JP2006209995A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 充電電圧を4.2Vを超える高電圧に上げ、正極活性物質の残存容量をより活用するために、正極合剤中に酸化防止剤を添加した非水電解質二次電池を提供することである。
【解決手段】 作動時における最高電圧が単位セルあたり4.25V以上である非水電解質二次電池において、正極合剤中に酸化防止剤を0.1重量部以上2重量部以下で配合することにより、充電電圧4.2Vを超える高電圧であっても、正極付近での強力な酸化分解を防止でき、その結果、原理上可能である正極合剤中の正極活性物質の残存容量の活用が可能となり、高エネルギー密度化が実現できるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 作動時における最高電圧が単位セルあたり4.25V以上である非水電解質二次電池において、正極合剤中に酸化防止剤を0.1重量部以上2重量部以下で配合することにより、充電電圧4.2Vを超える高電圧であっても、正極付近での強力な酸化分解を防止でき、その結果、原理上可能である正極合剤中の正極活性物質の残存容量の活用が可能となり、高エネルギー密度化が実現できるものである。
【選択図】 図1
Description
この発明は、非水電解質二次電池に関し、特に、作動時における最高電圧が単セル当たり4.25V以上である非水電解質二次電池において、正極合剤中に酸化防止剤を配合することで高エネルギー密度化された非水電解質二次電池に関するものである。
近年の携帯電子技術の目覚しい発達により、携帯電話やノートブックコンピューターは高度情報化社会を支える基盤技術と認知されてきた。さらに、これらの機器の高機能化に関する研究開発は精力的に進められており、その消費電力も増加の一途をたどっている。その反面、これらの電子機器は長時間駆動が求められており、必然的に駆動電源である非水電解質二次電池の高エネルギー密度化が望まれてきた。
電子機器に内蔵される電池の占有体積や重量等の観点より、電池のエネルギー密度は高いことが望ましい。現在では、非水電解質二次電池の中でも特にリチウムイオン二次電池が優れたエネルギー密度を有することから、殆どの機器に内蔵されるに至っている。
通常、リチウムイオン二次電池では、正極にコバルト酸リチウムおよび負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲で用いられる。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータ等の優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
現状、最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池では、それに用いられるコバルト酸リチウム等の正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎず、さらに充電圧を上げることにより、残存容量を活用することが、原理上可能である。実際、例えば、以下の特許文献1に開示されているように、充電時の電圧を4.25V以上にすることにより、高エネルギー密度化が発現することが知られている。
また、充電電圧を4.2V以上と高圧にした場合の高エネルギー密度化は、それに伴い電解液の劣化が引き起こされる。この電解液の劣化は正極の強力な酸化作用によるものであり、この酸化作用を防止するための手段として、例えば、以下の特許文献2〜5に開示されているように、酸化防止剤のセパレータへの添加、電解液への添加、電極中への添加が従来より検討されている。
また、下記特許文献6では、酸化防止剤をマイクロカプセル内に保持し、ある温度になるとマイクロカプセル内から酸化防止剤が放出されることが提案されている。
しかしながら、上記のような電池を検討したところ、いずれも酸化防止剤が電解液中に溶解しているかまたは溶出するため、サイクル中に失活し効果が持続しない。また、カプセル内に内蔵しても一度放出されてしまうと、効果が持続しないという欠点があった。
さらに、充電電圧を4.2V以上に設定した場合は、特に正極表面近傍における酸化雰囲気が強まり、酸化分解を受けやすくなる。このため電池内部抵抗が増大化し、特にサイクル特性等が低下するなどの問題もある。充電電圧を4.2V以上に上げ、正極活性物質の残存容量をより活用するためには、正極での強力な酸化作用を防止する必要がある。
したがって、この発明の目的は、充電電圧を4.2Vを超える高電圧に上げても、正極付近での強力な酸化分解を防止でき、その結果、原理上可能である正極合剤中の正極活性物質の残存容量の活用が可能となり、高エネルギー密度化が実現できる非水電解質二次電池を提供することである。
上述の課題を解決するために、この発明は、作動時における最高電圧が単位セルあたり4.25V以上である非水電解質二次電池において、正極合剤中に酸化防止剤を0.1重量部以上2重量部以下で配合することにより、充電電圧を4.2Vを超える高電圧に上げても、正極付近での強力な酸化分解を防止でき、その結果、原理上可能である正極合剤中の正極活性物質の残存容量の活用が可能となり、高エネルギー密度化が実現できる。
さらに、この発明の酸化防止剤は、酸化防止能を有する基を含有する1000以上13000以下の平均重量分子量を有するポリマーおよび/または酸化防止能を有する基を含有しかつ架橋構造を有する化合物を用いることで、従来からの問題点であった電解液中への酸化剤の溶出を防ぐことができる。
なお、上記酸化防止剤の官能基は、フェノール性水酸基またはアミノ基であり、具体的には、フェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤である。
さらに、イオウ系またはリン系酸化防止剤を用途に応じて適量配合することで酸化防止効果をさらに高めることが出来る。配合の際の好ましい配合量は、フェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤と同じ重量比である。
この発明によれば、満充電状態における開回路電圧が4.25V以上である非水電解質二次電池において、正極合剤中酸化防止剤を0.1重量部以上2重量部以下で配合することにより特に正極表面近傍における酸化分解反応が抑制されることにより、従来の課題であった電池特性の著しい低下を抑制し、正極合在中の活性物質の残存容量を活用できる。その結果、高エネルギー密度化された非水電解質二次電池を作製できる。
以下、図1〜図5を用いてこの発明に係わる非水電解質二次電池を説明する。図1は、この発明の実施の形態に係わるセパレータ素材としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンよりなる微多孔膜を用いたポリマーセルリチウムイオン非水電解質二次電池またはリチウムイオン非電解質二次電池(以下、適宜リチウムイオン二次電池、ポリマーセル二次電池と記載する場合がある)の構成例を表すものである。
まず、第1の実施形態として、図1、図2を用いて、リチウムイオン二次電池を説明する。この非水電解質二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。なお、図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表したものである。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウムなどよりなる正極リード31が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード31は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
[正極、正極合剤層]
正極21は、例えば、帯状を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面に設けられた正極合剤層21Bとを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔等の金属箔により構成されている。
正極21は、例えば、帯状を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面に設けられた正極合剤層21Bとを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔等の金属箔により構成されている。
正極合剤層21Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。正極活物質としては、リチウムを含有する化合物、例えばリチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、正極活物質としてLixMO2を主体とするリチウム複合酸化物を含んでいることが好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。
また、xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、例えば、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)あるいはLicNidCO1-dO2(c≒1、0<d<1である。)が挙げられる。また、リチウム複合酸化物としては、スピネル構造を有するLieMn2O4(e≒1)、あるいは、オリビン構造を有するLifFePO4(f≒1)が挙げられる。
正極合剤中に配合する酸化防止剤としては、フェノール性水酸基、アミノ基、リン、イオウ原子などを有するポリマーが好ましい。
フェノール性水酸基を有するポリマーとしては、合成高分子化合物と天然高分子化合物があるが、合成高分子化合物としては、例えば、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などが使用できる。フェノール樹脂としては、具体的には、例えば住友ベークライト社製 商品名;スミライトレジンPRなどが使用できる。
天然高分子化合物としては、例えば、リグニン、リグノフェノール類などの天然高分子が使用できる。
また、式(1)中のX1は、以下の構造式(2)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物である。
式(2)中、R2、R3、R4、R5は同じであっても異なってもよく、水素原子、下記一般式(3)、t−ブチル基、t−ペンチル基等から選ばれる基である。
式(3)中のnは0〜100までの整数である。2官能基以上のメタクリル酸は反応すると互いに架橋し、不溶性の高分子となる。
架橋方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばラジカル重合または光重合を用いることができる。具体的には例えば、モノマーを電解液に0.5〜10重量%溶解し、重合開始剤を添加し加熱する方法を用いることができる。
重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、アゾビス化合物,パーオキサイド,ハイドロパーオキサイド,パーオキシエステルあるいはレドックス触媒などであり、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン) ハイドロクロライド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、あるいはt−ブチルパーオキシアセテートが挙げられる。
アミンを含有するポリマーとしては、例えば、下記の一般式(4)またはヒンダード系アミン化合物を用いることができる。
なお、式(4)中のR、R'は同一であっても異なってもよく、下記の一般式(5)であり、架橋構造を有することが望ましい。
なお、式(5)中、nは1〜3の整数である。
この発明に用いられるヒンダード系アミン化合物は、例えば、以下の構造式(6)〜(8)で示されるものが例示される。
構造式(6)で示されるヒンダード系アミン化合物は、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物(長瀬産業社製 商品名:TINUVIN 622 LD)である。
構造式(7)で示されるヒンダード系アミン化合物は、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)イミノ}](長瀬産業社製 商品名:CHIMASSORB 944 LD)である。
構造式(8)で示されるヒンダード系アミン化合物は、N、N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンー2,4−ビス[N−ブチル−N(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4ピペリジル)アミノ]−6−クロロー1,3,5−トリアジン縮合物(長瀬産業社製 商品名:CHIMASSORB 119 FL)である。
架橋を行っていない化合物の分子量としては、高い分子量を有することが電解質液中に溶け出さないという点から好ましく、好適には平均重量分子量で1000以上13000以下の範囲である。1000に満たないと電解質中に溶け出す恐れがあり、13000を超えると正極合剤を構成した際に所望の酸化防止効果を得られない恐れが生じる。上記例示した化合物の平均重量分子量は、フェノール性樹脂(商品名スミライトレジンPR;住友ベークライト社製)は1300〜13000、ヒンダードアミン(商品名TINUVIN622LD;長瀬産業社製)は3100〜4000、ポリフォスフィナートは2000〜3000、ポリフェニレンスルフィドは1500〜2000である。これらを正極合剤中に配合することで良好な酸化防止効果を得ることができ、正極活性物質の残存容量を活性化を可能にし、高エネルギー密度化された非水電解質二次電池を作製できる。
ここで正極合剤層21Bに配合する酸化防止剤の作用を説明する。酸化防止作用は、発生したラジカルを無効化する作用と、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルの発生を防止する作用とからなる。前者はラジカル補足剤でありヒンダードアミン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が例示される。後者は、過酸化物分解剤であり、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が例示される。両者は用途に応じて組み合わせて用いることで相乗効果が得られ、正極21付近での強力な酸化雰囲気を防止することが可能となる。
[負極、負極合剤層]
次に、負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極合剤層22Bとを有している。負極集電体22Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。
次に、負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極合剤層22Bとを有している。負極集電体22Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。
負極合剤層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。負極活物質としては、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と称する。)を含んでいる。
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、例えば、炭素材料、金属化合物、酸化物、硫化物、LiN3などのリチウム窒化物、リチウム金属、リチウムと合金を形成する金属、あるいは高分子材料などが挙げられる。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,易黒鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロール等が挙げられる。
このようなリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料のなかでも、充放電電位が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極22の充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易となるからである。なかでも炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、リチウム金属単体、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiuあるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
なかでも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。この他、MnO2、V2O5、V6O13、NiS、MoSなど、リチウムを含まない無機化合物も、正負極のいずれかに用いることができる。
[電解質液、ゲル、固体電解質]
非水溶媒は、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少
なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
非水溶媒は、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少
なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
非水溶媒は、また、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネートあるいはメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
非水溶媒は、さらに、2,4−ジフルオロアニソールおよびビニレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を改善することができ、ビニレンカーボネートはサイクル特性をより向上させることができるからである。特に、これらを混合して含んでいれば、放電容量およびサイクル特性を共に向上させることができるのでより好ましい。
非水溶媒は、さらにまた、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、これら化合物の水素基の一部または全部をフッ素基で置換したもの、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチル等のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
組み合わせる電極によっては、上記非水溶媒群に含まれる物質の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものを用いることにより、電極反応の可逆性が向上する場合がある。したがって、これらの物質を適宜用いることも可能である。
リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C2H5)4、LiCH2SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiBF2(OX)、LiBOB、あるいはLiBrが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。なかでも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるのでより好ましい。
なお、電解液に代えて、他の電解質、例えば高分子化合物に電解液を保持させたゲル状の電解質を用いてもよい。電解液(すなわち液状の溶媒,電解質塩および添加剤)については上述のとおりである。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性を考慮すると、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイドなどが好ましい。
また、他の電解質としては、イオン伝導性高分子を利用した高分子固体電解質、またはイオン伝導性無機材料を利用した無機固体電解質なども挙げられ、これらを単独あるいは他の電解質と組み合わせて用いてもよい。高分子固体電解質に用いることができる高分子化合物としては、ポリエーテル,ポリエステル,ポリフォスファゼン,あるいはポリシロキサンなどが挙げられる。無機固体電解質としては、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性結晶,あるいはイオン伝導性ガラスなどが挙げられる。
[非水電解質二次電池の作製]
上記非水電解質二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とこの発明の酸化剤を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を1−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層21Bを形成し、正極21を作製する。
上記非水電解質二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とこの発明の酸化剤を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を1−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層21Bを形成し、正極21を作製する。
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を1−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製する。
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解質を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。以上により図1、図2の構成のリチウムイオン二次電池が完成する。
次に、この発明の第2の実施形態として、図3〜図5を用いてポリマーセル非水電解質二次電池を説明する。
まず、正極33および負極34は上記リチウムイオン二次電池と同様にして作製した。その際、負極集電体34Aとしては厚み15μmの帯状銅箔を用いた。次いで、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を取り付けた。
続いて、正極合剤層33Bおよび負極合剤層34Bのそれぞれの両面に、ゲル状電解質層36を形成した。ゲル状電解質層36には、高分子材料としてポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとをポリフッ化ビニリデン:ヘキサフルオロプロピレン=93:7の質量比でブロック共重合させた共重合体に、電解液を保持させたものを用いた。電解液には溶媒に電解質塩としてLiPF6を0.6mol/lの含有量で溶解させたものを用いた。
ゲル状電解質層36を形成したのち、微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ35を用意し、正極33、セパレータ35、負極34、セパレータ35の順に積層して渦巻き状に多数巻回し、巻回電極体30を作製した。そののち、正極リード31および負極リード32を外部へ導出しつつ、巻回電極体30をラミネートフィルムよりなる外装部材40に減圧封入し、図3〜図5に示した構成のポリマーセル非水電解質二次電池を得た。
以下、実施例、比較例により、この発明をさらに詳しく説明するが、この発明はこれに限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池>
まず、第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池の酸化防止剤の種類および配合量を検討するための実施例および比較例について説明する。ここでは、図1、2を参照し、図1、2に示した符号を用いて説明する。
まず、第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池の酸化防止剤の種類および配合量を検討するための実施例および比較例について説明する。ここでは、図1、2を参照し、図1、2に示した符号を用いて説明する。
実施例1〜9、比較例1〜6
1. 正極の作製
負極22の容量がリチウムの吸蔵および離脱による容量成分により表されるリチウムイオン二次電池を作製した。その際、正極21は次のようにして作製した。まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とを0.5mol:1molの比率で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO3)を得た。次いで得られたコバルト酸リチウム90重量部と、導電助剤であるグラファイト5重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3重量部と、この発明の酸化防止剤を混合して正極合剤を調製した。なお、各実施例および比較例に応じて、酸化防止剤およびその配合比を表1に示すように選択および調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるNーメチルー2ーピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、正極活物質層を形成した。
1. 正極の作製
負極22の容量がリチウムの吸蔵および離脱による容量成分により表されるリチウムイオン二次電池を作製した。その際、正極21は次のようにして作製した。まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とを0.5mol:1molの比率で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO3)を得た。次いで得られたコバルト酸リチウム90重量部と、導電助剤であるグラファイト5重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3重量部と、この発明の酸化防止剤を混合して正極合剤を調製した。なお、各実施例および比較例に応じて、酸化防止剤およびその配合比を表1に示すように選択および調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるNーメチルー2ーピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、正極活物質層を形成した。
2.負極の作製
次に、人造黒鉛90質量部と結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して負極合剤スラリーとしたのち、厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。なお、正極21および負極22を作製する際には、負極22の容量がリチウムの吸蔵・離脱による容量成分となるように、正極21および負極22の面積密度比を調整した。
次に、人造黒鉛90質量部と結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して負極合剤スラリーとしたのち、厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。なお、正極21および負極22を作製する際には、負極22の容量がリチウムの吸蔵・離脱による容量成分となるように、正極21および負極22の面積密度比を調整した。
3. 巻回電極体の作製
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、厚み25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、巻回電極体20を作製した。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、厚み25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、巻回電極体20を作製した。
4.巻回電極体挿入工程
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12、13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液を注入した。
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12、13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液を注入した。
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、表面にアスファルトを塗布したガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、直径14mm、高さ65mmの円筒型リチウムイオン二次電池を得た。
得られたリチウムイオン二次電池を用い、酸化防止剤の種類および配合比の検討、充電電圧の検討を以下の測定方法で行った。
<酸化防止剤の種類および配合比の検討>
得られたリチウムイオン二次電池について、充電は、600mAの定電流で電池電圧が4.5Vに達するまで行ったのち、4.5Vの定電圧で電流が30mAに達するまで行い、放電は、300mAで電池電圧が3.0Vに達するまで行った。続いて、4.5Vまで充電し、80℃の恒温槽に10日間放置した後、放電を300mAの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行い、保存前の放電容量を100としたときの保存後に残存していた容量を測定した。このときの比率を残存容量比とした。結果は、表1に示した。
得られたリチウムイオン二次電池について、充電は、600mAの定電流で電池電圧が4.5Vに達するまで行ったのち、4.5Vの定電圧で電流が30mAに達するまで行い、放電は、300mAで電池電圧が3.0Vに達するまで行った。続いて、4.5Vまで充電し、80℃の恒温槽に10日間放置した後、放電を300mAの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行い、保存前の放電容量を100としたときの保存後に残存していた容量を測定した。このときの比率を残存容量比とした。結果は、表1に示した。
次に、第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池の充電電圧を検討するための実施例および比較例について説明する。
実施例10、比較例7〜9
表2に示すように、実施例1、比較例5について、充電を4.3Vまたは4.2Vまで行った以外は同様にして測定を行い、実施例9、比較例7〜9とした。結果は表2に示した。
表2に示すように、実施例1、比較例5について、充電を4.3Vまたは4.2Vまで行った以外は同様にして測定を行い、実施例9、比較例7〜9とした。結果は表2に示した。
表1の結果より、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤を0.5〜2.0重量部の範囲で配合した正極合剤を用いたリチウム二次電池では、保存安定性を保持でき、未配合またはモノマー配合の比較例に比べて残存容量比が高くなった。さらにリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤を配合することでその効果がより高まった。
表2の結果より、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤を用いると充電電圧を4.3Vと高圧にしても比較例の未配合に比べて残存容量比の低下がきわめて低く抑えられていることがわかる。
<ポリマーセルリチウム非水電解質二次電池>
次に、第2の実施形態によるポリマーセルリチウム非水電解質二次電池の酸化防止剤の種類および配合量を検討するための実施例および比較例について説明する。ここでは、図3〜図5を参照し、図3〜図5に示した符号を用いて説明する。
次に、第2の実施形態によるポリマーセルリチウム非水電解質二次電池の酸化防止剤の種類および配合量を検討するための実施例および比較例について説明する。ここでは、図3〜図5を参照し、図3〜図5に示した符号を用いて説明する。
実施例11〜14、比較例10,11
1.正極、負極の作製
まず、正極33は実施例1〜4、比較例5〜6の正極と同様に作製し、負極34は上記リチウムイオン二次電池と同様にして作製した。その際、負極集電体34Aとしては厚み15・mの帯状銅箔を用いた。次いで、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を取り付けた。
1.正極、負極の作製
まず、正極33は実施例1〜4、比較例5〜6の正極と同様に作製し、負極34は上記リチウムイオン二次電池と同様にして作製した。その際、負極集電体34Aとしては厚み15・mの帯状銅箔を用いた。次いで、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を取り付けた。
2.電解質層の作製
続いて、正極合剤層33B(上記実施例1〜4、比較例5〜6の正極合剤層と同様にして得られたもの)および負極合剤層34Bのそれぞれの両面に、ゲル状の電解質層36を形成した。電解質層36には、高分子材料としてポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとをポリフッ化ビニリデン:ヘキサフルオロプロピレン=93:7の質量比でブロック共重合させた共重合体に、電解液を保持させたものを用いた。電解液には溶媒に電解質塩としてLiPF6を0.6mol/lの含有量で溶解させたものを用いた。
続いて、正極合剤層33B(上記実施例1〜4、比較例5〜6の正極合剤層と同様にして得られたもの)および負極合剤層34Bのそれぞれの両面に、ゲル状の電解質層36を形成した。電解質層36には、高分子材料としてポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとをポリフッ化ビニリデン:ヘキサフルオロプロピレン=93:7の質量比でブロック共重合させた共重合体に、電解液を保持させたものを用いた。電解液には溶媒に電解質塩としてLiPF6を0.6mol/lの含有量で溶解させたものを用いた。
3.巻回電極体の作製およびその封入工程
電解質層36を形成したのち、微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ35を用意し、正極33、セパレータ35、負極34、セパレータ35の順に積層して渦巻き状に多数巻回し、巻回電極体30を作製した。そののち、正極リード31および負極リード32を外部へ導出しつつ、巻回電極体30をラミネートフィルムよりなる外装部材40に減圧封入し、図3〜図5に示したポリマーセル非水電解質二次電池を得た。
電解質層36を形成したのち、微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ35を用意し、正極33、セパレータ35、負極34、セパレータ35の順に積層して渦巻き状に多数巻回し、巻回電極体30を作製した。そののち、正極リード31および負極リード32を外部へ導出しつつ、巻回電極体30をラミネートフィルムよりなる外装部材40に減圧封入し、図3〜図5に示したポリマーセル非水電解質二次電池を得た。
得られた上記非水電解質二次電池について、充放電試験を行い、初回放電容量および50サイクル目の放電容量を調べた。初回放電容量は、1サイクル目の充放電において得られた放電容量であり、充電は、1Aの定電流で電池電圧が4.5Vに達するまで行ったのち、4.5Vの定電圧で電流が50mAに達するまで行った。
放電は、200mAの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。2サイクル充放電を繰り返した後、4.5Vまで充電し、80℃の恒温槽に10日間放置した後、放電を200mAの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。保存前のサイクルの放電容量を100とし、保存後に残存していた容量を測定した。これを残存容量比とした。結果は表3に示した。
表3の結果より、ポリマーセルリチウム非水電解質二次電池においても、この発明の酸化防止剤を正極合剤中に配合することで優れたサイクル特性が認められ、残存容量比にも効果が認められた。
以上の結果より、この発明の酸化防止剤を配合した正極を用いて作製した非水電解質二次電池は、4.2Vを超える高電圧の充電電圧においても正極およびその付近での酸化を防止できるので、正極活性物質の残存容量を活用することができ、非水電解質二次電池の高エネルギー密度化が実現できる。
なお、この発明の正極合剤層は、この実施例以外の非水電解質二次電池にも適用可能である。
11 電池缶
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
1、20 巻回電極体
21、33 正極
21A、33A 正極集電体
21B、33B 正極合剤層
22、34 負極
22A、34A 負極集電体
22B、34B 負極合剤層
23、35 セパレータ
24 センターピン
25、31 正極リード
26、32 負極リード
36 ゲル状電解質層
40 外装部材
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
1、20 巻回電極体
21、33 正極
21A、33A 正極集電体
21B、33B 正極合剤層
22、34 負極
22A、34A 負極集電体
22B、34B 負極合剤層
23、35 セパレータ
24 センターピン
25、31 正極リード
26、32 負極リード
36 ゲル状電解質層
40 外装部材
Claims (7)
- 作動時における最高電圧が単セル当り、4.25V以上であることを特徴とする非水電解質二次電池において、正極合剤中に酸化防止剤を0.1重量部以上2重量部以下含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
- 上記酸化防止剤が1000以上13000以下の平均重量分子量を有するポリマーおよび/または架橋構造を有することを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 上記酸化防止剤が、酸化防止能を有する官能基を含有するポリマーおよび/または酸化防止能を有する官能基を有しかつ架橋構造を有する化合物である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記官能基が、フェノール性水酸基またはアミノ基である請求項3に記載の非水電解質二次電池。
- 上記酸化防止剤がフェノール系化合物および/またはヒンダートアミン系化合物である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記酸化防止剤に、さらにイオウ系および/またはリン系酸化防止剤を配合する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記イオウ系またはリン系酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤に対して同重量比で配合される請求項6に記載の非水電解質二次電池。
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- 2005-01-25 JP JP2005016779A patent/JP2006209995A/ja active Pending
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