JP2003231968A - 基板、基板の製造方法および基板を用いた光電変換装置 - Google Patents
基板、基板の製造方法および基板を用いた光電変換装置Info
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- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
るために、光閉じ込め効果を発揮するための最適な凹凸
形状を備え、かつ、可視光短波長域の吸収が少ない透明
導電膜を備える基板を提供する。さらには、その基板を
用いた光電変換装置を提供する。 【解決手段】 膜厚250nm以下のバッファ層と、塩
化スズを原料として熱分解法により形成した透明導電膜
とをこの順で備えた基板。透明導電膜は、400〜70
0nmの波長域において、吸収係数が1×103cm-1
以下であって、吸収係数の最大値が最小値の1.7倍以
下であり、シート抵抗が15Ω/□以下である。基板と
バッファ層との間に、屈折率1.6〜2.5、厚さ5〜
100nmの第1下地層と、屈折率1.4〜2.0、厚
さ5〜100nmの第2下地層とからなる下地膜を備え
る基板。
Description
どに使用される透明導電膜を備える基板に関する。さら
には、その製造方法およびそれを用いた光電変換装置に
関する。
にして、太陽電池が注目を集めている。太陽電池には様
々なタイプがあり、中でも省資源の点から薄膜太陽電池
が今後主流になると考えられている。薄膜太陽電池の一
般的な構成は、つぎの通りである。ガラス板などの透明
基板上に、酸化スズ(SnO2)などからなる透明導電膜、ア
モルファスシリコンやアモルファスシリコンゲルマニウ
ムなどの非晶質半導体からなる光電変換層、ならびに導
電膜を順次積層した構造である。
求められ続けており、そのための技術が種々開発され実
用化されている。その代表的なものは、透明導電膜の表
面を凹凸化することにより、そこで入射光を散乱させ
て、光電変換層における光路長を長くするいわゆる光閉
じ込め効果を発揮させる技術である。このような透明導
電膜の表面凹凸は、酸化スズの結晶成長に由来するもの
である。酸化スズ膜の結晶粒を大きく成長させるには、
高い温度で成膜を行うおよび/または膜を厚くすること
が効果的である。たとえば、特許文献1には、SnCl4、H
2O、CH3OHおよびHFを原料として常圧化学的気相成長法
により形成され、表面に突起を多数有する電導膜太陽電
池基板が記載されている。
には、光電変換層への入射光量を増やすことが不可欠で
あり、入射光の反射率を低減させる技術や透明導電膜で
の吸収率を低減させる技術が開発されている。たとえ
ば、特許文献2では、太陽電池が有効利用できる波長域
における吸収係数を低くおさえた酸化スズ膜が提案され
ている。
原料として、酸化スズ膜の結晶粒をより発達させること
と、その成膜速度を速くして生産性を向上させることと
を目的とした特許文献1では、615℃よりも高い温度
のガラス基板の表面に、熱分解法で厚さ350nm以上
の透明導電膜を形成している。このような高温で成膜さ
れた場合、面内に結晶粒が均一に形成されないため、ヘ
イズが非常に高く白濁した透明導電膜になる。この透明
導電膜上にアモルファスシリコン層を形成して光電変換
装置を構成すると、光電変換層であるアモルファスシリ
コン膜が均一に形成されず、太陽電池の効率が低くなる
という問題があった。
ルスズジクロライドやモノブチルスズトリクロライドを
使用した場合には、白濁することはないものの、地上に
届く太陽光スペクトルの光量の大きい400〜700n
mの波長域とくにその短波長側での吸収率が大きくなる
ため、結局太陽電池の光電変換層への入射光量が少なく
なるという問題があった。たとえば、特許文献2に、ジ
メチルスズジクロライドやモノブチルスズトリクロライ
ドを原料とした酸化スズ膜の吸収係数が記載されている
が、その吸収係数は波長600〜700nm程度で最低
となり、400nmでの吸収係数は前記範囲の1.8倍
以上になっている。
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、太陽電池の光電変換層への入射光量を多く
するために、光閉じ込め効果を発揮するための最適な凹
凸形状を備え、かつ、可視光短波長域の吸収が少ない透
明導電膜を備える基板を提供することにある。さらに
は、その基板を用いた光電変換装置を提供することにあ
る。
存する問題点を解決するために、請求項1に記載の発明
の基板は、膜厚250nm以下のバッファ層と、塩化ス
ズを原料として熱分解法により形成した透明導電膜とを
この順で備えたものである。
に記載の発明において、透明導電膜の400〜700n
mの波長域における吸収係数が1×103cm-1以下で
あって、吸収係数の最大値が最小値の1.7倍以下であ
り、シート抵抗が15Ω/□以下のものである。
または2に記載の発明において、基板とバッファ層との
間に、屈折率1.6〜2.5、厚さ5〜100nmの第
1下地層と、屈折率1.4〜2.0、厚さ5〜100n
mの第2下地層とからなる下地膜を備えるものである。
に記載の発明において、下地膜の表面が平滑でないもの
である。
〜4のいずれか1項に記載の発明において、透明導電膜
の膜厚が1,000nm以下で、かつ、ヘイズ率が12
%以上のものである。
いずれか1項に記載の基板の製造方法であって、表面温
度615℃以上のガラスリボン上に、塩化第二スズを原
料として熱分解法により透明導電膜を形成するものであ
る。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板を用いたもの
である。
いて、詳細に説明する。なお、以下の実施の形態に限定
するものではない。
板などの透明基板上に塩化スズを原料として熱分解法に
より透明導電膜を形成する場合に、膜厚250nm以下
のバッファ層を予め形成しておくと、透明導電膜が白濁
の高ヘイズ状態とならないことを見いだした。この現象
は、つぎのようにして発現するものと考えられる。塩化
スズは、ジメチルスズジクロライドやモノブチルスズト
リクロライドなどの有機スズ化合物に比べ反応性が高い
ため、熱分解法においてその反応がより活性化される高
温状態において、ガラス板や酸化ケイ素膜のような非晶
質膜上に直接供給された場合には、その表面上に均一に
結晶核が生成されず、局所的に形成された結晶核が起点
となって結晶成長が進行し、その結果巨大な結晶粒子が
形成される。そして、この巨大な結晶粒子が、巨視的に
は白濁状の高ヘイズ状態を呈する。これに対し、透明基
板上にバッファ層を予め形成しておけば、そのバッファ
層の表面が結晶成長の起点として機能し、同時に多数の
結晶成長が進行するようになることから、巨大な結晶粒
子が形成されなくなり、透明導電膜が白濁状の高ヘイズ
状態にならない。
金属を主成分とする薄膜であって、その上に形成される
透明導電膜の結晶成長の起点となる部分を多く含むもの
であるから、少なくとも透明導電膜よりも平滑な表面を
有し、さらにその表面に金属酸化物または金属の結晶に
由来する多数の微小凹凸を備える必要がある。金属酸化
物としては、とくに限定されるものではないが、酸化ス
ズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたはイ
ンジウムをドープした酸化スズ(ITO)などが挙げられ
る。また、金属としては、スズ、チタン、シリコンまた
はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも酸化
スズを主成分とするバッファ層であれば、透明導電膜と
主成分が共通するため、透明導電膜の形成において結晶
成長の起点がより多くなり、その厚さにバラツキが生じ
難くなる。さらに、バッファ層と透明導電膜との接着強
度が増し、この基板および光電変換装置の耐久性および
耐候性が向上する。なお、「主成分」とは、慣用に従
い、組成成分含有率で50質量%以上の状態を指す。
うことができるように、10nm以上であることが望ま
しい。厚さが10nm未満では、基板の表面全体を覆う
ことが困難となる。一方、あまり厚すぎると、バッファ
層の表面の微小凹凸が大きくなり、透明導電膜の均一性
に影響を与えるため、250nm以下、さらには150
nm以下であることが好ましい。この点については、基
板もしくは下地膜の表面状態と密接に連関するので後に
詳述する。
で形成される場合は、透明導電膜の成膜速度よりも成膜
速度を遅くすることにより形成される。たとえば、化学
蒸着法(CVD法)により透明導電膜を形成する場合
は、透明導電膜形成時の反応系温度よりも低い温度で成
膜する、あるいは透明導電膜の原料よりも反応性の低い
原料を使用する、あるいは透明導電膜の原料よりも濃度
の薄い原料を使用することにより形成される。また、フ
ロート法におけるフロートバス内のガラスリボン上にC
VD法により同じ原料を使って成膜する場合には、バッ
ファ層の膜厚を透明導電膜よりも薄くすることで成膜速
度を遅くできる。バッファ層自体の成膜速度は遅くて
も、その厚さは250nm以下と透明導電膜よりも相当
薄いので、透明導電膜を含めた全体の成膜速度が著しく
低下することはない。むしろバッファ層の存在により、
透明導電膜の成膜速度を速くできるので、バッファ層を
比較的薄く、かつ、透明導電膜をより高温でより速く形
成すれば、全体の成膜速度を速めることができる。バッ
ファ層は、透明導電膜の成膜方法と異なる方法で形成し
てもよく、たとえば粉末スプレー法を用いて、基板表面
に均一に微小紛体を塗布して形成してもよい。
くするための布石として、その成膜速度を代償にする。
しかし、CVD法によりバッファ層を形成する場合に
は、バッファ層を形成する面すなわち基板の表面または
下地膜の表面を荒らすことにより、その成膜速度を速く
することができる。たとえば、基板がガラス板であれ
ば、ガラス板を酸溶液ないしアルカリ溶液に所定時間浸
漬することにより、その表面をナノメートルオーダーで
荒らすことができる。また、基板上に下地膜を形成する
場合には、結晶性の下地膜にすることにより、その表面
に微小な凹凸を形成することができる。このように、バ
ッファ層を形成する面が荒らされた状態すなわち平滑で
ない状態であれば、CVD法において、バッファ層が透
明導電膜の成膜速度を速めるのと同様に、前記平滑でな
い面がバッファ層の成膜速度を速める。
域において、吸収係数が1×103cm-1以下であっ
て、吸収係数の最大値が最小値の1.7倍以下であり、
かつ、シート抵抗が15Ω/□(スクエア)以下であるこ
とが、太陽電池用の透明導電膜として望ましい。400
〜700nmの波長域は地上に届く太陽光スペクトルの
光量の大きい領域であり、太陽電池の光電変換効率を高
めるには、重要視すべき波長域である。この波長域全域
での透明導電膜の吸収を低減させることは、光電変換層
に入射する光量を増加させることにつながる。本発明者
らが検討したところ、塩化スズを使い高温でガラス板上
に酸化スズ膜を形成した場合、余分な不純物成分が添加
されないため、400〜700nmの波長域での酸化ス
ズ膜の吸収を低減させることができた。透明導電膜は太
陽電池の電極の役割も果たすため、シート抵抗は低い方
が好ましいが、従来のものでは、シート抵抗を低下させ
ると自由電子の吸収により長波長域での吸収が増大する
とともに短波長域での吸収も増加していた。塩化スズを
使用して高温で基板上に酸化スズ膜を形成した場合、1
5Ω/□以下のシート抵抗を保ちながら、400〜70
0nmの波長域での酸化スズ膜の吸収係数が1×103
cm-1以下であって、吸収係数を最大値が最小値の1.
7倍以下となるように低減させることができる。
化すれば、光閉じ込め効果が奏されるようになり、太陽
電池に代表される光電変換装置の光電変換効率を向上さ
せることができる。この凹凸化の手段として、従来は透
明導電膜を厚く形成していた。透明導電膜は、酸化スズ
を主成分とするため結晶性であり、厚くなるほど個々の
結晶が大きくなり、その表面凹凸も大きくなる。しか
し、透明導電膜が厚くなれば、上記のように吸収の問題
が生じる。そこで、透明導電膜には、薄く、かつ、表面
凹凸が比較的大きくて均一であることが要求される。こ
のような透明導電膜を形成するには、バッファ層を厚く
することが有効である。バッファ層を厚くすれば、その
表面の微小凹凸を大きくすることができ、その上に形成
される透明導電膜は前記大きめの微小凹凸を結晶成長の
起点とするので、透明導電膜を薄くしつつも、その表面
凹凸を大きくすることができる。しかし、バッファ層の
微小凹凸が必要以上に大きくなると、上述のように透明
導電膜が白濁する、あるいは透明導電膜を高速で成膜で
きても、バッファ層を含めた全体での成膜速度が遅くな
るなど種々の問題が生じる。そのため、バッファ層は、
一概に厚ければよいというものではなく、その厚さの好
適範囲は、透明導電膜の表面凹凸を適度に大きくできる
範囲に限られる。すなわち、バッファ層の厚さは、25
0nm以下である必要があり、100〜200nmが好
適であり、140〜150nmが最適である。参考まで
に、ガラス基板の上に酸化スズからなる第1下地層、酸
化ケイ素からなる第2下地層および酸化スズからなるバ
ッファ層をこの順でCVD法により形成したサンプルに
ついて、そのバッファ層を走査型電子顕微鏡(SEM)
を用いて伏角30°で撮影した写真を白黒2値に画像処
理したものを図2〜4に示す。図2はバッファ層が90
nmの場合、図3はバッファ層140nmの場合、図4
はバッファ層が190nmの場合であって、これらはバ
ッファ層の厚さが異なる以外は同一の構成である。図2
〜4の対比から明らかなように、バッファ層が厚くなる
ほど、その表面の微小凹凸が大きくなることが判る。ま
た、バッファ層の上に形成される透明導電膜は、バッフ
ァ層の表面形状に対応して、その表面凹凸が大きくなる
ものと容易に予想される。
〜15Ω/□が好ましい。この値を考慮すると、導電膜
の好ましい膜厚は500〜2,000nmである。しか
し、上述のように可視光の吸収を考慮すれば、より好ま
しい膜厚は500〜1,000nmである。
1.6〜2.5、厚さ5〜100nmの第1下地層と、
屈折率1.4〜2.0、膜さ5〜100nmの第2下地
層とからなる下地膜を形成すると、反射率を低減するこ
とができ、光電変換装置の光電変換層への入射光量を増
加させることができる。この下地膜は、反射率および反
射干渉色を低減させる役割の他に、基板がアルカリ成分
を含有するガラス板であれば、そのアルカリ成分がバッ
ファ層および透明導電膜中に拡散して、それらの導電性
を低下させることをおさえる役割も果たす。基板に接す
る第1下地層は、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛およ
び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも
一種を主成分とするものであることが好ましい。バッフ
ァ層に接する第2下地層は、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物および酸化
スズからなる群より選ばれる少なくとも一種を主成分と
するものであることが好ましい。下地膜が薄すぎる場合
は、上記アルカリ成分の拡散防止機能が十分に発揮され
ない。一方、厚すぎると、反射率低減効果がなくなり透
過率が低下する。
タンを主成分とする結晶性の薄膜である場合は、その厚
さを厚くするほど、結晶成長に由来する表面凹凸を大き
くすることができる。第1下地層の表面凹凸は、第2下
地層の表面に反映されるため、第1下地層を40〜10
0nmと厚めにし、一方緻密で非晶質の第2下地層を5
〜50nmと薄くすることにより、下地膜の表面凹凸を
大きくしつつ、さらにガラス板に含まれるアルカリ成分
がバッファ層および透明導電膜中に拡散することを確実
に防止できる。
ス板である場合、第1下地層を熱分解法で形成する際
に、ハロゲンを含有する原料を用いることにより、第1
下地層の表面に結晶成長に由来する凹凸よりも大きな凸
部ないし凹部を形成することができる。この比較的大き
な凸部ないし凹部ついて、ガラス板のアルカリ成分と第
1下地層の原料に含まれるハロゲンとが反応して、アル
カリ−ハロゲン粒子が形成され、これが第1下地層中に
取り込まれることにより凸部が形成され、あるいは熱で
消失することにより凹部が形成される。この凸部および
凹部は、第2下地層の表面形状に反映される。したがっ
て、熱分解法により結晶性の第1下地層と非晶質の第2
下地層とを形成すれば、下地膜の表面形状に前記結晶成
長に由来する凹凸と前記凸部ないし凹部とを反映させる
ことができる。これはすなわち、下地膜を平滑でない表
面に加工できることと同義であり、このことから熱分解
法で前記下地膜を形成すれば、上述の通りバッファ層の
成膜速度を速めることができると言える。
して、切断されたガラス板を615℃より高温に加熱し
てもかまわないが、フロートガラス板製造工程における
ガラスリボンでは、ガラス温度がより高温となるため
に、この発明の効果がより有効に奏される。本発明者ら
が詳細に検討したところ、バッファ層がない状態で透明
導電膜を形成する場合、切断されたガラスやガラスリボ
ンなどの基板の温度を高くするほど、白濁状態の面積が
広がることを確認した。すなわち、透明基板または下地
膜の温度が高いほど、バッファ層の効果は増大する。
料は、気体状態の塩化スズと反応性気体を含むことが望
ましい。塩化スズと反応性気体とは、基板近傍で気体状
態であればよく、供給経路では液体状態または固体状態
であってもかまわない。すなわち、熱分解法としては、
塩化スズを気体状態で供給するCVD法が望ましいが、
途中経路が液体で供給する溶液スプレー法であっても、
固体状態で供給する粉末スプレー法であってもかまわな
い。また、CVD法においては、気体状態の塩化スズと
反応性気体が基板近傍で反応するように別々の経路で供
給してもよいし、気体状態の塩化スズと反応性気体の間
にセパレート用ガスを同時に供給してもかまわない。し
かし、気体状態の塩化スズと反応性気体が経路途中でプ
レミックスされている場合は、より広い面積でまたはよ
り低い温度で白濁状の高ヘイズ状態が発生するため、こ
の発明の利用が一層有効となる。プレミックスの場合
は、気体状態の塩化スズと反応性気体との混合が早いた
め、反応が早く起こり、バッファ層が存在しないと、透
明基体の表面全体に結晶成長の基点(この場合は主に結
晶核)が形成される前に、個々の結晶が急速に成長し
て、白濁状態を引き起こすと考えられる。
成膜の観点から、フロート法のガラス製造工程において
フロートバス内で成膜するオンラインCVD法が望まし
い。この製法においては、基板が熔融状態のガラスリボ
ンであるから、その温度は620〜750℃程度と高温
であり、気体状態の塩化スズを使って成膜するには、こ
の発明のバッファ層を使用する必要がある。
を図1に示す。この装置では、熔融炉(フロート窯)1
1からスズフロート槽(フロートバス)12内に流れ出
し、スズ浴15上を帯状に移動するガラスリボン10の
表面から所定距離を隔て、所定個数のコータ16(図示
した形態では3つのコータ16a,16b,16c)が
スズフロート槽内に配置されている。これらのコータか
らは、ガス状の原料が供給され、ガラスリボン10上に
連続的に薄膜が形成されていく。また、複数のコータを
利用すれば、ガラスリボン10上に、下地膜、バッファ
層および透明導電膜とを連続的に形成することもでき
る。薄膜形成後のガラスリボン10は、ローラ17によ
り引き上げられて、徐冷炉13へと送り込まれる。な
お、徐冷炉13で徐冷されたガラスリボンは、図示を省
略する切断装置により、所定の大きさのガラス板へと切
断される。
を併用して透明導電膜を形成してもよい。たとえば、オ
ンラインCVD法とスプレー法とをこの順に実施するこ
とも考えられる。(たとえば、フロートバス空間内にお
いてCVD法による成膜を実施し、フロートバス空間よ
りガラスリボン進行方向下流側においてスプレー法によ
る成膜を実施する)
塩化第一スズや塩化第二スズが挙げられるが、取り扱い
が容易でより安定性の高い塩化第二スズが望ましい。原
料は、バッファ層と透明導電膜とで同じものを使用して
もよいし、バッファ層の成膜速度を遅くすることなどを
目的として、異なるものを使用してもよい。たとえば、
ジメチルスズジクロライドやモノブチルスズクロライド
のような有機スズ化合物は、塩化第二スズよりも反応性
が低いことから、バッファ層の原料として好ましい。な
お、有機スズ化合物を透明導電膜の原料として使用する
ことも考えられるが、設備の簡素化を考えると、塩化第
二スズを用いるのが好ましい。
して気体状態の塩化第二スズを用い、反応性気体として
水蒸気を酸化原料として組み合わせて使用することが望
ましい。水蒸気は塩化第二スズを加水分解反応によって
分解するのに都合がよい。また、その他に酸素、空気、
メチルアルコールやエチルアルコールなどのアルコール
類を酸化原料として利用することもできる。さらに、水
蒸気とともにこれらの気体を組み合わせて使用してもよ
い。ちなみに、水蒸気と酸素を併用したり、水蒸気の濃
度を高めたりすることで、透明導電膜の波長600〜8
00nmにおける吸収係数を低減させることができる。
水蒸気と酸素とを併用する場合、水蒸気の濃度は30〜
70mol/L、酸素の濃度は5〜30mol/Lであることが好
ましく、水蒸気のみを使用する場合は、その濃度は40
〜95mol/Lが好適である。
ンチモンやフッ素の化合物を添加することが好ましい。
アンチモンの化合物としては、三塩化アンチモンや五塩
化アンチモンなどが、フッ素化合物としては、フッ化水
素やトリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタンおよ
び/またはクロロジフルオロメタンなどが挙げられる。
さらに導電性を高めるには、フッ素の添加が好ましい。
透明導電膜中の好ましいフッ素濃度は、0.2質量%以
下である。このとき透明導電膜の屈折率は約1.9とな
る。なお、この透明導電膜には、ケイ素、アルミニウ
ム、亜鉛、銅、インジウム、ビスマス、ガリウム、ホウ
素、バナジウム、マンガンおよび/またはジルコニウム
など他の微量成分が含まれていてもかまわない。ただ
し、これら微量成分の濃度は0.02質量%以下が好ま
しい。
り高温で、かつ、成膜速度が600nm/min以上の場合
に、白濁が発生し易く、その面積も広くなる。この発明
は、前記環境下での透明導電膜の形成において、その効
果を有効に発揮することができる。
する薄膜をCVD法で形成する場合、原料としては、モ
ノシラン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、
ジクロロシラン、1,2-ジメチルシラン、1,1,2-トリメチ
ルジシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、テトラメ
チルオルソシリケートおよび/またはテトラエチルオル
ソシリケートなどが挙げられる。また、この場合の酸化
原料としては、酸素、水蒸気、乾燥空気、二酸化炭素、
一酸化炭素、二酸化窒素および/またはオゾンなどが挙
げられる。なお、シランを使用する場合、ガラス表面に
到達するまでシランの反応を抑制する目的で、エチレ
ン、アセチレンまたはトルエンなどの不飽和炭化水素ガ
スを併用してもよい。
成分とする薄膜をCVD法で形成する場合、原料として
は、トリメチルアルミニウム、アルミニウムトリイソポ
プロポキサイド、塩化ジエチルアルミニウム、アルミニ
ウムアセチルアセトネートおよび/または塩化アルミニ
ウムなどが挙げられる。また、この場合の酸化原料とし
ては、酸素、水蒸気および/または乾燥空気などが挙げ
られる。
た基板を光電変換素子に利用する場合について、詳細に
説明する。基板上に、下地膜、バッファ層、透明導電
膜、アモルファスシリコンまたは結晶性シリコン薄膜な
どの光電変換層、さらに導電膜(裏面電極)を順次形成
すると、光電変換素子が得られる。また、光電変換素子
が組み込まれ、たとえば太陽電池として光エネルギーか
ら電気エネルギーを取り出せる状態にまで各部品が連関
してユニット化されたものを光電変換装置と称する。
何層か積層した構成であってもよい。また、従来のアモ
ルファスシリコン薄膜でもよいし、結晶性シリコン薄膜
であってもよい。さらに、アモルファスシリコン薄膜と
結晶性シリコン薄膜とを組み合わせていわゆるハイブリ
ッドタンデム型にしてもよい。ハイブリッドタンデム型
の場合、通常は透明導電膜の上にアモルファスシリコン
薄膜が形成され、その上に結晶性シリコン薄膜が形成さ
れる。
型の順にプラズマCVD法により各半導体層を堆積して
形成される。具体的には、導電型決定不純物原子である
ボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シ
リコン系層、光電変換を主に担う真性非晶質シリコン層
および導電型決定不純物原子であるリンが0.01%以
上ドープされたn型微結晶シリコン系層をこの順に堆積
したものが例示される。しかし、これら各層は上記に限
定されず、たとえばp型層に非晶質シリコン系層を用い
たり、p型微結晶シリコン系層において不純物原子にア
ルミニウムなどを用いてもよい。また、p型層として、
非晶質または微結晶のシリコンカーバイドまたはシリコ
ンゲルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。なお、
導電型(p型、n型)微結晶シリコン系層の膜厚は、3
〜100nmが好ましく、5〜50nmがさらに好まし
い。真性非晶質シリコン層の膜厚は、0.05〜0.5
μmが好ましい。ただし、アモルファスシリコン薄膜を
備えた光電変換素子では、真性非晶質シリコン層に代え
て、合金材料である非晶質シリコンカーバイド層(たと
えば10原子%以下の炭素を含有する非晶質シリコンか
らなる非晶質シリコンカーバイド層)または非晶質シリ
コンゲルマニウム層(たとえば30原子%以下のゲルマ
ニウムを含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコ
ンゲルマニウム層)を用いてもよい。真性非晶質シリコ
ン層は、プラズマCVD法において、基板温度を450
℃以下にして成膜することが好ましい。この層は、導電
型決定不純物原子の密度が1×1018cm−3以下で
ある実質的に真性半導体である薄膜として形成される。
シリコン薄膜と同様の手順でp−i−n型各半導体層を
この順にプラズマCVD法により堆積して形成されう
る。あるいは、シリコンを原料とした電子ビーム蒸着ま
たは水素ガスで希釈されたモノシランを原料としたグロ
ー放電を用いるプラズマCVD法、またはモノシランも
しくはジクロロシランを用いる熱CVD法によっても形
成されうる。結晶性シリコン薄膜の膜厚は、0.1〜1
0μm、とくに5μm以下が好ましい。この薄膜は、た
とえばプラズマCVD法では450℃以下の低温で形成
されるため、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または
不活性化させるための水素原子を比較的多く含んでい
る。層中の水素含有量は、0.5〜30原子%、とくに
1〜20原子%の範囲が好ましい。
場合は、光電変換装置の構成にもよるが、アモルファス
シリコン薄膜の厚さは0.05〜0.4μmが好まし
く、結晶性シリコン薄膜の厚さは0.5〜5μmが好ま
しい。
光感度特性は、概ね500〜600nmの波長域におい
て最大となり、光学的なエネルギーギャップにより80
0nm程度の波長域までしか感度をもたない。一方、結
晶性シリコン薄膜は、概ね1,100nm程度まで感度
を有する。
(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびクロム(Cr)から
選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも1層
の金属層をスパッタリング法または蒸着法により形成す
ることが好ましい。また、光電変換素子と裏面電極との
間に、ITO、酸化スズまたは酸化亜鉛などの導電性酸化
物からなる層を形成してもかまわない。
換素子は、アモルファスシリコン薄膜を備えたものと比
べ、発生する開放端電圧が低く、また発生する短絡電流
密度が高い。そのため、結晶性シリコン薄膜を備えた光
電変換装置においては、透明導電膜のシート抵抗値より
も透過率の方が、その光電変換効率により大きな影響を
及ぼす。
明する。ただし、以下の実施例に限定するものではな
い。
た厚さ4mmのソーダライムガラス板をメッシュベルト
に乗せて加熱炉を通過させ、約600℃にまで加熱し
た。この加熱したガラス板をさらに搬送しながら、搬送
路上方に設置したコータから、モノシラン、酸素および
窒素からなる混合ガスを供給し、ガラス板上に厚さ25
nmの酸化ケイ素薄膜(下地膜)を形成した。このガラ
ス板を徐冷した後に、再度メッシュベルトに載せて加熱
炉を通過させ、約620℃にまで加熱した。この加熱し
たガラス板をさらに搬送しながら、搬送路上方に設置し
たコータから、塩化第二スズ(蒸気)、酸素、水蒸気、
窒素からなる混合ガスを供給し、下地膜上に膜厚30n
mのバッファ層を成膜速度50nm/minで形成した。この
ガラス板を徐冷した後に、再度メッシュベルトに載せて
加熱炉を通過させ、約620℃にまで加熱した。この加
熱したガラス板をさらに搬送しながら、搬送路上方に設
置したコータから、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒
素およびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、バッフ
ァ層上に厚さ800nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:
F)からなる透明導電膜を成膜速度670nm/minで形成し
た。また、コータとガラス板の間隔を10mmにし、さ
らに排気部の横に窒素ガスをカーテン状に供給して透明
導電膜の形成中にコータ内部に外気が混入しないように
した。
て、積分球を用いてヘイズ率を測定したところ22%で
あり、白濁状の高ヘイズ状態はみられなかった。また、
反射率、吸収係数およびシート抵抗を下記「表1」に示
す。反射率は、ガラス板の透明導電膜を設けていない方
の面から波長400〜1,100nmの範囲で測定し、
10nmピッチの値を平均して求めた。吸収係数は、下
記の方法で400、500、600および700nmの
各波長の値を求めた。
た透明導電膜上に、屈折率が1.79のヨウ化メチレン
を塗布し、さらにその上に厚さ1mmのカバーガラス
(コーニング社製 #7059)を密着させて、透明導
電膜の表面凹凸による散乱ロスを解消したサンプルを作
製した。このサンプルの可視光域における透過率および
反射率を、分光光度計を用いて測定し、その結果から吸
収率を求めた。一方、前記下地膜のみを備えるソーダラ
イムガラス板にヨウ化メチレンを塗布し、その上から上
記カバーガラスを密着させて参照用サンプルを作製し、
この参照用サンプルについても上記と同様に可視光域に
おける吸収率を求めた。そして、サンプルの吸収率から
参照用サンプルの吸収率を差し引き、さらに多重反射を
考慮した方程式を解くことによって、導電膜の吸収係数
を求めた。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えるガラス板を作製した。ガラス板上に膜厚20nm
の酸化ケイ素薄膜(下地膜)を形成し、その上に膜厚1
00nmのバッファ層を成膜速度170nm/minで形成し
た。塩化第二スズ(蒸気)、酸素、水蒸気、窒素および
フッ化水素からなる混合ガスを供給し、バッファ層上に
厚さ720nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からな
る透明導電膜を成膜速度480nm/minで形成した。この
ガラス板は、ヘイズ率が17%であり、白濁状の高ヘイ
ズ状態はみられなかった。また、その反射率、吸収係数
およびシート抵抗を、下記表1に併せて示す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えるガラス板を作製した。塩化第二スズ(蒸気)、水
蒸気および窒素からなる混合ガスを供給し、下地膜上に
膜厚50nmのバッファ層を成膜速度510nm/minで形
成した。このバッファ層を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、酸化スズが下地膜上で粒状(実施例1のバッファ層
と比較して明らかに個々の結晶が大きい状態)となって
いることが確認された。塩化第二スズ(蒸気)、酸素、
水蒸気、窒素およびフッ化水素からなる混合ガスを供給
し、下地膜上に、厚さ950nmのフッ素含有酸化スズ
(SnO2:F)からなる透明導電膜を成膜速度8,120nm/
minで形成した。このガラス板は、ヘイズ率29%であ
ったが、白濁状の高ヘイズ状態はみられなかった。ま
た、その反射率、吸収係数およびシート抵抗を、下記表
1に併せて示す。
て、ガラスリボン上に下地膜、バッファ層および透明導
電膜をこの順で形成した。具体的には、フロートバス空
間内がバス外よりもやや高圧に維持されるように、フロ
ートバス空間内には98体積%の窒素と2体積%の水素
とを供給し、バス内を非酸化性雰囲気に保持しつつ、最
上流側に位置する第1のコータから、ジメチルスズジク
ロライド(蒸気)、酸素、窒素およびヘリウムからなる
混合ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ35nmの酸
化スズ薄膜(第1下地層)を形成した。引き続き、第2
のコータから、モノシラン、エチレン、酸素および窒素
からなる混合ガスを供給し、第1下地層上に厚さ25n
mの酸化ケイ素薄膜(第2下地層)を形成した。さら
に、第3のコータから、ジメチルスズジクロライド(蒸
気)、酸素、水蒸気および窒素からなる混合ガスを供給
し、表面温度690℃の第2下地層上に厚さ50nmの
酸化スズ(SnO2)からなるバッファ層を成膜速度1,2
50nm/minで形成した。さらに下流側に設置したコータ
を使って、ガラス温度630℃で塩化第二スズ(蒸
気)、水蒸気、窒素、ヘリウムおよびフッ化水素からな
る混合ガスを供給し、厚さ740nmのSnO2:Fからな
る透明導電膜を成膜速度18,500nm/minで形成し
た。このガラス板は、ヘイズ率が17%であり、白濁状
の高ヘイズ状態はみられなかった。また、その反射率、
吸収係数およびシート抵抗を、下記表1に併せて示す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製した。第1のコータから塩化第二
スズ(蒸気)、水蒸気、窒素およびヘリウムからなる混
合ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ45nmの酸化
スズ薄膜(第1下地層)を形成した。第3のコータか
ら、塩化第二スズ(蒸気)、酸素、水蒸気および窒素か
らなる混合ガスを供給し、表面温度680℃の下地膜上
に厚さ90nmの酸化スズ(SnO2)からなるバッファ層
を成膜速度1,830nm/minで形成した。さらに下流側
に設置したコータを使って、ガラス温度630℃で厚さ
690nmのSnO2:Fからなる透明導電膜を成膜速度7,
030nm/minで形成した。このガラス板は、ヘイズ率が
20%であり、白濁状の高ヘイズ状態はみられなかっ
た。また、その反射率、吸収係数およびシート抵抗を、
下記表1に併せて示す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えるガラス板を作製した。厚さ140nmの酸化スズ
(SnO2)からなるバッファ層を成膜速度2,850nm/mi
nで下地膜上に形成した。厚さ636nmのSnO2:Fから
なる透明導電膜を成膜速度6,470nm/minで形成し
た。このガラス板は、ヘイズ率が27%であったが、白
濁状の高ヘイズ状態はみられなかった。また、その反射
率、吸収係数およびシート抵抗を、下記表1に併せて示
す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えるガラス板を作製した。ガラスリボン上に厚さ80
nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成した。厚さ7
10nmのSnO2:Fからなる透明導電膜を成膜速度7,2
20nm/minでバッファ層上に形成した。このガラス板
は、ヘイズ率が25%であったが、白濁状の高ヘイズ状
態はみられなかった。また、その反射率、吸収係数およ
びシート抵抗を、下記表1に併せて示す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製した。厚さ670nmのSnO2:F
からなる透明導電膜を成膜速度6,820nm/minでバッ
ファ層上に形成した。このガラス板は、ヘイズ率が16
%であり、白濁状の高ヘイズ状態はみられなかった。ま
た、その反射率、吸収係数およびシート抵抗を、下記表
1に併せて示す。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製した。下地膜上にバッファ層を形
成することなく、フッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からな
る透明導電膜を形成した。このバッファ層を形成しなか
ったガラス板は、ガラス板の向こう側の物体の形状を認
識できないほどに、白濁した高ヘイズ状態であった。そ
のため、ヘイズ率、反射率、吸収係数およびシート抵抗
値の測定を行わなかった。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製した。下地膜上にバッファ層を形
成することなく、すなわち第3のコータについて混合ガ
スの供給を止めて、厚さ600nmのSnO 2:Fからなる
透明導電膜を成膜速度15,000nm/minで形成した。
このバッファ層を形成しなかったガラス板は、比較例1
と同様に、ガラス板の向こう側の物体の形状を認識でき
ないほどに、白濁した高ヘイズ状態であった。そのた
め、ヘイズ率、反射率、吸収係数およびシート抵抗値の
測定を行わなかった。
比較例1〜2で形成した透明導電膜上に、モノシランと
水素を原料としたプラズマCVD法により、厚さ0.3
μmのアモルファスシリコン薄膜を形成した。その後、
電子ビーム蒸着により厚さ300nmの銀薄膜(裏面電
極)を形成し、光電変換素子のサンプルを製造した。こ
のサンプルは、アモルファスシリコン薄膜を光電変換層
とする太陽電池の一般的な構成からなるものである。こ
れらのサンプルについて、公知の手段により光電変換効
率を測定した結果を下記表1に併せて示す。
例1〜2で形成した透明導電膜上に、モノシランと水素
を原料としたプラズマCVD法により厚さ2μmの結晶
性シリコン薄膜を形成した。その後、電子ビーム蒸着に
より厚さ300nmの銀薄膜(裏面電極)を形成し、光
電変換素子のサンプルを製造した。このサンプルは、結
晶性シリコン薄膜を光電変換層とする太陽電池の一般的
な構成からなるものである。これらのサンプルについ
て、公知の手段により光電変換効率を測定した結果を下
記表1に併せて示す。
および比較例2の光電変換効率に関し、光電変換効率を
測定しようとしたが、ほとんど効率が出なかった。白濁
状にみられる巨大な酸化スズ粒子があるために、p−i
−nのアモルファスシリコン膜および結晶性シリコン膜
が面内均一に形成されなかったことが原因であると考え
られる。
り、バッファ層の成膜速度が600nm/minを越えると、
透明導電膜が白濁することが判る。また、実施例4〜8
において、バッファ層の成膜速度が1,000nm/minを
大きく越えるにも関わらず、透明導電膜が白濁しないの
は、第1下地層の形成の際にアルカリ−ハロゲン粒子が
第1下地層に取り込まれ、あるいは熱により消失したこ
とにより、下地膜の表面が平滑でなくなったことによる
と考えられる。
成分含有率を変えた場合に、透明導電膜の吸収係数がど
のように変化するかを測定した(参考例1〜3)。
示する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製した。ガラスリボン上に厚さ35
nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成した。下地膜
上に厚さ110nmの酸化スズ(SnO2)からなるバッフ
ァ層を成膜速度1,550nm/minで形成した。さらに塩
化第二スズ(蒸気)1.8mol%、水蒸気57mol%、窒
素、およびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、厚さ
504nmのSnO2:Fからなる透明導電膜をバッファ層
上に成膜速度3,480nm/minで形成した。このガラス
板は、ヘイズ率が3.3%であり、吸収係数が400n
mで0.53、500nmで0.36、600nmで
0.26、700nmで0.24であった。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製し、その吸収係数を測定した。透
明導電膜の原料として、組成成分含有率が塩化第二スズ
(蒸気)1.8mol%、水蒸気57mol%、酸素23mol%、
窒素およびフッ化水素からなる混合ガスを使用し、厚さ
500nmのSnO2:Fからなる透明導電膜を成膜速度3,
450nm/minで形成した。このガラス板は、ヘイズ率が
3%であり、吸収係数が400nmで0.64、500
nmで0.32、600nmで0.24、700nmで
0.17であった。
記する条件に変更した以外は同様にして、透明導電膜を
備えたガラス板を作製し、その吸収係数を測定した。透
明導電膜の原料として、組成成分含有率が塩化第二スズ
(蒸気)1.8mol%、水蒸気85.6mol%、窒素、およ
びフッ化水素からなる混合ガスを使用し、厚さ453n
mのSnO2:Fからなる透明導電膜を成膜速度3,120nm
/minで形成した。このガラス板は、ヘイズ率が3.5%
であり、吸収係数が400nmで0.76、500nm
で0.4、600nmで0.26、700nmで0.1
7であった。
の混合ガス中における酸化原料(酸素ないし水蒸気)の
含有率が高くなるほど、長波長側の吸収係数が低下する
ことが判る。
ることから、つぎの効果を奏する。
少ない原料を使って、熱分解法とくに生産性の高いオン
ラインCVD法を用いて、白濁などの外観上の問題を起
こさない透明導電膜付き基板を安価に製造することがで
きる。さらに、この基板は反射率が低く、かつ、吸収係
数も低いので、これを光電変換装置に用いることによ
り、その光電変換変換効率を高めることができる。
る。
角30°で撮影した写真を白黒2値に画像処理した図で
ある。
伏角30°で撮影した写真を白黒2値に画像処理した図
である。
伏角30°で撮影した写真を白黒2値に画像処理した図
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 膜厚250nm以下のバッファ層と、塩
化スズを原料として熱分解法により形成した透明導電膜
とをこの順で備えた基板。 - 【請求項2】 上記透明導電膜は、400〜700nm
の波長域において、吸収係数が1×103cm-1以下で
あって、吸収係数の最大値が最小値の1.7倍以下であ
り、シート抵抗が15Ω/□以下である請求項1に記載
の基板。 - 【請求項3】 基板とバッファ層との間に、 屈折率1.6〜2.5、厚さ5〜100nmの第1下地
層と、 屈折率1.4〜2.0、厚さ5〜100nmの第2下地
層とからなる下地膜を備える請求項1または2に記載の
基板。 - 【請求項4】 上記下地膜の表面が平滑でない請求項3
に記載の基板。 - 【請求項5】 透明導電膜の膜厚が1,000nm以下
で、かつ、ヘイズ率が12%以上である請求項1〜4の
いずれか1項に記載の基板。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基
板の製造方法であって、 表面温度615℃以上のガラスリボン上に、塩化第二ス
ズを原料として熱分解法により透明導電膜を形成する基
板の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基
板を用いた光電変換装置。
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- 2002-10-04 JP JP2002293096A patent/JP4362273B2/ja not_active Expired - Lifetime
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