JP2006222396A - キャパシタ及びその製造方法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜 - Google Patents

キャパシタ及びその製造方法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 静電容量の増大を図りつつ、誘電体層と下部電極との密着性の向上が図られたキャパシタ及びその製法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜を提供する。
【解決手段】 本発明に係るキャパシタ10は、下部電極14Aと、下部電極14Aに成膜されたSiO層20とSiO層20上に成膜されたSiON層21とSiON層21上に成膜されたSi層22とを有する誘電体層16と、誘電体層16上に形成された上部電極14Bとを備えることを特徴とする。このように下部電極14AとSi層22との間にSiO層20を介在させると、従来キャパシタのように下部電極14Aに直接Si層22を成膜した場合に比べ、下部電極14AとSi層22とが堅固に密着する。さらに、SiO層20とSi層22との間にSiON層21を介在させると、SiO層20とSi層22とが堅固に密着する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄膜誘電体層を有するキャパシタ及びその製造方法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜に関する。
従来、この技術の分野におけるキャパシタを構成する誘電体層は、例えば、下記特許文献1に開示されている。この公報には、キャパシタの誘電体層として機能する絶縁層に窒化ケイ素(Si)を用いることが開示されている。このようなSiに代表される金属窒化物は、誘電率が高い点で、キャパシタの誘電体層に適している。そのため、この金属窒化物によって誘電体層を構成することで、従来から多用されているSiO等の金属酸化物で誘電体層を構成する場合に比べ、キャパシタの静電容量の増大を図ることができる。
特開平11−8359号公報
しかしながら、この金属窒化物層は、一般に、金属酸化物層に比べて成膜時に生じる膜応力が大きいことが知られている。そのため、下部電極の表面に誘電体層を成膜した際、誘電体層が下部電極と十分に密着せずに、後段のアニール処理や超音波洗浄等において誘電体層が下部電極から剥離することがあった。
発明者らは、このような剥離を抑制する技術について鋭意研究した結果、下部電極と金属窒化物層との間に金属酸化物層を介在させる技術に想到した。そして、発明者らはさらに研究を重ね、膜応力の相違する金属窒化物層と金属酸化物層との間における密着性を向上させる技術を新たに見出した。
つまり、本発明は、静電容量の増大と、誘電体層と下部電極との密着性の向上とを図りつつ、誘電体層を構成する層間の密着性の向上が図られたキャパシタ及びその製法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜を提供することを目的とする。
本発明に係るキャパシタは、下部電極と、下部電極に成膜された金属酸化物層と、金属酸化物層上に成膜された金属酸窒化物層と、金属酸窒化物層上に成膜された金属窒化物層とを有する誘電体層と、誘電体層上に形成された上部電極とを備えることを特徴とする。
このキャパシタにおいては、下部電極に誘電体層の金属酸化物層が成膜されている。そして、この金属酸化物層上に、金属酸窒化物層及び金属窒化物層が成膜されている。このように下部電極と金属窒化物層との間に金属酸化物層を介在させると、従来のキャパシタのように下部電極に直接金属窒化物層を成膜した場合に比べ、下部電極と金属窒化物層とが堅固に密着する。さらに、金属酸化物層と金属窒化物層との間に金属酸窒化物層を介在させると、金属酸化物層と金属窒化物層とが堅固に密着する。すなわち、本発明に係るキャパシタは、誘電体層が高い誘電率を有する金属窒化物層を備えているため大きな静電容量を有し、且つ、従来のキャパシタに比べて誘電体層と下部電極との間の密着性が向上しており、さらに、誘電体層を構成する金属酸化物層と金属窒化物層との間の密着性が向上している。
また、金属酸窒化物層の酸素含有率は、金属酸化物層から金属窒化物層に近づくにつれて徐々に低下していることが好ましい。この場合、誘電体層内において金属酸化物層から金属窒化物層へ連続的に変化するため、金属酸化物層と金属窒化物層との間の密着性がより向上する。
また、金属酸化物層を構成する金属と、金属酸窒化物層を構成する金属と、金属窒化物層を構成する金属とが同一であることが好ましい。この場合、例えば金属酸化物層、金属酸窒化物層及び金属窒化物層をスパッタ成膜する場合、一つの金属ターゲットのみでこれらの層を成膜できるため、キャパシタを作製する際の手間と時間が削減される。
また、金属酸化物層、金属酸窒化物層及び金属窒化物層を構成する金属がSi又はAlであることが好ましい。この場合、金属の入手が容易な上、実用的な素子特性を得ることができる。
また、下部電極の構成材料が、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Ti、Cr、Alからなる群の中の少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。この場合、下部電極と金属窒化物層との間に介在する金属酸化物層によって、下部電極は、金属窒化物層とより堅固に密着する。
本発明に係る誘電体薄膜は、キャパシタに用いられる誘電体薄膜であって、厚さ方向に沿って酸素含有率が徐々に変化する金属酸窒化物層を含むことを特徴とする。
この誘電体薄膜は金属酸窒化物層を含んでおり、この金属酸窒化物層では、酸素含有率がその厚さ方向に沿って徐々に変化している。そのため、金属酸窒化物層は、酸素含有率が相対的に低い領域と酸素含有率が相対的に高い領域とが略連続的に結合した状態となっている。そのため、この誘電体薄膜をキャパシタに用いると、その酸素含有率が低い領域において高い誘電率が実現され、また、酸素含有率が高い領域において下部電極との間の高い密着性が実現される。
また、金属酸化物層及び金属窒化物層をさらに含み、金属酸窒化物層は、金属酸化物層と金属窒化物層との間に介在し、且つ、金属酸窒化物層の酸素含有率は、金属酸化物層から金属窒化物層に近づくにつれて徐々に低下している。この場合、金属酸化物層と金属窒化物層とが金属酸窒化物層によって堅固に密着される。
本発明に係るフィルタは、下部電極と、下部電極に成膜された金属酸化物層と金属酸化物層上に成膜された金属酸窒化物層と金属酸窒化物層上に成膜された金属窒化物層とを有する誘電体層と、誘電体層上に形成された上部電極とを備えるキャパシタを備えることを特徴とする。
このフィルタにおいては、キャパシタの下部電極に誘電体層の金属酸化物層が成膜されている。そして、この金属酸化物層上に金属酸窒化物層及び金属窒化物層が成膜されている。このように下部電極と金属窒化物層との間に金属酸化物層を介在させると、従来のキャパシタのように下部電極に直接金属窒化物層を成膜した場合に比べ、下部電極と金属窒化物層とが堅固に密着する。さらに、金属酸化物層と金属窒化物層との間に金属酸窒化物層を介在させると、金属酸化物層と金属窒化物層とが堅固に密着する。すなわち、本発明のフィルタのキャパシタは、誘電体層が高い誘電率を有する金属窒化物層を備えているため大きな静電容量を有し、且つ、従来のキャパシタに比べて誘電体層と下部電極との間の密着性が向上しており、さらに、誘電体層を構成する金属酸化物層と金属窒化物層との間の密着性が向上している。
本発明に係るキャパシタの製造方法は、下部電極に金属酸化物層を成膜すると共に、金属酸化物層上に金属酸窒化物層及び金属窒化物層を順次成膜して、金属酸化物層、金属酸窒化物層及び金属窒化物層を有する誘電体層を形成するステップと、誘電体層上に上部電極を形成するステップとを備えることを特徴とする。
このキャパシタの製造方法においては、下部電極に誘電体層の金属酸化物層を成膜し、この金属酸化物層上に金属酸窒化物層及び金属窒化物層を順次成膜する。このように下部電極と金属窒化物層との間に金属酸化物層を介在させると、従来のキャパシタのように下部電極に直接金属窒化物層を成膜した場合に比べ、下部電極と金属窒化物層とが堅固に密着する。さらに、金属酸化物層と金属窒化物層との間に金属酸窒化物層を介在させると、金属酸化物層と金属窒化物層とが堅固に密着する。すなわち、本発明に係るキャパシタの製造方法を用いると、誘電体層が高い誘電率を有する金属窒化物層を備える静電容量の大きなキャパシタであって、従来のキャパシタに比べて誘電体層と下部電極との間の密着性が高く、且つ、誘電体層を構成する金属酸化物層と金属窒化物層との間の密着性が高いキャパシタを得ることができる。
また、金属酸化物層、金属酸窒化物層及び金属窒化物層をスパッタによって成膜し、金属酸化物層のスパッタ成膜の際には、酸素ガスを含むガス雰囲気中において、金属ターゲットをスパッタし、金属酸窒化物層及び金属窒化物層のスパッタ成膜の際には、金属酸化物層のスパッタ成膜に用いた金属ターゲットを、それぞれ酸素ガス及び窒素ガスを含むガス雰囲気中、窒素ガスを含むガス雰囲気中においてスパッタすることが好ましい。この場合、一つの金属ターゲットのみで金属酸化物層、金属酸窒化物層及び金属窒化物層が成膜されるため、キャパシタを作製する際の手間と時間が削減される。
本発明によれば、静電容量の増大と、誘電体層と下部電極との密着性の向上とを図りつつ、誘電体層を構成する層間の密着性の向上が図られたキャパシタ及びその製法、それを用いたフィルタ、それに用いる誘電体薄膜が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明に係るキャパシタ及びその製法、それを用いたフィルタを実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るキャパシタを示した概略断面図である。このキャパシタ10は、基板12と、キャパシタ10に電圧を印加するための一対の電極対14A,14Bと、電極対14A,14Bの間に介在する誘電体層(誘電体薄膜)16とを備えた薄膜積層構造を有している。
基板12は、Alで構成されており、適宜、平坦性を向上させるために表面をAl薄膜で被覆してもよい。なお、基板12の構成材料は、例えばSi等に変更可能である。
一対の電極対14A,14Bのうち、基板12に近いほうの電極(以下、下部電極と称す。)14Aは、基板12の表面12aにスパッタ成膜されたCuシード層18Aを介してメッキ形成されたものであり、Cuで構成されている。
この下部電極14A上には、誘電体層16を構成するSiO層20(厚さ:7.5nm)、SiON層21(厚さ:7.5nm)及びSi層22(厚さ:150nm)が順次積層されている。SiO層20は、非晶質(アモルファス)のSiOで構成されており、Si層22も非晶質のSiで構成されている。SiON層21は、非晶質のSiON(Siの酸窒化物(オキシナイトライド))で構成されており、SiO層20からSi層22に近づくにつれて(すなわち、図1の上に向かって)徐々にその酸素含有率が低下している。なお、SiO層20の厚さ(D1)は、3nm≦D1≦15nmの範囲で適宜変更してもよい。SiO層20の厚さD1が5nmより薄い場合にはSiO層20による絶縁を確実におこなうことが難しくなり、厚さD1が15nmより厚い場合には実用的なレベルのキャパシタ特性が得られない。また、SiON層21の厚さ(D2)は、3nm≦D2≦15nmの範囲で適宜変更してもよい。SiON層21の厚さD2が3nmより薄い場合には酸素含有率を傾斜させることが難しくなり、厚さD2が15nmより厚い場合には実用的なレベルのキャパシタ特性が得られない。Si層22の厚さ(D3)も、150nmに限らず、適宜変更してもよい。
そして、誘電体層16上に、電極対14A,14Bのうちの基板12から遠いほうの電極(以下、上部電極と称す。)14Bが形成されている。この上部電極14Bも、下部電極14A同様、メッキ形成されたものであり、Auで構成されている。この上部電極14Bは、誘電体層16上にスパッタ成膜されたAuシード層18Bを介してメッキ形成されたものであり、Auで構成されている。
次に、キャパシタ10を作製する際に用いるスパッタ装置について、図2を参照しつつ説明する。この図2は、本発明の実施形態に係るスパッタ装置を示した一部切欠斜視図である。このスパッタ装置30は、高周波スパッタ方式の成膜装置である。
スパッタ装置30は、チャンバ32と、チャンバ32内における下端部近傍に設けられた基板ホルダ34と、チャンバ32内における上端部近傍に設けられたターゲット支持板36とを備えている。
ターゲット支持板36には、ターゲットホルダ38が固定されており、このターゲットホルダ38には金属ターゲット40が取り付けられている。この金属ターゲット40にはSiが用いられる。なお、この金属ターゲット40に対面するように、図示しないシャッタが設けられており、必要に応じて開閉されるようになっている。
基板ホルダ34は円板状であり、その上面34aに、下部電極14Aが形成された基板12が載置される。基板12はターゲット支持板36に対面しており、ターゲット支持板36に取り付けられた金属ターゲット40をスパッタすることで、基板12の下部電極14A上に誘電体層16が成膜される。
また、チャンバ32には、配管42を介して真空ポンプ44が取り付けられており、配管42のバルブ42aを開閉することで、適宜、チャンバ32内を真空状態にすることができる。さらに、チャンバ32には、チャンバ32内部に雰囲気ガスを導入する3つのガス管46A,46B,46Cと、排気に用いられる排気管48が取り付けられている。
それぞれのガス管46A,46B,46Cからは、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスが導入され、その途中に設けられた弁(例えば、電磁弁)50A,50B,50Cによって流量がコントロールされる。
そして、このスパッタ装置30においては、3つのガス管46A,46B,46Cから所定のガスを選択的に導入してチャンバ内雰囲気を調整した状態で、ターゲット支持板36と基板ホルダ34との間に高周波電圧を印加して、金属ターゲット40のスパッタがおこなわれる。より詳しく説明すると、チャンバ32内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入してスパッタをおこなうと、基板12上にSiO層が成膜され、チャンバ32内に窒素ガス及びアルゴンガスを導入してスパッタをおこなうと、基板12上にSi層が成膜される。また、チャンバ32内に酸素ガス、窒素ガス及びアルゴンガスを導入してスパッタをおこなうと、基板12上にSiON層が成膜される。このように、金属ターゲット40を変えることなく(すなわち、1つの金属ターゲットを用いて)、チャンバ32内の雰囲気ガスを変更するだけで、SiO層、SiON層及びSi層のいずれの層も成膜することができるため、このスパッタ装置30を用いることで上述した誘電体層16を容易に形成することができる。
次に、上述したキャパシタ10を作製する手順について、図3を参照しつつ説明する。この図3の(a)〜(e)は、キャパシタ10を作製する手順を順次示した図である。
キャパシタ10を作製する際は、まず、基板12を準備し、この基板12の上面12aにCuシード層18Aをスパッタ成膜すると共に、このCuシード層18A上にCuをメッキ形成して下部電極14Aを形成する(図3(a)参照)。なお、この下部電極14Aには、必要に応じて化学機械的研磨(CMP)を施してもよい。
次に、この下部電極14Aが形成された基板12を、上述したスパッタ装置30の基板ホルダ34上に装填し、チャンバ32内をガス管46B,46Cから導入した酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気にした後、金属ターゲット40のスパッタをおこなって下部電極14Aの上面にSiO層20を成膜する(図3(b)参照)。そして、SiO層20を成膜した後、ガス管46A,46Bの弁50A,50Bを制御して、ガス管46Bから導入する酸素ガスの流量を徐々に減少させると共に、ガス管46Aから導入する窒素ガスの流量を徐々に増加させて、金属ターゲット40のスパッタをおこない、SiO層20の上面にSiON層21を成膜する(図3(c)参照)。ガス管46Bから導入される酸素ガスの流量が減少して、チャンバ32内が窒素ガスとアルゴンガスのみの混合ガス雰囲気になる状態まで、金属ターゲット40のスパッタを続けて、SiON層21の上面にSi層22を成膜する(図3(d)参照)。以上のようにして、SiO層20とSiON層21とSi層22とからなる誘電体層16が形成される。
この誘電体層16が形成される際にチャンバ32に導入される混合ガスについて、図4を用いて詳しく説明する。この図4は、誘電体層16が形成される際にチャンバ32に導入される酸素ガスと窒素ガスの変化を示したタイムチャートである。すなわち、SiO層20の成膜時(図4のTまでの時間)は、チャンバ32には所定流量Fの酸素ガスが導入され、窒素ガスは導入されない。そして、SiO層20の成膜が完了して、SiON層21が成膜される時(T〜T)には、チャンバ32に導入される酸素ガスの流量が徐々に減少すると共に、窒素ガスの流量が徐々に増加する。従って、SiON層21の酸素含有率は次第に低下していく。SiON層21の成膜が完了して、Si層22が成膜される時(図4のTからの時間)は、チャンバ32には所定流量Fの窒素ガスが導入され、酸素ガスは導入されない。なお、図4のタイムチャートには示していないが、チャンバ32には所定流量のアルゴンガスが随時導入されている。
誘電体層16の形成が終わると、基板12をスパッタ装置30から取り出し、Si層22の上面にAuシード層18Bをスパッタ成膜すると共に、このAuシード層18B上に上部電極14Bをメッキ形成して、キャパシタ10の作製が完了する(図3(e)参照)。
以上で説明したように、キャパシタ10の誘電体層16の一部がSi層22で構成されている。このようなSi層22等の金属窒化物層は、SiO層20等の金属窒化物層に比べてキャパシタの静電容量を大きくすることが一般に知られている。そのため、この誘電体層16は、金属酸化物層だけで構成されている誘電体層に比べて大きな静電容量を有する。
そして、発明者らは、膜応力の大きいこの誘電体層16のSi層22を下部電極14A上に直接成膜する際に、より膜応力に小さい金属酸化物層であるSiO層20を介在させることで、Si層22を下部電極14A上に直接成膜する場合に比べて、Si層22と下部電極14Aとの間の密着性が向上することを新たに見出した。すなわち、誘電体層16のSi層22の成膜に先立ち、誘電体層16の一部を構成するSiO層20を下部電極14A上に成膜することで、誘電体層16と下部電極14Aとが堅固に密着する。従って、このキャパシタ10は、誘電体層16の成膜後におこなわれるアニール処理や超音波洗浄等において、誘電体層16が下部電極14Aから剥離する事態が有意に抑制されている。
その上、膜応力の小さいSiO層20と膜応力の大きいSi層22との間に、その中間の膜応力を有する金属酸窒化物層のSiON層21を介在させて、隣り合う膜同士の膜応力の隔たり(ギャップ)を有意に緩和しているため、SiO層20とSi層22とが堅固に密着している。特に、SiON層21の酸素含有率が、SiO層20からSi層22に近づくにつれて徐々に低下しているため、誘電体層16内においてSiO層20からSi層22へ連続的に変化することとなり、その結果、誘電体層16内において膜応力が変化する界面が消失して、SiO層20とSi層22との間の密着性がより向上する。
すなわち、キャパシタ10の誘電体層(誘電体薄膜)16は、図5に示すように、酸素含有率が厚さ方向に沿って徐々に変化するSiON層21を含んでおり、このSiON層21においては、酸素含有率が相対的に低い領域(金属窒化物領域)21aと、酸素含有率が相対的に高い領域(金属酸化物領域)21bとが連続的に高い密着力で結合した状態となっている。そして、その金属窒化物領域において高い誘電率が実現され、また、金属酸化物領域において下部電極14Aとの間の高い密着性が実現されている。
また、誘電体層16では、SiO層20及びSi層22をさらに含み、SiON層21は、SiO層20とSi層22との間に介在し、且つ、SiON層21の酸素含有率は、SiO層20からSi層22に近づくにつれて徐々に低下している。つまり、SiON層21の金属窒化物領域21aの側にSi層22が位置し、金属酸化物領域21bの側にSiO層20が位置している。従って、SiON層21によりSi層22とSiO層20との間の膜応力のギャップが緩和されて高い密着性が実現されている。
また、誘電体層16のSiO層20、SiON層21及びSi層22はいずれも構成金属が同一のSiとなっている。そのため、上述したスパッタ装置30を用いてSiO層20、SiON層21及びSi層22をスパッタ成膜する際、一つの金属ターゲット40のみでこれらの層を成膜できる。つまり、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中で金属ターゲット40をスパッタすればSiO層20が成膜され、そのSiO層20のスパッタ成膜に用いた金属ターゲット40をそれぞれ、酸素ガスと窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタすれば、SiON層21及びSi層22が成膜される。そのため、各膜20,21,22の成膜のたびに金属ターゲットを変更する必要がなく、キャパシタ10を作製する際の手間と時間が削減される。なお、金属ターゲット40は、金属の入手が容易な上、実用的な素子特性を得ることができる点で、Si以外にAlでもよい。金属ターゲット40をAlにした場合には、SiO層20の代わりにAl層が成膜され、SiON層21の代わりにAlON層が成膜され、Si層22の代わりにAlN層が成膜されたキャパシタが得られる。
ここで、下部電極14Aは、酸化しやすいCuで構成されているため、下部電極14AとSi層22との密着性が低下しやすくなっているが、下部電極14AとSi層22との間にSiO層20を介在させることで、有効に誘電体層16と下部電極14Aとの間の密着性向上が図られている。換言すると、下部電極14Aは、下部電極14AとSi層22との間に介在するSiO層20によって、Si層22と堅固に密着されている。なお、下部電極14Aの構成材料は、Cu同様に酸化しやすい材料であれば、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Ti、Cr、Alからなる群の中の少なくとも1種の材料を含むものであってもよい。
なお、以上で説明したキャパシタ10は、例えば、図6に示すような種々のフィルタに適用することができる。なお、図6はキャパシタ10が適用されたフィルタの例を示した図であり、(a)はローパスフィルタ、(b)はハイパスフィルタを示している。つまり、図6(a)に示したローパスフィルタ60A及び図6(b)に示したハイパスフィルタ60Bは、いずれもインダクタ(L)とキャパシタ(C)とレジスタ(R)を1個ずつ備えており、そのキャパシタとして上述したキャパシタ10が用いられている。つまり、このようなフィルタ60A,60Bは、キャパシタ10を採用することで大きな静電容量を具備し、そのキャパシタ10においては誘電体層16と下部電極14Aとが堅固に密着しており、さらに誘電体層16を構成するSiO層20とSi層22とが堅固に密着している。なお、図6では簡単な構成のフィルタを示したが、キャパシタ10は、L、C及びRを1つ又は複数備えた様々なタイプのフィルタに適用することができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、キャパシタは、必ずしも基板を備える必要はなく、適宜除去してもよい。また、誘電体層の成膜に用いるスパッタ装置は、高周波スパッタ方式のものに限らず、ECRスパッタ方式等の公知の方式のスパッタ装置を用いることができる。
本発明の実施形態に係るキャパシタを示した概略断面図である。 図1に示したキャパシタの作製に用いるスパッタ装置を示した一部切欠斜視図である。 図1に示したキャパシタを作製する手順を示した図である。 図1に示したキャパシタの誘電体層が形成される際に図2に示したスパッタ装置のチャンバに導入される酸素ガスと窒素ガスの変化を示したタイムチャートである 本発明の実施形態に係る誘電体薄膜を示した概略断面図である。 図1に示したキャパシタが適用されたフィルタの例を示した図である。
符号の説明
10…キャパシタ、12…基板、14A…下部電極、14B…上部電極、16…誘電体層、20…SiO層、21…SiON層、22…Si層、30…スパッタ装置、40…金属ターゲット、60A,60B…フィルタ。

Claims (10)

  1. 下部電極と、
    前記下部電極に成膜された金属酸化物層と、前記金属酸化物層上に成膜された金属酸窒化物層と、前記金属酸窒化物層上に成膜された金属窒化物層とを有する誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成された上部電極と
    を備える、キャパシタ。
  2. 前記金属酸窒化物層の酸素含有率は、前記金属酸化物層から前記金属窒化物層に近づくにつれて徐々に低下している、請求項1に記載のキャパシタ。
  3. 前記金属酸化物層を構成する金属と、前記金属酸窒化物層を構成する金属と、前記金属窒化物層を構成する金属とが同一である、請求項1又は2に記載のキャパシタ。
  4. 前記金属酸化物、前記金属酸窒化物層及び前記金属窒化物を構成する金属がSi又はAlである、請求項3に記載のキャパシタ。
  5. 前記下部電極の構成材料が、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Ti、Cr、Alからなる群の中の少なくとも1種の材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャパシタ。
  6. キャパシタに用いられる誘電体薄膜であって、厚さ方向に沿って酸素含有率が徐々に変化する金属酸窒化物層を含む、誘電体薄膜。
  7. 金属酸化物層及び金属窒化物層をさらに含み、
    前記金属酸窒化物層は、前記金属酸化物層と前記金属窒化物層との間に介在し、且つ、前記金属酸窒化物層の酸素含有率は、前記金属酸化物層から前記金属窒化物層に近づくにつれて徐々に低下している、請求項6に記載の誘電体薄膜。
  8. 下部電極と、前記下部電極に成膜された金属酸化物層と前記金属酸化物層上に成膜された金属酸窒化物層と前記金属酸窒化物層上に成膜された金属窒化物層とを有する誘電体層と、前記誘電体層上に形成された上部電極とを備えるキャパシタを備える、フィルタ。
  9. 下部電極に金属酸化物層を成膜すると共に、前記金属酸化物層上に金属酸窒化物層及び金属窒化物層を順次成膜して、前記金属酸化物層、前記金属酸窒化物層及び前記金属窒化物層を有する誘電体層を形成するステップと、
    前記誘電体層上に上部電極を形成するステップと
    を備える、キャパシタの製造方法。
  10. 前記金属酸化物層、前記金属酸窒化物層及び前記金属窒化物層をスパッタによって成膜し、
    前記金属酸化物層のスパッタ成膜の際には、酸素ガスを含むガス雰囲気中において、金属ターゲットをスパッタし、
    前記金属酸窒化物層及び前記金属窒化物層のスパッタ成膜の際には、前記金属酸化物層のスパッタ成膜に用いた前記金属ターゲットを、それぞれ酸素ガス及び窒素ガスを含むガス雰囲気中、窒素ガスを含むガス雰囲気中においてスパッタする、請求項9に記載のキャパシタの製造方法。
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