JP2006216310A - ガス漏れ検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 下流側にガス漏れが生じていても上流側の遮断弁の異常を正しく検出可能なガス漏れ検出装置を提供する。
【解決手段】 遮断弁(SV1〜SV4)を備える燃料電池システムのガス漏れ検出装置であって、遮断弁(SV1〜SV4)の下流側の燃料ガス流路(14)に燃料ガス濃度検出手段(C1〜C6)を備える。そして、燃料ガス濃度検出手段(C1〜C6)によって検出された燃料ガス濃度に基づいて遮断弁(SV1〜SV4)におけるガス漏れを検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】 遮断弁(SV1〜SV4)を備える燃料電池システムのガス漏れ検出装置であって、遮断弁(SV1〜SV4)の下流側の燃料ガス流路(14)に燃料ガス濃度検出手段(C1〜C6)を備える。そして、燃料ガス濃度検出手段(C1〜C6)によって検出された燃料ガス濃度に基づいて遮断弁(SV1〜SV4)におけるガス漏れを検出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システム等に使用される遮断弁のシール漏れの検査技術に関する。
燃料電池システム等においては、燃料ガス流路に多数の遮断弁を設けて燃料ガスの流通が制御されている。遮断弁は正しく動作している場合には遮断時に燃料ガスの流通を実質的に完全に遮断するはずである。しかし、遮断弁のシール部材等の不良が発生した場合には遮断時であっても上流の燃料ガスが下流側に流出してしまう。
従来、このような遮断弁の故障診断を実施する装置の例が、特開2003−308868号公報に記載されている。この公報によれば、遮断弁と圧力センサをこの順に有する燃料供給ラインにおいて、遮断弁を閉弁し、圧力センサからの圧力情報と経過時間とに基づいて圧力低下率を算出して遮断弁の故障状態を判定するようになっている(特許文献1)。
特開2003−308868号公報(段落0009)
特開昭63−26962号公報
しかしながら、燃料ガス流路におけるガス漏れの原因としては、遮断弁のシール等の不良の他に、流路を形成する配管から外部へのガス漏れや、下流に設けられた遮断弁がさらにシール不良でガス漏れが生じる場合がある。このため、遮断弁のシール不良とその下流側のガス漏れが同時期に発生した場合には、圧力変化だけでは正しく上流側の遮断弁の異常を検出できなかった。
そこで、本発明は、下流側にガス漏れが生じていても上流側の遮断弁の異常を正しく検出可能なガス漏れ検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のガス漏れ検出装置は、遮断弁を備える燃料電池システムのガス漏れ検出装置であって、該遮断弁の下流側の燃料ガス流路に燃料ガス濃度検出手段を備え、該燃料ガス濃度検出手段によって検出された燃料ガス濃度に基づいて該遮断弁におけるガス漏れを検出する。
従来は、燃料ガス流路の圧力変化に基づいていたが、下流側でガス漏れが発生していた場合には、上流側の遮断弁の不良による圧力変化であるか否かを判定できなかった。この点、本発明の構成によれば、遮断弁の下流側の燃料ガス濃度に基づいてガス漏れが判定される。流路や下流側遮断弁の不良によって燃料ガスが漏れて圧力が低下しても濃度自体に変化を来すものではない。一方、上流側の遮断弁が不良であると濃度の高い燃料ガスが漏洩するためガス濃度に変化を生じる。このため燃料ガス濃度によって上流側遮断弁の不良を正しく検出できるのである。
また本発明のガス漏れ検出装置は、該遮断弁の下流側に酸化ガスを供給することにより該燃料ガス濃度検出手段によって濃度検出可能な燃料ガス濃度にまで該燃料ガスを希釈し、該燃料ガス濃度が上昇傾向にある場合に該遮断弁のシール不良であることを判定する。
燃料ガス濃度検出手段は、燃料ガスの濃度検出を酸化ガスによる酸化反応によって検出するものがある。上記構成によれば、この燃料ガス濃度検出手段によって濃度検出可能な範囲に燃料ガスが希釈できるので、正しく燃料ガス濃度の検出が行える。また、この濃度検出によってガス濃度が上昇傾向にある場合、上流側から濃度の高い燃料ガスが漏洩していると想定できる。
ここで、燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を供給する手段を備えていることは好ましい。燃料ガス濃度によってガス漏れを検出する場合、燃料ガスの濃度が所定の範囲に入っていることが好ましい。この点、本発明の構成によれば、ガス媒体が燃料ガス流路に供給されるので燃料ガス濃度を低下させることができるので、高い精度で遮断弁の異常検出ができる。
ここで、燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を圧送する手段を備えていることは好ましい。この構成によれば、ガス媒体が急速に燃料ガス流路に供給可能となるので、短時間で燃料ガス濃度を低下させることができ、ガス漏れ検出時間を短縮することが可能である。
ここで、燃料電池に酸化ガスを供給するコンプレッサを備え、該コンプレッサにより加圧された酸化ガスを燃料ガス流路に供給する手段を備えていることは好ましい。燃料電池システムにはコンプレッサを備えている場合が多く、このコンプレッサを利用して酸化ガスの一種である空気等を圧送することで、燃料ガス以外のガス媒体供給が行える。既存の設備を利用できるので、システムの小型化とコストダウンが図れる。
ここで、燃料ガス流路にレギュレータを備え、該レギュレータの上流側の燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を供給する手段を備えていることは好ましい。燃料電池システムにはレギュレータが設けられ、このレギュレータが燃料ガス流路の上流に位置しているものが多い。当該構成によれば、このレギュレータの上流側に燃料ガス以外のガス媒体が供給されるので、システム全体の燃料ガス濃度検査が可能である。
ここで、燃料ガスを循環させる循環経路と該循環経路に設けられたポンプとを備え、燃料電池に燃料ガスを供給する時以外の時に該ポンプを駆動させることは好ましい。燃料ガスに循環経路が設けられポンプによって強制循環されるシステムでは、ガス漏れ検査時にポンプを動作させることで燃料ガスを急速にガス媒体と混合させ、燃料ガス濃度を低下させることが可能となる。
本発明によれば、燃料ガス濃度検出手段によって検出された燃料ガス濃度に基づいて遮断弁におけるガス漏れを検出するので、下流側の燃料ガス流路や遮断弁の不良によって下流側の圧力が低下しても、それに影響されない燃料ガス濃度に基づいて判定するので、上流側遮断弁の不良を正しく検出できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面に基づいて説明する。
この実施形態は、本発明のガス漏れ検出装置を、電気自動車に搭載される燃料電池システムに応用した例である。本発明はこの実施形態に限定されることなく種々に変形して実施可能である。
この実施形態は、本発明のガス漏れ検出装置を、電気自動車に搭載される燃料電池システムに応用した例である。本発明はこの実施形態に限定されることなく種々に変形して実施可能である。
図1に本実施形態における燃料電池システムの構成を示す。本燃料電池システムは、燃料電池スタック10を中心として、燃料ガス供給系1、酸化ガス供給系2、冷却系3、図示しない電力供給系4、および制御部5を備えて構成されている。
本実施形態の燃料電池システムでは、ガス漏れ検査装置としての構成は、遮断弁SV1〜SV4の下流側の燃料ガス流路に設けられた燃料ガス濃度検出手段である濃度センサC1〜C6であり、制御部5によって、これら濃度センサによって検出された燃料ガス濃度に基づいて遮断弁におけるガス漏れが検出されることにより実現される。以下、具体的に説明する。
燃料電池スタック10は、燃料ガスである水素ガス、酸化ガスである空気、冷却水の流路を有するセパレータと、一対のセパレータで挟み込まれたMEA(Membrane Electrode Assembly)とから構成されるセルとを複数積層したスタック構造を備えている。MEAは高分子電解質膜をアノード及びカソードの二つの電極を挟み込んだ構造をしている。アノードにはアノード用触媒層を多孔質支持層上に設けてあり、カソードにはカソード用触媒層を多孔質支持層上に設けてある。燃料電池は水の電気分解の逆反応を起こすものであるために、アノード側には燃料ガスである水素ガスが燃料ガス供給系1から供給され、カソード側には酸化ガスである空気が酸化ガス供給系2から供給される。燃料ガス流路14を介して燃料電池スタック10に供給された水素ガスは、マニホールド経由で各単セルに供給され、セパレータの燃料ガス流路を流れて、MEAのアノードにおいて下記の式(1)に示すような電気化学反応を生じるようになっている。また、燃料電池スタック10に供給された空気は、マニホールド経由で各単セルに供給され、セパレータの空気流路を流れて、MEAのカソードにおいて式(2)に示すような電気化学反応を生じるようになっている。
H2 → 2H++2e- …(1)、
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)。
燃料電池スタック10は単セルを直列接続させることによって、出力端子であるアノード極Aとカソード極Cとの間に所定の高圧電圧(例えば約500V)を発生させ、電力供給系4に供給している。
H2 → 2H++2e- …(1)、
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)。
燃料電池スタック10は単セルを直列接続させることによって、出力端子であるアノード極Aとカソード極Cとの間に所定の高圧電圧(例えば約500V)を発生させ、電力供給系4に供給している。
燃料ガス供給系1は、燃料電池スタック10に対して水素ガスを供給する系であり、本発明の燃料ガス漏れ検出を行う対象となる系である。燃料ガス供給系1は、燃料ガス流路14の上流から順に、水素タンク11、遮断弁(元弁)SV1、レギュレータRG1、RG2、遮断弁SV2、燃料電池入口遮断弁SV3、燃料電池スタック10を経て燃料電池出口遮断弁SV4、気液分離器12及び遮断弁SV5、水素ポンプ13、パージ遮断弁SV6、並びに逆止弁RVを備えている。
遮断弁SV1〜レギュレータRG1間には圧力センサP1及び濃度センサC1が、レギュレータRG1〜RG2間には圧力センサP2及び濃度センサC2が、レギュレータRG2〜遮断弁SV2間には圧力センサP3及び濃度センサC3が、遮断弁SV2〜SV3には圧力センサP4及び濃度センサC4が、遮断弁SV3〜SV4間には圧力センサP5及び濃度センサC5が、遮断弁SV4〜水素ポンプ13巻には圧力センサP6及び濃度センサC6が、それぞれ設けられている。
燃料電池スタック10から排出された水素ガスのうち一部はパージ遮断弁SV6を介してパージされ外部に排出されるが、残りは逆止弁RVを通って再び燃料ガス流路14に戻されるようになっている。この経路が循環経路15である。
水素タンク11は、高圧水素タンクとしての構造を有する。高圧水素タンクに代えて、水素吸蔵合金を用いた水素タンク、改質ガスによる水素供給機構、液体水素タンクから水素を供給するタンク、液化ガス燃料を貯蔵するタンク等を適用可能である。
遮断弁SV1は、燃料ガス流路に対して水素ガスを供給するか否かを制御する元弁であり、本発明で異常検出対象となる制御弁の一つである。レギュレータRG1とレギュレータRG2は、二段構造で循環経路15の水素ガス圧力を調圧する調圧弁である。二段構造の代わりに、一つのみで構成してもよい。本発明のガス漏れ検査によって、このレギュレータRG1及びRG2間の調圧不良も検出するようになっている。遮断弁SV2は、調圧後の水素ガスを循環経路15に供給するか否かを制御するものであり、本発明で異常検出対象となる制御弁の一つである。遮断弁SV3は、燃料電池スタック10に水素ガス供給を停止する場合に遮断されるものであり、本発明で異常検出対象となる制御弁の一つである。遮断弁SV4は、燃料電池スタック10からの水素オフガスの排出を制御するものであり、これも異常検出対象となる制御弁の一つである。気液分離器12は、通常運転時において燃料電池スタック10の電気化学反応により発生する水分その他の不純物を水素オフガス中から除去し、遮断弁SV5を通じて外部に放出するようになっている。水素ポンプ13は、循環経路15において水素ガスを強制循環可能になっている。パージ遮断弁SV6は、パージ時に開放されるが、通常の運転状態及び配管内ガス漏れ判定時には遮断されている。パージ遮断弁SV6からパージされた水素オフガスは図示しない希釈器を含む排気系で処理される。逆止弁RVは循環経路15における水素ガスの逆流を防止可能になっている。
酸化ガス供給系2は、燃料電池スタック10に対して酸化ガスである空気を供給する系であり、本発明の燃料ガス漏れ検出において燃料ガス以外のガス媒体として空気を供給する系も兼ねている。酸化ガス供給系2は、エアクリーナ21、コンプレッサ22、加湿器23等を備えている。エアクリーナ21は、外気を浄化して燃料電システムに取り入れ可能になっている。コンプレッサ22は本発明に係り、取り入れられた空気を制御部5の制御に従って圧縮し、供給する空気量や空気圧を変更するようになっている。加湿器23は圧縮された空気に対し、空気オフガスと水分の交換を行って適度な湿度を加えることが可能になっている。燃料電池スタック10から排出され加湿器23で湿度分離された空気オフガスは、図示しない希釈器においてパージ遮断弁SV6からの水素オフガスを希釈して排出されるようになっている。
また酸化ガス供給系2では、燃料ガス流路14に燃料ガス以外のガス媒体としての空気を圧送する手段を備えている。すなわち加湿器23から空気流を分流するガス媒体供給路24が燃料ガス流路14の遮断弁SV1の下流に連通している。ガス媒体供給路24には遮断弁SV10が設けられ、ガス媒体としての空気の供給制御が可能になっている。遮断弁SV10の下流には圧力センサP10が設けられている。
冷却系3は、ラジエタ31、ファン32、及び冷却ポンプ33を備え、冷却液が燃料電池スタック10内部に循環供給されるようになっている。具体的には冷却液は燃料電池スタック10内に入るとマニホールド経由で各単セルに供給されセパレータの冷却液流路を流れ、発電による熱を奪うようになっている。
電力供給系4は、図示しない二次バッテリ、高圧コンバータ、トラクションインバータ、トラクションモータ、コンバータ、低圧補機等を備え、燃料電池スタック10によって発電された電力を、当該電気自動車の駆動に寄与するトラクションモータに供給したり、回生電力を二次バッテリに蓄えたりするハイブリッド系を構成している。
制御部5は、ECU(Electric Control Unit)等の公知のコンピュータシステムであり、図示しないCPU(中央処理装置)やメモリ、インターフェース回路を備えている。CPUがROM等に格納されているソフトウェアプログラムを逐一実行することにより、本燃料電池システムを本発明のガス漏れ検出装置として機能させることが可能になっている。制御部5は、各圧力センサP1〜P6、P10からの検出信号や、各濃度センサC1〜C6からの検出信号を入力し、各センサ位置における配管内の圧力や水素ガス濃度の相対値を把握可能になっている。また、後に説明する手順(図2〜図4)に従って制御信号を遮断弁SV1〜SV6、SV10に出力するようになっている。
次に本実施形態におけるガス漏れ検出方法を、図2〜図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図2は、この燃料電池システムが動作中に定期的に実施される漏れ判定実施許可処理である。当該処理は、燃料ガス漏れ検査を行うべき条件に合致しているか否かを検査し、合致していれば漏れ判定前処理(図3)及び漏れ判定処理(図4)を実行して燃料ガス漏れ検査を実施し、合致していなければ燃料ガス漏れ検査を禁止するものである。
図2は、この燃料電池システムが動作中に定期的に実施される漏れ判定実施許可処理である。当該処理は、燃料ガス漏れ検査を行うべき条件に合致しているか否かを検査し、合致していれば漏れ判定前処理(図3)及び漏れ判定処理(図4)を実行して燃料ガス漏れ検査を実施し、合致していなければ燃料ガス漏れ検査を禁止するものである。
まず濃度センサC1〜C6の検出信号が参照され、各センサ位置における配管内の水素ガス濃度が測定される(S1)。ここで、システムが起動時であって、かつ、起動時漏れ判定処理が未遂である場合には(S2:YES)その漏れ判定が実施される(S3)。
また起動時ではないが、間欠運転モードとなっており、かつ、停車状態となっている場合(S4:YES)、本発明の燃料ガス漏れ検査処理として、漏れ判定前処理(図3参照:S5)及び漏れ判定処理(図4参照:S6)が実施される。これらの処理については後述する。さらに完全に停止時である場合、例えばアイドリング状態にも(S8:YES)、本発明の燃料ガス漏れ検査処理として漏れ判定前処理(図3参照:S9)及び漏れ判定処理(図4参照:S10)が実施される。
以上の場合に燃料ガス漏れ検査処理が実施され、それ以外の場合、例えば通常運転の場合には燃料ガス漏れ検査処理が禁止されることになる。以降はハイブリッド運転に必要な電力収支計算が行われる。
すなわち、シフト位置を示すシフト位置信号、アクセル位置を示すアクセル位置信号、ブレーキ位置を示すブレーキ位置信号、及び車輪速を示す車輪速信号等が参照され、現時点で当該燃料電池システムに要求されているシステム要求出力が演算される(S11)。このシステム要求出力が二次バッテリにから出力可能な電力以上であれば(S12:YES)、通常のハイブリッド運転が可能であると判定し、以降の燃料ガス漏れ検査処理を禁止するフラグをセットした上で、通常発電が実施される(S13)。
図3に、漏れ判定前処理のフローチャートを示す。
この漏れ判定前処理は、漏れ判定前に、燃料ガス流路14内の状態を水素ガスの濃度測定に適する状態に変化させる処理である。
この漏れ判定前処理は、漏れ判定前に、燃料ガス流路14内の状態を水素ガスの濃度測定に適する状態に変化させる処理である。
濃度センサC1〜C6は、いわゆる水素濃度計であり、水素ガスと酸化ガスとの間で酸化反応が生じうるような雰囲気下で濃度が測定できるものである。例えば、水素ガスの酸化反応は75%以下の濃度で生ずるため、水素タンク11から供給された水素ガス(濃度ほぼ100%)では濃度センサが反応しにくい。また、濃度測定に適する圧力レンジも存在する。これらの事情から、当該漏れ判定前処理では、漏れ判定に先立ち、燃料ガス流路14の水素ガス濃度及び圧力を高い精度で測定可能な範囲に変更するのである。
まず燃料電池スタック10による発電禁止が指示される(S40)。ここでは電力供給系4の対応、及び、フラグ処理が行われる。次に燃料ガス供給系1の遮断弁SV1が閉弁され、その他の遮断弁SV2〜SV6が開弁させる(S41)。この処理によって、水素ボンベ11からの水素ガスの供給が停止される。また、燃料ガス流路14及び循環経路15内の水素ガスが流動しやすい状態となる。
次いで燃料ガス供給系1の水素ガス濃度を希釈する処理に移る。コンプレッサ22が一定の回転数で強制駆動されるとともに、遮断弁SV10が開弁される指示が出力される(S42)。コンプレッサ22が強制駆動されると、ガス媒体供給路24経由で圧送された空気が、遮断弁SV10を通過して遮断弁SV1の直下で燃料ガス流路14に供給される。燃料ガス供給系1のレギュレータの上流側であって、系のほぼ最上流に燃料ガス以外のガス媒体である空気が供給されるため、この空気により燃料ガス流路14内の水素ガス濃度が低下していく。これと併行して、水素ポンプ13も一定の回転数で強制運転される(S43)。水素ポンプ13の駆動により、水素ガスが循環経路15を強制的に高速に循環させられる。この循環によって、ガス媒体供給路24経由で供給される空気との希釈が促進される。
水素ガス濃度が測定可能範囲に入ったかを調べるために、濃度センサC4〜C6で検出される水素ガス濃度が、いずれも所定濃度Ca4〜Ca6以下になったかが検査される(S44)。この処理により、燃料電池スタック10には多量に残留していた水素ガスが十分希釈されたかが調べられる。水濃度センサC4〜C6のいずれの位置における水素ガス濃度もこの所定濃度以下となった場合には(S44:YES)、希釈が完了したものとして遮断弁SV10が閉弁され、ガス媒体である空気の供給が停止される(S45)。
次に燃料ガス流路14の各部の圧力センサP1、P10、P2、及びP3で検出される配管内圧力が所定の圧力Pj1、Pj10、Pj2、及びPj3以下になったかが検査される(S46)。これらの所定圧力以下になった場合には(S46:YES)、燃料ガス供給系1の上流側が測定可能な圧力範囲に入ったものとして、循環経路15上流の遮断弁SV2が閉弁され(S47)、下流側の圧力調整に移行する。
まず圧力センサP4で検出された圧力が所定圧力Pj4以下になったかが検査され(S48)、この圧力以下に減圧されると(YES)、燃料電池入口遮断弁SV3に閉弁指示が出力される(S49)。同様に、圧力センサP5で検出された圧力が所定圧力Pj5以下になったかが検査され(S50)、この圧力以下に減圧されていれば(YES)、燃料電池出口遮断弁SV4に閉弁指示が出力される(S51)。同様に、循環経路15においては、圧力センサP6で検出された圧力が所定圧力Pj6以下になったかが検査され(S52)、この圧力以下に減圧されていれば(YES)、パージ遮断弁SV6に閉弁指示が出力される(S53)。
以上の処理により、燃料ガス供給系1は、高圧の上流側、低圧の循環経路15側ともに、濃度センサで水素ガスの濃度測定が高精度に可能な濃度範囲及び圧力範囲に調整される。また、各遮断弁やレギュレータで仕切られる区間の圧力が、順に低くなるように各圧力が調整される。各区間に圧力差が存在しないと、ガス漏れが生じ得ないからである。
なお、レギュレータRG1及びRG2の前後の圧力を所定値より小さく設定すると、実質的にレギュレータの機能を奏しなくなる場合がある。このようにレギュレータが存在しないことと同様の状態にして濃度測定を行ってもよい。この場合、レギュレータRG1−RG2間のシール不良などの測定は不可能である。
図4に、漏れ判定処理のフローチャートを示す。
この漏れ判定処理は、漏れ判定前処理によって、水素ガスの濃度検出に適する状態となった燃料ガス供給系1において、実際に各遮断弁からシール不良等に基づくガス漏れが生じているかを検査するものである。
この漏れ判定処理は、漏れ判定前処理によって、水素ガスの濃度検出に適する状態となった燃料ガス供給系1において、実際に各遮断弁からシール不良等に基づくガス漏れが生じているかを検査するものである。
なお、いずれの遮断弁の区間から測定してもガス漏れ検査は可能ではあるが、本実施形態では、特に上流側から検査される。系の端部から順に測定していくことにより、ガス漏れが生じている遮断弁を特定しやすくなるからである。
まず濃度センサC1において検出される水素ガス濃度が所定濃度Cj1以上になっているかが検査される(S20)。この所定濃度Cj1は、測定開始前に設定した水素ガス濃度との関係から、遮断弁SV1において水素ガス漏れが生じていない限り達し得ない水素ガスの濃度を判定するためのしきい値である。検査の結果、濃度センサC1で検出された水素ガス濃度が所定濃度Cj1以上である場合は(S20:YES)、上流側の遮断弁SV1には遮断を指示されているはずであるところ水素ガス濃度の上昇が認められるのであるから、遮断弁SV1がシール不良等の異常が生じていると判定できる。この場合には遮断弁SV1が異常である旨の警告を発生させる(S21)。
同様に、遮断弁SV2下流側の濃度センサC4において検出される水素ガス濃度が所定濃度Cj4以上になっている場合(S22:YES)、遮断弁SV2にシール不良が発生しているからその上流の水素ガスが漏洩してきて水素ガスの濃度を挙げていると判定できる。この場合には遮断弁SV2が異常である旨の警告を発生させる(S23)。ここで所定濃度Cj2は、測定開始前に設定した水素ガス濃度との関係から、遮断弁SV2において水素ガス漏れが生じていない限り達し得ない水素ガスの濃度を判定するためのしきい値である。
同様に、水素ポンプ13手前の濃度センサC6において検出される水素ガス濃度が所定濃度Cj6以上になっている場合(S24:YES)、燃料電池出口遮断弁SV4にシール不良が発生しているか、または、逆止弁RVにおける逆止機能が低下しているから水素ガスが漏洩してきて水素ガスの濃度を挙げていると判定できる。この場合には遮断弁SV4または逆止弁RVが異常である旨の警告を発生させる(S25)。ここで所定濃度Cj6は、測定開始前に設定した水素ガス濃度との関係から、遮断弁SV4またはRVにおいて水素ガス漏れが生じていない限り達し得ない水素ガスの濃度を判定するためのしきい値である。
今度は、濃度センサC2において検出されるレギュレータRG1及びRG2間の水素ガス濃度が所定濃度Cj2以下になっている場合(S26:YES)、レギュレータRG1及びRG2間のシールが不良となっていることが考えられる。このため、この場合にはレギュレータRG1及びRG2が異常である旨の警告を発生させる(S27)。同様に、濃度センサC3で検出されるレギュレータRG2―遮断弁SV2間の水素ガス濃度が所定濃度Cj3以下になっている場合(S28:YES)、レギュレータRG2―遮断弁SV2間のシールが不良になっていることが考えられる。この場合にはレギュレーRG2及び遮断弁SV2間に異常がある旨の警告を発生させる(S29)。
最後に、濃度センサC5において検出される燃料電池出口の水素ガス濃度が所定濃度Cj5以上になっている場合(S30:YES)、遮断弁SV3−遮断弁SV4間のシールが不良となっていることが考えられる。このため、この場合には遮断弁SV3―SV4が異常である旨の警告を発生させる(S31)。
以上、本実施形態によれば、水素ガスの圧力ではなく遮断弁SV1〜SV4の下流側の燃料ガス濃度に基づいてガス漏れが判定されるので、上流側に位置する遮断弁の不良を正しく検出できる。
また、本実施形態によれば、濃度センサによって濃度検出可能な範囲に水素ガスが希釈されるので、正しく燃料ガス濃度の検出が行える。
このために、本実施形態によれば、水素ガス以外のガス媒体として空気を供給するので、水素ガス濃度を効率よく低下させることができる。
このために、本実施形態によれば、水素ガス以外のガス媒体として空気を供給するので、水素ガス濃度を効率よく低下させることができる。
さらに本実施形態によれば、空気を圧送可能に構成したので、短時間で燃料ガス濃度を低下させることができ、ガス漏れ検出時間を短縮することが可能である。
また本実施形態によれば、通常発電で用いられるコンプレッサを利用して空気の圧送を実現したので、既存の設備を利用してシステムの小型化とコストダウンが図れる。
また本実施形態によれば、通常発電で用いられるコンプレッサを利用して空気の圧送を実現したので、既存の設備を利用してシステムの小型化とコストダウンが図れる。
さらにまた、本実施形態によれば、空気はレギュレータRG1の上流側に供給されるので、システム全体の燃料ガス濃度検査が可能である。
また、本実施形態によれば、循環経路15の水素ポンプによって、水素ガス及び空気を強制循環するようになっているので、ガス漏れ検査時に水素ガスを空気と効率よく混合させ、水素ガス濃度を低下させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、循環経路15の水素ポンプによって、水素ガス及び空気を強制循環するようになっているので、ガス漏れ検査時に水素ガスを空気と効率よく混合させ、水素ガス濃度を低下させることが可能となる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、燃料ガス以外のガス媒体として空気を利用していたが、他のガスを利用するように構成してもよい。例えば窒素ガス等の不活性ガスを他のタンクから供給するように構成してもよい。このようにすれば、酸化ガスを供給する場合に比べ、不活性ガスを用いているため、万一の酸化反応を抑制することが可能である。
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、燃料ガス以外のガス媒体として空気を利用していたが、他のガスを利用するように構成してもよい。例えば窒素ガス等の不活性ガスを他のタンクから供給するように構成してもよい。このようにすれば、酸化ガスを供給する場合に比べ、不活性ガスを用いているため、万一の酸化反応を抑制することが可能である。
また、上記実施形態では、循環経路を有する燃料ガス供給系1に空気を供給するようにしていたが、循環経路の存在しない系で実施することも可能である。
さらに上記実施形態では、上流側の水素ガス濃度を高く設定し、当該区間における水素ガス濃度が上昇したときに上流側の遮断弁やレギュレータ等の制御弁のシール不良と判定していたが、これに限定されない。例えば上流側に空気等を供給し水素ガス濃度を当該区間に比べ相対的に低く設定してから当該区間における水素ガス濃度を測定するように構成してもよい。当該区間の水素ガス濃度が低下した場合、上流側から濃度の薄いガスが漏洩していると推測できることから、上流側の遮断弁等の制御弁のシールが不良であると判定することが可能である。
また、本発明は、車両、船舶、航空機などの移動体のみならず、ビル、家屋などの閉空間に定置された動力供給システムにも適用することが出来る。つまり、燃料電池システムであるか、自動車等の移動体に搭載されるか等に拘わらず、燃料ガス漏れを検出する必要のあるシステム一般に適用することが可能である。
1…燃料ガス供給系、2…酸化ガス供給系、3…冷却系、4…電力供給系、5…制御部、10…燃料電池スタック、14…燃料ガス流路、C1〜C6…濃度センサ(水素濃度計)、SV1〜SV4…遮断弁
Claims (7)
- 遮断弁を備える燃料電池システムのガス漏れ検出装置であって、
該遮断弁の下流側の燃料ガス流路に燃料ガス濃度検出手段を備え、
該燃料ガス濃度検出手段によって検出された燃料ガス濃度に基づいて該遮断弁におけるガス漏れを検出するガス漏れ検出装置。 - 前記燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を供給する手段を備えた、請求項1に記載のガス漏れ検出装置。
- 前記燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を圧送する手段を備えた、請求項1に記載のガス漏れ検出装置。
- 燃料電池に酸化ガスを供給するコンプレッサを備え、該コンプレッサにより加圧された前記酸化ガスを前記燃料ガス流路に供給する手段を備えた、請求項1に記載のガス漏れ検出装置。
- 前記燃料ガス流路にレギュレータを備え、該レギュレータの上流側の前記燃料ガス流路に燃料ガス以外のガス媒体を供給する手段を備えた、請求項1に記載のガス漏れ検出装置。
- 前記燃料ガスを循環させる循環経路と該循環経路に設けられたポンプとを備え、燃料電池に前記燃料ガスを供給する時以外の時に該ポンプを駆動させる、請求項1に記載のガス漏れ検出装置。
- 遮断弁を備える燃料電池システムのガス漏れ検出装置であって、
該遮断弁の下流側の燃料ガス流路に燃料ガス濃度検出手段を備え、
該遮断弁の下流側に酸化ガスを供給することにより該燃料ガス濃度検出手段によって濃度検出可能な燃料ガス濃度にまで該燃料ガスを希釈し、該燃料ガス濃度が上昇傾向にある場合に該遮断弁のシール不良であることを判定するガス漏れ検出装置。
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