JP2006206400A - ガラス基板の製造方法、およびその方法により製造されたガラス基板 - Google Patents

ガラス基板の製造方法、およびその方法により製造されたガラス基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガラス組成物が本来有する高い透過率を実現できるとともに、アルカリ溶出を効果的に抑制できる光電変換装置用ガラス基板を得ることのできる製造方法を提供する。
【解決手段】 熔融金属スズ浴を用いたフロート法によるガラス素板のボトム面の最表面に存在するスズの陽イオンを含有する層の一部を、その厚み方向に除去する工程によって、ボトム面とトップ面との可視光反射率の差の絶対値を、0.10〜0.25%の範囲にするガラス基板の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フロートガラス板を用いたガラス基板の製造方法に関し、特に、可視光領域の光透過率を高くすることができる、光電変換装置用基板に適したガラス基板の製造方法に関する。
太陽電池に代表される光電変換装置では、光を装置内に取り込むために、入射側に透明な窓材が必要である。その窓材には、無機ガラス板が、その優れた透明性と耐久性のために、好適に利用されており、その無機ガラス板は、光電変換装置用ガラス基板と呼ばれる。
光電変換装置を構成する光電変換素子は、この基板と一体に形成されることがある。この基板には、機械的・化学的保護や、素子に光を到達させる役割がある上に、素子を適切に製造し動作させるために望まれる各種の特性が要求される。この場合、光電変換素子は、アモルファスシリコンや微結晶シリコンなど、薄膜半導体で構成されていることが多い。さらに、この基板には、透明導電膜を含む薄膜が成膜されており、その透明導電膜上に薄膜半導体層を成膜して、光電変換素子を形成することが多い。
このような構成の光電変換装置において、装置としての性能指数の一つである光電変換効率は、装置に照射する光量に対する、装置から取り出すことのできる電力の割合、として求められる。この変換効率は、他の条件が同じなら、光電変換素子を成している光電変換材料に入射する光量に比例する。したがって、光電変換装置の入射側の窓材として使用されるガラス板には、より高い透過率が要求される。特に高い透過率が求められる波長範囲は、400〜800nmを例示できる。
ガラス板をなす組成物の透過率を高める技術としては、酸化鉄量を減らすことや、酸化剤を添加してFe2+による着色を消色することが周知である。
上述のガラス基板には、フロート法によるガラス素板が好適に用いられる。この製法によるガラス素板はフロートガラス板と呼ばれる。フロートガラス板は、フロートバスと呼ばれるスズフロート槽に保持されている熔融金属スズ浴の上に、熔融ガラスを浮かせて成形される。フロートガラス板では、金属スズに触れていた面はボトム面、その反対側の主平面は、トップ面と呼ばれる。ボトム面の最表面から、スズの陽イオンが拡散によって侵入し、そこにはスズの陽イオンを含む層が形成されている。
さて、ガラス組成物にスズの陽イオンが添加されると、一般にその組成物の屈折率は高くなる。したがって、ボトム面は、トップ面より屈折率が高い。屈折率が高くなると、反射率も高くなり、その分だけ透過率は減少する。透過率が減少すると、そのガラス板を基板に用いた光電変換装置の変換効率も、低くなってしまう。これによる変換効率の低下は、僅かではあるが、好ましくない。したがって、光電変換装置基板に用いるガラス素板を、フロート法によって製造する場合、スズの陽イオンがボトム面へ侵入することを抑え、ボトム面の屈折率が高くならないようにすることが望まれる。
このスズの陽イオンの侵入を抑制する方法としては、いくつかの技術が開示されている。例えば、特開2001−26437号公報には、フロートバスの熔融スズにFeを100〜5000ppm含有する、ディスプレイ基板用フロートガラス板を製造する方法が開示されている。この製造方法によると、ボトム表面層のFe濃度が高く、そのためにSnのボトム最表面層への拡散が抑制されている。
また、本出願人は、WO03/057638号国際公開パンフレットにおいて、熔融錫上で成形されたガラス板であって、熔融錫に接して成形された表面から10μmまでの深さにおけるSnO2換算の酸化錫濃度の最大値が1質量%以下であるガラス板を開示した。このガラス板の製造においては、錫フロート槽中の、水素濃度を高くすること、槽内のガス圧力を高くすることなどにより、ガラス板のボトム面への酸化錫の拡散を抑制することができる。
特開2001−26437号公報 WO03/057638号国際公開パンフレット
しかし、ガラス板の透過率を高める従来技術には、以下のような問題点があった。
上述した周知なガラス組成物の透過率を高める技術を採用しても、そのガラス組成物をフロート法によりガラス素板に成形すると、ボトム面に侵入したスズの陽イオンによって、反射率が不必要に高くなってしまう。つまり、そのガラス組成物が本来発揮し得る透過率よりも、その組成物からなるガラス板の透過率が、低い値に留まってしまう、という問題を免れない。
その問題点を考慮した、特開2001−26437号公報に開示されたフロートガラスの製造方法の場合、ボトム面へのスズの侵入を抑制することはできる。しかし、ボトム面には鉄が拡散し、Fe濃度が高くなってしまう。拡散した鉄は、Fe2+または/およびFe3+の形で存在するので、それらによる光吸収が生じ、透過率を減少させてしまう、という本末転倒の問題が生じる。
また、本出願人は、上述のWO03/057638号国際公開パンフレットにおいて、ボトム面へのスズ陽イオンの侵入を抑制したガラス板を開示している。しかし、ボトム面での反射率を、より容易に効果的に抑制する方法が強く求められている。
これらの状況に鑑み、本発明は、フロートガラス板のボトム面での表面反射率を低くすることにより、高い透過率のガラス基板を、容易かつ安価に製造する方法の提供を目的とする。
発明者らは、フロートガラス板のボトム面での反射率を低減させる方法に関して鋭意研究努力を重ねた。その結果、フロートガラス板を製造した後で、そのボトム面の最表面から所定の厚みを除去して、スズの陽イオンを含有する層の少なくとも一部を除去することによって、容易にかつ効果的に、ボトム面での反射率を低減できることを見出した。
なお、本明細書において、トップ面での反射率と、最表面を除去した後のボトム面での反射率とは、そのフロートガラス板の各々の主平面だけでの可視光反射率を意味し、反対側の主平面での反射を含まないものとする。
さらに、ボトム面の除去厚みと、反射率その他の特性について詳細に検討した。除去厚みを増やすと、除去後のボトム面の反射率は減少し、トップ面の反射率に近づいていく。除去後のボトム面の表面反射率が、トップ面の反射率と同じになるまで、ボトム面を除去すると、そのボトム面からのアルカリ溶出量が急激に大きくなることを見出した。
ガラス基板表面からのアルカリ溶出量が大きいと、そのガラス基板を用いた光電変換装置用ガラス基板の耐候性や化学的耐久性が低下し、ガラス基板の外観不良の原因となったり、光電変換装置の性能に悪影響を与えたりする虞がある。
発明者らは、最表面除去後のボトム面での反射率とトップ面の反射率との差の絶対値を、所定の範囲にすることによって、アルカリ溶出を効果的に抑制でき、かつ反射率の不本意な上昇を抑えた透過率の高い光電変換装置用ガラス基板を製造することができることを解明した。
本発明のガラス基板の製造方法は、熔融金属スズ浴を用いたフロート法によるガラス素板を用いたガラス基板の製造方法であって、このガラス素板のボトム面の最表面に存在するスズの陽イオンを含有する層の一部を、その厚み方向に除去する工程によって、ボトム面とトップ面との可視光反射率の差の絶対値を、0.10〜0.25%の範囲にすることを特徴とする。
この除去工程は、研磨および/またはエッチングによって行なうことが好ましい。この除去工程が研磨による場合は、遊離砥粒の懸濁液を用いた湿式研磨であることが好ましく、エッチングによる場合は、フッ酸を含む薬液を用いる湿式エッチングであることが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法では、さらに、上述のガラス素板のトップ面に、1層以上の透明導電膜を含む薄膜を形成することが好ましい。
この透明導電膜は1層以上の酸化スズ膜を含むことが好ましく、この透明導電膜を含む薄膜は、化学気相成長法を用いて、前記ガラス素板の成形用熔融金属スズ槽内で形成することが好ましい。
さらに、このガラス素板のトップ面と、この透明導電膜との間には、1層以上の下地膜を形成することが好ましい。
上述の薄膜を形成した後に、上述の除去工程を行なうことが好ましい。
また、本発明の製造方法によるガラス基板は、光電変換装置用ガラス基板に好適に用いられる。本発明の光電変換装置用ガラス基板を用いて、光電変換装置を構成することができる。
本発明のガラス基板の製造方法によれば、フロートガラス板のボトム面から所定の厚みを除去する。したがって、本発明の製造方法によるガラス基板は、その基板を成すガラス組成物が本来有する高い透過率を示すとともに、アルカリ溶出が少ない。また、本発明の好ましい製造方法によれば、ボトム面の最表面から、容易に、かつ精度よく所定の厚みだけ除去することができる。したがって、本発明の好ましい製造方法によるガラス基板は、工程に起因する、上述の効果のばらつきが少ない。
以下、本発明によるガラス基板の製造方法の好適な実施形態を説明する。
フロートガラス板では、熔融金属スズから由来するスズ成分の有無によって、ボトム面とトップ面とを識別することができる。本明細書において、ボトム面に存在するスズの陽イオンを含有する層を、スズ層と呼び、トップ面に形成する酸化スズ膜と区別する。ボトム面の反射率が、トップ面の反射率より高くなる原因は、このスズ層の有無にある。また、それらの反射率の差は、例えば0.3〜0.5%程度である。
本発明のガラス基板の製造方法は、ボトム面から所定の厚みを除去してスズ層の一部を除去するのであるが、その層を完全に除去するのではなく、その層の一部を残すことを特徴としている。スズ層にスズの陽イオンが多量に含まれていると、ボトム面での反射率は高くなり、同時に、ボトム面からのアルカリ溶出量は少なくなる。本発明では、スズ層の一部を除去することによって、ボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値を、0.25%以下、好ましくは0.20%以下にする。このようにすれば、ガラス基板の透過率を、その基板を成すガラス組成物が本来発揮し得る高い透過率と、ほぼ同等にすることができる。
また、スズ層の一部を除去して、この反射率の差の絶対値を、0.10%以上、好ましくは0.15%以上にする。このようにすれば、除去後のボトム面に残存するスズ層には、適度な量のスズの陽イオンが含まれているので、アルカリ溶出量を小さくすることができる。
さて、酸化物ガラス組成物からなるフロートガラス板では、スズの陽イオンの価数は2+および/または4+であり、酸化物の形で存在する。また、スズの陽イオン含有量の深さ方向の分布については、以下のとおりである。ボトム面最表面に、スズの陽イオンの含有量が非常に多い層があり、その厚みは約1μmより薄い。その層より奥では、スズの陽イオンの含有量は、急激に減少するが、その途中にピークを示すことがある。ボトム面からの深さが10μmを超える領域には、スズ陽イオンはほとんど含まれていない。なお、本明細書では、スズの陽イオンはSnO2に換算してその含有量を求めるものとし、その含有量を「酸化スズ含有量」と呼ぶ。
(ガラス板表面から深さ方向の定量分析)
周知のとおり、最表面から深さ方向に向かって、成分の濃度分布を定量的に分析することは、容易ではない。分析方法による分解能の相違などにより、測定値が一致しない場合もある。本明細書では、上述の酸化スズ含有量の深さ方向分布を、電子線プローブマイクロアナライザー(Electron Prove Micro Analyzer:EPMA)に装着した波長分散型X線検出器(Wavelength Dispersive X-ray Detector:WDX)により測定した値に基づいて特定する。
(最表面除去後の酸化スズ含有量)
本明細書では、上述のEPMAにより、酸化スズ含有量の深さ方向分布を測定し、表面から深さ10μmまでの範囲での酸化スズ含有量の最大値を、除去後のボトム面に残存するスズ層の酸化スズ含有量とする。そして本発明では、酸化スズ含有量を、0.10〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。このようにすることで、ガラス基板の透過率向上とアルカリ溶出抑制効果を両立させることが、より容易になる。
(スズ層の除去方法)
スズ層の一部を除去する方法としては、研磨法やエッチング法が好ましい。研磨条件やエッチング条件を調節することで、除去する厚みを、容易に精度よく制御することができる。この除去する厚みは、5nm〜300nmが好ましく、10nm〜250nmがより好ましい。
(研磨法)
研磨方法として、遊離砥粒を用いた湿式研磨を行なうことが好ましい。さらに、研磨部材とボトム面とを接触させ、遊離砥粒の懸濁液を供給しながら相対運動させて研磨することが好ましい。研磨部材には、剛体で平面な研磨盤に貼付した弾性を持つ研磨パッドや、カップ型あるいはロール型のスポンジやブラシを用いることができる。なお、研磨方法は、上述に限定されるわけではなく、遊離砥粒をボトム面にむけて噴射させてもよく、固定砥粒を用いてもよい。
上述の遊離砥粒には、ランタノイド酸化物を主成分とする研磨剤が好ましい。さらに、この研磨剤には、酸化セリウム微粉末や、天然鉱石バストネサイトの焼成粉砕物などが好ましい。また、アルミナ,ダイヤモンドまたは酸化ジルコニウムの微粒子や、コロイダルシリカを用いてもよい。また、研磨剤には、光学研磨面を得ることができる粒径のものを用いることが好ましく、平均粒径0.1〜5μmを適当な範囲として例示できる。また、懸濁させる液体としては、極性溶媒、特に水が好ましく、精製水がより好ましい。
研磨装置の種類は特に限定されないが、上述の相対運動の方向が刻々と変化し、偏らないことが特に好ましい。この相対運動の方向が偏ると、研磨キズやうねりと呼ばれる研磨欠点が生じやすい。このうねりとは、周期が例えばmmオーダ以上の、大きな波打ち状の凹凸のことである。研磨キズは外観を損ね、うねりは反射率のばらつきを増大させるので、光電変換効率を損ねる虞がある。したがって、遊星歯車型、オスカー式などの揺動型の方式を採る研磨装置が好ましい。
研磨時にガラス板に印加する圧力については、除去厚みと、研磨キズやうねりなど研磨後の表面状態とを勘案して定めればよい。その印加圧力として、研磨部材に研磨パッドを用いる場合は、9〜15kPa、スポンジやブラシを用いる場合は、1.8〜5kPaを例示できる。
(エッチング法)
エッチング方法として、ボトム面を薬液に接触させる湿式エッチングを行なうことが好ましい。湿式エッチング法は、比較的面積が大きい板に対して、均一かつ安価にエッチング処理を施すことができるからである。湿式エッチング法に用いる薬液は、ガラス基板をなすガラス組成物に対してエッチング作用を持つことが必要である。薬液としては、pH1〜4のフッ化水素酸またはケイフッ化水素酸からなる水溶液、あるいはpH2〜7に調整したフッ化物を含む水溶液を用いることが好ましい。
上述のフッ化物を含む水溶液は、フッ化水素酸溶液,フッ化水素アンモニウム溶液またはケイフッ化水素酸溶液に、pH調整剤を添加したものであることが好ましい。このpH調整剤はアルカリ成分またはフッ化物である。上述のアルカリ成分として、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウムまたはアンモニアのうち1種以上を用いることが好ましい。また、上述のフッ化物として、フッ化ナトリウム,フッ化カリウム,フッ化アンモニウム,ホウフッ化アンモニウムまたはケイフッ化アンモニウムのうち1種以上を用いることが好ましい。
薬液の濃度,薬液の温度,およびボトム面を薬液に接触させる時間(エッチング時間)は、エッチング量,エッチング後のボトム面の表面粗さ,生産性などによって適切に設定すればよい。薬液中のフッ酸の濃度が濃すぎる、または薬液の温度が高すぎると、エッチング速度が速くなりすぎて、エッチング後のボトム面が、すりガラス状に白濁してしまう傾向があるので、好ましくない。また、エッチング時間が長すぎると、エッチング後のボトム面の表面粗さが粗くなりすぎるので、好ましくない。なお、薬液としてアルカリ性溶液を用いてもよく、レーザーやプラズマの照射下でボトム面と活性ガスとを接触させる乾式エッチング法を用いてもよい。
(ガラス板全体の全酸化鉄含有量)
本発明のガラス基板をなすガラス組成物では、酸化鉄含有量が低いこと、具体的には、Fe23に換算した全酸化鉄含有量が、0.04質量%以下、特に0.02質量%以下であることが好ましい。この場合、このガラス組成物は、酸化セリウムを実質的に含有しないことが好ましい。本明細書において、「実質的に含まない」とは、例えばガラス原料に含まれる不純物に由来する、ごく微量の混入を許容する趣旨であり、例えば0.001質量%以下の範囲をいう。
酸化鉄は、ガラス中でFe2+とFe3+とが共存した状態で存在する。Fe2+は波長約1μmを中心に、可視長波長域まで及ぶ長波長域において強い吸収を、Fe3+は波長400〜500nmの可視短波長域に比較的弱い吸収を有する。
酸化セリウムは、鉄分と共にガラス中に含有されると、太陽光中に含まれる紫外線により、Ce3++Fe3+→Ce4++Fe2+という光化学反応を引き起こす。この反応は、ソラリゼーションと呼ばれる。この反応が生じると、生成したFe2+によって、上述の可視長波長域における透過率が低下する。
(ガラス基板の組成)
本発明では、ガラス基板をなすガラス組成物の組成とは、スズ層を完全に除去した残部の組成のことである。本明細書では、フロートガラス板の表面から厚さ10μmまでの部分を除去し、その除去した残りの部分の組成を上述のガラス組成物の組成とする。
本発明のガラス基板をなすガラス組成物の組成は、質量%で表示して、
SiO2 65〜80%,
Al23 0〜5%,
Na2O 10〜18%,
2O 0〜5%,
MgO 0〜10%,
CaO 5〜15%,
MgOとCaOの合計量 5〜15%,
Na2OとK2Oの合計量 10〜20%,
SO3 0.05〜0.3%,
23 0〜5%,
を含むことが好ましい。
以下、組成範囲の限定理由について説明する。なお、この組成範囲については、質量%で表示する。
(SiO2
SiO2はガラスの骨格を形成する主成分である。SiO2が65%未満ではガラスの耐久性が低下し、80%を超えるとガラス組成物の熔解が困難になる。さらに、SiO2は、69%以上、72%未満であることがより好ましい。
(B23
23は必須成分ではないが、ガラス組成物の耐久性向上のため、あるいは熔解助剤としても使用される成分である。B23が5%を超えると、B23の揮発等による成形時の不都合が生じるので、B23は5%を上限とする。好ましくは0〜2%未満の範囲である。
(Al23
Al23は、必須成分ではないが、ガラス組成物の耐久性を向上させる成分であるが、5%を超えると、ガラス組成物の熔解が困難になりやすい。好ましくは、0.1〜2.5%である。
(MgO,CaO)
MgOとCaOは、ガラス組成物の耐久性を向上させるとともに、成形時の失透温度、粘度を調整するのに用いられる。MgOが10%を超えると、失透温度が上昇する。CaOが5%未満または15%を超えると、失透温度が上昇する。MgOとCaOの合計が5%未満では、ガラス組成物の耐久性が低下し、15%を超えると、失透温度が上昇する。
(Na2O,K2O)
アルカリ酸化物であるNa2OとK2Oは、ガラス組成物の熔解促進剤として用いられる。Na2Oが10%未満、あるいはNa2OとK2Oとの合計が10%未満では熔解促進効果が乏しく、Na2Oが18%を超えるか、またはNa2OとK2Oとの合計が20%を超えるとガラス組成物の耐久性が低下する。K2Oは、Na2Oに比して高価な原料であるため、5%を超えるのは好ましくない。
(SO3
SO3はガラス組成物の清澄を促進する成分である。SO3が0.05%未満では通常の熔融方法では清澄効果が不十分となり、0.5%を超えると、その分解により生成するSO2が泡としてガラス板に残留したり、リボイルにより泡が発生したりすることがある。リボイルとは、一旦清澄したガラス融液が、再度発泡する現象である。SO3のより好ましい範囲は、0.05〜0.25%である。
(薄膜つきガラス基板)
本発明の製造方法によるガラス基板は、光電変換装置の一部として用いるのに適した特性を有する。このガラス基板と光電変換素子とを一体に形成してもよい。この場合、ガラス基板には、透明導電膜を含む薄膜を成膜しておき、その透明導電膜上に薄膜半導体層を含む光電変換素子、裏面電極となる膜を順次形成するとよい。
なお、本発明の製造方法によるガラス基板は、カバーガラスとして用いてもよい。カバーガラスとは、別個に製造された光電変換素子を覆い、機械的衝撃や、風雨などによる化学的な侵食から、その素子を保護し、同時に入射光をその素子に到達させる役割を担うものである。この場合、ガラス基板には、上述の薄膜を成膜しなくてもよい。
(導電膜)
導電膜としては、酸化スズ、酸化インジウムや酸化亜鉛を主成分とする薄膜などを用いることが好ましい。特に、フッ素や塩素などのハロゲン,アンチモンなどの不純物を添加した酸化スズを主成分とする薄膜が適している。本明細書の薄膜において、「主成分」とは、50質量%以上を占める成分をいう。透明導電膜のシート抵抗は、5〜15Ω/□(スクエア)が好ましい。この値を考慮すると、導電膜の好ましい膜厚は500〜2000nmであり、より好ましくは500〜1500nmである。
(下地膜)
本発明のガラス基板の好ましい製造方法では、フロートガラス板のトップ面と導電膜との間に、下地膜を形成する。好ましい下地膜の例として、屈折率1.6〜2.5,厚さ5〜100nmの第1下地層と、屈折率1.4〜2.0,厚さ5〜100nmの第2下地層とを、ガラス板側からこの順に積層した、2層構成の下地膜を挙げる。この下地膜は、トップ面での反射率を低減し、導電膜を含む薄膜によって生じる反射干渉色を低減させる役割を果たす。さらに、この下地膜は、アルカリバリアとしても働く。フロートガラス板に含まれるアルカリ成分は、この下地膜によって、その移動を遮られる。アルカリ成分が導電膜中へ拡散することがないので、導電膜の導電性が低下してしまう虞がない。
フロートガラス板に接する第1下地層は、酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛および酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものであることが好ましい。第2下地層は、酸化ケイ素,酸化アルミニウム,シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物および酸化スズからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものであることが好ましい。下地膜が薄すぎる場合は、上述のアルカリバリア効果が十分に発揮されない。一方、下地膜が厚すぎると、トップ面での反射率低減効果が不十分になり、基板の透過率が低下する。
さらに、第2下地層が酸化ケイ素を主成分とする膜であって、導電層が酸化スズを主成分とする膜である場合、第2下地層と導電層との間に、バッファ層を設けてもよい。このバッファ層は、薄い酸化スズ膜からなり、導電層の透明性をより向上させる効果を持つ。
(成膜方法)
上述の導電層や下地膜を形成する方法としては、真空蒸着法,スパッタリング法,塗布法,および熱分解酸化反応を伴う化学蒸着法などが挙げられる。特に、化学蒸着法のうち、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法あるいは溶液スプレー法、分散液スプレー法、粉末スプレー法等のスプレー法を用いることが好ましい。これらの方法によると、薄膜の生産性が高く、形成された薄膜の耐久性が優れ、薄膜を形成したガラス板の風冷強化や化学強化が可能だからである。さらに、膜厚の均一性やガラスの歪を主に考慮すると、トータル的にはCVD法が優れている。
CVD法においては、気体状態のスズ原料と反応性気体とが基板近傍で反応するように別々の経路で供給してもよく、あらかじめそれらを混合して基板近傍へ供給してもよい。また、スズ原料と反応性気体を個別の経路で供給する場合、さらに不活性ガスを別の経路で供給することによって、スズ原料と反応性気体との反応を、さらに基板表面に近い場所で行なわせてもよい。
CVD法で各金属酸化物薄膜を形成する場合、一般的には、ガラス板を切断し、そのガラス板を例えば615℃以上に加熱し、そのガラス板の表面に、ガス状の薄膜原料を吹き付けて成膜する。しかし、そのような方法で成膜する場合、常温のガラス板を加熱するなどの工程が増えてしまう。そこで、ガラス成形時、特にフロート成形時の熱エネルギーを利用して、高温のガラスリボン上にCVD法で成膜する、いわゆるオンラインCVD法を用いるとよい。この製法では、その温度は、ガラスリボンの成形温度領域、つまり620〜750℃程度以上と高温である。さらに、このCVD法をフロートバス内で行なうと、一般にピンホールと呼ばれる膜抜けの欠点を少なくできる、という利点がある。
(オンラインCVD)
図1にオンラインCVD法を実施するための装置の模式図を示す。この装置では、まず、熔融炉(フロート窯)11からスズフロート槽(フロートバス)12内に、熔融ガラスを流し込む。流し込んだ熔融ガラスは、スズ浴15上で帯状のガラスリボン10に成形される。スズフロート槽内には、このガラスリボン10の表面から、所定距離を隔てて所定個数のコータ16(図示した形態では3つのコータ16a,16b,16c)が、配置されている。これらのコータからは、ガス状の原料を供給し、ガラスリボン10上に連続的に薄膜を形成していく。また、複数のコータを利用すれば、ガラスリボン10上に、下地膜および透明導電膜とを連続的に形成することもできる。薄膜形成後は、ガラスリボン10を、ローラ17により引き上げて、徐冷炉13へと送り込む。なお、徐冷炉13で徐冷されたガラスリボンは、図示を省略する切断装置により、所定の大きさのガラス板へと切断される。
なお、オンラインCVD法とスプレー法とを併用して透明導電膜を形成してもよい。例えば、オンラインCVD法とスプレー法とをこの順に実施することも可能である。例えば、フロートバス内においてCVD法による成膜を実施し、ガラスリボン進行方向のフロートバスより下流側において、スプレー法による成膜を実施する。さらに、CVD法を徐冷炉で行なうこともできる。
(スズ原料)
CVD法やスプレー法で使用できるスズ原料としては、塩化第一スズや塩化第二スズが挙げられるが、前者と比較すると後者は取り扱いが容易で、安定性も高いため、塩化第二スズが好ましい。また、ジメチルスズジクロライドやモノブチルスズトリクロライドのような有機スズ化合物は、塩化第二スズよりも反応性が低いことから、穏やかに反応を進行させることができ、高品質な薄膜を得ることができる点で好ましい。
(酸化原料)
金属酸化物薄膜を形成させる場合の反応性気体を、酸化原料と呼ぶ。酸化原料としては、水蒸気や酸素を組み合わせて使用することが望ましい。水蒸気は塩化物のスズ原料を加水分解反応によって分解するのに都合がよい。また、酸化原料として、その他に空気,メチルアルコールやエチルアルコールなどのアルコール類を用いることもできる。
(導電性向上のための添加成分)
透明導電膜の導電性を向上させるには、アンチモンやフッ素の化合物を添加することが好ましい。アンチモンの化合物としては、三塩化アンチモンや五塩化アンチモンなどが、フッ素化合物としては、フッ化水素やトリフルオロ酢酸,ブロモトリフルオロメタンおよび/またはクロロジフルオロメタンなどが挙げられる。さらに導電性を高めるには、フッ素の添加が好ましい。透明導電膜中の好ましいフッ素濃度は、0.2質量%以下である。このとき透明導電膜の屈折率は約1.9となる。なお、この透明導電膜には、ケイ素,アルミニウム,亜鉛,銅,インジウム,ビスマス,ガリウム,ホウ素,バナジウム,マンガンおよび/またはジルコニウムなど他の微量成分が含まれていてもかまわない。ただし、これら微量成分の含有量を0.02質量%以下とすることが好ましい。
(酸化ケイ素膜原料)
下地膜として酸化ケイ素を主成分とする薄膜をCVD法で形成する場合、ケイ素原料としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、1,2−ジメチルシラン、1,1,2−トリメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシランなどのシラン類、テトラメチルオルトシリケートおよび/またはテトラエチルオルトシリケートなどを用いればよい。この場合の酸化原料としては、酸素,水蒸気,乾燥空気,二酸化炭素,一酸化炭素,二酸化窒素および/またはオゾンなどが挙げられる。なお、上述のシラン類がガラス表面に到達するまでに反応してしまわないように、エチレン,アセチレンまたはトルエンなどの不飽和炭化水素ガスを併用してもよい。
(酸化アルミニウム原料)
下地膜として酸化アルミニウムを主成分とする薄膜をCVD法で形成する場合、アルミニウム原料としては、トリメチルアルミニウム,アルミニウムトリイソポプロポキサイド,塩化ジエチルアルミニウム,アルミニウムアセチルアセトネートおよび/または塩化アルミニウムなどを用いればよい。この場合の酸化原料としては、酸素,水蒸気および/または乾燥空気などが挙げられる。
以下、実施例により本発明の光電変換装置用ガラス基板をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
ガラス基板をなすガラス組成物の組成が表1となるように、通常のガラス原料を調合してバッチを製造し、このバッチをガラス熔融窯で熔融して熔融ガラスとした。この熔融ガラスをフロートバスに流し込み、ガラスリボンを厚さ約4mmに成形した。このガラスリボンを徐冷炉で冷却し、さらに下流側で切断した。こうしてフロートガラス板を得た。
Figure 2006206400
(Na2O溶出量の評価方法)
フロートガラス板のアルカリ主成分は酸化ナトリウムであるので、アルカリ溶出量の指標を、Na2O溶出量で評価した。具体的には、ガラス内部から、恒温恒湿試験期間中に、表面に拡散してくるナトリウムイオン量を測定し、その拡散してくるナトリウムイオン量を、ガラス基板の単位表面積あたりの量に換算した。その換算した量を、上述のNa2O溶出量とした。
恒温恒湿試験は、以下のように行なった。被試験ガラス基板を、10cm角のガラス試片に切断した。このガラス試片の両側の主平面を、エタノールを含浸させたガーゼで清拭することによって、主表面が撥水性を示さなくなるまで清浄化した。清浄化したガラス試片に、温流水洗浄と蒸留水洗浄を行ない、1日間風乾した。乾燥させたガラス試片の切断面,および評価の対象としない側の主平面を、防湿性樹脂からなるテープで被覆し、評価対象の主平面のみが大気に触れるようにして、恒温恒湿試片を作製した。
この恒温恒湿試片を、温度80℃,相対湿度80%になるように設定した恒温恒湿槽内に3週間保持した。保持した後の試片の表面には、恒温恒湿試験期間中に、ガラス試片に含まれるナトリウムイオンがガラス内部からガラス表面に拡散し、肉眼では確認できない程度の量の水酸化物や炭酸塩として析出している。この析出したナトリウムイオンの量を定量し、試片の表面1cm2当りのNa2O溶出量(μg/cm2)を求めた。定量の方法は以下のとおりである。精密分析用硝酸(硝酸50%溶液)の3mLを、純水で1000mLに希釈した硝酸で、この試片表面を洗浄した。この洗浄液に含まれるナトリウムイオン濃度を原子吸光分析によって定量分析し、大気に暴露した試片の面積と洗浄液の体積とから、Na2O溶出量を算出した。
[第1の実施形態]
この実施形態は、スズ層の一部の除去を、遊離砥粒懸濁液を用いた湿式研磨によって行なうものである。
(実施例1)
上述のフロートガラス板から10cm角のガラス試片を切り出し、そのボトム面を研磨した。研磨に用いた遊離砥粒含有懸濁液には、酸化セリウムを主成分とする研磨砥粒(三井金属鉱山(株)製,ミレーク)を、含有量が質量%表示で10%になるように精製水に懸濁させて用いた。また、研磨装置の研磨盤に貼付する研磨パッドには、スエードタイプのポリウレタンパッド(東レコーテックス株式会社、型番CIEGAL1900W)を用いた。研磨装置には、卓上型ラップ盤(ラップマスターSFT株式会社、型番LM15E)を用いた。この研磨装置の研磨盤は直径40cmで、回転数を1回転毎秒(60rpm)に設定して用いたので、研磨パッドと被研磨体の平均相対運動速度は0.63m/sである。
上述の装置を用い、上述のガラス試片に対して12.26kPa(125gf/cm2)の圧力を印加し、ボトム面を研磨し、厚さ100nmだけ除去した。研磨した後の試片を、精製水でシャワー洗浄および超音波洗浄し、乾燥させ、評価に供した。
(反射率の測定)
上述の試片について、研磨処理を施したボトム面,およびトップ面の反射率をそれぞれ測定した。反射率の測定には、島津製作所製UV−3100型分光光度計を用いた。反射率は、反射角8°における、CIE標準のC光源に対する波長400〜800nmの平均反射率として評価した。その結果、研磨処理を施したボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値は、0.15%であった。
(Na2O溶出量の評価)
さて、本実施例の試片の、研磨処理を行なったボトム面について、上述の方法で清拭、恒温恒湿試験、Na2O溶出試験を行なった。Na2O溶出量は、表2に示すとおり、0.10μg/cm2だった。
Figure 2006206400
(実施例2,3、比較例1,2)
実施例1と同様に、上述のフロートガラス板から10cm角のガラス試片を切り出し、そのボトム面を研磨した。ただし、表2に示すとおり、除去厚みを、実施例2については50nm、実施例3については230nm、比較例1については350nm、比較例2については5nmとした。
実施例1と同様にして、反射率を測定したところ、研磨処理を施したボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値は、表2に示すとおり、実施例2および実施例3についてはそれぞれ0.20%,0.10%だった。しかし、比較例1については0%で、比較例2については0.29%だった。
この試片のボトム面に対して、実施例1と同様のNa2O溶出試験を行なった。表2に示すとおり、実施例2および実施例3のNa2O溶出量はそれぞれ0.08μg/cm2および0.12μg/cm2、比較例1および比較例2については、1.32μg/cm2および0.02μg/cm2だった。
[第2の実施形態]
この実施形態は、スズ層の一部の除去を、フッ酸含有薬液を用いた湿式エッチングによって行なうものである。
(実施例4)
実施例1と同様に、上述のフロートガラス板から10cm角のガラス試片を切り出した。そのガラス試片の、ボトム面を除いた全ての面を、耐酸性粘着テープで被覆し、ボトム面のみが薬液に触れるようにした。フッ酸含有薬液には、フッ酸を0.1質量%含有する水溶液を用いた。50℃に保持したこの薬液に、上述の被覆したガラス試片を2分間浸漬し、エッチングした。このエッチングにより、ボトム面の最表面から10nmだけ除去された。エッチングした後の試片を、純水で超音波洗浄し、被覆を剥離し、乾燥させ、評価に供した。
実施例1と同様にして、反射率を測定したところ、エッチングしたボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値は、表2に示すとおり、0.25%であった。
この試片のボトム面に対して、実施例1と同様のNa2O溶出試験を行なった。表2に示すとおり、Na2O溶出量は0.05μg/cm2だった。
(実施例5、比較例3,4)
実施例1と同様に、上述のフロートガラス板から10cm角のガラス試片を切り出し、そのボトム面に実施例4と同じフッ酸含有薬液によりエッチングした。ただし、薬液への浸漬時間を、実施例5では6分、比較例3では70分、比較例4では40秒とした。このエッチングによる除去厚みは、実施例5については30nm、比較例3については350nm、比較例4については3nmである。
実施例1と同様にして、反射率を測定したところ、エッチングしたボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値は、表2に示すとおり、実施例5,比較例3および比較例4について、それぞれ0.23%,0%および0.29%だった。
この試片のボトム面に対して、実施例1と同様のNa2O溶出試験を行なった。Na2O溶出量は、表2に示すとおり、実施例5,比較例3および比較例4について、それぞれ0.06μg/cm2,1.40μg/cm2および0.02μg/cm2だった。
(比較例5)
実施例1と同様に、上述のフロートガラス板から10cm角のガラス試片を切り出した。このガラス試片面を、精製水でシャワー洗浄および超音波洗浄し、乾燥させ、評価に供した。
この試片のボトム面とトップ面との反射率の差の絶対値は、0.30%であり、Na2O溶出量は、0.02μg/cm2だった。
(ガラス基板としての適性の判定)
表2に示す評価結果から、実施例1〜5のガラス試片は、反射率の差の絶対値が小さく、かつNa2O溶出量も小さいため、光電変換装置用ガラス基板として適している。一方、比較例1および3のガラス試片は、Na2O溶出量が大きすぎ、また比較例2,4および5のガラス試片は、反射率の差の絶対値が大きすぎるため、光電変換装置用ガラス基板として適していない。この判定結果から、本発明では、反射率の差の絶対値の範囲を、0.10〜0.25%の範囲と規定した。
本発明の製造方法によるガラス基板は、高い可視光透過率と低いアルカリ溶出量が望まれる光電変換装置以外の用途、例えば情報表示装置用ガラス基板や、乗り物の窓ガラスなどの用途に、多大な利用価値を有する可能性がある。
フロートバスでCVD法を実施するための装置の概略を示す図である。
符号の説明
10 ガラスリボン
11 熔融炉(フロート窯)
12 フロートバス(スズフロート槽)
13 徐冷炉
15 スズ浴
16(16a、16b、16c) コータ
17 ローラ

Claims (10)

  1. 熔融金属スズ浴を用いたフロート法によるガラス素板を用いたガラス基板の製造方法において、
    前記ガラス素板のボトム面の最表面に存在するスズの陽イオンを含有する層の一部を、その厚み方向に除去する工程によって、ボトム面とトップ面との可視光反射率の差の絶対値を、0.10〜0.25%の範囲にすることを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記除去工程が、研磨および/またはエッチングによるものである請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記研磨には、遊離砥粒の懸濁液を用いる請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記エッチングには、フッ酸を含む薬液を用いる請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
  5. さらに、前記ガラス素板のトップ面に、1層以上の透明導電膜を含む薄膜を形成する請求項1〜4の何れか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記透明導電膜が1層以上の酸化スズ膜を含んでなり、前記透明導電膜を含む薄膜を、化学気相成長法を用いて、前記ガラス素板の成形用熔融金属スズ槽内で形成する請求項5に記載のガラス基板の製造方法。
  7. さらに、前記ガラス素板のトップ面と前記透明導電膜との間に、1層以上の下地膜を形成する請求項6に記載のガラス基板の製造方法。
  8. 前記薄膜を形成した後に、前記除去工程を行なう請求項6〜7の何れか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法によって製造されたガラス基板を用いた光電変換装置用ガラス基板。
  10. 請求項9に記載の光電変換装置用ガラス基板を用いた光電変換装置。
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