以下、図面と共に本発明に係る対物レンズソケットの好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態としての対物レンズソケットを備えた半導体検査装置を示す構成図である。図2は、対物レンズソケットが装着された対物レンズの構成を示す構成図である。また、図3は、対物レンズソケットに取り付けられる固浸レンズホルダの分解斜視図である。
なお、図2では、試料の観察時の状態を示している。また、対物レンズソケットの特徴部分を示すように、バネ100を収容しているバネ収容溝(弾性体収容溝)76と、ピンP1を挿入するための貫通孔85とを同じ断面で表示しているが、これらの配置関係は実際には異なる。この実際の配置は、後述する図5に示している。図3では、固浸レンズホルダが固浸レンズを保持する状態を示している。以下の説明では、固浸レンズに対して、対物レンズ側を上側とし、試料側と下側として説明する。
図1及び図2に示すように、半導体検査装置1は、例えば、試料10であるモールド型半導体デバイスが有する半導体デバイス11(図2参照)を観察対象物とし、半導体デバイス11の画像を取得しその内部情報を検査する検査装置である。
「モールド型半導体デバイス」とは、半導体デバイス11が樹脂12によってモールドされたものである。また、「内部情報」としては、半導体デバイスの回路パターンや半導体デバイスからの微弱発光が含まれる。この微弱発光としては、半導体デバイスの欠陥に基づく異常個所に起因するものや、半導体デバイス中のトランジスタのスイッチング動作に伴うトランジェント発光などが挙げられる。さらには、半導体デバイスの欠陥に基づく発熱も含まれる。
試料10は、樹脂12内に埋設された半導体デバイス11の裏面が露出するように樹脂12が切削された状態で、観察部Aに設けられたステージ2上に半導体デバイス11の裏面が上を向くように載置される。このように、試料10の一部を切削して半導体デバイス11の裏面を露出させているので、半導体デバイス11は、樹脂12が切削されてなる凹部13の底面に位置することになる。そして、検査装置1は、本実施形態にあっては、半導体デバイス11の図示下面(半導体デバイス11の基板表面に形成された集積回路等)を検査する。
半導体検査装置1は、半導体デバイス11の観察を行う観察部Aと、観察部Aの各部の動作を制御する制御部Bと、半導体デバイス11の検査に必要な処理や指示等を行う解析部Cと、を備えている。
観察部Aは、半導体デバイス11からの画像を取得する画像取得手段としての高感度カメラ3及びレーザスキャン光学系(LSM:Laser Scanning Microscope)ユニット4と、高感度カメラ3及びLSMユニット4と半導体デバイス11との間に配置される顕微鏡5の対物レンズ21を含む光学系20と、半導体デバイス11の拡大観察画像を得るための固浸レンズ6(図2参照)と、これらを直交するX−Y−Z方向に各々移動させるX−Y−Zステージ7と、を具備している。
光学系20は、上記対物レンズ21に加えて、カメラ用光学系22と、LSMユニット用光学系23と、を備えている。対物レンズ21は、倍率が異なるものが複数設けられ、切り換え可能とされている。また、対物レンズ21は、補正環24を有しており、補正環24を調整することで観察したい箇所に確実に焦点を合わせることが可能となっている。カメラ用光学系22は、対物レンズ21を通した半導体デバイス11からの光を高感度カメラ3に導き、高感度カメラ3は半導体デバイス11の回路パターン等の画像を取得する。
一方、LSMユニット用光学系23は、LSMユニット4からの赤外レーザ光をビームスプリッタ(不図示)で対物レンズ21側に反射し半導体デバイス11に導くと共に、対物レンズ21を通し高感度カメラ3に向かう半導体デバイス11からの反射レーザ光をLSMユニット4に導く。
このLSMユニット4は、赤外レーザ光をX−Y方向に走査し半導体デバイス11側に出射する一方で、半導体デバイス11からの反射光を光検出器(不図示)で検出する。この検出光の強度は、半導体デバイス11の回路パターンを反映した強度となっている。従って、LSMユニット4は、赤外レーザ光が半導体デバイス11をX−Y走査することで、半導体デバイス11の回路パターン等の画像を取得する。
また、X−Y−Zステージ7は、高感度カメラ3、LSMユニット4、光学系20及び固浸レンズ6等を、X−Y方向(水平方向;観察対象物である半導体デバイス11に対して平行を成す方向)及びこれに直交するZ方向(垂直方向)の各々に、必要に応じて移動するためのものである。
制御部Bは、カメラコントローラ31と、レーザスキャン(LSM)コントローラ32と、ペリフェラルコントローラ33と、を備えている。カメラコントローラ31及びLSMコントローラ32は、高感度カメラ3及びLSMユニット4の動作を各々制御することで、観察部Aで行われる半導体デバイス11の観察の実行(画像の取得)や観察条件の設定等を制御する。
ペリフェラルコントローラ33は、X−Y−Zステージ7の動作を制御することで、半導体デバイス11の観察位置に対応する位置への高感度カメラ3、LSMユニット4及び光学系20等の移動、位置合わせ、焦点合わせ等を制御する。この際、ペリフェラルコントローラ33は、対物レンズソケット9及び固浸レンズホルダ8に取り付けれた種々のセンサなどの検出結果に応じてX−Y−Zステージ7の動作を制御する。また、ペリフェラルコントローラ33は、対物レンズ21に取り付けられた補正環調整用モータ25を駆動して補正環24を調整する。
解析部Cは、画像解析部41と指示部42とを備え、コンピュータにより構成されている。画像解析部41は、カメラコントローラ31及びLSMコントローラ32からの画像情報に対して必要な解析処理等を実施し、指示部42は、操作者からの入力内容や画像解析部41による解析内容等を参照し、制御部Bを介して、観察部Aにおける半導体デバイス11の検査の実行に関する必要な指示を行う。また、解析部Cにより取得又は解析された画像、データ等は、必要に応じて解析部Cに接続された表示装置43に表示される。
図2に示すように、固浸レンズ6は、半球形状の微小レンズであり、外部(例えば、顕微鏡の対物レンズ)に対する光の入出力面となると共に球面形状に形成された上面6aと、半導体デバイス11に対する取付面となると共に平面形状に形成された底面6bとを有する。固浸レンズ6は、この底面6bが観察位置(図示上面)に密着することで、裏側となる半導体デバイス11の表面(図示下面)の拡大観察画像を得る。
具体的には、半導体検査装置において使用される固浸レンズは、半導体デバイスの基板材料と実質的に同一またはその屈折率に近い、高屈折率材料からなる。その代表的な例としては、Si、GaP、GaAsなどが挙げられる。
このような微小な光学素子を半導体デバイスの基板表面に光学密着させることにより、半導体基板自身を固浸レンズの一部として利用する。固浸レンズを利用した半導体デバイスの裏面解析によれば、対物レンズの焦点を半導体基板表面に形成された集積回路に合わせた際に、固浸レンズの効果により、基板中にNAの高い光束を通すことが可能となり、高分解能化が期待できる。
このような固浸レンズ6のレンズ形状は、収差がなくなる条件によって決まるものである。半球形状を有する固浸レンズ6では、その球心が焦点となる。このとき、開口数(NA)および倍率はともにn倍となる。なお、固浸レンズ6の形状は、半球形状に限定されず、例えば、ワイエルストラス形状のものでもよい。
この固浸レンズ6を対物レンズ21に対して好適に保持する固浸レンズホルダ8は、対物レンズソケット9を介して対物レンズ21の前方に取り付けられる。この対物レンズソケット9については詳しくは後述する。
図2及び図3に示すように、固浸レンズホルダ8は、円板状の対物レンズキャップ50の中心から対物レンズキャップ50に略直交する方向にレンズ保持部60が延在したものであり、図3に示した矢印A1の方向からみた場合、その外形は略T字状である。
対物レンズキャップ50は、対物レンズソケット9(図2参照)に螺合する周壁51を有しており、対物レンズキャップ50は、対物レンズソケット9を介して対物レンズ21の先端部に取り付けられることになる。従って、固浸レンズホルダ8に保持される固浸レンズ6の位置は、X−Y−Zステージ7を駆動することで調整できる。
また、対物レンズキャップ50が有する底板52は、光束を通過させるための3つの開口53,53,53を有する。各開口53は、LSMユニット4から出力された光を固浸レンズ6側に通すと共に、半導体デバイス11によって反射され固浸レンズ6から出力された光を対物レンズ21側に通す。
各開口53は、略扇状であり、対物レンズキャップ50の中心に対して互いに同心状であって周方向に等間隔に配置されている。これによって、隣り合う開口53,53間には、レンズ保持部60と底板52とを連結すると共に、対物レンズキャップ50の中心から放射状に延びる3つの連結部54,54,54が等間隔で形成されることになる。
レンズ保持部60は、3つの連結部54の交差部分から対物レンズキャップ50に略直交する方向(対物レンズ21の光軸L方向)に延在するレンズ保持部材61を有する。レンズ保持部材61は、各連結部54,54,54上に位置すると共に、固浸レンズ6を受ける3つの保持片62,62,62からなる。
保持片62,62,62は、レンズ保持部材61の中心線に対して放射状に配置されると共に、幅dがレンズ保持部材61の中心線に向かうにつれて狭くなるテーパ形状を有している。
各保持片62の先端部(対物レンズキャップ50と反対側の端部)に固浸レンズ6の上面6aの曲率と同じ曲率を有するレンズ受け面62a,62a,62aが形成されており、レンズ保持部材61は、3つのレンズ受け面62aによって固浸レンズ6を受けることになる。このため、レンズ保持部材61は、固浸レンズ6を安定的に受けることができる。
また、各保持片62の先端部には、円筒形状のレンズカバー63を固定するための爪部62bがそれぞれ形成されている。レンズカバー63は、底板64を有しており、底板64の周縁部には、爪部62bに嵌め合わされる周壁65が設けられている。底板64には、固浸レンズ6の底面6bを外側(試料10側)に突出させるための開口64aが形成されている。
この構成では、レンズ受け面62aとレンズカバー63との間に固浸レンズ6を配置してから、接着剤などによってレンズカバー63をレンズ保持部材61に固定することによって、固浸レンズ6は、レンズ受け面62aとレンズカバー63との間に底面6bを開口64aから突出した状態で収容され、固浸レンズホルダ8に固浸レンズ6が保持されることになる。
そして、X−Y−Zステージ7の操作によって対物レンズ21がその光軸L方向に移動させられることで固浸レンズ6が半導体デバイス11に接地することになる。
この固浸レンズ6が接地した状態で、フォーカス位置の調整などによって更に固浸レンズ6が押し下げられると、固浸レンズ6から加わる力によって半導体デバイス11が損傷する虞がある。
そこで、固浸レンズホルダ8は、図3に示すように、各連結部54に応力検知センサSをそれぞれ有することが好ましい。
固浸レンズ6が半導体デバイス11に力を加えているとき、固浸レンズ6は、その反作用で保持片62に押しつけられており、その結果として、連結部54に応力が生じる。応力検知センサSは、連結部54に加わる応力を検出することで、固浸レンズ6が半導体デバイス11に負荷する力を検出している。
そして、応力検知センサSは、ペリフェラルコントローラ33に電気的に接続されており、応力検知センサSが所定の応力以上の力を検知した場合、ペリフェラルコントローラ33が、X−Y−Zステージ7の駆動を停止する。これによって、所定の負荷以上の力が半導体デバイス11に加わらないようになっている。
次に、特に本実施形態の特徴をなす対物レンズソケット9について詳説する。図4は、対物レンズソケット9の断面図である。図5は、対物レンズソケット9が有するベース部と可動部材との構成を示す構成図である。図5(a)は、ベース部及び可動部材を対物レンズ側から見た図である。図5(b)は、ベース部及び可動部材の側面図である。図5(c)は、ベース部及び可動部材を試料側から見た図である。図4では、図2と同様に特徴部分が現れるように記載している。また、図5では、ベース部に可動部材が嵌め合わされた状態を示しているが、ピンなどの記載は省略している。
対物レンズソケット9は、図2、図4及び図5に示すように、対物レンズ21が有する対物レンズ鏡筒26の先端部に嵌め合わされる円筒形状のベース部70と、ベース部70に嵌め合わされる可動部材80とを有する。
ベース部70及び可動部材80は、それぞれ底板71,81を有しており、各底板71,81は、その中心を中心として、対物レンズ21から出力される又は対物レンズ21に入射される光束を通すための円形の開口72,82をそれぞれ有している。開口72,82の直径は、光束を遮らない大きさであればよく、開口82の直径は開口72の直径よりも大きくなっている。ベース部70の開口72の周りには、複数の貫通孔73が形成されており、ベース部70は、貫通孔73を介して対物レンズ21に螺子止めされる。より具体的には、対物レンズ21が有するレンズ群を収容している対物レンズ鏡筒26(図2参照)に螺子止めされる。ただし、ベース部70の対物レンズ21への固定方法は上記の方法に限らない。
各底板71,81の周縁部には周壁74,83がそれぞれ設けられている。周壁74の内径は、対物レンズ鏡筒26の先端部の外径に等しく、ベース部70は対物レンズ21の対物レンズ鏡筒26の先端部に嵌め合わされて取り付けられる。
また、周壁74の外径と周壁83の内径とは等しく、可動部材80は、ベース部70に嵌め合わされるようになっている。そして、周壁74の外面と周壁83の内面とは摺動接触しており、その結果として、可動部材80は、ベース部70に対して光軸L方向に摺動可能である。周壁83の外径(可動部材80の外径)は、対物レンズキャップ50(図2参照)が有する周壁51の外径に等しく、可動部材80の底板81側の端部の外周面には、対物レンズキャップ50の周壁51を螺合させるための螺子溝84(図5(b)参照)が形成されており、可動部材80に対物レンズキャップ50を取り付けられるようになっている。
可動部材80が有する周壁83には、互いに対向する一対の貫通孔85,85を有しており、ベース部70の周壁74において貫通孔85,85とそれぞれ対応する位置に形成された貫通孔75,75にピンP1を挿入することによって可動部材80はベース部70に連結される。貫通孔85は、光軸L方向の長さが周方向の長さよりも長い長円形状を有しており、貫通孔85の周方向の長さはピンP1の外径とほぼ同じである。その結果、可動部材80は、光軸L方向に対しては、長円形状の光軸L方向の長さだけベース部70に対して可動でき、周方向に対しては、回転が防止されることになる。
このベース部70と可動部材80とは、ベース部70の周壁74の底面に形成された3つのバネ収容溝(弾性体収容溝)76,76,76にそれぞれ収容されたバネ(弾性体)100,100,100を挟んで嵌め合わされる。このバネ収容溝76の深さは、バネ100の自然長よりも短いので、バネ100の先端部はバネ収容溝76から突出する。
したがって、ベース部70に可動部材80が嵌めあわされた状態では、バネ100の両端部は、それぞれバネ収容溝76の底面76a(図4中の上側の面)及び可動部材80の底板81に当接し、可動部材80を光軸L方向に付勢することになる。これによって、半導体デバイス11を観察するときには、固浸レンズ6は、半導体デバイス11に付勢されて確実に密着することになる。
また、周壁74は、対物レンズ鏡筒26の外周部の外側に位置するため(図2参照)、バネ100は、対物レンズ21が有する対物レンズ鏡筒26の周囲に配置されることになる。その結果として、対物レンズソケット9の光軸L方向の長さはより短くなっており、対物レンズソケット9を装着したことによる対物レンズ21のワーキングディスタンスの減少を抑制できている。
ところで、バネ100が縮みバネ100による付勢力が強すぎると、前述したように、半導体デバイス11が損傷する虞がある。そのため、対物レンズソケット9は、図2及び図4に示すように、ベース部70に対する可動部材80の光軸L方向における位置(部材位置)を検出する部材位置検出手段110を有する。
図6は、対物レンズソケット9が有する部材位置検出手段の構成を示す構成図である。図6は、図4の矢印A2の方向から見た状態を示しており、固浸レンズホルダ8を取り付けた状態の図である。
図4及び図6に示すように、部材位置検出手段110は、センサ保持部材111と、センサ保持部材111が保持している2つの近接センサ112,113と、略L字状の金属板114とを有する。
センサ保持部材111は、外形が略直方体であってベース部70の周壁74の上面に形成された螺子孔77(図5(a)参照)に螺子止めされており、センサ保持部材111は、近接センサ112,113の先端部がセンサ保持部材111の端部から突出するように近接センサ112,113を保持している。
金属板114は、可動部材80の周壁83の上面に形成された螺子孔86(図5(a)参照)に螺子止めされている。そのため、可動部材80に合わせて光軸L方向に動くことになる。そして、金属板114は、その一部(光軸L方向に延びる部分)が、近接センサ112,113と対面するように配置されている。
近接センサ112,113は、光軸L方向に互いに段違いであって光軸Lと直交する方向に並列に配置されてセンサ保持部材111によって保持される。近接センサ112,113は、ペリフェラルコントローラ33(図1参照)に電気的に接続されおり、その先端部近傍に磁界を発生させている。そして、金属板114が近づく(図4中、上側に移動する)ことによる磁界の変化によって金属板114を検出することで、ベース部70に対する可動部材80の部材位置を検出する。
近接センサ(接触位置検出部)112は、ベース部70と可動部材80との間に配置されたバネ100が自然長のときから縮み始めたときに金属板114と対面するように配置されている。これにより、固浸レンズ6が半導体デバイス11に接触したときに近接センサ112は、金属板114を検出することになるので、近接センサ112は、固浸レンズ6と半導体デバイス11との接触開始位置に対応する可動部材80の部材位置を検出するセンサとして機能する。
また、近接センサ(停止位置検出部)113は、近接センサ112よりも上側に配置されており、固浸レンズ6を介したバネ100による半導体デバイス11への付勢を停止するための可動部材80の部材位置を検出する。すなわち、固浸レンズ6を介して半導体デバイス11に付与される付勢力のうち、半導体デバイス11に損傷を与えない範囲の最大の付勢力を生じせしめる可動部材80のベース部70に対する位置を検出できるように、近接センサ112よりも上方に配置されている。
ここで、図7を参照して、部材位置検出手段110の動作について説明する。図7は、部材位置検出手段110の動作を説明する図である。
図7(a)に示すように、先ず、ペリフェラルコントローラ33によって対物レンズ21のフォーカス位置の調整が実施されているとき、対物レンズ21に伴って対物レンズソケット9が半導体デバイス11側に押し下げられると、固浸レンズ6は半導体デバイス11に接触することになる。
固浸レンズ6は可動部材80に取り付けられた固浸レンズホルダ8で保持されているので、固浸レンズ6が半導体デバイス11に接触することで可動部材80はベース部70側に押され、その結果として、金属板114も上側に移動するので、近接センサ112が金属板114を検出する。すなわち、半導体デバイス11への固浸レンズ6の接触を検出する。
近接センサ112の検出結果は、ペリフェラルコントローラ33を介して指示部42に入力され、操作者に固浸レンズ6が半導体デバイス11に接地したことを知らせる。
そして、図7(b)に示すように、対物レンズ21が半導体デバイス11側に更に押し下げられた状態(すなわち、対物レンズソケット9が押し下げられた状態)では近接センサ112は金属板114を検出している旨の検出結果を出力し続けており、近接センサ113が金属板114を検出していない状態では、継続してフォーカス位置の調整が実施される。
また、図7(c)に示すように、対物レンズソケット9が半導体デバイス11側に更に押し下げられ、近接センサ113が金属板114を検出したとき、ペリフェラルコントローラ33は、対物レンズ21の押し下げを停止する。これによって設定した付勢力以上の負荷は半導体デバイス11に加えられないので、フォーカス位置の調整などによって半導体デバイス11が損傷することが抑制されることになる。
また、半導体デバイス11の観察時には、通常、顕微鏡5は暗箱に入れられるので、可動部材80に固浸レンズホルダ8が付けられているか否かを自動的に確認できることが好ましい。そこで、半導体検査装置1は、図1、図2及び図8に示すように、固浸レンズホルダ8の取付状態を検出するホルダ検出センサ120を有する。図8は、半導体検査装置1が有するホルダ検出センサの構成を示すブロック図である。ホルダ検出センサ120は、アンプユニット130と、対物レンズソケット9の一部を構成するセンサヘッド(ホルダ検出部)140とを有する。
アンプユニット130は、発光素子131と受光素子132とを有しており、ペリフェラルコントローラ33に電気的に接続されている。アンプユニット130の発光素子131は、投光側ファイバ151と光学的に接続されており、投光側ファイバ151は、センサヘッド140に接続されている。また、アンプユニット130の受光素子132は、受光側ファイバ152と光学的に接続されており、受光側ファイバ152は、センサヘッド140に接続されている。
図9は、センサヘッドの構成を示す構成図である。図9は、図4の矢印A3側から見た状態を示している。なお、図9では、固浸レンズホルダ8を取り付けた状態を示している。
センサヘッド140は、ファイバ保持部材141と、反射ミラー142と、集光レンズ143とがカバー144によって覆われたのであり、対物レンズソケット9が有するベース部70の周壁74の上面に形成された螺子孔78(図5(a)参照)を利用して螺子止めされている。
図9に示すように、ファイバ保持部材141は、その内部に投光側ファイバ151及び受光側ファイバ152が挿入され、それらを並列に保持する。
反射ミラー142は、投光側ファイバ151の出力端の前方においてファイバ保持部材141に固定されており、投光側ファイバ151から出力された光153を固浸レンズホルダ8側に反射させると共に、固浸レンズホルダ8からの戻り光(反射光)を受光側ファイバ152に入射させる。
また、集光レンズ143は、反射ミラー142の下方(図9の下側)であってファイバ保持部材141に固定されており、投光側ファイバ151から出力され反射ミラー142で反射された光を固浸レンズホルダ8が有する周壁51の上面に集光させると共に、固浸レンズホルダ8からの戻り光を受光側ファイバ152に集光して入射させる。
ここで、図10を利用してホルダ検出センサの動作について説明する。図10は、ホルダ検出センサの動作を示す図である。
図10(a)に示すように、可動部材80に固浸レンズホルダ8が取り付けられているときには、投光側ファイバ151から出力された光153は、集光レンズ143で対物レンズキャップ50が有する周壁51の上面で反射し、集光レンズ143で集光され受光側ファイバ152に入射される。
すなわち、センサヘッド140によって固浸レンズホルダ8からの反射光を取得する。その結果として、受光素子132は戻り光を検出する。
一方、図10(b)に示すように、固浸レンズホルダ8が可動部材80に取り付けられていないときには、投光側ファイバ151から出力された光153は、受光側ファイバ152に入射されることがないため、受光素子132は戻り光を検出しない。
したがって、受光素子132が戻り光を検出したか否かで固浸レンズホルダ8の取り付け状態を検出できることになる。これによって、例えば、顕微鏡5が暗箱内に入れられていても固浸レンズホルダ8が確実に装着された状態で半導体デバイス11の観察が可能となる。
次に、半導体検査装置1を利用して半導体デバイス11の画像を取得する方法の一例について説明する。
先ず、顕微鏡5が有する複数の対物レンズ21のうち、固浸レンズ6を付けていない対物レンズ21で固浸レンズ6によって半導体デバイス11を観察する構造を特定する。この観察位置の特定は、指示部42によってペリフェラルコントローラ33を介してX−Y−Zステージ7を駆動して行う。
操作者は、固浸レンズ6で観察する観察位置を特定したら固浸レンズモードを起動し、固浸レンズ6を利用した観察状態とする。この際、操作者は、固浸レンズホルダ8が保持している固浸レンズ6の型番、半導体デバイス11が有する基板の厚さ及び材質を指示部42に対して入力する。これによって、指示部42は、予め入力されているデータを参照して、補正環24の位置や対物レンズ21のフォーカス位置を計算するための5つのパラメータ、すなわち、固浸レンズ6の厚さや、屈折率、上面6aの曲率半径、基板厚さ及び基板の屈折率を特定する。
次に、指示部42は、ペリフェラルコントローラ33を介してホルダ検出センサ120の発光素子131から光を出力させて、固浸レンズ観察に利用する対物レンズ21に固浸レンズホルダ8が取り付けられているか否かを検出する。
すなわち、発光素子131によって光を出力させたときに、指示部42は、受光素子132が戻り光を検出すれば、固浸レンズホルダ8が装着されているとし、受光素子132が戻り光を検出しなければ、固浸レンズホルダ8が装着されていないと判断する。そして、受光素子132の検出結果、すなわち、固浸レンズホルダ8の取付状態を操作者に伝える。
また、固浸レンズホルダ8が装着されたことが確認された場合には、半導体デバイス11の観察における他の光の混入を防止する観点から、発光素子131の出力を止めることが好ましい。
固浸レンズホルダ8が装着されている場合、指示部42は、ペリフェラルコントローラ33を介してレボルバを駆動して固浸レンズ6が取り付けられている対物レンズ21に切り替える。次に、指示部42は、入力された固浸レンズ6の型番、基板の厚さ及び材質に応じて特定した5つのパラメータに応じてペリフェラルコントローラ33を介して補正環調整用モータ25を駆動し、補正環24を適正な位置に合わせる。
続いて、指示部42は、上記5つのパラメータに応じ、ペリフェラルコントローラ33を介してX−Y−Zステージ7を駆動することで対物レンズ21のフォーカス位置を合わせる。この場合、近接センサ112が金属板114を検出したときには、指示部42は、半導体デバイス11をバネ100によって加圧している旨を操作者に知らせる。また、フォーカス位置の調整において、近接センサ113が金属板114を検出したとき又は応力検知センサSが所定の応力以上の応力を検知したら、ペリフェラルコントローラ33は、X−Y―Zステージ7の駆動を停止させる。
そして、近接センサ112が金属板114を検出する一方、近接センサ113が金属板114を検出していない範囲において、例えば高感度カメラ3で取得される画像を見ながらマニュアル操作で、対物レンズ21のフォーカス位置を微調する。そして、対物レンズ21のフォーカス位置が合った状態で、指示部42は、LSMコントローラ32及びカメラコントローラ31を介して、LSMユニット4及び高感度カメラ3等を利用して半導体デバイス11の観察を実施する。
なお、仮に、固浸レンズ6を取り替える必要が生じた場合には、固浸レンズホルダ8を取り替えることで固浸レンズ6を取り替える。この場合、微小な固浸レンズ6を直接取り扱わなくてもよいので、固浸レンズ6の交換が容易になっている。
また、上記説明では、対物レンズソケット9に固浸レンズホルダ8を装着した状態での半導体デバイス11を観察する場合を説明したが、対物レンズソケット9に固浸レンズホルダ8を装着していない状態での通常観察も可能である。
すなわち、図5(a)及び図5(b)に示すように、対物レンズソケット9が有する可動部材80の周壁83には、バネ収容溝76内にバネ100を全て収容した状態で可動部材80をベース部70に固定するための貫通孔87を有している。
そして、ベース部70が有する周壁74には、その貫通孔87に対応する位置に螺子孔79が形成されている。その結果、螺子孔79に対応した固定用螺子P2を利用することで、バネ100をバネ収容溝76内に全て収容した状態で、可動部材80をベース部70に対して固定することができる。
そのため、対物レンズソケット9の光軸L方向の長さを最小にした状態で、図11(a)に示すように、半導体デバイス11を観察すればよい。図11(b)は、図11(a)の対物レンズ21を半導体デバイス11側からみた図である。
この場合、対物レンズソケット9の光軸L方向の長さを短くできているので、対物レンズ21のワーキングディスタンスを確保することができている。また、固定用螺子P2をはずすことで、直ぐに固浸レンズホルダ8を取り付けられるようになっている。
以上説明したように、対物レンズソケット9を利用した半導体デバイス11の観察では、対物レンズソケット9が有するバネ100によって固浸レンズ6を半導体デバイス11に付勢するので、簡易な構成で確実に固浸レンズ6を半導体デバイス11に密着させて光学的に接合できる。
そして、対物レンズソケット9は対物レンズ鏡筒26に取り付けられており、バネ100は対物レンズ21の対物レンズ鏡筒26の周囲に位置することになるので、対物レンズソケット9を装着することによる対物レンズ21のワーキングディスタンスの減少が抑制されている。
また、対物レンズソケット9は、固浸レンズ6を保持した固浸レンズホルダ8を好適に対物レンズ21に取り付け、バネ100によって固浸レンズ6を半導体デバイス11に付勢するので、図1に示した顕微鏡5のように正立型のものへの適用のみならず、倒立型に適用することも好ましい。この場合も、固浸レンズ6は、対物レンズ21の前方(前側焦点の有る方向)に好適に保持され、また、観察対象物としての半導体デバイス11に確実に付勢される。なお、倒立型に適用する場合には、バネ100の長さや貫通孔85が有する光軸L方向の長さなどを調整して常に可動部材80にバネ100による力が加わっていることが好ましい。
ところで、従来の技術のように、固浸レンズをチャンバに収容し、チャンバ内にガスを導入してガス圧で固浸レンズを半導体デバイスに付勢しようとすると、チャンバにガスを導入するガス導入管なども接続しなければならい。この場合、凹部13内に固浸レンズを入れることが困難であったり、凹部内での観察範囲を減少させる虞がある。
これに対して、対物レンズソケット9を利用した場合、対物レンズ21の周囲に配置されたバネ100によって固浸レンズ6の半導体デバイス11への付勢を実施しているので、ガス導入管などは不要である。そのため、凹部13内の半導体デバイス11をより観察し易くなっている。特に、外形が略T字状の固浸レンズホルダ8を利用しているため、固浸レンズホルダ8と凹部13の側壁13aとの干渉(接触)も低減されているので、凹部13の下面に位置した半導体デバイス11の周縁部まで観察が可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。対物レンズソケット9には、外形が略T字状の固浸レンズホルダ8が取り付けられるとしたが、たとえば、図12に示すように、固浸レンズ6を頂点として対物レンズ21側に向かって外径が広がったテーパ形状の固浸レンズホルダ160を利用してもよい。
また、バネ100の個数は、3つとしたが、この個数は3つに限定されない。たとえば、図13に示すように、バネ収容溝161が周壁74の全周に渡って形成されており、そのバネ収容溝161内に配置された周方向に連続して設けられた1つのバネ162としてもよい。この際には、ピンP1を固定できるように周壁74の形状や厚さを変更すればよい。また、バネ100の数は、2つでもよく、更に、4つ以上でもよい。更に、弾性体は、バネに限らず、光軸L方向に付勢できればよい。
また、ホルダ検出センサ120は、光を利用したセンサであるが、光を利用するものに限らなくてもよく、固浸レンズホルダ8を検出できればよい。更にまた、部材位置検出手段110は、接触位置検出部としての近接センサ112と、停止位置検出部としての近接センサ113とを有するとしたが、必ずしも両方を備える必要はない。何れか一方でもよい。また部材位置検出手段110としては、近接センサ112,113に限らず、ベース部70に対する可動部材80の位置を計測できればよい。
更に、バネ100は、対物レンズ21の対物レンズ鏡筒26の周囲に設けられているとしたが、例えば、対物レンズ21の対物レンズ鏡筒26の下側であって、対物レンズ21が有するレンズ群のうち一番試料に近いレンズの周囲に設けるようにしてもよい。ただし、ワーキングディスタンスを確保する観点から、対物レンズ21の周囲に位置するように配置されることが好ましいのは、前述したとおりである。
また、上記実施形態では、対物レンズソケット9を備えた半導体検査装置1で、凹部13内に配置された半導体デバイス11を観察する場合について説明したが、対物レンズソケット9は、凹部13内に配置されていない半導体デバイス11の観察にも好適に適用できる。更に、対物レンズソケット9は、半導体デバイス11以外の観察対象物の観察にも好適に利用できる。
更に、ベース部70及び可動部材80は、円筒形状のものに限らない。ベース部70は、対物レンズ鏡筒26の先端部に取り付けられ、可動部材80は、ベース部70に対して光軸L方向に摺動可能にベース部70に取り付けられるようになっていればよい。また、必ずしも、ホルダ検出部としてのセンサヘッド140、及び部材位置検出手段110は取り付けられていなくてもよい。
また、図14は、本発明に係る対物レンズソケットの更に他の実施形態(第2の実施形態)の断面図である。図14では、半導体検査装置1が有する対物レンズ21に対物レンズソケット170が装着されて、試料10を観察している時の状態を示している。なお、図14では、対物レンズソケット170の特徴部分を示すように断面構造を表示しており、各構成要素の配置関係は実際には異なる。
図15は、図14に示した固浸レンズホルダの斜視図である。図16は、対物レンズソケットと固浸レンズホルダとを分解した状態の側面図である。図17は、対物レンズソケットの上面図である。図18は、対物レンズソケットの底面図である。図19は、図17のXIX―XIX線に沿った断面図である。図16では、後述する近接センサ200の記載は省略している。また、図16は、対物レンズソケットに固浸レンズホルダを取り付ける前の状態を示している。図17では、部材位置検出手段110及び金属板114の記載は省略している。以下の説明では、第1の実施形態と同様の要素には同じ符合を付し、重複する説明を省略する。
図14及び図15に示すように、固浸レンズホルダ8は、対物レンズキャップ50の底板52の周縁部に設けられた周壁55を有する。周壁55には、板状の被検出体Dが螺子止めされている。被検出体Dは、ニッケルメッキされた鉄からなり、対物レンズ21側に延びている。
更に、周壁55には、3つのマグネット181〜183が各マグネット181〜183の上端部が周壁55の上面55aとほぼ同じ位置になるように埋め込まれている。このマグネット181〜183が、後述するように、可動部材80に設けられたマグネット184〜186に磁気吸着することによって対物レンズキャップ50が可動部材80に取り付けられることになる。
この固浸レンズホルダ8が取り付けられる対物レンズソケット170について説明する。
図16〜図19に示すように、対物レンズソケット170が有するベース部70は、その周壁外面74aに光軸L方向に延びる3つのリニアガイド190,190,190が等間隔で設けられている。各リニアガイド190は、例えば、周壁74に螺子止めされている。
可動部材80は、このリニアガイド190にガイドされながら光軸L方向にスライドするスライダ191を有する。スライダ191は、外形が略直方体でスライダ191を収容する凹部が形成されたスライダ保持部材192に螺子止めされており、リニアガイド190に、例えば、ボールを介して嵌め合わせられる。そして、スライダ保持部材192は、可動部材80の周壁83から張り出したフランジ部88に螺子止めによって固定されている。
このようにスライダ保持部材192を可動部材80に固定しているため、ベース部80に対して可動部材80が移動したときに、リニアガイド190と周壁83とが接触しないように、スライダ保持部材192が設けられる領域での周壁83の内側には、切り欠き部83aが形成されている。
上記構成では、可動部材80は、スライダ191及びリニアガイド190を介してベース部70に取り付けられる。よって、図20(a)及び図20(b)に示すように、可動部材80は、ベース部70に対して光軸L方向によりスムーズに移動することになる。また、リニアガイド190及びスライダ191を介することで、ベース部70と可動部材80との間のガタをより小さくできる。そのため、ベース部70に対する可動部材80の位置精度がより高くなる。また、前述したようにガタを小さくできることから、ガタが大きい場合に発生する虞のあるこじれも抑制できる。
また、図18に示すように、フランジ部88の下面には、3つのマグネット184〜186が設けられている。マグネット184〜186は、例えば、棒状であり下端部が若干突出するようにフランジ部88内に埋め込まれている。このマグネット184〜186と、対物レンズキャップ50の周壁55に設けられた3つのマグネット181〜183との磁気吸引力によって固浸レンズホルダ8が可動部材80に取り付けられる。なお、マグネット181〜186の磁極としては、例えば、マグネット181,183をN極、マグネット182をS極としたとき、マグネット184,186をS極、マグネット185をN極とすることが考えられる。
このように固浸レンズホルダ8を可動部材80にマグネット181〜186を利用して取り付けることで、固浸レンズホルダ8の着脱が容易になっている。
また、対物レンズソケット170は、固浸レンズホルダ8が可動部材80に取り付けられているか否かを検出するための近接センサ(ホルダ検出部)200を有する。近接センサ200は、ペリフェラルコントローラ33(図1参照)に電気的に接続されている。近接センサ200は、フランジ部88に固定されたセンサ保持部材201に保持されており、その先端部近傍にコイルを利用して磁界を発生させている。そして、近接センサ200は、前方に被検出体Dが位置することで生じる磁界の変化(より具体的にはコイルのインピーダンスの変化)によって被検出体Dを検出する。
この近接センサ200の前方に被検出体Dを確実に配置するために、図17に示すように、フランジ部88には、被検出体Dを通すための凹部88aが形成されている。
対物レンズソケット170では、マグネット181〜183とマグネット184〜186とを合わせることで固浸レンズホルダ8を可動部材80に取り付けると、凹部88aを通って被検出体Dが近接センサ200の前方に確実に位置することになり、近接センサ200が被検出体Dを検出する。すなわち、近接センサ200による被検出体Dの検出の有無により固浸レンズホルダ8が可動部材80に取り付けられているか否かを判別できることになる。
また、対物レンズソケット170では、マグネット181〜186を利用して固浸レンズホルダ8を取り付けているため、被検出体Dを近接センサ200の前方により確実に配置できる。
また、対物レンズソケット170において、ベース部70と可動部材80とは、3つのバネ収容溝76,76,76にそれぞれ収容されたバネ(弾性体)100,100,100を挟んで嵌め合わされることは、対物レンズソケット9の場合と同様である。これによって、半導体デバイス11を観察するときには、固浸レンズ6は、半導体デバイス11に付勢されて確実に密着することになる。
なお、対物レンズソケット170の可動部材80に金属板114が設けられていること、及び、ベース部70に部材位置検出手段110が設けられていることは対物レンズソケット9の場合と同様である。
以上説明した対物レンズソケット170を利用した半導体検査装置1の観察方法は、固浸レンズホルダ8の取付状態の確認を近接センサ200を利用して行う点以外は、対物レンズソケット9を利用した第1の実施形態の場合と同様である。
すなわち、近接センサ200が被検出体Dを検出していることによって、固浸レンズホルダ8が装着されていることを確認してから、対物レンズソケット9を利用した第1の実施形態の場合と同様にして試料10を観察する。
この場合、例えば、光学的に検出する場合に比べて、構成が簡易であって、磁場を利用した近接センサ200を採用していることから、例えば、レーザのようにON/OFF制御する必要がない。その結果、半導体検査装置1の操作がより容易になっている。
ここでは、被検出体Dを有する固浸レンズホルダ8を取り付ける対物レンズソケット170がリニアガイド190を有するとしたが、図2に示した対物レンズソケット9がリニアガイド190を有していてもよい。また、リニアガイド190の個数は3個に限らず、1個又は2個、更に4個以上でもよい。ただし、可動部材80をベース部70に対してより安定して摺動させる観点からリニアガイド190は複数設けられていることが好ましい。
更にまた、以上の説明では、対物レンズソケット9,170は、弾性体としてのバネ100を備えているとしたが、正立型の顕微鏡に対物レンズソケット9,170を適用する際には、自重によって半導体デバイス11に密着するので必ずしも弾性体を利用しなくてもよい。
また、対物レンズソケット170では、対物レンズソケット9の場合と同様に図13で示したバネ収容溝161のように周壁55の全周に渡って形成されたバネ収容溝とすることも可能である。更に、対物レンズソケット170に固浸レンズホルダ160を取り付けるようにすることも可能である。この際には、固浸レンズホルダ160の周壁にマグネット181〜183を設けておけばよい。
なお、固浸レンズ6を用いて半導体デバイス11を観察する場合、最適な観察条件を得るために、対物レンズ21に取り付けられる固浸レンズ6の光学パラメータをあらかじめ把握しておく必要がある。例えば、固浸レンズ6の光学パラメータとしては、屈折率n、厚さdR、及び球面状のレンズ面(上面6a)の曲率半径Rが挙げられる。
具体的に、図1及び図2を参照して説明する。検査対象となる半導体デバイス11に対して観察に好適な光学パラメータを有する固浸レンズ6を選択し、その固浸レンズ6を対物レンズ21にセットする。そして、選択された固浸レンズ6の屈折率n、厚さdR、及び曲率半径Rの各光学パラメータを、解析部Cに設けられた図示しない入力装置を介して入力する。次いで、制御部Bは、入力された半導体デバイス11の基板の屈折率及び厚さと、入力された固浸レンズ6の光学パラメータとを利用して、最適な観察条件を算出する。
ここで、固浸レンズ6の光学パラメータの入力は、入力装置を介して個別に入力する構成以外に、固浸レンズ6の型番を選択することにより予め用意したパラメータを読み込ませる構成や、パラメータの値が記憶されたICチップなどの記憶媒体を被検出体Dに設けておいて使用時にデータを読み出す構成などを用いても良い。
例えば、固浸レンズ6の光学パラメータの入力は、被検出体Dに取り付けた半導体デバイス/磁気デバイスなどの記憶媒体に、固浸レンズ6の型番、シリアル番号、曲率半径、厚さ、屈折率などのパラメータを記憶しておく構成を用いることができる。この場合のデータの読み出し方法としては、電波による受信、アーム及びマニピュレータによる電気的接触を介した受信などがある。この場合、上記近接センサ200に代えて、センサ保持部材201にそれぞれの受信方法に適用されるセンサを取り付ければ良い。また、被検出体Dにバーコードなどを付しておき、それを読み取ることよってデータを読み出す構成としても良い。
このような構成を採用することにより、固浸レンズホルダ8が可動部材80に取り付けられているか否かを判別ができるとともに、取り付けられている場合には、固浸レンズ6の光学パラメータを簡便に把握することができる。
6…固浸レンズ、8,160…固浸レンズホルダ、9,170…対物レンズソケット、11…半導体デバイス(観察対象物)、21…対物レンズ、26…対物レンズ鏡筒(鏡筒)、70…ベース部、74…周壁、74a…周壁外面、76…バネ収容溝(弾性体収容溝)、80…可動部材、100,162…バネ(弾性体)、110…部材位置検出手段、112…近接センサ(接触位置検出部)、113…近接センサ(停止位置検出部)、140…センサヘッド(ホルダ検出部)、190…リニアガイド、200…近接センサ(ホルダ検出部)、D…被検出体、L…光軸。