JP2006225695A - 鉛フリーはんだ付け装置部材 - Google Patents

鉛フリーはんだ付け装置部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2006225695A
JP2006225695A JP2005038633A JP2005038633A JP2006225695A JP 2006225695 A JP2006225695 A JP 2006225695A JP 2005038633 A JP2005038633 A JP 2005038633A JP 2005038633 A JP2005038633 A JP 2005038633A JP 2006225695 A JP2006225695 A JP 2006225695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lead
based alloy
free soldering
mass
free
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005038633A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuo Sugawara
克生 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2005038633A priority Critical patent/JP2006225695A/ja
Publication of JP2006225695A publication Critical patent/JP2006225695A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】鉛フリーはんだ、特に溶融状態のSn−Ag系鉛フリーはんだに対する耐性が優れたFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材を提供する。
【解決手段】Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらに必要に応じて、(a)Al:0.05〜0.30%、(b)La:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種、(c)Mg:0.001〜0.05%、の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、鉛フリーはんだ、特に溶融状態のSn−Ag系の鉛フリーはんだに対する耐性が優れたFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材に関するものである。
近年、環境問題に関する関心が高まり、例えば、ヨーロッパでは電子機器などへの有害物質の含有を規制することが決定されている。その規制物質の1つとして鉛が取り上げられている。鉛は電子部品の接合に用いられているはんだの主成分であることから、鉛を全く使用しないSn−Ag系の鉛フリーはんだ(鉛フリーはんだであるSn−Ag系はんだの組成としてはSn−3.0%Ag−0.1%Ni、Sn−3.5%Ag−0.5%Cuなどが知られている)が開発され、従来の鉛はんだとの置き換えが進みつつある。ところが、鉛フリーはんだである前記Sn−Ag系はんだは、従来の鉛はんだに比べて反応性が高くかつ溶融温度が高く、そのために従来から使用されているSUS304(Cr:18〜20質量%、Fe:8〜10.5質量%、残部:Feおよび不可避不純物)、SUS309S(Cr:22〜24質量%、Fe:12〜15質量%、残部:Feおよび不可避不純物)、SUS316(Cr:16〜18質量%、Fe:10〜14質量%、Mo:2〜3質量%、残部:Feおよび不可避不純物)などのステンレス鋼で作製したはんだ付け装置では損傷に耐えられないことが明らかとなっている。
鉛フリーはんだに対するはんだ付け装置の損傷を少しでもやわらげるために、はんだ付け装置を構成するステンレス鋼表面をセラミックコーティングしたり、ステンレス鋼表面に窒化層を設けるなどして装置の溶融鉛フリーはんだに対する耐性を改善しようとしている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4などを参照)。
FEKKEI ELECTROFECS 2003.9.1 第49〜52頁 FEKKEI ELECTROFECS 2004.1.5 第91〜98頁 FEKKEI ELECTROFECS 2004.2.2 第37頁 FEKKEI ELECTROFECS 2004.2.16 第35頁
しかし、セラミックコーティングまたは窒化処理などの表面処理をすると、溶接などによる補修が容易にできなかったり、チューブ部材内面などの複雑形状の部材にはこうした処理が施せないなどの課題があり、そのために、コーティングまたは窒化処理などの表面処理せずに使用できる溶融鉛フリーはんだに対する耐性の高い材料が求められていた。
そこで、本発明者は、Fe基合金に着目し、種々の添加元素を最適化することにより、溶融する鉛フリーはんだに対する耐性に優れた金属材料を得るべく鋭意研究を行った。
その結果、質量%(以下、%は質量%を示す)でNi:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらに必要に応じて下記の、
(a)Al:0.05〜0.30%、
(b)La:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種、
(c)Mg:0.001〜0.05%、
の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金は、溶融する鉛フリーはんだに対する耐性に優れ、したがって、このFe基合金で作製したはんだ付け装置は、溶接部を含め、溶融する鉛フリーはんだに対する耐性が格段に上昇することから、使用寿命が格段に長くなる、という知見を得たのである。
この発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、
(1)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(2)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(3)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(4)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(5)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(6)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(7)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、
(8)質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材、に特徴を有するものである。
この発明のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材は、はんだ槽、噴射ノズル、プロペラ、シャフト、ダクトなどの鉛フリーはんだ付け装置の各種構成部品の部材として有効である。したがって、この発明は、
(9)前記(1)〜(8)の内のいずれかに記載のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置用はんだ槽、
(10)前記(1)〜(8)の内のいずれかに記載のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置用噴射ノズル、
(11)前記(1)〜(8)の内のいずれかに記載のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置用プロペラ、
(12)前記(1)〜(8)の内のいずれかに記載のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置用シャフト、
(13)前記(1)〜(8)の内のいずれかに記載のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置用ダクト、に特徴を有するものである。
次に、この発明の鉛フリーはんだ付け装置部材の合金組成における各元素の限定理由について詳述する。
Ni,Co:
NiおよびCoは、母相の結晶構造であるオーステナイト構造を安定化させる元素である。母相をオーステナイトに安定化させることによって、加工性を向上させることやCr,W,Mo等の有効な合金元素を多量に固溶させることにより、溶融鉛フリーはんだに対する耐性(耐食性、耐摩耗性)を向上させることができる。ベースであるFeにNiとCoを所定の量含有させることにより、元来フェライト構造であるFeをオーステナイト構造を安定化させることが可能となる。したがって、FeにNiおよびCoを共存させてベースとすることが必要である。特にCoは上述の特性に加えて、溶融鉛フリーはんだに対する耐摩耗性を向上する効果がある。しかし、Coの含有量が16%未満ではその効果が十分に発揮されず、一方、22%を越えれ含有すると、Fe、NiおよびCoが共存してベースとなる合金においては加工性が劣化する傾向が現れるようになるので好ましくない。したがって、Coの含有量を16.0〜22.0%に定めた。Co含有量の一層好ましい範囲は17.0〜21.0%である。
また、Niは上述の特性に加えて、特に加工性を向上させる効果がある。これらの効果を発揮させるためにはNiを18%以上含有させる必要があるが、22%を越えて含有すると、共存するCoによる溶融鉛フリーはんだに対する耐摩耗性効果を損なう傾向が現れることから好ましくない。したがって、Niの含有量を18.0〜22.0%に定めた。Ni含有量の一層好ましい範囲は19.0〜21.0%である。
Cr:
Crは、表面に濃縮して薄くて緻密なCrを主体とする不働態被膜を形成することにより、溶融する鉛フリーはんだである溶融するSn−Ag系はんだが直接はんだ付け装置部材と接して反応してしまうことを阻害する効果があるが、Crを18%未満含有しても所望の効果が得られず、一方、25%を超えて含有すると加工が困難となる。従って、この発明のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材に含まれるCrは18〜25%に定めた。一層好ましくは、18〜22%である。
Mo:
Moは、不働態被膜の主成分となるCrの形成を促進すると同時に不働態被膜の再生能を高める効果があり、結果として溶融鉛フリーはんだ中における耐性の向上をもたらす効果があるが、Moを0.05%未満を含有しても所望の効果が得られず、一方、4%を越えて含有すると、必要元素として添加するSiと金属間化合物を形成し、脆化傾向が現れ、形状付与が困難となるので好ましくない。したがって、Moの含有量を1〜4%に定めた。一層好ましい範囲は2〜4%である。
W:
Wは、耐摩耗性を向上させることにより、溶融鉛フリーはんだによる損傷を抑制する効果があるが、Wを1%未満含有させても所望の効果が得られず、一方、Wを4%を超えて含有するとオーステナイトを不安定にし、結果的に加工が困難となる傾向をもたらす。したがって、Wの含有量を1〜4%に定めた。一層好ましくは1.5〜3.5%である。
C:
Cは同時に含有するWと共に硬化相であるWCを形成し、これを微細に分散させることで溶融鉛フリーはんだに対する耐摩耗性を著しく向上させる作用があるが、Cは0.05%未満を含有しても所望の効果が得られず、一方、0.2%を越えて含有すると、合金が脆化し、板などへの形状付与が困難となるので好ましくない。したがって、Cの含有量を0.05〜0.2%に定めた。一層好ましい範囲は0.06〜0.18%である。
N、Mn:
NおよびMnを共存させることにより、母相であるオーステナイトを安定化させることができる。すなわち、NおよびMnは母相であるFe−Co−Niオーステナイト相を安定化させ、CrおよびMoの固溶化を促進し、W、Nb、Ta等の炭化物安定元素からなる炭化物を除く第2相(Cr炭化物は含まれる)を析出し難くし、溶接部とその熱影響部における溶融鉛フリーはんだに対する耐性劣化を抑制する効果がある。しかし、Nの含有量が0.05%未満では相安定化の効果が無く、したがって、溶接部の耐性が劣化するのを抑制する効果がなく、一方、0.3%を越えて含有すると、窒化物を形成し、高温加工性が劣化し、その結果、形状付与をが困難になる。したがって、Nの含有量を0.05〜0.3%に定めた。N含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.20%である。同様に、Mn含有量が0.5%未満未満では相安定化の効果が無く、一方、2.0%を超えて含有すると相安定性を損ね、溶接部やその熱影響部の耐性が劣化するので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.5〜2.0%(一層好ましくは、0.8〜1.8%)とした。
Si:
Siは酸素との親和性が高いために表面にSiOを形成し、Crと共に溶融する鉛フリーはんだであるSn−Ag合金が直接金属と接して反応してしまうことを阻害する効果があるが、Siを0.1%未満含有しても所望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有すると、合金の脆化が顕在化し、板などへの形状付与が困難となるので好ましくない。したがって、Siの含有量を0.1〜1.0%に定めた。一層好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
Nb,Ta:
NbおよびTaは共にCとの親和性が高く、NbCやTaCといった炭化物を形成し、これら炭化物は素地中に微細に分散し、材料の溶融鉛フリーはんだ中における耐摩耗性を向上させることにより溶融鉛フリーはんだに対する損傷を低減させる作用があるが、Nbの含有量が0.1%未満では炭化物の形成が十分になされないことからその効果が無く、一方、1.0%を越えて含有すると大量の炭化物析出に伴い脆化傾向が現れるので好ましくない。したがって、Nbの含有量を0.1〜1.0%に定めた。一層好ましくは0.2〜0.9%である。
同様に、Taの含有量が0.1%未満では炭化物の形成が十分になされないことからその効果が無く、一方、1.0%を越えて含有すると大量の炭化物析出に伴い脆化傾向が現れるので好ましくない。したがって、Taの含有量を0.1〜1.0%に定めた。一層好ましくは0.2〜0.9%である。
Al:
Alは酸素との親和性が高いために表面にAl皮膜を形成することによりSiOやCrと共に溶融する鉛フリーはんだであるSn−Ag合金が直接金属と接して反応してしまうことを阻害する効果があるので必要に応じて添加するが、Alを0.05%未満添加しても所望の効果が得られず、一方、0.3%を越えて添加すると、溶融鉛フリーはんだに対する耐性が劣化するので好ましくない。したがって、Alの添加量は0.05〜0.30%に定めた。一層好ましい範囲は0.1〜0.2%である。
LaおよびZr:
これら成分は、微量に添加することにより、溶融鉛フリーはんだ中で形成されるFe基合金の表面皮膜の密着性を向上させることにより溶融鉛フリーはんだに対する耐性を向上させる効果があるところから、必要に応じて添加される。しかし、Laの含有量が0.005%未満では所望の効果が得られず、一方、0.040%を越えて含有すると、逆に表面皮膜は剥離し易くなり、有害となるので好ましくない。したがって、Laの含有量を0.005〜0.040%に定めた。Laの含有量の一層好ましい範囲は0.010〜0.030%である。
同様に、Zrの含有量が0.005%未満ではFe基合金の表面皮膜の密着性を向上させるに十分な効果が得られず、一方、0.040%を越えて含有すると、逆に表面皮膜は剥離し易くなり、有害となるので好ましくない。したがって、Ceの含有量を0.005〜0.040%に定めた。Ceの含有量の一層好ましい範囲は0.010〜0.030%である。
Mg:
MgはMnと共存させることにより母相の結晶構造であるオーステナイト構造を安定化させ、それにより脆化を抑制し、形状付与を容易にするという効果があるので必要に応じて添加するが、Mgの含有量が0.001%未満では所望の効果が発揮されず、一方、0.05%を超えて含有すると、逆に相安定性を劣化させ加工を困難にさせてしまうので好ましくない。したがって、Mgの含有量を0.001〜0.05%(一層好ましくは、0.002%〜0.010%)とした。
不可避不純物:
不可避不純物としてはPやSなどが挙げられるが、これら不純物は、高温加工などの合金製造時における割れや溶接部における高温割れの原因となる。したがって、できるだけ低減することが望ましい。
この発明のFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材は、鉛フリーはんだに対する耐性、特に溶接部に対する耐性が優れており、したがって、この部材で作製した鉛フリーはんだ付け装置は長期間損傷することなく使用することができ、電子・電気産業上優れた効果をもたらすものである。
通常の高周波溶解炉を用いて溶解し鋳造して表1〜4に示される成分組成を有するFe基合金からなる厚さ:40mm、重さ:約5kgを有するインゴットを作製した。このインゴットを1230℃で10時間均質化熱処理を施し、1000〜1230℃の範囲内に保持しながら、1回の熱間圧延で1mmの厚さを減少させつつ最終的に厚さ:3mmの薄板とし、ついで1200℃で30分間保持し水焼入れすることにより固溶化処理を施し、表面をバフ研磨することにより本発明鉛フリーはんだ付け装置部材(以下、本発明部材という)1〜36および比較鉛フリーはんだ付け装置部材(以下、比較部材という)1〜22からなる薄板を作製した。
さらに、SUS304からなる厚さ:3mmの従来鉛フリーはんだ付け装置部材(以下、従来部材という)を用意した。
さらに、鉛フリーはんだの基本組成として知られているSn−3.0%Ag−0.1%Niの組成の鉛フリーはんだを用意した。
前記本発明部材1〜36、比較部材1〜22および従来部材からなる薄板をそれぞれ縦:30mm、横:20mm、厚さ:3mmの寸法に切断して溶接無し試験片を作製し、さらに前記本発明部材1〜36、比較部材1〜22および従来部材からなる厚さ:3mmの薄板をアルゴンアーク溶接器を用いて同材種の突き合わせ溶接を行い、突き合わせ溶接部を含む板から溶接ビードを中央に位置するように縦:30mm、横:20mmの寸法に切断して溶接有り試験片を作製した。これら試験片の表面を研磨し、最終的に耐水エメリー紙#400仕上げの表面研摩したのち、これらをアセトン中超音波振動状態に5分間保持し脱脂した。
さらに、Sn−3.0%Ag−0.1%Niの組成の鉛フリーはんだを470℃に加熱しこの温度に保持することにより溶融鉛フリーはんだを作製した。この溶融鉛フリーはんだを撹拌翼により対流させ、この対流している溶融鉛フリーはんだに前記溶接無し試験片および溶接有り試験片を浸漬し、1000時間保持した。1000時間保持後、溶接無し試験片および溶接有り試験片を取出し、溶接無し試験片の断面および溶接有り試験片の溶接部の断面を光学顕微鏡により観察し、母材部および溶接部の最大侵食深さを測定し、その結果を表5に示し、溶融鉛フリーはんだに対する耐性を評価した。
Figure 2006225695
Figure 2006225695
Figure 2006225695
Figure 2006225695
Figure 2006225695
表1〜5に示された結果から、本発明部材1〜36の溶接無し試験片の最大侵食深さは、従来部材であるSUS304ステンレス鋼の溶接無し試験片の最大侵食深さに比べて小さく、さらに本発明部材1〜36の溶接有り試験片の溶接部における最大侵食深さは従来部材であるSUS304ステンレス鋼の溶接有り試験片の溶接部における最大侵食深さに比べて一層小さくいところから、本発明部材1〜36は、従来部材に比べて鉛フリーはんだに対する耐食性、特に溶接部に対する耐食性に優れていることが分かる。
しかし、この発明から外れた比較部材1〜22の溶接有り試験片は溶接部の耐性が劣っていたり、溶接無し試験片および溶接有り試験片の溶接部の両方の耐性が劣っていたり、さらに板に加工する途中で割れが発生するものがあったりして好ましくない特性が有ることが分かる。

Claims (13)

  1. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  2. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  3. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  4. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  5. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  6. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  7. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  8. 質量%で、Ni:18〜22%、Co:16〜22%、Cr:18〜25%、Mo:1〜4%、W:1〜4%、C:0.05〜0.2%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、N:0.05〜0.3%を含有し、さらにTa:0.1〜1.0%およびNb:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらにAl:0.05〜0.30%を含有し、さらにLa:0.005〜0.040%およびZr:0.005〜0.040%の内の1種または2種を含有し、さらにMg:0.001〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有するFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置部材。
  9. 請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載のFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置用はんだ槽。
  10. 請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載のFe基合金からなることを特徴とするFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置用噴射ノズル。
  11. 請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載のFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置用プロペラ。
  12. 請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載のFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置用シャフト。
  13. 請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載のFe基合金からなることを特徴とする鉛フリーはんだ付け装置用ダクト。
JP2005038633A 2005-02-16 2005-02-16 鉛フリーはんだ付け装置部材 Withdrawn JP2006225695A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005038633A JP2006225695A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 鉛フリーはんだ付け装置部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005038633A JP2006225695A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 鉛フリーはんだ付け装置部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006225695A true JP2006225695A (ja) 2006-08-31

Family

ID=36987319

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005038633A Withdrawn JP2006225695A (ja) 2005-02-16 2005-02-16 鉛フリーはんだ付け装置部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006225695A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031809A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Mitsubishi Materials Corp 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたFe基合金およびそのFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
CN113977132A (zh) * 2014-08-18 2022-01-28 (株)庆东One 无铅焊料合金组合物和用于制备无铅焊料合金的方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031809A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Mitsubishi Materials Corp 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたFe基合金およびそのFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
CN113977132A (zh) * 2014-08-18 2022-01-28 (株)庆东One 无铅焊料合金组合物和用于制备无铅焊料合金的方法
CN113977132B (zh) * 2014-08-18 2024-03-19 (株)庆东One 无铅焊料合金组合物和用于制备无铅焊料合金的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5381677B2 (ja) 溶接ワイヤの製造方法
WO2013077113A1 (ja) 濡れ広がり性と耐食性に優れたNi-Cr系ろう材
WO2019070000A1 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属および溶接構造物
JP6439795B2 (ja) ろう付け用Ni基アモルファス合金薄帯、それを用いたステンレス鋼製接合物
WO2012063511A1 (ja) 高靭性コバルト基合金とそれを盛金したエンジンバルブ
JP4941267B2 (ja) オーステナイト系高合金溶接継手およびオーステナイト系高合金溶接材料
JP2006315080A (ja) 低温靱性と耐海水腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼製溶接構造物
JP2006257541A (ja) 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたCo基合金およびそのCo基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
JP2018183790A (ja) 微量のVを含有するNi−Cr基合金ろう材
JP6271269B2 (ja) 溶射時の再溶融処理時の湯流れ性を抑えたNi基自溶性合金粉末およびその粉末を用いた耐食性、耐摩耗性に優れた部品
JP6257454B2 (ja) 肉盛溶接金属及び機械構造物
JP2006225695A (ja) 鉛フリーはんだ付け装置部材
JP3241342B2 (ja) 高張力鋼用ミグ溶接ワイヤ
JP2006075853A (ja) オーステナイト系合金鋼のレーザ溶接継手およびその製造方法
JP4857629B2 (ja) 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたCo基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
JP5337665B2 (ja) Mag溶接用ソリッドワイヤ
JP7370170B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤ及びその製造方法
JP2007136509A (ja) 連続鋳造ロール肉盛用溶接材料およびロール
JP2021049583A (ja) 厚肉鋼材のアーク溶接用の高クロムクリープ抵抗性溶接金属
JP4273339B2 (ja) 高Cr鋼の溶接継手および溶接材料
JP4857641B2 (ja) 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
JP2007508149A (ja) 金属部材を鑞接する方法
JP6331746B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼溶接ワイヤ
WO2007007797A1 (ja) 溶融鉛フリーはんだに対する耐侵食性に優れたCo基合金またはFe基合金およびそのCo基合金またはFe基合金からなる鉛フリーはんだ付け装置部材
EP3231548B1 (en) Methods of brazing wide gaps in nickel base superalloys without substantial degradation of properties

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080513