JP2006227306A - 冷却液タンク及び投射型表示装置 - Google Patents

冷却液タンク及び投射型表示装置 Download PDF

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Takashi Nasu
隆志 那須
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琢二 大久保
Yoshihiro Ouchi
義広 大内
Norihiko Endo
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Abstract

【課題】 冷却液タンクを用いた循環式の液冷システムを液晶プロジェクター等の投射型表示装置に搭載し、その投射型表示装置を姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンクからの空気の流出を抑制できるようにする。
【解決手段】 冷却対象物を冷却した冷却液CLを冷却液タンク1内に排出するための排水口3と、冷却液タンク1からこの冷却対象物に冷却液CLを供給するための給水口2とのうち、少なくとも給水口2を、冷却液タンク1内に向けて突き出させる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、循環式の液冷システムに用いる冷却液タンク、及び、循環式の液冷システムを搭載した投射型表示装置に関する。
大画面の投射型表示装置として、液晶プロジェクターが普及している。液晶プロジェクターは、周知のように、光源からの出射光を照明光学系を介して液晶パネルに入射させ、液晶パネルで映像信号に応じて変調した光を、投射レンズによってスクリーンに投射するものである。
液晶プロジェクターの高輝度化を実現するためには、光源からの出射光量を増加させたり照明光学系での光の利用効率を高めるなどして、液晶パネルへの入射光量を増加させなければならない。しかし、液晶パネルへの入射光量が増加すると、液晶パネルの温度が上昇して、液晶プロジェクターの動作の信頼性に影響を及ぼすことがある。この液晶パネルの温度上昇を抑制するためには、液晶パネルを強制的に冷却することが必要となる。
液晶プロジェクターにおける液晶パネルの冷却方式としては、従来から、ファン(送風機)によって液晶パネルを空気で冷却するという方式が採用されている。しかし、この空冷方式は、液晶プロジェクターの小型化や低騒音化を実現するという見地からは、あまり適切な方式ではなかった。
そこで、循環式の液冷システムを液晶プロジェクターに搭載することも提案されている。これは、液晶パネルにジャケット(冷却液の出入り口を有する密閉容器)を取り付け、冷却液をポンプによってこのジャケットとラジエータとの間で循環させることによって液晶パネルを冷却するというものである(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−264947号公報(段落番号0010〜0016、図1)
ところで、このような循環式の液冷システムには、次の(1)及び(2)の理由から、冷却液を貯蔵したタンク(本明細書では「冷却液タンク」と呼ぶことにするが、「リザーブタンク」とも呼ばれている)を用いることが望まれる。
(1)経年使用の際に、冷却液の分子構造等を原因として、微量ではあるが配管等から冷却液が蒸発してしまう。そこで、冷却液タンクに貯蔵している冷却液によってその蒸発分を補う。
(2)ポンプで冷却液を送り出す際には、冷却液中に気泡が発生してしまう。冷却液中の気泡の量が増えると、冷却液が流れにくくなるので、冷却効率が低下する。また、液晶プロジェクターにおいて液晶パネルの光の入射面や出射面を冷却する場合には、気泡が点状の模様として投影されて画質が低下することがある。そこで、発生した気泡を冷却液タンク内に集めることにより、冷却液中の気泡を除去する(「気泡抜き」と呼ばれている)。
図9は、循環式の液冷システムで用いられている従来の冷却液タンクの一般的な構造を示す図(図9Aは斜視図、図9Bは断面図)である。冷却液タンク51は、中空構造の直方体形状をしており、給水口52及び排水口53を有している。冷却液タンク51内の中空部分には、冷却液CLが貯蔵されている。
給水口52は、冷却液タンク51の壁面から外側に向けて突き出しており、したがって、一方の開口端52aが壁面と同一平面上にあり、もう一方の開口端52bが壁面よりも外側にある。開口端52bは、配管(図示略)によって液冷システムの他の構成要素(例えばポンプ)と連結される。
排水口53も、冷却液タンク51の壁面から外側に向けて突き出しており、したがって、一方の開口端53aが壁面と同一平面上にあり、もう一方の開口端53bが壁面よりも外側にある。開口端53bは、配管(図示略)によって液冷システムの他の構成要素(例えばラジエータ)と連結される。
冷却対象物(図示略)を冷却した冷却液CLは、排水口53から冷却液タンク51内に排出される。冷却液タンク51内に排出された冷却液CL中の気泡は、浮力によって上昇して冷却液タンク51内の上部に集まる。これにより、冷却液タンク51内の上部に空気層ARができる。このようにして気泡抜きを行われた冷却液CLは、給水口52から冷却液タンク51の外に出て、再び冷却対象物に供給される。
ここで、液冷システムを搭載する機器の設置時の姿勢が概ね一定である場合(例えば直視型表示装置であれば、表示画面を水平面とほぼ直交させて設置される)には、その姿勢に合せて冷却液タンク51の上下の向きを決定しておけば、冷却液タンク51内の空気が冷却液タンク51の外に流出することはない。
しかし、液晶プロジェクターのような投射型表示装置は、スクリーンの位置等の設置環境に応じて、大きく傾けて設置したり、さらには上下を逆さまにして天井から吊り下げることがある。そのため、図9に示した構造の冷却液タンク51では、図10に例示するように、冷却液タンク51が傾いて給水口52や排水口53が冷却液タンク51の上面に位置し、開口端52aや開口端53aが空気層ARに面するようになるので、冷却液タンク51内の空気が給水口52や排水口53から外に流出し(特に、冷却液CLの流れに沿って給水口52から流出し)、冷却効率が低下したり画質が低下してしまう。
本発明は、上述の点に鑑み、冷却液タンクを用いた循環式の液冷システムを液晶プロジェクター等の投射型表示装置に搭載し、その投射型表示装置を姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンクからの空気の流出を抑制できるようにすることを課題としてなされたものである。
この課題を解決するために、本発明に係る冷却液タンクは、循環式の液冷システムに用いる冷却液タンクにおいて、冷却対象物を冷却した冷却液を冷却液タンク内に排出するための排水口と、冷却液タンクからこの冷却対象物に冷却液を供給するための給水口とのうち、少なくとも給水口が、冷却液タンク内に向けて突き出していることを特徴とする。
この冷却液タンクでは、冷却液タンクから冷却対象物に冷却液を供給するための給水口が、冷却液タンク内に向けて突き出している。したがって、冷却液タンクの姿勢が傾いて給水口が冷却液タンクの上面側に位置しても、その姿勢での冷却液タンク内の空気層の厚さが冷却液タンクの上端からこの突出部分の先端(給水口の開口端)までの距離を上回らない限り、給水口の開口端が冷却液に浸かった状態が維持されるので、冷却液タンク内の空気が給水口から流出することが抑制される。
これにより、この冷却液タンクを用いた循環式の液冷システムを例えば投射型表示装置に搭載すれば、その投射型表示装置を姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンクからの空気の流出を抑制することができる。
なお、この冷却液タンクにおいて、一例として、少なくとも給水口を、冷却液タンク内の略中心部に向けて突き出させることが好適である。それにより、冷却液タンクがどのような姿勢に傾いても、その姿勢での冷却液タンクの上端からこの突出部分の先端(給水口の開口端)までの距離を最大限に確保することができるので、冷却液タンクからの空気の流出を最小限に抑制することができる。
また、この冷却液タンクにおいて、一例として、給水口及び排水口の両方を冷却液タンク内に向けて突き出させることが好適である。それにより、冷却液タンクの姿勢が傾いて排水口が冷却液タンクの上面側に位置しても、その姿勢での冷却液タンク内の空気層の厚さが冷却液タンクの上端からこの突出部分の先端(排水口の開口端)までの距離を上回らない限り、排水口の開口端が冷却液に浸かった状態が維持される。したがって、冷却液タンク内の空気が排水口から流出することも抑制できる。
また、このように給水口及び排水口の両方を冷却液タンク内に向けて突き出させる場合には、一例として、給水口と排水口とを、冷却液タンク内で互いに対向する向きに突き出させることが好適である。それにより、給水口及び排水口の両方を、冷却液タンク内の略中心部に向けて十分な長さだけ突き出させることができる。さらに、排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液が、ほぼ直線状に冷却液タンク内を移動して給水口のほうに流れるようになるので、冷却液タンク内での冷却液の流路抵抗の増加を抑制することもできる。
また、この冷却液タンクにおいて、一例として、排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液が衝突する位置に板状部材を設け、この板状部材の周囲に、この板状部材に衝突した冷却液を給水口側に流すための開口部分を設けることが好適である。
それにより、排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液が、この板状部材に衝突することによって流速を低下させた後、この開口部分を通って給水口側に流れるようになる。このように冷却液の流速が低下することにより、冷却液タンク内での冷却液中の気泡の上昇が促進されるので、より多くの気泡を除去することができる。
また、この冷却液タンクにおいて、一例として、冷却液タンク内で排水口と給水口とを網目状の部材によって仕切ることが好適である。
それにより、排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液がこの網目状部材に当り、冷却液中の気泡がこの網目状部材でせき止められるとともに、冷却液がこの網目状部材の網目部分を通って給水口側に流れるようになる。このように網目状部材で気泡をせき止めることにより、小さな気泡も除去することができる。
次に、本発明に係る投射型表示装置は、循環式の液冷システムを搭載した投射型表示装置において、液冷システムに冷却液タンクが用いられており、この冷却液タンクは、冷却対象物を冷却した冷却液を冷却液タンク内に排出するための排水口と、冷却液タンクからこの冷却対象物に冷却液を供給するための給水口とのうち、少なくとも給水口が、冷却液タンク内に向けて突き出していることを特徴とする。
この投射型表示装置は、前述の本発明に係る冷却液タンクを用いた循環式の液冷システムを搭載したものであり、姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンクからの空気の流出を抑制することができる。
なお、この投射型表示装置においても、一例として、冷却液タンクには、排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液が衝突する位置に板状部材を設け、この板状部材の周囲に、この板状部材に衝突した冷却液を給水口側に流すための開口部分を設けることが好適である。それにより、冷却液中に発生した気泡を、冷却液タンク内でより多く除去することができる。
また、この投射型表示装置においても、一例として、冷却液タンク内で排水口と給水口とを網目状の部材によって仕切ることが好適である。それにより、冷却液中に発生した小さな気泡も、冷却液タンク内で除去することができる。
本発明に係る冷却液タンクによれば、冷却液タンクから冷却対象物に冷却液を供給するための給水口が冷却液タンク内に向けて突き出しているので、給水口が冷却液タンクの上面側に位置する姿勢でも、冷却液タンク内の空気が給水口から流出することを抑制できるという効果が得られる。
また、本発明に係る投射型表示装置によれば、姿勢を傾けて設置した場合にも、循環式の液冷システムに用いている冷却液タンクからの空気の流出を抑制することができるという効果が得られる。
以下、透過型の液晶パネルを用いた3板式の液晶プロジェクターに本発明を適用した例について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明を適用した液晶プロジェクターの光学系の一例を示す図である。光源21からの出射光(白色光)が、オプティカルインテグレータ(1対のフライアイレンズ)22及びコンデンサーレンズ23を経て、ダイクロイックミラー24に入射する。ダイクロイックミラー24は、青色の波長範囲の光を反射してその他の波長範囲の光を透過させる。ダイクロイックミラー24で反射された青色の波長範囲の光は、反射ミラー26及びコンデンサーレンズ27を経て、青色用の透過型の液晶パネル34(B)に入射する。
ダイクロイックミラー24を透過した光は、ダイクロイックミラー25に入射する。ダイクロイックミラー25は、緑色の波長範囲の光束を反射してその他の波長範囲の光束を透過させる。ダイクロイックミラー25で反射された緑色の波長範囲の光束は、コンデンサーレンズ28を経て、緑色用の透過型の液晶パネル34(G)に入射する。
ダイクロイックミラー25を透過したその他の波長範囲(青色及び緑色を除外した残りである赤色の波長範囲)の光束は、リレーレンズ29,反射ミラー30,リレーレンズ31,反射ミラー32及びコンデンサーレンズ33を経て、赤色用の透過型の液晶パネル34(R)に入射する。
液晶パネル34(R),34(G),34(B)では、赤色,緑色,青色の波長範囲の光束が、それぞれR,G,Bの映像信号に応じて変調される。そして、液晶パネル34(R),34(G),34(B)で変調された赤色,緑色,青色の波長範囲の光束が、クロスプリズム35によって合成された後、投射レンズ36によってスクリーン(図示略)に投射される。
図2は、この液晶プロジェクターに搭載されている循環式の液冷システムの構成を示す図であり、図1と共通する部分には同一符号を付している。液晶パネル34(B),34(G),34(R)に、それぞれジャケット(冷却液の流入口及び流出口を有する密閉容器)11,12,13が取り付けられている。これらのジャケットは、液晶パネルの光源側の面(図1のコンデンサーレンズ27,28,33側の面)とその反対側の面(図1,図2のクロスプリズム35側の面)とのうちの少なくとも一方を冷却液で冷却できるような構造のものであればよい。
ジャケット11の流入口は、配管41でにポンプ14に連結されている。ジャケット11の流出口は、配管42でジャケット12の流入口に連結されている。ジャケット12の流出口は、配管43でジャケット13の流入口に連結されており、ジャケット13の流出口は、配管44でラジエータ15に連結されている。ラジエータ15は、配管45で冷却液タンク1の排水口に連結されており、冷却液タンク1の給水口は、配管46でポンプ14に連結されている。
そして、ポンプ14によって冷却液(例えば水またはグリコール系の不凍液)をジャケット11〜13とラジエータ15との間で循環させることにより、液晶パネル34(B),34(G)及び34(R)を冷却するようになっている。
それと同時に、冷却液タンク1により、経年使用の際の配管41〜46等から冷却液の蒸発分を補うとともに、気泡抜きを行うようになっている。
図3は、冷却液タンク1の構造の一例を示す図(図3Aは斜視図、図3Bは断面図)である。冷却液タンク1は、中空構造の直方体形状をしており、互いに対向する壁面のそれぞれほぼ中央部分に、給水口2及び排水口3を有している。冷却液タンク1内の中空部分には、冷却液CLが貯蔵されている。
給水口2は、冷却液タンク1の壁面から、外側に向けて突き出すとともに、冷却液タンク1内の中心部に向けて、この壁面よりも冷却液タンク1内の中心部のほうに近い位置にまで突き出している。したがって、給水口2は、一方の開口端2aがこの壁面よりも冷却液タンク1の内側にあり、もう一方の開口端2bがこの壁面よりも外側にある。開口端2bは、配管46(図2)によってポンプ14(図2)と連結されている。
排水口3も、冷却液タンク1の壁面から、外側に向けて突き出すとともに、冷却液タンク1内の中心部に向けて、この壁面よりも冷却液タンク1内の中心部のほうに近い位置にまで突き出している。したがって、排水口3も、一方の開口端3aがこの壁面よりも冷却液タンク1の内側にあり、もう一方の開口端3bがこの壁面よりも外側にある。開口端3bは、配管45(図2)によってラジエータ15(図2)と連結されている。
ジャケット11,12,13(図2)内を通過して液晶パネル34(B),34(G),34(R)(図1,図2)を冷却した冷却液CLは、ラジエータ15(図2)で冷やされた後、排水口3から冷却液タンク1内に排出される。冷却液タンク1内に排出された冷却液CL中の気泡は、浮力によって上昇して冷却液タンク1内の上部に集まる。これにより、冷却液タンク1内の上部に空気層ARができる。このようにして気泡抜きを行われた冷却液CLは、給水口2から冷却液タンク1の外に出て、ポンプ14(図2)によって再びジャケット11,12,13に供給される。
なお、冷却液タンク1は、液晶プロジェクターを水平面上に設置した際に図3の矢印の向きが上下の向き(鉛直方向)になるようにして、液晶プロジェクター内に固定して取り付けられている。
したがって、液晶プロジェクターを水平面から大きく傾けて設置した場合には、冷却液タンク1の姿勢も鉛直方向に対して大きく傾くようになる。図4は、このようにして冷却液タンク1の姿勢が傾いた状態の一例として、給水口2が冷却液タンク1の上面側に位置した姿勢を示す。
この図4の姿勢でも、給水口2が冷却液タンク1内に向けて突き出しているので、この姿勢での冷却液タンク1内の空気層ARの厚さtが冷却液タンク1の上端(ここでは直方体のコーナー1a)からこの突出部分の先端(開口端2a)までの垂直方向の距離dを上回らない限り、開口端2aが冷却液CLに浸かった状態が維持される。したがって、冷却液タンク1内の空気が給水口2から流出することが抑制される。
これにより、液晶プロジェクターを姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンク1からの空気の流出が抑制されるので、液晶パネル34(R),34(G),34(B)(図1,図2)を効率的に冷却することができるとともに、画質の低下(気泡が点状の模様として投影されること)を抑制することができる。
図4にはコーナー1aが冷却液タンク1の上端になった姿勢を示したが、給水口2は冷却液タンク1内の略中心部に向けて突き出しているので、冷却液タンク1がどのような姿勢に傾いても、その姿勢での冷却液タンク1の上端から給水口2の開口端2aまでの距離を最大限に確保することができる。したがって、液晶プロジェクターをどのように姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンク1内の空気が給水口2から流出することを最小限に抑制できる。
また、図4には給水口2からの空気の流出が抑制される例を示したが、排水口3も冷却液タンク1内の略中心部に向けて突き出しているので、冷却液タンク1がどのような姿勢に傾いても、その姿勢での冷却液タンク1の上端から給水口3の開口端3aまでの距離も最大限に確保することができる。したがって、液晶プロジェクターをどのように姿勢を傾けて設置した場合にも、冷却液タンク1内の空気が排水口3から流出することも最小限に抑制できる。
そして、給水口2と排水口3とが、冷却液タンク1の互いに対向する壁面のそれぞれほぼ中央部分に設けられている(したがって、冷却液タンク1内で互いに対向する向きに突き出している)ので、給水口2及び排水口3の両方を、冷却液タンク1内の略中心部に向けて十分な長さだけ突き出させることができる。
さらに、このように給水口2と排水口3とが冷却液タンク1内で互いに対向する向きに突き出していることにより、排水口3から冷却液1タンク内に排出された冷却液CLが、ほぼ直線状に冷却液タンク1内を移動して給水口2のほうに流れるようになる。したがって、冷却液タンク1内での冷却液CLの流路抵抗の増加を抑制することもできる。
次に、図5は、図2の冷却液タンク1の構造の別の例を示す図(図5Aは斜視図、図5Bは断面図)であり、図3と共通する部分には同一符号を付している。この例では、冷却液タンク1は、図3に示したのと同一構造の給水口2及び排水口3を有するのに加え、十字形状(冷却液タンク1の内部の断面と同じ形状及び面積の長方形から、四隅を切り欠いた形状)の仕切り板4が、給水口2と排水口3とを仕切るようにして、冷却液タンク1の内壁面に固定して取り付けられている。
仕切り板4は、例えばアルミニウムやステンレスのような、冷却液CLに悪影響を及ぼさない、化学的に安定した材料で構成されている(冷却液タンク1自体をこれらの金属で構成する場合には、仕切り板4も同じ金属で構成してよい)。
仕切り板4の周囲の4つの開口部分(前述の長方形からの切り欠き部分)の総面積は、給水口2や排水口3の内部の断面積以上になっている。
図6は、図5の構造の冷却液タンク1内での気泡抜きの原理を示す図である。排水口3から冷却液タンク1内に排出された冷却液は、仕切り板4に衝突することによって流速を低下させた後、仕切り板4の周囲の4つの開口部分を通って給水口2側に流れる。
このように冷却液の流速が低下することにより、冷却液タンク1内での冷却液中の気泡BUの上昇が促進されるので、より多くの気泡を除去することができる。
そして、仕切り板4の周囲の開口部分の総面積が給水口2や排水口3の内部の断面積以上になっているので、仕切り板4の周囲で冷却液の圧力損失が増加することも防止される。
次に、図7は、図2の冷却液タンク1の構造のさらに別の例を示す図(図7Aは斜視図、図7Bは断面図)であり、図3と共通する部分には同一符号を付している。この例では、冷却液タンク1は、図3に示したのと同一構造の給水口2及び排水口3を有するのに加え、メッシュ(細かい網目を2次元状に配列した、冷却液タンク1の内部の断面と同じ形状及び面積の長方形の部材)5が、給水口2と排水口3とを完全に仕切るようにして、冷却液タンク1の内壁面に固定して取り付けられている。なお、図7Aでは、図示の都合上、メッシュをかくれ線(破線)ではなく実線で描いている。メッシュ5の個々の網目の大きさは、数十μm程度である。
メッシュ5は、例えばアルミニウムやステンレスのような、冷却液CLに悪影響を及ぼさない、化学的に安定した材料で構成されている。
図8は、図7の構造の冷却液タンク1内での気泡抜きの原理を示す図である。排水口3から冷却液タンク1内に排出された冷却液はメッシュ5に当り、冷却液中の気泡(網目の大きさである直径数十μm以上の気泡)BUがメッシュ5でせき止められるとともに、冷却液がメッシュ5の網目部分を通って給水口2側に流れる。
図5の構造の冷却液タンク1では、直径数十μmの小さな気泡は、仕切り板4の周囲の開口部分を通るので除去することが困難である。これに対し、図7の構造の冷却液タンク1では、こうした小さな気泡もメッシュ板5でせき止めて除去することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、次のような様々な効果が得られる。
(1)液晶パネルを冷却した冷却液を冷却液タンク内に排出するための排水口と、冷却液タンクから液晶パネルに冷却液を供給するための給水口とのうち、少なくとも給水口が冷却液タンク内に向けて突き出しているので、給水口が冷却液タンクの上面側に位置する姿勢でも、冷却液タンク内の空気が給水口から流出することを抑制できる。したがって、液晶プロジェクターを姿勢を傾けて設置した場合にも、循環式の液冷システムにより、冷却液タンクからの空気の流出を抑制して液晶パネルを効率的に冷却することができる。
(2)少なくとも給水口を、冷却液タンク内の略中心部に向けて突き出させることにより、冷却液タンクがどのような姿勢に傾いても、冷却液タンクからの空気の流出を最小限に抑制することができる。
(3)給水口及び排水口の両方を冷却液タンク内に向けて突き出させることにより、排水口が冷却液タンクの上面側に位置する姿勢でも、冷却液タンク内の空気が排水口から流出することを抑制できる。
(4)給水口及び排水口の両方を冷却液タンク内に向けて突き出させる場合に、給水口と排水口とを冷却液タンク内で互いに対向する向きに突き出させることにより、給水口及び排水口の両方を、冷却液タンク内の略中心部に向けて十分な長さだけ突き出させることができ、且つ、冷却液タンク内での冷却液の流路抵抗の増加を抑制することができる。
(5)排水口から冷却液タンク内に排出された冷却液が衝突する位置に板状部材を設け、この板状部材の周囲に、この板状部材に衝突した冷却液を給水口側に流すための開口部分を設けることにより、冷却液タンク内での冷却液の流速を低下させて、より多くの気泡を除去することができる。したがって、液冷システムによって液晶パネルをより効率的に冷却することができる。
(6)冷却液タンク内で排水口と給水口とを網目状の部材によって仕切ることにより、冷却液中の気泡がこの網目状部材でせき止められるので、小さな気泡も除去することができる。したがって、液冷システムによって液晶パネルをより効率的に冷却することができる。
なお、図5の例では、十字形状の仕切り板4を設けている。しかし、十字形状以外の適宜の形状(例えば円形または多角形)の板状部材を、排水口3から冷却液タンク1内に排出された冷却液が衝突する位置に設けるとともに、その板状部材の周囲に、その板状部材に衝突した冷却液を給水口2側に流すための開口部分を設けるようにしてもよい。
また、図7の例では、1枚のメッシュ5のみを設けている。しかし、互いに網目の大きさの異なる複数枚のメッシュを、重ねて設けるようにしてもよい。それにより、様々な大きさの気泡を、それらのメッシュでより多くせき止めることができる。
あるいはまた、網目の大きさが同じメッシュを、網目の位置を互いにずらしたり、網目の配列方向を互いに傾けたりして、複数枚重ねて設けるようにしてもよい。それにより、実質的な網目の大きさが、1枚1枚のメッシュの網目の大きさよりも小さくなるので、より一層小さな気泡をせき止めることができる。
また、以上の例では、給水口2と排水口3とを、冷却液タンク1の互いに対向する壁面に設けている。しかし、これに限らず、給水口2と排水口3とを、冷却液タンク1の互いに隣り合う壁面に設けたり、冷却液タンク1の同一の壁面に設けてもよい。
また、以上の例では、給水口2と排水口3との両方を、冷却液タンク1内の中心部に向けて突き出させている。しかし、別の例として、給水口2だけを、冷却液タンク1内の中心部に向けて突き出させる(あるいは、冷却液タンク1内に適宜の向きに突き出させる)ようにしてもよい。
冷却液タンク1内の空気は、給水口2からは冷却液CLの流れに沿って流出しやすいのに対し、排水口3からは、冷却液CLの流れに逆らうことになるので流出しにくい。そこで、このように給水口2だけを冷却液タンク1内に向けて突き出させても、冷却液タンク1からの空気の流出をかなり抑制することができる。
また、以上の例では、透過型の液晶パネルを用いた液晶プロジェクターにおいて、液晶パネルの光源側の面とその反対側の面とのうちの少なくとも一方を冷却するために本発明を適用している。しかし、これに限らず、反射の液晶パネルを用いた液晶プロジェクターにおいて、液晶パネルの光源側の面を冷却するために本発明を適用してもよい。また、液晶プロジェクターやその他の投射型表示装置において、照明光学系を冷却するために本発明を適用してもよい。さらには、投射型表示装置以外の装置(例えば、モバイル型のパーソナルコンピュータや、本体を縦向き・横向きのいずれにも設置可能なデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等)において、装置内の部品を冷却するために本発明を適用してもよい。
本発明を適用した液晶プロジェクターの光学系を示す図である。 図1の液晶プロジェクターに搭載された循環式の液冷システムの構成を示す図である。 図2の冷却液タンクの構造の一例を示す図である。 図3の冷却液タンクの姿勢が傾いた状態を例示する図である。 図2の冷却液タンクの構造の別の例を示す図である。 図5の構造の冷却液タンクによる気泡抜きの原理を示す図である。 図2の冷却液タンクの構造の別の例を示す図である。 図7の構造の冷却液タンクによる気泡抜きの原理を示す図である。 従来の冷却液タンクの一般的な構造を示す図である。 図9の冷却液タンクの姿勢が傾いた状態を例示する図である。
符号の説明
1 冷却液タンク、 2 給水口、 2a,2b 給水口の開口端、 3 排水口、 3a,3b 排水口の開口端、 4 仕切り板、 5 メッシュ、 11,12,13 ジャケット、 14 ポンプ、 15 ラジエータ、 34(R),34(G),34(B) 液晶パネル、 35 クロスプリズム、 41〜46 配管

Claims (9)

  1. 循環式の液冷システムに用いる冷却液タンクにおいて、
    冷却対象物を冷却した冷却液を前記冷却液タンク内に排出するための排水口と、前記冷却液タンクから前記冷却対象物に冷却液を供給するための給水口とのうち、少なくとも前記給水口が、前記冷却液タンク内に向けて突き出している
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  2. 請求項1に記載の冷却液タンクにおいて、
    少なくとも前記給水口が、前記冷却液タンク内の略中心部に向けて突き出している
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  3. 請求項1に記載の冷却液タンクにおいて、
    前記給水口及び前記排水口の両方が、前記冷却液タンク内に向けて突き出している
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  4. 請求項3に記載の冷却液タンクにおいて、
    前記給水口と前記排水口とが、前記冷却液タンク内で互いに対向する向きに突き出している
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  5. 請求項1に記載の冷却液タンクにおいて、
    前記排水口から前記冷却液タンク内に排出された冷却液が衝突する位置に板状部材が設けられており、
    前記板状部材の周囲に、前記板状部材に衝突した冷却液を前記給水口側に流すための開口部分が存在する
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  6. 請求項1に記載の冷却液タンクにおいて、
    前記冷却液タンク内において、前記排水口と前記給水口とが網目状の部材で仕切られている
    ことを特徴とする冷却液タンク。
  7. 循環式の液冷システムを搭載した投射型表示装置において、
    前記液冷システムに冷却液タンクが用いられており、
    前記冷却液タンクは、冷却対象物を冷却した冷却液を前記冷却液タンク内に排出するための排水口と、前記冷却液タンクから前記冷却対象物に冷却液を供給するための給水口とのうち、少なくとも前記給水口が、前記冷却液タンク内に向けて突き出している
    ことを特徴とする投射型表示装置。
  8. 請求項7に記載の投射型表示装置において、
    前記冷却液タンクは、
    前記排水口から前記冷却液タンク内に排出された冷却液が衝突する位置に板状部材が設けられており、
    前記板状部材の周囲に、前記板状部材に衝突した冷却液を前記給水口側に流すための開口部分が存在する
    ことを特徴とする投射型表示装置。
  9. 請求項7に記載の投射型表示装置において、
    前記冷却液タンク内において、前記排水口と前記給水口とが網目状の部材で仕切られている
    ことを特徴とする投射型表示装置。
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