JP2006214467A - 調心輪付き転がり軸受 - Google Patents

Abstract

【課題】 荷重負荷時であっても、容易且つ確実に調心することができる、簡単な構成の調心輪付き転がり軸受を提供すること。
【解決手段】 内輪２と凸形状球面の外周面３ａを有する外輪３との間に複数の転動体５を挟持した転がり軸受１と、外輪３の外周面３ａに外嵌する凹形状球面の内周面４ａを有する調心輪４と、から成っており、調心輪４の内径Ｒφ１が外輪３の外径Ｒφ２より若干大きく設定された調心輪付き転がり軸受であって、外輪３の外径Ｒφ２の曲率半径は、調心輪４内径Ｒφ１の曲率半径の９５〜９９％に設定されている。
【選択図】 図１

Description

本発明は、軸受の取り付け誤差や荷重負荷による軸の撓み等、軸受にかかるミスアライメントを緩和するために調心可能とされた調心輪付き転がり軸受に関し、特に、その調心性能の改良を図ったものである。

従来より、軸受の取り付け誤差や荷重負荷による軸の撓み等にかかるミスアライメントを緩和するため、調心輪に対して外輪が摺動可能とされることにより軸の軸心方向を微調整（調心）可能とした調心輪付き転がり軸受が公知である。

この調心輪付き転がり軸受は、図３に示すように、内輪２と外輪３との間に複数の円筒ころ５が挟持された転がり軸受１と、この外輪３の外周面３ａに外嵌する調心輪４とから成っている。この外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａは共に球面状に成形されて、ラジアル荷重負荷時には互いに隙間なく接触した状態になっており、この外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａとの滑りにより調心が可能となっている。したがって、これら外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａ間には、無負荷時には若干の隙間が配されるように、外輪３の外径は調心輪４の内径より微小量小さく設定されている。

例えば、同図に示すように、軸（図示しない）を軸心方向に対してθ゜傾斜させたい場合は、外輪３の軸心方向の中心部に直交する線（紙面に対して垂直な線）を中心にして、転がり軸受１をθ゜だけ矢印方向に回転させることにより調心を行うことができる。

しかし、外輪３の外径を調心輪４の内径より小さく設定すると、より大きなラジアル荷重に耐えるために外輪３の外径を大きくするという要求を満たせなくなる。そこで、外輪の外径を大きくすると、今度は調心輪４の径方向幅Wが小さくなって必要な機械的強度が得られなくなるという不具合があった。

このため、特許文献１には、外輪３の外径を大きくすることなく、より大きな負荷荷重に耐えられ、且つ円滑な調心作用を得るために、調心輪を軸方向で２分割してその部分を全周に亘って空洞とした調心輪付き転がり軸受が開示されている。

また、外輪３の外径が調心輪４の内径より小さく設定されているので、外輪３の外径の曲率半径は調心輪４の内径の曲率半径より小さくなっている。このため、接触した外輪と調心輪間の軸方向両端側に隙間が生じることがあるが、大きなラジアル荷重が負荷された時には、この隙間を埋めるように外輪が変形することから、外輪の軌道面の中央部が盛り上がって円筒ころの挙動が不安定になってしまう。

これを防止するために、特許文献２では、調心輪の軸方向中央部に全周に亘って凹溝であるヌスミ部を形成して、外輪と調心輪間の軸方向両端側に生じる隙間を最小限に抑えた調心輪付き転がり軸受が示されている。
特開平１１―１８２５４２号公報 特開平１１―８２４９５号公報

しかしながら、従来の上記調心輪付き転がり軸受においては、何れも上記の如く、外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａ間には若干の半径方向隙間が配されてはいるが、荷重負荷時には、全面接触になって調心輪４に対して外輪３が滑りにくく、調心を行うのが難しくなるという問題点があった。

さらに、外輪３が調心輪４に対して軸方向に少しでもずれると、これらの接触面積が小さくなる分だけさらに負荷が掛かってくる食いつき現象が発生し、それ以上調心するのが非常に困難になる。

そこで、本発明は、上述した従来の不都合を改善し、荷重負荷時であっても、容易且つ確実に調心することができる、簡単な構成の調心輪付き転がり軸受を提供することを課題としている。

上記課題を達成するために、本発明では、内輪と凸形状球面の外周面を有する外輪との間に複数の転動体を挟持した転がり軸受と、前記外輪の外周面に外嵌する凹形状球面の内周面を有する調心輪とから成っており、この調心輪の内径が前記外輪の外径より若干大きく設定されている調心輪付き転がり軸受において、前記外輪の外径の曲率半径は、前記調心輪の内径の曲率半径の９５〜９９％に設定されていることを特徴としている。

本発明は、以上のように構成されており、外輪の外周面と調心輪の内周面との接触面積は、荷重負荷時であっても、点接触に近い、従来の略全面接触より大幅に狭められた接触になっているので、外輪の外周面と調心輪の内周面とが滑り易く、接触点の移動も生じて、調心を容易且つ確実に行うことができる。

以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。

図１は本発明の実施形態を示す調心輪付き転がり軸受の軸方向断面図、図２（ａ）（ｂ）は調心輪付き転がり軸受の動作を示す軸方向断面図である。

本発明の調心輪付き転がり軸受は、図１に示すように、内輪２と外輪３との間に複数の円筒ころ５が回転自在に挟持された転がり軸受１と、この外輪３の外周面３ａに外嵌する調心輪４とから構成されている。この外輪３の外周面３ａは凸形状球面に、調心輪４の内周面４ａは凹形状球面にそれぞれ成形されており、調心輪４は、その内周面４ａの軸方向中央部が外輪３の外周面３ａに接触した状態で外輪３に外嵌している。

この調心輪４の内径Ｒφ１は、外輪３の外径Ｒφ２よりも若干大きく（Ｒφ１＞Ｒφ２）、外輪３の外径Ｒφ２の曲率半径は、調心輪４内径Ｒφ１の曲率半径の９５〜９９％に設定されている。

したがって、転がり軸受１は、ラジアル荷重負荷時であっても、外輪３の凸形状球面の頂部のみが調心輪４の内周面４ａに接触した点接触の状態で調心輪４に内嵌した状態になっている。この外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａ間の摺動により調心が可能となっている。

上記構成において、荷重負荷時に、軸受の取り付け誤差等にかかるミスアライメントを緩和するため、図２に示すように、転がり軸受１の軸（図示しない）を現在の軸心方向に対してθ゜傾斜させる調心を行う時には、同図（ａ）に示す状態から同図（ｂ）示すように、外輪３の図中上端側の左側面を軸方向（矢印方向）に押すと、外輪３は図中下端側の軸方向中心部Ｐ１を中心にα゜回動して傾くことになり、結果として外輪３の軸心は調心輪４の軸心方向に対してθ゜傾斜することになる。この時、外輪３の図中下端側の接触点は、同図（ａ）に示す、調心輪４と共に軸方向中心部Ｐ１から、同図（ｂ）に示すように調心輪４と共に軸方向中心部より図中右側に若干距離ずれた位置Ｐ２に移動している。

ここで、α゜＝θ゜であるから、軸をその軸心方向に対してθ゜傾斜させる調心を行いたい場合は、外輪３の図中下端側の軸方向中心部Ｐ１を中心にして、外輪３（転がり軸受１）がθ゜回動するように、外輪３の図中上端側に矢印方向に力を加えれば良い。

このように、外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａとの接触面積は、荷重負荷時の調心であっても、調心前と調心後共に、点接触に近い、従来の略全面接触より大幅に狭められた接触となっているので、外輪３の外周面３ａと調心輪４の内周面４ａとが滑り易く、特に、外輪３の回動の支点になる側に接触点の移動（Ｐ１からＰ２）も生じて、調心を容易且つ確実に行うことができる。

尚、この実施形態では、保持器の無い円筒ころ軸受を示したが、これに限らず、保持器付きでも良いし、他の軸受形式、例えば円錐ころ軸受や複列軸受等にも適用できる。

本発明の実施形態を示す調心輪付き転がり軸受の軸方向断面図である。 調心輪付き転がり軸受の調心前（ａ）から調心後（ｂ）の動作を示す軸方向模式図である。 従来の調心輪付き転がり軸受の調心後の状態を示す軸方向断面図である。

符号の説明

１：転がり軸受
２：内輪
３：外輪
３ａ：外輪の外周面
４：調心輪
４ａ：調心輪の内周面
５：円筒ころ（転動体）

Claims (1)

1. 内輪と凸形状球面の外周面を有する外輪との間に複数の転動体を挟持した転がり軸受と、前記外輪の外周面に外嵌する凹形状球面の内周面を有する調心輪と、から成っており、この調心輪の内径が前記外輪の外径より若干大きく設定されている調心輪付き転がり軸受において、
   前記外輪の外径の曲率半径は、前記調心輪の内径の曲率半径の９５〜９９％に設定されていることを特徴とする調心輪付き転がり軸受。

Images