JP2006223628A - ロースタ - Google Patents
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Abstract
【課題】被調理物にうまみ成分を残して、被調理物の調理性能を向上させること。
【解決手段】被調理物3を載置する被調理物載置具6と、被調理物載置具6と被調理物3を収納する調理室2と、調理室2へ蒸気を供給する蒸気供給手段15と、空気を加熱する加熱手段10を有した加熱室9と、加熱室9の空気を調理室2へ送り込む吹き出し孔12と、調理室2の空気を加熱室9へ送り込む吸い込み孔13と、吹き出し孔12および吸い込み孔13を介して調理室2と加熱室9の空気を入れ替える送風手段11とを備え、調理工程開始時は、加熱手段10を動作させて加熱室9内の空気を加熱し、加熱室9内の加熱された空気が所定温度以上になると、送風手段11および蒸気供給手段15も動作させ、調理性能を向上となる。
【選択図】図1
【解決手段】被調理物3を載置する被調理物載置具6と、被調理物載置具6と被調理物3を収納する調理室2と、調理室2へ蒸気を供給する蒸気供給手段15と、空気を加熱する加熱手段10を有した加熱室9と、加熱室9の空気を調理室2へ送り込む吹き出し孔12と、調理室2の空気を加熱室9へ送り込む吸い込み孔13と、吹き出し孔12および吸い込み孔13を介して調理室2と加熱室9の空気を入れ替える送風手段11とを備え、調理工程開始時は、加熱手段10を動作させて加熱室9内の空気を加熱し、加熱室9内の加熱された空気が所定温度以上になると、送風手段11および蒸気供給手段15も動作させ、調理性能を向上となる。
【選択図】図1
Description
本発明は一般家庭で魚、肉等の被調理物を加熱調理するロースタに関するものである。
従来、この種のロースタ1は、図13に示すように、調理室2内に、主に輻射熱により被調理物3を上方から加熱調理する第一の加熱手段4、主に輻射熱により被調理物3を下方から加熱調理する第二の加熱手段5を有しており、被調理物3は、被調理物3を載置する被調理物載置具6および被調理物載置具6の下方に配置されて被調理物載置具6を収納し、且つ被調理物3から発生して落下する油などの焼き汁を受ける汁受け皿7とともに調理室2内に収納されるものである。また、ドア8は、調理室2の前面開口部を覆うとともに、被調理物3を出し入れするために開閉可能となっている。
次に、被調理物3を調理する方法を説明する。まず、使用者は被調理物載置具6に被調理物3を載せて被調理物載置具6を汁受け皿7に収納し、ドア8とともに汁受け皿7を調理室2内に収納する。その後、調理開始ボタン(図示せず)を押すと、被調理物3を加熱する調理工程が開始する。
調理工程が開始すると、調理室2内にある第一の加熱手段4または第二の加熱手段5が通電される。被調理物3が調理室2内の所定の位置に収納されると、第一の加熱手段4は被調理物3の上方に、また第二の加熱手段5は被調理物3の下方に配置されるので、被調理物3は、主に第一の加熱手段4または第二の加熱手段5の輻射熱により加熱されることになる。
そうして、第一の加熱手段4または第二の加熱手段5が所定時間通電されることにより、被調理物3は加熱調理されることになる(例えば、特許文献1参照)。
一方で、ロースタ1が調理できる被調理物3として魚があるが、魚をおいしく調理する手段として、魚の表面部3a近傍にあるたんぱく質成分を急激に加熱して凝固させ、魚の内部にあるうまみ成分を流出させないで、魚の内部に閉じ込める方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
特許第2795974号公報
山崎清子、島田キミエ著「調理と理論」(第二版)(株)同文書院出版、1996年2月6日、P213−P214
しかしながら、前記従来の図13に示すロースタ1の構成では、以下の課題を有していた。被調理物3が魚の場合において、非特許文献1に記載された魚をおいしく焼く調理手段を実現するためには、すなわち、魚の表面部3a近傍にあるたんぱく質成分を急激に加熱して凝固させるためには、魚の表面部3a近傍が62℃以上(魚の表面部3a近傍にあるたんぱく質成分は45〜62℃の温度で変性して凝固する)になるように魚を急激に加熱することが必要となる。
一方で、図13に示すロースタ1の構成では、被調理物3は、調理工程開始時から常に第一の加熱手段4または第二の加熱手段5により加熱されるとともに、調理工程開始時は第一の加熱手段4または第二の加熱手段5の温度は室温(約20℃前後)であるため、被調理物3の表面部3a近傍の温度Tfは、図14に示すように、緩やかに上昇することになる。そのため、魚の表面部3a近傍にあるたんぱく質成分を急激に加熱して凝固させることができず、また、少なくともたんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度Tb近傍までは、魚の表面温度Tfの温度上昇と魚の内部温度Tnの温度上昇に大きな差が生じずに魚の内部も加熱されていくので、魚の内部にあるうまみ成分が魚から流出してしまい、魚の調理性能が向上しないという課題を有してしまう。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被調理物にうまみ成分を残して、被調理物の調理性能を向上させるロースタを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、被調理物を出し入れする開閉可能なドアと、被調理物を載置する被調理物載置具と、前記被調理物載置具と被調理物を収納する調理室と、調理室へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、空気を加熱する加熱手段を有した加熱室と、加熱室の空気を調理室へ送り込む吹き出し孔と、調理室の空気を加熱室へ送り込む吸い込み孔と、吹き出し孔および吸い込み孔を介して調理室と加熱室の空気を入れ替える送風手段と、蒸気供給手段と加熱手段と送風手段とを制御する制御手段とを備え、制御手段は、被調理物を調理する工程の開始時は、加熱手段を動作させて加熱室内の空気を加熱し、加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、送風手段および蒸気供給手段を動作させるものである。
これにより、所定温度になるまで加熱室内の空気が加熱される一方で、送風手段や蒸気供給手段は動作しないので、加熱室内で加熱された空気は調理室内に供給されない。そのため、調理室内にある被調理物は加熱手段や、加熱手段により加熱された加熱室内の空気により加熱されないようにすることができる。
そして、加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、蒸気供給手段は調理室内に蒸気を供給し、送風手段は加熱室内で加熱された空気を調理室内へ送風するので、被調理物の表面は、蒸気および加熱された高温の空気と接触することになり、被調理物の表面と接触した蒸気は冷却されて被調理物の表面に結露水となって付着する。
そのため、被調理物の表面は、高温の空気により加熱されるとともに、蒸気が結露水となるときに凝縮熱が与えられて加熱されるので、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度(例えば62℃)近傍まで急激に温度上昇することになる。
それゆえ、被調理物の表面近傍にあるたんぱく質成分が急激に凝固するとともに、被調理物の内部温度は緩やかに上昇するので、被調理物の内部にあるうまみ成分が流出するのを低減することができ、うまみ成分を被調理物の内部に閉じ込めることができる。
同時に、調理室内は蒸気供給手段から供給される蒸気で充満しているので、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができる。
さらに、蒸気供給手段から供給した蒸気の体積膨張により、調理室内を低酸素状態にし、被調理物の酸化の防止を向上させ、調理性能を向上できる。
本発明のロースタは、請求項1に記載の構成にしたから、加熱室内の空気が所定温度になるまで、加熱室内の空気が加熱される一方で、加熱室内で加熱された空気は調理室内に動作しないので、被調理物は加熱されないようにすることができる。
そして、加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、蒸気供給手段は調理室内に蒸気を供給し、送風手段は加熱室内で加熱された空気を調理室内へ送風するので、加熱された高温の空気が被調理物の表面を加熱するとともに、蒸気が被調理物の表面と接触して結露水として付着することにより被調理物の表面に凝縮熱を与えて加熱することになる。
そのため、被調理物の表面は、高温の空気と蒸気の両方で加熱されることにより、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度近傍まで急激に温度上昇するので、被調理物の表面近傍にあるたんぱく質成分が急激に凝固するとともに、被調理物の内部温度は緩やかに上昇することになり、被調理物の内部にあるうまみ成分が流出するのを低減することができ、うまみ成分を被調理物の内部に閉じ込めることができる。
同時に、調理室内は蒸気供給手段から供給される蒸気で充満しているので、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができる。
したがって、被調理物からうまみ成分が流出してしまうのを低減することができるとともに、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができるので、被調理物の調理性能を向上させることができる。
さらに、蒸気供給手段から供給した蒸気の体積膨張により、調理室内を低酸素状態にし、被調理物の酸化の防止を向上させ、調理性能を向上できる。
第1の発明は、被調理物を出し入れする開閉可能なドアと、被調理物を載置する被調理物載置具と、被調理物載置具と被調理物を収納する調理室と、調理室へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、空気を加熱する加熱手段を有した加熱室と、加熱室の空気を調理室へ送り込む吹き出し孔と、調理室の空気を加熱室へ送り込む吸い込み孔と、吹き出し孔および吸い込み孔を介して調理室と加熱室の空気を入れ替える送風手段と、蒸気供給手段と加熱手段と送風手段とを制御する制御手段とを備え、制御手段は、被調理物を調理する工程の開始時は、加熱手段を動作させて加熱室内の空気を加熱し、加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、送風手段および蒸気供給手段を動作させることにより、加熱室内の空気が所定温度になるまで、加熱室内の空気が加熱される一方で、加熱室内で加熱された空気は調理室内に動作しないので、被調理物は加熱されないようにすることができる。
そして、加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、蒸気供給手段は調理室内に蒸気を供給し、送風手段は加熱室内で加熱された空気を調理室内へ送風するので、加熱された高温の空気が被調理物の表面を加熱するとともに、蒸気が被調理物の表面と接触して結露水として付着することにより被調理物の表面に凝縮熱を与えて加熱することになる。
そのため、被調理物の表面は、高温の空気と蒸気の両方で加熱されることにより、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度近傍まで急激に温度上昇するので、被調理物の表面近傍にあるたんぱく質成分が急激に凝固するとともに、被調理物の内部温度は緩やかに上昇することになり、被調理物の内部にあるうまみ成分が流出するのを低減することができ、うまみ成分を被調理物の内部に閉じ込めることができる。
同時に、調理室内は蒸気供給手段から供給される蒸気で充満しているので、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができる。
さらに、蒸気供給手段から供給した蒸気の体積膨張により、調理室内を低酸素状態にし、被調理物の酸化の防止を向上させ、調理性能を向上できる。
したがって、被調理物からうまみ成分が流出してしまうのを低減することができるとともに、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができるので、被調理物の調理性能を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明のロースタにおいて、加熱室を調理室の略上部に配置したことにより、加熱手段を調理室の略上部に配置することができ、加熱室自体や加熱手段の収納スペースを大きくすることができるので、加熱室内で加熱される空気の量をより多くすることができ、より多くの高温の空気を加熱工程開始時に被調理物に供給することができる。
それゆえ、被調理物の表面温度の上昇をより早くすることができ、たんぱく質成分をより早く凝固させてうまみ成分が流出してしまうのをより低減することができるので、被調理物の調理性能をより向上させることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のロースタにおいて、吹き出し孔または吸い込み孔を開閉する開閉板を備え、制御手段は、被調理物を調理する工程において、加熱室の空気が所定温度未満のときは吹き出し孔または吸い込み孔を閉じ、加熱室内の空気が所定温度以上になると吹き出し孔または吸い込み孔を開くように開閉板を制御することにより、所定温度以上になるまで加熱手段により加熱される加熱室内の高温の空気が調理室内に侵入するのを低減することができる。
そのため、加熱室内の空気が所定温度以上になるまでの間、被調理物の表面が高温の空気と接触して温度が上昇するのを低減することができるので、被調理物の表面近傍がゆっくりと温度上昇するとともに、被調理物の内部の温度もゆっくりと上昇してしまうのを低減することができる。
それゆえ、被調理物の表面近傍のたんぱく質成分が凝固する前に、被調理物の内部の温度が上昇してうまみ成分が被調理物から流出してしまうのをより一層低減することができ、被調理物の調理性能をより一層向上させることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明のロースタにおいて、開閉板は、加熱室内の空気が所定温度以上になると吹き出し孔または吸い込み孔を開くように形状変化する形状記憶合金で形成されたことにより、開閉板が加熱室の空気の温度により、すなわち、被調理物を調理する工程に合わせて、自動で吹き出し孔または吸い込み孔を開閉するので、制御手段が開閉板の動作を制御する必要がなく、ロースタをより簡単に構成することができる。
第5の発明は、特に、第1または第2のいずれか1項の発明のロースタにおいて、制御手段は、加熱手段が加熱室内の空気を所定時間以上加熱すると吹き出し孔または吸い込み孔を開くように開閉板を制御することにより、調理室内の空気の温度を検知する温度センサを設ける必要がなく、ロースタを低コストな構成にすることができるとともに、温度センサを設けた場合は、ロースタを使用していくことにより温度センサが汚れてしまって加熱室内の空気温度を正確に検知できなくなり、予熱工程がいつまで経っても終了せず、その結果、調理工程が終了しないという不具合が生じてしまうのを低減することができる。
それゆえ、ロースタの信頼性を向上させることができる。
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1項の発明のロースタにおいて、制御手段は、被調理物を調理する工程の開始時から所定時間送風手段を動作させて停止させた後、加熱手段を動作させて加熱室内の空気を加熱するように制御することにより、加熱手段により加熱されていなくて且つ被調理物の表面周囲にある高湿度の空気よりも湿度が低い空気を、加熱室から被調理物に供給することができるので、被調理物の表面を加熱せずに、被調理物の表面に付着している水分を蒸発させたり、汁受け皿に流し落としたりすることができる。
それゆえ、加熱手段により加熱された高温の空気を被調理物に供給する前に、被調理物の表面近傍を乾燥させることができ、被調理物の表面に付着している水分の量が少ない状態にすることができるので、被調理物の表面を、蒸気が供給されると、蒸気が凝縮し結露水になりやすい状態にすることができる。
したがって、被調理物の表面により多くの蒸気が凝縮することになり、被調理物の表面近傍はより多くの凝縮熱を受けるので、表面温度は、さらに早くたんぱく質成分の凝固温度に到達して被調理物の表面近傍のたんぱく質成分がさらに早く凝固し、被調理物からうまみ成分が流出するのをさらに低減することができ、被調理物の調理性能をさらに向上させることができる。
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1項の発明のロースタにおいて、蒸気供給手段から供給される蒸気を加熱する蒸気加熱手段を備えたことにより、被調理物を加熱する工程の開始時に、より高温の蒸気を調理室内に供給することができるので、被調理物の表面には、より多くの凝縮熱が供給されることになる。
したがって、被調理物の表面温度の温度上昇は、さらに一層早くなり、さらに一層早くたんぱく質成分の凝固温度Tbに到達し、被調理物の表面近傍のたんぱく質成分がさらに一層早く凝固することになるので、被調理物からうまみ成分が流出するのをさらに一層低減することができ、被調理物の調理性能をさらに一層向上させることができる。
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1項の発明のロースタにおいて、被調理物載置具の下方に設けられ被調理物から滴下する焼き汁を受ける汁受け皿と、蒸気供給手段は蒸発皿と水供給タンクとを備え、蒸発皿を汁受け皿の下に配置したことにより、被調理物を加熱する工程の開始とともに、水供給タンクから所定量の水を、所定温度に加熱された蒸発皿に供給することで、所定量の蒸気を発生させることができるとともに、送風手段により加熱室から吹き出し孔を介して高温の空気が調理室内に供給され、吸い込み孔を介して再び調理室から加熱室へ移動していくので、汁受け皿の下に配置されている蒸発皿から発生した蒸気は、汁受け皿よりも上方に移動する前に、すなわち、被調理物に供給される前に、空気の流れに従って、加熱室内に移動していく。
加熱室内に移動した蒸気は、加熱手段や、すでに加熱手段により加熱された空気により加熱されるとともに、再び吹き出し孔からより高温の蒸気となって調理室内に供給され、被調理物に供給されていく。
それゆえ、被調理物には、蒸発皿から発生した1気圧下で約100℃の蒸気が供給されるのではなく、加熱手段や、すでに加熱された空気により加熱されたより高温の蒸気が供給されることになるので、被調理物の表面温度は、蒸気を加熱する蒸気加熱手段を設けた場合と同様に、より早く凝固温度に到達することになり、被調理物のうまみ成分を被調理物内に閉じ込めることができ、調理性能を向上させることができる。
よって、蒸気加熱手段を別途設けなくても、蒸気加熱手段を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
同時に、蒸発皿を、調理室内に設けることができ、被調理物を調理する工程が終了した後、汁受け皿を使用者が取り出すことにより、使用者は蒸発皿を拭くことができるので、蒸発皿をきれいな状態にすることができ、蒸発皿に汚物が堆積したりして蒸気供給手段の蒸気を供給する能力が低下するのを低減することができる。
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1項の発明のロースタにおいて、蒸発皿をドア近傍に配置したことにより、使用者は、被調理物を調理する工程が終了して汁受け皿を調理室外へ移動させることで、蒸発皿の状態を容易に目視することができ、容易に拭いたりすることができるので、蒸発皿のメンテナンスをより容易にすることができる。
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか1項の発明のロースタにおいて、ドアの開閉を検知する開閉検知手段を設け、制御手段は、調理工程終了後、開閉検知手段が所定時間以上ドアが開くのを検知しない場合は、少なくとも蒸気供給手段を動作させることにより、被調理物を調理する工程が終了した後にも蒸気を供給することで、調理室内の湿度を高湿度状態に保持することができる。
それゆえ、被調理物の周囲を蒸気で充満させることができるので、被調理物を調理する工程が終了した後、高温状態である被調理物から水分が蒸発して被調理物が乾燥してしまうのを低減することができ、被調理物の調理性能が低下するのを低減することができるとともに、調理工程が終了しても調理性能を維持することができるので、調理工程終了後に直ちに使用者が被調理物を調理室内から取り出す煩わしさを低減することができる。
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか1項の発明のロースタにおいて、調理室または加熱室内の酸素の濃度を検知する酸素濃度検知手段を備え、制御手段は、酸素濃度検知手段の検知した酸素濃度が所定の値よりも低い場合には、酸素濃度検知手段の検知した酸素濃度が所定の値よりも高い場合よりも蒸気供給手段からの蒸気供給量を減少させるように制御することにより、調理室内や加熱室内の蒸気の量および酸素濃度を常に一定にして、被調理物が酸化してしまって調理性能が低下してしまうのを低減することができるとともに、被調理物に熱量を与えずにロースタ外へ排出されてしまう蒸気の量を減少させることができるので、無駄なエネルギーを発生させずに、効率的に被調理物を加熱することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるロースタ1の縦断面図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるロースタ1の縦断面図である。
図1において、ロースタ1は、所定の位置に収納された被調理物3を加熱して調理する調理室2を備えている。被調理物3は、被調理物3を載せる被調理物載置具6および被調理物載置具6を収納する汁受け皿7とともに、調理室2内に収納される。
ドア8は、被調理物3を出し入れするために開閉可能となっており、また、汁受け皿7と連動して動作し、汁受け皿7が調理室2内に収納されると、ドア8は調理室2の前面開口部を覆うように構成されている。
調理室2とは別に設けられる加熱室9は、加熱室9内の空気を加熱する加熱手段10(本実施例では、空気を高温に加熱するのに効率が高い放熱フィンを備えたヒータで構成されているが、加熱手段10は、加熱室9内の空気を所定温度(例えば約300℃以上)に加熱できるものであればよい)と、加熱手段10が加熱した空気を調理室2内へ送り込む送風手段11を有しており、調理室2と加熱室9は吹き出し孔12と吸い込み孔13により連通接続されている。
それゆえ、送風手段11を動作させると、送風手段11は、吸い込み孔13を介して調理室2内の空気を吸い込み、加熱手段10および吹き出し孔12を介して加熱室9内の空気を調理室2内へ送り込むことができる。
また、吸い込み孔13と送風手段11との間の加熱室9には、加熱室9とロースタ1外とを連通接続する排気経路14の一端が接続されている。
蒸気供給手段15は、被調理物を調理する調理工程プログラムに従って調理室2に蒸気Stを供給するものである。
制御手段16は、加熱手段10、送風手段11および蒸気供給手段15を調理工程プログラムに従って制御する。
以上のように構成されたロースタについて、以下その動作、作用を説明する。
まず、使用者がまず被調理物載置具6に被調理物3を載せて、被調理物載置具6を汁受け皿7に収納し、ドア8とともに汁受け皿7を調理室2内に収納する。その後、調理開始ボタン(図示せず)を押すと、被調理物3を加熱する調理工程が開始する。
調理工程が開始すると、制御手段16は加熱手段10のみに通電する予熱工程が行われる。この工程では、加熱手段10のみが通電されるので、加熱室9内の空気が加熱手段10により加熱され、加熱室9内の空気温度T1は図2に示すように推移する。
そして、図2に示すように、加熱室9内の空気温度T1が予熱所定温度Ta(例えば約300℃以上)になると、加熱工程が開始する。この工程では、制御手段16は蒸気供給手段15および送風手段11にも通電する。
そのため、蒸気供給手段15は調理室2内に蒸気Stを供給し、送風手段11は調理室2内の空気を吸い込み孔13を介して吸い込み、加熱室9の加熱手段10へ送風するので、被調理物3に、蒸気Stと加熱室9内で加熱された高温の空気が供給される。
蒸気Stが調理室2内に供給されて被調理物3の表面3aと接触すると、蒸気Stは冷却されて(蒸気Stの温度は1気圧で約100℃に対し、加熱工程開始時の魚等の被調理物3の表面3aの表面温度T2は0〜30℃であるため)、図3(魚等の被調理物3を頭側から見た簡易断面図)に示すように、被調理物3の表面3aに結露水Waとなって付着する。そして、結露水Waとなるときに被調理物3の表面3aに凝縮熱Qwを与え、被調理物3の表面3aを加熱することになる。
その結果、被調理物3の表面3aは、加熱手段10により加熱された空気と蒸気供給手段15から供給された蒸気Stにより加熱されることになるので、被調理物3の表面温度T2は、図2に示すように、加熱工程が開始すると、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度Tb(例えば62℃)近傍まで急激に上昇することになる。
調理工程の時間が所定時間t2になるまで、または、調理室2または加熱室9内の空気温度T1が調理所定温度Tcになるまで、調理工程が行われると、制御手段16は加熱手段10や送風手段11または蒸気供給手段15への通電を終了し、調理工程を終了する。そして、使用者は、ドア8を調理室2から引き出すことにより、加熱調理された被調理物3を取り出すことができる。
なお、加熱室9内の空気温度T1は温度センサ17で検知するものであり、予熱工程や加熱工程および調理工程の経過時間は制御手段16に接続されたタイマー18でカウントするものである。
また、上記内容では、予熱工程を、加熱室9内の空気温度T1が予熱所定温度Taになるまで行われるように記載したが、運転開始からタイマー18のカウントする時間が図1に示すt1になるまで予熱工程を行うようにしてもよい。
このように本実施例によれば、予熱工程において、制御手段16が加熱手段10に通電することにより、図2に示すように、加熱室9内の空気温度T1が予熱所定温度Taになるまで加熱室9内の空気が加熱される一方で、制御手段16は、送風手段11や蒸気供給手段15に通電しないので、加熱室9内で加熱された空気は調理室2内に供給されない。そのため、予熱工程では、調理室2内にある被調理物3は加熱手段10や、加熱手段10により加熱された加熱室9内の空気により加熱されないようにすることができる。
そして、予熱工程終了後に行われる加熱工程の開始とともに、制御手段16が送風手段11および蒸気供給手段15にも通電することにより、蒸気供給手段15は調理室2内に蒸気Stを供給し、送風手段11は調理室2内の空気を吸い込み孔13を介して吸い込んで加熱室9の加熱手段10へ送風するとともに、加熱室9内で加熱された空気を吹き出し孔12を介して調理室2内へ送風するので、被調理物3の表面3aは、図1に示すように、蒸気供給手段15から供給された蒸気Stおよび加熱室9内で空気所定温度Taまで加熱された高温の空気と接触することになる。
蒸気Stの温度は1気圧で約100℃に対し、被調理物3の表面3aの表面温度T2は予熱工程中および加熱工程開始時は0〜30℃であるため、蒸気Stが被調理物3の表面3aと接触すると、蒸気Stは冷却されて、図3に示すように、被調理物3の表面3aに結露水Waとなって付着する。そして、蒸気Stは、結露水Waとなるときに被調理物3の表面3aに凝縮熱Qwを与え、被調理物3の表面3aを加熱することになる。
その結果、加熱工程開始時に、蒸気供給手段15から蒸気Stを供給せずに、加熱室9内で加熱された空気のみで被調理物3を加熱する場合と、加熱室9で加熱された空気とともに蒸気供給手段15から蒸気Stを供給して加熱する場合を比較すると、例えば、300℃の空気1gが20℃の空気になったときに放出する熱量は、1気圧下で、
Qair=315(J/g)
に対し、100℃の蒸気1gが20℃の水に変化したときに放出する熱量は、
Qw=4.2(J/g・K)×1(g)×(100−20)+2257(蒸発潜熱)
=2593(J/g)
であり、100℃の蒸気Stと300℃の空気の両方を被調理物3に供給する場合は、300℃の空気のみを供給する場合よりも1g当たり、
(2593+315)/315≒9.2
倍もの熱量を与えることになる。
Qair=315(J/g)
に対し、100℃の蒸気1gが20℃の水に変化したときに放出する熱量は、
Qw=4.2(J/g・K)×1(g)×(100−20)+2257(蒸発潜熱)
=2593(J/g)
であり、100℃の蒸気Stと300℃の空気の両方を被調理物3に供給する場合は、300℃の空気のみを供給する場合よりも1g当たり、
(2593+315)/315≒9.2
倍もの熱量を与えることになる。
そのため、被調理物3が魚等の場合において、被調理物3の表面3aは、加熱手段10により加熱された空気と蒸気供給手段15から供給された蒸気Stの両方により加熱されることになるので、被調理物3の表面温度T2は、図2に示すように、加熱工程が開始するとともに、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度Tb(例えば62℃)近傍まで急激に上昇することになる。
それゆえ、被調理物3の表面3a近傍にあるたんぱく質成分が急激に凝固するとともに、被調理物3の内部温度Tnaは緩やかに上昇するので(魚等の被調理物3は内部に水分や油分を多く含んでいるので、表面3aを急激に加熱しても内部温度Tnaは急激に上昇しない)、被調理物3の内部にあるうまみ成分が流出するのを低減することができ、うまみ成分を被調理物3の内部に閉じ込めることができる。
同時に、被調理物3の表面3aの表面温度T2が、蒸気Stが水に凝縮することができない蒸気温度Td(1気圧下で約100℃)になるまで、図3に示すように、被調理物3の表面3aには結露水Waが付着し、且つ少なくとも調理室2内は蒸気供給手段15から供給される蒸気Stで充満しているので、被調理物3から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができる。
以上のように、本実施の形態では、被調理物3からうまみ成分が流出してしまうのを低減することができるとともに、被調理物3から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができるので、被調理物3の調理性能を向上させることができる。
さらに、蒸気供給手段15から蒸気Stを供給することにより、調理室2内を蒸気Stのみで充満させることができるので、少なくとも調理室2内に酸素がほとんど存在しない状態にすることができる。
それゆえ、被調理物3の近傍に酸素があるために、被調理物3が酸化してしまって調理性能が低下するのを低減することもできる。
また、本実施の形態では、制御手段16は、加熱工程開始とともに蒸気供給手段15に通電して蒸気Stを調理室2内に供給するように記載したが、予熱工程の開始時または途中から制御手段16は蒸気供給手段15に通電して、蒸気供給手段15内の水または蒸気発生手段(図示しない)をあたためておき、蒸気供給手段15からいつでも蒸気Stを供給できるようにしてもよい。
また、加熱工程の間ずっと、蒸気供給手段15から調理室2内へ蒸気Stを供給するようにしてもよいが、加熱工程において、被調理物3の温度が上昇すると被調理物3の内部から出てくる水分が蒸発して蒸気Stとなって調理室2および加熱室9内に充満していくので、蒸気供給手段15からの蒸気Stの供給を調理工程の途中(例えば被調理物3の表面温度T2が蒸気温度Td(1気圧下で約100℃)になる時間t3まで)で終了してもよい。
また、蒸気供給手段15は、図1において、蒸気Stを調理室2内へ供給するように構成したが、吹き出し孔12近傍の加熱室9内へ供給するようにしてもよい。
また、予熱工程が終了し、加熱工程が開始するとともに、制御手段16は、送風手段11と蒸気供給手段15を同時に動作させずに、送風手段11か蒸気供給手段15のどちらかを少し遅延させてから動作させてもよい。
また、被調理物3が魚の場合について記載したが、肉(例えばステーキ)の場合も同様で、肉表面近傍にあるたんぱく質成分を凝固させてうまみ成分を肉の内部に閉じ込めておくのが、肉のおいしい調理方法であるため、被調理物3が肉の場合も、上記記載内容に従って調理すれば、肉の表面近傍のたんぱく質成分を凝固させて肉のうまみ成分を内部に閉じ込めておくことができるので、調理性能を向上させることができる。
また、加熱工程開始時に、蒸気供給手段15から蒸気Stを供給せずに加熱室9で加熱された空気のみで被調理物3を加熱する場合は、被調理物3の表面温度T2は、既に記述したように、空気のみで被調理物3を加熱する場合は、蒸気Stを加えて加熱する場合よりも、1g当たりの熱量が(1/9.2)倍にしかならないので、表面3a近傍の温度上昇は、空気のみで被調理物3を加熱する場合は、蒸気Stと空気の両方で加熱する場合よりも緩やかになり、たんぱく質成分の凝固温度Tbまでの到達時間が長くなって、たんぱく質成分を凝固させるのに時間がかかり、うまみ成分が流出してしまって調理性能が低下してしまう。また、空気のみを供給するので、被調理物3が乾燥してしまって調理性能が低下してしまうものである。
また、図1に示すように、加熱室9を調理室2の略上部に配置することにより、加熱手段10を調理室2の略上部に配置することにより、予熱工程において、加熱手段10に通電して加熱室9内の空気を加熱した場合、加熱された空気は、温度が上昇するに伴い、密度が減少して上方へ移動し、加熱室9や調理室2の上部に滞留しているので、加熱室9内で加熱された空気が被調理物3へ移動するのを低減することができ、予熱工程中に加熱手段10により加熱された空気によって被調理物3が加熱されるのを低減することができる。
同時に、図4に示すように、加熱室9を調理室2の背面等に配置することにより、吹き出し孔12を被調理物3に近づけることができるので、加熱工程、特に加熱工程開始時に、加熱室9から供給される高温の空気や蒸気Stが被調理物3に供給される前に調理室2の側面や天面等に接触して加熱してしまい、被調理物3に供給される熱量が減少してしまうのを低減することができるとともに、加熱室9自体や加熱手段10の収納スペースを大きくすることができるので、加熱室9内で加熱される空気の量を図4に示す構成よりもより多くすることができ、より多くの高温の空気を加熱工程開始時に被調理物3に供給することができる。それゆえ、被調理物3の表面温度T2の上昇をより早くすることができ、たんぱく質成分をより早く凝固させてうまみ成分が流出してしまうのをより低減することができるので、被調理物3の調理性能をより向上させることができる。
さらに、図5(a)および図5(b)に示すように、吹き出し孔12または吸い込み孔13に、吹き出し孔12または吸い込み孔13を開閉する開閉板19を備えることにより、予熱工程中は、開閉板19は、図5(a)に示すように、吹き出し孔12または吸い込み孔13を閉じ、予熱工程が終了して加熱工程が開始するとともに、開閉板19は、図5(b)に示すように、吹き出し孔12または吸い込み孔13を開くように、制御手段16が開閉板19を制御することにより、予熱工程中に加熱手段10により空気所定温度Ta以上まで加熱された加熱室9内の高温の空気が調理室2内に侵入するのを低減することができる。そのため、予熱工程中に被調理物3の表面3aが高温の空気と接触して温度が上昇するのを低減することができるので、図6に示すように、開閉板19がある場合の予熱工程中における被調理物3の表面温度T3の温度上昇を、開閉板19がない場合の表面温度T2の温度上昇T2よりもΔTの温度分だけ低減することができ、予熱工程中に、被調理物3の表面3a近傍がゆっくりと温度上昇するとともに、被調理物3の内部の温度もゆっくりと上昇してしまうのを低減することができる。
それゆえ、被調理物3の表面3a近傍のたんぱく質成分が凝固する前に、被調理物3の内部の温度が上昇してうまみ成分が被調理物3から流出してしまうのをより一層低減することができ、被調理物3の調理性能をより一層向上させることができる。
なお、加熱室9内の空気が空気所定温度Ta未満の場合は、開閉板19は吹き出し孔12または吸い込み孔13を閉じ、加熱室9内の空気が空気所定温度Ta以上の場合は、開閉板19は吹き出し孔12または吸い込み孔13を開くように形状変化する形状記憶合金で開閉板19を形成すれば、制御手段16が開閉板19の動作を制御する必要がないので、ロースタ1をより簡単に構成することができる。
また、図1に示すタイマー18で予熱工程時間t1をカウントすることにより、すなわち、予熱工程において、加熱室9内の空気温度T1が空気所定温度Ta以上になるまでの間、加熱室9内の空気が加熱手段10により加熱されるので、加熱室9内に温度センサ17を設ける必要がなく、ロースタ1を低コストな構成にすることができるとともに、温度センサ17を設けた場合に、ロースタ1を使用していくことにより温度センサ17が汚れてしまって加熱室9内の空気温度T1を正確に検知できなくなり、予熱工程がいつまで経っても終了せず、その結果、調理工程が終了しないという不具合が生じてしまうを低減することができる。
それから、図7に示すように、予熱工程開始時から送風手段動作時間t4までの間、制御手段16は、加熱手段10に通電せずに、送風手段11のみに通電することにより、加熱手段10により加熱されていなくて、且つ被調理物3の表面3a周囲にある高湿度の空気(被調理物3の表面3a近傍に漂っている空気は、被調理物3の表面にある水分と接触しているため)よりも湿度が低い空気を、加熱室9から被調理物3に供給することができるので、被調理物3の表面3aを加熱せずに、表面3aに付着している水分を蒸発させたり、汁受け皿7に流し落としたりすることができる。
それゆえ、予熱工程中に被調理物3の表面3a近傍を乾燥させることができ、表面に付着している水分の量が少ない状態にすることができるので、加熱工程開始時に、被調理物3の表面3aを、蒸気Stが供給されると、蒸気Stが凝縮し結露水Waになりやすい状態にすることができる。
したがって、被調理物3の表面3aにより多くの蒸気Stが凝縮することになるので、被調理物3の表面3a近傍はより多くの凝縮熱Qwを受け、表面温度T4は図7に示すように、より早くたんぱく質成分の凝固温度Tbに到達することになる。
それゆえ、被調理物3の表面3a近傍のたんぱく質成分をさらに早く凝固させることができるので、被調理物3からうまみ成分が流出するのをさらに低減することができ、被調理物3の調理性能をさらに向上させることができる。
さらに、図8に示すように、蒸気供給手段15から供給される蒸気Stを加熱する蒸気加熱手段20を備えることにより、加熱工程開始時に、高温蒸気St2を調理室2内に供給することができる。
そのため、被調理物3の表面3aは、より多くの凝縮熱Qw2を高温蒸気St2から供給されることになる。
例えば、蒸気加熱手段20により加熱された高温蒸気St2の温度が300℃で、20℃の被調理物3の表面3aに1gの高温蒸気St2が結露する場合は、
Qw2=(3074.5(300℃の蒸気が持つ熱量)−2676(100℃の
蒸気が持つ熱量))+2257(蒸発潜熱)
+4.2(J/g・K)×(100−20)
=2991.5(J/g)
の熱量が被調理物3の表面3aに与えられることになる。これは、100℃の蒸気Stの場合に比べて、
Qw2/Qw=2991.5/2593≒1.15
倍の熱量になる。
Qw2=(3074.5(300℃の蒸気が持つ熱量)−2676(100℃の
蒸気が持つ熱量))+2257(蒸発潜熱)
+4.2(J/g・K)×(100−20)
=2991.5(J/g)
の熱量が被調理物3の表面3aに与えられることになる。これは、100℃の蒸気Stの場合に比べて、
Qw2/Qw=2991.5/2593≒1.15
倍の熱量になる。
したがって、被調理物3の表面温度T5の温度上昇は、図9に示すように、さらに一層早くなり、さらに一層早くたんぱく質成分の凝固温度Tbに到達することになる。
それゆえ、被調理物3の表面3a近傍のたんぱく質成分をさらに一層早く凝固させることができるので、被調理物3からうまみ成分が流出するのをさらに一層低減することができ、被調理物3の調理性能をさらに一層向上させることができる。
同時に、1gの水が100℃の蒸気Stになると体積が約1673mlになるのに対し、300℃の高温蒸気St2は、体積が約2616mlになるので、体積膨張率は、
2616/1673≒1.56
倍になる。
2616/1673≒1.56
倍になる。
そのため、調理室2内をより早く高温蒸気St2のみで充満させることができるので、より早く調理室2内に酸素がほとんど存在しない状態にすることができる。
それゆえ、被調理物3の近傍に酸素があるために、被調理物3が酸化してしまって調理性能が低下するのをより低減することができる。
また、図10に示すように、蒸気供給手段15を、蒸気Stを発生する蒸発皿21、蒸発皿21を加熱する蒸発皿加熱手段22、水を貯蔵する水供給タンク23、水供給タンク23の水を蒸発皿21に供給する給水手段24および蒸発皿21と給水手段24と水供給タンク23を接続する給水経路25とから構成し、蒸発皿21を汁受け皿7の下に配置することにより、加熱工程開始とともに、給水手段24および給水経路25を介して水供給タンク23から所定量の水を、蒸発皿加熱手段22により所定温度に加熱された蒸発皿21に供給することにより、蒸気Stを発生させることができるとともに、加熱工程が開始すると送風手段11により加熱室9から吹き出し孔12を介して高温の空気が調理室2内に供給され、吸い込み孔13を介して再び調理室2から加熱室9へ移動していくので、汁受け皿7の下に配置されている蒸発皿21から発生した蒸気Stは、汁受け皿7よりも上方に移動する前に、図10の矢印に示す空気の流れに従って、加熱室9内に移動していく。
加熱室9内に移動した蒸気Stは、加熱手段10や、すでに加熱手段10により加熱された空気により加熱されるとともに、再び吹き出し孔12から高温蒸気St2となって調理室2内に供給され、被調理物3に供給されることになる。
それゆえ、被調理物3には、蒸発皿21から発生した1気圧下で約100℃の蒸気Stが供給されるのではなく、加熱手段10や、すでに加熱された空気により加熱された高温蒸気St2が供給されることになるので、被調理物3の表面温度T5は、図9に示すように、蒸気Stを加熱する蒸気加熱手段20を設けた場合と同様に、より早く凝固温度Tbに到達することになり、被調理物3のうまみ成分を被調理物3内に閉じ込めることができ、調理性能を向上させることができる。
よって、蒸気加熱手段20を別途設けなくても、蒸気加熱手段20を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
同時に、蒸発皿21を、調理室2内に設けることができるので、調理工程終了後、汁受け皿7を使用者が取り出すことにより、使用者は蒸発皿21を拭くことができる、すなわち、蒸発皿21をメンテナンスすることができる。
それゆえ、蒸発皿21をきれいな状態にすることができるので、蒸発皿21に汚物が堆積したりして蒸気供給手段15の蒸気Stを供給する能力が低下するのを低減することができる。
なお、少なくとも蒸気Stを発生する蒸発皿21を加熱室9内に設けて、加熱室9内で蒸気Stを発生させて、その後、加熱手段10で蒸気Stを加熱してから吹き出し孔12を介して被調理物3に供給するようにしてもよい。
また、汁受け皿7を調理室2から出し入れするため、汁受け皿7と調理室2の間には隙間があるので、加熱室9から供給される空気は、汁受け皿7の下にも侵入することができ、蒸発皿21から発生する蒸気Stを加熱室9へ運ぶことができるものである。
また、図10に示すように、蒸発皿21を、ドア8近傍に配置すれば、使用者は、蒸発皿21の状態を容易に目視することができ、容易に拭いたりすることができるので、蒸発皿21のメンテナンスをより容易にすることができる。
それから、調理工程が終了すると、被調理物3や調理室2内は高温の状態であるので、そのまま放置しておくと、被調理物3に残っている水分が蒸発し、被調理物3が乾燥してしまって調理性能が低下してしまうが、図11(a)および図11(b)に示すように、ドア8の開閉を検知する開閉検知手段26を設け、調理工程終了後、開閉検知手段26が所定時間以上ドア8が開くことを検知しない場合は、少なくとも蒸気供給手段15を動作させるように制御手段16が制御することにより、調理工程終了後にも蒸気Stを供給することで、調理室2内の湿度を高湿度状態に保持することができる。
それゆえ、被調理物3の周囲を蒸気Stで充満させることができるので、被調理物3から水分が蒸発して被調理物3が乾燥してしまうのを低減することができ、被調理物3の調理性能が低下するのを低減することができるとともに、調理工程が終了しても調理性能を維持することができるので、調理工程終了後に直ちに使用者が被調理物3を調理室2内から取り出す煩わしさを低減することができる。
なお、開閉検知手段26が所定時間以上ドア8が開くことを検知しない場合に、蒸気供給手段15に加え、送風手段11も動作させるように制御手段16が制御すれば、蒸気供給手段15から供給される蒸気Stがより均一に被調理物3に供給されるので、より良い。
また、調理工程終了後、開閉検知手段26が所定時間以上ドア8が開くのを検知しない場合に蒸気供給手段15から蒸気Stを供給するようにしたが、調理工程終了後から、蒸気供給手段15から蒸気Stを供給するようにしてもよい。
それから、加熱工程開始時に蒸気供給手段15から蒸気Stを投入すると、調理室2内や加熱室9内は蒸気Stで充満し、酸素の濃度が低下するので、被調理物3が酸化されてしまって調理性能が低下するのを低減することができるが、調理室2内や加熱室9内が蒸気Stで充満している状態になると、酸素の濃度は一定になり、調理室2内や加熱室9内が蒸気Stで充満している状態にさらに蒸気供給手段15から蒸気Stを供給し続けても酸素の濃度は低下しなくなる。そのような状態に、蒸気供給手段15から蒸気Stを供給し続けても、調理室2内や加熱室9内で存在できない蒸気Stが発生し、排気経路14から排出されることになってしまう。排気経路14から蒸気Stが排出されるということは、被調理物3に熱量を与えずにそのままロースタ1外へ熱量を排出していることになるので、効率的に被調理物3を調理していない状態になってしまう。
そこで、図12に示すように、調理室2に、調理室2内の酸素濃度を検知する酸素濃度検知手段27を備え、制御手段16は、酸素濃度検知手段27の検知した酸素濃度が所定の値よりも低い場合には、酸素濃度検知手段27の検知した酸素濃度が所定の値よりも高い場合よりも蒸気供給手段15からの蒸気Stの供給量を減少させるように制御することにより、調理室2内や加熱室9内の蒸気Stの量および酸素濃度を常に一定にすることができるとともに、被調理物3に熱量を与えずに排気経路14から排出されてしまう蒸気Stの量を減少させることができるので、無駄なエネルギーを発生させずに、効率的に被調理物3を加熱することができる。
なお、酸素濃度検知手段27は、加熱室9に設けてもよい。
以上のように、本発明にかかるロースタは、加熱室で加熱された高温の空気と、凝縮することにより熱量を与える蒸気の両方を用いて被調理物を加熱することで、被調理物の表面を急激に加熱することができ、被調理物の表面近傍にあるたんぱく質成分を急激に凝固させることができるので、被調理物の内部にあるうまみ成分が流出するのを低減し被調理物の内部に閉じ込めることができ、被調理物の調理性能を向上させることができる。
同時に、調理室内は蒸気供給手段から供給される蒸気で充満しているので、被調理物から水分が出てしまって乾燥してしまうのを低減することができるので、業務用のロースタ等の用途にも適用できる。
1 ロースタ
2 調理室
3 被調理物
6 被調理物載置具
7 汁受け皿
8 ドア
9 加熱室
10 加熱手段
11 送風手段
12 吹き出し孔
13 吸い込み孔
15 蒸気供給手段
16 制御手段
19 開閉板
20 蒸気加熱手段
21 蒸発皿
23 水供給タンク
26 開閉検知手段
27 酸素濃度検知手段
2 調理室
3 被調理物
6 被調理物載置具
7 汁受け皿
8 ドア
9 加熱室
10 加熱手段
11 送風手段
12 吹き出し孔
13 吸い込み孔
15 蒸気供給手段
16 制御手段
19 開閉板
20 蒸気加熱手段
21 蒸発皿
23 水供給タンク
26 開閉検知手段
27 酸素濃度検知手段
Claims (11)
- 被調理物を出し入れする開閉可能なドアと、前記被調理物を載置する被調理物載置具と、前記被調理物載置具と前記被調理物を収納する調理室と、前記調理室へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、空気を加熱する加熱手段を有した加熱室と、前記加熱室の空気を前記調理室へ送り込む吹き出し孔と、前記調理室の空気を前記加熱室へ送り込む吸い込み孔と、前記吹き出し孔および前記吸い込み孔を介して前記調理室と前記加熱室の空気を入れ替える送風手段と、前記蒸気供給手段と前記加熱手段と前記送風手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、被調理物を調理する工程の開始時は、前記加熱手段を動作させて前記加熱室内の空気を加熱し、前記加熱室内の加熱された空気が所定温度以上になると、前記送風手段および前記蒸気供給手段を動作させるロースタ。
- 加熱室を調理室の略上部に配置した請求項1に記載のロースタ。
- 吹き出し孔または吸い込み孔を開閉する開閉板を備え、制御手段は、被調理物を調理する工程において、加熱室の空気が所定温度未満のときは前記吹き出し孔または前記吸い込み孔を閉じ、前記加熱室内の空気が所定温度以上になると前記吹き出し孔または前記吸い込み孔を開くように前記開閉板を制御する請求項1または2に記載のロースタ。
- 開閉板は、加熱室内の空気が所定温度以上になると吹き出し孔または吸い込み孔を開くように形状変化する形状記憶合金で形成された請求項3に記載のロースタ。
- 制御手段は、加熱手段が加熱室内の空気を所定時間以上加熱すると吹き出し孔または吸い込み孔を開くように開閉板を制御する請求項1または2に記載のロースタ。
- 制御手段は、被調理物を調理する工程の開始時から所定時間送風手段を動作させて停止させた後、加熱手段を動作させて加熱室内の空気を加熱するように制御する請求項1〜5のいずれか1項に記載のロースタ。
- 蒸気供給手段から供給される蒸気を加熱する蒸気加熱手段を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のロースタ。
- 被調理物載置具の下方に設けられ被調理物から滴下する焼き汁を受ける汁受け皿と、蒸気供給手段は蒸発皿と水供給タンクとを備え、前記蒸発皿を前記汁受け皿の下に配置した請求項1〜7のいずれか1項に記載のロースタ。
- 蒸発皿をドア近傍に配置した請求項8に記載のロースタ。
- ドアの開閉を検知する開閉検知手段を設け、制御手段は、調理工程終了後、前記開閉検知手段が所定時間以上前記ドアが開くのを検知しない場合は、少なくとも蒸気供給手段を動作させる請求項1〜9のいずれか1項に記載のロースタ。
- 調理室または加熱室内の酸素の濃度を検知する酸素濃度検知手段を備え、制御手段は、前記酸素濃度検知手段の検知した酸素濃度が所定の値よりも低い場合には、前記酸素濃度検知手段の検知した酸素濃度が所定の値よりも高い場合よりも蒸気供給手段からの蒸気供給量を減少させるように制御する請求項1〜10のいずれか1項に記載のロースタ。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008131972A (ja) * | 2006-11-27 | 2008-06-12 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器 |
JP2008259616A (ja) * | 2007-04-11 | 2008-10-30 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器 |
JP2008264053A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 加熱調理器 |
JP2013188635A (ja) * | 2013-07-03 | 2013-09-26 | Mitsubishi Electric Corp | 加熱調理器及び加熱調理装置 |
-
2005
- 2005-02-18 JP JP2005041963A patent/JP2006223628A/ja active Pending
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