JP2006219477A - カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に有利なカルボン酸エステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2006219477

(式中、RおよびRは、それぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を表す。Yはフッ化物イオンを除く1価のアニオンを表す。また、0<x≦1である。)
で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の存在下に、カルボン酸とアルキルハライドとを反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸エステルの製造方法に関する。
カルボン酸エステルは、医農薬原体、電子材料をはじめとする各種化学製品およびそれらの合成中間体等として重要な化合物である(例えば、特許文献1参照。)。カルボン酸エステルの製造方法としては、例えば、カルボン酸とアルコールとの反応、カルボン酸ハライドとアルコールとの反応、カルボン酸とアルキルハライドとの反応が一般的に用いられ、原料や触媒の入手性、基質による反応性の違い等、種々の条件に応じて、適宜好ましい組み合せの反応を選択することができる。
かかる組み合せのうち、カルボン酸とアルキルハライドとの反応において、例えば、フッ化セシウム(例えば、非特許文献1、2参照。)やフッ化カリウム(例えば、非特許文献3〜5参照。)等を用いてフッ化物イオンを活性化剤とすることにより、比較的温和な条件下で反応できることが知られている。しかしながら、かかる方法においては、リサイクル使用の困難な高沸点の有機溶媒が必要であったり、活性化剤のセライト担持が必要であったり、過剰に用いた活性化剤のリサイクル使用が困難であったりするなど、工業的な製法として、必ずしも十分なものとはいえなかった。
特開昭57−123146号公報 J.Org.Chem.,52,2166(1992) Synthetic Communications,2021(1998) J.Chem.Soc.Chem.Comm.,229(1976) Tetrahedron Letters,42,9245(2001) Tetrahedron Letters,44,6583(2003)
そこで本発明者は、工業的により有利なカルボン酸エステルの製造方法を開発すべく、鋭意検討したところ、カルボン酸とアルキルハライドとの反応を、フッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の存在下に実施すれば、カルボン酸エステルが効率よく生成することを見出し、さらには、無機塩基を使用することにより、フッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の量を削減しても効率よく反応が進行することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、式(1)
Figure 2006219477
(式中、RおよびRは、それぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を表す。Yはフッ化物イオンを除く1価のアニオンを表す。また、0<x≦1である。)
で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の存在下に、カルボン酸とアルキルハライドとを反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、カルボン酸エステルを比較的効率よく製造することができるため、工業的に有利である。また、本発明のフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩は、それ自体がイオン性液体の性質も有しているため回収・リサイクル使用が容易であり、さらに、上記式(1)においてxを適宜選択することにより融点を室温以下にすることもできるため幅広い温度条件で反応を実施可能である等、工業的な取り扱いや環境の面においても有利である。
まず、上記式(1)で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩(以下、イミダゾリウム塩(1)と略記する。)について説明する。
式中、RおよびRは、それぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を表す。
ここでアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。かかるアルキル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルコキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の炭素数7〜20の置換されていてもよいアリールカルボニル基;フッ素原子;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、フェナシル基等が挙げられる。
はフッ化物イオンを除く1価のアニオンを表し、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のフッ化物イオンを除くハロゲン化物イオン;テトラフルオロホウ酸アニオン等のホウ酸イオン類;ヘキサフルオロリン酸アニオン等のリン酸イオン類;ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン等のアンチモン酸イオン類;トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等のスルホン酸イオン類;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドアニオン等のアミドイオン類;等が挙げられる。
xは、イミダゾリウム塩(1)に含まれる全アニオンに対するフッ化物イオンの比率を表し、0<x≦1の範囲で任意に選択できる。xが0に近くなれば、エステル化反応の活性化剤としての効率が低下するため、0.4<x≦1の範囲が好ましい。
かかるイミダゾリウム塩(1)としては、x=1の場合はフッ化物イオンと、例えば1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(n−プロピル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(n−ブチル)イミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−(n−ブチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(n−ペンチル)イミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(n−ヘキシル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(n−プロピル)イミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−2−(n−ブチル)イミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−2−メチル−3−ドデシルイミダゾリウムカチオン、1−エトシキシメチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−トリフルオロメチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(n−ドデシル)−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムカチオン等のアルキル置換イミダゾリウムカチオンとからなる、アルキル置換イミダゾリウム塩が挙げられ、0<x<1の場合は、例えば上記フッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩のフッ化物イオンの一部が、それぞれ塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドアニオン等で置き換えられた混合アルキル置換イミダゾリウム塩が挙げられる。
これらは、例えば水や極性溶媒等の反応に不活性な化合物と錯体を形成していてもよい。
かかるイミダゾリウム塩(1)は、例えばフッ化銀やフッ化カリウム等のフッ化物と上記式(1)においてx=0であるアルキル置換イミダゾリウム塩との塩交換反応などの方法を用いて製造することができる。また、上記式(1)においてx=0であるアルキル置換イミダゾリウム塩とx=1であるアルキル置換イミダゾリウムフルオライドとを混合することにより調製してもよい。
次に、イミダゾリウム塩(1)の存在下における、カルボン酸とアルキルハライドとのエステル化反応について説明する。
カルボン酸としては、分子内にカルボニル基を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、例えば、式(2)
Figure 2006219477
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。)
で示されるカルボン酸(以下、カルボン酸(2)と略記する。)が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。かかるアルキル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の炭素数7〜20の置換されていてもよいアリールカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルコキシカルボニル基;フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基;エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−フルオロ−1−プロペニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基等の炭素数2〜12の置換されていてもよいアルケニル基;フッ素原子等のハロゲン原子;ホルミル基;カルボキシ基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、3−オキソブチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、ベンジル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基等の炭素数2〜12の1−アルケニル基;1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基等の炭素数5〜12のシクロアルケニル基;等が挙げられる。かかるアルケニル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の炭素数7〜20の置換されていてもよいアリールカルボニル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルケニル基の具体例としては、3−フルオロ−1−プロペニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。かかるアリール基上に有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルキル基;エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−フルオロ−1−プロペニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基等の炭素数2〜12の置換されていてもよいアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の炭素数7〜20の置換されていてもよいアリールカルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−アセチルフェニル基等が挙げられる。
かかるカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、シクロヘキシルカルボン酸、ピバル酸、tert−ブチル酢酸、アクリル酸、ピルビン酸、桂皮酸、フェニル酢酸、安息香酸、2−フルオロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、2−ブロモ安息香酸、3−フルオロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、3−ブロモ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジフルオロ安息香酸、3−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−トリフルオロメチル安息香酸、2−メトキシ安息香酸、1−カルボメトキシナフタレン等が挙げられる。
アルキルハライドとしては、分子内にフッ素原子以外のハロゲン原子を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、例えば、式(3)
Figure 2006219477
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
で示されるアルキルハライド(以下、アルキルハライド(3)と略記する。)が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。かかるアルキル基上に有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の炭素数1〜20の置換されていてもよいアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の炭素数7〜20の置換されていてもよいアリールカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−フルオロ−1−プロペニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基等の炭素数2〜12の置換されていてもよいアルケニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ホルミル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、3−オキソブチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、ベンジル基等が挙げられる。
かかるアルキルハライドとしては、例えばメチルヨーダイド、エチルヨーダイド、イソプロピルクロライド、1−クロロブタン、1−ブロモブタン、1−ヨードブタン、1−クロロシクロブタン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−クロロシクロペンタン、1−クロロ−4−ブロモブタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1−クロロヘプタン、1−ブロモヘプタン、2−クロロへプタン、2−ブロモヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモオクタン、2−クロロオクタン、2−ブロモオクタン、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、(1−クロロエチル)ベンゼン、(1−ブロモエチル)ベンゼン、4−メトキシベンジルクロライド、4−メチルベンジルブロマイド、3,4,5−トリフルオロベンジルブロマイド、tert−ブチルクロライド、シクロヘキシルブロマイド、メンチルブロマイド、4−クロロベンジルクロライド、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルブロマイド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルブロマイド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルクロライド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルブロマイド、3−フェノキシベンジルクロライド等が挙げられる。
アルキルハライドの使用量は特に限定されず、通常は、カルボン酸の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、アルキルハライドの反応を所望するハロゲン原子が1モル存在する量を用いれば、本発明の目的を達成できるが、反応性や経済性等の観点により、溶媒を兼ねて、どちらか一方を過剰量用いてもよい。好ましいアルキルハライドの使用量の範囲は、反応を所望する官能基基準で、カルボン酸に対して0.5〜2モル倍程度である。アルキルハライドまたはカルボン酸のうち一方を過剰に用いる場合は、反応終了後、必要に応じて蒸留操作、抽出操作等を実施することにより、過剰に用いたアルキルハライドまたはカルボン酸を回収・再使用することも可能である。
本反応は、有機溶媒の存在下において実施することもできるし、溶媒を用いることなく実施することもできる。
溶媒を用いて実施する場合の有機溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含イオウ溶媒;等が挙げられる。
溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、カルボン酸に対して、通常100重量倍以下である。反応温度は、通常−20〜200℃、好ましくは0〜150℃の範囲である。
イミダゾリウム塩(1)の使用量は通常、カルボン酸のカルボキシ基に対して、フッ化物イオン基準で1モル倍以上用いる。その上限は特になく、溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよいが、経済性ならびに反応効率の観点から好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
本反応においては、必要に応じて、無機塩基を用いることにより、イミダゾリウム塩(1)の使用量を削減することが可能である。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物等が挙げられる。具体的には、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;およびこれらの任意の混合物が挙げられる。好ましくは炭酸塩が用いられる。
無機塩基の使用量は特に制限されないが、イミダゾリウム塩(1)の使用量を効果的に削減するために、カルボン酸のカルボキシ基に対し、通常1モル倍以上用いる。その上限は特にないが、多く用いても操作性や経済性が悪くなるため、通常は10モル倍以下である。
かかる無機塩基を使用した場合のイミダゾリウム塩(1)の使用量は、カルボン酸のカルボキシ基に対して、フッ化物イオン基準で、通常0.01モル倍以上であり、その上限は特にない。反応効率の観点から好ましくは0.1〜1モル倍の範囲である。
反応試剤の混合順は、反応温度以下で混合する場合は、特に制限されない。反応温度条件下で混合する場合は、必要に応じて溶媒や無機塩基を共存させたカルボン酸とイミダゾリウム塩(1)との混合物に、アルキルハライドを加えていくことが好ましい。
本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、晶析処理や蒸留処理等を行ったり、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理したりすることにより、カルボン酸エステルを得ることができる。得られたカルボン酸エステルは、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
ここで、水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;等が挙げられる。
本反応により得られるカルボン酸エステルは、アルキルハライドの少なくとも1つのフッ素原子以外のハロゲン原子が、カルボン酸の少なくとも一つのカルボキシラート基で置換された化合物であり、例えば、カルボン酸として式(2)で示されるカルボン酸を用い、アルキルハライドとして式(3)で示されるアルキルハライドを用いた場合は、得られるカルボン酸エステルは式(4)
Figure 2006219477
(式中、RおよびRは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸エステルである。
かかるカルボン酸エステルとしては、例えば酢酸エチル、プロピオン酸メチル、n−ブタン酸イソプロピル、n−ペンタン酸オクチル、n−ヘキサン酸ベンジル、n−ヘプタン酸ペンチル、n−オクタン酸メチル、シクロヘキシルカルボン酸ベンジル、ピバル酸ベンジル、tert−ブチル酢酸ブチル、アクリル酸エチル、ピルビン酸ヘプチル、桂皮酸エチル、フェニル酢酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸イソプロピル、2−フルオロ安息香酸メチル、2−フルオロ安息香酸ベンジル、2−クロロ安息香酸メチル、2−ブロモ安息香酸エチル、3−フルオロ安息香酸プロピル、3−クロロ安息香酸ブチル、3−ブロモ安息香酸ペンチル、4−フルオロ安息香酸メチル、4−クロロ安息香酸メチル、4−ブロモ安息香酸メチル、2,4−ジフルオロ安息香酸ベンジル、2,4−ジクロロ安息香酸エチル、3,5−ジフルオロ安息香酸メチル、3−フェノキシ安息香酸メチル、4−メチル安息香酸メチル、3−トリフルオロメチル安息香酸メチル、2−メトキシ安息香酸メチル、1−メトキシカルボニルナフタレン等が挙げられる。
反応後、イミダゾリウム塩(1)を構成するアルキル置換イミダゾリウムカチオンは、アルキルハライドから脱離したハロゲン化物イオンをYとして含んだイミダゾリウム塩として回収できる。反応液からろ過処理、分液処理等により回収されたイミダゾリウム塩は、必要に応じて、例えばフッ化銀やフッ化カリウム等を用いてイオン交換し、Yの一部または全部をフッ化物イオンとすることにより、イミダゾリウム塩(1)としてリサイクル使用することができる。もちろん、回収されたイミダゾリウム塩にフッ化物イオンが含まれている場合は、イオン交換することなくイミダゾリウム塩(1)としてリサイクル使用してもよい。
次に、本発明の適用について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明におけるカルボン酸として、例えば式(5)
Figure 2006219477
(式中、Zはメチル基または水素原子を表す。)
で示される菊酸類(以下、菊酸類(5)と略記する。)を用いれば、エステルとして、式(6)
Figure 2006219477
(式中、ZおよびRは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
で示される菊酸エステル類(以下、菊酸エステル類(6)と略記する。)を得ることができる。
菊酸類(5)としては、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸と3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸が挙げられる。
かかる菊酸類(5)は、シクロプロパン環平面に対して、カルボキシ基とプロペニル基が、同じ側にあるシス体と反対側にあるトランス体が存在するが、本発明にはいずれか一方を用いてもよいし、混合物を用いてもよい。混合物を用いる場合のシス体とトランス体の混合割合は特に制限されない。
またかかる菊酸類(5)は、その分子内に不斉炭素原子を有しており、光学異性体が存在するが、本発明には、光学異性体の単独または混合物のいずれを用いてもよい。
得られる菊酸エステル類(6)としては、例えば3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
なお、菊酸類(5)としてトランス体を用いた場合には、通常、トランス体の菊酸エステル類(6)が得られ、シス体の菊酸類(5)を用いた場合には、通常、シス体の菊酸エステル類(6)が得られる。また、光学活性な菊酸類(5)を用いた場合には、通常、光学活性な菊酸エステル類(6)が得られる。
かくして得られる菊酸エステル類(6)は、ピレスロイド系家庭防疫薬や殺虫剤およびそれらの合成中間体等として重要な化合物を含み、これらの化合物の工業的製法として本反応を適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
参考例1(x=1のイミダゾリウム塩(1)の製造例)
3角フラスコに、1−メチル−3−(n−ブチル)イミダゾリウムクロライド22gと水200gを仕込み、溶解させた。別の3角フラスコに、フッ化銀(I)16.1gと水120gを仕込み、溶解させた後、2つの水溶液を25℃で混合し、同温度で30分攪拌を続けた。反応後に析出した結晶を濾過し、結晶を水洗した。得られた濾液と洗液を合一して濃縮し、無色オイル24.5gを得た。このオイルは、室温で放置すると結晶化した。元素分析の結果、得られた結晶は1−メチル−3−n−ブチルイミダゾリウムフルオライドの2水和物と同定された。
収率:100%。
元素分析値: C:49.5、H:9.9、N:14.5、F:9.2
計算値 : C:49.5、H:9.9、N:14.4、F:9.8
H−NMR(δppm、DMSO−d、TMS基準):0.90(t,3H)、1.25(m,2H)、1.72(m,2H)、3.88(s,3H)、4.19(t,2H)、7.79(d,2H)、10.1(bs,1H)
参考例2(0<x<1のイミダゾリウム塩(1)の製造例)
3角フラスコに、1−メチル−3−(n−ブチル)イミダゾリウムクロライド5.0gと水50gを仕込み、溶解させた。別の3角フラスコに、フッ化銀(I)1.72gと水30gを仕込み、溶解させた後、2つの水溶液を25℃で混合し、同温度で30分攪拌を続けた。反応後に析出した結晶を濾過し、結晶を水洗した。得られた濾液と洗液を合一して濃縮し、無色オイル5.8gを得た。このオイルは、0℃でも液体であった。元素分析の結果、得られたオイルはフッ化物イオン47.5モル%、塩化物イオン52.5モル%の混合アニオンと1−メチル−3−n−ブチルイミダゾリウムカチオンとからなる塩の2水和物と同定された。
収率:100%。
元素分析値: C:48.2、H:9.5、N:14.1、F:4.6、Cl:9.5
計算値 : C:47.4、H:9.5、N:13.8、F:4.5、Cl:9.2
H−NMR(δppm、DMSO−d、TMS基準):0.88(t,3H)、1.25(m,2H)、1.78(m,2H)、3.90(s,3H)、4.19(t,2H)、7.85(d,2H)、10.0(bs,1H)
実施例1
還流冷却管を付した50mLフラスコに、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸168mgと参考例2で合成したイミダゾリウム塩(1)600mgと3−フェノキシベンジルクロライド225mgを仕込み、130℃で3時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル10gと水5gを加えて攪拌・静置すると2層に分離した。その上層を、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析し、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)の収率を算出した。
収率:98%(トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)
実施例2
還流冷却管を付した50mLフラスコに、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸168mg、参考例1で合成したイミダゾリウム塩(1)30mg、炭酸カリウム200mg、ジメトキシエタン2gとベンジルブロマイド200mgを仕込み、100℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル10gと水5gを加えて攪拌・静置すると2層に分離した。その上層を、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析し、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジルの収率を算出した。
収率:99%(トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)
比較例1
実施例2において、参考例1で合成したイミダゾリウム塩(1)を用いない以外は、実施例2と同様に実施し、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジルを合成した。
収率:85%(トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)
比較例2
実施例2において、参考例1で合成したイミダゾリウム塩(1)を用いる代わりに、フッ化カリウムを6mg用いる以外は実施例2と同様に実施し、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジルを合成した。
収率:92%(トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)
実施例3
還流冷却管を付した50mLフラスコに、安息香酸122mg、参考例1で合成したイミダゾリウム塩(1)20mg、炭酸カリウム200mg、ジメチルアセトアミド2gとイソプロピルブロマイド250mgを仕込み、100℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル10gと水5gを加えて攪拌・静置すると2層に分離した。その上層を、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析し、安息香酸イソブチルの収率を算出した。
収率:99%(安息香酸基準)
実施例4
50mLフラスコに、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸168mg、参考例1で合成したイミダゾリウム塩(1)300mgとヨウ化メチル220mgを仕込み、20℃で8時間攪拌した。酢酸エチル10gと水5gを加えて攪拌・静置すると2層に分離した。その上層を、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析し、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率を算出した。
収率:85%(トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)
実施例5
還流冷却管を付した50mLフラスコに、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸154mgと参考例2で合成したイミダゾリウム塩(1)600mgと2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルブロマイド260mgを仕込み、100℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル10gと水5gを加えて攪拌・静置すると2層に分離した。その上層を、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析し、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)の収率を算出した。
収率:96%(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸基準)

Claims (8)

  1. 式(1)
    Figure 2006219477
    (式中、RおよびRは、それぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を表す。Yはフッ化物イオンを除く1価のアニオンを表す。また、0<x≦1である。)
    で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の存在下に、カルボン酸とアルキルハライドとを反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 式(1)において、0<x<1であり、Yで示される1価のアニオンがフッ化物イオンを除くハロゲン化物イオン、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類、炭酸イオン類、カルボン酸イオン類、アミドイオン類または硝酸イオンである請求項1に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  3. カルボン酸が、式(2)
    Figure 2006219477
    (式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。)
    で示されるカルボン酸であり、
    アルキルハライドが、式(3)
    Figure 2006219477
    (式中、Rは置換されていてもよいアルキル基を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
    で示されるアルキルハライドであり、
    カルボン酸エステルが、式(4)
    Figure 2006219477
    (式中、RおよびRは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
    で示されるカルボン酸エステルである請求項1に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  4. 式(1)で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩の使用量が、カルボン酸のカルボキシ基に対して、フッ化物イオン基準で1〜5モル倍の範囲である請求項1に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  5. 無機塩基の存在下に実施する請求項1に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  6. 無機塩基が、アルカリ金属炭酸塩である請求項5に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  7. カルボン酸が、式(5)
    Figure 2006219477
    (式中、Zはメチル基または水素原子を表す。)
    で示される菊酸類であり、
    アルキルハライドが、式(3)で示されるアルキルハライドであり、
    カルボン酸エステルが、式(6)
    Figure 2006219477
    (式中、ZおよびRは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
    で示される菊酸エステル類である請求項1に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法において、カルボン酸エステルの製造後に式(1)で示されるフッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩を回収し、該フッ化物イオンを含有するアルキル置換イミダゾリウム塩をリサイクル使用する方法。
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