理を行うため、有機物の炭化粒子の塔内の沈殿堆積を発生することが無く、触媒への炭化粒子の付着による触媒作用の劣化を起こすことが無く、亜臨界状態であることとあいまって湿式酸化分解を高効率で実施でき、固形有機物を含む有機廃液を、支障なく十分に酸化分解し、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理できる装置となる。
(2)請求項2の発明によれば、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を上記第2の手段のように構成したので、請求項1の発明の作用効果に加え、酸化分解処理装置を構成する機器の設計条件が好ましく設定されるとともに反応条件として有利な亜臨界状態が得られる。
(3)請求項3の発明によれば、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を上記第3の手段のように構成したので、請求項1または請求項2の発明の作用効果に加え、固形有機物の上記微粒子化によって固形有機物の酸化分解と可溶化がより好ましくなされ、炭化粒子の塔内の沈殿堆積、触媒への炭化粒子の付着をより十分に防止できる。
(4)請求項4の発明によれば、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理方法を上記第4の手段のように構成したので、処理対象の固形有機物を含む有機廃液を先ず磨砕機で処理して、固形有機物を微粒子に形成し、微粒子によるスラリーを形成したのち、亜臨界状態の反応塔、触媒塔で湿式酸化分解処理を行うため、有機物の炭化粒子の塔内の沈殿堆積を発生することが無く、触媒への炭化粒子の付着による触媒作用の劣化を起こすことが無く、亜臨界状態であることとあいまって湿式酸化分解を高効率で実施でき、固形有機物を含む有機廃液を、支障なく十分に酸化分解し、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理できる方法となる。
本発明を実施するための最良の形態として、以下に実施例1を説明する。
図1に基づいて本発明の実施例1に係る、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法を説明する。図1は本実施例の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置の主要部構成概要図である。
図1において、1は磨砕機であり、処理対象である食品工業廃水等、動植物由来の有機物、バイオマス有機物としての固形有機物を含む有機廃液(以下「固形有機物含有有機廃液」という)a、例えば焼酎廃液等の酒類製造廃液が供給され、含有固形有機物を磨砕するものである。磨砕機1は、前述の従来例に示されたカッターを用いて裁断をおこなう粉砕機101等と異なり、磨砕により有機固形物をはるかに小さい粒度に形成するものであり、本実施例においては略100μm以下〜10μmの粒度、好ましくは40μm〜10μmの粒度に形成する。
磨砕機1で微細化された固形有機物を含む有機廃液はスラリーbとなり、高圧スラリーポンプ2により略14MPaに昇圧され、熱交換器3により廃熱を回収し、あるいは別途の熱源により加熱され、反応塔4へ連続的に送り込まれる。したがって、磨砕機1と高圧スラリーポンプ2との間には連続供給のための図示しないフィードタンクを設けることが好ましい。
反応塔4には直列後流側に触媒塔5が接続され、両塔4、5の内部雰囲気は処理運転中は高温(310℃)、高圧(14MPa)の亜臨界状態に維持される。触媒塔5の内部には、有機廃液の亜臨界状態での湿式酸化分解と無機化に、材質、触媒作用ともにより適したルテニウム、パラジウムなどによる触媒5aが充填されている。触媒塔5の下流側には、圧力調整弁や絞り機構等による圧力調整装置7が接続し、上流側を14MPaの高圧に維持すると共に、触媒塔5を出た生成物dを降圧する。なお、触媒塔5と圧力調整装置7との間に生成物dの熱エネルギーを回収する熱交換器(例えば、前述の熱交換器3)を設けることが好ましい。
亜臨界状態は、高温、高圧条件のほうが反応条件としては有利であるが、酸化分解処理装置を構成する機器、特にその亜臨界状態に接する機器の材質等設計条件がより厳しくなり、反応性能と機器設計条件の兼ね合いから略310℃、14MPaが好ましい設定条件として選定される。
反応塔4、及び触媒塔5には、酸素供給装置6が接続し高圧下で酸素O2が供給されるように構成されており、両塔4、5内において固形有機物含有有機廃液aは亜臨界水酸化反応による湿式酸化分解を受けて、触媒塔5の下流には完全に酸化分解されて無機化した炭酸ガスCO2、窒素ガスN2、水H2Oを主成分とし、残余の酸素O2を含む生成物dが取り出される。
なお、酸素供給装置6に代えて空気供給装置を設け酸化作用に十分な酸素量となる空気を高圧下で供給してもよいが、本実施例においては、以下、酸素を供給する構成で説明する。空気を供給する場合は、生成物d中には空気を構成する他の気体が含まれる。
本実施例は、図2に示した従来例の、破砕機101、高圧圧送ポンプ102、熱交換器103、分解炉104、触媒炉105、空気添加装置106、背圧バルブ107に対応する範囲の、本発明の構成を示すものであるが、本発明において図2のシステムのように、さらに周辺の処理装置、再生利用装置を加えることは適宜なされてよく、図1に図示の構成のみに限定されるものではない。
上記の本実施例の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置による、酸化分解処理方法を説明する。
処理対象である固形有機物含有有機廃液aは、磨砕機1に送り込まれ、固形有機物が磨砕手段により略100μm〜10μmの粒度、好ましくは40μm〜10μmの粒度の微粒子に形成され、微粒子によるスラリーbを形成する。その後、濃度調製や成分調整のための水添加、アルカリ添加等がなされてもよい。
スラリーbは、高圧スラリーポンプ2により略14MPaに昇圧され、熱交換器3により加熱され、例えば180℃で反応塔4へ連続的に送り込まれる。本実施例は、亜臨界水の酸化特性、溶解特性が高いことを積極的に利用するものであり、反応塔4内は、下流側の触媒塔5ともどもその下流に接続する圧力調整装置7の背圧により、略310℃、14MPaの高温高圧の亜臨界状態に維持され、酸素供給装置6から供給された酸素O2によって、固形有機物含有有機廃液aのスラリーbを湿式酸化分解し、有機物の約70%が分解される。
スラリーaは反応塔4内で亜臨界状態の高温高圧で湿式酸化分解されるとともに固形物を可溶化された中間生成物cに変換され、しかる後、未分解有機物を含む中間生成物cとして触媒塔5に送られるが、触媒塔5内も略310℃、14MPaの高温高圧の亜臨界状態に維持され、酸素供給装置6から必要な酸素O2が供給され、ルテニウム、パラジウムなどによる触媒5aに接触することにより、さらに触媒酸化反応を受ける。反応塔4を出た段階の中間生成物cは、有機、無機ともに完全に酸化分解されていない酢酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等を含む状態であるが、触媒塔5内での触媒5aを伴う湿式酸化分解によって、残り約30%の有機物が略完全に酸化分解されて無機化され、また硝酸イオン、亜硝酸イオン等も低分子にまで完全に酸化分解されて、炭酸ガスCO2、窒素ガスN2、水H2O、残余の酸素O2を主成分とする環境に無害な生成物dが得られる。
以上の湿式酸化分解処理において、特に最初にスラリーbが導入される反応塔4においては、スラリーbが略100μm〜10μmの粒度の微粒子によるスラリーとなっているため、本実施例の亜臨界状態(略310℃、14MPa)とあいまって、湿式酸化分解反応での固形分が殆ど残余することなく速やかに可溶化し、酸化分解が促進されたことが確認された。また、炭化粒子の沈殿堆積は認められなかった。
したがって、後続の触媒塔5で炭化粒子が触媒酸化反応を阻害するところも認められず、亜臨界状態での触媒作用により中間生成物c中の残余の有機物は略完全に酸化分解して無機化され、触媒塔5を出る生成物dは、環境に無害な炭酸ガスCO2、窒素ガスN2、水H2Oと、残余の酸素O2を主成分とするものとなった。
なお、両塔4、5内の亜臨界温度状態は、反応開始時期においては、適宜な加熱手段による外部からの両塔4、5の加熱、供給スラリーbへの熱交換器3での加熱等で得る必要があるが、反応開始後は、反応塔4、触媒塔5内の酸化分解反応は発熱反応であるため、処理対象の固形有機物含有有機廃液aの濃度、熱交換器3での熱回収を調整することで亜臨界温度条件を維持することができる。
以上のように、本実施例の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法によれば、処理対象の固形有機物含有有機廃液を先ず磨砕機1で処理して、固形有機物を略100μm〜10μmの粒度、好ましくは40μm〜10μmの粒度の微粒子に形成し、微粒子によるスラリーbを形成したのち、亜臨界状態の反応塔4、触媒塔5で湿式酸化分解処理を行うので、その微粒子化によって固形有機物の酸化分解と可溶化がより好ましくなされ、有機物の炭化粒子の塔内の沈殿堆積を発生することが無く、触媒への炭化粒子の付着による触媒作用の劣化を起こすことが無く、亜臨界状態であることとあいまって湿式酸化分解を高効率で実施でき、固形有機物を含む有機廃液を、支障なく十分に酸化分解し、低コスト、短時間で、環境に負荷を与えることなく無害に処理できる、固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法となる。
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造、構成に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。例えば、上述のように、酸素供給装置6からの酸素に代えて、空気を供給するように構成してもよい。
1 磨砕機
2 高圧スラリーポンプ
3 熱交換器
4 反応塔
5 触媒塔
5a 触媒
6 酸素供給装置
7 圧力調整装置
2 高圧スラリーポンプ
3 熱交換器
4 反応塔
5 触媒塔
5a 触媒
6 酸素供給装置
7 圧力調整装置
Claims (4)
- 固形有機物を含む有機廃液が連続的に供給されるとともに酸素または空気が供給され、亜臨界状態で前記固形有機物を含む有機廃液を湿式酸化分解するとともに前記有機廃液を前記固形有機物が可溶化した中間生成物に変換する反応塔と、同反応塔の下流側に直列に接続し酸素または空気が供給され同亜臨界状態で前記反応塔から送り込まれた前記中間生成物を触媒により無機化する触媒塔とを備え、前記反応塔に供給される前記固形有機物を含む有機廃液の固形有機物を磨砕して微粒子化する磨砕装置を前記反応塔の上流側に備えてなることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置。
- 請求項1に記載の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置において、前記亜臨界状態は略、310℃、14MPaであることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置。
- 請求項1または請求項2に記載の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置において、前記磨砕装置は前記固形有機物を粒度100μmから10μmに磨砕するものであることを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置を用いて、固形有機物を含む有機廃液を磨砕したのち前記反応塔に供給し、酸素または空気を添加し亜臨界状態で前記有機廃液を酸化分解して可溶化した中間生成物とし、前記触媒塔で酸素または空気を添加し亜臨界状態で前記中間生成物を前記触媒により無機化することを特徴とする固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005045815A JP2006231120A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | 固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005045815A JP2006231120A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | 固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006231120A true JP2006231120A (ja) | 2006-09-07 |
Family
ID=37039349
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005045815A Withdrawn JP2006231120A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | 固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006231120A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008105035A1 (ja) * | 2007-02-27 | 2008-09-04 | National University Corporation Shizuoka University | 油滓処理装置、油滓処理方法および油滓由来の肥料の製造方法 |
JP2012106213A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-07 | Reo Laboratory Co Ltd | 排水中の最終残存有機物処理方法 |
CN106045000A (zh) * | 2016-07-11 | 2016-10-26 | 上海应用技术学院 | 一种木材蒸煮加工过程中产生的废水的湿法氧化处理方法 |
-
2005
- 2005-02-22 JP JP2005045815A patent/JP2006231120A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008105035A1 (ja) * | 2007-02-27 | 2008-09-04 | National University Corporation Shizuoka University | 油滓処理装置、油滓処理方法および油滓由来の肥料の製造方法 |
US8246712B2 (en) | 2007-02-27 | 2012-08-21 | National University Corporation Shizuoka University | Soapstock treatment apparatus, soapstock treatment method, and method for manufacturing fertilizer derived from soapstock |
JP2012106213A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-07 | Reo Laboratory Co Ltd | 排水中の最終残存有機物処理方法 |
CN106045000A (zh) * | 2016-07-11 | 2016-10-26 | 上海应用技术学院 | 一种木材蒸煮加工过程中产生的废水的湿法氧化处理方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI391334B (zh) | Organic waste disposal equipment and treatment methods | |
EP1198424B1 (en) | A method of and arrangement for continuous hydrolysis of organic material | |
JP4054934B2 (ja) | 燃料ガスの製造方法 | |
JPH0377691A (ja) | 廃水の処理方法 | |
JP2006231120A (ja) | 固形有機物を含む有機廃液の酸化分解処理装置および酸化分解処理方法 | |
JP5019774B2 (ja) | 水素を利用する有機物含有廃水の処理方法 | |
JP4409928B2 (ja) | 有機性廃棄物の処理方法 | |
JP4656848B2 (ja) | 汚泥処理方法 | |
WO2017134789A1 (ja) | ヨウ素の回収方法および回収装置 | |
JP2006239541A (ja) | 湿式酸化分解処理装置およびその触媒洗浄方法 | |
CN100413787C (zh) | 一种高效催化臭氧氧化去除水中难降解有机污染物的方法 | |
JP3318483B2 (ja) | 有機性汚泥の超臨界水酸化方法及びこれに用いる有機性汚泥の供給装置 | |
Verma et al. | Decontamination of distillery spent wash through advanced oxidation methods | |
JP2006231119A (ja) | 有機廃棄物の湿式酸化分解処理装置の廃熱回収装置 | |
JP2006231118A (ja) | 鶏糞の湿式酸化分解処理装置 | |
JP2006239540A (ja) | 有機廃棄物の連続湿式酸化処理における処理対象液の圧力保持装置及び圧力制御方法 | |
JP2002308688A (ja) | 有機廃棄物を原料とした肥料の製造方法及びその装置 | |
JP4540378B2 (ja) | 高圧水素の製造方法 | |
JP2006239625A (ja) | 有機性廃棄物の処理方法及び処理設備 | |
JP4488759B2 (ja) | 燃料ガスの製造方法 | |
KR101135042B1 (ko) | 음폐수의 초임계수가스화에 의한 가연성 합성가스 생산 방법 | |
EP3789354A1 (en) | Selective removal of micropollutants and microplastics from sludge and organic waste | |
JP2003246993A (ja) | 燃料ガスの製造方法 | |
KR101925612B1 (ko) | 음식물 쓰레기 폐수의 혐기소화폐액으로부터 얻어진 암모니아를 회수하여 질소 산화물의 환원제로 이용하는 방법 | |
JP2008221096A (ja) | 有機物酸化分解装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080513 |