JP2006225202A - 出銑孔閉塞材 - Google Patents

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正和 飯田
Eizo Maeda
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【課題】溶銑とスラグの双方に対して耐食性が良好で、中型から大型の高炉に対して好適に用いることが可能な出銑孔閉塞材を提供する。
【解決手段】耐火骨材および耐火微粉末からなる粉体を、タールおよび/またはレジンと混練することにより形成される出銑孔閉塞材において、粒径が45μm以下の粉体部分における組成を、炭化珪素3〜50質量%、窒化珪素10〜60質量%、金属アルミニウム0.2〜10質量%の範囲内とし、かつ、粒径が45μm以下の粉体部分の、粉体の全量に対する割合を、25〜70質量%の範囲とする。
また、酸化アルミニウムを、Al23として、粉体の全量に対して2〜20質量%の割合で配合する。
【選択図】図3

Description

本発明は、出銑孔閉塞材に関し、詳しくは、高炉の出銑孔に充填して出銑孔を閉塞するために用いられる出銑孔閉塞材に関する。
高炉の安定操業にとって、出銑孔閉塞材の性能の重要が増大している。特に近年の高炉の大型化、高圧化に伴う出銑滓速度の上昇により、出銑孔閉塞材にはより高い耐久性が要求されるようになっている。
これに対してスピネルを含有させることにより、耐久性の向上を図った出銑孔閉塞材が提案されている(特許文献1)。
また、粒径が5−10mmの粗骨材を含む出銑孔閉塞材が提案され(特許文献2)、さらに、マグネシア、カーボンとアルミナからなる出銑孔閉塞材も提案されている(特許文献3)。
さらに、窒化珪素または窒化珪素鉄の添加により高耐久性を付与した出銑孔閉塞材も多く提案されている(特許文献3,4,5,6,7,8,9)。
また、20μm以下の範囲の組成として炭化珪素が5〜80%、アルミナ+シリカが3〜35%の組成を有する出銑孔閉塞材も提案されている(特許文献10)。この出銑孔閉塞材は、溶銑のみ、または溶銑主体に流出する出銑初期の孔拡大を促進し、出銑初期の排出を促進することにより貯銑滓レベルの上昇を抑制し、スラグのみ、またはスラグ主体に流出する出銑後期の孔拡大を抑制し、出銑時間を延長することを意図するものであり、微粉部に炭化珪素を多量に存在させることにより、溶銑に対して損耗しやすくする一方で、スラグに対する耐食性を向上させるようにしている。
この出銑孔閉塞材は、出銑初期の排出を促進しつつ、出銑末期の出銑孔の損耗を抑制することに関して有効であるのみならず、出銑孔閉塞材の炉内堆積物のうち、スラグのみに接触している部分の溶損の抑制に対しても有効である。また、高熱伝導率、低比熱であることから乾燥特性にも優れたものが得られるという特徴を有している。
また、出銑孔の損耗という観点から見た場合、このような設計の出銑孔閉塞材は、出銑初期は溶銑主体、出銑後期はスラグ主体で内容物が流出する、炉内容積が500m3以下の高炉に適用した場合に、良好な結果を得ることが可能になる。
しかし、炉内容積が2000m3を超えるような高炉は炉床径が広いため、現実には、開孔直後からスラグが流出する。すなわち、出銑初期(前半)も溶銑とスラグの流出体積速度比率は2:1程度であり、溶銑主体と言える状況ではない。また、出銑後期も溶銑とスラグの流出体積速度比率は1:1〜1:1.5程度であり、スラグ主体の出銑とはならない。そのため、大型高炉に適用した場合には、意図した効果が得られないという問題点がある。
また、貯銑滓レベルの上昇に関しては、近年の高耐久性出銑孔閉塞材の改良と平行して、開孔設備についても、ドリルの水冷化や回転、押し付けの油圧化などの改良が図られ、開孔径を大きくすることにより、初期の貯銑滓レベルの上昇を抑制することができるようになっている。
しかしながら、開孔径を大きくすると、出銑時間の低下につながるため、特に中型から大型の高炉に対しては、溶銑とスラグの双方に対して耐食性の良好な出銑孔閉塞材が必要とされるようになっている。
特開平03−279271号公報 特開平08−119753号公報 特開昭61−122170号公報 特開平01−131080号公報 特開平02−285014号公報 特開平02−285015号公報 特開平07−33539号公報 特開平09−132471号公報 特開平10−36177号公報 特開2002−160981号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、溶銑とスラグの双方に対して耐食性が良好で、中型から大型の高炉に対して好適に用いることが可能な出銑孔閉塞材を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決するため、溶銑、スラグ双方に対する出銑孔閉塞材の耐食性について、種々の検討を行い、窒化珪素に着目してマトリックスの組成を制御することにより、溶銑とスラグの双方に対する耐食性を向上させることが可能になるという知見を得た。
そして、さらに種々の、実験、検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(請求項1)の出銑孔閉塞材は、
耐火骨材および耐火微粉末からなる粉体を、タールおよび/またはレジンと混練することにより形成される出銑孔閉塞材において、
粒径が45μm以下の粉体部分における組成が、炭化珪素3〜50質量%、窒化珪素10〜60質量%、金属アルミニウム0.2〜10質量%の範囲内にあり、かつ、
粒径が45μm以下の粉体部分の、前記粉体の全量に対する割合が、25〜70質量%であること
を特徴としている。
高温の出銑孔閉塞材中で窒化珪素は、酸化物と酸素、窒素のやりとりを行い、酸窒化珪素組成の液相を形成する。そして、この液相は、溶銑に容易に溶解する。しかしながら、この液相にアルミニウムが拡散し、SIALON(silicon-aluminum-nitride-oxide)組成が形成されると、溶銑への溶解量は急激に減少する。SIALONは酸化物と比較してスラグに対する耐食性が良好であるため、溶銑およびスラグのいずれに対しても耐食性の良好なマトリックスを得ることができる。この性質を応用し、窒化珪素を炭化珪素と組み合わせることにより、粒径が45μm以下の粉体部分(微粉部)に多量の炭化珪素を含有しながらも、溶銑に対する耐食性の良好な出銑孔閉塞材を得ることが可能になる。
すなわち、上述の特許文献10(特開2002−160981)にも詳細に述べられているように、炭化珪素は溶銑中に溶解するが、本発明の出銑孔閉塞材においては、SIALONが微細なネットワークを形成して、出銑孔の溶銑への損耗を抑制する機能を果たす。
一方、炉内において、スラグのみに接触している部分に関しては、粒径が45μm以下の粉体部分(微粉部)に配合した炭化珪素の高い耐食性が有効に作用し、出銑孔閉塞材の炉内堆積物の損耗を小さく抑えることができる。また、炭化珪素の効果による、乾燥性が良好であるという特徴も維持される。
このような観点から、粒径が45μm以下の粉体部分に占める炭化珪素量は3〜50質量%とすることが好ましい。これは、粒径が45μm以下の粉体部分に占める炭化珪素量が3質量%未満になると、意図するような高耐食性を確保することができず、また、炭化珪素量が50質量%を超えると、炭化珪素含有量が多くなりすぎて、SIALONのネットワークをもってしても溶銑への溶解を抑制することができなくなることによる。
なお、粒径が45μm以下の粉体部分に占める炭化珪素量のさらに好ましい範囲は5〜30質量%の範囲である。
また、窒化珪素はSIALONのネットワークを構成するために必要である。そのためには、粒径が45μm以下の粉体部分に窒化珪素を10質量%以上含有させることが必要である。さらに、窒化珪素は出銑孔閉塞材の耐食性を向上させる機能を有しているので、耐久性の観点からは含有量を増やすことが望ましいが、窒化珪素を、粒径が45μm以下の粉体部分の60質量%を超えて含有させても、それ以上の効果を得ることはできない。したがって、粒径が45μm以下の部分に占める窒化珪素の割合は10〜60質量%の範囲とすることが適当である。
また、上述のような本発明の効果以外に、耐食性や経済性を考慮すれば、窒化珪素の割合を、粒径が45μm以下の粉体部分の20〜50質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
なお、本発明においては、粒径が45μm以下の部分における窒化珪素の量を規定しているが、窒化珪素は窒化珪素鉄として含有されていてもよく、窒化珪素成分が上記範囲内であれば本発明の効果を得ることができる。
次に、アルミニウム源の選定について説明する。出銑孔は固相の炭素が共存しており、CO分圧がほぼ1atmの雰囲気であるとみなしてよい。このような雰囲気においてアルミニウムが金属で存在すると、AlO(g)などの気相で拡散するため、少量でも広範囲にわたるSIALON形成が可能になる。したがって、金属アルミニウム粉末が最も効率よくSIALONの形成に寄与するアルミニウム源であるということができる。
したがって、上述のようなSIALON組成を得るためには、粒径が45μm以下の粉体部分における金属アルミニウム量を0.2質量%以上、10質量%以下の範囲とすることが望ましい。
なお、金属アルミニウム量を0.2質量%以上、10質量%以下の範囲としたのは、粒径が45μm以下の粉体部分における金属アルミニウム量が0.2質量%未満になるとSIALONを形成する効果が不十分になり、また、10質量%を超えて添加しても効果の顕著な向上がなく、原料コストの増大を招くことによる。
さらに、効果と経済性を考慮すると、粒径が45μm以下の粉体部分に対する金属アルミニウムの添加量は1〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。
なお、上記の説明から明らかなように、Alを含む金属であれば同様な効果が期待できることは容易に類推可能であり、Alを含む合金、すなわちAl−Siや、Al−Mgなどの粉末を用いた場合にも、Al量が本発明の範囲を満たしていれば同様の効果を得ることができる。また、Alを含む合金の種類についても特別の制約はない。
また、粒径が45μm以下の粉体部分の量は、粉体の全量に対して25〜70質量%の範囲に維持される必要がある。粒径が45μm以下の粉体部分の量が25質量%未満になると、出銑孔閉塞材の充填時の良好な滑り性能を確保することができなくなる。また、70質量%を超えると、粉体の全量に対する粒径が45μm以下の粉体部分の量が多くなりすぎて、緻密な出銑孔を得ることができなくなる。
なお、ここに示した窒化珪素、および、金属アルミニウムについて、特許文献10(特開2002−160981)においても使用可能であると記載されているが、本発明のような組成に限定することに関しては何らの示唆もされていない。すなわち、特許文献10はスラグに対する耐食性を向上させる一方で、溶銑に対する耐食性を低下させることを特徴としており、本発明のような配合とすると、特許文献10が意図した出銑孔閉塞材が得られなくなる。
また、本発明の出銑孔閉塞材は、上記組成範囲を満たしている限り、その他の組成物を含有することは可能である。
特に、アルミナなどの酸化アルミニウムの微粉を含有させることにより、本発明の効果をさらに強化することができる。アルミナ(Al23)などの酸化アルミニウムは安定であり、該当雰囲気で酸素を解離して、AlO(g)を生成させることはない。しかし、SIALONネットワークの強固な骨格を形成する作用があり、微粉末で添加することにより、溶銑に対する耐食性をさらに向上させることが可能になる。
このような酸化アルミニウムの添加効果を得るためには、75μm以下の微粉末の酸化アルミニウムを用いる必要がある。また、酸化アルミニウムの添加量としては、Al23として、粉体の全量に対して2〜20質量%の割合で添加することが望ましく、3〜10質量%の割合で添加することがさらに好ましい。
なお、添加量が2質量%未満であれば、SIALONネットワークの骨格を形成して、溶銑に対する耐食性を向上させるという効果が十分に得られず、また、20質量%を超えて添加しても、顕著な効果の向上が認められず、むしろ微粉部分での非酸化物の量が相対的に低下し、スラグに対する耐食性を低下させることになる。
また、カーボンブラックを配合することも特性の向上に有効である。本発明の出銑孔閉塞材においては、粒径が45μm以下の粉体部分(微粉部)に炭化珪素を比較的多量に含有させることにより、乾燥性を良好にすることが可能になるが、カーボンブラックを配合することにより乾燥性をさらに向上させることができる。
また、カーボンブラックは球状の微細粉末で、滑り性がよく、出銑孔閉塞材の適正な変形性能を維持するために必要なバインダー量を低減させる効果がある。したがって、出銑孔内部の熱のうち、バインダーに由来する揮発分が蒸発する際の気化熱として消費される量を小さくすることができる。さらに、カーボンブラックは非常に比熱の小さい物質であるため、その添加により出銑孔閉塞材内部での熱伝導速度を高める効果を得ることができる。また、このようなバインダー量の低減はバインダーに含有される揮発分量の低減につながり、乾燥後の出銑孔閉塞材の緻密化や、耐久性の向上にもつながる。
さらに、カーボンブラックはスラグに濡れ難く、出銑孔閉塞材の組織へのスラグ浸入を防ぐ効果もあり、この点でも耐久性の向上に寄与する。
使用するカーボンブラックとしては、DBP吸収量が10〜80ml/100gであることが好適で、添加量としては粉体の全量に対して2〜20質量%の範囲とすることが好ましい。
なお、カーボンブラックのDBP吸収量は、カーボンブラックが呈する3次元網目構造(ストラクチャー)の目安であり、この値が大きいほどストラクチャーが発達していることを示す。このストラクチャーの発達度合いが大きいと、網目構造内にバインダーを吸収してしまうため、バインダー添加量が増えることになる。そのため、DBP吸収量が80ml/100gを超えるものは好ましくない。また、カーボンブラックの添加効果を得るためは、粉体の全量に対して少なくとも2質量%を添加することが必要である。
上述のように、カーボンブラックは出銑孔閉塞材に好ましい影響を与えるが、その一方で、酸化物の焼結による結合を阻害し、強度を低下させることになる。したがって、この観点から、カーボンブラックの添加量は、耐火骨材および耐火微粉末からなる粉体の全量に対して20質量%以下に維持される必要がある。
なお、上述の特許文献10(特開2002−160981)においても、カーボンを使用することが可能であるとされているが、本発明のような組成のもとで使用することに関しては何らの示唆もされていない。
一般にカーボンには、カーボンブラックのほかに、鱗片状黒鉛や土状黒鉛、コークス粉末なども含まれる。それらは、比熱が小さいという特徴は共通に有するものの、粒径が粗く、形状も球形ではないため、鱗片状黒鉛や土状黒鉛、コークス粉末などを添加すると、出銑孔閉塞材の適正な変形性能を維持するために必要なバインダー量が増加することになる。そのため、揮発分の気化熱に消費される熱量が多くなり、低比熱であるという特性を相殺し、むしろ乾燥性の低下を招来することになる。
なお、カーボンに関しては、上述のように、耐久性の観点からは、カーボンブラックが好適であるが、充填性、開孔性の観点からは、その他のカーボンを添加しても本質的に本発明の効果が損なわれるものではない。
すなわち、本発明の出銑孔閉塞材においては、粒径が45μm以下の粉体部分(微粉部)の組成として、本発明の要件を満たす限りにおいて、金属Si、フェロシリコン、シリカヒューム、粘土、ロウ石やムライトなどのSiO2−Al23系の微粉砕物など、一般的に用いられる種々の材料を使用することが可能である。
また、粒径が45μm以上の部分の構成については、特に制約はなく、どのような組成としても本発明の特徴を発揮することができる。すなわち、工業的に合成されたシリカ、アルミナ、ムライト、スピネル、マグネシア、ジルコニアなどの酸化物や炭化珪素、カーボン、窒化珪素などの非酸化物、あるいは、ボーキサイト、ジルコン、ロー石、バン土頁岩、カイアナイト、アンダルサイトといった天然に産出する物質などが使用可能であり、それぞれの物質の純度についても特に限定されるものではない。
また、バインダーとしては、コールタールピッチ、合成タールピッチ、フェノール樹脂など、バインダーとして一般的に用いられているものが使用可能であり、粘度や残炭率、低分子量物質の含有量についても特に限定されるものではない。
本発明の出銑孔閉塞材は、粒径が45μm以下の粉体部分における組成を、炭化珪素3〜50質量%、窒化珪素10〜60質量%、金属アルミニウム0.2〜10質量%の範囲内とし、かつ、粒径が45μm以下の粉体部分の、粉体の全量に対する割合を、25〜70質量%の範囲としているので、出銑孔の耐久性を向上させて、出銑時間の延長を図ることが可能になるとともに、作業負荷の軽減と、出銑孔閉塞材のコストの低減を図ることが可能になる。
すなわち、微粉部分に、窒化珪素と炭化珪素とを所定の割合で組み合わせて用いることで、溶銑およびスラグのいずれに対しても耐食性の良好なマトリックスを得ることが可能になり、中型から大型の高炉に対して好適に用いることが可能な出銑孔閉塞材を得ることが可能になる。
その結果、特に2000m3以上の中型〜大型高炉において、経済的で安定した操業を実現することが可能になる。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
表1、表2、表3に本発明の実施例にかかる出銑孔閉塞材および比較例にかかる出銑孔閉塞材の配合比を示す。
Figure 2006225202
Figure 2006225202
Figure 2006225202
表1は、金属アルミニウムと仮焼アルミナの配合割合を変化させて、金属アルミニウムと仮焼アルミナが出銑孔閉塞材の特性に与える影響を調べた結果を示すものである。
この表1の出銑孔閉塞材では、粒径が45μm以下の粉体部分の組成のうち、炭化珪素の割合が約20質量%、窒化珪素の割合が約45質量%になるように組成を調整した。なお、窒化珪素源としては窒化珪素鉄を用い、窒化珪素として、約45質量%になるようした。
そして、その上で表1に示すような割合で金属アルミニウムを添加した。したがって、試料A〜Gにおいては、金属アルミニウムの添加量が増えるに伴って、炭化珪素と窒化珪素の割合は減少している。
また、試料Hにおいては、75μm以下のアルミナとして、仮焼アルミナを、バン土頁岩1mm−に置換して5質量%使用した。
表2の出銑孔閉塞材では、45μm以下の粉体部分の組成のうち、炭化珪素の割合が1.2〜65.8質量%になるように量を調整した。金属アルミニウムは粒径が45μm以下の部分に占める割合が1.3〜1.8質量%になるようにした。窒化珪素源は窒化珪素鉄を用いた。
表3の出銑孔閉塞材では、粒径が45μm以下の粉体部分の組成のうち、窒化珪素の割合が0〜65.4質量%になるように量を調整した。この表3の出銑孔閉塞材でも、窒化珪素源としては窒化珪素鉄を用いた。金属アルミニウムは、粒径が45μm以下の粉体部分に占める割合が1.2〜1.8質量%になるように配合を調整した。
各配合物は湯煎式の万能ミキサーを用い65℃で30分間混練した。バインダーとしては無水タールを用い、マーシャル試験による押し出し荷重が2.5〜3.4kNになるように、その添加量を調整した。
混練物は65℃に保温した状態で、アムスラーを用い、40mm×40mm×160mmの長方形の形状に4MPaの圧力で成形した。成形体は電気炉を用い、コークスプリーズ中で550℃×3hの加熱を行い、揮発分の除去を行った。
このようにして得られた試料の耐食性を高周波炉内張り法で評価した。
耐食性の評価は溶銑と高炉スラグを用い、1580℃で5h保持することにより行った。なお、スラグ成分の飽和を防ぐために1時間に一回、スラグの入れ替えを行った。
そして、試験終了後に、試料を中心で切断し、切断面観察を行った、また、画像解析装置を用いて、スラグに接触していた部分と溶銑に接触していた部分の切断面における侵食面積を測定した。侵食面積は試料Aを100とする侵食指数で表した。すなわち、侵食指数は小さいほど耐食性が良好であることを示している。
図1に、粒径が45μm以下の粉体部分における金属アルミニウムの添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す。
また、図2(a)に比較例Bの試料の侵食試験後の切断面を、図2(b)に実施例Fの試料の侵食試験後の切断面を示す。
図1および図2(a),(b)に示すように、粒径が45μm以下の粉体部分に炭化珪素を配合した組成の場合、従来の出銑孔閉塞材においては、溶銑に対する耐食性が低下するが、本発明の出銑孔閉塞材(実施例F)の場合、粒径が45μm以下の粉体部分に炭化珪素を配合した組成であっても、窒化珪素と金属アルミニウムを含有させることで、溶銑に対して良好な耐食性を示すようになることがわかる。
なお、比較例Bの試料では、金属アルミニウムを添加しているが、その添加量が0.16質量%と、0.20質量%未満であることから、溶銑に対する浸食指数は96と大きくなっているが、金属アルミニウムの添加量が0.20質量%を超えた実施例Dの試料(金属アルミニウムの添加量が0.33質量%)の場合、溶銑に対する浸食指数は68にまで低減しており、金属アルミニウムの添加量を0.81質量%とした実施例Eの場合、溶銑に対する浸食指数は44まで低減し、金属アルミニウムの添加量を1.61質量%とした実施例Fの場合、溶銑に対する浸食指数は28まで低減し、さらに、金属アルミニウムの添加量を7.54質量%とした実施例Gの場合、溶銑に対する浸食指数は14にまで低減している。
一方、金属アルミニウムの添加量を、本発明の範囲を上回る14.03質量%とした比較例Cの場合、溶銑に対する浸食指数は15で実施例Gの場合と同等となっており、効果の顕著な向上は認められず、原料コストをいたずらに増大させるだけで、好ましくないことが確認された。
また、仮焼アルミナを添加することで、効果が補強されることがわかる。
また、図3に、粒径が45μm以下の粉体部分における炭化珪素の添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す。
表2および図3に示すように、粒径が45μm以下の粉体部分に炭化珪素を3〜4質量%含有させることにより(例えば、炭化珪素を3.8質量%添加した実施例Jの試料の場合を参照)、スラグによる侵食量を炭化珪素を1.2質量%添加した比較例の試料Iに対して、20%程度低減できることが確認された。一方、粒径が45μm以下の粉体部分の炭化珪素の添加量が50質量%を超えると(比較例Nおよび比較例O参照)、溶銑による侵食量が急激に増大することがわかる。したがって、粒径が45μm以下の粉体部分における炭化珪素の添加量は、実施例J、K、L、Mのように、3〜50質量%の範囲とすることが望ましい。
また、図4に、粒径が45μm以下の粉体部分における窒化珪素の添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す。
表3および図4に示すように、粒径が45μm以下の粉体部分における窒化珪素を約10質量%含有させることにより(例えば、窒化珪素を11.3質量%添加した実施例Qの試料の場合を参照)、スラグによる侵食量を、窒化珪素を添加していない比較例の試料Pに比べて15%程度低減できることが確認された。そして、粒径が45μm以下の粉体部分における窒化珪素の添加量が多くなるほどスラグによる侵食量は小さくなる傾向が認められた(実施例R、S、T、Uを参照)。また一方で、窒化珪素の添加量が60質量%を超えても(比較例の試料Vを参照)スラグによる侵食量は小さくならないことが確認された。
したがって、粒径が45μm以下の粉体部分における窒化珪素の添加量は10〜60質量%の範囲とすることが望ましい。
なお、溶銑による侵食量については、窒化珪素の添加量が増減してもほとんど変化していない。これは、出銑孔閉塞材が金属アルミニウムを含有していることによるものである。
上述のように、本発明の出銑孔閉塞材は、耐火骨材および耐火微粉末からなる粉体を、タールおよび/またはレジンと混練することにより形成される出銑孔閉塞材において、粒径が45μm以下の粉体部分における組成を、炭化珪素3〜50質量%、窒化珪素10〜60質量%、金属アルミニウム0.2〜10質量%の範囲内とし、かつ、粒径が45μm以下の粉体部分の、粉体の全量に対する割合を、25〜70質量%の範囲としているので、溶銑、スラグの双方に対して優れた耐食性を実現することが可能になる。
したがって、開孔直後からスラグが流出し、出銑初期から出銑後期にかけて、溶銑とスラグの流出体積速度比率に大きな差のない、中型から大型の高炉の出銑孔用の閉塞材として広く利用することができる。
本発明の実施例および比較例の出銑孔閉塞材の、粒径が45μm以下の粉体部分における金属アルミニウムの添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す図である。 (a)は比較例Bの試料の侵食試験後の切断面を示す図、図2(b)は実施例Fの試料の侵食試験後の切断面を示す図面代用写真である。 本発明の実施例および比較例の出銑孔閉塞材の、粒径が45μm以下の粉体部分における炭化珪素の添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す図である。 本発明の実施例および比較例の出銑孔閉塞材の、粒径が45μm以下の粉体部分における窒化珪素の添加量と、スラグ浸食指数および溶銑侵食指数の関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 耐火骨材および耐火微粉末からなる粉体を、タールおよび/またはレジンと混練することにより形成される出銑孔閉塞材において、
    粒径が45μm以下の粉体部分における組成が、炭化珪素3〜50質量%、窒化珪素10〜60質量%、金属アルミニウム0.2〜10質量%の範囲内にあり、かつ、
    粒径が45μm以下の粉体部分の、前記粉体の全量に対する割合が、25〜70質量%であること
    を特徴とする出銑孔閉塞材。
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JP2009242120A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Kurosaki Harima Corp マッド材

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