JP2006218509A - 輪状素材 - Google Patents

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Hiroaki Ishida
博昭 石田
Naonori Takeda
修典 武田
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Abstract

【課題】一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品をローリング成形加工によって製作するに当たり、ローリング成形加工を行った後の切削加工における取り代を最小限に抑えるとともに、ローリング成形加工により肉の流れ(塑性流動)を十分に生じさせ強度の高い輪状製品を成形加工することができるローリング成形加工用の輪状素材を提供すること。
【解決手段】ローリング成形加工することによって一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品に成形される輪状素材であって、大径部2と小径部3とからなり、大径部2と小径部3は、一定のテーパー角αによって構成される傾斜部4によって連続している。
【選択図】図1

Description

本発明は、輪状素材に関し、特に、ベアリングのインナーレースやアウターレースのような形状が非対称の輪状製品をローリング成形加工によって製造する場合に用いる輪状素材に関するものである。
従来、形状が非対称の輪状製品をローリング成形加工によって製造する場合、例えば、図6(a)に示すように、所定形状に形成した輪状素材Wを2個使用し、輪状素材W同士をその同一形状側を対峙させて同軸配置することにより、対峙位置を挟んで擬似的に対称な形状にし(この場合、1個の一体に形成した輪状素材を使用し、ローリング成形加工後に中央部で切断することもできる。)、この状態でローリング成形装置のマンドレル21及び成形ローラ22を輪状素材Wに作用させることによって成形加工を行うようにしている(例えば、特許文献1及び2参照)。
ところで、このローリング成形加工方法は、成形加工後の輪状製品Sの断面形状が単純な形状(図6(b)に示す例では三角形)の場合には、輪状素材Wの肉の流れが容易に生じるため、輪状素材Wには、内面を面取り加工するようにした程度の円筒状の輪状素材Wを用いることによって、ローリング成形加工を行うことができる。
これに対して、成形加工後の輪状製品が、一端に環状の凸部を有するような非対称の輪状製品の場合には、輪状素材の肉の流れが不均一となるため、例えば、ローリング成形加工後の切削仕上げ加工における取り代を1mm程度以内に抑えることは技術的に極めて困難であり、ローリング成形加工後の仕上げ加工に手数を要するという問題があった。
このため、一端に環状の凸部を有するような非対称の輪状製品は、ローリング成形加工によらず、素材の段階で輪状製品と同等の外径を有する素材を用いて切削加工のみで製作する方法や、ローリング成形加工による成形を単純な非対称形状にとどめ、ローリング成形加工後の切削加工における取り代を大きく取ることによって輪状製品を製作する方法が採用されている。
しかしながら、ローリング成形によらずに切削加工のみで製作する方法は、素材の段階から大径の素材を用いなければならず、保管スペースの確保が必要であるという問題があった。
一方、ローリング成形加工後の切削加工における取り代を大きく取ることによって輪状製品を製作する方法は、切削加工によって廃材が増大し、素材の無駄等により製品のコスト高を招来するという問題があった。
このことからも明らかなように、従来は、一端に環状の凸部を有するような非対称の輪状製品を製作するに当たり、ローリング成形加工後の切削加工における取り代を少なくするように考慮したローリング成形加工用の輪状素材は存在しなかった。
特開平5−228571号公報 特開平10−5919号公報
本発明は、上記従来のローリング成形加工に伴う問題点に鑑み、一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品をローリング成形加工によって製作するに当たり、ローリング成形加工を行った後の切削加工における取り代を最小限(例えば、1mm程度以内)に抑えるとともに、ローリング成形加工により肉の流れ(塑性流動)を十分に生じさせ強度の高い輪状製品を成形加工することができるローリング成形加工用の輪状素材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の輪状素材は、ローリング成形加工することによって一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品に成形される輪状素材であって、大径部と小径部とからなり、大径部と小径部は、一定のテーパー角によって構成される傾斜部によって連続していることを特徴とする。
この場合において、傾斜部のテーパー角を、30〜40°にすることができる。
また、小径部の肉厚を、ローリング成形加工後の小径部の肉厚の1.2〜1.3倍にすることができる。
また、大径部と小径部の段差の寸法を、ローリング成形加工後の大径部と小径部の段差寸法の1.08〜1.3倍にすることができる。
本発明の輪状素材によれば、ローリング成形加工することによって一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品に成形される輪状素材であって、大径部と小径部とからなり、大径部と小径部を、一定のテーパー角によって構成される傾斜部によって連続するようにしているので、ローリング成形加工の際に、一端の環状の凸部に対して輪状素材の肉の流れが容易に生じるため、ローリング成形加工後の切削加工における取り代を1mm程度以内にすることができる。
また、傾斜部のテーパー角を、30〜40°にすることにより、輪状素材の肉の流れを良好にして、高品質の一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品を得ることができる。
ここで、傾斜部のテーパー角が40°より大きい場合は、輪状素材と輪状製品の環状の凸部の形状とが近似した形状となり、輪状素材の肉の流れ量(塑性流動量)が少なくなって強度的が劣る。一方、30°より小さい場合は、輪状素材の肉の流れが悪くなって加工精度が低下する。
また、小径部の肉厚を、ローリング成形加工後の小径部の肉厚の1.2〜1.3倍にするようにしたり、大径部と小径部の段差の寸法を、ローリング成形加工後の大径部と小径部の段差寸法の1.08〜1.3倍にすることにより、輪状素材の肉の流れを良好にして、高品質の、一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品を得ることができる。
以下、本発明の輪状素材の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、本発明の輪状素材の一実施例を示す。
この輪状素材1は、ローリング成形加工することによって一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品であるベアリングのインナーレース(これに限定されるものではないが、ローリング成形加工後(図4参照)の寸法が、大径部の外径が約62mm、小径部の外径が約51mm、大径部と小径部が半径7mmの円弧で連なり、内径が約41mmの輪状製品P)に成形されるもので、輪状素材1は、大径部2の外径が約52mm、小径部3の外径が約40mm、大径部と小径部が36°のテーパー角αによって構成される傾斜部4によって連続するようにしている。
傾斜部4のテーパー角αを、30〜40°、より好ましくは34〜36°の範囲にすることにより、ローリング成形加工を行った際の輪状素材1の肉の流れを良好にすることができ、これにより、高品質の、一端に環状の凸部(大径部)を有する非対称の輪状製品Pを得ることができる。
ここで、傾斜部4のテーパー角αが40°より大きい場合は、輪状素材1と輪状製品Pの環状の凸部の形状とが近似した形状となり、輪状素材1の肉の流れ量(塑性流動量)が少なくなって強度的が劣る。一方、30°より小さい場合は、輪状素材1の肉の流れが悪くなって加工精度が低下する。
また、輪状素材1は、小径部3の肉厚が、ローリング成形加工後の輪状製品Pの小径部の肉厚の1.2〜1.3倍(本実施例においては、輪状製品Pの小径部の肉厚5mmに対して、輪状素材1の小径部3の肉厚を6mm)となるように形成している。
この輪状素材1の小径部3の肉厚とローリング成形加工後の輪状製品Pの小径部の肉厚の割合は、一端に環状の凸部を有する輪状製品Pのローリング成形加工により成形する際に良好な輪状素材1の肉の流れをもたらす重要な要素であって、この値を1.2〜1.3倍とすることによって、良好なローリング成形加工を行うことができる。
また、同様の理由から、輪状素材1は、大径部2と小径部3の段差の寸法が、ローリング成形加工後の輪状製品Pの大径部と小径部の段差寸法の1.08〜1.30倍(本実施例においては、輪状製品Pの大径部と小径部の段差寸法5.5mmに対して、輪状素材1の大径部2と小径部3の段差の寸法6〜7mm)となるように形成している。
なお、上述した実施例では、傾斜部4が一直線状になって大径部2と小径部3が連続しているものについて説明したが、例えば、図5に示すように、階段状に形成した傾斜部4aによって連続しているものも同様の効果を奏し、これを排除するものでない。
次に、輪状素材1のローリング成形加工方法について、図2〜図3に基づいて説明する。
ローリング成形装置20は、小径部3を対峙させ、外側に大径部2が位置するように嵌挿した輪状素材1の内周面を成形する成形面21aを備えたマンドレル21と、マンドレル21に嵌挿された輪状素材1の外周面を成形する成形面22aを備えた成形ローラ22と、マンドレル21を成形ローラ22側に押圧する加圧ローラ23とを備える。
そして、マンドレル21は、輪状素材1を取り付けるために、支持ベアリング21dに着脱可能に支持する。
成形ローラ22は、駆動モータMに接続され、成形面22aを挟んで上下に駆動フランジ22b、22cを備え、駆動フランジ22b、22cは、マンドレル21の成形面21aの上下の従動フランジ21b、21cに対向している。加圧ローラ23は、従動フランジ21b、21cに当接する加圧フランジ23b、23cを備え、軸23aを介し回動自在に支持する支持アーム24が適宜の押圧用シリンダ25に連結されている。
ローリング成形加工は、輪状素材1をマンドレル21に嵌挿する。次に、加圧ローラ23によりマンドレル21を成形ローラ22側に押圧し、マンドレル21と成形ローラ22とで輪状素材1を挟持しながら成形ローラ22の回転力を作用させる。マンドレル21の従動フランジ21b、21cが成形ローラ22の駆動フランジ22b、22cに規定量接近すると加圧成形が完了する。
これにより得られる輪状製品Pは、最終製品Q(図4の2点鎖線で示す。)に対し、切削仕上げ加工による取り代を1mm程度以内(本実施例においては、取り代は、内径部で約0.6mm、外径部となる大径部と小径部で約0.7mm)となるように成形することができ、切削加工によって生じる廃材を最小限に抑え、製品のコストを低廉化できる。
以上、本発明の輪状素材について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、輪状素材1の大径部2を対峙させ、外側に小径部3が位置するようにしてローリング成形加工を行うようにしたり、マンドレルと成形ローラの成形面を反転させ、内面に一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品(例えば、ベアリングのアウターレース等)のローリング成形加工を行うようにする等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の輪状素材は、ローリング成形加工を行った後の切削加工における取り代を最小限に抑えるとともに、ローリング成形加工により肉の流れ(塑性流動)を十分に生じさせ強度の高い輪状製品を成形加工することができることから、高い強度を必要とする一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品を製作する用途に好適に用いることができる。
本発明の輪状素材の一実施例を示す断面図である。 ローリング成形装置の概略図である。 輪状素材のローリング成形加工工程を示す説明図で、(a)は輪状素材の同一形状部を対峙させた断面図、(b)は対峙させた輪状素材をマンドレルに嵌挿した一部断面図、(c)はマンドレルと成形ローラによって輪状素材を挟持し、ローリング成形加工を行った後の断面図である。 輪状素材を用いてローリング成形加工した輪状製品の断面図である。 本発明の輪状素材の変形実施例を示す断面図である。 従来の輪状素材のローリング成形加工工程を示す説明図で、(a)は輪状素材をマンドレルに嵌挿した一部断面図、(b)はマンドレルと成形ローラによって輪状素材を挟持し、ローリング成形加工を行った後の断面図である。
符号の説明
1 輪状素材
2 大径部
3 小径部
4 傾斜部
4a 傾斜部
α テーパー角

Claims (4)

  1. ローリング成形加工することによって一端に環状の凸部を有する非対称の輪状製品に成形される輪状素材であって、大径部と小径部とからなり、大径部と小径部は、一定のテーパー角によって構成される傾斜部によって連続していることを特徴とする輪状素材。
  2. 傾斜部のテーパー角が、30〜40°であることを特徴とする請求項1記載の輪状素材。
  3. 小径部の肉厚が、ローリング成形加工後の小径部の肉厚の1.2〜1.3倍としたことを特徴とする請求項1又は2記載の輪状素材。
  4. 大径部と小径部の段差の寸法が、ローリング成形加工後の大径部と小径部の段差寸法の1.08〜1.3倍としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の輪状素材。
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