以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1および図2において、11は循環式硬貨入出金機の機体で、この機体11の顧客が操作する前面(操作面)11aの上部域に入金口と出金口とを兼ねて入出金口シャッタ12で開閉される入出金口13が形成され、この入出金口13の内側に硬貨を受け入れる硬貨受部14が配設されている。この硬貨受部14には、上面を開口した受皿15が配置され、この受皿15に硬貨を受け入れるとともに受皿15の回動によって受け入れた硬貨を下方のシュート16に放出可能としている。硬貨受部14には、受皿15内の硬貨の有無を検知する図示しないセンサが配設されている。
機体11の前側下部にはシュート16を通じて硬貨受部14から放出される硬貨を受け入れる貯留繰出部18が配設されている。この貯留繰出部18は、鉛直方向に対して上側が機体11の左側面方向(図2の右側)へ所定角度傾いて軸支された傾斜円盤19、およびこの傾斜円盤19の表面側に配設されたホッパ20を有し、これら傾斜円盤19とホッパ20との間に送り込まれる硬貨を貯留する。
傾斜円盤19の表面周縁近傍には硬貨を掻き上げるための図示しない複数の突起が一定間隔で突設されており、傾斜円盤19の回転によりホッパ20内の硬貨を各突起で1枚ずつ掻き上げながら傾斜円盤19の上部から1枚ずつ繰り出す。
ホッパ20には、傾斜円盤19によってホッパ20内から繰り出されずに残留する異物を排出するために、ホッパ20の底部を開閉する開閉部21が開閉可能に配設されている。この開閉部21の下方には開閉部21の開放によって放出される異物を受け入れる異物用シュート22が配設されている。この異物用シュート22には、ホッパ20から放出される異物を2方向に振り分ける振分部23と各方向に振り分けられた異物をそれぞれ受け入れるシュート部24とシュート部25とが設けられており、一方のシュート部24は機体11の前面下部に開口形成された異物返却口26に異物を送り込み、他方のシュート部25は機体11内に着脱可能に配置された異物回収箱27に異物を送り込む。
また、傾斜円盤19の上部には、貯留繰出部18から1枚ずつ繰り出される硬貨を受け入れて搬送方向に1枚ずつ間隔をあけた分離状態で搬送する硬貨通路29の始端部が接続されている。この硬貨通路29は、貯留繰出部18の上部から機体11の背部方向へ向けて形成される第1の通路部30、この第1の通路部30の末端から上方に円弧状に折り返して機体11の前方へ向けて方向変換して形成される折返し通路部31、この折返し通路部31の上側末端から硬貨受部14の近傍位置まで形成される第2の通路部32を有しており、略U字形の通路形状に形成されている。
第1の通路部30には、貯留繰出部18の上部から機体11の背部側へ向かうに従い上昇傾斜する通路域30a、この通路域30aの末端から機体11の背部側へ向かうに従い通路域30aよりも緩やかな角度で上昇傾斜する通路域30bが形成されている。第2の通路部32には、第1の通路部30の通路域30bの末端側上方に平行に配置されて機体11の前側へ向かうに従い下降傾斜する通路域32aが形成されている。
硬貨通路29は、図3および図4に示すように、傾斜円盤19と同じ傾斜状態であって、硬貨を鉛直方向に対して上側が機体11の左側面方向(図2の右側、図3左側)へ所定角度傾いた傾斜状態で搬送する通路板33を有し、この通路板33の下縁には搬送する硬貨の周縁下部を支持する案内縁34a,34bが形成されている。
硬貨通路29上には、貯留繰出部18から1枚ずつ繰り出される硬貨を搬送方向に1枚ずつ間隔をあけた分離状態で搬送する搬送手段としての搬送ベルト35が配設されている。この搬送ベルト35は、無端状に設けられ、図示しない複数のプーリによって各通路部30〜32に沿って懸架されており、硬貨を通路板33に押し付けながら搬送する。搬送ベルト35には硬貨を搬送方向に1枚ずつ間隔をあけた分離状態で搬送する突起36が通路板33に対向する面に所定間隔毎に突設されている。
図1に示すように、硬貨通路29の第1の通路部30の通路域30aには、搬送する硬貨の適正、不適正、金種などを識別する材質センサやイメージセンサなどにて構成される硬貨識別部38が配設されている。
硬貨通路29の第1の通路部30の通路域30bには、上流側から順に、硬貨入金時のオーバーフロー硬貨を分岐するとともに硬貨補充処理における補充硬貨放出時の補充硬貨を分岐する循環分岐部としてのオーバーフロー硬貨分岐部39、硬貨入金時や硬貨補充時の正規硬貨を金種別に分岐する金種別硬貨分岐部40a〜40f(図には40aおよび40fのみを示す)、硬貨補充時のオーバーフロー硬貨である補充環流硬貨を分岐するとともに精査時(補充環流硬貨収納部94の精査時)に識別後の硬貨を分岐する精査用分岐部としての補充環流硬貨分岐部41が配設されている。
硬貨通路29の第2の通路部32の通路域32aには、上流側から順に、回収硬貨、取忘れ硬貨、運用リジェクト硬貨、補充リジェクト硬貨のうち、第1グループとして回収硬貨および取忘れ硬貨を分岐する第1分岐部42、第2グループとして運用リジェクト硬貨および回収リジェクト硬貨を分岐する第2分岐部43が配設されている。
そして、金種別硬貨分岐部40a〜40fが金種別硬貨分岐部群40として構成され、また、補充環流硬貨分岐部41、第1分岐部42および第2分岐部43が非金種別硬貨分岐部群44として構成されている。
各分岐部39,40a〜40f,42,43は、略共通に構成されており、例えば図4に金種別硬貨分岐部40a〜40fの一部を示すように、通路板33に分岐孔45がそれぞれ開口形成されるとともに、これら分岐孔45を開閉する分岐部材46がそれぞれ配設されている。各分岐部材46は、硬貨通路29の上流側が開閉するように通路板33に回動自在に軸支されているとともに図示しないモータなどの駆動部にて開閉駆動される。各分岐部材46には、開口時に搬送ベルト35との干渉を避ける切欠部47が形成されている。
通路板33の各分岐部39,40a〜40f,42,43の上流側および下流側に、硬貨通路29内を搬送する硬貨を検知する図示しない硬貨検知センサが配設されている。そして、各分岐部39,40a〜40f,42,43の各分岐部材46は、硬貨識別部38での識別結果と硬貨検知センサとの両条件にて開放駆動され、該当硬貨のみを各種類別分岐部39,40a〜40f,42,43から分岐し、該当硬貨以外の硬貨を硬貨通路29の下流側へ通過させる。
また、図1に示すように、オーバーフロー硬貨分岐部39には、このオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐されたオーバーフロー硬貨や補充硬貨を受け入れて下方へ案内する循環用シュートとしてのオーバーフロー硬貨用シュート49が接続されている。図3および図4に示すように、各金種別硬貨分岐部40a〜40fには、各金種別硬貨分岐部40a〜40fで分岐された硬貨を受け入れて下方へ案内する金種別シュート50a〜50f(図には50aおよび50fのみを示す)が接続されている。
図1、図2および図5に示すように、補充環流硬貨分岐部41には、この補充環流硬貨分岐部41で分岐された補充環流硬貨を受け入れて下方へ案内する補充環流硬貨用シュート51が接続されている。第1分岐部42および第2分岐部43には、第1分岐部42および第2分岐部43で分岐された硬貨を受け入れて下方へ案内する第1の振分シュート52および第2の振分シュート53が接続されている。
第1の振分シュート52は、第1分岐部42で分岐された硬貨を2方向に振り分ける振分部54、この振分部54の下流の2個のシュート部として回収硬貨用シュート55および取忘れ硬貨用シュート56を有している。
第2の振分シュート53は、第2分岐部43で分岐された硬貨を2方向に振り分ける振分部57、この振分部57の下流の2個のシュート部として運用リジェクト硬貨用シュート58および補充リジェクト硬貨用シュート59を有している。
また、図1ないし図3に示すように、機体11内には、金種別硬貨分岐部40a〜40fの金種別シュート50a〜50fの下方に金種別硬貨一時保留部61a〜61f(図には61aおよび61fのみを示す)が配設され、この金種別硬貨一時保留部61a〜61fの下方に金種別硬貨収納投出部62a〜62f(図には62aおよび62fのみを示す)で構成される金種別硬貨収納投出部群62が配設され、この金種別硬貨収納投出部群62に対する機体幅方向一側域である右側域の底部に搬送コンベヤ63が配設され、機体の背部位置で各シュート51,55,56,58,59の下方に硬貨カセットユニット64が配置されている。
金種別硬貨一時保留部61a〜61fは、硬貨入金時に金種別硬貨分岐部40a〜40fで分岐されて金種別シュート50a〜50fで導かれる硬貨を受け入れるとともに所定枚数の硬貨を上下方向に重積して一時保留するもので、金種別に硬貨を上下方向に重積する筒状の開口を有する保留枠67、およびこの保留枠67の下面を開閉する投出板68などで構成されている。保留枠67は、図示しない駆動機構により、投出板68で下面開口が閉塞されていて金種別シュート50a〜50fから硬貨を受け入れるとともに重積状態で一時保留可能とする一時保留位置である定位置と、この定位置から機体幅方向一側である右側面側(図3の右側)の搬送コンベヤ63上に移動して投出板68に対して相対的に開放される下面開口から一時保留硬貨を放出する返却位置との間で移動する。
また、金種別硬貨収納投出部62a〜62fは、機体11内に着脱可能に装着される金種別の収納筒部71を有し、この収納筒部71の上方から硬貨の収納および投出を可能としている。収納筒部71の上方には投出板68が配設され、この投出板68は、図示しない駆動機構により、収納筒部71の上方の前進位置と、この前進位置より機体幅方向他側の左側面側(図3の左側)の後退位置との間で往復移動する。そして、投出板68が定位置にあるとき保留枠67の下面開口を閉塞して硬貨の一時保留を可能とし、この保留枠67に一時保留した硬貨の収納時に投出板68が後退位置に移動し、保留枠67内の硬貨を収納筒部71に収納させ、また、保留枠67が返却位置に移動した状態で、かつ収納筒部71内の硬貨を上昇させて最上位硬貨を保留枠67の下面で受け止めた状態において、投出板68の往復移動により、収納筒部71の最上位の硬貨から順に投出可能としている。
各収納筒部71内には重積硬貨を支承する支承部材72がそれぞれ上下動可能に配置され、これら各支承部材72が各収納筒部71に上下方向に形成された案内溝73を通じて収納筒部71に対し機体11の左側面側(図3の左側)に配置された駆動機構74に着脱可能に連結され、この駆動機構74によって各支承部材72がそれぞれ独立して上下動する。そして、収納筒部71内からの硬貨の投出時に支承部材72が上昇して最上位の硬貨を保留枠67の下面に押し付けるとともに、収納筒部71内への硬貨の収納時に支承部材72が下降して硬貨を収納可能としている。
なお、保留枠67の硬貨を収納筒部71へ収納させる場合は、支承部材72が上昇して支承部材72上の重積硬貨上面を投出板68の下面近傍に位置させ、次に投出板68の退避により一時保留硬貨が重積状収納硬貨の上に載り、支承部材72の下降で重積硬貨上面が投出板68の下部近傍へ下降されて停止され、次に投出板68が閉じられて一時保留硬貨の収納が終わる。
また、搬送コンベヤ63は、金種別硬貨収納投出部群62の右側面域(図3の右側)に沿って機体11の底部に略水平状に配置される受収コンベヤ域77、この受収コンベヤ域77の前端から前方へ向けて上昇傾斜して貯留繰出部18に接続される送出コンベヤ域78を有し、受収コンベヤ域77に受収した硬貨を貯留繰出部18に順次送り込み可能としている。これらコンベヤ域77,78上の両側には受収ガイド部材79が配設されるとともに受収コンベヤ域77の後端側にシュートである受収ガイド部材80が配設され、受収コンベヤ域77上の受収ガイド部材79,80で囲まれた空間に硬貨を受収する硬貨受収部81が形成されている。
搬送コンベヤ63の硬貨受収部81の一端側である前端側にはオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐されてオーバーフロー硬貨用シュート49で導かれる硬貨入金時のオーバーフロー硬貨および硬貨補充処理における補充硬貨放出時の補充硬貨を受け入れ、搬送コンベヤ63の硬貨受収部81の一端側である前端側と他端側である背部側との間には硬貨入金時における入金非承認時に金種別一時保留部61a〜61fから放出される返却硬貨および硬貨出金時に金種別硬貨収納投出部群62から投出される硬貨を受け入れ、搬送コンベヤ63の硬貨受収部81の他端側である背部側には硬貨カセットユニット64が備える補充環流硬貨収納部94から放出される硬貨を受け入れる。
搬送コンベヤ63は、無端状のベルト82を有し、このベルト82が複数のプーリ83に懸架されて各コンベヤ域77,78が形成されている。図3に示すように、ベルト82は、無端状の平ベルトで構成され、その幅は処理する最大径硬貨の直径より広い幅でかつ最小径硬貨が径方向に2枚入らない幅に形成されており、ベルト82の表面にはその搬送方向に沿って処理する最大径の硬貨の直径より広く最小径硬貨が径方向に2枚入らない所定のピッチ毎でかつベルト幅方向に複数個ずつ並んで図示しない複数の突起が形成されている。そして、ベルト82の回転駆動により、受収コンベヤ域77に受収した硬貨を突起に引っ掛けて貯留繰出部18に順次搬送する。
また、図1、図2、図6(図6に示す硬貨カセットユニット64の左側が前面、右側が背面、上側が左側面、下側が右側面である)に示すように、硬貨カセットユニット64は、機体11の背部位置のカセット装着部91に対して、機体11の底部から背部側に引き出されるカセット搭載台92によって着脱可能に装着されている。すなわち、機体11の背部側から引き出したカセット搭載台92に対して硬貨カセットユニット64が上方から着脱可能とされ、硬貨カセットユニット64が搭載されたカセット搭載台92を機体11内に押し込むことにより硬貨カセットユニット64が機体11のカセット装着部91に装着される。
この硬貨カセットユニット64は、運搬可能な縦長箱状のカセット本体93を有し、このカセット本体93内には、補充環流硬貨用シュート51の下方に臨む上面に受収口94aを有する補充硬貨収納部としての補充環流硬貨収納部94、回収硬貨用シュート55の下方に臨む上面に受収口95aを有する回収硬貨収納部95、取忘れ硬貨用シュート56の下方に臨む上面に受収口96aを有する取忘れ硬貨収納部96、運用リジェクト硬貨用シュート58の下方に臨む上面に受収口97aを有する運用リジェクト硬貨収納部97、補充リジェクト硬貨用シュート59の下方に臨む上面に受収口98aを有する補充リジェクト硬貨収納部98が配置されている。
このカセット本体93の上面には、各受収口94a〜98aを一体に開閉する図示しない受収口シャッタがカセット本体93内で開閉可能に配設されている。この受収口シャッタは、硬貨カセットユニット64を機体11の背部側からカセット装着部91内に装着することにより機体11内に配置された図示しないシャッタ開放部によって自動的にロックが解除されて開放され、硬貨カセットユニット64を機体11内のカセット装着部91から背部側へ引き出すことにより自動的に閉塞されてロックされる。
また、補充環流硬貨収納部94の内部は、受収口94aから受収する硬貨を収納する収納空間部94bを有し、この収納空間部94bの前面下部には収納空間部94b内の硬貨を機体11内の搬送コンベヤ63に放出する放出口94cが形成され、収納空間部94bの底部には硬貨を自重で放出口94cから放出させるシュート状の傾斜底面94dが形成されている。傾斜底面94dは、放出口94cへ向けて下降傾斜するとともに傾斜方向と交差する方向の断面が円弧状に形成され、収納空間部94b内の硬貨が傾斜底面に貼り付くのを防止して確実に放出可能としている。
放出口94cには、この放出口94cを開閉する放出口シャッタ101が上下方向に開閉可能に配設されている。また、カセット装着部91には、補充環流硬貨収納部94の放出口94cが臨む受入口102が形成され、この受入口102を開閉する受入口シャッタ103が上下方向に開閉可能に配設されている。そして、硬貨カセットユニット64を機体11の背部側からカセット装着部91内に装着することにより放出口シャッタ101と受入口シャッタ103とが一体に連結され、機体11内に配設される図示しないシャッタ開閉機構によって一体に開閉駆動される。
また、図7に示すように、硬貨カセットユニット64の内部には、放出口シャッタ101の開閉に連動して補充環流硬貨収納部94に振動を付与する加振手段141が配設されている。この加振手段141は、補充環流硬貨収納部94の傾斜底面94dの下方域に水平状に配設される支軸142によって中間部が回動可能に軸支された加振部材143を有し、この加振部材143の上端側の一端には補充環流硬貨収納部94の放出口94cが形成された前面の枠部94eに当接する当接部144が形成され、他端には引掛り部145が突出形成されている。この加振部材143は、図示しないばねで当接部144が枠部94eに当接する方向に向けて回動付勢されている。
放出口シャッタ101の下部一側には補充環流硬貨収納部94の側部に配置されるフランジ部146が形成され、このフランジ部146には、放出口シャッタ101の開放移動時に加振部材143に当接してばねの付勢に抗して当接部144を枠部94eから離反させる回動させるピン147が突設されている。
加振部材143の他端に臨む位置には、支軸148によって基端が軸支されたロック部材149が配置されている。このロック部材149の先端には、放出口シャッタ101の閉鎖状態でピン147に当接して下方へ押動される押動部150が突設されているとともに、放出口シャッタ101の開放移動時に当接部144が枠部94eから離反した加振部材143の引掛り部145に引っ掛って保持する係合部151が形成されている。
また、図8に、制御部201によって循環式硬貨入出金機を制御する概略制御構成を示す。この制御部201は、上位機からの信号や、入金、出金、補充、回収の各処理の指令および各種モードの指令をする操作指令部202、入金、出金、補充、回収の各処理の指令状態の表示、金額などを表示する表示部203、貯留繰出部18内の硬貨の有無を検知する複数のセンサを含む貯留繰出部用センサ群204、硬貨識別部38、硬貨通路29で硬貨を検知する複数のセンサを含む硬貨通路用センサ群205、硬貨カセットユニット64の放出口シャッタ101の位置を検知する複数のセンサを含む放出口シャッタ用センサ群206などから信号を入力し、各モータM1〜M11を制御する。
モータM1は硬貨受部14の受皿15を駆動する。モータM2は貯留繰出部18の傾斜円盤19を回転駆動する。モータM3は硬貨通路29の搬送ベルト35を回転駆動する。モータM4は金種別硬貨一時保留部61a〜61fの保留枠67を駆動する。モータM5は投出板68を駆動する。モータM6-0〜M6-9はオーバーフロー硬貨分岐部39、金種別硬貨分岐部群40、第1分岐部42、第2分岐部43の分岐部材46を切換駆動する。モータM7-1,M7-2は各振分シュート52,53の各振分部54,57を切換駆動する。モータM8-1〜M8-6は駆動機構74の金種別の各支承部材72を昇降駆動する。モータM9は貯留繰出部18の開閉部21を開閉駆動する。モータM10は搬送コンベヤ63を回転駆動する。モータM11は硬貨カセットユニット64の放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を開閉駆動する。
そして、制御部201は、硬貨補充処理における補充環流硬貨収納部94からの補充硬貨放出時に、搬送コンベヤ63、貯留繰出部18および硬貨通路29を駆動し、補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させ、補充環流硬貨収納部94の放出口94cから搬送コンベヤ63の他端側に放出される補充硬貨を搬送コンベヤ63の一端側に搬送して貯留繰出部18に送り込むとともに硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐して搬送コンベヤ63の一端側に循環させ、補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させる機能を有している。
さらに、制御部201は、補充環流硬貨収納部94内の硬貨の精査時に、搬送コンベヤ63、貯留繰出部18および硬貨通路29を駆動し、補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させ、補充環流硬貨収納部94の放出口94cから搬送コンベヤ63の他端側に放出される補充硬貨を搬送コンベヤ63の一端側に搬送して貯留繰出部18に送り込むとともに硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐して搬送コンベヤ63の一端側に循環させ、補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させた後、補充環流硬貨収納部94の放出口94cを閉鎖させ、搬送コンベヤ63に放出された補充硬貨を貯留繰出部18および硬貨通路29の第1分岐部42、を通じて補充環流硬貨収納部94に戻す機能を有している。
さらに、制御部201は、補充環流硬貨収納部94からの補充硬貨の放出前に、搬送コンベヤ63、貯留繰出部18および硬貨通路29を駆動させるとともにその駆動状況を確認し、正常時には補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させ、異常時には補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させない機能を有している。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
まず、初期補充処理について参照して説明する。
図1に示すように、循環式硬貨入出金機の外部で初期補充硬貨を補充環流硬貨収納部94に収納した硬貨カセットユニット64を、循環式硬貨入出金機の機体11内のカセット装着部91に装着する。硬貨カセットユニット64の装着により、硬貨カセットユニット64の上面の受収口シャッタを開放し、放出口シャッタ101が受入口シャッタ103と係合して一体に開閉可能とする。
係員が操作指令部202で初期補充モードを指定し、スタートを指令することにより、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動を開始し、これらが正常に駆動したかを図示しない回転検知センサで確認する。いずれかの駆動に異常があれば、処理を停止してエラーとなり、係員による復旧作業をする。
貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動が正常であれば、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に上方へ向けて開放移動させ、放出口94cおよび受入口102を開放する。これにより、補充環流硬貨収納部94に収納していた補充硬貨を傾斜底面94dの傾斜によって自重で放出口94cから放出させ、受入口102を通じて、搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77の背部側に受収させる。
この搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77の背部側に放出された補充硬貨を、搬送コンベヤ63のベルト82の回転駆動により前側に搬送して送出コンベヤ域78を通じて貯留繰出部18に送り込む。貯留繰出部18では傾斜円盤19が回転し、搬送コンベヤ63から送り込まれた補充硬貨を1枚ずつ硬貨通路29に繰り出す。硬貨通路29では貯留繰出部18から繰り出される補充硬貨を受け入れて搬送し、オーバーフロー硬貨分岐部39で分岐し、オーバーフロー硬貨用シュート49を通じて搬送コンベヤ63の前端側の送出コンベヤ域78に戻すように循環させる。これにより、図1に示すように、搬送コンベヤ63上に保留された保留硬貨の上面cは背部側から前側に向けて高くなる傾斜状態となり、この保留硬貨の上面cの背部側は補充環流硬貨収納部94の放出口94cよりも下側に位置する。そのため、補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができる。
そして、補充環流硬貨収納部94に収納していた補充硬貨を全量放出したこと、つまり補充環流硬貨収納部94の残留がないことを図示しないセンサで検知することにより、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に閉鎖移動させ、放出口94cおよび受入口102を閉鎖する。これにより、補充環流硬貨収納部94に硬貨の受収が可能な状態とする。
この放出口シャッタ101を閉鎖する際に、加振手段141によって補充環流硬貨収納部94に振動を付与し、補充環流硬貨収納部94内で硬貨がブリッジ状に組み合って残留していてもそのブリッジを崩し、センサで硬貨の残留を検知できるようにする。放出口シャッタ101の開閉動作は数回繰り返すことで硬貨の残留を確実に防止できる。
この加振手段141では、図7(a)に示すように、放出口シャッタ101の閉鎖状態において、放出口シャッタ101のピン147でロック部材149を下方へ押し下げ、加振部材143の当接部144がばね付勢で枠部94eに当接した状態にある。
図7(b)(c)に示すように、放出口シャッタ101の開放時に、ピン147が上方に移動して下方への押動が解除されたロック部材149がばね付勢で上方の加振部材143へ向けて回動し、ピン147が支軸142より上側で加振部材143の縁部に当接し、当接部144が枠部94eに当接する当接姿勢から離反する離反姿勢に加振部材143が回動する。この加振部材143の離反姿勢への回動により、ロック部材149の係合部151が加振部材143の引掛り部145に当接して加振部材143の離反姿勢を保持可能とする。
図7(d)に示すように、放出口シャッタ101の閉鎖時に、ピン147が下方へ移動し、このピン147が加振部材143の支軸142より下側に移動することにより、ばね付勢で加振部材143が離反姿勢から当接姿勢に回動しようとするが、加振部材143の引掛り部145がロック部材149の係合部151が引っ掛って加振部材143の離反姿勢を保持する。
放出口シャッタ101が閉鎖する直前に、ピン147がロック部材149の押動部150に当接して下方へ回動させ、このロック部材149の係合部151を加振部材143の引掛り部145から外す。これにより、図7(e)に示すように、加振部材143はばね付勢によって一気に回動し、当接部144が枠部94eに衝突し、この衝突によって補充環流硬貨収納部94に振動を付与する。
そして、補充環流硬貨収納部94の内面に貼り付いて残るような硬貨が落下し、その硬貨をセンサで検知した場合には、放出口シャッタ101を再度開放した後、閉鎖する。
また、搬送コンベヤ63のベルト82の回転駆動により、受収コンベヤ域77上の補充硬貨を送出コンベヤ域78を通じて貯留繰出部18に順次送り込む。貯留繰出部18では傾斜円盤19が回転し、搬送コンベヤ63から送り込まれた補充硬貨を1枚ずつ硬貨通路29に繰り出す。硬貨通路29では貯留繰出部18から繰り出される補充硬貨を受け入れて1枚ずつ間隔をあけた分離状態で搬送し、補充硬貨の搬送途上で硬貨識別部38により識別する。
硬貨識別部38での識別の結果、正規の補充硬貨は金種別硬貨分岐部40a〜40fで金種別に分岐し、金種別シュート50a〜50fおよび金種別硬貨一時保留部61a〜61fの保留枠67を通じて、金種別硬貨収納投出部62a〜62fの収納筒部71に収納する。金種別硬貨一時保留部61a〜61fの保留枠67は投出板68が後退位置(図3に示す位置より左方向に移動した位置)に移動して底面が開口された状態にあり、金種別シュート50a〜50fから保留枠67に送り込まれた補充硬貨を収納筒部71に直接収納する。このとき、収納筒部71内の重積硬貨の上面を収納筒部71の上端近傍に位置させておくことにより、補充硬貨の落下距離を少なくし、硬貨立ちなどが発生するのを防止できる。収納筒部71内に補充硬貨を1枚受け入れる度に支承部材72とともに重積硬貨を1枚分下降させ、次の補充硬貨の収納を許容する。
制御部201では硬貨識別部38での識別結果から金種別硬貨収納投出部62a〜62fに収納する補充硬貨の枚数をカウントし、カウント値が予め設定された満杯量に達した金種については、それ以降に硬貨識別部38で識別される正規の補充硬貨をオーバーフロー硬貨として取り扱う。この補充時のオーバーフロー硬貨は、該当する金種の金種別硬貨分岐部40a〜40fで分岐せずに下流側の補充環流硬貨分岐部41で分岐し、補充環流硬貨用シュート51を通じて硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に収納させる。このとき、補充環流硬貨収納部94の放出口94cは放出口シャッタ101によって既に閉塞されているため、補充環流硬貨収納部94に収納した補充硬貨は放出されることなく収納状態に保たれる。
硬貨識別部38での識別の結果、不適正と判断されたリジェクト硬貨は、第2分岐部43で分岐し、第2の振分シュート53の振分部57および補充リジェクト硬貨用シュート59を通じて硬貨カセットユニット64の補充リジェクト硬貨収納部98に収納させる。
そして、硬貨識別部38で初期補充硬貨の識別が所定時間以上なくなれば、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動を停止し、初期補充処理を完了する。
次に、入金処理について参照して説明する。
操作者(顧客)が操作指令部202で入金を指令することにより、入出金口13の入出金口シャッタ12を開放し、さらに、操作者が入金硬貨を入出金口13を通じて硬貨受部14に投入することにより、硬貨受部14の受皿15上の入金硬貨を図示しないセンサで検知して入出金口シャッタ12を閉鎖する。貯留繰出部18および硬貨通路29の駆動を開始し、硬貨受部14の受皿15の回動によって投入された入金硬貨をシュート16に放出し、このシュート16を通じて貯留繰出部18に送り込む。硬貨受部14では入金硬貨の放出後に受皿15を戻して硬貨の受収を可能な状態とする。
貯留繰出部18に送り込んだ入金硬貨は、貯留繰出部18から硬貨通路29に1枚ずつ送り込み、硬貨識別部38で識別する。
硬貨識別部38での識別の結果、正規の入金硬貨は金種別硬貨分岐部40a〜40fで金種別に分岐し、金種別シュート50a〜50fを通じて金種別硬貨一時保留部61a〜61fに金種別に一時保留する。金種別硬貨一時保留部61a〜61fでは、図3に示すように、保留枠67の底面を投出板68で閉塞しており、保留枠67に受け入れた入金硬貨を上下方向に重積状態で一時保留する。
制御部201では硬貨識別部38での識別結果から金種別硬貨一時保留部61a〜61fに一時保留する入金硬貨の枚数および金種別硬貨収納投出部62a〜62fに収納した硬貨収納枚数をカウントし、これらカウント値が予め設定された満杯量に達した金種については、それ以降に硬貨識別部38で識別される正規の入金硬貨をオーバーフロー硬貨として取り扱う。このオーバーフロー硬貨は、硬貨識別部38の直後のオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐し、オーバーフロー硬貨用シュート49を通じて搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77に送り込み、一括して一時保留する。
硬貨識別部38での識別の結果、不適正と判断されたリジェクト硬貨は、硬貨通路29の第2の通路部32の末端まで搬送し、硬貨受部14に送り込む。このとき、硬貨受部14の受皿15はリジェクト硬貨を受収可能な状態にある。入出金口13の入出金口シャッタ12を開放し、操作者が硬貨受部14からリジェクト硬貨を取り出すことによって入出金口シャッタ12を閉鎖する。
そして、貯留繰出部18で硬貨を検知せず、硬貨識別部38で硬貨の識別が所定時間以上なくなれば、貯留繰出部18および硬貨通路29を停止して入金送り込み動作を完了し、その後、入金硬貨の識別結果を操作者に対して表示し、入金の確認をとる。
操作者が操作指令部202によって入金承認の操作をした場合で、オーバーフロー硬貨がなかった場合には、金種別硬貨一時保留部61a〜61fの投出板68を後退位置(図3に示す位置より左方向に移動した位置)に移動させ、保留枠67の底面を開口させ、重積状態に一時保留させていた一時保留硬貨を金種別硬貨収納投出部62a〜62fの収納筒部71に収納する。
また、操作者が操作指令部202によって入金承認の操作をした場合で、オーバーフロー硬貨があった場合には、金種別硬貨一時保留部61a〜61fに一時保留していた一時保留硬貨は、上述したように投出板68の後退位置への移動によって金種別硬貨収納投出部62a〜62fの収納筒部71に収納する。
搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77に一括一時保留していたオーバーフロー硬貨は、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動により、搬送コンベヤ63から貯留繰出部18を通じて硬貨通路29に送り込み、硬貨通路29の補充環流硬貨分岐部41で分岐し、補充環流硬貨用シュート51を通じて硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に収納する。
硬貨識別部38でオーバーフロー硬貨の識別が所定時間以上なくなれば、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63を停止し、入金送り込み動作から入金収納動作までの一連の入金処理を完了する。
また、操作者が操作指令部202によって入金不承認の操作をした場合には、金種別硬貨一時保留部61a〜61fの保留枠67を搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77の上方の返却位置に移動させ、保留枠67に一時保留していた全ての硬貨を搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77に放出する。このとき、搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77にオーバーフロー硬貨を一時保留していた場合には、保留枠67から放出される硬貨と一緒になる。
搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77上の返却硬貨は、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動により、搬送コンベヤ63から貯留繰出部18を通じて硬貨通路29に送り込み、硬貨通路29の末端まで搬送して硬貨受部14の受皿15に送り込む。全ての返却硬貨を硬貨受部14の受皿15に送り込んだら、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63を停止し、入出金口13の入出金口シャッタ12を開放し、操作者が硬貨受部14の受皿15から返却硬貨を取り出すことによって入出金口シャッタ12を閉鎖する。これにより、入金送り込み動作から入金返却動作までの一連の処理を完了する。
次に、出金処理について説明する。
操作者が操作指令部202によって出金貨幣値(金額または金種と枚数)を入力し、スタートを指令することにより、金種別硬貨収納投出部62a〜62fの出金金種に該当する収納筒部71において、収納されている重積硬貨を支承部材72によって上昇させ、収納筒部71の上部を閉塞する位置に位置される保留枠67の下面に重積硬貨を当接させ、往復移動させる投出板68によって最上位の重積硬貨つまり出金硬貨を収納筒部71から搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77上に投出する。続けて投出する金種がある場合には、同様に重積硬貨を上昇させ投出板68によって投出する。出金金種に該当しない金種および出金枚数分を投出し終えた金種については、重積硬貨を下降させ、硬貨の投出を停止する。
搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77上に投出された出金硬貨は、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動により、搬送コンベヤ63から貯留繰出部18を通じて硬貨通路29に送り込み、硬貨識別部38で識別する。
硬貨識別部38での識別の結果、正規の出金硬貨は硬貨通路29の第2の通路部32の末端まで搬送して硬貨受部14に送り込む。
不適正と判断されたリジェクト硬貨は第2分岐部43で分岐し、第2の振分シュート53の振分部57および運用リジェクト硬貨用シュート58を通じて硬貨カセットユニット64の運用リジェクト硬貨収納部97に収納させる。リジェクト硬貨が発生した場合には、出金貨幣値に不足する金種硬貨を金種別硬貨収納投出部62a〜62fから再投出させる。
出金貨幣値分の出金硬貨を硬貨受部14に送り込んだら、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63を停止し、入出金口13の入出金口シャッタ12を開放し、操作者が硬貨受部14の受皿15から出金硬貨を取り出すことによって入出金口シャッタ12を閉鎖する。これにより、出金処理を完了する。
次に、途中補充処理について説明する。
出金処理によって金種別硬貨収納投出部62a〜62fの金種別の硬貨の収納量が所定量以下に低下した場合に、環流処理である途中補充処理を自動的に開始する。この途中補充処理では、初期の補充処理と同様に、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動を開始し、これら駆動が正常であれば、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に開放移動させ、放出口94cおよび受入口102を開放する。これにより、補充環流硬貨収納部94に収納していた補充硬貨を傾斜底面94dの傾斜によって自重で放出口94cから放出させ、受入口102を通じて、搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77上、つまり硬貨受収部81に受け入れる。このときも、搬送コンベヤ63の背部側に受け入れた補充硬貨を前側に搬送して貯留繰出部18、硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39およびオーバーフロー硬貨用シュート49を通じて搬送コンベヤ63の前側に循環させることにより、補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができる。
補充環流硬貨収納部94に収納していた補充硬貨を全量放出したことを図示しないセンサで検知することにより、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に閉鎖移動させ、放出口94cおよび受入口102を閉鎖する。これにより、補充環流硬貨収納部94に硬貨の受収が可能な状態とする。
この放出口シャッタ101を閉鎖する際に、加振手段141によって補充環流硬貨収納部94に振動を付与し、補充環流硬貨収納部94の内面に貼り付いて残るような硬貨を落下させ、センサで硬貨の残留を検知できるようにする。
搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77に全量受収した補充硬貨は、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動により、上述したように搬送コンベヤ63から貯留繰出部18を通じて硬貨通路29に送り込み、硬貨識別部38で識別する。
硬貨識別部38での識別の結果、正規の補充硬貨は、初期の補充処理と同様に、金種別硬貨分岐部40a〜40fで金種別に分岐し、金種別シュート50a〜50fおよび金種別硬貨一時保留部61a〜61fの保留枠67を通じて、金種別硬貨収納投出部62a〜62fの収納筒部71に直接収納する。
制御部201では硬貨識別部38での識別結果から金種別硬貨収納投出部62a〜62fに収納する補充硬貨の枚数をカウントし、カウント値が予め設定された満杯量に達した金種については、それ以降に硬貨識別部38で識別される正規の補充硬貨をオーバーフロー硬貨として取り扱う。このオーバーフロー硬貨は、補充環流硬貨分岐部41で分岐し、補充環流硬貨用シュート51を通じて硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に収納する。このとき、補充環流硬貨収納部94の放出口94cは放出口シャッタ101によって既に閉塞されているため、補充環流硬貨収納部94に収納した補充硬貨は放出されることなく収納状態に保たれる。
硬貨識別部38での識別の結果、不適正と判断されたリジェクト硬貨は、オーバーフロー硬貨と同様に、補充環流硬貨分岐部41で分岐し、補充環流硬貨用シュート51を通じて硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に回収収納する。
そして、硬貨識別部38で補充硬貨の識別が所定時間以上なくなれば、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63を停止し、途中補充処理を完了する。
次に、硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に収納している硬貨の精査処理について説明する。
係員が操作指令部202で、硬貨カセットユニット64の補充環流硬貨収納部94に収納している硬貨の精査を指定し、スタートを指令することにより、上述した硬貨補充時と同様に、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動を開始し、これらの駆動が正常であれば、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に開放移動させ、放出口94cおよび受入口102を開放する。これにより、補充環流硬貨収納部94に収納されている硬貨を傾斜底面94dの傾斜によって自重で放出口94cから放出させ、受入口102を通じて、搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77上、つまり硬貨受収部81に受け入れる。このときも、搬送コンベヤ63の背部側に受け入れた硬貨を前側に搬送して貯留繰出部18、硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39およびオーバーフロー硬貨用シュート49を通じて搬送コンベヤ63の前側に循環させることにより、補充環流硬貨収納部94内の硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができる。
補充環流硬貨収納部94に収納していた硬貨を全量放出したことを図示しないセンサで検知することにより、モータM11の駆動によって放出口シャッタ101および受入口シャッタ103を一体に閉鎖移動させ、放出口94cおよび受入口102を閉鎖する。これにより、補充環流硬貨収納部94に硬貨の受収が可能な状態とする。
この放出口シャッタ101を閉鎖する際に、加振手段141によって補充環流硬貨収納部94に振動を付与し、補充環流硬貨収納部94の内面に貼り付いて残るような硬貨を落下させ、センサで硬貨の残留を検知できるようにする。
搬送コンベヤ63の受収コンベヤ域77に全量受収した硬貨は、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63の駆動により、上述したように搬送コンベヤ63から貯留繰出部18を通じて硬貨通路29に送り込み、硬貨識別部38で識別する。
硬貨識別部38での識別の結果、正規の硬貨は、補充環流硬貨分岐部41で分岐し、補充環流硬貨用シュート51を通じて補充環流硬貨収納部94に戻す。このとき、補充環流硬貨収納部94の放出口94cは放出口シャッタ101によって既に閉塞されているため、補充環流硬貨収納部94に戻した硬貨は放出されることなく収納状態に保たれる。
硬貨識別部38での識別の結果、不適正と判断されたリジェクト硬貨は、第2分岐部43で分岐し、第2の振分シュート53の振分部57および運用リジェクト硬貨用シュート58を通じて硬貨カセットユニット64の運用リジェクト硬貨収納部97に収納する。
そして、硬貨識別部38で補充硬貨の識別が所定時間以上なくなれば、貯留繰出部18、硬貨通路29および搬送コンベヤ63を停止し、精査動作を完了する。
以上のように構成された循環式硬貨入出金機では、硬貨補充時や精査時など、補充環流硬貨収納部94からの補充硬貨放出時に、搬送コンベヤ63、貯留繰出部18および硬貨通路29を駆動し、補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させ、補充環流硬貨収納部94の放出口94cから搬送コンベヤ63の背部側に放出される硬貨を搬送コンベヤ63の前側に搬送して貯留繰出部18に送り込むとともに硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐して搬送コンベヤ63の前側に循環させることにより、搬送コンベヤ63の背部側に補充環流硬貨収納部94から放出される硬貨を受け入れるスペースを確保し、補充環流硬貨収納部94内の硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができる。そのため、放出口94cから搬送コンベヤ63のベルト面までの落差を小さくしても補充環流硬貨収納部94内の硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができ、補充環流硬貨収納部94の収納空間部94bの高さ寸法を確保して収納量を増加させることができる。したがって、小形化によって搬送コンベヤ63に保留できる硬貨の保留量が減少しても、補充環流硬貨収納部94には補充に十分な量の補充硬貨を収納できて搬送コンベヤ63に全量放出でき、しかも、補充環流硬貨収納部94内の硬貨の精査もできる。
また、放出口シャッタ101の開閉に連動して加振手段141により補充環流硬貨収納部94に振動を付与することにより、放出口94cへ向けて下降傾斜する傾斜底面94dによって硬貨を放出させる構造でも、補充硬貨の残留を防止でき、補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を確実に全量放出できる。
また、補充環流硬貨収納部94からの補充硬貨の放出前に搬送コンベヤ63などを駆動させるとともにその駆動状況を確認し、正常時には補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させ、異常時には補充環流硬貨収納部94の放出口94cを開放させないことにより、搬送コンベヤ63などが異常な状態で補充環流硬貨収納部94内の補充硬貨を放出することがないので、復旧作業時に、搬送コンベヤ63などに放出された補充硬貨の除去作業が必要なく、作業性を向上できる。
次に、図9に、循環式硬貨入出金機の他の実施の形態を示す。
この循環式硬貨入出金機では、機体11の背部側に、硬貨の補充および回収を行う補充硬貨収納部としての硬貨カセット221とオーバーフロー硬貨を収納するオーバーフロー硬貨収納部222とがそれぞれ着脱可能に配置されている。
硬貨カセット221は、硬貨回収時に第1分岐部42で分岐されて回収硬貨用シュート55で導かれる硬貨を受収する図示しない受収口、硬貨を収納する収納空間部221a、硬貨を搬送コンベヤ63の背部側に放出する放出口221b、この放出口221bを開閉する図示しない放出口シャッタを有し、収納空間部221aの底部には硬貨を放出口221bから放出させる搬送ベルトを有する搬送部223が配設されている。この硬貨カセット221は、収納している初期補充硬貨を放出して金種別硬貨収納投出部62a〜62fに補充する初期補充と、機内の全ての硬貨を回収する回収処理とに用いられる。
オーバーフロー硬貨収納部222は、オーバーフロー硬貨分岐部としての補充環流硬貨分岐部41で分岐されて補充環流硬貨用シュート51で導かれる硬貨を受収する図示しない受収口、硬貨を収納する収納空間部222a、硬貨を搬送コンベヤ63の背部側に放出する放出口222b、この放出口222bを開閉する図示しない放出口シャッタを有し、収納空間部222aの底部には硬貨を放出口222bから放出させる搬送ベルトを有する搬送部224が配設されている。このオーバーフロー硬貨収納部222は、補充時や入金時のオーバーフロー硬貨の収納と、収納している硬貨を放出して金種別硬貨収納投出部62a〜62fに補充する途中補充とに用いられる。
そして、硬貨カセット221またはオーバーフロー硬貨収納部222からの硬貨放出時とも、搬送コンベヤ63、貯留繰出部18および硬貨通路29を駆動し、硬貨カセット221の放出口221bまたはオーバーフロー硬貨収納部222の放出口222bを開放させ、硬貨カセット221の放出口221bまたはオーバーフロー硬貨収納部222の放出口222bから搬送コンベヤ63の背部側に放出される硬貨を搬送コンベヤ63の前側に搬送して貯留繰出部18に送り込むとともに硬貨通路29のオーバーフロー硬貨分岐部39で分岐して搬送コンベヤ63の前側に循環させることにより、搬送コンベヤ63の背部側に硬貨カセット221またはオーバーフロー硬貨収納部222から放出される硬貨を受け入れるスペースを確保し、硬貨カセット221またはオーバーフロー硬貨収納部222内の硬貨を搬送コンベヤ63上に全量放出させることができ、小形化によって搬送コンベヤ63に保留できる硬貨の保留量が減少しても、硬貨カセット221またはオーバーフロー硬貨収納部222には十分な量の硬貨を収納できて搬送コンベヤ63に全量放出でき、しかも、硬貨カセット221およびオーバーフロー硬貨収納部222内の硬貨の精査もそれぞれ単独でできる。