JP2006215142A - 位相差フィルムおよびその製造方法、ならびに該位相差フィルムを用いた画像表示装置 - Google Patents

位相差フィルムおよびその製造方法、ならびに該位相差フィルムを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい位相差フィルム、およびそのようなフィルムの簡便安価な製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の位相差フィルムは、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムから形成され、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい。好ましくは、面内位相差Reは下記式(1)および(2)で表される関係を満足する:
0.85<Re(480)/Re(590)<0.97 ・・・ (1)
1.02<Re(750)/Re(590)<1.20 ・・・ (2)
ここで、Re(480)、Re(590)およびRe(750)は、それぞれ、波長480nm、590nmおよび750nmにおける位相差フィルムの面内位相差である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差フィルムおよびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい位相差フィルム、およびそのようなフィルムの簡便安価な製造方法に関する。
従来、液晶表示装置においては、液晶セルの複屈折性を補償するために位相差フィルムが用いられている。位相差フィルムとしては、偏光の振動方向を変換するλ/2板や円偏光を直線偏光に(または直線偏光を円偏光に)変換するλ/4板が広く知られている。λ/2板やλ/4板においては、任意の測定波長における位相差(面内位相差)が、当該波長の1/2または1/4となるのが理想的である。すなわち、測定波長が長波長となるほど位相差フィルムの面内位相差が大きくなるのが理想的である。しかし、通常の位相差フィルムは、測定波長が長波長となるほど位相差フィルムの面内位相差が小さくなる。
測定波長が長波長となるほど面内位相差が大きくなる位相差板を得るために、λ/2板とλ/4板とを適切な角度で貼り合わせる技術(特許文献1参照)やアッベ数の異なる2枚の位相差フィルムを積層する技術(特許文献2参照)が提案されている。しかし、このような技術によれば、位相差フィルムを2枚以上使わなければならないので、製造工程が繁雑であり、コストが高くなるという問題がある。このような問題を解決するために、測定波長が長波長となるほど面内位相差が大きくなる単一の位相差フィルムを得る技術として、セルロースアセテートの配向フィルム(特許文献3参照)やフルオレン骨格を有するポリカーボネートの配向フィルム(特許文献4参照)が提案されている。
一方、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの要求特性として、斜め方向の入射光についても位相差が変化しないことが非常に重要である。このような要求特性は、いわゆるNz係数が0<Nz<1の位相差フィルム(すなわち、nx>nz>nyの屈折率分布を有する位相差フィルム)によって実現され得ること、特にNzが0.5の場合に正面方向と斜め方向で位相差がほとんど変化しなくなることが、経験的に知られている。このような位相差フィルムの製造方法は、特許文献5に開示されている。
しかし、上記2つの要求特性(すなわち、(1)測定波長が長波長となるほど面内位相差が大きくなること、および(2)nx>nz>nyの屈折率分布を有すること)を同時に満足する単一の位相差フィルムは、いまだ実際に得られていない。すなわち、このような位相差フィルムは、理想的な位相差フィルムとして多くの文献に記載されているが、そのようなフィルムを実際に作製したという報告はない。以上のように、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、測定波長が長波長となるほど面内位相差Reが大きくなる位相差フィルムを実際に作製することは、光学フィルム業界における「広く知られているが長く解決されない課題」として残っている。
特開平10−68816号公報 特開平2−285304号公報 特許第3459779号 特許第3325560号 特許第2818983号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい位相差フィルム、およびそのようなフィルムの簡便安価な製造方法を提供することにある。
本発明の位相差フィルムは、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムから形成され、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい。
好ましい実施形態においては、上記面内位相差Reは下記式(1)および(2)で表される関係を満足する:
0.85<Re(480)/Re(590)<0.97 ・・・ (1)
1.02<Re(750)/Re(590)<1.20 ・・・ (2)
ここで、Re(480)、Re(590)およびRe(750)は、それぞれ、波長480nm、590nmおよび750nmにおける位相差フィルムの面内位相差である。
好ましい実施形態においては、波長590nmにおける面内位相差Re(590)は60〜305nmである。
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムは、Nz係数が0.4<Nz<0.6である。
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムの光弾性係数の絶対値は2.3×10−11/N以下である。
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムの厚みは90〜100μmである。
本発明の別の局面によれば、位相差フィルムの製造方法が提供される。この製造方法は、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムを(Tg+20℃)以上の温度で熱処理する工程と、該熱処理された高分子フィルムを厚み方向に配向処理を行う工程とを含む。ここで、Tgは該セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムのガラス転移温度である。
好ましい実施形態においては、上記熱処理され厚み方向の配向処理を行う前の高分子フィルムのNz係数は、1<Nz<1.5である。
好ましい実施形態においては、上記厚み方向の配向処理工程は、上記セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを貼り付けて積層体を形成する工程と、該積層体を加熱延伸する工程とを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、上記位相差フィルムと偏光子とを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記位相差フィルム、および/または、上記偏光板を含む。
以上のように、本発明によれば、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい位相差フィルムが実際に得られた。従来、面内位相差Reが長波長ほど大きい(すなわち、逆分散特性を有する)フィルムについて、単一フィルムとして、nx>nz>ny(すなわち、0<Nz<1)の屈折率分布を付与することは実質的に不可能であった。本発明によれば、逆分散性を有するフィルム(セルロースエステルを主成分とする高分子フィルム)をあらかじめ熱処理することにより、その構成分子を十分に流動させて配向状態を変化させ、Nzを一旦1近傍(例えば、1.5程度)まで小さくした後、厚み方向に配向処理を行うことにより、従来は不可能であった逆分散特性とnx>nz>nyの屈折率分布との両立を実現した。ここで、熱処理の温度は(Tg+20℃)以上である。理論的には明らかではないが、このような高温で熱処理を行うことによってはじめて、フィルム構成分子の流動状態が劇的に変化し、熱処理後に所望のNzが達成されると推察される。
A.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは、nx>nz>nyの屈折率分布を有する。ここで、nxは位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは位相差フィルムの進相軸方向の屈折率であり、nzは位相差フィルムの厚み方向の屈折率である。また、遅相軸は、フィルム面内の屈折率が最大になる方向をいい、進相軸は、面内で遅相軸に垂直な方向をいう。さらに、本発明の位相差フィルムのNz係数は、好ましくは0<Nz<1であり、さらに好ましくは0.2<Nz<0.8であり、特に好ましくは0.3<Nz<0.7であり、とりわけ好ましくは0.4<Nz<0.6であり、最も好ましくは約0.5である。Nz係数が0.5に近ければ近いほど、正面方向と斜め方向で位相差がほとんど変わらなくなる。なお、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で表される。
さらに、本発明の位相差フィルムは、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい。すなわち、本発明の位相差フィルムは、波長分散特性がいわゆる逆分散である。このような逆分散特性と上記のような屈折率分布とを同時に満足する単一の位相差フィルムを実際に作製したことが、本発明の大きな成果の1つである。このような位相差フィルムは、後述のB項に記載の製造方法によって実際に製造され得る。なお、面内位相差Reは、Re=(nx−ny)×dから求められる。
好ましくは、上記面内位相差Reは下記式(1)および(2)で表される関係を満足する:
0.85<Re(480)/Re(590)<0.97 ・・・ (1)
1.02<Re(750)/Re(590)<1.20 ・・・ (2)
ここで、Re(480)、Re(590)およびRe(750)は、それぞれ、波長480nm、590nmおよび750nmにおける位相差フィルムの面内位相差である。Re(480)/Re(590)は、さらに好ましくは0.88<Re(480)/Re(590)<0.97であり、最も好ましくは0.9<Re(480)/Re(590)<0.97である。Re(750)/Re(590)は、さらに好ましくは1.02<Re(750)/Re(590)<1.15であり、最も好ましくは1.03<Re(750)/Re(590)<1.10である。このような範囲を外れると、特定波長の光については満足な結果が得られるがそれ以外の波長の光については満足な結果が得られない場合がある。例えば、このような位相差フィルムをλ/4板として使用する場合、波長400〜750nmのうちの特定波長の直線偏光は完全な円偏光となるが、それ以外の波長では円偏光から大きくずれてしまう場合がある。
本発明の位相差フィルムは、上記のような2つの特性(逆分散特性および屈折率分布)を満足する限りにおいて、目的に応じて任意の適切な面内位相差Reを有する。代表的には、本発明の位相差フィルムの波長590nmにおける面内位相差Re(590)は、60〜305nmである。例えば、本発明の位相差フィルムは、いわゆるλ/2板として用いてもよく、いわゆるλ/4板として用いてもよい。本明細書において、λ/2板とは、ある特定の振動方向を有する直線偏光を、当該直線偏光の振動方向とは直交する振動方向を有する直線偏光に変換したり、右円偏光を左円偏光に(または、左円偏光を右円偏光に)変換したりする機能を有するものをいう。λ/4板とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。
例えば、本発明の位相差フィルムをλ/2板として用いる場合には、波長590nmにおける面内位相差Re(590)は、好ましくは185〜305nmであり、さらに好ましくは205〜285nmであり、最も好ましくは220〜270nmである。また例えば、本発明の位相差フィルムをλ/4板として用いる場合には、波長590nmにおける面内位相差Re(590)は、好ましくは60〜180nmであり、さらに好ましくは80〜160nmであり、最も好ましくは100〜140nmである。本発明の位相差フィルムによるλ/2板およびλ/4板は逆分散特性を有するので、可視光全域においてきわめて良好に機能し得る。
本発明の位相差フィルムはまた、上記のような2つの特性(逆分散特性および屈折率分布)を満足する限りにおいて目的に応じて任意の適切な厚み方向の位相差Rthを有する。厚み方向の位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×dから求められる。例えば、本発明の位相差フィルムをλ/2板として用いる場合には、波長590nmにおける厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは90〜160nmであり、さらに好ましくは100〜140nmであり、最も好ましくは110〜135nmである。また例えば、本発明の位相差フィルムをλ/4板として用いる場合には、波長590nmにおける厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは30〜90nmであり、さらに好ましくは40〜80nmであり、最も好ましくは50〜70nmである。
上記厚み方向の位相差Rthもまた、波長400〜750nmにおける測定波長が長波長となるほど大きくなることが好ましい。その結果、可視光全域にわたって好ましいNzが得られるからである。
本発明の位相差フィルムは、上記のような好ましい面内位相差および厚み方向の位相差が得られる限りにおいて、目的に応じて任意の適切な厚みを有する。具体的には、本発明の位相差フィルムの厚みは、好ましくは80〜240μmであり、さらに好ましくは90〜200μmである。例えば、本発明の位相差フィルムをλ/2板として用いる場合には、その厚みは、好ましくは100〜240μmであり、さらに好ましくは110〜200μmである。また例えば、本発明の位相差フィルムをλ/4板として用いる場合には、その厚みは、好ましくは90〜150μmであり、さらに好ましくは90〜140μmである。
本発明の位相差フィルムの光弾性係数の絶対値C(590)(m/N)は、好ましくは2.3×10−11/N以下であり、さらに好ましくは2.0×10−13〜2.0×10−11であり、最も好ましくは1.0×10−12〜2.0×10−11である。このような範囲の位相差フィルムを用いることにより、光学均一性に優れた画像表示装置を得ることができる。
本発明の位相差フィルムの光線透過率は、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは92%以上であり、最も好ましくは95%以上である。
本発明の位相差フィルムは、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムから形成される。セルロースエステルを主成分とするフィルムは、逆分散の波長分散特性を有するので、当該フィルムを後述のB項に記載の本発明の製造方法に供することにより、従来は困難であった逆分散特性とnx>nz>nyの屈折率分布との両立が可能となる。さらに、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の発現性、位相差値の制御のし易さ、偏光子との接着性等に優れる。
上記セルロースエステルとしては、任意の適切なセルロースエステルが採用され得る。好ましくは、セルロースエステルはセルロースの低級脂肪酸エステルである。本明細書において「低級脂肪酸」とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。具体例としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等の有機酸エステルが挙げられる。また、上記セルロースエステルは、例えば、セルロースの水酸基の一部がアセチル基で置換され別の一部がプロピオニル基で置換されたような混合有機酸エステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)であってもよい。上記セルロースエステルは、任意の適切な方法(例えば、特開2001−188128号公報[0040]〜[0041]に記載の方法)により製造される。
上記セルロースエステルがアセチル基を含む場合には、そのアセチル置換度は、好ましくは1.5〜3.5であり、さらに好ましくは2.0〜3.0であり、最も好ましくは2.4〜2.9である。上記セルロースエステルがプロピオニル基を含む場合には、そのプロピオニル置換度は、好ましくは0.5〜3.5であり、さらに好ましくは0.5〜2.0であり、最も好ましくは0.5〜1.5である。また、上記セルロースエステルが、セルロースの水酸基の一部がアセチル基で置換され別の一部がプロピオニル基で置換された混合有機酸エステルである場合には、アセチル置換度とプロピオニル置換度の合計は、好ましくは1.5〜3.5であり、さらに好ましくは2.0〜3.0であり、最も好ましくは2.4〜2.9である。この場合、アセチル置換度は好ましくは1.0〜2.8であり、プロピオニル置換度は好ましくは0.5〜2.0である。
なお、本明細書において、アセチル置換度(またはプロピオニル置換度)とは、セルロース骨格における2、3、6位の炭素についた水酸基をアセチル基(またはプロピオニル基)で置換した数を示す。セルロース骨格における2、3、6位の炭素のどれかにアセチル基(またははプロピオニル基)が偏ってもよく、また平均的に存在してもよい。上記アセチル置換度は、ASTM−D817−91(セルロースアセテート等の試験法)によって求めることができる。また、上記プロピオニル置換度は、ASTM−D817−96(セルロースアセテート等の試験法)によって求めることができる。
特に好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)および(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
2.6≦X+Y≦3.0 ・・・(I)
0≦X≦2.5 ・・・(II)
中でも、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、特に1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。
上記セルロースエステルは、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した重量平均分子量(Mw)が好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜400,000、最も好ましくは80,000〜300,000である。重量平均分子量が上記の範囲であれば、機械的強度に優れ、溶解性、成形性、流延の操作性が良いものができる。
上記セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、好ましくは1.5〜5.5であり、さらに好ましくは2.0〜5.0であり、特に好ましくは2.5〜5.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0である。
上記セルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでもよく綿花リンターでもよい。木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは、単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。例えば、綿花リンター由来セルロース/木材パルプ(針葉樹)由来セルロース/木材パルプ(広葉樹)由来セルロースを、100/0/0、90/10/0、85/15/0、50/50/0、20/80/0、10/90/0、0/100/0、0/0/100、80/10/10、85/0/15、または40/30/30の比率で用いることができる。
上記セルロースエステルは、クロスニコルに配置した一対の偏光板に挟んで光を当てた場合に、光漏れによる輝点ができる限り少ないことが望ましい。光漏れによる輝点をできる限り少なくする手段としては、代表的には、未酢化セルロースを除去すること、溶融セルロースエステルを濾過して不純物を除去することが挙げられる。濾過して不純物を除去する場合には、セルロースエステルを単独で溶融させるよりも、セルロースエステルと可塑剤とを含む組成物を溶融濾過するほうが好ましい。さらに、上記所望の光学特性に影響を与えない範囲で得られるフィルムの厚みをできるだけ薄くすることにより、輝点の数を少なくすることができる。なお、可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルの具体例としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)が挙げられる。カルボン酸エステルの代表例としては、フタル酸エステル、クエン酸エステルが挙げられる。フタル酸エステルの具体例としては、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)が挙げられる。クエン酸エステルの具体例としては、o−アセチルクエン酸トリエチル(o−ACTE)、o−アセチルクエン酸トリブチル(o−ACTB)が挙げられる。
上記セルロースエステルは、少なくとも一度溶媒に溶解させた後、乾燥させて用いることが好ましい。溶媒としては、任意の適切な溶媒が用いられる。さらに好ましくは、セルロースエステルは、可塑剤、紫外線吸収剤およびマット剤の少なくとも1つと共に溶媒に溶解させられる。これらを添加することにより、より均一な光学特性を有する位相差フィルムが得られる。さらに、溶解の過程で−20℃以下に冷却することが特に好ましい。溶媒に溶解したセルロースエステルは、使用されるセルロースエステル全量の1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、とりわけ好ましくは50質量%以上の割合で用いられる。使用される全てのセルロースエステルが溶媒で溶解されたものであることが望ましい。
上記セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムは、必要に応じて、任意の適切な高分子成分をさらに含有し得る。高分子成分は、セルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましい。さらに、得られるフィルムの透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは92%以上となるようなものが好ましい。
上記セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムは、必要に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤の具体例としては、上記の可塑剤、紫外線吸収剤およびマット剤に加えて、熱安定剤、光安定剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、および増粘剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類および量は、目的に応じて適宜設定され得る。添加剤の使用量は、代表的には、当該高分子フィルムの全固形分100に対して、0.1〜10(重量比)以下である。
B.位相差フィルムの製造方法
以下、本発明の位相差フィルムの製造方法の好ましい実施形態について説明する。この製造方法は、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムを(Tg+20℃)以上の温度で熱処理する工程と、該熱処理された高分子フィルムを厚み方向に配向処理を行う工程とを含む。まず、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムの形成方法について説明する。
B−1.セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムの形成方法
原料のセルロースエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、Tダイを用いてフィルム状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。セルロースエステルの溶融温度は、好ましくは200〜280℃である。冷却ドラムの温度は、好ましくは90〜150℃である。
上記フィルムは、必要に応じて延伸され得る。延伸方向は、長手方向であってもよく幅方向であってもよい。延伸は、一段延伸であってもよく多段延伸であってもよい。延伸手段は、任意の適切な手段(例えば、ロール、テンター)が採用され得る。延伸温度は、代表的には、当該フィルムのガラス転移温度(Tg)から(Tg+100℃)の範囲である。加熱手段もまた、任意の適切な手段(例えば、赤外線ヒーター)が採用され得る。
好ましくは、上記延伸は、長手方向および幅方向の2方向に行われる。例えば、上記のようにTg〜(Tg+100℃)の温度範囲で長手方向に延伸されたフィルムは、Tg〜(Tg−20℃)の温度範囲で横延伸され得る。横延伸する場合には、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら延伸すると、幅方向の物性の分布が低減できるので好ましい。さらに、必要に応じて、延伸フィルムは、その最終横延伸温度以下で、かつ(Tg−40℃)以上の温度で、0.01〜5分間保持される。このような加熱保持を行うことにより、幅方向の物性の分布がさらに低減され得る。
上記のように2方向に延伸する場合の延伸倍率は、好ましくは、一方向(代表的には、長手方向)の延伸倍率が1.01〜3.00倍であり、もう一方(代表的には、幅方向)の延伸倍率が1.00〜2.50倍である。より好ましくは、より好ましくは、一方向の延伸倍率が1.01〜3.00倍であり、もう一方の延伸倍率が1.00〜2.00倍である。さらに好ましくは、一方向の延伸倍率が1.01〜3.00倍であり、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.50倍未満である。特に好ましくは、一方向の延伸倍率が1.01〜3.00倍であり、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.25倍未満である。とりわけ好ましくは、一方向の延伸倍率が1.01〜2.50倍であり、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.25倍未満である。最も好ましくは、一方向の延伸倍率が1.01〜2.00倍であり、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.10倍未満である。このような延伸倍率を採用することにより、光学的等方性に優れたセルロースエステルフィルムを得ることができる。
好ましくは、上記延伸フィルムは熱固定される。代表的には、熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、かつ、(Tg−20℃)以下の温度で、0.5〜300秒間フィルムを保持することにより行われる。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは、通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、かつTg以上の温度で、幅方向および/または長手方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また、冷却は、最終熱固定温度からTgまで徐冷することが好ましい。冷却および弛緩処理する手段としては、任意の適切な手段が採用され得る。
上記のようにして、セルロースエステルを主成分とする高分子フィルム(以下、セルロースエステルフィルムともいう)が得られる。得られたセルロースエステルフィルムは、nx>ny>nzの屈折率分布を有し、そのNz係数は、代表的には3.5〜4.5程度である。なお、セルロースエステルフィルムは、市販品を用いてもよい。このようなフィルムは、例えば、コニカミノルタ株式会社より商品名KC8NTACSとして市販されている。
B−2.熱処理工程
次に、上記B−1項の手順で得られたセルロースエステルフィルムを熱処理する。所定の条件で熱処理を行うことにより、フィルムの厚み方向の屈折率nzが大きくなる。具体的には、熱処理を行うことにより、熱処理前は3.5〜4.5程度であるNz係数が、好ましくは1<Nz<1.5、さらに好ましくは1<Nz<1.4、最も好ましくは1<Nz<1.3となる。その結果、後述のB−3項に記載の厚み方向の配向処理工程で、nx>nz>ny(すなわち、0<Nz<1)のフィルムが実現され得る。このように、あらかじめNzを1付近まで小さくする処理を行った後、厚み方向の配向処理を行うことにより、従来は決して実現できなかった逆分散特性とnx>nz>nyの屈折率分布との両立が可能となる。これは、本発明の大きな成果の1つである。
熱処理温度は、(Tg+20℃)以上であり、好ましくは(Tg+30℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg+40℃)以上である。熱処理温度が低すぎると、フィルムを構成するセルロースエステル分子が十分に流動しないので、Nzが十分に小さくならない場合が多い。その結果、後述の厚み方向の配向処理を行っても、nx>nz>ny(すなわち、0<Nz<1)を満足するフィルムが得られない場合が多い。熱処理温度の上限は、セルロースエステルフィルムがフィルム形状を維持できる限り特に限定されない。具体的には、熱処理温度は、好ましくは(Tg+70℃)以下であり、さらに好ましくは(Tg+60℃)以下であり、最も好ましくは(Tg+50℃)以下であり、かつ、セルロースエステルの融点以下である。熱処理温度が高すぎると、フィルムに含有される添加剤(例えば、可塑剤、劣化防止剤、紫外線安定剤)がフィルム表面にブリードアウトして外観不良の問題が生じたり、フィルムの耐久性が低下する場合がある。
熱処理時間は、好ましくは0.5分〜60分であり、さらに好ましくは0.5分〜30分であり、特に好ましくは1分〜20分であり、最も好ましくは1分〜5分である。熱処理時間が短すぎると、Nzが十分に小さくならない場合が多い。その結果、後述の厚み方向の配向処理を行っても、nx>nz>ny(すなわち、0<Nz<1)を満足するフィルムが得られない場合が多い。一方、熱処理時間が一定時間以上になれば、熱処理時間を長くとっても熱処理フィルムのNzはほとんど変わらない場合が多い。本発明においては、熱処理のみで0<Nz<1を満足するフィルムを得ることを目的とはしておらず(実際、長時間熱処理しても、そのようなフィルムは得られない)、短時間でNzを1近傍まで(例えば、1.5程度まで)小さくすることが、コストや製造効率の観点からも重要である。
B−2.厚み方向の配向処理工程
次に、上記熱処理したセルロースエスエルフィルムに、厚み方向の配向処理を行う。1<Nz<1.5程度のNz係数を有するフィルムに厚み方向の配向処理を行うことにより、nx>nz>ny(すなわち、0<Nz<1)を満足するフィルムが得られる。厚み方向の配向処理は、代表的には、セルロースエステルフィルムの片面または両面に収縮性フィルムを貼り付けて積層体を形成する工程と、該積層体を加熱延伸する工程とを含む。
上記収縮性フィルムとしては、例えば、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルムが挙げられる。このようなフィルムを構成する材料としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂が挙げられる。収縮性フィルムは、セルロースフィルムに比べて、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上大きい幅方向の熱収縮性を有する。ここで、「幅方向の熱収縮性」とは、フィルムの長手方向の両端を固定して加熱したとき、〔(加熱前の幅)−(加熱後の幅)〕/(加熱前の幅)で表される量をいう。熱収縮性の測定は、JIS C 2318に準じて行われる。加熱延伸処理(後述)において、収縮性フィルムの幅方向への収縮力に基づいてセルロースフィルムの厚み方向に応力を発生させることができるので、セルロースエステル分子を厚み方向に配向させることができる。したがって、nzを大きくすることができ、その結果、0<Nz<1を満足するフィルムを得ることができる。なお、収縮性フィルムを用いずに単に加熱延伸処理を行うだけでは、0<Nz<1を満足するフィルムは得られない。例えば、上記のような熱処理セルロースエステルフィルムを単に加熱延伸しても、一軸延伸の場合にはNz>1にしかならず、二軸延伸の場合にもNz>1にしかならない。
上記セルロースエステルフィルムと上記収縮性フィルムとの貼り付けは、任意の適切な方法を用いて行われる。好ましくは、上記セルロースエステルフィルムと上記収縮性フィルムとは、剥離可能に貼り付けられる。代表的には、貼り付けは、接着剤(好ましくは、アクリル系接着剤)を用いて行われる。セルロースエステルフィルムと収縮性フィルムとの貼り付けは、収縮性フィルムの熱収縮方向が少なくともセルロースエステルフィルムの延伸方向と直交する方向の成分を含むように行われる。すなわち、収縮性フィルムの熱収縮力の全部または一部がセルロースエステルフィルムの延伸方向と直交する方向に作用するように行われる。従って、収縮性フィルムの熱収縮方向がセルロースエステルフィルムの延伸方向と斜交していてもよく、完全に直交する方向にある必要はない。
上記セルロースエステルフィルムと上記収縮性フィルムとを貼り付けて形成した積層体は、加熱延伸処理に供される。延伸方法としては、所望のNzを有するフィルムが得られる限りにおいて任意の適切な延伸方法が採用され得る。例えば、自由端一軸延伸法、固定端一軸延伸法、固定端二軸延伸法等が採用され得る。延伸手段としては、任意の適切な延伸機(例えば、テンター延伸機)が用いられ得る。また、延伸工程を2回以上に分割してもよい。
上記積層体を延伸する際の延伸オーブン内の温度(延伸温度ともいう)は、セルロースエステルフィルムの組成、所望のNz値、収縮性フィルムの収縮率、延伸倍率等に応じて適宜設定され得る。延伸温度は、好ましくは110℃〜180℃であり、さらに好ましくは130℃〜170℃であり、最も好ましくは140℃〜160℃である。延伸温度を一定に保持する具体的な方法については特に制限はなく、熱風または冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロールまたは金属ベルトなどの加熱方法や温度制御方法から、適宜、適切なものが選択される。
上記積層体を延伸する際の延伸倍率もまた、セルロースエステルフィルムの組成、所望のNz値、収縮性フィルムの収縮率、延伸温度等に応じて適宜設定され得る。例えば、延伸倍率は、好ましくは1.05〜2.00倍であり、さらに好ましくは1.10〜2.00倍であり、特に好ましくは1.10〜1.50倍であり、最も好ましくは1.20〜1.40倍である。
最後に、加熱延伸された積層体から収縮性フィルムが剥離除去されて、本発明の位相差フィルムが得られる。
C.偏光板
図1(a)および(b)は、本発明の好ましい実施形態による偏光板の概略断面図である。偏光板30は、偏光子31と、偏光子31の片側(液晶セル側)に接着剤層(図示せず)を介して貼り付けられた位相差フィルム32とを有する。位相差フィルム32は、上記の本発明の位相差フィルムである。例えば、位相差フィルム32として、本発明の位相差フィルムをλ/4板として使用する場合には、偏光板30は円偏光板として用いられる。この場合、上記のように本発明の位相差フィルムは逆分散性を有するので、円偏光板30は、非常に広い波長域において直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)良好に変換し得る。また例えば、位相差フィルム32として、本発明の位相差フィルムをλ/2板として使用する場合には、偏光板30は偏光の向きを90°回転させる機能を有する。
実用的には、偏光板30は、偏光子31の位相差フィルムと反対側(外側)に接着剤層(図示せず)を介して貼り付けられた保護フィルム33をさらに有する。保護フィルムを設けることにより、偏光子の劣化が防止され得る。また、必要に応じて、偏光板30は、偏光子31と位相差フィルム32との間に別の保護フィルム35を有し得る(図1(a)参照)。
本明細書において「偏光子」とは、自然光や偏光から任意の偏光に変換するフィルムをいう。偏光子31としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
上記偏光子の透過率は、23℃において波長440nmの光で測定した値が、好ましくは41%〜45%であり、さらに好ましくは43%〜45%である。
上記偏光子の偏光度は、好ましくは99.90%〜100%であり、さらに好ましくは99.95%〜100%である。上記の範囲であれば、液晶表示装置に用いた際に正面方向のコントラスト比をより一層高くすることができる。上記偏光度は、分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製 製品名「DOT−3」]を用いて測定することができる。
上記偏光子の厚みは、偏光度等の光学特性や、機械的強度等の製造上の利便性などを考慮して適宜選択され得る。当該厚みは、好ましくは1μm〜80μmであり、さらに好ましくは10μm〜50μmであり、特に好ましくは20μm〜40μmである。上記の範囲であれば、液晶表示装置の薄型化に貢献することができる。
上記保護フィルム33および35としては、任意の適切な保護フィルムが採用され得る。保護フィルム33および35は、同一であってもよく異なっていてもよい。保護フィルムを構成する材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、セルロース樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂も用いられ得る。偏光特性および耐久性の観点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
さらに、例えば、特開平2001−343529号公報(WO 01/37007号)に記載されているような樹脂組成物から形成されるポリマーフィルムも保護フィルムとして使用可能である。より詳細には、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とシアノ基とを有する熱可塑性樹脂との混合物である。具体例としては、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。例えば、このような樹脂組成物の押出成形物が用いられ得る。
上記保護フィルムは、透明で色付が無いことが好ましい。具体的には、保護フィルムの厚み方向の位相差Rthが、好ましくは−90nm〜+75nm、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、最も好ましくは−70nm〜+45nmである。保護フィルムの厚み方向の位相差Rthがこのような範囲であれば、保護フィルムに起因する偏光子の光学的着色を解消し得る。
上記保護フィルムの厚みは、目的に応じて適宜設定され得る。保護フィルムの厚みは、代表的には500μm以下、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
D.画像表示装置
D−1.液晶パネル
図2は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。液晶パネル100は、液晶セル20と、液晶セル20の少なくとも一方の側(図示例では両側)に配された位相差フィルム40、40’と、位相差フィルム40、40’の外側に配された偏光板30、30’とを備える。偏光板30、30’は、代表的には、その偏光子の偏光軸が互いに直交するようにして配置されている。液晶セル20は、一対のガラス基板21、21’と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)21には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルター基板)21’には、カラーフィルター(図示せず)が設けられる。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21に設けてもよい。基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
本発明の好ましい実施形態においては、位相差フィルム40、40’の少なくとも一方は、上記の本発明の位相差フィルムである。あるいは、偏光板30、30’の少なくとも一方は、上記の本発明の偏光板(すなわち、偏光子と本発明の位相差フィルムとを含む偏光板)である。偏光板30、30’の少なくとも一方が本発明の偏光板である場合には、位相差フィルム40、40’の少なくとも一方が省略され得る。
液晶セル20の駆動モードとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な駆動モードが採用され得る。駆動モードの具体例としては、STN(Super Twisted Nematic)モード、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、VA(Vertical Aligned)モード、OCB(Optically Aligned Birefringence)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モードおよびASM(Axially
Symmetric Aligned Microcell)モードが挙げられる。以下、代表例として、IPSモードおよびVAモードについて説明する。
IPSモードにおいては、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、電界が存在しない状態でホモジニアス配向させたネマチック液晶を基板に平行な電界(横電界ともいう)で応答させる。より具体的には、テクノタイムズ社出版「月刊ディスプレイ7月号」p.83〜p.88(1997年版)や、日本液晶学会出版「液晶vol.2 No.4」p.303〜p.316(1998年版)に記載されているように、液晶分子の長軸と入射側偏光板の偏光軸とを一致させて、上下の偏光板を直交配置させると、電界のない状態で完全に黒表示になり、電界があるときは、液晶分子は基板に平行を保ちながら回転動作することによって、回転角に応じた透過率を得ることができる。
上記ホモジニアス配向させたネマチック液晶とは、配向処理された基板とネマチック液晶分子の相互作用の結果として、上記ネマチック液晶分子の配向ベクトルが基板平面に対し、平行かつ一様に配向した状態のものをいう。なお、本明細書においては、上記配向ベクトルが基板平面に対し、わずかに傾いている場合、すなわち上記ネマチック液晶分子がプレチルトをもつ場合も、ホモジニアス配向に包含される。ネマチック液晶分子がプレチルトをもつ場合は、そのプレチルト角は、20°以下であるほうが、コントラスト比を高く保ち、良好な表示特性が得られる点で好ましい。
上記ネマチック液晶としては、目的に応じて任意の適切なネマチック液晶が採用され得る。例えば、ネマチック液晶は、誘電率異方性が正のものであっても、負のものであってもよい。誘電率異方性が正のネマチック液晶の具体例としては、メルク社製 商品名「ZLI−4535」が挙げられる。誘電率異方性が負のネマチック液晶の具体例としては、メルク社製 商品名「ZLI−2806」が挙げられる。また、上記ネマチック液晶の常光屈折率(no)と異常光屈折率(ne)との差、すなわち複屈折率(ΔnLC)は、上記液晶の応答速度や透過率等によって任意に設定できるが、通常0.05〜0.30であることが好ましい。
図3は、VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。図3(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶分子は基板21、21’面に垂直に配向する。このような垂直配向は、垂直配向膜(図示せず)を形成した基板間に負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を配することにより実現され得る。このような状態で一方の基板21’の面から光を入射させると、偏光板30’を通過して液晶層22に入射した直線偏光の光は、垂直配向している液晶分子の長軸の方向に沿って進む。液晶分子の長軸方向には複屈折が生じないため入射光は偏光方位を変えずに進み、偏光板30’と直交する偏光軸を有する偏光板30で吸収される。これにより電圧無印加時において暗状態の表示が得られる(ノーマリブラックモード)。図3(b)に示すように、電極間に電圧が印加されると、液晶分子の長軸が基板面に平行に配向する。この状態の液晶層22に入射した直線偏光の光に対して液晶分子は複屈折性を示し、入射光の偏光状態は液晶分子の傾きに応じて変化する。所定の最大電圧印加時において液晶層を通過する光は、例えばその偏光方位が90°回転させられた直線偏光となるので、偏光板30を透過して明状態の表示が得られる。再び電圧無印加状態にすると配向規制力により暗状態の表示に戻すことができる。また、印加電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して偏光板30からの透過光強度を変化させることにより階調表示が可能となる。
上記のような液晶パネルは、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、プロジェクター等の液晶表示装置に好適に用いられる。
D−2.自発光型表示装置
本発明は、液晶表示装置のみならず、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置にも適用され得る。ここでは、一例として有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について説明する。
図4は、本発明の好ましい実施形態による有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の概略断面図である。この有機EL表示装置600は、透明基板610と、透明基板610上に順次形成された透明電極620、有機発光層630および対向電極640と、これらを覆うように配された無機保護膜660および樹脂保護膜670とを備える。透明電極620と対向電極640とが重なっている領域における透明電極620、有機発光層630および対向電極640が画素650となる。
有機EL表示装置においては、有機発光層630の発光を取り出すために、少なくとも1つの電極が透明であることが必要とされる。したがって、代表的には、透明電極620は、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)膜から構成され、陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数が小さい物質を用いることが重要である。したがって、代表的には、対向電極640は、Mg−Ag、Al−Li等の金属膜から構成され、陰極として使用される。
有機発光層630は、種々の有機薄膜の積層体である。図示例では、有機発光層630は、正孔注入性有機材料(例えば、トリフェニルアミン誘導体)からなり、陽極からの正孔注入効率を向上させるべく設けられた正孔注入層631と、発光性有機物質(例えば、アントラセン)からなる発光層632と、電子注入性材料(例えば、ペリレン誘導体)からなり、陰極からの電子注入効率を向上させるべく設けられた電子注入層632とを有する。有機発光層630は、図示例に限定されず、発光層632において電子と正孔とが再結合して発光を生じさせ得る任意の適切な有機薄膜の組み合わせが採用され得る。
透明電極−対向電極間に閾値以上の電圧を印加すると、陽極から正孔が供給され、正孔注入層631を経て発光層632に達する。一方、陰極からは電子が供給され、電子注入層633を経て発光層632に達する。発光層632において正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、発光層中の発光性有機物質を励起し、励起された発光性有機物質が基底状態に戻る際に光を放射し、発光する。所望の画素ごとに電圧を印加して有機発光層を発光させることにより、画像表示が可能となる。カラー表示を行う場合には、例えば隣接する3つの画素の発光層を、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の発光を示す発光性有機物質で構成してもよく、任意の適切なカラーフィルターを発光層の上に設けてもよい。
このような有機EL表示装置においては、有機発光層630の厚みは、できる限り薄いことが好ましい。発光した光を可能な限り透過させることが好ましいからである。有機発光層630は、例えば、厚み10nm程度のきわめて薄い膜で構成され得る。その結果、非発光時(黒状態)において、透明基板610の表面から入射して、透明電極620および有機発光層630を透過し、対向電極640で反射した光が、再び透明基板610の表面側へ出る。このため、外部から視認した場合に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えることが多い。このような黒状態における反射を防止するという観点から、偏光板と位相差板(位相差フィルム)とを透明電極620の表面に配置することが好ましい。偏光板は、外部から入射して金属電極で反射した光が偏光する作用を有するので、その偏光作用により表示面の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度をπ/4に調整し、かつ、位相差フィルムの全体の位相差が可視波長の1/4となるように調整することにより、上記表示面の鏡面を実質的に完全に遮蔽することができる。具体的には、このような偏光板と位相差フィルムとが配置された有機EL表示装置においては、入射する外部光は、当該偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。直線偏光は、位相差フィルムによって一般には楕円偏光となるが、位相差フィルムの全体の位相差が可視波長の1/4であり、かつ、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度がπ/4である場合には円偏光となる。この円偏光は、透明基板610、透明電極620および有機発光層630を透過し、対向電極640で反射し、再び有機発光層630、透明電極620および透明基板610を透過し、上記位相差フィルムで再び直線偏光となる。この直線偏光は、上記偏光板の偏光方向と直交しているので当該偏光板を透過できない。その結果、上記表示面の鏡面を実質的に完全に遮蔽することができる。
本発明の位相差フィルムは、単独で、または他の位相差フィルムと組み合わせて、全体の位相差を可視波長の1/4近傍に設定することが容易であるので、有機EL表示装置に好適に用いられ得る。さらに、本発明の位相差フィルムは、非常に広い波長域において良好な光学補償を実現できるので、有機EL表示装置がカラー表示を行う場合に特に有用である。また、本発明の偏光板は、適切な位相差を有する位相差フィルムと偏光子とを有するので、有機EL表示装置の薄型化を実現すると同時に、上記の優れた遮蔽効果を有する。したがって、本発明の位相差フィルムおよび偏光板はいずれも、このような有機EL表示装置に非常に有用である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)位相差の測定
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21−ADH)により測定波長を変化させて計測し、それぞれの測定波長における面内位相差Re、厚み方向位相差Rthおよび波長分散性を算出した。さらに、Nz係数をRth/Reから算出した。測定温度は23℃であった。
(2)フィルムの平均屈折率の測定
アタゴ製の商品名「アッベ屈折率計」を用いて測定した。
(3)フィルムのガラス転移温度(Tg)の測定
Seiko Instrument社製のExtra6000を用いて測定した。
セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムとして、市販のN−TACフィルム(コニカ社製、KC8NTACS:セルロースアセテートプロピオネートフィルム、Tg=約145℃)を用いた。このフィルムの面内位相差Reは52.2nm、厚み方向の位相差Rthは191.4nm、Nzは3.70であった。さらに、このフィルムは、幅方向に遅相軸を有していた。このフィルムを、幅方向(TD)を固定せず、190℃(Tg+45℃)で3分間の熱処理に供した。熱処理後のフィルムの厚みは121μmであった。また、熱処理後のフィルムの面内位相差Reは13.0nm、厚み方向の位相差Rthは17.7nm、Nzは1.40となった。さらに、熱処理後のフィルムの遅相軸は、長手(MD)方向に変化した。
上記熱処理後のフィルムの両面にポリプロピレン熱収縮性フィルム(厚み67μm、MD収縮率/TD収縮率=19.6%/45.5%)を貼り付けて、積層体を形成した。この積層体を長手方向に自由端一軸延伸した。延伸温度は150℃、延伸倍率は1.35倍であった。最後に、熱収縮性フィルムを剥離除去して、位相差フィルムを得た。得られたフィルムの厚みは133μmであった。得られたフィルムについて、480nm、590nmおよび750nmにおける面内位相差を測定した。さらに、測定波長590nmにおけるNzを算出した。結果を、後述の実施例2〜3および比較例1〜4の結果と併せて下記表1に示す。加えて、斜め方向から見たときの位相差を測定した。角度と位相差との関係を、後述の比較例3の結果と併せて図5に示す。
Figure 2006215142
熱処理温度を180℃(Tg+35℃)としたこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
熱処理温度を170℃(Tg+25℃)としたこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例1)
熱処理温度を160℃(Tg+15℃)としたこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例2)
熱処理温度を150℃(Tg+5℃)としたこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
(比較例3)
熱処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。また、得られたフィルムは、幅方向に遅相軸を有していた。さらに、斜め方向から見たときの位相差を測定した。角度と位相差との関係を図5に示す。
(比較例4)
実施例1のN−TACフィルムを長手方向に自由端一軸延伸し、位相差フィルムを作製した。延伸温度は150℃、延伸倍率は1.35倍であった。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
表1から明らかなように、Tgから所定の温度以上高い温度で熱処理を行うことにより、Nzを大幅に(1.5程度まで)小さくさせることができる。Nzを1.5程度まで小さくした後、厚み方向の配向処理を行うことにより、0<Nz<1を満足し、かつ逆分散特性を有するフィルムを実際に作製することができた。実施例3と比較例1を比較すると明らかなように、(Tg+25℃)で熱処理するとNzは1.20まで小さくできるが、(Tg+15℃)で熱処理してもNzは4.67と非常に大きいままである。すなわち、(Tg+15℃)と(Tg+25℃)との間に、Nzを大幅に小さくし得る臨界的な熱処理温度が存在し得ることが示唆される。比較例1〜3から明らかなように、Nzが非常に大きいままで厚み方向の配向処理を行ってもNzが1より小さくなることはない。このことから、高温(すなわち、Tgから所定の温度以上高い温度)での熱処理によりあらかじめセルロースエステルの分子を十分に流動させ配向させてから、厚み方向の配向処理を行うことが重要であることがわかる。さらに、比較例4から明らかなように、収縮性フィルムを用いない場合には、厚み方向の配向処理が十分に行われないことがわかる。
また、図5から明らかなように、Nz係数が0.5である実施例1の位相差フィルムは、正面方向でも斜め方向でも位相差がほとんど変化しないことがわかる。このように、本発明によれば、非常に広い波長域において所望の位相差が得られ、かつ、正面方向でも斜め方向でもその位相差がほとんど変化しない位相差フィルムを得ることができた。
本発明の位相差フィルムは、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、プロジェクター等の液晶表示装置、ならびに、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置に好適に用いられる。
本発明の好ましい実施形態による偏光板の概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。 本発明の液晶表示装置がVAモードの液晶セルを採用する場合に、液晶層の液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態による有機EL表示装置の概略断面図である。 本発明の実施例の位相差フィルムと比較例の位相差フィルムについて、斜めから見たときの角度と位相差との関係を比較して説明するグラフである。
符号の説明
20 液晶セル
22 液晶層
30、30’ 偏光板
40、40’ 位相差フィルム
100 液晶パネル
600 有機EL表示装置
610 透明基板
620 透明電極
630 有機発光層
631 正孔注入層
632 発光層
633 電子注入層
640 対向電極
650 画素

Claims (11)

  1. セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムから形成され、nx>nz>nyの屈折率分布を有し、かつ、波長400〜750nmにおける面内位相差Reが長波長ほど大きい、位相差フィルム。
  2. 前記面内位相差Reが下記式(1)および(2)で表される関係を満足する、請求項1に記載の位相差フィルム:
    0.85<Re(480)/Re(590)<0.97 ・・・ (1)
    1.02<Re(750)/Re(590)<1.20 ・・・ (2)
    ここで、Re(480)、Re(590)およびRe(750)は、それぞれ、波長480nm、590nmおよび750nmにおける位相差フィルムの面内位相差である。
  3. 波長590nmにおける面内位相差Re(590)が60〜305nmである、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. Nz係数が、0.4<Nz<0.6である、請求項1から3のいずれかに記載の位相差フィルム。
  5. 光弾性係数の絶対値が2.3×10−11/N以下である、請求項1から4のいずれかに記載の位相差フィルム。
  6. 厚みが90〜100μmである、請求項1から5のいずれかに記載の位相差フィルム。
  7. セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムを、(Tg+20℃)以上の温度で熱処理する工程と、該熱処理された高分子フィルムを、厚み方向に配向処理を行う工程とを含む、位相差フィルムの製造方法:
    ここで、Tgは該セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムのガラス転移温度である。
  8. 前記熱処理され厚み方向の配向処理を行う前の高分子フィルムのNz係数が、1<Nz<1.5である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記厚み方向の配向処理工程が、前記セルロースエステルを主成分とする高分子フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを貼り付けて積層体を形成する工程と、該積層体を加熱延伸する工程とを含む、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 請求項1から6のいずれかに記載の位相差フィルムと偏光子とを含む、偏光板。
  11. 請求項1から6のいずれかに記載の位相差フィルム、および/または、請求項10に記載の偏光板を含む、画像表示装置。

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