JP2006224880A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術におけるような問題を生ずることなくコニシティー力を制御することにより、直進走行時における安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤを実現する。
【解決手段】 トレッド踏面部に、複数の周方向主溝1a〜1dにより画成される複数のリブ列2および/またはブロック列3a〜3dを有し、複数のリブ列および/またはブロック列により構成されるトレッドパターンが、タイヤ赤道線を基準として左右非対称であり、かつ、全てのリブ列および/またはブロック列のエッジ部のうちの片側11aに、踏面部より深さdが0.2〜2mmの位置Xを端点とする曲面が形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 トレッド踏面部に、複数の周方向主溝1a〜1dにより画成される複数のリブ列2および/またはブロック列3a〜3dを有し、複数のリブ列および/またはブロック列により構成されるトレッドパターンが、タイヤ赤道線を基準として左右非対称であり、かつ、全てのリブ列および/またはブロック列のエッジ部のうちの片側11aに、踏面部より深さdが0.2〜2mmの位置Xを端点とする曲面が形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、直進安定性の改良を図った空気入りラジアルタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤ、特にラジアルタイヤでは、バイアスタイヤとの基本構造の違いに起因して、コニシティーと呼ばれる現象が直進時における車両の安定性に顕著な影響を及ぼすことが知られている。コニシティー力の作用により、直進しようとする車両は一定方向に流されることから、このいわゆる片流れの発生を防止して、車両の走行安定性を確保するために、従来、コニシティー力を抑制することを目的として、種々検討がなされてきている。
従来の技術としては、例えば、センター側と反センター側とで横方向に剛性差を設けることによりコニシティーをコントロールする方法として、ベルト層のオフセット配置(オフセット1.75mmで20N程度)や、ブロックパターンの改良による方法が知られている。また、タイヤ製造後のコニシティーコントロールとして、ブロックの片側の角をバフする方法も知られている。
ブロックの角を落とすことによるコニシティーコントロールとしては、例えば、特許文献1に、コニシティーの経時的な変化を抑制するために、縦主溝に面する縦の溝壁を、溝底から立ち上がる基壁部と、所定の半径を有する円弧を用いた曲面壁部とにより形成した空気入りタイヤが記載されている。また、特許文献2には、タイヤ軸方向のコニシティ力が作用する側に位置するリブまたはブロックの外周面に、傾斜面をバフ仕上げにより形成した空気入りタイヤが記載されている。
特開平6−234305号公報(特許請求の範囲等)
特開平4−193606号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、ベルト層のオフセット配置によりコニシティーをコントロールしようとする場合、ショルダー部接地端付近の剛性差により偏摩耗が生ずるおそれがあり、また、同様の理由により高速耐久性能の低下も懸念される。また、ブロックパターンの改良によるコニシティーコントロールでは、グリップ性能や排水性、パターンノイズなど、他性能との両立が難しいという問題があることに加え、既存パターンに対してコニシティーコントロールを行うことは実際上不可能である。
さらに、タイヤ製造後のコニシティーコントロールとしてのバフ処理は、製品タイヤの外観を損ねる恐れがあるため、できるだけ避けるべきである。さらにまた、従来のブロックの角落としは、エッジ部のRが0.3〜3mm程度となるよう処理するものであり、この場合、使用に伴う摩耗による経時的な変化が大きいという難点があった(図7(b)参照)。
そこで本発明の目的は、上記した従来技術におけるような問題を生ずることなくコニシティー力を制御することにより、直進走行時における安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤを実現することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のようなことを見出した。即ち、車両の直進安定性を向上させる手段としてトーによる調整があるが、これは、タイヤ回転軸の進行方向に対する取り付け角度を変えることで、左右のタイヤが共に、車両中心へ向かう力(トーイン)、または、車両中心から遠ざかる力(トーアウト)を発生させることにより、直進安定性を向上させるものである。
一方で、本発明者は、方向性を有しないいわゆる非対称パターンにおいてはコニシティー力がゼロでなくても車両の片流れは発生しないことに注目し、この点と上記の点とを併せて検討した結果、積極的にコニシティーをオフセットさせることで上記トーの場合と同様の効果を得ることができ、車両の直進安定性の向上を図ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド踏面部に、複数の周方向主溝により画成される複数のリブ列および/またはブロック列を有し、該複数のリブ列および/またはブロック列により構成されるトレッドパターンが、タイヤ赤道線を基準として左右非対称であり、かつ、全ての前記リブ列および/またはブロック列のエッジ部のうちの片側に、踏面部より深さ0.2〜2mmの位置を端点とする曲面が形成されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記エッジ部のうち曲面の形成されていない側が、鈍角に形成されていることが好ましい。また、前記曲面の曲率半径が10〜400mmであり、かつ、該曲面が前記リブ列および/またはブロック列の踏面部に対し滑らかに接続していることが好ましい。さらに、前記曲面とリブ列および/またはブロック列の踏面部との接続点は、好適には、該リブ列および/またはブロック列の幅方向センター部を中心として、該リブ列またはブロック列幅の±1/4までの範囲に存在する。
本発明によれば、上記構成としたことにより、従来のような問題を生ずることなく、直進走行時にタイヤが発生するコニシティー力を適切に制御して、車両の直進安定性を向上させることが可能となった。即ち、従来の技術では、コニシティー力ゼロが最良であるとの観点から、対称、非対称パターンに関わらず、コニシティー力を抑制して車両の片流れを防止することを主目的としていたが、本発明では、コニシティー力を積極的に利用することで、車両の直進安定性の向上を図っているものである。なお、ブロックまたはリブの一部または全部のエッジ部について角落としを行う技術は、前述したように種々知られているが、本発明におけるようにコニシティーコントロールの目的で片側エッジ部のみの可と落としを行う技術については、これまで知られていない。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の空気入りラジアルタイヤの一例のトレッド踏面部の部分展開図を示す。図示するように、本発明のタイヤは、トレッド踏面部に、複数の周方向主溝1a〜1dにより画成される複数のリブ列2および/またはブロック列3a〜3dを有しており、これらリブ列2および/またはブロック列3a〜3dにより構成されるトレッドパターンは、タイヤ赤道線を基準として左右非対称である、いわゆる非対称パターンである。また、図中の楕円は接地領域を示す。
図1に、本発明の空気入りラジアルタイヤの一例のトレッド踏面部の部分展開図を示す。図示するように、本発明のタイヤは、トレッド踏面部に、複数の周方向主溝1a〜1dにより画成される複数のリブ列2および/またはブロック列3a〜3dを有しており、これらリブ列2および/またはブロック列3a〜3dにより構成されるトレッドパターンは、タイヤ赤道線を基準として左右非対称である、いわゆる非対称パターンである。また、図中の楕円は接地領域を示す。
図2(a)に、周方向主溝(図1中のA−A線)の断面図を示す。図示するように、本発明のタイヤにおいては、リブ列またはブロック列のエッジ部のうちの片側11a(センター側または反センター側)に、曲面が形成されている(以下、これを「ブロックエッジ処理」ともいう)。片側エッジ部11aに曲面を設けたことで車両の直進安定性を向上させることが可能となった理由としては、以下のとおりである。
コニシティーに影響を与える1つの要素として、周方向主溝に面するリブ列またはブロック列のエッジ部によるクラッシング変形の効果が知られている。図2(b)に、曲面を設けていない場合の周方向主溝(図1中のA−A線)の断面図を示す。周方向主溝が路面に接する際、周方向主溝に面するエッジ部は内側へ潰れるような変形を生ずるが、変形したエッジ部がその後、元に戻ろうとするときには、図中に矢印で示すように、横方向の反力を発生する(図2(b)参照)。一般的に周方向主溝両側での変形量は同一と考えられるため、この場合、これら両側で生ずる横力は、内力として互いに打ち消し合うことになる。
本発明者はこのクラッシング変形に注目して、周方向主溝に接するエッジ部のうちの片側11aだけに所定の曲面を形成することとしたため、図2(a)に示すように、曲面を設けた側のエッジ部のクラッシング変形量が減少して、横力全体として打ち消し合うことがなくなった。このため、生ずる横力をコニシティーコントロールとして積極的に利用することが可能となり、このような手法を用いてタイヤ単体のコニシティーをプラスまたはマイナスへ適宜オフセットさせることで、車両の直進安定性を向上させることが可能となったのである。
本発明に係る曲面は、踏面部よりの深さdが0.2〜2mmである位置Xを端点として形成することが必要である。曲面の端点の位置Xの深さdが0.2mmよりも小さいと、コニシティーに与える影響が非常に小さいものとなってしまう一方(図3参照)、深さdが大きくなるにつれて操縦安定性を損なう傾向が生じ、特に深さdが2.0mmを超えると操縦安定性に与える影響が顕著となる(図4参照、図中の点線より上側が合格域を示す)。従って、曲面の端点の深さ方向の位置10は、深さdが0.2〜2.0mmとなるよう設定することが必要である。
また、曲面の曲率半径Rは、10〜400mmの範囲内とすることが好ましい。曲面の曲率半径Rが400mmを超えるとコニシティーへの影響が小さく(図5参照)、一方、曲率半径Rが0.2mm以上10mm未満では、コニシティーに与える影響は十分であるものの操縦安定性への悪影響が大きくなる(図5および6参照)。また、図7(b)に示すように、Rが0.3〜3.0mm程度では摩耗による曲面の変化が大きく、本発明に係るブロックエッジ処理の効果はすぐに低減することになるが、図7(a)に示すように、Rを10〜400mm程度と大きくすることで、ブロックエッジ処理の効果をより長期にわたり得ることが可能となる。これらのことから、曲率半径Rは10〜400mmとすることが望ましい。
上記曲率半径Rにて形成した曲面は、図2(a)に示すように、リブ列および/またはブロック列の踏面部に対し、滑らかに接続させることが好ましい。また、曲面の形成されていない側のエッジ部11bは、例えば、角度θが90°<θ≦120°を満足する程度の鈍角に形成されていることが好ましい。
さらに、本発明において、曲面とリブ列および/またはブロック列の踏面部との接続点は、リブ列および/またはブロック列の幅方向センター部を中心として、その幅の±1/4までの範囲に設けることが好ましい。リブ列またはブロック列のセンター部から見てブロックエッジ処理を行う方向を正とし、リブ列またはブロック列の幅をLとしたとき、リブ列またはブロック列の踏面部と曲面との接続点が+L/4〜ブロックエッジ端(処理側)間にあると、操縦安定性への悪影響が大きく、摩耗による曲面の変化が大きくなる。一方、−L/4〜ブロックエッジ端(鈍角側)間にあると、コニシティー発生量が小さく、隣り合う周方向主溝(鈍角側)を挟むエッジ端間で発生するコニシティーに悪影響を及ぼしてしまう。これらのことから、リブ列またはブロック列の踏面部と曲面との接続点は、そのセンター部を中心とする−L/4〜+L/4の範囲に設けることが望ましい。なお、ショルダーリブ列またはショルダーブロック列においては、接地端とリブ端もしくはブロック端との間の中心をセンター部とする。
本発明においては、上記ブロックエッジ処理を施すことによりコニシティーのオフセット効果を得るが、発生するコニシティーオフセット量が10N以下では直進安定性に与える影響が小さく、一方、オフセット量が90N以上では操縦安定性に悪影響を与えるため、オフセット量の好適範囲は、10〜90N程度である。
本発明のタイヤにおいては、上記ブロックエッジ処理を、リブ列および/またはブロック列のエッジ部のうちの片側に施すことのみが重要であり、それ以外の具体的なトレッドパターンや、タイヤ構造、材質等については、特に制限されるものではなく、公知の技術に従い、目的とするタイヤ性能等に応じて適宜設定することが可能である。
以下、本発明を、具体的な実施例に基づき説明する。
下記の条件に従い、実施例1および比較例1の供試タイヤを作製した。
タイヤサイズ:215/45R17
リムサイズ:7JX17
内圧:200kPa
荷重:500kgf+1名乗車相当
下記の条件に従い、実施例1および比較例1の供試タイヤを作製した。
タイヤサイズ:215/45R17
リムサイズ:7JX17
内圧:200kPa
荷重:500kgf+1名乗車相当
各供試タイヤのトレッドパターンについては図1に従い、実施例1については、全てのリブ列およびブロック列の片側エッジ部(周方向主溝から見てセンター側)のみに対し、踏面部との接続点がそのリブ列またはブロック列のセンター部となる位置から、曲率半径R:17〜180mmにて曲面を形成した。また、曲面の深さ方向端点の位置Xは深さd:0.3mmとした。また、エッジ部のうち曲面を形成しない側は、100°程度の鈍角に形成した。
各供試タイヤにつき、コニシティー力および実車に装着した際の直進安定性を評価した。直進安定性は、実車を用いたフィーリング評価により、10点満点で評価した。結果は、6.0を基準とし、数値が高いほど良好であることを示す。
これらの結果を、下記の表1中に、各タイヤの作製条件とともに示す。
これらの結果を、下記の表1中に、各タイヤの作製条件とともに示す。
上記表1からわかるように、片側エッジ部に曲面を設けた実施例1のタイヤは、比較例1のタイヤに比し大きなコニシティー力が働いている反面、直進安定性の点ではより良好な結果が得られることが確かめられた。
1a〜1d 周方向主溝
2 リブ列
3a〜3d ブロック列
11a 曲面を設けた側のエッジ部
11b 曲面を設けない側のエッジ部
2 リブ列
3a〜3d ブロック列
11a 曲面を設けた側のエッジ部
11b 曲面を設けない側のエッジ部
Claims (4)
- トレッド踏面部に、複数の周方向主溝により画成される複数のリブ列および/またはブロック列を有し、該複数のリブ列および/またはブロック列により構成されるトレッドパターンが、タイヤ赤道線を基準として左右非対称であり、かつ、全ての前記リブ列および/またはブロック列のエッジ部のうちの片側に、踏面部より深さ0.2〜2mmの位置を端点とする曲面が形成されていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 前記エッジ部のうち曲面の形成されていない側が、鈍角に形成されている請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記曲面の曲率半径が10〜400mmであり、かつ、該曲面が前記リブ列および/またはブロック列の踏面部に対し滑らかに接続している請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記曲面とリブ列および/またはブロック列の踏面部との接続点が、該リブ列および/またはブロック列の幅方向センター部を中心として、該リブ列またはブロック列幅の±1/4までの範囲に存在する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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JP2005043182A JP2006224880A (ja) | 2005-02-18 | 2005-02-18 | 空気入りラジアルタイヤ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011057141A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ |
CN102398480A (zh) * | 2010-09-14 | 2012-04-04 | 青岛黄海橡胶股份有限公司 | 轿车子午线轮胎胎面 |
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-
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- 2005-02-18 JP JP2005043182A patent/JP2006224880A/ja active Pending
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